高齢者、障がい者、どうやって津波から逃げる手だてを取るか、これが一番の課題 
【議事録】 2013年6月12日 参議院災害対策特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 先日、南海トラフ巨大地震津波で大きな被害が予想される和歌山県の津波対策について、和歌山県和歌山市、海南市に調査に行ってまいりました。特に感じたのは、避難訓練、防災訓練の重要性の再認識です。例えば、海南市長さんは、市民の20%が訓練に参加している、東日本大震災後、関心の高さが違うとおっしゃっていました。
 いろいろ聞いて、私が感じた避難訓練には二つぐらい教訓があるなと思っております。第一は、住民の皆さんの逃げるという意識が高まるということです。和歌山市の担当者の方は、南海トラフ巨大地震津波の予測が発表された後、津波高の数字が独り歩きをして、もうどうしようもないと考えている高齢者の方がいると。そういう方に防災講座なんかで家族や孫が探しに来るよと言いながら、まず逃げてもらうということを徹底しているんだとおっしゃっていました。それから、これは和歌山じゃないですけれども、NHKのニュースで報道されていました高知の場合も、もう30メートルを超える津波が短時間で来ることについてもう諦めている高齢者がいるのに対して、避難訓練を子供さんと一緒に手をつないで山に上がるという経験をする中で、やっぱり逃げよう、生きようという気持ちが高齢者の中に湧いてきたということもありました。やはり、この訓練を通じて逃げる意識が高まるというのが第一。
 第二に、逃げる上での課題や障害が分かり、対策が進むということも感じました。海南市の場合は、割と平野部がそれなりの広さなので、逃げるよりも近くの高い建物に駆け上がる方が早いんじゃないかと。そうやって見ると、国家公務員の宿舎が幾つかあって、その屋上に避難してもらうことを市長を先頭に決めたと。そのために関係官庁と交渉もして、常に屋上への非常階段の入口を開放してもらうようにしたということも聞きました。
 それから、和歌山市の北部、本脇地区という海辺の地域では、避難訓練をする中で、車椅子を押して高台に行くのは無理だ、もうリヤカーの方がいい、そのためには道が狭過ぎる、地震でブロック塀が倒れてきたら大変だということも分かって、そういう問題の改良に着手しようとしているということでした。
 したがって、本当に避難訓練、防災訓練というのはいろんな効能があると思いますが、大臣の防災訓練、避難訓練についての重要性の認識、伺いたいと思います。

古屋圭司内閣府特命担当大臣(防災) 委員御指摘のように、やっぱり住民の皆さんが適切な避難行動を取ってもらうためには、単なる知識を身に付けるということだけではなくて、実際に行動して、移ってみるとかの体験的訓練、これを1回ではなく、やっぱり重ねてやっていくって極めて大切ですね。
 今回の法改正では、第7条に、住民の責務として防災訓練への自発的参加を努力義務として規定をさせていただいておりまして、また平成25年度の総合防災訓練大綱では、地方公共団体における防災訓練として、まず住民が防災を考え、具体的な行動を取る機会の提供、二つ目、地域住民等の連帯による自主的な防災訓練の普及促進、三番目、災害時要援護者の避難支援訓練、こういったものを位置付けをさせていただいておりまして、今後とも地域における避難訓練の、効果的な防災訓練の実施、こういったものについて周知を徹底してまいりたいと思いますし、そういった対応を促進をしてまいりたいというふうに思います。

山下よしき 和歌山の聞き取りでも、高齢者、障害者の存在を事前に把握することとともに、どうやってそういう方々の逃げる手だてを取るか、これが一番の課題となっていました。
 今回の改正案では、こうした災害時に避難する際手助けが要る避難行動要支援者の名簿作成やその活用、個人情報の取扱いなどの規定が設けられております。これをきっかけに、各自治体で、災害時の要援護者の避難支援をどうするか、計画の策定、マンパワーの確保に取り組むことになりますが、そこで、まず東日本大震災では被災者全体の死亡率と比べて高齢者や障害者の亡くなった比率が高いと言われておりますけれども、数字を御報告いただけますでしょうか。

西村康稔内閣府副大臣 総務省消防庁が公表しております平成25年3月26日現在の報告によりましたら、東日本大震災で亡くなられた方の総数は1万8千人にも上るというふうにされております。改めてお悔やみ申し上げたいと思いますが、この亡くなられた方のうち、65歳以上の高齢者の死者数が約6割を占めておりまして、さらに御指摘がありました障害者、障害をお持ちの方の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍というふうになっているところでございます。

山下よしき 今ありましたように、65歳以上の死亡が全体の六割、障害者の死亡率は全体の約2倍ということです。大臣、この数字をどう受け止めて、どう対応されるでしょうか。

古屋大臣 今委員おっしゃるとおり、65歳以上の方がこういう数字、今副大臣からも答弁があったとおり、やはりそこの背景には、亡くなられた方々におかれては必要な情報がまず届かなかったということがありますね。それから、避難すべきかどうかを判断することができなかった。あるいは、必要な避難支援を受けられなかった。寝たきりの状態や老老介護により、自力や介護者だけでは避難することができなかった。あるいは、もう避難すること自体を諦めてしまったという事例が少なからずあったんでしょう。行政として、こういった面は反省をしていかないといけないというふうに思います。避難行動要支援者の支援に取り組んでいく必要があると改めて認識をしております。
 そういった視点から、今回の改正における災害対策基本法への避難行動要支援者名簿の作成等の位置付けを行いました。そして、それを踏まえて、災害時要援護者の避難支援ガイドラインの見直しを進めることといたしておりまして、今回の東日本大震災で明らかとなった様々な課題を教訓に、全力でそういったものが起きないような取組をしっかりしてまいりたいというふうに思います。

山下よしき 要援護者の皆さんを支援するためには、私、地域力が必要だと思うんですね。要援護者の方を迅速に避難していただくためには、手助けする方が必ず必要です。比較的若くて元気な方がやはり地域の中にたくさんいることがその地域力の一つの要だと思うんですが、行政のマンパワーはもちろんです。それから、介護福祉事業者のパワーも要るでしょう。しかし、それだけではやっぱり足らないです。
 例えば、その地域にある職場の労働者、あるいは農業従事者、特に後継者、そういう比較的若い力が地域の中にあるというのが、いざというときの要援護者の避難の支援に大きな力を発揮していただけるんじゃないかと思うんですが、ただやはり、もう皆さん御存じのとおり、地域を歩きますと、日常的にそういう方々が存在できているのかという点では非常に心配です。雇用の場が地域からはだんだんだんだん少なくなっております。農業で食べていけないということで、後継青年も少ない状況も生まれております。ですから、地域の中に日常的に支援する側の方々が存在していただく上でも、何といいますか、地域力の確保、これ大事だと思うんですが、大臣の認識伺いたいと思います。

