在職死減らず 働き方把握せよ NHKの労働環境改善への取り組み不十分 
2019年03月28日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

 NHK倫理・行動憲章は、「NHKは、公共放送として自主自律を堅持し、健全な民主主義の発展と文化の向上に役立つ、豊かで良い放送を行うことを使命としています。」と明記しています。上田会長も国会で、健全な民主主義の発展と文化の向上に寄与する役割を担っていると答えておられます。

 私は、NHKが民主主義の発展と文化の向上に役立つためには、三つ大事なことがあるんじゃないかと思うんですね。一つは職場で1人1人が大切にされていること、二つ目に職場で多様な文化が認められ尊重されていること、三つ目に職場にうそを許さない真実を求める気風が満ちていること、これが求められると思いますけれども、この3点について、会長、いかがでしょうか。

上田良一(NHK会長) お答えいたします。

 今先生から御指摘があった点は、十分それを踏まえて公共放送としての役割を果たしていくべきというふうに考えます。

山下よしき 十分に踏まえてということでした。

 私は、一つ目に言った職場で1人1人が大切にされていることという点で忘れてならないのは、2013年7月に長時間労働の末過労死されたNHK記者佐戸未和さん、享年31歳のことだと思います。今日はパネルを持ってまいりましたけれども、(資料提示)これ、過労死について取り組んでおられる弁護団の皆さんが作ったホームページから拝借をいたしました。写っているのが、NHKの記者として働きながら亡くなった佐戸未和さんであります。

 上田会長、若い将来性のある記者を過労死させてしまったことを、NHKはどう教訓として生かしていますか。

上田会長 お答えいたします。

 佐戸未和さんの過労死を重く受け止め、二度と過労死を起こさないように、働き方改革を通じて全役職員一丸となってこの働き方改革に取り組んでおります。

山下よしき 私も、佐戸未和記者の過労死を当委員会や予算委員会で取り上げてきた者の1人として、彼女の死を風化させることなく教訓として生かさなければならないとの思いは強いものがあります。

 そこで、私自身の胸に彼女の死をより深く刻むために、先日、初めて佐戸未和さんの御両親宅を訪ねました。祭壇に未和さんの明るい笑顔の遺影がありまして、婚約者とハワイに行ったときの写真だそうですけれども、それが掲げられてありました。亡くなったときに未和さんが持っていた赤い携帯電話、それからハワイの写真に写っていた帽子が御遺骨とともに飾られていました。季節柄、真っ赤なイチゴのお供えもありました。お線香を上げて、手を合わせました。

 未和さんが亡くなった1年後に、NHKの職場の同僚が作ってくれた追悼写真集も見せていただきました。これなんですけれども、かなり職場の皆さんが、1年後ですから、割と思い出の新しいときに、未和さんのいろんな思い出の写真を載せて、お1人お1人が未和さんへの思いをこのようにつづった追悼集を作られて、それを私は見せていただきました。

 この未和さんが、ページをめくるたんびに仲間と一緒に写っているお姿が登場するんですけれども、屈託のない豊かな表情で、ぱあんと未和さんが一ページ一ページ飛び込んでまいります。いつも大体仲間の輪の真ん中に座っておられます。写真の前半は鹿児島時代の同僚らが寄せた言葉が載っているんですけれども、大変いい職場だったと、いい仲間たちだったということが分かります。若い記者仲間が互いに切磋琢磨しながら記者として成長し合う様子が伝わってまいりました。

 この写真集を私がこうじっと見ながら一ページ一ページめくっておりますと、お母様が横から、一つ一つの未和さんの写真を見ながらつぶやくんです。残念ですと、本当に明るい子だった、いつも笑っていた、ヒマワリのような子だった、食べることが大好きだった、ピアノを習ったらすぐ音をなぞり再現することができる、バレエを習ったらすぐマドンナになる、どうしたらそんな子供が育つのと周りのお母さんから聞かれた、髪の毛から吐く息までいいにおいがする、寝ている未和の体をなでていた、たった一度だけこのうちに泊まったことがある、富士山が見えるのねと言った未和の横顔も覚えているとつぶやかれました。未和さんへの愛情が次々あふれてくると。そして、お母様はぽつりとつぶやいたんです。1番の親孝行な子が1番親不孝になってしまった、我が子に先立たれるほど地獄はない、片腕をもぎ取られたよう、体全部もぎ取られるようだと。

 上田会長にお母様の御様子を伝える必要があると私はその場にいて思いましたので、紹介しました。御感想を伺いたいと思います。

上田会長 私も、佐戸未和さんのお宅にはお邪魔いたしまして、線香を上げさせていただきましたし、お母様ともお話をさせていただきました。

 佐戸さんの過労死を防ぎ切れなかったということは痛恨の極みでありまして、大変重く受け止めております。勤務状況に応じた健康確保措置の実施や意識の面など、不十分なところがあったのではないかというふうに考えております。佐戸さんが亡くなられたことをきっかけに、記者の勤務制度を抜本的に見渡すなど働き方改革を進め、職員の健康確保に努めてまいりました。

 二度とこういった過労死を起こさないように、私も全力を投球して勤務管理や健康確保の強化、意識改革に今後も邁進してまいりたいと考えております。

山下よしき 私は、この写真集を一ページ一ページ見ながら、このページ全部終わって閉じられる頃に、横にいたお父様が語り始めました。NHKの内部で未和の死の真相が追求されているのか、事業場外みなし制度が悪かったと制度のせいにするが、本当にそれだけか、ほかに何かあるのではないのか、そう言われたんですね。お父様は、本当のことを知るために、未和のことを知る人を探して話を聞いているとおっしゃっていました。

 私、そのとおりだと思うんですね。未和さんが亡くなったのは、単に制度のせいではないと思います。なぜ、毎日25時あるいは27時、完徹などで働いている、あるいは、選挙の報道に携わっておられましたけれども、その二か月は毎月200時間前後も残業している若い女性を誰も止めなかったのか。制度云々の前に、職場の仲間の労働者の命と健康は絶対に守るという思想が欠落していたのではないか。

 これらについて、職場で一緒に働いていた人たち1人1人が、とりわけ直接の上司が血の出るようなえぐり方をして、事実を明らかにして、NHKで働く人全体の教訓とできていないのではないか、そう感じるものがあるんですが、いかがでしょう。

上田会長 お答えいたします。

 佐戸さんが亡くなられた当時は、タイムレコーダーや記者自身のシステムの入力により、勤務の始まりと終わりの時間を記録していました。しかし、勤務状況に応じた健康確保措置や健康管理に対する意識の面などで不十分なところがあったと受け止めております。

 現在、深夜・休日労働の事前申告、上司把握を徹底しているほか、外勤の多い記者の勤務を迅速、正確に把握するため、業務用スマートフォンで打刻できるシステムを試行的に運用いたしております。以前と比べますと、勤務管理や健康確保が強化され、意識改革も図られてきていると考えております。

山下よしき 不十分な面があったとおっしゃいました。あったから亡くなったんだと思いますよ。でも、どういう不十分な面があったのか、何がどう不十分だったのか、そこをえぐらなければ、幾ら制度を変えても、その魂が、えぐられていなかったら、制度を変えただけで私は命を守ることはできないと思うんですね。

 具体的に聞きます。事実関係聞きます。

 未和さんの婚約者は、亡くなった未和さんを見付ける前の日、実は婚約者が亡くなっている未和さんを発見されたんですが、その前の日に何度も電話やメールをしたのに連絡が取れないことから、職場、首都圏放送センター都庁クラブに問合せをしたのではありませんか。

松坂千尋(NHK理事) お答えいたします。

 今お話がありました方が佐戸さんと連絡が取れないというような電話をNHKの職員にしていたことは把握しております。また、佐戸さんが亡くなったと、亡くなっているという御連絡も、今の御指摘の方からありました。

 当時の都庁クラブの関係ですけれども、当時の都庁クラブの担当者などに話を聞いたんですが、御指摘のような問合せについては確認できなかったということです。

山下よしき 問合せについて確認できなかった。

 私が把握していることでいいますと、この婚約者の方が、亡くなる当日になったんですけれども、首都圏放送センター都庁クラブに電話をされたと。そしたら、対応された方、まあ特定はしませんけれども、ここでは、未和さんについては、電源が切れているのではないかとか挨拶回りに行っているんじゃないかという答えが返ってきたそうです。もうそのときには倒れられていたということなんですが、そういう対応だったと。

 もう一つ聞きます。

 未和さんは、亡くなって婚約者に見付かる前日に都庁の幹部にアポを取って会うことになっていたと聞いていますけれども、都庁から佐戸記者が来ないという連絡、問合せがあったんじゃないですか。

松坂理事 今の御指摘の点については確認できておりません。

山下よしき 私、今の確認できていないという言葉に、本当に、なぜ亡くなったのか、なぜ防げなかったのかがえぐられていないと。そういう事態があったら、もう日付を超えて何日も連続して働いている女性が予定どおりの行動をしていないということが分かったら、捜すでしょう、追求するでしょう。それを、異常を異常と感じない職場環境になっていたと。しかし、そのなぜそうなっていたのかを未和さんが亡くなった後検証していないというのは、これは許されないと思います。取り返しの付かない、過労死というあってはならない事態を起こしてしまったことの重大性を、口で言うだけではなくて、血肉とすることができているのか。

 会長に伺いますが、御両親は納得されておりません。なぜ未和さんを死なせてしまったのか。制度の問題だけでさらっと済ませたのでは同じことが繰り返されます。事実関係を今言った細部にわたって明らかにして御両親に報告するのは、私はNHKの当然の務めだと考えますが、いかがでしょうか。

上田会長 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、佐戸さんの過労死を防ぎ切れなかったということは痛恨の極みでありまして、大変重く受け止めております。勤務状況に応じた健康確保措置の実施や意識の面などで不十分なところがあったのではないかと考えております。

 佐戸さんが亡くなったことをきっかけに、記者の勤務制度を抜本的に見直すなど働き方改革を進め、職員の健康確保に努めてまいっております。御両親とお話ししたときもそうですけれども、二度とこういった過労死を起こさないように全力を尽くしてくださいと私に対するお話もありましたので、そのお言葉どおり、以前と比べると勤務管理や健康確保も強化され、意識改革も図られる、二度と過労死を起こさない、そういう働き方改革を全力を投じて進めているところであります。

山下よしき やっぱり不十分の中身が伝わってきません。私が言っているのは、犯人を捜して罰するためではないんです。事実を踏まえて教訓化し、今後に生かすために真実を検証するというのはどうしても避けて通れない道だと思うからであります。

 未和さんの死が果たして教訓化できているのか。2013年7月、未和さんが亡くなって以降、働き過ぎが原因で在職死はどうなっているか、同じく労災認定はどうなっているか、お答えください。

松坂理事 お答えいたします。

 佐戸記者が亡くなって以降、労基署から長時間労働による死亡や疾病で労災と認定されたことはございません。

山下よしき 在職死の人数は。

松坂理事 佐戸記者が亡くなられました2013年度以降の在職中の死亡者の総数は53人であります。また、病気により休職した職員の総数は218人であります。

山下よしき 減っていないんですね、数としてはね。
で、今の数はNHKの職員ですね。請負などの協力会社などで働くスタッフは入っていますか。

松坂理事 今の数はNHKの職員であります。

山下よしき NHKグループ働き方改革宣言には、「NHKグループは、業務に携わるすべての人の健康を最優先に考えます」とありますけれども、この業務に携わる全ての人には、本体、子会社、関連公益法人、関連会社に加え、協力会社や外部プロダクション、番組制作会社も入るという理解でいいですか。イエスかノーで。

松坂理事 そのとおりであります。

山下よしき 私は、NHKで働いていた編集担当をされていた方が、2012年、出張先で胸部大動脈不全で倒れ、昨年、佐戸さんのいた首都圏放送センターに来てしばらくした7月の初めに、今度は脳出血で倒れたと聞いております。契約は請負労働だったということですが、そのような方おられますね。今どうされていますか。

松坂理事 御指摘の点でございますけれども、NHKは御指摘の編集担当者が所属する会社と業務委託契約を結んでおりまして、勤務管理はその会社の下で行われていたと認識しております。御指摘の編集担当者が現在治療を受けていることは把握しておりますが、会社も違い、本人のプライバシーもあるため、詳細についての回答は差し控えさせていただきたいと思います。

山下よしき 詳細はいいんですけど、今の方は「NHK特集」だとか「NHKスペシャル」などの映像編集をされていた方です。もうプロなんですね。御家族の方は、障害認定されたが、勤務表、タイムカードがどうなっていたのか見たことがないとおっしゃっています。この方がどれだけ働いていたか、把握されていますか。

松坂理事 その編集担当者が所属する会社とNHKは業務委託契約を結んでおりまして、勤務管理はその会社の下で行われていたというふうに認識しております。

山下よしき つかんでいないということですね。協力会社で働く人も含めて全ての人を対象にした働き方改革といいながら、つかんでいないと。

 じゃ、そういう請負労働者の方も含めてどれほどの数働いていたか、掌握されていますか。

松坂理事 業務委託契約の関係になりますけれども、契約期間や従業者数は様々で、業務の遂行は業務委託先の業者に委ねられておりまして、NHKは指揮命令を行うことはできません。また、従事者の方はNHKの業務だけを行っているとも限りませんため、働く人の総数や勤務時間等の労働環境を詳細に把握することは困難であります。

