多様な民意が正確に議席に反映されなくなっている 地方議員定数の激減問題で批判 
2018年12月5日 参議院政治倫理の確立及び選挙に関する特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

 今回の法案は、来年3月1日から5月31日までの間に任期満了を迎える地方公共団体の首長と議員の選挙期日を統一することによって、国民の選挙に対する意識を高める等の利点があり、選挙事務の面でも合理的であるので、わが党は賛成であります。一方、選挙期日の統一率を高めれば高めるほど良いという議論が一部にあります。しかし、選挙期日の統一に伴って様々な問題が生じます。

 総務省に伺いますが、どのような問題が生じると考えているか、統一される選挙の幅を拡大すれば、そうした問題や矛盾も一層拡大されるのではないか。簡潔にお答えください。

大泉淳一(総務省自治行政局選挙部長) お答え申し上げます。

 統一地方選挙における統一選挙の対象の拡大につきましては、過去にも、例えば地方選挙を年1回ないし2回に統一して行うなどの議論があったものと承知しております。

 仮に、統一地方選挙の対象期間を拡大した場合には、統一期間内の前の方にある任期満了を迎える団体については、議会議員又は長の任期満了日から選挙をする日までの間の不在期間が長くなるとともに、さらに、これを避けるために任期延長をしようとする場合には、それを避けようとすれば任期延長の措置を講ずる必要があるという問題が出てまいります。

 一方、統一期間内の後ろの方にある任期満了を迎える団体につきましては、選挙期日後から当選者の任期が開始するまでの期間が拡大するということとなりまして、この期間を拡大を防止しようとすると任期短縮などの議論が出てくるという課題が考えられるところでございます。

山下よしき 要するに、首長や議員がいない期間が長くなったり、それから選挙で落選した者が、選挙後、首長や議員を続ける期間が長くなったりするということでありまして、これは民主主義と地方自治にとっても軽い問題ではないと思います。

 そこで、古賀総務政務官に来ていただいておりますが、この選挙期日の統一率を高めることについて総務省としてどのような見解をお持ちですか。

古賀友一郎総務大臣政務官 お答え申し上げます。

 統一する期間、対象期間を広げることに対する認識ということでございますけれども、総務省といたしましては、選挙を統一して実施することによりまして投票率の向上あるいは選挙執行に係る経費の節減を図る、こういったことが重要な課題であると、こう認識しております。

 しかしながら、一方におきまして、その統一する率を高めるために統一する対象期間を広げようといたしますと、先ほど選挙部長から申し上げましたような課題があると、こういうふうに考えております。

 この3月から5月という対象期間につきましては、これは長年を掛けて定着をしてきたところでございまして、これを広げるということになりますと各方面に大きな影響を与えることになると、こういうふうに考えられますので、この点につきましては幅広い観点からのご議論が必要な問題であろうと、こういうふうに認識をいたしております。

 以上でございます。

山下よしき 次に、地方議員の定数が大きく減っている問題について議論したいと思います。

 地方自治にとって、住民の多様な意見を行政に反映させることは極めて重要であります。その点で中心的な役割を果たすのが地方議員であります。

 総務省に伺いますが、都道府県議会議員定数及び市区町村議会議員定数について、それぞれ平成元年と平成29年の数字を報告してください。

大泉部長 お答え申し上げます。

 平成元年末の都道府県議会議員定数は2911人でございました。また、市区町村議会議員定数は6万4367人でございます。

 一方、平成29年末の都道府県議会議員定数は2687人、市区町村議会議員定数は3万565人となっております。

山下よしき 今の答えを資料一に表にして配付させていただきました。

 平成元年以降、市区町村議員の定数は半減いたしました。背景には平成の大合併で自治体の数と議会の数が減ったことがもちろんあります。しかし、合併していない自治体でも議員定数は減っておりますし、あるいは合併が終わった後も議員定数は減っております。