古屋大臣 お答えいたします。
 要支援者名簿に記載し又は記録した情報は、本人の同意を得て必要な限度であらかじめ市町村から避難支援等関係者に提供することとしていますけれども、避難行動要支援者が確実に避難できる体制の確保を進めるためには、平時から地域づくり、人材育成等に幅広く取り組んでいくこと、行政だとか福祉の事業者だけではなくて、やはり農業とか漁業に従事する方々とか企業の従事者、こういったより多くの支援者を確保していくということは極めて重要です。委員のおっしゃるとおりだと思います。
 このため、国としても、災害時要援護者の避難支援ガイドラインを見直しまして、ふだんから住民同士が顔の見える関係を構築することを促進をして、支援者を拡大するために、まず地域づくり組織だとか福祉団体、市民団体等と要支援者が連携をした防災訓練を行っていくということ、それから地域づくり担当部局とも連携をして、防災行事に限らない様々な地域行事への参加の呼びかけであるとか、要支援者に対する声掛けあるいは見守り活動等を通じて人と人とのつながり、これを深めていくこと、そして自主防災組織、自治会等に対して、要支援者と接するに当たって留意すべきことなどの研修を行うこと、こういったことを盛り込みまして、その対策を強化をしてまいりたいというふうに思います。

山下よしき 繰り返しになりますが、その対策をやる上でも、マンパワーといいますか、元気な比較的若い方がいないと駄目です。その点では、僕はすごく痛感するんですけど、今大企業が地域の工場を勝手に閉鎖して海外に出ていっちゃうということだとか、TPPだってこれ農業に対しては非常に大きな打撃を与えますから、こういうことは地域の防災力を確保する上でもよく考えてやる必要がある、止めなければならないと、こう感じております。
 もう一つ、要援護者の方々を安全に避難していただく上で、例えば津波てんでんこという言い伝えや言葉があるとおり、津波においてはまずそれぞれが逃げることが基本だと言われております。これと要援護者の避難支援とをどう両立させるのか、大変これ重たい課題だと思います。大臣が先ほどから答弁されている中身は、恐らくこの災害時要援護者の避難支援に関する検討会の報告書の中に出てくる内容だと思いますが、この冒頭に、助けようとして自分も津波にさらわれたという事例が幾つも出ております。これ、どう考えたらいいのか。
 私は、私なりに考えることを少しまず述べて大臣の見解を伺いたいんですが、やはり科学的な予測に基づいた計画が大事だと思います。この地域は津波が何分後に、あるいは何十分後に到達するのか。あらかじめしっかりとそのことを想定した上で、その間にどんな対策ができるのか、それを取るのにどういう協力体制が必要なのか。で、実際にそれができるか訓練でやってみる。その上で、どうしても無理な場合は、もうそういう要援護者の方々を安全な場所に移り住んでいただくということも含めて対策を取る必要があると思いますが、いずれにしても住民が主人公で、日常から、常日ごろからそういうことを考えておくことが大事だと思うんですが、非常に重い課題も含まれると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

古屋大臣 避難行動要支援者に対する支援については、やはり避難支援者の関係者の協力というのがこれは不可欠でして、ちなみに今度の東日本大震災でも、消防団員とか消防団の死者・行方不明者、実際それ援護に当たった方ですよね、281名に上りました。避難支援に当たった方も多数犠牲になられているわけでありまして、実際に避難支援に当たられる方々の安全確保というのも一方では重要ですよね。
 今回の法改正については、災害応急対策に従事する者への安全確保への配慮規定は設けさせていただきました。また、国として、先ほどのガイドラインを見直して、事前に避難行動要支援者と支援者の間でしっかりと打合せを行う、支援者本人等の安全を守ることを大前提として、地域で避難支援の撤退ルール、これについて定めておく等々を盛り込みまして、避難行動要支援者の円滑な避難支援と支援者の安全確保、この両立、これをしっかり図っていかないといけないわけで、そういう視点に立って取り組んでいきたいというふうに思っております。

山下よしき 撤退ルールという言葉がありました。ここに載っているんですけれども、それ読んで、これ本当にこれでいいかなと思ったのは、支援者は全力で助けようとするが、助けられない可能性もあることを理解してもらうことが望ましいと。これは非常に残酷というか、しかし、助ける側まで一緒に流されたのでは元も子もないと。
 やっぱり、これは地域の中に助ける側の人数を増やすことだと、解決の方法としてはですね。そうじゃないと、もう助けられないかもしれませんよという通告をしなければならないということになりますので、やはりここは、これはもう行政だけでは駄目ですけれども、さっき言ったいろんな地域の力をしっかり確保できるような総合的な対策が必要であります。
 もう時間が参りましたので、最後に、障害者団体の当事者の声をしっかりその計画を作成する段階から取り入れていただきたい。そして、障害者の中でも助かった人もおられますから、その教訓もまとめて生かしていただきたいということを要望して、終わります。

被災者の生活再建、農漁業のとのかかわりで住宅再建もセットで 
【議事録】 2013年6月7日 参議院災害対策特別委員会 参考人質疑

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 4人の参考人の皆様から、未曽有の大規模災害の現場に身を置かれた、あるいは今も置かれている立場から、大変重要な御意見を伺うことができました。一言一言胸に迫ってくるものがありました。ありがとうございました。
 まず、磯辺参考人に伺います。
 どれだけ多くの命が奪われれば法や制度は変わるのかと感じてきた、それから、被災者の血のにじむような努力で、生活再建支援法だと思いますが、作られたことを忘れてはならないと、大変思いのこもったお言葉でした。私も共感するところがあります。血のにじむような被災者の努力で生活再建支援法ができたということについて、もう少し詳しく、思いも含めて聞かせていただければと思います。

磯辺康子参考人(神戸新聞社編集委員) 阪神・淡路のときには、今のような生活再建支援法がなくて、災害救助法も政府の方では現物支給が基本ということですので、被災者が取りあえずの生活再建を進めていくための資金が欲しいというのは、やはり義援金とか保険とか、そういうものに頼らざるを得ませんでした。それ以前は、義援金の額に対して被災者の数が少ないという災害が割と多かったですので、一世帯当たりの義援金がかなり多額であったということがございますが、阪神・淡路の場合は20万円、30万円というような非常に少ない額になってしまいました。
 やはりその義援金頼みの生活再建では無理だということで、皆さん、被災者の方が多く疑問を持たれて、署名活動をして、生活再建支援法が3年以上たってようやくできたということなんですね。その間、いろんな運動をされた方がいらっしゃって、それによって、最初は百万円でしたけれども、非常に貴重な現金支給の法律ができたということで、小さく産んで大きく育てる法律にしようということで、今ようやく最高3百万円まで支給される法律になったということで、このプロセスは私はとても大事なことだというふうに思っています。
 以上です。

