議院運営委員長解任決議案への賛成討論 
2017年6月14日 参議院本会議

 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました議院運営委員長山本順三君解任決議案に賛成の討論を行います。

 そもそも、今日は、本会議散会後に、次回の日程を協議するために議院運営委員会理事会を開くことを朝の理事会で確認しておりました。にもかかわらず、山本議院運営委員長は、昼休みに突然、理事会を開いたのであります。なぜか。今日、昼前に突然、与党代表自民党国対委員長から野党代表民進党国対委員長に対し、共謀罪法案については中間報告を行いたい、その上で採決したいと、一方的な通告があったからであります。

 与党の諸君は恥を知りなさいと言わなければなりません。国会は何のためにあるのか。参議院は何のためにあるのか。政府の行うことを国民の立場からチェックする行政監視機能こそ、国会の最も重要な役割であり、衆議院の議論に加えて、異なる選挙制度、異なる時期に国民から選ばれた我々参議院がより深くより丁寧に議論を尽くすことこそ、二院制における参議院の役割ではないのでしょうか。それこそ、国民の期待する国会、参議院の使命ではないかと確信するものであります。

 共謀罪法案について、国民はどう見ているでしょうか。6月に入って実施された北海道新聞の世論調査で、共謀罪反対の声は一四ポイント増えて59%と、賛成34%を大きく上回りました。テロ対策のためなど政府寄りの設問であるNHKの世論調査でも、反対、どちらとも言えないが6割以上を占め続けているのであります。

 共謀罪法案は、審議すればするほど国民の中に不安が広がる法案であります。国会が仮にも国民の代表者であるなら、徹底審議して不安をなくすのが当たり前ではないでしょうか。不安がなくならないのなら廃案とするのが当然ではないでしょうか。それを中間報告で審議を打ち切り採決するとは、国会、参議院の自殺行為に等しいと言わなければなりません。

 だからこそ、参議院野党四会派は、中間報告の通告がなされた直後、小川敏夫民進党・新緑風会会長、福島みずほ希望の会会長、糸数慶子沖縄の風会長と私が伊達忠一議長の元を訪ね、先ほど述べた中間報告の問題点を丁寧にお伝えし、与党によって一方的に政党間協議が打ち切られた以上、ここは議長が賢明な御判断をと要請したのであります。

 私は、その場で、かつて自民党出身の河野謙三参議院議長は七三の構えを説かれ、与党に三、野党に七顔を向けてこそ議院の公正な運営ができると、このことを貫かれました、今こそこの役割が求められているのではないでしょうかと私は伊達議長に申し上げました。議長は、しっかり受け止めます、信頼が大事ですねとお答えになったのであります。

 にもかかわらず、山本委員長は、中間報告をやろうとする議院運営委員会理事会を開きました。開かれた議運理事会でどんな議論があったか、詳しく報告したいと思います。

 自民党の理事から、状況が変化した、中間報告の動議を出したい旨の発言がありました。我が党仁比理事から、朝、本散後に次回本会議の日程を協議すると言っていたではないか、状況が変わったとは一体何が変わったのか。昨日の法務委員会でも、自民党の理事、西田理事から、今日採決は考えていない旨の発言があり、法務委員長も、採決はまだだ、こういう認識を示されました。これから一体何が変わったのか、仁比理事が質問いたしました。自民党の議運理事は、……、答えられない状況があったわけであります。維新の理事から、仁比さんの言うとおりだ、こういう発言があり、激しい抗議とともに持ち帰るという発言がありました。仁比理事から、持ち帰る前に一つ確認したいことがある、中間報告にする一体理由はどこにあるのか、こう詰め寄りました。自民党の理事からは、動議は自民党会派として出す、お怒りはごもっとも、会期末なので、こういう理由しか示されなかったのであります。それを受けて仁比理事は、公明党は知らなかったのか、屈服するのか、こう問いましたが、公明党の理事は、……、答えがなかったのであります。仁比理事が改めて、会期末に本会議で強行採決するのか、こう詰め寄りましたら、またも自民党はうつむいたまま返事はありません。ここで休憩になり、山本議院運営委員長は、指摘は重く受け止めると、休憩に入ったのであります。

 にもかかわらず、山本議院運営委員長は、公正公平な議院の運営という自らの役割を投げ捨て、議会制民主主義を踏みにじる中間報告のための本会議を開催するための委員会を強行いたしました。解任は当然であります。

 共謀罪法案の参議院法務委員会における審議はまだ18時間弱、緒に就いたばかりです。時間だけの問題でもありません。審議すればするほど、矛盾と問題点が噴出しています。審議すべき問題点は山のようにあります。にもかかわらず、委員会での審議を打ち切って、数の力で召し上げて、強行採決で成立を図ろうなどということは、参議院と国会の存在を否定する行為だと言わなければなりません。

 与党に言われるがままにその暴挙を唯々諾々と受け入れようとする議院運営委員長は、そのことだけを取っても解任に値すると言わなければなりません。

 しかも、共謀罪で問われているのは、人権とプライバシーが脅かされることになるのではないかという重大問題です。一つ、内心に踏み込む捜査や処罰が行われるのではないか。二つ、一般人が捜査や処罰の対象となるのではないか。三つ、民主主義の根幹に重大な萎縮をもたらす監視社会になるのではないか。(発言する者あり)ないということが言えるんだったら、ちゃんと審議したらいいじゃないですか。

 参議院の参考人の3人のうち2人がこの懸念を出したわけであります。参考人に対して、審議を尽くすのが参議院の礼儀ではないでしょうか。

 こうした大問題は、国民の不安、専門家の指摘の焦点です。僅かな審議においても、新たな重大問題が次々と明らかになっています。こうした国民の懸念、批判に真摯に向き合い、問題を究明する徹底した審議こそ、参議院に求められている責務であります。

 そして、この徹底した審議を支える柱が委員会中心主義であります。戦前の本会議中心主義に対して、新憲法下の新しい国会は、その運営について委員会中心主義を採用いたしました。より突っ込んで、より充実した審議をすることを目的としているのが委員会中心主義であります。中間報告の濫用は、その新しい国会の柱を乱暴に破壊するものと言わなければなりません。