 一方で、NHKグループ働き方改革宣言は、NHKとNHKの業務に携わる外部事業者などの従業者についても対象としております。従業者本人の健康状況などには可能な限り配慮するよう努めるとともに、業務委託先の方々に対しまして健康を最優先に業務を行うよう理解を促していきたいと考えております。

山下よしき NHKだけじゃないかもしれないっておっしゃいますけど、今言ったような方は、「NHKスペシャル」、そういう番組があるたんびに呼ばれて一生懸命いい仕事をするんですよ。こういう方がいなければ、NHKのいい番組はできないんですよ。それをそんなふうに言うのはいかがなものかと思いますね。

 会長、こういう方が何人いるのか、どのような働き方をしているのかもつかんでもいない、これでどうやってNHKの業務に携わる全ての人の健康を最優先にできるんですか。

松坂理事 繰り返しになりますけれども、業務委託契約は、業務委託先の業者が勤務管理を行っておりまして、NHKは指揮命令を行うことができないことは御理解いただきたいというふうに思います。

山下よしき  それでどうやって健康を最優先できるんですか。できないですよ。私は、佐戸さんの死を教訓に本当にして、NHKの職場で労働者の命と健康を守り抜く体制、ルールができ、実践され、成果が出るなら、職人気質が根強い重層構造になっている放送業界の労働環境、ひいては日本社会の働くルールを変えられるかもしれないと、影響力多いからですね。しかし、それとは逆の方向に、真相究明に蓋をし、事実を明らかにしたい、真実を知りたいと行動する者を遠ざけるような雰囲気、暗黙の了解、圧力があるなら、社会に大きな負の影響を与えることになるだろうと思います。今NHKは、その岐路に立っていると思います。

最後に会長、どっちの方向に進むのか、お聞かせください。

上田会長 お答えいたします。

 若く未来のある記者が亡くなったことは痛恨の極みであり、大変重く受け止めております。公共放送を共に支える大切な仲間を失うようなことは、決してあってはならないと考えております。命と健康を守ることを最優先として、NHKグループ働き方改革宣言の実現に私が先頭に立って取り組んでまいりたいと考えております。

山下よしき 終わります。

地方税法、地方交付税等改定案に対する反対討論 
2019年03月27日 参議院総務委員会

私は、日本共産党を代表し、地方税法、地方交付税法等の改定案に対する反対討論を行います。
 全国各地の地方自治体が、日本国憲法と地方自治法に基づき、住民福祉の増進を図るための地方財政の確立が必要です。
 本改定案に反対する理由の第1は、消費税増税を前提としていることです。5年前の前回増税前と比べ、家計消費は1世帯当たり年25万円も減っています。また、10月の消費税増税を前に、既に4月から食料品など各メーカーの値上げ競争が始まっています。地方自治体の調達への影響は計り知れません。
 この増税前の値上げは、内閣府、内閣官房などが通知した消費税率の引上げに伴う価格改定についての指針、ガイドラインに沿ったものです。さらに、国保の都道府県単位化によって、八割の自治体で国保料値上げの危険があります。まさに庶民にダブルパンチ、消費は確実に一層冷え込み、地方税収は抑えられることになります。
 反対理由の第2は、地方交付税の法定率の引上げには背を向け、トップランナー方式など、地方財政縮減へ上からの財政誘導を進めていることです。学校用務員などで更に段階的に同方式を拡大するなど、制度導入以降来年度までの影響額は、総額1500億円にも上ります。
 反対理由の第3は、まち・ひと・しごと創生事業費の行革算定において、自治体が必要に駆られて加配してきた児童相談所職員、教職員や保育士などを増員すれば減額される仕組みの弊害を認めながら、見直しを先送りしていることです。21道府県団体に48億円を減額していることが委員会質疑の中で明確になりました。弊害を認識しながら漫然と続ける姿勢は、厚生労働省における統計偽装、隠蔽体質とつながる愚行であり、大臣の決断を求めるものであります。
 反対理由の第4は、自動車保有税の恒久的な引下げと環境性能割の1%減税は、業界団体の要望に応え、消費税増税による駆け込み需要と反動減への対策を行うものです。
 消費税増税で自治体間の財政格差を拡大させつつ、その格差是正の責任を一部の自治体に押し付けるやり方も問題です。
 新設される特別法人事業税は、地方税を国が取り上げ、他の自治体に回すやり方を恒久化し、地方自治体の課税自主権を侵害し、地方税制にゆがみを持ち込むものです。
 さらに、森林環境税は、東日本大震災を口実に、2023年度で終了とされていた個人住民税均等割への上乗せ1000円を看板を変えて継続するものです。個人住民税の均等割は逆進性が高く、国民生活を圧迫するやり方はやめるべきです。
 以上、反対討論といたします

児童相談所体制強化へ 
2019年03月20日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下です。
私も児童虐待について問いたいと思います。
児童虐待で子供たちが親の手によって殺害されるという痛ましい事件が次々と起こっております。東京目黒区の結ぶ愛と書いて船戸結愛ちゃん、5歳、千葉県野田市の心に愛と書いて栗原心愛さん、10歳、東京板橋区特別支援学校1年生、平和の和に希望の希と書いて添田和希さん、6歳。生まれたときに心を込めて名前を付けた親たちだったと思われます。心からの哀悼をささげるとともに、このようなことがこれ以上繰り返されないために、大人の役割そして政治の責任は極めて大きいと思っております。
そこで、子供の命を守り、若い親たちへの支援を行うための言わば最後のとりででもある児童相談所や一時保護所の問題について聞いていきます。
まず、児童相談所についてですが、設置主体は都道府県、指定都市などでありますが、現在全国に213か所児童相談所はあります。1718自治体、市町村の中で、児童相談所が置かれているのは2割にもならないわけであります。
厚労省に聞きますが、全国の児童相談所の相談件数、この20年間の推移、そしてその相談内容、そしてうち虐待相談の推移と内容について報告いただけますか。

藤原朋子(厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長) お答え申し上げます。
まず、児童相談所における相談の状況でございますけれども、児童相談所における主な相談としては、まず児童虐待に関する虐待相談、それから身体障害や発達障害を持つ子供に関する障害相談、あるいは法を犯した、触法行為があった子供に関する非行の相談、そして育児やしつけ、あるいは不登校などに関する育成相談、こういった種類の相談を受けているところでございます。
こうした全ての相談の種類を合計をした相談対応件数をこの20年間比較をするということをいたしますと、平成9年度が32万5925件でございましたところ、直近、平成29年度の数字になりますけれども、46万6880件ということで、14万955件の増加というふうな状況になっているところでございます。後ほど申し上げますけれども、この増加の要因としては、やはり虐待相談の対応件数が非常に伸びているということが大きく要因として考えられるところでございます。
また、二つ目にお尋ねのございました、そのうちの虐待相談件数がどうなのかということでございますけれども、これも平成9年度と29年度で比較をいたしますと、平成9年度が5352件でございましたところ、29年度は13万3778件と過去最多を記録をしているというところでございまして、単純に比較をすれば、この20年間で約25倍というふうな大きな伸びを示しているところでございます。
この増加の要因の分析というのはなかなか簡単にはできませんので、引き続き我々もしっかり分析をする必要があると思っているところなんですが、平成12年に児童虐待防止法ができまして、最近の動きといたしましては、平成27年7月から開始をいたしました児童相談所の全国共通ダイヤルの3桁化、いわゆるいちはやくということで189番ということで窓口を設定をしておりますけれども、こういったものの広報が進んできたということですとか、様々な報道などで国民や関係機関の皆様の意識が高まっているということもあろうかと思いますし、また、この間、警察を始めとした関係機関との連携が非常に強化をされておりまして、関係機関からの通告も増加をしているということがありますので、そういったことも影響しているのではないかと思っております。

山下よしき ということですよね。相談件数は20年で1.5倍ぐらいでしょうか。それから、うち虐待については25倍と物すごい増え方になっております。
そこで、児童相談所で児童福祉司の資格を持つ職員の方は2017年で3240人。心理司、保健師の資格を持つ方を入れて、合わせて4690人。総務省の調査で見ますと、児童相談所などの職員は、この10年で1.2倍程度にしか増えておりません。20年で二十五倍に増えた児童虐待にこれでは対応できるはずがないと思います。初期対応に当たる職員1人当たりの担当件数、聞いてみますと50人前後に上ると。場合によっては三桁の件数という実態もあります。まさに相談件数の増加に対して児童相談所の職員の増え方が全く間に合っていないということだと思います。
そこで、厚労省は、児童福祉司については、児童虐待防止対策総合強化新プランで2022年までに2020人増やすとしておりまして、2019年までに1070人増やすと。これ、いずれも常勤職員として増やすという計画になっております。実は、2016年から既に厚労省が主導されてこの児童相談所の増員のプランは始まっております。
そこで厚労省に伺いますが、児童相談所の児童福祉司、2016年からどれだけ増員されたのか、また、新プランによって2018年、19年、どれだけ増員が見込まれるのか、お答えいただけますか。

藤原室長 お答え申し上げます。
児童福祉司についての人数でございますけれども、平成28年度が3030人、29年度、3235人、そして平成30年の、4月1日の、いずれも時点での数字でございますけれども、3426人というふうになってきているところでございます。直近この1年間では約200人の増員が図られているというところでございます。
委員御指摘のとおり、一方、この児童相談所での児童福祉司の業務は非常に複雑化しており、相談件数も非常に伸びているということがございますので、昨年の12月に新しいプランを決定をいたしまして、2022年度までの間で児童福祉司を約2000人程度を増員ですとか、心理司についても800人程度増員、こうした体制の抜本的な拡充を図るということにしているところでございます。特に、来年度につきましては、児童福祉司1070人を確保したいということでございます。
このため、我々も自治体における人材確保を厚生労働省としてもしっかり支援をしていくことが必要であると考えておりまして、自治体における採用活動の支援に対する補助の創設ですとか、採用のみならず、専門性を確保するための自治体における取組、例えば児童相談所の経験者の再配置やOB職員の再任用を積極的に行っていただきたいこと、人事の異動サイクルについて考えていただきたいと、こういったお願いを周知をしているということですとか、社会福祉士会など専門職種団体に対する協力の呼びかけと、こういったことを厚生労働省としてもやってきているところでございますが、自治体の皆さんの御意見もよく伺いながらしっかり人材確保に努めていきたいというふうに考えております。

山下よしき 平成28年度から30年度の間に400人ぐらい増えているということですからね。これを一気に1000人、2000人増やそうということですから、かなり大きな増やし方をする必要があるんですが。
そこで、新プランは、更に全市町村に子ども家庭総合支援拠点を置くとか要保護児童対策調整機関調整担当者を配置するというふうにしておりまして、児童相談所だけではなくて市町村にも児童虐待等への体制を厚くしなさいということになっているんですね。
そこで、総務省に伺いますが、資料1枚目に配付しておりますけど、地方創生1兆円交付金の地域の元気創造事業費。平成31年度は3900億円程度見込まれておりますが、うち行革努力分として2000億円が交付されることになっておりますが、その算定において、ここにもあるように、職員削減率だとか人件費削減率ということがあります。要するに、職員を増員すれば減額ペナルティー、賃金を増額したら減額ペナルティーが掛けられていると、そのための補正係数を掛ける計算式まで付いているんですけれども。
総務省に伺いますが、平成30年度、都道府県でこの行革努力分が減額された県名と減額の合計額、さらに減額上位5県のそれぞれの減額額を併せて報告いただけますか。

林崎理(総務省自治財政局長) お答えいたします。
今御紹介のあった行政改革の取組を反映した地方交付税の算定でございますけれども、これ元々、各地方団体は、地方創生など地方が直面する課題に取り組む財源を捻出するために行政改革の取組を行っているということで、行政改革の取組の成果を上げた団体にあっては地方創生のために多額の財政需要が生じていると考えられるということで、こういったものがまずあります。
そういった中で、今御質問ございました点に関してでございますけれども、これは、まち・ひと・しごと創生事業費1兆円のうち、元々、地域の元気創造事業費四千億、そして100億円は特交、特別交付税でございますので、残りが3900億円程度ということでございます。そして、その中で行政改革の取組から地域経済活性化への取組へ1000億掛けてシフトしていく、今そういう状況の中での数字になってまいりますけれども、30年度の都道府県分の算定では590億円、590億円が行政改革の取組による算定として対象となっておりまして、具体的には今お示しいただいたような形で算定をしてきているわけでございます。
私どもとしましては今申し上げたような算定を行ってきているところでございますけれども、今お求めということでございますので、仮にこれ、それぞれの取組によって、全国平均一とした場合に、一を上回ったり下回ったり当然こうなってくるわけでありますが、これを一というふうに置いて、そして割増し、割り落としを行わずに機械計算をした額というものを計算してみますと、それと実際に平成30年度の算定額とを比較しますと、四17都道府県で平均を上回る団体、下回る団体もちろん出てまいりますが、下回る団体が21団体になります。
21団体については個別にお話し申し上げてよろしいですか。
ちょっと長くなりますけれども、21団体申し上げます。宮城県、茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、新潟県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、福岡県、佐賀県、熊本県、沖縄県。この21団体が、機械計算の結果、30年度算定額よりも低い数字が出てくると、こういうことでございます。
そして、今申し上げました21団体における数字を足し上げますと48億1000万円余りという数字になります。今申し上げましたとおりで、総額はもう元々590億円をどういうふうに配分するかということでございますので、例えばこういった機械計算をやった場合と元々の30年度算定とではいずれも590億円という数字になりますので、全国ベースでは増減は相互では生じないということになります。
次に、平成30年度算定額が計算額を下回る数字が大きい五団体でございますけれども……(発言する者あり)済みません、じゃ、こちらの方で。