山下よしき ありがとうございます。
 私も、阪神・淡路大震災の年に初当選させていただいて、被災者の皆さんと一緒に、生活再建に対する公的支援をどう実現するか、立法府に身を置く者の一人としてかなり当時の政府の立場と板挟みになって苦悶いたしましたけれども、やはり被災者の皆さんの運動、今、磯辺参考人からたくさんの運動があったというふうに紹介されましたけれども、その運動に支えられて一緒に作ることができたと思っております。で、終わりじゃないと。やっぱりどんどんどんどん災害被災者の皆さん、新たな被災者の皆さんと一緒にこれを前進させていく、発展させていく、やはり常に運動、闘いと私は思っておりますけれども、そういうものがあって被災者制度というのは前進するんだと思っております。
 それで、もう一つ磯辺参考人、復興には時間が掛かるんだとお話しされました。いろんな課題がまだ阪神・淡路の被災地でも残っているんだと思います。その一つとして、僕が非常に今危惧しているのは、借り上げ公営住宅の20年の期間、期限の問題です。多くの高齢者の方々が、あと何年かで期限が来るので、公営住宅なんだけれども出ていかざるを得ない状況に追い込まれている。これは人道上も問題だと私も思っているんですが、この問題についてどういう見解をお持ちでしょうか。

磯辺参考人 ありがとうございます。
 民間住宅を借り上げて公営住宅扱いにして被災者の方がそこに入っておられて、民間住宅ですので、そこも20年たつと返さないといけないという問題が今阪神・淡路の被災地で起きているという御指摘だと思うんですけれども、非常に高齢者の方が多くて、なかなか引っ越しするのが大変だ、引っ越しするのが大変というよりも、そこのコミュニティーでこの十数年築いてきた人間関係であるとか、そういうもの全て失うのは非常に、ある意味生命にかかわるという方もおられます。ですから、そのところはしっかりと配慮してやっていただかないといけないなというふうに思っております。
 以上です。

山下よしき ありがとうございました。
 続きまして、室崎先生に伺いたいと思います。
 私は、室崎先生も被災者の立場に立って支援の内容を前進させるために闘った学者の代表格だと思っております。そこで、先生、先ほどの意見陳述で、今度の法改正を評価しつつも、残された課題がまだあると。生活再建や住宅再建への踏み込みが弱い、特に住宅再建への踏み込みが弱いという御指摘だったと思いますが、どのような問題がまだあると認識されているのか。
 私は、先ほど磯辺参考人も少し述べられたんですが、例えば被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給限度額が3百万円ですけれども、津波で根こそぎ住宅が失われた東日本大震災の皆様にとって3百万円では、阪神にはゼロでしたから、これ大きな支えになっておりますけれども、やはりこれでは不十分ではないか、5百万円に当面引き上げる必要があるんじゃないかとか、先ほどお話があった半壊や一部損壊も対象にするべきではないか、店舗もするべきではないか、こういう問題があるんではないかと。
 それから、災害救助法関係では、被災者の生活を中長期的に再建していくことにつなぐという観点から、例えば仮設住宅の建設に際して将来的に災害公営住宅や個人の住宅に転用可能な木造の戸建ての仮設住宅を建設する等の問題もあるんじゃないかなと、これは私が思っているんですけれども、室崎先生の住宅再建についてのもっと踏み込んだ支援が必要だという点はいかがなものでしょうか。

室崎益輝参考人(公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長) まず第一点は、これは従来の住宅再建の常識というものをやはり変えていかないといけないというふうに思っています。それは災害復興公営住宅で被災者を救済するというのは主要なルートでありますけど、それにこだわり過ぎると必ずしも、例えば公営住宅を造ってもそこに入る人が意外に少なかったとか、空き家になったまま放置をされるとか、やっぱりそういう問題が出てくるわけですね。
 今回の東日本の場合ですと、自分の土地にやっぱり住み続けたいという人がとても多い、あるいはほかの周りの人と一緒に住み続けたいと。そうすると、既にこれは実行されていますけれども、木造の公営住宅を造って何年間で払下げをする、それは個々の敷地に造って隣同士で一緒に住めるような形にするというような、形でいうと従来の公営住宅の概念を少し変えていかないといけない。あるいは、一戸建ての公営住宅でもいいよとかというようなことだとか、あるいは住宅再建でいうと、最初は小さな住宅を造るときに対してしっかりサポートするけれども、将来にわたって増築をしていくところのプロセスについてもそのプログラムを持つというような形で、少し住宅再建の多様な在り方というか、実態に応じて少し考えていくというようなことをしないといけないというのが一点目です。
 それから二点目は、いわゆるこれ阪神のときは仕事を失って大変な人がたくさんいてたんですけれども、大半の人たちは大阪に勤務していてサラリーマンだったので、問題は主として住宅であった。だからこそ、住宅の再建ということで非常に取り組んで、生活再建支援法等というのは形の上では住宅の制度ではありませんけれども、実質的には住宅再建の支援制度として生み出されたわけです。
 ところが、今回の東日本を見ていると、住宅も重要ですけれども、まさに生業というかなりわい、暮らし、生きがいとか暮らしだとか、その支えがないと住宅が戻ってもやっぱり住み続けられないと。そうすると、住宅再建だけではなくてそういう生業再建みたいなものも要るし、さらにはもっと言うと、コミュニティー再建だとか、その再建を全体で考えていかないといけないので、いわゆるそれを住宅再建という狭い範囲で考えていると、やっぱりなかなか復興はうまくいかないので、少しその辺りのことも、だから生活再建支援法というもののフレームをどういうふうに考えて、その中に生業支援もはめ込むのか、別途、生業というか、中小企業だとか商店の人たちが立ち上がるところに別の制度を作るのか、これはちょっと検討していかないといけないだろうというふうに思っています。
 最後、三点目ですけど、これは私に3百万では少ないと言わせようとしているのかもしれませんけれども、私は3百万論者なんです、増やす必要はない。それはどうしてかというと、一つのフレームは、まさに自助、共助、公助の関係をどうとらえていくのかということだと思うんです。だから公助の公的支援だけではなくて、やっぱり自助というと、これは保険の問題だとかいろんな問題がありますし、共助というのは義援金だとか、あるいは事前に兵庫県がやっているフェニックス共済のようなもので支え合うシステムというものをしながら、トータルで組み合わせてしっかりつくり上げていくということだと。
 ただ、そのうちの自助で、自助の力がどうにもならない人がやっぱり世の中にはいるわけです。その人たちに自助であなた3百万貯金していないのが悪いと言うわけにはいかないので、その部分については別途、福祉的な視点というか災害保護的な視点で何か別途考えないといけないと思いますけれども、少し自助、共助、公助のバランスの中で公助の責任というのはどこまでかということを考えていかないといけないというふうに一つは思っているわけでありますし。
 それからもう一つは、先ほど出たことと関係するんですけれども、生業支援とかそういうもののところをもっと手厚くして、トータルとして再建できるように考えるということは必要ではないかというふうに思っています。
 以上でございます。