 今、安倍政権は、森友問題、加計問題に象徴されるように、行政を私物化し、政治をほしいままにしております。

 これに対し、多くの国民が厳しい批判、怒りの声を上げています。

 我が党は、こうした国民とともに、野党とも力を合わせて闘うことを表明し、議院運営委員長解任決議案への賛成討論といたします。

情報漏れ被害深刻に 
個人番号の用途拡大で  参議院総務委員会(議事録)

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 おさらいになりますけれども、インターネット等を利用した電子商取引が急速に拡大する中、契約に関わる電子文書の作成者が確かに本人であること、契約内容が送信中に改ざんされていないことを証明する制度が必要となり、2000年、電子署名法によって電子署名制度が構築されました。
 さらに、法人間の電子商取引において、社長から契約の締結を委任された社員が確かに社長から権限を委任されていることを証明する制度が必要となってきました。そこで、法人の代表者が作成する電子委任状を保管し、必要に応じて電子商取引の相手方に送信する業務を行う電子委任状取扱事業者を公的に認定しようというのが本法案であります。
 私は、この電子委任状制度の要は電子委任状取扱事業者の信頼性にあると思います。総務大臣が認定することになるこの事業者の信頼性、どう確保するんでしょうか。

谷脇康彦(総務省情報通信国際戦略局長) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、認定事業者の信頼性が確保されることは、電子委任状を活用した手続の電子化を進めるため不可欠の前提であると考えております。このため、本法案におきましては、認定事業者が満たすべきセキュリティーの水準などを定めた基本指針を策定し、認定事業者の業務がこの基本指針に適合しているということを認定時及び認定の更新時に主務大臣が審査する仕組みを採用しております。
 また、認定事業者につきましては、基本指針で定める認定要件の一つといたしまして、定期的に外部機関の監査を受けることを義務付けることを想定をしております。さらに、認定事業者につきまして何か問題があった場合には報告徴収や立入検査を行うことや、問題が是正されない場合には認定事業者の認定を取り消すことも可能となっており、これらの手段を段階的に用いることで認定事業者に対する信頼の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

山下よしき そこで、総務省としてどのぐらいの数の電子委任状取扱事業者を認定するつもりなのか、既に電子委任状取扱事業に関心を示している事業者はあるのか、あるとすればそれはどのような事業者か、お答えいただけますか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 現在、本法案の認定事業者になることに関心を持っておられる事業者といたしましては、電子署名法に基づく認定認証事業者、あるいは機密性の高い電子書類をセキュアに送受信するサービスを提供している事業者などが挙げられます。認定事業者の数といたしましては、当面でございますが、数社程度を見込んでいるところでございます。

山下よしき 電子委任状制度を信頼できるものとするためには、私は利用者の側の不正行為を防止することも重要となると思います。
 電子署名法では、認定認証事業者等に対し虚偽の申込みをして不実の証明をさせた者は3年以下の懲役又は200万円の罰金に処すると規定されております。しかし、本法案では、認定電子委任状取扱事業者に対し虚偽の申込みをした者に対する罰則規定がありません。大丈夫なのかと。
 そこで、想定される二つのケースの対応について聞きます。
 一つは、法人の代表者と偽った者が電子委任状取扱事業者に登録し、虚偽の電子委任状を保存させた場合の対応。例えば、有名会社の社長をかたって偽物の電子委任状を作成し、相手をだまそうとするケース。二つ目に、法人の正当な代表者が委任の事実がないにもかかわらず虚偽の電子委任状を保存させた場合の対応。例えば、社長から委任されたはずの社員と契約を交わしたのに、後から社長が委任した覚えはないなどとして契約無効を主張するケースなどがあると思われますが、それぞれどう対応されますでしょうか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 今委員から二つの事例についてお尋ねがございました。そのうち、法人の代表者と偽った者が認定電子委任状取扱事業者に虚偽の登録をし、虚偽の委任状を保存させた場合でございますけれども、事案の具体的な内容にもよりますけれども、基本的には刑法第161条の二に規定をいたします電磁的記録不正作出罪の適用があり得ると考えております。
 また、お尋ねの第二の事案でございますが、正当な代表者が委任の事実がないにもかかわらず虚偽の委任状を認定電子委任状取扱事業者に保存させた場合につきましては、これも事案の具体的な内容によりますけれども、民法第109条に定めます表見代理の規定の適用によりまして民事的に解決が図られる場合があると考えております。

山下よしき 次に、電子委任状制度が広く利用されるためには利用コストが重要となってくると思います。総務省としてどの程度の利用料金を想定しているでしょうか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 電子委任状を利用する場合、利用者の方は認定事業者に対し所定の利用料金を支払うこととなります。この認定事業者の利用料金につきましては、システムの運営に要する費用などを勘案し、それぞれの認定事業者が個別に設定することとなるため、一概には申し上げることはできないところでございます。
 また、実際に電子委任状の利用には電子署名のそのものの利用も必要となることから、電子委任状の利用者は電子署名に必要なコストも併せて負担をすることとなります。この電子署名の手段として民間認証事業者の電子証明書を用いる場合、おおむね利用者1人当たり年間1万数千円程度の料金が発生いたします。
 政府といたしましては、認証業務と電子委任状取扱業務、このいずれにつきましても複数の事業者を認定し、事業者間の競争を促すことを通じて料金水準の適正化を図ってまいりたいと考えております。