山下よしき ちょっともう時間ないので、最後に、総務大臣、1点聞きます。
要するに、さっき前半で聞きました児童虐待対策で既に自治体は職員を増員してきているわけですね。その自治体が職員を増員してきたことに対して、行革努力分、行革算定として減額されていると。これは政府の要請ですよ、児童虐待対策として児童相談所の職員を増やしてくれと。それに従って増やしたら減額ペナルティーが掛かると。これ、余りにおかしいじゃありませんか。
もうこういうやり方はやめるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

石田真敏総務大臣 地域の元気創造事業費の算定において、職員数削減率といった指標を用いて行政改革の取組を算定に反映をしているわけでありますが、一方で、今御指摘のように、児童虐待防止対策体制総合強化プランに基づき児童相談所の体制強化を行う必要があること等を踏まえまして、職員数削減率を用いた算定につきましては平成32年度算定以降見直しを行う予定でございます。

山下よしき 平成32年以降は見直すと、これは当然だと思うんですが、しかし2016年度から増やしているんですね。これはそのまんま、じゃ、ペナルティーになるんですか。これもおかしいんじゃないですか。これをやめるべきだと思いますが、いかがですか。

林崎局長 お答えいたします。
今大臣の方から説明させていただきましたけれども、新プラン等が出てまいりましたので、状況が変化があるということで、職員数削減率を用いた算定につきましては32年度算定以降見直しを行う予定ということで、既に1月の地方団体の説明会でも私どもの方も明らかにしているところでございますが、31年度の算定につきまして、これは金額にすると、3か年で1000億移していくという最終年、500億円の算定になりますが、これにつきましては、職員数削減率の算定に反映されますのはこれまでの過去の定員管理の取組でありまして、今後の職員配置の問題とは直接関係しないということが1点ございます。
また、現実問題として、算定に用いる統計数値にも制約があるといったこともございまして、31年度につきましては従前どおりの算定を行わせていただきたいと思っております。32年度以降、また検討してまいりたいと思っております。

山下よしき 終わります。

非婚・未婚ひとり親家庭に所得税寡婦控除を 
2019年03月19日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下です。
 まず、所得税、住民税の寡婦控除を非婚、未婚のひとり親にも適用すべきという問題について質問したいと思います。
 もう前提といいますか、もう御存じのことだと思いますが、寡婦とは何ぞやということなんですが、国税庁のホームページを見ますとこうあります。夫と死別又は離別した後婚姻していない女性で、扶養親族又は生計を一にする子どものいる人、これを寡婦と定義されております。したがいまして、夫と死別又は離別でありますので、婚姻歴のない非婚、未婚のひとり親は寡婦控除の対象とはなりません。これは、元々未亡人の方に対する支援制度が始まりだったという歴史的背景があるとはいえ、私はこれは余りにも不合理ではないかとずっと思ってまいりました。
 まず、厚労省に基本的な全体像の把握をするために聞きますが、全国のひとり親世帯の数は幾らか、そのうち非婚、未婚のひとり親世帯の数は幾らか、お答えいただけますか。

藤原朋子(厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長) お答え申し上げます。
 我が国のひとり親世帯の数でございますけれども、厚生労働省の平成28年度全国ひとり親世帯等調査による推計の結果に基づきますと141.9万世帯となってございます。そのうち未婚の世帯につきましては、同調査結果に基づく推計の結果、約10.8万世帯であると推計をしてございます。

山下よしき 約142万世帯のうち約11万世帯が非婚、未婚のひとり親世帯だということであります。
 資料一に、これも厚労省の平成28年度全国ひとり親世帯等調査、今御紹介いただいたものかもしれません。そこに母子世帯の母の年間就労収入の数字が載っておりましたので掲載いたしました。
 これ見ますと、母子世帯の母の年間就労収入、平均は200万円、これ総数というところの平均ですよね、200万円。ですから、年収200万円ですから、これはもちろん全世帯の平均からすると恐らく半分以下ということになっていると思います。その中でも、この左側の欄見ていただくと、未婚の母子世帯で見ますと、平均年間就労収入は177万円と。母子世帯は全体として極めて低い、その中でも未婚のひとり親の収入は極めて更に低いということがあります。
 そこで総務省に伺いますけれども、今回の地方税法改正、改定案では、これまで寡婦に適用されてきた個人住民税の非課税を非婚、未婚のシングルマザー、シングルファーザーにも適用するというふうにしております。これが適用されますとどれだけの方が新たな対象となると見込んでいるか、併せて影響額についてどう見込んでいるか、お答えいただけますか。

内藤尚志(総務省自治税務局長) お答え申し上げます。
 今回のひとり親に対します非課税措置の創設による影響につきまして、厚生労働省が公表しております平成28年度全国ひとり親世帯等調査等に基づきまして試算をいたしましたところ、新たに非課税の対象となる者は約1万5000人、減収額は平年度で約4億円と見込んでいるところでございます。

山下よしき 厚生労働省にまた伺いますけれども、厚労省はこれまでも非婚、未婚のひとり親世帯に対する税制上の要望を上げてこられました。具体的にどのような内容か、またそれは理由はどのように付けていたのか、まずそこをお答えいただけますか。

藤原室長 お答え申し上げます。
 平成30年度の与党税制改正大綱を受けまして、昨年、厚生労働省において行った平成31年度の税制改正要望におきましては、寡婦控除が適用される寡婦や市町村民税が非課税となる寡婦に未婚の母を加えるなど、ひとり親に対する税制上の支援措置の拡充を要望したということでございます。
 この要望につきましては、子どもの貧困対策の観点から、経済的に様々な困難を抱えるひとり親家庭において、子どもの未来が経済状況によって左右されることのないようにすべきというふうな考え方から要望を行ったものでございます。

山下よしき 子どもの貧困対策という観点から、やはりこれは適用拡大する必要があるという要望をされているんです。
 重ねて厚労省に伺いますが、厚労省独自に寡婦控除のみなし適用という形で様々な制度について非婚、未婚のひとり親についての支援をできるようにしていると思いますが、それを幾つか説明いただけますか。

藤原室長 お答え申し上げます。
 議員御指摘ございました寡婦控除のみなし適用でございますけれども、平成30年度から厚生労働省の関係事業におきまして順次実施をしているところでございます。
 具体的には、ひとり親に対する資格取得支援を行う高等職業訓練促進給付金ですとか、障害福祉サービスの利用者負担、あるいは小児慢性特定疾病医療費助成の自己負担など、合計27の事業で実施をしているところでございます。

山下よしき 今、厚労省さんから説明がありました。たくさんみなし適用されているんですけれども、これも御存じのとおりですけれども、寡婦控除によって算出された所得が基準となって、例えば国保料ですとか保育料ですとか、公営住宅の入居要件ですとか家賃などが決められていきます。
 ですから、同じ収入であっても、税や保育料などの支払が、いわゆる既婚のひとり親なのか、あるいは未婚、非婚のひとり親なのかによって10万円から多い場合は数10万円年間差が開く、不利益を被るということがこれまでもずっとありました。そのことによって、ただでさえ経済的に大変厳しい母子家庭の母と子が一層厳しい状況に置かれたということもあるわけですね。
 そこで、今回、法改正で非婚、未婚のひとり親に対する住民税の非課税措置が適用拡大されることになったんですが、これによって、単に住民税が軽減されるというだけではなくて、他のサービスに対しても負担軽減がされるものがいろいろあると思うんですが、いろいろあると思うんですが、厚労省さん来ていただいていますから、厚労省関係で今回の住民税非課税措置の適用によってどういうものが負担軽減されるというふうに考えておられますか。

藤原室長 お答え申し上げます。
 厚生労働省の各種制度、事業におきましては、健康保険の高額療養費ですとか介護保険制度の高額介護サービス費など、住民税非課税者に対して費用負担の軽減などの仕組みを設けているところでございます。
 今回の税制改正によるひとり親家庭への住民税非課税措置の適用拡大を受けまして、新たに住民税非課税者となった未婚のひとり親の方々につきましては、今申し上げたような事業につきまして、他の非課税者と同様に軽減等の措置を受けることができることとなると考えております。

山下よしき ですから、私、総務省が今回一歩を踏み出したことは大変評価しているんですね。
 大臣に伺いたいと思います。今回の非婚、未婚のひとり親世帯に対するこの住民税非課税措置の適用、どのような趣旨でされたのか、またどういう効果を期待されているのか、大臣の言葉でお答えいただければと思います。

石田真敏総務大臣 今回のひとり親に対する……(発言する者あり)済みません。担税力がない又は著しく薄弱である者に税負担を求めることは適当ではないとの趣旨から、所得が一定以下の寡婦に対し個人住民税を非課税とする措置が講じられているところでありまして、今回の税制改正で、児童扶養手当の支給を受けており、所得が一定以下のひとり親に対して個人住民税を非課税とする同様の措置を講ずることとしています。
 これは、ひとり親は一般子育て世帯と比べて平均所得が大きく下回っている等、経済的に厳しい状況にあり、所得を稼得する能力や担税力が小さいと考えられることから講ずるものであり、子どもの貧困への対応として意義があるものと考えております。

山下よしき やはり石田総務大臣からも子どもの貧困として意義があると、本当それは大事なことだと思うんですね。今、児童虐待等いろいろ社会問題になっておりますけれども、これをどうやってカバーできるのかという点からいうと、今回の住民税における措置は大いに波及効果もあるのではないかというふうに考えております。
 ただ、1点、もう一歩前進していただければと私思っているのは、ここまで前進したんですから、冒頭説明があったと思いますが、所得135万円未満の世帯に対して、今回、未婚、非婚のひとり親世帯に対しても住民税非課税措置を適用することになったんですが、寡婦控除の場合は、所得500万円未満のひとり親世帯に対して、寡婦世帯に対して控除がされるわけですね。
 せっかく住民税について一歩踏み込んだんですから、寡婦控除と同じように、所得500万円未満の非婚、未婚のひとり親世帯に対しても同程度の措置を適用するように、もう一歩前進する必要が私はあるんじゃないかなと思うんですが、その点、大臣、いかがでしょうか。

石田総務相 寡婦控除については、先ほど議員からも御指摘がございました。成り立ちについての経緯もございます。
 そして、平成31年度の与党税制改正大綱では、子どもの貧困に対応するため、婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する更なる税制上の対応の要否等について、平成32年度の税制改正において検討し結論を得るとされているところでございまして、個人住民税の諸控除の見直しにつきましては、税制抜本改革法第7条において、地域社会の会費的性格をより明確化する観点から、個人住民税における所得控除の種類及び金額が所得税における所得控除の種類及び金額の範囲内であることを踏まえることとされているわけであります。
 総務省としては、今後の与党における議論や所得税の動向を踏まえ、適切に対応してまいりたいと思っております。

山下よしき もう少し母子世帯の実態を紹介して、ちょっと財務省さんに意見伺いたいんですけれども。
 厚労省の調査によりますと、母子世帯の母の八割は就労しております。その半数は派遣やパート、アルバイトなどの非正規雇用でありまして、これが母子世帯の収入が非常に低い要因になっております。非正規雇用の女性の収入は、正規雇用の男性の収入の4分の1という数字もあります。ですから、母子世帯の貧困というのは、すなわちこれ、女性の貧困と同じ原因になっているんではないかということも言えると思うんですね。
 ところが、同じ母子世帯なのに婚姻歴のあるなしで、その中で大きな差が付いているということでありまして、これはもう御存じのとおり、日弁連も、婚姻歴の有無で寡婦控除の適用が差別されてその子に不利益を及ぼすことは許されない、憲法14条の平等原則に反し違憲であることは明らかだということを述べられて、繰り返し是正を求めておられます。
 財務政務官、来ていただいていますけれども、根本には、所得税でこの寡婦控除を非婚、未婚のひとり親に適用することがないと、いま総務大臣のお答えもそれに並んでいるという趣旨のお答えでしたけれども、やはり、所得税に対する非婚、未婚のひとり親世帯への寡婦控除と同じ適用を、これはもうここまで来ているんですから、私は、今回、先ほど総務大臣が御紹介された与党税制改正大綱の中身を見ますと、これまでは、寡婦控除については家族の在り方にも関わる事柄であるのでという概念がありました。それが昨年度からなくなりました。代わって、子どもの貧困対策というのが出てきた。これは、やはり実際に未婚、非婚のひとり親世帯の運動、支援者の声、そして最高裁が、非嫡出子も差別してはならないという最高裁の判決が出たなどなど、社会的な世論の熟成というものがあってこうなったんだと思うんですよ。
 だったら、もうあとは、所得税においても決断すべき時期だと思いますが、いかがですか。