山下よしき やはり阪神・淡路と東日本の大きな違いは、住宅再建だけでは済まないという、生業支援がどうしても、漁業ですとか農業、林業とのかかわりで住宅がセットにならないと、家だけでは何ともならないというのはおっしゃるとおりだと思っております。
 それと、その上で、私、阪神・淡路以来、被災者の願いの前に壁のように立ちはだかった理屈の一つが、私有財産制の国では個人の財産は自己責任が原則だという、この論法でした。ただ、これはもう僕は事実上、その後の被災者の支援の拡充によって住宅再建に3百万円出すことができるようになったということで突破されてきつつあるんだと思っているんですが、いまだにいろんなことでこの考えがしっぽとして残っていまして、いろんな、例えば住宅地の改良ですとか集団移転のときの問題ですとか液状化対策ですとか、そういうものになると必ず個人の財産はというのが付いて回るんですね。しかし、そのときにやはり理論的な整理が必要ではないかと。
 僕は、住宅というのはもちろん個人の財産という側面があるけれども、同時に住宅なしに人間らしい生活を営むことはできない、したがって、これは必要不可欠の生活基盤の一つ、その破壊された生活基盤を再構築するために必要な支援という側面が一方であると思うんですね。単に財産という面だけ見て、私有財産云々というのは当たらないと。そこをはっきりしないと曖昧で、何かのときにそれがまたもたげてくると。
 室崎先生にこの辺りの考えについて少し整理いただければ有り難いと思います。

室崎参考人 先ほどの質問とも関係すると思いますけど、だから個人財産としての住宅で、確かに全てが、でも、公共性を持っているわけではないと思っている。私は、やっぱり自助、個人の財産としての部分と、それからもう一つは公共的な部分と、両方相併せている。それは、例えば町並み、景観をつくるということもそうですし、あるいは住宅が早く建つことによって人口の回復が早くて地域の経済が早く元に戻るというようなこともあります。そういう意味では、公共的な側面があるし、他方でいうと、でも個人財産で、やっぱりそれを維持し管理するのは個人の責任だという部分があるわけです。だから、そういう意味でいうと、その割合というかバランスをどう考えるかということだと。
 そういうことでいうと、どの部分が公助かというのはしっかり議論をして早くきちっと決めた方がいいと。公的な性格はここ、この部分に対して公として支援をすると。そうすると、額の問題も僕はおのずから決まってくるんだろうというふうに思っています。

山下よしき ありがとうございました。
 石巻の亀山市長に伺います。
 市長も、現在最大の課題は住宅再建だというふうにおっしゃいました。それで、1万2千世帯、2万9千人が仮設住宅になおお暮らしだと。この方々が今からどう仮設から出ようとされているのか。先ほどちょっと土地の買上げの問題が言われましたけど、少し教えていただきたいのは、1万2千世帯が今後恒久住宅に移っていく上で、自力再建、自宅を自力で再建される方がどのぐらいいて、それはなかなか難しいだろうから公営住宅に入っていただこうと、そしてそれがどのぐらいの、あと何年ぐらい公営住宅だとか自力再建というのが掛かるのか、大体のところ、どんなふうに御覧になっているんでしょうか。

亀山紘参考人(石巻市長) 今議員御指摘のように、全体として仮設住宅にお住まいの方、みなし仮設も含めてですけれども、1万2千世帯。大体7千世帯は自立再建していただけるんじゃないかと。ですから、あと4千は公営住宅建設を目標としてこれから建設していくという状況にあります。

山下よしき 大体、公営住宅の建設のめどというのは付いているんでしょうか。

亀山参考人 公営住宅につきましては、民民のケースではもう入居が始まりましたので、公営住宅についてはできるだけ早く、26年度には入居できるような状況まで持っていこうと。目標としては、今年が169戸、来年が2千戸、そして再来年が、達成目標ですけれども、3千3三百戸ということで、4千戸は27年度までには確保していきたいというふうに考えております。

山下よしき 時間が参りました。
 ありがとうございました。

被災者一人一人の生活再建を基本に据えて 
【議事録】 2013年5月31日 参議院災害対策特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 私たちは、復興対策の在り方として、阪神・淡路でも中越でも、また東日本でも、またその他の災害においても、被災者一人一人の生活の再建、地域コミュニティーの再建が基本に据えられなければならない、こう述べてまいりました。そして、生活の再建とは住まいとなりわいの再建であり、このことが地域社会と地域経済の復興を可能にするものだと、これも繰り返し述べてまいりました。
 そこで、古屋防災大臣に伺いますが、被災者一人一人の生活再建が基本に据えられなければならない、この点が今度の二法案の中で規定されている基本理念ではどうなっているでしょうか。

古屋圭司内閣府特命大臣(防災) 災対法におきましては、今回明確に規定をいたしました基本理念規定の一つとして、被災者一人一人の生活再建を図ることを含めて、被災者の援護を図り、災害からの復興を図るという規定をさせていただきました。
 また、大規模災害からの復興に関する法律案においても、基本理念にある被災地域における生活の再建とは、大規模災害から地域の生活を立て直し安定させることであり、被災者一人一人の生活再建を図ることを意味をしております。

山下よしき 大事な理念だと思います。
 もう一つ基本理念として伺いたいんですが、私は、地域の被災地の復興計画の策定に当たっては、上からの押し付けであってはならない、国やあるいは県が上から計画はこうあるべきだと押し付けてはならないと思っているんですが、これも阪神・淡路等の経験を踏まえてですね。この二法案では、その点どうなっているでしょうか。