山下よしき 確定的なことは今言えないということだったんですが、私は、これ紙の委任状なら、たとえ遠隔地であっても郵送すれば委任状としての効力は発揮できるので、郵送料と紙代ぐらいで済むわけですね。ですから、それよりも低額な利用料でなければこの電子委任状制度というものがなかなか普及できないのではないかと思っております。
 電子委任状取扱事業に手を挙げている事業者に直接聞いてみました。既に実施している電子契約書保存サービスというサービスの利用料は、初期料金20万円、月額料金4万円だそうでして、この電子契約書保存サービスのオプションとして電子委任状サービスの導入が予定されているということでありました。つまり、電子契約書保存サービスの利用料、初期20万円、月額4万円の上に、新たに電子委任状サービスの利用料が掛かることが想定されます。
 となりますと、それなりの規模の企業なら利用メリットはあると思います。例えば大企業でしたら、年間数千から数万の契約を締結するでしょうし、この電子契約書保存サービスを利用することによって、紙の契約だと掛かってくる印紙税あるいは契約書保管コストなど、かなりの額を節約することができます。先ほどの利用料金を支払っても十分お釣りが来ると思われるんですが、しかし小規模事業者や個人にとっては、初期20万、月額4万プラスアルファの料金を払っても、それほどコスト的なメリットはないと思われます。
 そう考えると、私は、小規模事業者や個人は電子委任状制度を利用しなくてもいいと、今までどおり紙の委任状を郵送すればいいという制度設計なのかと思わざるを得ないんですが、いかがでしょうか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、認定事業者の利用料金につきましては、システムの運営に要する費用などを勘案してそれぞれの事業者が設定することとなるわけでございます。
 現行、例えば電子商取引につきましてはまだ20数%の普及でございます。これが普及していくことによってシステムの共通的な経費の言わば割り勘をしていただく利用者の方が増えてまいりますので、私どもといたしましては、電子商取引の普及ということを通じてより裾野を拡大することによって電子委任状の利用の料金についても可能な限り引下げを図っていくという方針で臨みたいと思っております。

山下よしき それは推移を見ていきたいと思います。
 次に、電子委任状の利用には電子署名が必要となります。そのために、電子署名を格納しているマイナンバーカードの活用が促進されると思われます。そこで、マイナンバーカードに関わって質問します。
 アメリカでは、日本のマイナンバーに当たる社会保障番号、SSN、ソーシャルセキュリティーナンバーを、福祉の補助金や税金の納税申告及び還付などの行政手続、あるいは進学、就職、銀行口座の開設、クレジットカードの取得の際の身分証明としても使用してきました。現在、そのSSNの漏えいによる成り済まし被害が深刻になっております。2014年には、アメリカの16歳以上の人口の7%に当たる延べ1760万人がSSNに関する被害に遭いました。最も多いのは、他人に成り済ましてクレジットカードを発行し、買物をするケースであります。成り済ましによる銀行口座開設も起きているとのことであります。
 ここには、私はアメリカのSSN固有の問題にとどまらない重要な教訓があると思います。第一に、共通番号はその用途が拡大すればするほど被害も大きくなるということであります。SSNも、創立当初の福祉から、先ほど述べたように用途が次々と拡大されてきました。そのことが、漏えいしたときの被害を多方面に拡大することになっております。利便性の増大がリスクの増大を招いている。
 高市大臣、共通番号制度にとって私これは重要な教訓だと思いますが、大臣の御認識いかがでしょうか。大臣どうぞ。

高市早苗総務大臣 アメリカでは、従来、ソーシャルセキュリティー番号が利用制限なく、官民問わず幅広く利用されてきました。そして、厳格な本人確認がなされずソーシャルセキュリティー番号だけで事務処理が行われてきたということなどが、漏えいや成り済ましなど御指摘のような事例の発生に影響したんじゃないかと考えております。
 我が国のマイナンバー法では、アメリカなど諸外国の教訓も踏まえまして、マイナンバーの利用や提供の範囲を法律又は地方公共団体の条例に限定的に規定しています。そして、マイナンバーの取扱者には安全管理措置義務を課しています。本人からマイナンバーの提供を受けるに当たっては、マイナンバーカードなどで本人確認を行います。こういった情報漏えいや成り済まし被害の防止に必要な様々な措置を講じており、アメリカとは状況が異なると考えています。
 また、マイナンバーカードの利活用につきましては、マイナンバーそのものを利用するのではなくて、マイナンバーカードの電子証明機能などを本人確認、本人認証の手段として利用するものですから、むしろ厳格に本人確認が行われるようになるということで、それほど先生がおっしゃるような御懸念には当たらないと考えております。

山下よしき アメリカのSSNと日本のマイナンバーあるいはマイナンバーカードの違いはもちろん承知しております。ただ、そういうことを聞いているんじゃないんですね。一つの番号でその用途をどんどん広げていけば、落とすことだってあるわけですよ、その場合の被害はどんどんどんどん拡大する、盗まれたり紛失したりした場合ですね。ですから、共通番号の用途が拡大すればするほど被害も大きくなるということを、私はこれは他山の石として日本でも教訓としなければならないと思うわけですが。
 日本でもマイナンバーカードの普及促進のために、先ほどの質疑でもありましたロードマップでこれからいろいろな用途が拡大されようとしておりますので、そのリスクをしっかり考える必要があるんじゃないかということを、私はアメリカのこの今の事例からつかむ必要があるんじゃないかということを提起しているわけであります。
 それから、このアメリカのSSN、ソーシャルセキュリティーナンバーの漏えいでは、税金の還付金をだまし取る成り済まし犯罪が非常に目に余る形で広がっているようです。アラバマ州では、以前勤めていた雇用主のデータベースから多数の氏名とSSNを入手し、不正な納税申告書を提出し、税金の還付金をだまし取った事例があります。テネシー州の事例では、インターネットの地下ウエブサイトからSSNなどの身分確認情報を多人数分得て、多額の税の還付金を詐取する事件も起こりました。
 ここからが大事なんですけれども、こういうことが続発して、対応に苦慮したアメリカの内国歳入庁、IRSは、2011年、不正申告の被害者向けに別途、身元保護個人納税者番号を交付し、その利用に踏み切っております。それから、国防総省も、2012年、共通番号として長く使用してきたSSNの使用をやめて、新たに国防総省本人確認番号を使用することを決めました。アメリカでは共通番号をやめて分野別番号への転換が始まった、ここに私は第二の教訓があると考えますが、大臣の認識いかがでしょうか。

向井治紀(内閣官房内閣審官) お答えいたします。
 我が国のマイナンバー法では、マイナンバーは法律又は条例に規定する社会保障、税、災害対策の各分野の事務に利用を限定してございます。また、先ほど大臣から御答弁がありましたとおり、厳格な本人確認措置を実施するなど、すなわちマイナンバーそのものは本人確認としては使っていないということでございます。米国とは制度と運用が異なるといった状況でございます。
 我が国のマイナンバー制度は、より公平公正な社会保障制度や税制の基盤であり、また、情報社会のインフラとして国民の皆さんの利便性の向上、行政の効率化に資するものとして導入されたものでございます。
 政府といたしましては、この理念に沿って、制度の適切な運用と充実に努めてまいりたいと考えております。