伊佐進一財務大臣政務官 山下先生から、子どもの貧困に対応するためというところを強調して質問いただきました。
 先ほど大臣の方からもお答えさせていただいたとおり、個人住民税を非課税とするという措置は、今回、まずこの子どもの貧困に対応するという点でやらさせていただくと、やらさせていただきたいということでございますが、あわせて、予算面においても、この児童扶養手当の受給者のうち、未婚のひとり親に対して1人1万7500円、これを臨時特別の給付金として支給するということにさせていただいております。
 委員の方からも、先生の方からも、この成り立ちという御指摘ございました。確かにこの寡婦控除というのは元々、戦争未亡人の負担を軽減するというところで昭和26年に創設されました。その後も数度にわたって改正されるわけですが、亡くなった夫の家族との関係というものに配慮するという仕組みでこれまで成り立ってきた制度だというふうに思っております。
 この制度に未婚のひとり親を寡婦控除の対象とすべきという議論だというふうに伺っておりますが、この点については、先ほど申し上げたとおり、この成り立ちというものも踏まえた検討が必要だというふうに思っております。
 いずれにしましても、この更なる税制上の対応をどうするかという点については、この要否等も含めて32年度の税制改正において検討して結論を得るということにされておりますので、政府としても、与党における議論を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

山下よしき まあそういうことかなと思いましたけどね、頑張ってくださいよ、ここまで来たんでね、ここまで来たんで。
 やっぱり世論はもう間違いなくこれは求めていると思いますし、何の合理性もないですよ、結婚歴があるかないかで差別されているというのは。差別ですから、これは、日弁連も差別という言葉を使っていますから、これはやっぱり政治がもう決断するしかないと私は思います。不合理な差別は直ちになくすことを強く求めておきたいと思います。
 また、厚労省さん、総務省さんに伺いますが、今回、せっかく非婚、未婚のひとり親世帯に対する住民税の非課税措置に踏み切ったわけなんで、私は周知徹底が大事だと思うんですね。各省またがって既に厚労省さんから説明があったような寡婦控除みなしのみなし適用というのはやられておりますけれども、なかなか知らない方たくさんいらっしゃるんですよ、私も直接その非婚のひとり親世帯の方の声何回も聞いていますけど。
 今回、非課税対象の要件に児童扶養手当を受けていることにしていますが、その児童扶養手当、児扶手自体が申請主義なんですよね。だから、これ本人が申請しなければ、受給していない方たくさんいらっしゃいます。それから、この非婚のひとり親に対してもこういうみなし適用しますよという制度があったとしても、その周知がもう非常に小さい小さい字で書いてあって分からないという声も聞きます。それから、そもそも寡婦って何なのと。寡婦という言葉はもう今普通には使わないと思いますから、やはりひとり親、シングルマザー、シングルファーザーの方が分かりやすいんではないか。
 そういう点で、私ちょっと一つ提案なんですけれども、やはり分かりやすいポスターやリーフレットを作る、この際ですね。それから、出産や入園、入所、あるいは入学の際に、全てのお母様に対して、非婚であってもひとり親の方の場合はこういう制度が適用できますよということを、やっぱり子どもさんができたとき、あるいは入園、進学等のときに1番そういう制度が必要になると思いますので、そういう際に、誰でも分かるような周知の、そういうものを作る必要があるんじゃないか。言葉も分かるようにした方がいいんじゃないか。それからあわせて、自治体が恐らくそれ窓口になると思うので、窓口の自治体のそういう努力に対して財政措置も検討すべきではないか。
 厚労省さんと総務省さん、それぞれお答えいただければと思います。

藤原室長 お答え申し上げます。
 委員から御指摘いただきましたように、子育て支援に関わる様々な施策ございます。市町村におきましては、包括的な支援センターで相談を受け付けたり、あるいは、そもそも最初に妊娠の手帳を交付をするときに様々な情報を提供したり、そういった機会を捉まえて、各自治体において周知徹底をお願いしているところでございます。
 また、今回のようなこういった制度改正があるときには、私どもから、主管課長会議など全国会議の場を用いまして、自治体の皆様方に丁寧に周知をいただくようにお願いをする機会もございますので、そういった機会も使いながら、しっかり周知についても努めてまいりたいと思っております。

内藤局長 お答え申し上げます。
 今回のひとり親に対します個人住民税の非課税措置でございますけれども、平成33年度から適用することとしておりまして、総務省としては、改正案の趣旨や内容につきまして、既に各地方団体に対する説明会等を実施いたしますとともに、ホームページなどを活用し、広く周知を行っているところでございます。
 法案成立後、今回の改正が円滑に施行されるよう、総務省といたしましても、地方団体の御意見をよくお伺いしながら、周知広報に努めてまいりたいと考えております。

山下よしき 財政措置も、多分声出ると思いますので、検討いただければと思います。
 次に、残りの時間で災害時における通信の役割について質問したいと思います。
 まず、総務省に、災害時における通信の重要性について簡潔に説明いただけますか。

谷脇康彦(総務省総合通信基盤局長) お答え申し上げます。
 災害時における通信サービスの確保は、家族同士の安否確認、119番通報等による救助要請、自治体から住民への防災メール等による情報伝達、救援関係機関等の間での連絡手段などの観点から極めて重要だと考えております。
 また、特に、近年においてはスマートフォンが被災者の情報入手や情報発信の手段として災害時に欠かせないツールとなってきているものと認識をしております。

山下よしき ですから、災害対策基本法でも、通信について指定公共機関とされているところであります。
 そこで、昨年の一連の災害で通信にどんな問題が起こったのかについて質問したいと思いますが、まず、北海道胆振東部地震について、私がその被害状況のペーパーを読ませていただいたら、地震とともに大停電、ブラックアウトが起こりましたので、その影響も受けております。固定電話では、1時、約20万回線途絶えたと。それから、北海道の市町村、全部で179あるそうですが、携帯電話が支障を来したエリアが、NTTドコモで179分の113市町村、KDDIで164市町村、ソフトバンクで149市町村。大半が今重要だと言われた携帯電話に支障が生じたということになっております。
 厚真町の一部エリアを残して復旧するまでの間に一週間近く掛かっております。私は、平常だったら一週間ぐらいというふうになるかもしれませんが、災害時に一週間通信が途絶えるとこれは人命にも関わるということだと思うんですが、東日本大震災でも通信はいろいろな問題が起こって教訓が生かされようとしていたと思いますが、今回新たな課題として何が浮かび上がったのか、御報告いただけますか。

谷脇局長 委員御指摘の平成23年の東日本大震災を受けまして、総務省におきましては、通信設備の停電対策や重要な伝送路の冗長化など、関係する省令を平成24年に改正をいたしまして、これに基づき通信事業者において所要の対策が講じられてきたところでございます。
 こうした取組の結果、昨年の北海道胆振東部地震においても一定程度は通信サービス支障を抑制することができたというふうに認識はしておりますけれども、想定を超える広域、長時間の停電によりまして多くの携帯電話基地局は停波をしたところでございます。これを受けまして、緊急点検を総務省において行いました結果、被災直後の役場付近における通信サービスの被害を正確に把握できていなかったことによりまして、移動型の携帯電話基地局の展開などの応急復旧に遅れが生じていたということが判明をしたところでございます。
 これを受けまして、総務省におきましては、平素からの通信事業者との連携体制を昨年10月に構築をいたしまして、大規模な災害時は被害が著しいと見込まれる地域の役場への迅速な訪問を行うこととしたところでございます。
 また、応急復旧手段として機動性に優れた移動型設備の活用が有効であることから、現在、移動電話、携帯電話事業者に対しまして、車載型の携帯電話基地局や移動電源車等の増設を働きかけているところでございます。

山下よしき 現場の状況が把握なかなかし切れなかったということなんですよね。
 これ、やっぱり総務省だけではないと思いますが、これ、通信事業者についても、私は、この間のリストラ、人減らしというものがこういうときに大変大きな残念ながらマイナスの影響を与えているんじゃないかなというふうに危惧するものですが、早く行くようにしようというだけで行けるのかなと、そこの問題ですね。それ、どうでしょうか。

谷脇局長 委員御指摘のとおり、災害時の通信手段の確保ということは、これライフラインの維持ということで極めて重要でございますので、10分な人員の配置、また技術開発なども含めた所要の努力を通信事業者に促していくということも大変重要だというふうに考えております。

山下よしき いつもこんなときに人減らしがたたるんですよ、特に保守部門がですね。今日はそのぐらいにしておきますけど。
 もう一つ、台風21号でも大きな被害が起こりました。21号では、9月4日、昨年、発災したんですが、10月2日、約一か月後の被害状況情報では、大阪府、和歌山県、京都府、滋賀県等の一部地域において、問合せに応じ、加入者宅への引込線等復旧対応中と。もう一か月たっても、まだ加入者宅への引込線等復旧対応中になっているんですね。これはちょっと遅過ぎるんじゃないかと思いますが、これ、何でこんなことになったんでしょうか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 固定電話の被害につきましては、ケーブルの断線を巡回により目視確認をした上で、被害が広範囲にわたっているエリアでの優先復旧を目指しながら、通行止めなどの道路状況、それから復旧工事に携わる人的リソースなどを総合的に勘案しながら進めることとしているものと承知しております。
 委員御指摘の昨年の台風21号の際には、強風によるケーブルの断線が数多く発生しておりまして、特に電柱から加入者宅への引込みケーブルの断線の修理について、一軒一軒の加入者宅への戸別訪問が必要なことから、NTTにおきまして人員を増員して対応したものの、全ての回復には、今委員御指摘のように、時間を要してしまったというふうに認識をしております。

山下よしき 私は、現場で復旧作業に当たった職員、労働者の皆さんの奮闘には心から敬意を表しております。倒木した中にかいくぐっていって線を引っ張っているような作業をされていたんですね。だけど一か月掛かっちゃったと。これは人員の問題、さっき言った保守の部門の問題はあると思いますが。
 もう一つ、私ちょっと現場に行って感じたんですけれども、問い合わせるといっても、独り暮らしのお年寄り、障害をお持ちのお年寄りは問合せできないんですね。寝たきりでベッドの上にいる方なんかは、なかなか自分からは電話切れているよということは言えない。また、携帯電話持っていなかったら、そもそも電話つながらないわけですから問合せができないという事態にあると思いますから、そういうときは、恐らく周辺全部途絶えているでしょうから、何といいますか、1軒1軒訪ねてどうですかという声掛けは要るのではないかと思います。
 もう時間もありませんので後で一緒にそれも答えていただきたいんですが、もう一つ、大阪の泉南市というところで、電柱が9本一気に強風で倒れたんですね。その御自宅にも行きましたけれども、倒れているときに行ったんですけれども、電柱から垂れ下がった電線が玄関の前にずっとありまして、残念ながら、NTTさんの電柱だったんですけれども、説明がないというわけですね、その電線に触ると危ないのか、大丈夫なのか。ですから、腰をかがめて、くぐって出入りされていましたけど、せめてそういう周知を工事する前にでも来てほしかった。
 それから、もう直ったんです、9本。しかし、何のまたこれも説明がなくて、倒れたのが元どおりになったんだろうか、元々強度に不安があったのではないかとか、ちゃんと住民の方々に説明する責任が私は通信事業者にはあると思うんですが、今何点か言いましたけど、まとめてお答えいただければ有り難いです。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 2点御指摘をいただいたかと存じます。
 まず、1点目でございますけれども、固定電話しかお持ちでない住民の方への通信手段の確保という点でございますけれども、近隣の公共機関等の固定電話等から故障受付用の番号に御連絡をしていただくだとか、あるいは避難所等において事前に設置をしている事前設置型の特設公衆電話を準備するなどにより対応していたというふうに承知しておりますけれども、なお、更なる改善策があるのかどうかについて関係者間で考えを更に深めていきたいというふうに思っております。
 また、もう1点の大阪府泉南市でのNTT柱が倒れた件でございますけれども、電柱に関しましては基本的に風の影響では倒れない設計となっておりますけれども、倒木や、あるいは風で飛来してきた飛来物が電線等に引っかかり電柱倒壊等につながる場合があるというふうに伺っております。このため、復旧後の電柱も基本的には安全面での問題は小さいと考えられますけれども、当然不安に感じる地元住民の方もおられるものと認識しております。
 今般、NTT西日本におきまして、自治体あるいは警察への説明を随時行い情報提供に努めていたとは承知しておりますけれども、地域に根差した通信事業者として、なお地元の住民の方々の不安を取り除くよう、丁寧な説明あるいは情報提供というものをしていただくことが必要だと考えております。