古屋大臣 災害からの復興は、被災地域の住民の意向を尊重して行われるべきものであります。地域住民の主体的な取組というものが欠かせないものというふうに認識をいたしております。
 このため、今度の法律案においては、復興に当たっての基本理念として、地域住民の意向を尊重するような規定をしておりまして、復興計画の策定に際しても、公聴会の開催や住民の意見を反映させるために必要な措置、これを義務付けをいたしているところであります。また、復興計画やその実施について協議を行う復興協議会について、地域の実情において住民の参加が可能になるということも規定しているところであります。

山下よしき これまた非常に重要な理念だと思うんですが、その重要性を反面教師的に確認するために、私は阪神・淡路大震災後の神戸市長田区の再開発の事例を一つ紹介したいと思います。これは、上からの復興ではまずいという残念な事例なんですが。
 私、何回も長田区の再開発地区歩いているんですけれども、もうこれは五、6年前ですけれども、長田では、御承知のとおり最激震区なんですね、長田区というのは。再開発地区にされました。震災で焼けた長田の町にまだ煙がくすぶっているころに行政は上空からヘリコプターで視察をして、20ヘクタール余りの大規模な再開発計画を決定したんですね。住民が救援あるいは避難している間に行政がヘリコプターでそういうことを決めちゃったわけです。
 そこが今どうなっているかということなんですが、これ、5、6年前に私が実際に聞いた声をブログからもう一遍紹介しようと思っているんですけれども、再開発ビルに入居した商店主の皆さんの怒りと不満はもう強烈でした。例えば、食料品販売店経営者。再開発が完了するまで9年掛かった、地域密着型の商売にとって9年間は長過ぎる、荒れ果てた畑で商売するようなもんですわ、こんなでっかいビル建てて、火も使わぬのにスプリンクラーが六つも付いている、高度化資金3500万円借りたが2年後からの返済のめどはない、角地の店も出ていった、みんな困っているという声。それから、料飲店経営者の方。2500万円高度化資金を借りたが、返済が始まったらみんなばたばた潰れるんやないかな、ビルは立派やけれども中身を見てほしい、再開発に反対していた人の言うとおりになったと、こういう声でありました。これ、もう5、6年前の話ですが、もう入居して2年ぐらいでこんな声が出ていたわけですね。
 それで、今はどうなっているかということなんですけど、これ去年の5月の岩手日報ですけれども、この長田の再開発地区のことをこう評しております。商業床7万6300平方メートルの51%に当たる約3万9千平方メートルが売れ残り、市が所有している、倉庫に使われるなどシャッターを閉めた区画が目立つ、衣料品店を営む阿多澄夫さん、63歳は、売ることも貸すこともできないとため息をつく、復興を信じ頑張ってきたが町に震災前の活気は戻らず、採算割れが続き廃業を決めた、だが、開店前の借金約1500万円の返済が済んでいない、売却を考えたが、不動産業者に再開発ビルの店舗は値が付かないほど価値が下がり売れないと説明されたという。賃貸でも借り手が付かない、商店街には145平米、月10,000円ほどで貸し出されている区画がある、阿多さんは、市や市出資の管理会社が破格の賃料で出店させていることが原因とし、ただ同然の賃料が資産価値を下げている、これは人災、復興災害だと憤ると、こういう声であります。
 この記事では、続けて、どうしてこのような状況に陥ったのかと。日本茶販売店を営む伊東正和さん、63歳。これ、さっき紹介した6年前に意見を聞いた方なんですけれども。規模が大き過ぎたと、商売は震災前までいかなくともとんとんでやっていければいいと話す。兵庫県震災復興研究センターの出口俊一事務局長は、長田の再開発は行政が住民の声を聞かず強行した、まず震災前に戻し、それから落ち着いて10年20年先を考えてほしいと長田の教訓を踏まえて助言すると、こういう声であります。
 これ、でっかい再開発ビルが幾つも建っているんですけど、その地下一階部分と一階、二階部分が商業ゾーンになっていますけど、一階はともかく、二階部分と地下部分はもうこの再開発ビルが開店されたときからこういう状況がずっと続いていて、今やめるにもやめられないという状況があるわけですね。
 大臣、この復興災害という言葉が今言われているんですが、これしっかりと教訓にしなければならないと思いますが、いかがお感じでしょうか。

古屋大臣 御指摘をいただいた新長田駅前地区の再開発事業、これは阪神・淡路大震災において甚大な被害を受けた市街地の復興と防災公園等の整備、良質な住宅などを実施をするために、発災後2か月で都市計画決定を行い、それ以後、神戸市が施行する全面買取り型の第二種市街地再開発事業を実施しているところであります。
 神戸市においては、都市計画決定後の地元との調整のために、七地区のまちづくり協議会を設置をして神戸市と地元住民との調整を行い、必要な都市計画の変更を行った上で、既に地区内の当初計画の四十棟のうち32棟が完成し、地元調整も約1600の地権者との調整をほぼ終えているというふうに承っております。
 国としては、第二種市街地再開発事業は、防災性の高い市街地の形成のためには有効な手段だというふうに考えております。神戸市の地元調整と事業完成に向けた私は努力を見守っていきたいと思います。
 なお、既に建築をした再開発ビルにおける空き家問題についても、神戸市の独自施策で家賃の引下げなど努力を進めており、地域経済の再生のためにも神戸市が主体的に様々な努力を行っているというふうに考えております。

山下よしき 1回、大臣、ここ行かれたことありますか、古屋大臣。

古屋大臣 私は、当時、党の災害関係の部会の役員をいたしておりまして、度々足を運んでおります。最近はちょっと訪問しておりませんが、ずっとその過程は私は見てきております。

山下よしき 見てこられたということを踏まえての御発言としては、ペーパーを読まれたという感じがしたんですがね。
 行くたびに、私は、こういうやり方は、商店主の方、特にもうシャッター通りになっているし、やめられないという方がたくさんいらっしゃるし、こんなでっかいビルが要ったのかと。何年も何年も、9年掛かっているわけですよね。戻れないわけですよ、その間にもうよそに行った方が。そこで商売を始めた方がこういう苦境に立っているということでね。
 だから、僕は、復興というのは、やはり被災者、地元の方の声を聞いてしっかり進めないとこういうことになっちゃうと。これは神戸市を見守るというだけでは足らないんではないかなと私は思いますので、引き続きまた大臣にもしっかりと今の現状を見ていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、現在解決すべき問題が阪神・淡路であるので、提起したいと思います。災害援護資金制度の問題です。
 阪神・淡路大震災からもう18年たっておりますけれども、今でも生活に困窮し、災害援護資金の返済に苦しむ被災者の方がおられます。災害により住居、家財に大きな被害を受けた場合又は世帯主が重傷となった場合に、市町村が最大350万円を貸し付け、生活の再建を支援する制度でありまして、償還期限10年間、年利3%、阪神大震災の場合は融資から5年間は無利子に据え置かれましたけれども、この阪神・淡路大震災の災害援護資金の貸付けと償還状況はどうなっているでしょうか。