山下よしき もう何回聞いても、日本のマイナンバーは大丈夫だ、カードも大丈夫だという答えしか返ってこないんですが、私、日本年金機構から125万人分の個人情報が流出した問題を内閣委員会で取り上げた際に、内外の個人情報大量流出事件から共通して酌み出すべき四つの教訓ということを提起させていただきました。
 一つは、個人情報の漏えいを100%防ぐシステムの構築は不可能だと。これ、どんなシステムをつくっても必ず破ってくる勢力があるということです。
 それから二つ目に、組織の内部に意図的に情報を盗み、売る人間が一人でもいれば、そこから大量の個人情報が流出する危険があるということ。
 そして第三に、一度漏れた情報は取り返しが付かない、流通し、売買されると。これは日本でも起こりました。教育関係の個人情報が大量に流出したことが教育関係のダイレクトメールなんかに利用された例があります。
 それから、四つ目に、情報は集まれば集まるほど利用価値が高くなって逆に攻撃されやすいということでありまして、この四点は菅官房長官も全部それは同意されました、そういうリスクはどんどんどんどん高まってくるであろうと。
 紹介したアメリカの例もこの四つの教訓に当てはまる部分がかなりあると思っております。そこで、アメリカは教訓を踏まえて共通番号から分野別番号へと転換を始めたわけです。
 高市大臣に伺いますが、私はマイナンバーとマイナンバーカードを所管する高市大臣には、こうした教訓を、今日挙げたアメリカの例だけではありません、もう世界中で個人情報の大量流出が起こっておりますから、やはりそういう教訓を踏まえた対応が求められると思いますが、いかがでしょうか。

高市総務相 まず、マイナンバーカードについての説明をしたいんですけれども、まず、個人情報が一元管理されるわけじゃございません。分散管理をしています。それから、マイナンバーを直接用いるというのではなくて、符号を用いた情報連携を実施するということになっています。また、アクセス制御でアクセスできる人の制限管理も実施します。それから、通信の暗号化も実施いたします。そして、カードそのものはもう相当工夫されており、偽造などができない、こういうカードになっております。それから、番号そのものだけが漏れたからといって芋づる式に個人情報が引き出されるということにはなっておりません。
 アメリカが分散的なものにしていくということですが、そもそものソーシャルセキュリティー番号で起きた様々な事象を捉えて、同じ轍を踏まぬように十分議論をして今のマイナンバー制度及びマイナンバーカードというものの制度設計をいたしております。

山下よしき 次々と起こっている個人情報の大量流出からしっかり教訓を酌み取る必要があるということを提起したわけで、今のマイナンバーカードそのものがアメリカのSSNと違うというのはもう承知した上で言っているわけですね。
 ですから、これは、これからどんどんどんどん利用拡大し、普及し、用途も拡大しようとしているときだけに、こういう問題が、リスクが高まる危険性ありますよということもしっかり受け止めなければならないということをあえて申し上げて、時間が参りましたので、終わります。

衆院区割り改定法案-定数削減、小選挙区制を批判

photo 参院倫理選挙特別委員会は7日、区割り改定法案を賛成多数で可決しました。この法案は、小選挙区制を温存し衆院定数10削減を行った衆院選挙制度関連法にもとづいて、削減する小選挙区の6県と比例の4ブロックを確定し、小選挙区の区割りを改定するものです。 続きを読む

小選挙区制が民意と懸け離れた政権の暴走を生み出す 
2017年6月7日 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 本法案は、昨年成立した小選挙区制の維持を前提に定数を10削減する衆議院選挙制度関連法に基づいて6県の小選挙区と4ブロックの比例定数を削減し、政府の衆議院議員選挙区画定審議会勧告に沿った小選挙区の区割りを改定するものであります。
 まず、定数削減について聞きます。
 今回、東日本大震災で大きな被害を受けた東北ブロックが1減、小選挙区も青森県、岩手県が1減となります。岩手県では沿岸部の岩手三区が2分され、それぞれ隣の選挙区と統合され、選挙区が一つ減ります。三区に含まれる陸前高田市の戸羽太市長は、地元から議員が減れば国へのルートが閉ざされる、復興にマイナスになりかねないと述べ、仮設で暮らす住民の方も、被災地の事情を分かってくれる地元議員がいなくなれば復興は更に遅れてしまうと述べています。
 総務大臣、定数削減に対する被災地からのこうした声に、どう受け止められますか。

高市早苗総務大臣 今回の改正法案におきましては、小選挙区の定数において1減となる県の中に東日本大震災等の被災地が含まれていることは承知しております。被災地の支援につきましては、それぞれ選出選挙区に関わりなく全ての国会議員の皆様方、そして政府が被災地の皆様のお声にしっかりと耳を傾け、対策に取り組んでこられたと承知をしておりますので、このような取組を続けていくことは大切だと考えております。
 この衆議院小選挙区の定数削減及び六減県の決定方法につきましては、平成28年5月に議員立法によって成立した衆議院選挙制度改革関連法において規定されており、この法律に基づいて今回法律案を提出しているものでございます。
 各都道府県への小選挙区の定数配分の方法も含め、衆議院の選挙制度の在り方につきましては、議会政治の根幹に関わる重要な問題でございますので、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えております。

山下よしき 定数削減によって切り捨てられるのは主権者、国民の声です。それはまた国民、国会の政府監視機能を低下させるという大きな弊害も生みます。今回、我が国の男子普通選挙制度始まって以来最少の定数に削減したことを、改めてこの場で厳しく批判をしておきたいと思います。
 次に、区割りの改定について聞きます。
 今回の区割りの改定は19の都道府県、97の選挙区に及び、これまでで最大となります。これによって様々な不合理が生じることになります。例えば、市区町村内で分割、分断される自治体が、これまでの88から105に増えます。区割り審の知事意見には、住民に戸惑いが生じており、選挙時にも候補者が分かりにくい、選挙への関心が持てないといった弊害が生じている、北海道。分断後初めて行われた選挙において投票率の低下や無効票の増加という傾向が見受けられた、長崎県などの指摘がありました。
 大臣、知事意見にも見られる有権者の戸惑い、投票率の低下、どう認識されているでしょうか。