山下よしき 終わります。

監察委報告「納得できない」統計不正 幕引き姿勢を追及 
2019年03月14日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 今回の地方財政計画と関連法案の前提あるいは基礎ともなります統計について質問いたします。 統計がゆがむと政策もゆがむ、統計が乱れると国が乱れる。千野雅人総務省統計局長が昨年5月24日、当委員会で答弁された言葉でありまして、私、そのとき、戒めの言葉としてはもう名言だなと思って聞いておりましたが、残念ながらこれが現実になってしまいました。 局長、今どういうお気持ちでしょうか。

千野雅人(総務省統計局長) お答えいたします。
 統計の重要性は昔も今も全く変わらないと考えてございます。委員御指摘の答弁は、統計が国家運営の基盤であるという意味合いで申し上げたものでございまして、その認識は今も変わっておりません。

山下よしき にじみ出るものを私は読み取ることができましたが、政策のゆがみ、国の乱れを正すのは国会の責任だと思います。
 日本統計学会が厚生労働省の毎月勤労統計調査における不正について、1月28日、声明を出しております。こう言っています。統計法を遵守することは公的統計の必須の前提。調査方法の変更が担当部局の独断で行われ、さらにその変更が公表されていなかった。今回の法令違反は公的統計の信頼性を根底から揺るがすものだと。極めて厳しい指摘であります。 この声明の中でこう言っているんですね。事業所を対象とする標本調査の場合は大規模事業所間の変動が大きいため、通常は大規模事業所については全数調査とすることが適当であり、毎月勤労統計の場合もそのような検討を経て現行の調査設計が承認されていると触れられております。 そこで、まず総務省に伺いますが、一般的にこの大規模事業所については全数調査とすることがなぜ適当とされるのでしょうか。

横田信孝(総務大臣官房政策立案総括審議官) 一般論でございますけれども、標本調査においては母集団の中で傾向が異なる、具体的に分かりやすく言いますと、ばらつきが大きいといった場合には、どこが調査の対象となったか否かによって調査結果に影響が生じることがあり得るということでございます。このため、このような場合には、調査結果の精度を確保するという観点から全数調査を行う例があるということであると承知しております。

山下よしき もうちょっと詳しく聞きますけど、要するに500人以上ですから、以上ですから、上はもう何千、何万というのがあるかもしれない。で、500人程度の。それ、ばらつきが大きいから、抽出するとそれによってちょっと大きな誤差が生じるかもしれないので全数が望ましいと、そういう理解でいいですか。

横田審議官 そういう場合が多くなるということでございます。

山下よしき 厚労省に伺いますが、毎月勤労統計調査は、500人以下については抽出調査、500人以上については全数調査とするという設計にしていますが、なぜでしょうか。

土田審議官 今総務省の方からお答えになられたような理由でそうされているものというふうに理解しております。

山下よしき にもかかわらず、2004年1月から東京において500人以上の事業所を抽出調査としたのは、厚労省、なぜでしょうか。

土田浩史(厚生労働大臣官房政策立案総括審議官) お答え申し上げます。
 東京都につきましては、平成16年以降、500人以上の事業所につきましては抽出調査を行うこととした理由でございますけれども、特別監察委員会の1月の報告におきましては、当時の担当は、継続調査、いわゆる全数調査の事業所につきましては、企業から特に苦情が多く、大都市圏の都道府県からの要望に配慮する必要があった、また、都道府県の担当者の負担を考慮したからだと思うが、誤差計算しても大丈夫だという話だったというふうに記憶しているというような、担当は述べておりまして、また、平成15年7月に通知されました16年度調査の事務取扱要領におきましては、規模500人以上の事業所は東京に集中しており、全数調査にしなくても精度が確保できるためであるというふうに記載されているところでございます。

山下よしき 今のは極めて納得し難いんですよね。
 先ほど総務省さんがおっしゃったように、これはそういう理由があるわけですよ、全数調査にする。それを勝手に、要望があるからとか、あるいは、何ですか、全数調査にしなくても適切な復元処理。それは全数調査じゃないと駄目なんだというふうに先ほど理由があったのに、それを棄却するような理由ではないと言わなければなりませんね。 結局、肝腎なところは、なぜか、ああなるほどなと合点がいくのはないんですね。だから、統計委員会、5人の委員の方々が最近出された特別監察委員会の追加報告書に対する意見書で、分析も評価もなく、再発防止を考える際に必要な情報が著しく不足していると批判するのは当然だと思います。その中には、当事者がどういう理由の下に不適切処理を始めたか、それが納得できないということが指摘されております。 ほかにもまだ聞きたいことがあるので進みますけれども、まず総務省に確認ですけど、一般論としてで結構なんですけど、定められた手続を経ずに調査方法を勝手に変更することは統計法違反だと思いますが、いかがでしょうか。

横田審議官 これは法律上の、統計法上の定めでございますけれども、調査計画を変更する際には総務大臣の承認を経るということになっております。その調査計画に定めることについては、これも法定されておりますので、それぞれについて守っていただくという前提になっておるということでございます。

山下よしき 基幹統計の調査方法ですからね、これ勝手に変更しちゃったら法違反なんですよ。
 更に驚くのは、勝手に抽出調査にしながら、抽出調査にしたんだったら復元処理がされなければならないのに、それがされなかったことであります。 もう一つ総務省に確認しますけれども、一般論で結構なんですけど、抽出調査にした場合の復元処理というものはどのようになされるのでしょうか。抽出率あるいは回収率に触れて御説明いただきたいと思います。

横田審議官 これも一般論でございますけれども、抽出調査は母集団の中から一部を抽出し、この抽出した標本のみを調査するというものでございます。この結果から何らかの方法を用いて平均や分散といった母集団の統計量を推定すること、これを前提として行うものだということでございます。
 具体的に申しますと、例えば、調査の回答として得られた数量に抽出率とそれから回答率の逆数を乗じることで母集団の統計量を推定するという場合もあるという、そういうことでございます。

山下よしき 抽出率に逆数を掛けて計算するということですが、資料をお配りいたしました。
 これは、厚生労働省統計情報部が都道府県の統計担当課に発出した毎月勤労統計調査抽出率の逆数表の送付についてということでして、2枚目に添付しておりますけれども、これがその通知に添付されていた事業所抽出率逆数表ですね。ちょっと数字ばっかり並んでいますけど、左の縦にTLとかDとかEというアルファベットが並んでいるのは、これは産業分類であります。それから、横軸に、上の方に00から01、02と47まであるのは都道府県でありまして、13番目が東京ということになっております。 ですから、これ見ますと、これは500人以上の事業所についての表ですから、500人以上の事業所については東京だけが抽出率逆数が一以外の数字も含まれておりまして、要するに抽出調査であるということが分かります。2だったら2分の1の抽出である、3だったら3分の1の抽出であると、その逆数がこうなるわけであります。 昨日、厚労省に確認いたしましたら、この抽出率逆数表を作成したのは厚労省さんだということでありました。つまり、都道府県がそれぞれ自分のところで抽出率を決めて厚労省に報告して、それを集約したんじゃなくて、厚労省が各県ごとの抽出率を産業分野別に決めて、それを都道府県にこういう方法でやりなさいと通知したものであります。 そこで、厚労省にこの逆数表に関わって2点確認したいんですが、一つは、産業ごとにこの逆数が違う、抽出率が違うのはなぜか。二つ目に、これ資料を3枚目に付けておりますけれども、実はこの抽出率が年度によって変わっていくんですね。この産業分類、分野別に変わるのはなぜか。年度ごとにも変わっていくのはなぜか。お答えください。

土田審議官 毎月勤労統計調査の標本設計に当たりまして、全体の標本数に制約のある中で、回収率の状況等を踏まえまして、年度ごとに産業別、規模別の状況を勘案いたしまして十分な統計の精度を確保できるように抽出率を設定しているということで、このような年度ごとにも変わっているということでございます。

山下よしき 産業別にいろいろ構造が違うでしょうから、それも変化するということでこういうふうに分類を変えていっていると、数字を変化させているということでした。
 総務省統計局にお聞きしますけれども、一般的に、このような抽出率逆数表があるということは、復元作業のためにあると考えていいんでしょうか。このような逆数表がありながら復元しない場合とは、どんな場合が考えられるんでしょうか。

横田審議官 標本調査は、母集団の中から一部を抽出し、この抽出した標本のみを調査するというものでございます。
 その結果から、何らかの方法を用いて平均や分散といった母集団の統計量を推定するということを前提とするということでございますので、これは通常、復元をするという理解でございます。

山下よしき そういうことなんですよ。これつくったのは、復元のためにつくっているんですよ、厚生労働省は。なぜ復元しなかったんでしょうか。

土田審議官 平成16年以降、適切な復元処理がなされなかった理由につきましては、特別監察委員会の1月の報告によりますと、抽出調査の変更に伴い、復元のための必要なシステムの改修が行われなかったこと、また、毎月勤労統計調査に係るシステムの改修の体制が事務処理に誤りを生じやすく、発生した事務処理の誤りが長年にわたり発見されにくい体制となっていたことなどがこの原因や背景にあるというふうに指摘されているところでございます。

山下よしき 今の答弁、間違っていますよ。1月の報告書でそうなっていることについては、予算委員会でうちの辰巳孝太郎議員がシステムの変更がなければちゃんと処理ができないんですかと言ったら、そうじゃないと。システムの変更は関係ないんですよ。そんなもう古い答弁してもらっちゃ困りますよ。
 大体おかしいんですよ。だって、この東京の500人以上の事業所を抽出調査にしたのは2004年からですよね。その時点でこういうものを発出しているわけですから、分かっているわけですよ。それをずっと、年度ごとに、産業別ごとにこれ変えながら、しかも都道府県に発出したわけですから、これを、表を見れば、これは統計に関わる専門家だったら必ず気付くはずなんですよね。500人以上の事業所は全数調査でなければならないのに、東京都は抽出調査になっているのはおかしいんじゃないかと気付くはずなんですね。 私、前回2月の質問でも、このひどさを伝えるために、国民に対しては500人以上は全数調査でやりますよというふうに厚労省は公表しているんですよ、一って全件。ところが、内部でこっそり、2004年から2018年1月までずっとこうやって国民欺いていたんですよ。だったら、本当に統計のその分野の専門家だったら、これ見たら、あっ、まずいと気付くはずなんですよね、国民にうそをついていると。そして、確認したら、ちゃんと復元作業がされていたかちゃんと確認するはずなんですよ。14年間も何100人という統計の専門家が見たでしょう。何でそうならなかったか、ちゃんと納得できるお答えをください。

土田審議官 追加の特別監察委員会の報告書によりますと、過去に適切な復元処理を行われていなかったこと及びそれを公表することなく放置していたのは、単に前例を踏襲したり、業務が多忙であったり、復元処理による影響が小さいと判断したりしたことを理由とするものであり、規範意識の欠如、事の重大性に対する認識の甘さがあったことは否定できないというふうにされているところでございます。

山下よしき 誰がそんなことで納得しますか。今おっしゃったのは、忙しかったから、気付いていたけれども忙しかった。気付いた人はそれはいるでしょう、報告書でそう書いていますよね。

土田審議官 ただいま申し上げましたとおり、気付いていた者につきまして、単に前例を踏襲したり、業務が多忙であったり、復元処理による影響が小さいと判断したりということが理由とされていたものでございまして、規範意識の欠如、事の重大性に対する認識の甘さがあったというふうに指摘されているところでございます。

山下よしき その気付いていた人の中に、F課長、自分で試算してみた、こう書いてある。もう報告書そのまま、追加報告書ですけど、室長Fは、平成29年頃に適切な復元処理による影響を試算したが、その影響は大きいものではないと判断したと。気付いて復元してみたら、影響は大きいものではないと勝手に判断しているんですよ。
 そんなことはないですよ。これによって21年ぶりに実質賃金が伸びたという総理が報告するようなことが起こったけれども、それはかさ上げされていたという非常に大きな影響があったんですよね。それをこんな報告書で済まそうとする。 これに対して、誰も納得しないですよ。これに対して、厚労省、どんな試算をしたのか。試算をしたと言っている。つかんでいますか。このF課長。

土田審議官 今後しっかり調査してまいりたいというふうに思います。

山下よしき つかんでもいないんですよね。言われたまま。試算したけど影響はないと思ったからって。意図的ではなかったって。冗談じゃないですよ、これは。
 統計委員会の意見書には、この点はちゃんと、どういう試算をしたのかを情報提供すべきだと言っていますけど、統計委員会に情報提供しましたか。

土田審議官 3月6日の統計委員会におきまして5名の委員の方々から特別監察委員会の追加報告に関しまして意見書が提出され、11日、これを受けた厚生労働省への情報提供要望があったところでございます。これは、統計委員会が今後厚生労働省に対しまして統計技術的、学術的な観点から情報提供を求めたものというふうに受け止めております。
 厚生労働省といたしましては、今後これらの統計技術的、学術的な事項等につきまして、統計委員会での検証を通じて順次適切に説明してまいりたいというふうに思っております。