西藤公司厚労大臣官房審議官 お答えいたします。
 阪神・淡路大震災における災害援護資金につきましては、件数57,448件、金額で約1326億円の貸付けを行っております。このうち平成24年3月末時点の償還状況は、償還済件数が42,812件、償還免除件数が2,284件、そして未償還の件数は12,352件で、金額で約185億円となっております。

山下よしき 兵庫県の未償還の率でいいますと、件数で20.2%ですね。神戸市だと22.8%という数字をいただいております。5人に1人は、もう18年たっていますけれども、まだ返し切れていないわけですね。しかし、返さなければならない状況にこの方々はあるんですよ。
 どういう方がそうなっちゃっているかと。少し具体的な例を紹介します。
 Aさん、現在69歳、女性、独り暮らしの年金生活者です。年金額は年41万円、月34,000円です。震災当時は会社員として働いて、その後退職されました。災害援護資金の返済は月20,000円です。生活費と毎月の返済をするためにパン屋さんやケアハウスのヘルパーなどアルバイトを掛け持ちして頑張ってこられましたが、しかし、もう高齢で体も限界。生活費に加えて月20,000円の負担は本当に重いということで、病気になられたことがきっかけになって返済は滞納となってしまいました。2年前、ひょうご福祉ネットワークという市民団体に相談に行かれて、生活保護を申請しなさいということで、現在、生活保護を申請しておりますけれども、災害援護資金の返済も小口返済にはなっておりますけれども、それでも返し続けなければならないわけです。
 Bさん、72歳、男性、タクシー運転手。震災後、当面の生活費のために300万円借りました。仕事もぼちぼちしかできないし、体もきついので、できれば引退したいんだけれども、保証人というのがやはりあって、迷惑を掛けるのでやめられないと。既に滞納がちになって保証人のところに請求が行って、申し訳ない思いでタクシーに乗り続けてきたけれども、結局、消化器系の病気を患って、保証人に迷惑を掛けまいと、昨年11月、タクシー会社を退職した退職金で援護資金の残りを返済し、今では生活保護で生活をされていると。退職金もそっちに費やされたということであります。
 Cさん、これはもう既に亡くなっている方ですが、女性の高齢者の方ですが、震災当時、夫婦で仮設住宅に入居して、県営住宅にその後移られました。仮設入居の際、当面の生活に困って、友人に保証人をお願いして援護資金を借りたと。その後、借受人の夫が他界して生活保護を受けるようになったと。それでも、私が死んでも返済は免除にならない、あの大変だったときに保証人を引き受けてくれた友人に迷惑を掛けるわけにはいかないと、返済を少額返済にしてもらって、少しでも保証人に借金が回らないようにと、70,000円弱の生活保護費の中から3,000円返し続けながら亡くなられました。もう18年たっている方が、生活に困窮した、生活保護に頼らざるを得ないような方が、保証人に迷惑を掛けたらあかんということで、ずっとこのおもしをしょい続けているわけであります。これが今の阪神・淡路大震災の援護資金借りた方の実例なんですね。
 そこで、もう一つ、東日本大震災の場合は、こういうことを踏まえまして特例が設けられました。どういう特例でしょうか。その内容と理由、教えてください。

西藤審議官 お答えいたします。
 東日本大震災では、災害援護資金につきまして、東日本大震災に対処するための特別財政援助及び助成に関する法律に基づきまして、償還期間について10年を13年に延長する、利息については3%を原則無利子、保証人がいない場合は1.5%にする。災害免除につきましては、貸付けを受けた者が死亡したとき又は重度の障害を受けた場合のほかに、支払期日到来から10年経過後において、なお無資力又はこれに近い状態にあり、かつ償還金を支払うことができる見込みがない場合を加えるなどの特例措置を講じております。
 こうした災害援護資金の特例措置は、甚大かつ深刻な被害に緊急に対処することにより、被災者、被災地の一日も早い平穏な生活を取り戻すため、被災者に対する特別の支援措置の一つとして講じられたものでございます。
 済みません、失礼いたしました。特例措置の内容の三番目ですが、償還免除についてということでございます。失礼しました。

山下よしき こういうふうに、無利子あるいは保証人なし、それからもう資力がない方、あるいはそれに近い方は償還免除なんですよ。これは、大事な特例だと思いますが。しかし、阪神の方は18年たっていても、もうほとんどの方は資力がないに等しい、にもかかわらず死ぬまで払い続けなければならない。もしこの東日本と同等の特例があれば、このおもしが取れて助かる、みんな高齢で義理堅い方々ですけどね。
 大臣、私は、これは少し、もうここまで来てなおこういうことでつらい目をしながら亡くなっていっているんですね。何とかならないか、何とかすべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

古屋大臣 阪神・淡路大震災で被災された方が償還に大変苦労されている、よく承知はいたしております。ただ、法律上免除ができるのは亡くなったときか、あるいは体に著しい障害を受けたために償還ができなくなったと認められるときのみが免除になっていますので、法律を実施する市町村としてはこの規定に基づいて取り組んでいるというのが実情ですね。
 実際に、この厳しい状況の中で実際に返済を努力してこられた方もたくさんいらっしゃるわけでありまして、こういった方々との公平性ということを考えると、そう簡単に結論は出せる話ではないというふうに思います。

山下よしき 私も、そう簡単に結論が出せる話でないとは思うんです。思うんですけれども、18年たってこういう状況があるというのは、この制度が持っている、私は、東日本ではもうこれ特例で救われるわけですけれども、そうなっていないわけですね。
 市町村に返還しますけれども、その3分の2は国が出している、貸し付けているわけですから、国が決断すればかなりのことはできると思います。私は、少なくとも、生活保護あるいは準じる世帯は、高齢の方は、もうこれは償還免除してしかるべきじゃないかと。それから、もうこれは保証人は外したらどうだと。保証人に迷惑掛けたらあかんということで、もう亡くなるまで返し続けているわけですね。こういうことはちょっと検討すべきじゃないかと思うんですね。
 阪神・淡路の方が、これにしか頼るものがなかったんです。今、東日本の方は被災者生活再建支援法ができていますから、住宅再建、生活再建に個人補償的な支援があります。しかし、ないから、これしかなかったんですよ。もう返せるかどうか分からないけれども、これしかないからみんな借りたんです。そうしたら、返せない方がこんなにたくさん残っちゃって、今5人に1人がもうこんな高齢になっても残っていると。
 こういうことを、よく特殊な事情を考察していただいて、ちょっと大臣、これはもう一遍踏み込んで検討していただけないかと。