高市総務相 衆議院選挙制度改革関連法においては、各選挙区の人口に関して、次回の見直しまでの5年間を通じて人口較差が2倍未満となるよう、平成27年国勢調査による日本国民の人口に加えまして、平成32年見込み人口においても較差を2倍未満とすることが求められました。この結果、相当数の選挙区の改定の必要が生じましたことから、今回の区割り改定案の勧告では19都道府県、97選挙区において改定を行うということとなりました。
 分割市区町の数ですが、9市町の分割が解消されました。その一方で、26市区が新たに分割され、17増加することとなりました。
 今後、政府としては、勧告に基づく区割り改定法案成立の暁には、区割り改定の趣旨や内容を十分御理解をいただくということはもとより、特に選挙区の変更について選挙人始め関係者に混乱が生じることのないよう、きめ細かく周知啓発を行ってまいります。

山下よしき 不合理なことのもう一つ、紹介したいと思いますが、今回の区割り改定によって、市区町村が丸ごと小選挙区間を移動するケースも生まれます。
 資料1枚目に配付しておりますけれども、大阪では一区、二区、四区が見直しの対象となります。人口較差を是正するために大阪市東成区が四区から一区へ移動します。その代わりに生野区が一区から二区へ移動することになります。行政区がまるで玉突きのように選挙区を移動すると。市議時代から生野区を地盤としていた自民党現職の衆議院議員の関係者の方は、えらいことだと、本人が選挙区を変わるわけにもいかないとショックを受けた様子と報じられておりますけれども、私は、この議員候補もショックでしょうけれども、それ以上に有権者にとってこれは納得できる話ではないと思います。行政区の住民が丸ごと人口較差を是正するための駒のように扱われるわけですから、これは先ほど大臣、理解をお願いしたいとおっしゃいましたけれども、こうしたケースについて、大臣、どう認識されていますか。また、理解を得られるとお思いでしょうか。

高市総務相 平成28年5月に議員立法で成立した衆議院選挙制度改革関連法においては、平成27年日本国民の人口だけではなく、平成32年見込み人口においても較差を2倍未満とすることとされていました。
 これを踏まえて、平成28年12月に衆議院選挙区画定審議会が決定した区割り改定案の作成方針におきましては、選挙区の改定に当たっては、市区町村の区域は分割しないことを原則とするとしており、一定の分割基準に該当する場合のみ市区町村を分割するということになっております。
 今回の区割り改定案の勧告は、いずれもこの作成方針によって、地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮して、衆議院議員選挙区画定審議会の判断に基づき作成されたものです。政府としましては、この衆議院選挙制度改革関連法の規定に基づいて、衆議院議員選挙区画定審議会の勧告の内容どおり、そのまま小選挙区を改定する法案を提出させていただきました。
 今後、区割り改定の趣旨や内容を十分理解していただくことはもとより、特に選挙区の変更については選挙人始め関係者の皆様に混乱が生じることのないよう、きめ細かく周知啓発を図ってまいります。

山下よしき なかなかかみ合わないんですけれども。今大臣から、地勢それから経済的、社会的エリアという趣旨のことをおっしゃいましたけど、全く関係ない選挙区にどんどんなっていっているというのが実態でありまして、私は、こういう不合理は小選挙区制が続く限りなくならないと言わなければなりません。
 2020年の国勢調査を踏まえて、定数配分にアダムズ方式が導入されることになります。ですから、5年後には更に大幅な区割りの変更が見込まれております。選挙のたびに、少なくない有権者が不自然な選挙区変更を強いられることになります。今回で3度目の区割りの変更ですけれども、何回変更してもこの人口較差の問題は続くと、これなくなりません。これは、小選挙区制が元々投票権の平等という憲法の原則とは矛盾する制度だということを示していると言わなければなりません。
 そのことを指摘しておいて、次に、憲法が求める投票価値の平等は、選挙区間の人口較差是正にとどまらないと思います。そもそも選挙制度というのは民主主義の根幹でありますので、その根本は国民の多様な民意を正確に議席に反映させることにあります。ところが、現行制度は民意の反映が著しくゆがめられる制度となっています。
 資料2枚目に、これまでの小選挙区選挙における第一党の得票率と議席占有率を示しました。直近4回の総選挙では、第一党が4割台の得票で7割から8割の議席を獲得しております。一方、約半数の投票がいわゆる死に票となっております。ここに私は小選挙区制の最大の問題があると思いますが、大臣、小選挙区制がもたらすこの民意と議席の乖離、放置できないんじゃないですか。

高市総務相 現行の衆議院の選挙制度であります小選挙区比例代表並立制は、選挙や政治活動を、個人中心の仕組みから政策本位、政党中心の仕組みに転換するということを目指して、長年にわたる政治改革の議論を経て、平成6年に導入されました。
 小選挙区制につきましては、第8次選挙制度審議会の答申などによりますと、長所としては、政権の選択についての国民の意思が明確な形で示される、政権交代の可能性が高い、そして短所としましては、選挙区ごとの票の動きが激しい、少数意見が選挙に反映されにくいなどが挙げられております。
 いずれにしましても、選挙制度の在り方につきましては、議会政治の根幹に関わる重要な問題でございますので、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えております。

山下よしき 選挙をやるたびに短所の方が、弊害が顕著になってきていると言わなければなりません。
 小選挙区制がもたらす民意と議席の乖離が政治に何をもたらしているか。私は、民意と懸け離れた政権の暴走が起こっていると思います。
 資料3枚目に、安倍政権の主要政策に関する世論調査を幾つか並べました。秘密保護法、安保法制、原発再稼働、これいずれも国民の多数意見は反対でありました。それが、国会では数の力で強行されたわけです。その根底には、小選挙区制によって獲得した多数議席があると言わなければなりません。
 自民党について少し数字を紹介しますと、結党直後の1958年の総選挙で、有権者全体に対する自民党の得票割合、絶対得票率は44・17%でありました。それが、2014年の総選挙では16・99%になっております。自民党安倍政権は、有権者全体の17%の支持で獲得した多数議席の下で、国民の反対を押し切って安保法制などを強行していると。まさに小選挙区制の害悪を明白に示すものだと言わなければなりません。
 大臣に伺いますが、小選挙区制が民意と懸け離れた政権の暴走を生み出す基盤となっている、そういう自覚はおありですか。