 昨年5月30日の読売新聞がこの問題を特集しておりまして、こう書いてあります。人口減少が著しい伊豆地方のある町議はこれ以上議員が減れば住民の声を拾い上げ切れないと話す、定数を減らし過ぎると行政の監視や住民サービスの向上といった議会の本来の役割を果たせなくなるおそれも出てくるという内容であります。

 石田総務大臣に伺いますが、議員を減らし過ぎると住民の声を拾い上げ切れない、行政監視など議会の本来の役割を果たせなくなるとの指摘についてどう認識されていますか。

石田真敏総務大臣 地方議会の議員定数については、地方分権を進める中で制度の見直しが行われまして、現行の地方自治法においては、議員定数は各地方公共団体が条例で定めるものとされているわけでございます。そういう中でございますけれども、人口減少社会において増大する合意形成が困難な課題について、民主的に合意形成を進めていく上で、団体意思の決定機能を始め、監視機能、政策形成機能、そういうものを担う地方議会の役割は非常に重要なものと認識をいたしております。

 ご質問の地方議会の定数の在り方については、このような議会の役割、あるいは地域の実情を踏まえて、各地方公共団体において自主的にご判断をいただくべきものと考えております。

山下よしき 減ることによって、議員定数が、そういう機能が発揮しにくくなっているという指摘なんですけれども、それ、どうですか。

石田総務相 まあその辺は、地域によってはいろいろの地理的あるいは成り立ち等の状況がございますので、その辺は私は議会、地方公共団体においてご議論をいただければいいというふうに思っております。

山下よしき では、もう一つ聞きます。

 平成の大合併によって周辺部の旧町村から議員が出にくくなる事態が生じていると私は認識しております。要するに、人口の多い市と合併した後ですね、大選挙区制になると人口の少ない旧町村から議員が選ばれなくなりやすいということなんですけれども、この間、大臣のご地元、和歌山県も災害の多いところですけれども、各地で災害が多発しておりますけれども、そういうところで市町村合併の結果、役所がなくなり支所になったり、職員の数も大幅に削減されたり、その上に議会に声を届ける議員が選ばれにくくなっているということが、災害の後の救援、復旧復興の大きな障害になっているということを私感じております。

 自治体合併によって周辺部の旧市町村から、まあ町村からですね、議員が出にくくなる事態が生じている点について、大臣の認識、いかがですか。

石田総務相 私の地元等を考えますと、まあ一概にそう言えない場合もあります。合併された地域で、かえって危機感で多くの議員さんが出られて、それで多くの投票、当選をされているというような場合もありますので、一概には申し上げられないというふうに思います。

 ただ、やはり、合併によって地域の声が届きにくいとか、あるいは地域の振興について従来に比べて反映しづらいとかいうことはあり得るかも分かりません。そういうことを踏まえて地域審議会あるいは地域自治区といった仕組みをつくっているところでございまして、こういうことを利用していただく中で、合併市町村においてもきめ細かな行政運営に取り組んでいただいているものというふうに考えております。

山下よしき 総務省の取りまとめでも、平成の大合併によって行政に住民の声が届きにくくなっているということはもう指摘されておりますので、特に周辺部で災害時にはそのことが支障になっているということは、まあ一概に言えないということなんですけど、一方で言うとそういうことは私は起こっていると思いますので、引き続きまたこれ議論をしていきたいと思います。

 次に、都道府県議員定数も減少しております。

 資料の2枚目に、各都道府県議会の議員定数の削減数を掲載いたしました。統一地方選挙となっている議会のみの資料ですが、1999年から2015年までの間に合計211の定数削減が行われました。中でも大阪府議会は24減と、桁違いの削減数となっております。

 資料3に、2015年大阪府議会議員選挙の定数別選挙区数、定数が1、2などの選挙区が幾つあるのかという資料を掲載しました。特徴は、大阪府議会議員の選挙区は全部で53あるんですが、53選挙区のうち1人区が31に上り、2人区も15あるということでして、選挙区の約9割が1人区、2人区になっているということであります。