山下よしき 順次適切にですけれども、速やかにする必要があるんですね。
 この全数調査するものを手続取らずにこっそり抽出調査にして、それずっと14年間怠りながら国民には全数調査と欺き続けてきた。そして問題は、2018年1月にこっそり復元しちゃったと、それで実質賃金がかさ上げされちゃったと。もう本当にこれひどいことなんですけれども、これ、意図的ではなかったと言ってもこれは絶対通用しない。なぜこんなことが起こったのかをちゃんと真相を解明しなきゃ駄目なんですね。 これ、一つ今疑惑になっているのが、今報告したような流れと並行して、2015年3月頃に官邸の中江総理秘書官が、毎勤統計について、厚労省の統計担当者に対して、伸び率が遡って改定されると、それなりにプラスになっていた数字がマイナスにぱたぱたっと変わっていく、それは問題ではないですかと見解伝えたということを、御本人が、首相秘書官が国会で答弁されています。それでローテーションサンプリングの導入について検討が始まるんですが、プラスの数字がマイナスになるのは問題だというふうに言われたことが、2018年1月、こっそり復元してしまうということに、そんたくされたり圧力になったのではないかという疑念もありますが、もう今日はそこは追及いたしません。 最後に、総務大臣に伺います。 2月の委員会で、大臣は私の問いに、今御指摘がございましたように、やはりどういうことでこういうことになっていったのかということをしっかり解明することが大事だと思っておりましてとおっしゃっています。で、特別監察委員会の追加報告書は残念ながら解明されていないということを統計委員会が3点御指摘をされておりますけれども、少なくとも統計委員会の3点早く出しなさいと、総務大臣として厚労省にきちっと意見を求めるべきではないでしょうか。

石田真敏総務大臣 今御指摘の3月6日の統計委員会に提出された意見書は、毎月勤労統計調査の今後の改善に向けて、統計技術的、学術的観点から検討するために必要とされる情報でありまして、2月27日に厚労省により公表された毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する追加報告書に掲載されていない情報について同省に提供を求める内容となっていると承知をいたしております。
 それで、統計委員会では、この意見書を審議をいたしまして、統計技術的、学術的観点から、再発防止等のための検討に資する3点の情報を求めることについて合意を得られたことから、統計委員長の指示に基づきまして、3月11日に厚生労働省へ情報提供要請を行ったと聞いております。 これは、今も申し上げましたように、統計技術的、学術的観点から統計委員会が必要とされる情報でございますので、厚生労働省には今回の要請に応じて速やかに誠実に対応していただきたいと考えております。

山下よしき 大事な御発言だったと思います。
 この統計委員会の声明は、こんなことがあったら、学会だったら追放されると、重大な事態だと厳しく言っています。これ、重大な事態という認識が余りにも厚労省になさ過ぎる。 最後に、委員長、前も言いましたけれども、姉崎元厚労省統計情報部長、中江総理秘書官、それから特別監察委員会の追加報告書に出てくるD課長、すなわち久古谷氏、それからF課長、後、室長である石原氏らを参考人として当委員会で統計問題の集中審議を行うよう要請して終わります。

被災自治体の職員拡充 国保料を協会けんぽ並みに 
2019年03月12日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 まず、昨日、東日本大震災から8年がたちました。改めて、犠牲となられた皆様に心より哀悼の意を表しますとともに、いまだ避難生活を強いられている皆様にもお見舞いを申し上げたいと思います。
 共同通信のまとめでは、岩手、宮城、福島の3県17市町で、4月以降も597世帯1300人がプレハブの仮設住宅に残る見通しであるということが明らかになりました。8年たっても被災自治体では多くの課題を抱えております。
 先日、被災地で活動する自治体労働者、職員の皆さんからお話を伺いました。2人紹介します。Aさん、住宅再建できない被災者が残されている、被害を受けなかった人も含めて心の傷は残っている、災害公営住宅での孤独死もある、そうならないための見守り支援が必要、復興では東日本大震災がなければなかった業務を何十倍もしている、30代の係長が管理職並みの仕事をしている、集中改革プランで職員が減らされていてやっていけない、人を増やしていくことが大事だ。Bさん、土木に携わっている、全国から派遣応援を受けていたが、昨年の相次ぐ災害で派遣されなくなった、育てる側の人間も足りず、人が育たない、人員が足りない中で踏ん張っているという声が続出いたしました。
 総務省、被災自治体の職員は足らないという認識ありますか。

石田真敏総務大臣 お答えさせていただきます。
 東日本大震災の被災市町村におきましては、復旧復興を進めるための人材の確保が重要な課題となっているものと認識をいたしております。また、私も、昨年、7月豪雨や北海道胆振東部地震の被災地を視察いたしましたが、各所で人材の確保について御要請をいただいたところであります。被災市町村におきましては、全国から派遣された応援職員に加え、任期付職員の採用など様々な取組が行われておりますが、依然職員が不足しているものと承知をいたしております。
 こうした状況を踏まえまして、昨年11月には、私の方から全国の都道府県知事及び市区町村長に対し書簡を発出をいたしまして、応援職員の派遣について格別の御協力をお願いをしたところでございます。また、12月には、来年度の職員派遣について全ての地方公共団体に要請を行ったところでございまして、引き続き、応援職員の派遣について積極的に働きかけを行うなど、人材確保に向けまして継続して取組を進めてまいりたいと思っております。

山下よしき 現場をいろいろ歩かれて、まだまだ足らないという御認識でした。そのとおりだと思います。業務は8年たってもまだ、復興業務、終わっておりませんので。
 一方で、政府の復興・創生期間の終了期限が2020年度に迫っている中で、被災自治体には、国の財政支援がどうなっていくのかという不安、それから、残念ながら人口流出による、人口減による財政減の不安などがあります。ですから、今、復興事業のために例えば任期付職員を確保しているのが今後継続できるのか見通しが持てないという声も上がっております。
 総務省に伺いますが、こうした被災自治体が復興事業に引き続き必要な職員の確保ができるように財政措置が引き続き求められていると考えますが、いかがでしょうか。

林崎理(総務省自治財政局長) お答えいたします。
 東日本大震災の被災団体において、地方自治法に基づく中長期の派遣職員の受入れや、あるいは復旧復興業務への対応のための職員採用を行った場合に、その必要経費につきましては震災復興特別交付税により財政措置を講じてきているところでございまして、復興・創生期間において引き続きこの制度による支援を行ってまいります。
 その後につきましては、これはまた復興を支える仕組みということになりますけれども、今後、被災団体の要望などを踏まえまして政府全体で検討を進めていくということになっておりますけれども、震災復興特別交付税を含めました財政支援の在り方につきましても、関係省庁とも連携しながらしっかりと検討してまいりたいと考えております。

山下よしき 早く見通し示してあげる必要があると思うんですね。もう目の前に期限来ますからね。
 福島では、東京電力の原発事故により、より一層の困難を抱えております。河北新報が行った被災地の首長さんのアンケートによりますと、復興が遅れていると回答した首長のうち、九割は福島県内の首長でありました。復興を阻む要因として、原発事故それから自治体のマンパワー不足が挙げられております。
 自治労連という労働組合の皆さんが昨年11月に福島の自治体訪問を、各自治体を回りまして、被災自治体の現状、それから職員の労働条件などを聞いております。
 楢葉町では、2015年に避難指示が解除されまして、住民の約半分が戻っているが地域経済は厳しい、企業誘致をしても地元に労働者がいない、時給1000円でも人が集まらないという声が出されました。それから、2017年に避難指示が解除された富岡町では、町民が5%しか戻っていない、昨年は役場職員の早期退職が多く、町外出身者の新規採用が増えたことで、これまでの経験の蓄積が薄くなっていると感じられると、こういう声であります。住民が戻らない、職員が集まらない、そして労働者も集まらない、先が見えずに自治体職員が退職していくということであります。
 それから、避難指示が解除された自治体であっても、例えば子供さんのいる職員の皆さんは、やはり内陸部、中通りですとか南部のいわき市から2時間掛けて通勤せざるを得ないということもありまして、疲労がたまっておられます。
 総務大臣に伺いますが、こうした福島の自治体職員の特別の大変さについて、大臣、どう認識されていますか。

石田総務相 福島原発事故により深刻な被害を受けられた地域では、今後、本格的な復興再生に向けて避難指示が解除された地域の生活環境整備などの取組を進める必要があり、被災団体の職員の方々が日々大変御苦労されているものと認識をいたしております。私も先日、南相馬市、それから浪江町、大熊町、訪問させていただきまして、実情を見せていただきました。
 このため、復興再生を担う人材の確保が重要であり、今後とも、応援職員の派遣につきまして積極的に働きかけを行うなど、人材確保に向けて継続して取組を進めてまいりたいと思います。

山下よしき 大事な御答弁だったと思います。
 総務省に続いて伺いますけれども、福島のこうした各自治体において、全国から派遣した職員を含む各自治体職員の健康が保全されること、安心して復旧事業が担えるように、政府として適正な労働条件それから労働環境の確保に特別の対応が必要ではないかと思いますが、簡潔に御答弁ください。

大村慎一(総務省自治行政局公務員部長) お答えいたします。
 全国からの派遣職員を含めた被災市町村職員の健康保持や適切な労働条件、労働環境の確保は重要な課題であると認識をいたしております。
 その中で、被災市町村における復旧復興業務への対応によりまして、職員の時間外勤務が一定程度増加することはやむを得ない場合もあると思いますが、その際には、超過勤務を必要最小限のものとして、職員の健康に十分な配慮が必要であると考えております。総務省としては、時間外勤務縮減等に向けた取組の一層の推進について度々通知を発出するなど、地方公共団体に助言を行っております。
 また、地方公務員の健康の保持に関しましては、本年2月に長時間労働者に対する医師の面接指導の強化などについて助言を行いますとともに、東日本大震災に関連するメンタルヘルス対策5か年事業として、震災復興特別交付税により財政措置を講じまして、被災地方公共団体の職員や派遣職員を対象とする訪問カウンセリングやメンタルヘルスセミナー等の取組を実施しているところでございます。そのほか、地方公務員安全衛生推進協会が行うメンタルヘルス対策支援専門員派遣事業などによる支援も行われているところでございます。

山下よしき 引き続き、これは終わっておりませんので、メンタルも含めて対応をいただきたいと思います。
 次に、国民健康保険の問題について質問したいと思います。
 昨年スタートした国保の都道府県化、約1年経過しましたけれども、今どうなろうとしているのかということについて聞いていきたいと思うんですが、まず、資料1枚目を御覧いただければ、まあこれはおさらいですけれども、各保険者ごとの保険料負担の比較であります。協会けんぽ7.5%、組合健保5.8%と比較して、国保の加入者は平均所得が低いにもかかわらず保険料負担率は平均10%を超えていると。構造的な問題があります。
 資料には添付しておりませんが、大阪府の資料を見ますと、2016年の国保加入者1人当たりの年間所得は52万8000円です。保険料は9万210円、ですから、所得に対する保険料負担率は17.1%と、低所得者になりますと20%ということで、もう5分の1が保険料に飛んでいくということになっております。
 厚労省、国保の保険料は高いという認識ありますか。

渡辺由美子(厚生労働大臣官房審議官) 今御指摘ございました国保の保険料は、これは市町村ごとに賦課をいたしますので、一概に、地域差もございますので一概な比較というのは難しいところはあろうかと思いますが、例えば直近の決算ベースの平成28年度で見ますと、先生お示しいただいた資料にもございますが、加入者1人当たりの平均額で見ますと、市町村国保は1人当たり8.6万円、これに対して中小企業の労働者やその被扶養者が加入する協会けんぽにつきましては1人当たり11.2万円ということですので、一概に高いと言えないところはあろうかと思っておりますが、ただ一方で、御指摘のございました国保の構造的な問題ということはございますので、医療保険制度の中でも低所得の方々の保険料の軽減措置を講ずるとともに、保険料給付費に対しましても五割の公費負担を行うなど、他制度に比べますと、公費を手厚く投入することによりまして安定的な運営を図るという措置を図っているところでございます。

山下よしき 非常に残念な答弁と言わざるを得ないですね。額比べたってあきませんよ、所得が違うんだから。だから保険料率と私言っているのに、額を並べて一概に高いとは言えないなどという答弁を厚労省がするようでは、これは先が思いやられるなと思います。
 その国保料・税が、昨年スタートした都道府県単位化によってどうなるのか、どうなったのかということなんですけれども、厚労省、昨年、保険料どうなったでしょうか。

渡辺審議官 昨年4月にスタートいたしました都道府県単位化後の保険料を把握するために、私ども厚労省といたしまして、都道府県を通じて全市町村に照会をいたしまして、その結果を昨年末、12月に公表しております。
 これによりますと、平成30年度、新国保制度スタートの保険料率につきまして、引き上げた市町村というのは全体の約23%、403に対しまして、据置きとした市町村は836、48%、引き下げた市町村は496、29%ということで、引上げを行った市町村というのは全体の2割程度というふうに把握をしております。

山下よしき 資料2枚目に今の答弁を配付しておりますけれども、多くの市町村、頑張って据置きの努力されたんです。しかし、その中でも23%の自治体が上げざるを得なかった。その要因として、この四角の下の左側の方に書いていますけど、国保改革の影響というのがあるんですね。
 厚労省、国保改革の影響でなぜ保険料が上がるんでしょうか。