高市総務相 先ほど来申し上げておりますとおり、確かに、小選挙区制であれ中選挙区制であれどのような選挙制度を選択したとしても、それぞれ弊害が指摘されてきたところでございます。一方で、メリットも指摘されてきたところでございます。
 国民の皆様は選挙の機会を通じて政権を選択し、そしてまた、争点というものはその時々の選挙に応じて有権者の方々がお決めになるものだと私は考えますけれども、そこで政権を選択する権利をお持ちであると思います。いずれの選挙制度であっても、これは議会政治の根幹に関わることですから、各党各会派で御議論をいただくべきことでございます。
 特に、国会は内閣をチェックしていただく重要な役割を担っておりますから、その国会議員の身分に関わること、国会の在り方に関わることにつきまして、総務省の方から案を提示するというよりは、国会において御議論を進めていただくべき事柄だと考えております。

山下よしき 資料4枚目に、直近2回の総選挙について、仮に総定数を各党の比例得票率で配分したらどうなるか、試算をいたしました。注目してほしいのは、民意が完全に反映されたこういう議席配分なら、秘密保護法も安保法制も原発再稼働も、賛成推進勢力が国会の過半数を占めることはできないということであります。
 先ほどから言っているように、小選挙区制による虚構の多数によって政権の暴走が生み出されているというのは、私はこういうことを基に言っているわけであります。先ほどから大臣は国会の内閣チェック機能ということが大事だとおっしゃいましたけれども、こういう中でどんどんどんどんチェック機能が人為的にゆがめられているという面を直視する必要があると思っております。
 我が党は、現行制度の提案当初から、小選挙区制が民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第一党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだと批判してまいりました。民意と議席に著しい乖離を生み出す小選挙区制は廃止し、民意を反映する選挙制度へ抜本的に改革することを強く主張して、質問を終わります。

ダムの今後の在り方 住民と一緒に考えることができるようにすべき 
2017年6月6日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

 総務省は、様々な社会資本の維持管理等について、行政監察、行政評価・監視を行っています。2001年には水資源に関する行政評価・監視を行って、その中でダムについても触れています。

 そこで、今日は熊本県を流れる球磨川水系のダムの問題を取り上げたいと思います。

 球磨川水系のダムといいますと、かつて最大の支流であります川辺川に建設が計画されていた川辺川ダムが住民運動の高まりなどによって中止されたことはよく知られております。さらに、今注目されているのは球磨川中流の荒瀬ダムの撤去事業であります。

 荒瀬ダムというのは、熊本県が設置、運営していた発電用のダムですが、洪水の多発、それから水質の悪化などが問題となって撤去を求める住民運動が起こって、2010年、県が撤去を決断いたしました。2012年から撤去工事が始まって、今年度中に終了することになっております。

 先月、私、現場を見てまいりました。幅100メートルは優に超える河川に、既にダムの姿はありませんでした。もうきれいさっぱりなくなっておりまして、対岸の岩盤に残ったダムの形跡を見て、ここに巨大なコンクリート構造物があったんだなということを想像するしかないぐらい、もうきれいになくなっておりまして、ダムが撤去されたために上流と下流がつながって自然な流れが生まれておりました。こんな大きな構造物を撤去することができるんだなと私感嘆いたしましたが、住民の方の話を聞きますと、洪水の危険が減り清流がよみがえったと、大変うれしそうに、また誇らしく語ってくれました。

 国交省に伺いますが、ダムの撤去というのは全国でも初めてと聞きましたが、荒瀬ダムの撤去について国交省としてどう評価されているんでしょうか。

根本幸典(国土交通大臣政務官) 荒瀬ダムは、熊本県企業局所有の発電専用のダムであり、河川管理者である当時の建設大臣の許可を受けて昭和30年に熊本県が設置し、運用してきた施設です。近年、発電の事業継続性などの観点から荒瀬ダムの存続について議論され、最終的には、先ほどありましたように、平成22年に熊本県において、水利権の更新に当たり漁協などの関係者の同意を得ることが非常に困難であるなどの理由により用途廃止を行うという判断がなされたところであり、現在、撤去のための工事が行われているものと承知しております。

 なお、河川区域内に許可を受けて設置された許可工作物について、その用途が廃止された場合には、許可を受けた者が撤去の許可申請を行った上で、自らの負担により撤去を行うのが原則であります。

山下よしき ありがとうございました。

 用途が廃止された場合には撤去が原則ということでありましたが、さらっとおっしゃいましたけど、私はこれ非常に重要な原則だと思うんですね。設置者だけではなくて、河川の周辺に住んで河川を利用する住民も参加してダムの存廃を決めていくことが今後非常に大事だと私は感じております。そうしてこそ、ダムによらない治水、あるいは住民参加の河川管理など、新しい河川行政が具体化されていくんだと思っております。

 総務大臣に伺いますが、この熊本県が住民の意見を踏まえて撤去することを決めた荒瀬ダム、もう撤去されたんですけれども、私は住民自治の面からも積極的な意義があると思いますが、大臣の御感想、いかがでしょうか。

高市早苗総務大臣 ダムの設置、管理や撤去については総務省の所管外でございますので、個別の事例に係る評価や適否については私から答弁し難いということについては御理解を賜りたいと存じます。

 一般論としては、地方公共団体において、住民の皆様のお声をよく伺った上で行政運営を行うということは非常に重要な点であると考えております。

山下よしき 荒瀬ダム撤去の現場を案内していただいた住民の方が、もう一つ見てほしいダムがあるんだといって案内いただいたのが、荒瀬ダムから十キロ上流にある瀬戸石ダムというダムであります。瀬戸石ダムは1,958年に造られた、これも発電用のダムでありまして、現在、電源開発、Jパワーが管理をしています。沿川の住民の皆さんから、瀬戸石ダムの上流で洪水被害が起こっている、水質も悪化したなどの声が出ております。聞きますと、瀬戸石ダムは、国交省が二、3年ごとに行う定期検査による評価でA判定が続いているとのことでした。

 伺いますけれども、国交省によるダムの定期検査とはどういう検査か、またA判定とは何か、どういう対応をすることが求められているのか、それぞれ説明してください。

野村正史(国土交通省水管理・国土保全局次長) お答えをいたします。

 国土交通省が行うダムの定期検査は、国及び水資源機構が管理しているダム、それから国が許可した発電事業者等が管理している利水ダムを対象として、ダム検査規程に基づき、河川管理者としての立場から、ダムの維持、操作、その他の管理の状況について定期的に検査を実施するものでございます。