古屋大臣 今申し上げましたように、やはりこういった厳しい状況の中で実際に返済に努力してきた被災者の方も大勢いらっしゃるんですね。そういった方々との公平性というものを考えると、先ほども申し上げましたように、安易にそういった結論はなかなか出せないというのが現実だというふうに思います。

山下よしき 公平性というんだったら、阪神・淡路大震災の被災者には個人補償、生活再建支援金もなかった、これこそ不公平だということを申し上げて、終わります。

災害対策基本法改正で阪神淡路の教訓を踏まえた見直しを 
2013年5月31日 参議院災害対策特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 私たちは、復興対策の在り方として、阪神・淡路でも中越でも、また東日本でも、またその他の災害においても、被災者一人一人の生活の再建、地域コミュニティーの再建が基本に据えられなければならない、こう述べてまいりました。そして、生活の再建とは住まいとなりわいの再建であり、このことが地域社会と地域経済の復興を可能にするものだと、これも繰り返し述べてまいりました。
 そこで、古屋防災大臣に伺いますが、被災者一人一人の生活再建が基本に据えられなければならない、この点が今度の二法案の中で規定されている基本理念ではどうなっているでしょうか。

古屋圭司防災担当大臣 災対法におきましては、今回明確に規定をいたしました基本理念規定の一つとして、被災者一人一人の生活再建を図ることを含めて、被災者の援護を図り、災害からの復興を図るという規定をさせていただきました。
 また、大規模災害からの復興に関する法律案においても、基本理念にある被災地域における生活の再建とは、大規模災害から地域の生活を立て直し安定させることであり、被災者一人一人の生活再建を図ることを意味をしております。

山下よしき 大事な理念だと思います。
 もう一つ基本理念として伺いたいんですが、私は、地域の被災地の復興計画の策定に当たっては、上からの押し付けであってはならない、国やあるいは県が上から計画はこうあるべきだと押し付けてはならないと思っているんですが、これも阪神・淡路等の経験を踏まえてですね。この二法案では、その点どうなっているでしょうか。

古屋防災相 災害からの復興は、被災地域の住民の意向を尊重して行われるべきものであります。地域住民の主体的な取組というものが欠かせないものというふうに認識をいたしております。
 このため、今度の法律案においては、復興に当たっての基本理念として、地域住民の意向を尊重するような規定をしておりまして、復興計画の策定に際しても、公聴会の開催や住民の意見を反映させるために必要な措置、これを義務付けをいたしているところであります。また、復興計画やその実施について協議を行う復興協議会について、地域の実情において住民の参加が可能になるということも規定しているところであります。

山下よしき これまた非常に重要な理念だと思うんですが、その重要性を反面教師的に確認するために、私は阪神・淡路大震災後の神戸市長田区の再開発の事例を一つ紹介したいと思います。これは、上からの復興ではまずいという残念な事例なんですが。
 私、何回も長田区の再開発地区歩いているんですけれども、もうこれは五、6年前ですけれども、長田では、御承知のとおり最激震区なんですね、長田区というのは。再開発地区にされました。震災で焼けた長田の町にまだ煙がくすぶっているころに行政は上空からヘリコプターで視察をして、20ヘクタール余りの大規模な再開発計画を決定したんですね。住民が救援あるいは避難している間に行政がヘリコプターでそういうことを決めちゃったわけです。
 そこが今どうなっているかということなんですが、これ、5、6年前に私が実際に聞いた声をブログからもう一遍紹介しようと思っているんですけれども、再開発ビルに入居した商店主の皆さんの怒りと不満はもう強烈でした。例えば、食料品販売店経営者。再開発が完了するまで9年掛かった、地域密着型の商売にとって9年間は長過ぎる、荒れ果てた畑で商売するようなもんですわ、こんなでっかいビル建てて、火も使わぬのにスプリンクラーが六つも付いている、高度化資金3500万円借りたが2年後からの返済のめどはない、角地の店も出ていった、みんな困っているという声。それから、料飲店経営者の方。2500万円高度化資金を借りたが、返済が始まったらみんなばたばた潰れるんやないかな、ビルは立派やけれども中身を見てほしい、再開発に反対していた人の言うとおりになったと、こういう声でありました。これ、もう5、6年前の話ですが、もう入居して2年ぐらいでこんな声が出ていたわけですね。
 それで、今はどうなっているかということなんですけど、これ去年の5月の岩手日報ですけれども、この長田の再開発地区のことをこう評しております。商業床76,300平方メートルの51%に当たる約3万9000平方メートルが売れ残り、市が所有している、倉庫に使われるなどシャッターを閉めた区画が目立つ、衣料品店を営む阿多澄夫さん、63歳は、売ることも貸すこともできないとため息をつく、復興を信じ頑張ってきたが町に震災前の活気は戻らず、採算割れが続き廃業を決めた、だが、開店前の借金約1500万円の返済が済んでいない、売却を考えたが、不動産業者に再開発ビルの店舗は値が付かないほど価値が下がり売れないと説明されたという。賃貸でも借り手が付かない、商店街には145平米、月10,000円ほどで貸し出されている区画がある、阿多さんは、市や市出資の管理会社が破格の賃料で出店させていることが原因とし、ただ同然の賃料が資産価値を下げている、これは人災、復興災害だと憤ると、こういう声であります。
 この記事では、続けて、どうしてこのような状況に陥ったのかと。日本茶販売店を営む伊東正和さん、63歳。これ、さっき紹介した6年前に意見を聞いた方なんですけれども。規模が大き過ぎたと、商売は震災前までいかなくともとんとんでやっていければいいと話す。兵庫県震災復興研究センターの出口俊一事務局長は、長田の再開発は行政が住民の声を聞かず強行した、まず震災前に戻し、それから落ち着いて10年20年先を考えてほしいと長田の教訓を踏まえて助言すると、こういう声であります。
 これ、でっかい再開発ビルが幾つも建っているんですけど、その地下1階部分と1階、2階部分が商業ゾーンになっていますけど、1階はともかく、2階部分と地下部分はもうこの再開発ビルが開店されたときからこういう状況がずっと続いていて、今やめるにもやめられないという状況があるわけですね。
 大臣、この復興災害という言葉が今言われているんですが、これしっかりと教訓にしなければならないと思いますが、いかがお感じでしょうか。