 その結果何が起こっているかといいますと、多様な民意が府議会の議席に反映されなくなっているということでありまして、資料4枚目に、2015年4月に行われた大阪府議会議員選挙の結果とその直近である国政選挙、2014年12月の衆議院比例代表選挙の大阪府内の結果を比較したものを作ってみました。

 この表の一番右の欄、各党の比例得票率と、表の左から三つ目の欄、大阪府議会における各党の議席占有率がこれ大きく乖離しているということが分かると思います。例えば、比例得票率32%の大阪維新は府議会の議席の48%を占める一方で、民主、共産、社民の3党合計で比例得票率は22%あるにもかかわらず、府議会の議席は5%に満たない状況になっております。

 多様な民意が正確に議席に反映されなくなっているという事態が起こっているわけですが、石田大臣、感想いかがですか。

石田総務相 これは選挙制度の難しいところでありますけれども、都道府県議会議員の選挙区は、公職選挙法第15条第1項の規定によりまして条例で定めることとされております。また、選挙区における定数についても、同条第8項の規定により条例で定めることとされているわけでありまして、大阪府議会の選挙区について具体的にどのような選挙区とするかについては、大阪府がその条例に基づいて設定することとされているわけであります。条例において設定することとされているということであります。

 先ほど申し上げたような規定を踏まえて、大阪府において適切に決定されているものと認識をいたしております。

山下よしき せっかく和歌山県議、海南市長を務められた大臣ですから、もう少し踏み込んだご意見をいただいた方が、せっかくこういう議論をしているんですから、こういう問題起こっていますよということを提起しているのに、条例で決めますというのでは、何の深まりもないんですよ。

 資料3にもう1回戻っていただきたいんですが、ここでは、大阪府議会議員選挙における、とりわけ大阪市、堺市、政令市部の定数に注目いただきたいんですが、大阪市域と堺市域の大阪府議会議員選挙の定数は全て1、2なんです。定数1、2で100%で、3人区以上はもうなくなっちゃっているんですね。ですから、こういうところでは、第1党である大阪維新さんと自民党、公明党さん以外の政党は全く当選がされていない状況にあります。

 要するに、大阪市、堺市という中心都市から府議会に多様な民意が反映されなくなってしまったと、合併で周辺部になった地域と同じことが大都市部で起こっているという問題なんです。ここはちょっと総務大臣、踏み込んで感想いかがですか。

石田総務相 先ほども申し上げましたけれども、選挙制度のそういう難しいところというのは現実にいろんな選挙にもあるわけでございまして、そういう中で、今地方分権という中で、選挙区あるいは定数、そういうものについてはそれぞれの自治体において条例によって決めるということになっておりますので、それに従ってなされていると認識をしております。

山下よしき 公正で明るい選挙と、大臣、冒頭言われたんですよ。これ、公正に欠く状況が広がっているんじゃないのということを提起しているのに、全くかみ合った答えがないのは残念です。

 大阪では、身を切る改革と言いながら、実態はこうなっている。切られているのは多様な民意、これが切り捨てられていると言わなければなりません。

 それから、大臣、さっきから各団体が条例で決めると言いますけれども、議会で決めるわけですけれども、2011年6月の大阪府議会では、定数を109から88に一気に21も削減する条例案が審議が一切ないまま強行されました。大阪維新以外の主要4党、自民党、公明党、民主党、共産党は、これに抗議して退席をいたしました。当時の副議長は辞職するという異常事態になったんですね。そのときの府議会議長はここにおられる浅田委員だったと、先ほどご本人に聞きましたけど、そういうことが起こったということであります。これは先ほど申しました公正かつ明るい選挙の実態とは程遠い内容、手法、結果に私はなっていると思いますね。