 このダムの定期検査結果において、ダム及び当該河川の安全管理上重要な問題があり、早急な対応を必要とすると判断された場合には、評語としてAを付するとともに、その旨をダムの設置者に対し指摘事項として通知しております。これがすなわちA判定と言われるものでございます。

 なお、指摘事項については、ダム設置者から対応方針につきまして報告を求めることとしておりまして、瀬戸石ダムにつきましても、ダム設置者であります電源開発株式会社から定期検査に係る指摘事項の通知に対して、堆砂除去のための対策を実施する旨、その都度報告を受けているところでございます。

山下よしき 瀬戸石ダムについては、今おっしゃったように、ダム及び当該河川の安全管理上重大な問題があり、早急な対応が必要とA判定されておりますが、具体的な問題事項として、計画堆砂形状より堆砂が進んでいる地点があるため洪水被害が発生するおそれがあるというふうに指摘されております。

 堆砂とは何か、洪水被害にどういう影響があるのか等について説明してください。

野村次長 ダムの堆砂とは、ダムの貯水池に流入した土砂が堆積することをいいます。ダムは、計画段階において、一定期間に想定される堆砂容量を確保しておりますが、計画堆砂容量を超えることが見込まれる場合や、貯水池の上流部に堆砂が生じて上流の河川に洪水被害が発生するおそれがある場合には堆砂対策が必要となります。

 堆砂対策といたしましては、堆砂量や進行状況に応じて、例えば、貯水池内に堆積した土砂を掘削する対策、あるいは、ダムの上流に貯砂ダムというもう一つのダムを設置して、貯水池に土砂が流入する前にそこに土砂をためて、それを掘削して効率的に排除する対策、あるいは、貯水池を迂回する排砂トンネルの設置により土砂を貯水池に入れずにダム下流に流す対策、あるいは、ダム本体に土砂を吐くゲートを設置する対策などがございます。これらの堆砂対策につきましては、必要な対策をダムの設置者が検討して実施することになります。

 以上でございます。

山下よしき 今説明ありましたが、資料1枚目に、この堆砂のイメージについて、これ、瀬戸石ダムを撤去する会の方から提供された資料を掲示しております。これはイメージです。しかし、今御答弁あったように、ダムのない川は堆砂は基本的に発生しません。ダムを造れば、それによって水位が上昇します。それだけではなく、そこに堆砂が生じますと更に水位が上昇して、それが上流部で起きれば、先ほどの御答弁にあったように洪水の危険があるということで、いろいろな対策をしなければならない、それはダムの設置者がしなければならないということでありましたが。

 もう一つ聞きますが、この瀬戸石ダムは、2002年以来7回連続でA判定、安全管理上早急な対応が必要と、しかも内容は堆砂ということがずっと繰り返し指摘されております。7回連続A判定のダムはほかにどのぐらいあるんですか。

野村次長 今御指摘ございました7回連続でA判定のダム、これは確認できる範囲内ではほかにはございません。瀬戸石ダムだけでございます。

山下よしき 今御答弁ありましたように、ほかにはないんですね。全国でここだけが7回連続、もう十数年にわたって指摘されながら、堆砂の除去が進まずに来ているということです。こんなこと許されるんですか。国交省。

野村次長 先ほど御答弁申し上げたとおり、やはり河川管理者の立場として、いわゆる河川管理者以外が設置するいわゆる利水ダム等についても、そこはやはり治水上の観点も含めて適切に維持管理されることが必要であると考えておりまして、そのために、定期検査を行って、そして指摘を行って、そしてその指摘に対してどのように対応するかということの報告を求めておりまして、先ほどお話し申し上げましたとおり、都度、電源開発株式会社からはこのような堆砂対策を実施しますという報告をいただいておりますので、私どもはそれを着実に実施していただくように注視しているところでございますので、決して、そのままたまるに任せるということが私ども許容しているところではございません。

山下よしき 資料2枚目に、国交省提出の瀬戸石ダム堆砂状況調査表に基づいて作成した表とグラフを示しています。左側の表を見ていただきたいんですが、例えば2002年度は堆砂量六十三万三千立米、それから2009年八十五万八千立米、2016年百二万七千立米となっております。これ、数字間違いありませんね。

野村次長 特に堆砂量につきましては、ダム設置者の方から毎年報告を求めておりますので、今ここに資料としてお示しした数字、基本的には報告のあった数字と一致していると思っています。

山下よしき それで、グラフにしたのが右なんですけれども、見ていただいたら分かるように、もう一貫して増え続けております。堆砂容量というのを囲んで載せておりますが、これは、ダムの計画時に100年経過したらたまっているであろう堆砂の量として堆砂容量が設定されているんですが、七十六万九千立米であります、この瀬戸石ダムの場合はですね。ところが、これを2009年にもう優に超えちゃいました。50年しかたっていないのに100年たってたまるはずの堆砂量を超えちゃったと。その後も増え続けておりますから、これ非常に危ないということが言えるわけであります。

 それで、結局、いろいろ先ほどから除去もしているんだということなんですが、計画、対応もしているんだと。確かに除去はされているようです。しかし、住民の方によりますと、少しぐらい除去しても、それ以上にまた土砂が流入して堆砂がたまるので、全然減らずにこういうふうに増え続けてきているんだということでありました。

 資料3枚目に、洪水時の被害を写真で示してあります。この右上は、河床が堆砂で大きく上昇している写真であります。左下は、洪水時、道路が冠水している写真であります。県道や生活道路が冠水すれば、学校や仕事にも行けないという状況が生まれております。瀬戸石ダムの上流で一番洪水が頻発しているのが芦北町というところでありまして、最近だけでも2008年6月、2010年6月、2012年7月に洪水被害が起こりました。床上浸水、車の水没、道路の冠水、集落の孤立。2012年の7月では、道路が2日間つかって、葬儀の予定があったけれども、車が使えないので、ひつぎが運び出せずに葬儀ができなかったということも起こったと聞きました。