渡辺審議官 今回の国保改革の最大の目的は、これまで市町村単位であった財政運営を都道府県単位という大きな器にすることによってより安定させるということで、このために、今回の新しい国保制度の中では、都道府県が全体の保険給付に要する費用を賄うために各市町村に納付金ということを課してこの納付金を徴収するという、そういう仕組みにしております。
 この納付金の設定の仕方でございますけれども、これは市町村と協議の上ではございますが、基本的には市町村ごとの医療費、それから所得の水準といったものを勘案して設定するということになってございます。
 ですので、結果として、例えば比較的所得水準の高い市町村においては納付金が高くなり、それが原因となって保険料が上がるというようなこともあり得ると思いますが、この納付金制度ということが一つの原因であろうかと思っております。

山下よしき 私たちはかねてより、国保の都道府県単位化に伴って標準保険料率の提示でありますとか保険料平準化の推進などが図られることになる、これが保険料引上げを招くと指摘してまいりました。来年度に向けて各都道府県はこの標準保険料率を示しておりますけれども、各地で引上げの方向に進みつつあります。
 資料3枚目には滋賀県の例を紹介しておりますが、滋賀県から標準保険料額が示されましたが、滋賀県下十九市町村のうち十8.値上げとなっているわけですね。これ、市町村平均でいいますと8.99%、平成30年度と31年度の1人当たりの保険料額の伸び率を見ますと8.99%。1番大きい長浜市では11.41%、1年で上がるということになります。これ嫌だったら、市町村は据え置くために繰入れあるいは基金の活用などをせざるを得ないわけですね。
 それから、資料4枚目には統一保険料率を強力に進めている大阪府のケースを紹介してあります。
 大阪府は、2023年度までに府内完全統一保険料を目指しておりまして、やり方としては、市町村独自の繰入れ、これは駄目ですよと、市町村独自の減免やめてくださいよということで、段階的にこれから5年間でそういうことをなくしていくということなんですが、そうなりますと、2019年度、これは2019年度だけの資料ですけれども、各市町村の独自支援を大阪府が示したとおり削減していったらどうなるかというのがこの一覧表でありますけれども、もうほとんど保険料上がります。
 真ん中から左が40歳代夫婦4人世帯で年間所得200万円の場合ですけれども、43市町村大阪府にはありますけれども、そのうち42市町村で上がることになります。最も上がるのは上の方の高槻市というところで、32万5317円から38万8097円と、6万2780円、119.3%に上がることになっています。それから、右側、独り暮らし、年金が月12万円の場合の方で見ますと、43市町村中40で上がると。最も上がるのは寝屋川市、真ん中よりちょっと上ですけれども、1万6686円が2万2349円、5663円上がって133.9%になると。
 これ、1年度だけですからね。これが毎年毎年上がって、2023年まで5年連続こういうことになっていきますから、終わったときには数万円から十数万円、今でも高い国保料が止めどもなく上がっていくということになるわけです。
 したがって、全国町村会からはこういう意見が出ております。都道府県において保険料水準の平準化や保険料算定方式の統一が拙速に進められることのないよう、国は各都道府県の動向を注視し、適切な助言をとの要望が出されております。
 厚労省に伺いますが、国保の都道府県化によって、今でも高い保険料が更に上がっていく、これでは私は国保世帯の暮らしが破綻すると思いますが、そういう認識はありますか。

新谷正義厚生労働大臣政務官 お答え申し上げます。
 国民健康保険は、協会けんぽや組合健保といった被用者保険に比べまして、高齢の加入者の占める割合が高くなっているところでございます。医療費水準が高くなるという一方で、無職や非正規雇用の労働者など低所得の加入者が多いという構造的な問題を抱えているところでございまして、これまでも累次の財政支援を講じてきたところでございます。またさらに、今般の国保改革におきましては、国保の財政状況に鑑み、年約3400億円の財政支援、これを行っておりまして、財政基盤を大幅に強化したところでございます。
 具体的なところで申しますと、平成27年度から低所得者が多く加入する自治体への財政支援を1700億円、これを拡充しまして、また、平成30年度からは医療費適正化に取り組む自治体への財政支援、また、財政調整機能の強化等のために1700億円、これを上乗せを行ったところでございます。
 国保の保険料につきましては、医療費の自然増への対応、さらには、長年これは、毎年ということで、長年保険料率を据え置いてきた、こういったために、この国保改革を機に引き上げたケース、こういったことなども、各市町村において様々な要因を踏まえて決定をされたものと認識をしておるところでございます。一概に国保改革の影響で上昇したとは言えないと、そのように考えております。
 いずれにしましても、引き続き、新制度施行の状況をしっかりと把握しながら、地方団体とも協議をして、国保制度の安定的な運営に努めてまいりたいと、そのように考えております。

山下よしき 残念ながら、極めて冷たい答弁だと。私、全国町村会もこれはえらいことになりますよと言っていること、そして具体的に滋賀や大阪の事例を挙げて、このままだと国保加入者の暮らしが破綻するんじゃないかと言いましたけれども、その暮らしが破綻するかどうかは一言も御答弁ありません。私、ここちゃんと見ないと大変なことになると思いますよ。私は、今、国保の保険料に求められているのは、更なる引上げではなくて、逆に大幅な引下げだと思います。
 全国知事会は、国保基盤強化のために1兆円の公費を投入して協会けんぽ並みの保険料にすべきだと提案をいたしました。それを受けて、地方三団体と国との協議の結果、先ほど政務官からお話あった3400億円の財政拡充を行うことになったんです。それは承知しております。しかし、3400億円の投入実施後も、全国知事会からは、国定率負担の引上げ等様々な財政支援の方策を講じること、それから、全国市長会からも、国庫負担割合の引上げなど国保財政基盤の充実強化を図ることが求められているんですね。
 3400億円というのはあくまで臨時的な財政投入で、国保の構造問題を抜本解決することには全くなりません。やはり国の定率負担の引上げが必要だというのが地方の声だと思うんですが、これ真剣に検討すべきじゃないですか、厚労省。

渡辺審議官 先ほど、まず先生から御指摘のございました滋賀県や大阪の例、これは私どもも、今後、31年度の最終的な保険料の決定が5月、6月になされますので、その状況をよくお聞きしなければいけないと思っておりますけれども、全国的な傾向といたしまして、これは30、31でございますが、30年度になるときに、29年から28年の保険料につきましては平成28年度の医療費をベースに算定したところが多うございます。28年度というのは全国的にも医療費がちょっと伸びが収まったときでございますので、その意味では、30年度にかけてはやや保険料の上がりが低かったところを30、31で引き上げたというようなこともあると思いますので、必ずしもこの30、31のトレンドがずっと続いていくということではないかとは思っております。
 ただ、いずれにしましても、先ほど来申し上げておりますように、国保の抱えております構造的な問題というのはございますので、私ども、この公費3400億円、消費税財源も活用しながら確保したわけでございますが、これをしっかり堅持していくとともに、先ほど政務官からも申し上げましたが、地方団体ともよく協議をしながら安定的な運営に努めていきたいと思っております。

山下よしき 全国知事会の提案について真剣に検討すべきではないかと申し上げたんですが、それは全く答えがありませんでした。
 もう総務大臣に聞きます。総務大臣、全国知事会が国定率負担の引上げ、様々な財政措置、支援の方策をと求めています。この地方の声、どう受け止められますか。

石田総務相 御指摘のとおり、国保制度は低所得者が多く加入するなどの構造的な問題を抱えているために、これまでも累次の財政支援策が講じられてきたところでありまして、今般の国保改革におきましては、国保の財政状況に鑑み、毎年3400億円の財政支援が行われ、財政基盤が大幅に改善され、強化されたところでございます。
 今後とも、国保制度を所管している厚生労働省において、国として必要な財政支援を行い、安定的な制度の運営に努められると考えているところでございまして、総務省としても、厚生労働省と連携しまして、国保制度の実務を担う地方団体の財政運営に支障が生じないよう、引き続き適切に対応してまいりたいと存じております。

山下よしき 最後に、私どもの方から一つ提案させていただきます。
 全国知事会、さっき言ったように、公費1兆円投入して協会けんぽ並みに保険料下げたらどうだという提案されました。これ踏まえて、日本共産党、昨年11月に、国保料・税を抜本的に引き下げる政策提案をいたしました。具体的には、国保料、国保税の中で1番の問題だと私たち考えるのは、家族の人数に応じて掛かる均等割、世帯ごとに掛かる平等割、要するに赤ちゃんが1人生まれれば保険料が上がるという、生まれておめでとうじゃなくて残念だと思われるような、これを公費1兆円、全国知事会の提案のとおり1兆円投入して均等割、平等割を廃止しようという提案をいたしました。
 大臣、受け止めいかがでしょうか。総務大臣、どうぞ。

石田総務相 これは運営の問題ですので、厚労省の方において適切に御検討いただけるものと思っております。

山下よしき いただけそうにないので総務大臣に聞いたんですがね。
 これ実行したら、年収400万円の4人家族、30代夫婦プラス子ども2人のモデル世帯で保険料がどうなるか。私ども、全国の市町村ごとに試算いたしました。私の地元の中にあります大阪市の保険料は、今41万9500円から20万3400円に下がります。均等割、平等割なくせばそうなるんですね。石田総務大臣の御地元、和歌山県海南市の保険料、35万7626円から20万1600円に下がります。喜ぶと思いますね、住民の皆さんは。
 これは共産党独りの提案ではございません。全国知事会、全国市長会などの公費投入で構造問題を解決するという強い願いに応えるものであります。国保を運営する自治体の思いにも合致したものでありますから、是非党派を超えて実現しようではないかということを呼びかけて、終わります。

ダムの今後の在り方 住民と一緒に考えることができるようにすべき 
2017年6月6日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

 総務省は、様々な社会資本の維持管理等について、行政監察、行政評価・監視を行っています。2001年には水資源に関する行政評価・監視を行って、その中でダムについても触れています。

 そこで、今日は熊本県を流れる球磨川水系のダムの問題を取り上げたいと思います。

 球磨川水系のダムといいますと、かつて最大の支流であります川辺川に建設が計画されていた川辺川ダムが住民運動の高まりなどによって中止されたことはよく知られております。さらに、今注目されているのは球磨川中流の荒瀬ダムの撤去事業であります。

 荒瀬ダムというのは、熊本県が設置、運営していた発電用のダムですが、洪水の多発、それから水質の悪化などが問題となって撤去を求める住民運動が起こって、2010年、県が撤去を決断いたしました。2012年から撤去工事が始まって、今年度中に終了することになっております。

 先月、私、現場を見てまいりました。幅100メートルは優に超える河川に、既にダムの姿はありませんでした。もうきれいさっぱりなくなっておりまして、対岸の岩盤に残ったダムの形跡を見て、ここに巨大なコンクリート構造物があったんだなということを想像するしかないぐらい、もうきれいになくなっておりまして、ダムが撤去されたために上流と下流がつながって自然な流れが生まれておりました。こんな大きな構造物を撤去することができるんだなと私感嘆いたしましたが、住民の方の話を聞きますと、洪水の危険が減り清流がよみがえったと、大変うれしそうに、また誇らしく語ってくれました。

 国交省に伺いますが、ダムの撤去というのは全国でも初めてと聞きましたが、荒瀬ダムの撤去について国交省としてどう評価されているんでしょうか。

根本幸典(国土交通大臣政務官) 荒瀬ダムは、熊本県企業局所有の発電専用のダムであり、河川管理者である当時の建設大臣の許可を受けて昭和30年に熊本県が設置し、運用してきた施設です。近年、発電の事業継続性などの観点から荒瀬ダムの存続について議論され、最終的には、先ほどありましたように、平成22年に熊本県において、水利権の更新に当たり漁協などの関係者の同意を得ることが非常に困難であるなどの理由により用途廃止を行うという判断がなされたところであり、現在、撤去のための工事が行われているものと承知しております。

 なお、河川区域内に許可を受けて設置された許可工作物について、その用途が廃止された場合には、許可を受けた者が撤去の許可申請を行った上で、自らの負担により撤去を行うのが原則であります。

山下よしき ありがとうございました。

 用途が廃止された場合には撤去が原則ということでありましたが、さらっとおっしゃいましたけど、私はこれ非常に重要な原則だと思うんですね。設置者だけではなくて、河川の周辺に住んで河川を利用する住民も参加してダムの存廃を決めていくことが今後非常に大事だと私は感じております。そうしてこそ、ダムによらない治水、あるいは住民参加の河川管理など、新しい河川行政が具体化されていくんだと思っております。

 総務大臣に伺いますが、この熊本県が住民の意見を踏まえて撤去することを決めた荒瀬ダム、もう撤去されたんですけれども、私は住民自治の面からも積極的な意義があると思いますが、大臣の御感想、いかがでしょうか。

高市早苗総務大臣 ダムの設置、管理や撤去については総務省の所管外でございますので、個別の事例に係る評価や適否については私から答弁し難いということについては御理解を賜りたいと存じます。