 もう大臣に聞いてもさっきの答弁だと思いますから、問題提起したいんですが、これは、大阪の事例は突出した事例です。しかしながら、都市部の多様な民意が道府県議会に届きにくい問題は、政令市のある道府県に少なからず共通している問題ですので、これは引き続き議論をしていきたいと思っております。

 残りの時間で沖縄の問題について聞きます。

 防衛省沖縄防衛局は、沖縄県による辺野古新基地建設の埋立承認撤回の処分に対し執行停止を申し立て、10月30日、国土交通大臣はその効力を停止すると決定いたしました。この件に関し、私は、11月22日の総務委員会の質疑、大臣も聞いておられたと思いますが、そこで、資料五に示したように、本来、国民の権利救済のための行政不服審査制度をなぜ国が利用できるのかについて、資料六に掲載した総務省行政管理局が発行した逐条解説に従って国土交通省に説明を求めました。

 しかしながら、国土交通省からは、逐条解説に挙げられている2番目の基準である事務事業の性格に照らして、米軍基地建設のために米軍提供水域を埋め立てる事業がなぜ固有の資格に当たらず、国による不服申立てが可能であると判断したのかの説明はありませんでした。その判断はしていないと、処分されたから不服申立てしただけだったという答弁なんですね。総務省の逐条解説を無視して判断したことが明らかになりました。

 総務大臣、行政不服審査法の運用が総務省の基準から逸脱して行われた、しかも選挙で繰り返し示された沖縄県の民意を踏みにじるために悪用された。行政不服審査法を所管し、地方自治法を所管する大臣として、放置していいんですか。

石田総務相 行政不服審査法の逐条解説においては固有の資格のメルクマールを示しているわけですが、個別具体の処分が固有の資格において受けたものかどうかは、当該処分の根拠法令を所管する行政機関が、当該法令の規定に照らし、国の機関等が一般の私人や事業者と同様の立場において受けたものであるかどうかによって判断することになっておりまして、総務省として個別具体の事案についてコメントする立場にはございません。

山下よしき 今重大な答弁ですよ。当該法令を所管する当該官庁が判断すると言いました。

 じゃ、これ何なんですか。総務省行政管理局が行政不服審査法の運用の基準を決めた逐条解説は何なんですか。これ無視して法の所管官庁が勝手に判断してもいいという今答弁に聞こえましたけど、そういうことですか。これ何の役にも立たない、ただの飾りですか。

○政府参考人(堀江宏之君) お答えいたします。

 ご指摘のコンメンタールにおきましては、固有の資格についてメルクマールという形でお示ししております。これは、実務上の判断に資するための目安としてお示ししているものでございます。そういった趣旨をコンメンタールの中では、実務上はおおむね一及び二のようなメルクマールで判断されることになると考えられるという表現をしているところでございます。

 いずれにしても、個別具体の処分につきましては、固有の資格において受けたものかどうかは、国の機関等が一般の私人や事業者と同様の立場で受けたものであるかどうかということが判断基準でございますので、それにつきまして当該処分の根拠法令を所管する行政機関において当該法令の規定に照らして判断していただくことは適当であると考えております。

山下よしき 重大なねじ曲げ答弁ですね。資料5に、法律の1条と7条を規定していますよ。1条の目的は、国民の権利が侵害されたときにこれを救済するためとはっきり書いてあるんですよ。しかし、国が用いる場合もあると、しかし、その場合は、7条の2項で固有の資格になるものは適用しないとはっきり書いてあるんですよ、法律の条文に書いてあるんですよ。

 そのコンメンタールをただの実務的な位置付けだと言って極めて低く用いることは、絶対に許されないですよ。だって、地方自治がこれによってじゅうりんされている問題起こっているのに、何もそんな解釈をねじ曲げてそれを容認するような総務省だったら、地方自治所管する資格はないということを申し上げて、終わります。

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