 住民の生の声を紹介したいと思いますが、10年前に宅地のかさ上げをしてもらったが、最近の増水時はかさ上げした地面から三十センチのところまで水が来ると。近年、各地の集中豪雨を見ると、このかさ上げの高さで大丈夫か心配だ。あるいは、2年に1回程度は球磨川があふれ、道路が冠水する。自分は何度も肥薩線、すぐそばに鉄道が通っているんですが、その線路の上を歩いて帰ったと。急病人が出たらどうするのかとか、堆積土砂、必要なところが手付かずだと、撤去すべきところを確実に撤去するように国交省がダム管理者のJパワーに強く指導してほしいなどの声が出ております。

 国交政務官に伺いますが、住民はJパワーに堆砂の危険を指摘し、除去を要請してきましたけれども、このように堆砂量が増え続けて、このような被害が繰り返し出ております。住民の声、どうお感じでしょうか。

根本政務官 瀬戸石ダム周辺においては、昭和57年に家屋の浸水被害を伴う洪水が発生をいたしました。このため、瀬戸石ダムの設置者である電源開発においては、ダム堆砂の影響により浸水被害が生じるおそれのある地域について、昭和57年洪水クラスの洪水が再び発生しても家屋の浸水被害が生じないよう、堆砂除去に加え、平成8年から家屋のかさ上げや移転補償、田畑の浸水地役権の設定などを実施しており、平成27年までに完了したところです。

 また、現状においても、瀬戸石ダム上流の県道などの一部区間では、平成24年や平成28年など近年でも浸水が生じております。

 国土交通省といたしましては、引き続き堆砂対策が必要な状況であると認識しており、堆砂の状況を的確に把握しながら、電源開発において適切に堆砂対策が進められるよう注視しつつ、必要に応じて指導、助言を行ってまいります。

山下よしき 必要に応じて指導、助言ということなんですが、こういう状況が残念ながら続いておりまして、グラフで示したように堆砂は減っておりません、増えております。危険がますます増えていると言わなければなりません。

 ですから、私は、国交省としてJパワーに速やかに堆砂の除去を行うよう強く指導すべきではないかと。その際、どこの堆砂が、河道が曲がっているところにたまっているこの堆砂を一番最初にどけなければ、ここから越水するぞということも住民の皆さんが一番よく御存じですから、よく住民の意見を聞いて堆砂を、速やかに実施する、そういうふうに強く指導すべきだと思いますが、いかがですか。

野村次長 先ほどもお答えいたしましたとおり、電源開発におきましては、毎年の掘削量を明示した計画を策定をし、特に平成27年には更にそれを強化する形で新たな計画を定めて堆砂の除去を実施しているところでございまして、私どもとしましては、まずはその計画に基づき、電源開発におきまして堆砂対策が適切に実施されるよう、まず状況を的確に確認をしていくということから始めたいと思います。

 そして、今先生御指摘のように、住民の声にもきちんと耳を傾けるということでございますけれども、もちろんこれまでも電源開発におきましては住民の声を聞きながら対策を進めてきたものと承知をしておりますけれども、国交省といたしましても、河川管理者としての立場から引き続き、やはり地元住民のそこの地域に住んでおられる方々が分かっておられるということもありましょうから、そういったことで地元住民など地域の声に耳を傾けながら堆砂対策を進めていくよう、電源開発に対しまして技術的な助言をしっかりと行ってまいりたいと思っています。

山下よしき 是非政務官に聞きたいんですけど、こういう状況がずっと続いておりまして、対策するんだ、するんだと言いながら、やっているんだけれども全然追い付いていないというのがもう実態なんですよ。今それを注視するという御答弁でしたが、注視していたらますます大きな被害が続発することにならざるを得ないと思います。

 私は、もうこれ以上対策が滞るならJパワーにダムの管理運営能力ないと言わざるを得ないんですが、そういう厳しい立場から強い指導を、政務官、やるべきじゃありませんか。

根本政務官 国土交通省においては、定期検査の結果や毎年の堆砂量測定の結果を踏まえ、これまでも電源開発に対して適切な堆砂対策を行うよう指導、助言に努めてきたところです。また、電源開発においても、逐次堆砂対策を強化してきており、近年の堆砂状況を踏まえた対策は講じられてきたものと考えております。

 なお、瀬戸石ダムについては、本年5月に国土交通省において定期検査を実施し、現在その結果を取りまとめているところです。その検査結果や本年電源開発から報告される予定の直近の堆砂量の状況を踏まえ、引き続き電源開発に対し指導、助言を行ってまいります。

山下よしき 住民の声を紹介しましたから、それを重く受け止めていただいて、政治のやはり役割が大事だと思いますから、今政務官うなずいておられますので、強い指導を期待したいと思います。

 最後に、経済産業省に伺います。

 私は、Jパワーに対して、発電に係る経費、すなわち人件費だとか維持費だとか、それから堆砂の除去費もこれに含まれると思います。それから、売電先、それによる収益などの情報を住民に提供させて、この瀬戸石ダムの今後の在り方について住民と一緒に考えることができるようにすべきだと思いますが、いかがですか。

小澤典明(経済産業大臣官房参事官) お答えいたします。

 個別のダムあるいは発電所の設置、運営につきましては、基本的には事業者が判断すべきものと考えてございます。

 その上で、そういった設置、運営に当たっては、これは電気事業法に基づく法令上の義務付けといったことはございませんけれども、地域の住民の皆様の理解を得られるよう取り組むことは非常に大事だというように認識しております。そのために必要な取組につきましては事業者において適切に行われるべきものと考えております。

 実際に、瀬戸石ダム発電所につきましては、事業者である電源開発が、ダムの、発電所の状況に関する情報提供、あるいは住民の皆さんの声をお聞きする、そういった理解活動、さらには、先ほど国交省の方からもございましたが、堆砂の土砂対策など、こういった活動をやってきているところでございます。

 引き続き、こうした努力が継続していくこと、そういったことが大事かというように思っております。

山下よしき 終わります。

 

行政窓口を外部委託 
-地方自治法改正審議

photo 参院本会議で2日、公権力の行使を含む自治体窓口業務を地方独立行政法人に外部委託(アウトソーシング)できるようにすることなどを柱とした改定地方自治法が自民、公明、維新の各党などの賛成多数で可決・成立しました。日本共産党、民進党、希望の会(自由・社民)、沖縄の風は反対しました。 続きを読む