 一般論としては、地方公共団体において、住民の皆様のお声をよく伺った上で行政運営を行うということは非常に重要な点であると考えております。

山下よしき 荒瀬ダム撤去の現場を案内していただいた住民の方が、もう一つ見てほしいダムがあるんだといって案内いただいたのが、荒瀬ダムから十キロ上流にある瀬戸石ダムというダムであります。瀬戸石ダムは1,958年に造られた、これも発電用のダムでありまして、現在、電源開発、Jパワーが管理をしています。沿川の住民の皆さんから、瀬戸石ダムの上流で洪水被害が起こっている、水質も悪化したなどの声が出ております。聞きますと、瀬戸石ダムは、国交省が二、3年ごとに行う定期検査による評価でA判定が続いているとのことでした。

 伺いますけれども、国交省によるダムの定期検査とはどういう検査か、またA判定とは何か、どういう対応をすることが求められているのか、それぞれ説明してください。

野村正史(国土交通省水管理・国土保全局次長) お答えをいたします。

 国土交通省が行うダムの定期検査は、国及び水資源機構が管理しているダム、それから国が許可した発電事業者等が管理している利水ダムを対象として、ダム検査規程に基づき、河川管理者としての立場から、ダムの維持、操作、その他の管理の状況について定期的に検査を実施するものでございます。

 このダムの定期検査結果において、ダム及び当該河川の安全管理上重要な問題があり、早急な対応を必要とすると判断された場合には、評語としてAを付するとともに、その旨をダムの設置者に対し指摘事項として通知しております。これがすなわちA判定と言われるものでございます。

 なお、指摘事項については、ダム設置者から対応方針につきまして報告を求めることとしておりまして、瀬戸石ダムにつきましても、ダム設置者であります電源開発株式会社から定期検査に係る指摘事項の通知に対して、堆砂除去のための対策を実施する旨、その都度報告を受けているところでございます。

山下よしき 瀬戸石ダムについては、今おっしゃったように、ダム及び当該河川の安全管理上重大な問題があり、早急な対応が必要とA判定されておりますが、具体的な問題事項として、計画堆砂形状より堆砂が進んでいる地点があるため洪水被害が発生するおそれがあるというふうに指摘されております。

 堆砂とは何か、洪水被害にどういう影響があるのか等について説明してください。

野村次長 ダムの堆砂とは、ダムの貯水池に流入した土砂が堆積することをいいます。ダムは、計画段階において、一定期間に想定される堆砂容量を確保しておりますが、計画堆砂容量を超えることが見込まれる場合や、貯水池の上流部に堆砂が生じて上流の河川に洪水被害が発生するおそれがある場合には堆砂対策が必要となります。

 堆砂対策といたしましては、堆砂量や進行状況に応じて、例えば、貯水池内に堆積した土砂を掘削する対策、あるいは、ダムの上流に貯砂ダムというもう一つのダムを設置して、貯水池に土砂が流入する前にそこに土砂をためて、それを掘削して効率的に排除する対策、あるいは、貯水池を迂回する排砂トンネルの設置により土砂を貯水池に入れずにダム下流に流す対策、あるいは、ダム本体に土砂を吐くゲートを設置する対策などがございます。これらの堆砂対策につきましては、必要な対策をダムの設置者が検討して実施することになります。

 以上でございます。

山下よしき 今説明ありましたが、資料1枚目に、この堆砂のイメージについて、これ、瀬戸石ダムを撤去する会の方から提供された資料を掲示しております。これはイメージです。しかし、今御答弁あったように、ダムのない川は堆砂は基本的に発生しません。ダムを造れば、それによって水位が上昇します。それだけではなく、そこに堆砂が生じますと更に水位が上昇して、それが上流部で起きれば、先ほどの御答弁にあったように洪水の危険があるということで、いろいろな対策をしなければならない、それはダムの設置者がしなければならないということでありましたが。

 もう一つ聞きますが、この瀬戸石ダムは、2002年以来7回連続でA判定、安全管理上早急な対応が必要と、しかも内容は堆砂ということがずっと繰り返し指摘されております。7回連続A判定のダムはほかにどのぐらいあるんですか。

野村次長 今御指摘ございました7回連続でA判定のダム、これは確認できる範囲内ではほかにはございません。瀬戸石ダムだけでございます。

山下よしき 今御答弁ありましたように、ほかにはないんですね。全国でここだけが7回連続、もう十数年にわたって指摘されながら、堆砂の除去が進まずに来ているということです。こんなこと許されるんですか。国交省。

野村次長 先ほど御答弁申し上げたとおり、やはり河川管理者の立場として、いわゆる河川管理者以外が設置するいわゆる利水ダム等についても、そこはやはり治水上の観点も含めて適切に維持管理されることが必要であると考えておりまして、そのために、定期検査を行って、そして指摘を行って、そしてその指摘に対してどのように対応するかということの報告を求めておりまして、先ほどお話し申し上げましたとおり、都度、電源開発株式会社からはこのような堆砂対策を実施しますという報告をいただいておりますので、私どもはそれを着実に実施していただくように注視しているところでございますので、決して、そのままたまるに任せるということが私ども許容しているところではございません。

山下よしき 資料2枚目に、国交省提出の瀬戸石ダム堆砂状況調査表に基づいて作成した表とグラフを示しています。左側の表を見ていただきたいんですが、例えば2002年度は堆砂量六十三万三千立米、それから2009年八十五万八千立米、2016年百二万七千立米となっております。これ、数字間違いありませんね。

野村次長 特に堆砂量につきましては、ダム設置者の方から毎年報告を求めておりますので、今ここに資料としてお示しした数字、基本的には報告のあった数字と一致していると思っています。

山下よしき それで、グラフにしたのが右なんですけれども、見ていただいたら分かるように、もう一貫して増え続けております。堆砂容量というのを囲んで載せておりますが、これは、ダムの計画時に100年経過したらたまっているであろう堆砂の量として堆砂容量が設定されているんですが、七十六万九千立米であります、この瀬戸石ダムの場合はですね。ところが、これを2009年にもう優に超えちゃいました。50年しかたっていないのに100年たってたまるはずの堆砂量を超えちゃったと。その後も増え続けておりますから、これ非常に危ないということが言えるわけであります。

 それで、結局、いろいろ先ほどから除去もしているんだということなんですが、計画、対応もしているんだと。確かに除去はされているようです。しかし、住民の方によりますと、少しぐらい除去しても、それ以上にまた土砂が流入して堆砂がたまるので、全然減らずにこういうふうに増え続けてきているんだということでありました。

 資料3枚目に、洪水時の被害を写真で示してあります。この右上は、河床が堆砂で大きく上昇している写真であります。左下は、洪水時、道路が冠水している写真であります。県道や生活道路が冠水すれば、学校や仕事にも行けないという状況が生まれております。瀬戸石ダムの上流で一番洪水が頻発しているのが芦北町というところでありまして、最近だけでも2008年6月、2010年6月、2012年7月に洪水被害が起こりました。床上浸水、車の水没、道路の冠水、集落の孤立。2012年の7月では、道路が2日間つかって、葬儀の予定があったけれども、車が使えないので、ひつぎが運び出せずに葬儀ができなかったということも起こったと聞きました。

 住民の生の声を紹介したいと思いますが、10年前に宅地のかさ上げをしてもらったが、最近の増水時はかさ上げした地面から三十センチのところまで水が来ると。近年、各地の集中豪雨を見ると、このかさ上げの高さで大丈夫か心配だ。あるいは、2年に1回程度は球磨川があふれ、道路が冠水する。自分は何度も肥薩線、すぐそばに鉄道が通っているんですが、その線路の上を歩いて帰ったと。急病人が出たらどうするのかとか、堆積土砂、必要なところが手付かずだと、撤去すべきところを確実に撤去するように国交省がダム管理者のJパワーに強く指導してほしいなどの声が出ております。

 国交政務官に伺いますが、住民はJパワーに堆砂の危険を指摘し、除去を要請してきましたけれども、このように堆砂量が増え続けて、このような被害が繰り返し出ております。住民の声、どうお感じでしょうか。

根本政務官 瀬戸石ダム周辺においては、昭和57年に家屋の浸水被害を伴う洪水が発生をいたしました。このため、瀬戸石ダムの設置者である電源開発においては、ダム堆砂の影響により浸水被害が生じるおそれのある地域について、昭和57年洪水クラスの洪水が再び発生しても家屋の浸水被害が生じないよう、堆砂除去に加え、平成8年から家屋のかさ上げや移転補償、田畑の浸水地役権の設定などを実施しており、平成27年までに完了したところです。

 また、現状においても、瀬戸石ダム上流の県道などの一部区間では、平成24年や平成28年など近年でも浸水が生じております。

 国土交通省といたしましては、引き続き堆砂対策が必要な状況であると認識しており、堆砂の状況を的確に把握しながら、電源開発において適切に堆砂対策が進められるよう注視しつつ、必要に応じて指導、助言を行ってまいります。

山下よしき 必要に応じて指導、助言ということなんですが、こういう状況が残念ながら続いておりまして、グラフで示したように堆砂は減っておりません、増えております。危険がますます増えていると言わなければなりません。

 ですから、私は、国交省としてJパワーに速やかに堆砂の除去を行うよう強く指導すべきではないかと。その際、どこの堆砂が、河道が曲がっているところにたまっているこの堆砂を一番最初にどけなければ、ここから越水するぞということも住民の皆さんが一番よく御存じですから、よく住民の意見を聞いて堆砂を、速やかに実施する、そういうふうに強く指導すべきだと思いますが、いかがですか。

野村次長 先ほどもお答えいたしましたとおり、電源開発におきましては、毎年の掘削量を明示した計画を策定をし、特に平成27年には更にそれを強化する形で新たな計画を定めて堆砂の除去を実施しているところでございまして、私どもとしましては、まずはその計画に基づき、電源開発におきまして堆砂対策が適切に実施されるよう、まず状況を的確に確認をしていくということから始めたいと思います。

 そして、今先生御指摘のように、住民の声にもきちんと耳を傾けるということでございますけれども、もちろんこれまでも電源開発におきましては住民の声を聞きながら対策を進めてきたものと承知をしておりますけれども、国交省といたしましても、河川管理者としての立場から引き続き、やはり地元住民のそこの地域に住んでおられる方々が分かっておられるということもありましょうから、そういったことで地元住民など地域の声に耳を傾けながら堆砂対策を進めていくよう、電源開発に対しまして技術的な助言をしっかりと行ってまいりたいと思っています。

山下よしき 是非政務官に聞きたいんですけど、こういう状況がずっと続いておりまして、対策するんだ、するんだと言いながら、やっているんだけれども全然追い付いていないというのがもう実態なんですよ。今それを注視するという御答弁でしたが、注視していたらますます大きな被害が続発することにならざるを得ないと思います。

 私は、もうこれ以上対策が滞るならJパワーにダムの管理運営能力ないと言わざるを得ないんですが、そういう厳しい立場から強い指導を、政務官、やるべきじゃありませんか。

根本政務官 国土交通省においては、定期検査の結果や毎年の堆砂量測定の結果を踏まえ、これまでも電源開発に対して適切な堆砂対策を行うよう指導、助言に努めてきたところです。また、電源開発においても、逐次堆砂対策を強化してきており、近年の堆砂状況を踏まえた対策は講じられてきたものと考えております。

 なお、瀬戸石ダムについては、本年5月に国土交通省において定期検査を実施し、現在その結果を取りまとめているところです。その検査結果や本年電源開発から報告される予定の直近の堆砂量の状況を踏まえ、引き続き電源開発に対し指導、助言を行ってまいります。

山下よしき 住民の声を紹介しましたから、それを重く受け止めていただいて、政治のやはり役割が大事だと思いますから、今政務官うなずいておられますので、強い指導を期待したいと思います。

 最後に、経済産業省に伺います。

 私は、Jパワーに対して、発電に係る経費、すなわち人件費だとか維持費だとか、それから堆砂の除去費もこれに含まれると思います。それから、売電先、それによる収益などの情報を住民に提供させて、この瀬戸石ダムの今後の在り方について住民と一緒に考えることができるようにすべきだと思いますが、いかがですか。

小澤典明(経済産業大臣官房参事官) お答えいたします。

 個別のダムあるいは発電所の設置、運営につきましては、基本的には事業者が判断すべきものと考えてございます。

 その上で、そういった設置、運営に当たっては、これは電気事業法に基づく法令上の義務付けといったことはございませんけれども、地域の住民の皆様の理解を得られるよう取り組むことは非常に大事だというように認識しております。そのために必要な取組につきましては事業者において適切に行われるべきものと考えております。

 実際に、瀬戸石ダム発電所につきましては、事業者である電源開発が、ダムの、発電所の状況に関する情報提供、あるいは住民の皆さんの声をお聞きする、そういった理解活動、さらには、先ほど国交省の方からもございましたが、堆砂の土砂対策など、こういった活動をやってきているところでございます。

 引き続き、こうした努力が継続していくこと、そういったことが大事かというように思っております。

山下よしき 終わります。