古屋防災相 御指摘をいただいた新長田駅前地区の再開発事業、これは阪神・淡路大震災において甚大な被害を受けた市街地の復興と防災公園等の整備、良質な住宅などを実施をするために、発災後2か月で都市計画決定を行い、それ以後、神戸市が施行する全面買取り型の第二種市街地再開発事業を実施しているところであります。
 神戸市においては、都市計画決定後の地元との調整のために、7地区のまちづくり協議会を設置をして神戸市と地元住民との調整を行い、必要な都市計画の変更を行った上で、既に地区内の当初計画の40棟のうち32棟が完成し、地元調整も約1,600の地権者との調整をほぼ終えているというふうに承っております。
 国としては、第二種市街地再開発事業は、防災性の高い市街地の形成のためには有効な手段だというふうに考えております。神戸市の地元調整と事業完成に向けた私は努力を見守っていきたいと思います。
 なお、既に建築をした再開発ビルにおける空き家問題についても、神戸市の独自施策で家賃の引下げなど努力を進めており、地域経済の再生のためにも神戸市が主体的に様々な努力を行っているというふうに考えております。

山下よしき 1回、大臣、ここ行かれたことありますか、古屋大臣。

古屋防災相 私は、当時、党の災害関係の部会の役員をいたしておりまして、度々足を運んでおります。最近はちょっと訪問しておりませんが、ずっとその過程は私は見てきております。

山下よしき 見てこられたということを踏まえての御発言としては、ペーパーを読まれたという感じがしたんですがね。
 行くたびに、私は、こういうやり方は、商店主の方、特にもうシャッター通りになっているし、やめられないという方がたくさんいらっしゃるし、こんなでっかいビルが要ったのかと。何年も何年も、9年掛かっているわけですよね。戻れないわけですよ、その間にもうよそに行った方が。そこで商売を始めた方がこういう苦境に立っているということでね。
 だから、僕は、復興というのは、やはり被災者、地元の方の声を聞いてしっかり進めないとこういうことになっちゃうと。これは神戸市を見守るというだけでは足らないんではないかなと私は思いますので、引き続きまた大臣にもしっかりと今の現状を見ていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、現在解決すべき問題が阪神・淡路であるので、提起したいと思います。災害援護資金制度の問題です。
 阪神・淡路大震災からもう18年たっておりますけれども、今でも生活に困窮し、災害援護資金の返済に苦しむ被災者の方がおられます。災害により住居、家財に大きな被害を受けた場合又は世帯主が重傷となった場合に、市町村が最大350万円を貸し付け、生活の再建を支援する制度でありまして、償還期限10年間、年利3%、阪神大震災の場合は融資から5年間は無利子に据え置かれましたけれども、この阪神・淡路大震災の災害援護資金の貸付けと償還状況はどうなっているでしょうか。

西藤公司(厚生労働大臣官房審議官) お答えいたします。
 阪神・淡路大震災における災害援護資金につきましては、件数57,448件、金額で約1326億円の貸付けを行っております。このうち平成24年3月末時点の償還状況は、償還済件数が42,812件、償還免除件数が2,284件、そして未償還の件数は12,352件で、金額で約185億円となっております。

山下よしき 兵庫県の未償還の率でいいますと、件数で20・2%ですね。神戸市だと22・8%という数字をいただいております。5人に1人は、もう18年たっていますけれども、まだ返し切れていないわけですね。しかし、返さなければならない状況にこの方々はあるんですよ。
 どういう方がそうなっちゃっているかと。少し具体的な例を紹介します。
 Aさん、現在69歳、女性、独り暮らしの年金生活者です。年金額は年41万円、月34,000円です。震災当時は会社員として働いて、その後退職されました。災害援護資金の返済は月20,000円です。生活費と毎月の返済をするためにパン屋さんやケアハウスのヘルパーなどアルバイトを掛け持ちして頑張ってこられましたが、しかし、もう高齢で体も限界。生活費に加えて月20,000円の負担は本当に重いということで、病気になられたことがきっかけになって返済は滞納となってしまいました。2年前、ひょうご福祉ネットワークという市民団体に相談に行かれて、生活保護を申請しなさいということで、現在、生活保護を申請しておりますけれども、災害援護資金の返済も小口返済にはなっておりますけれども、それでも返し続けなければならないわけです。
 Bさん、72歳、男性、タクシー運転手。震災後、当面の生活費のために300万円借りました。仕事もぼちぼちしかできないし、体もきついので、できれば引退したいんだけれども、保証人というのがやはりあって、迷惑を掛けるのでやめられないと。既に滞納がちになって保証人のところに請求が行って、申し訳ない思いでタクシーに乗り続けてきたけれども、結局、消化器系の病気を患って、保証人に迷惑を掛けまいと、昨年11月、タクシー会社を退職した退職金で援護資金の残りを返済し、今では生活保護で生活をされていると。退職金もそっちに費やされたということであります。
 Cさん、これはもう既に亡くなっている方ですが、女性の高齢者の方ですが、震災当時、夫婦で仮設住宅に入居して、県営住宅にその後移られました。仮設入居の際、当面の生活に困って、友人に保証人をお願いして援護資金を借りたと。その後、借受人の夫が他界して生活保護を受けるようになったと。それでも、私が死んでも返済は免除にならない、あの大変だったときに保証人を引き受けてくれた友人に迷惑を掛けるわけにはいかないと、返済を少額返済にしてもらって、少しでも保証人に借金が回らないようにと、70,000円弱の生活保護費の中から3,000円返し続けながら亡くなられました。もう18年たっている方が、生活に困窮した、生活保護に頼らざるを得ないような方が、保証人に迷惑を掛けたらあかんということで、ずっとこのおもしをしょい続けているわけであります。これが今の阪神・淡路大震災の援護資金借りた方の実例なんですね。
 そこで、もう一つ、東日本大震災の場合は、こういうことを踏まえまして特例が設けられました。どういう特例でしょうか。その内容と理由、教えてください。

西藤審議官 お答えいたします。
 東日本大震災では、災害援護資金につきまして、東日本大震災に対処するための特別財政援助及び助成に関する法律に基づきまして、償還期間について10年を13年に延長する、利息については3%を原則無利子、保証人がいない場合は1・5%にする。災害免除につきましては、貸付けを受けた者が死亡したとき又は重度の障害を受けた場合のほかに、支払期日到来から10年経過後において、なお無資力又はこれに近い状態にあり、かつ償還金を支払うことができる見込みがない場合を加えるなどの特例措置を講じております。
 こうした災害援護資金の特例措置は、甚大かつ深刻な被害に緊急に対処することにより、被災者、被災地の1日も早い平穏な生活を取り戻すため、被災者に対する特別の支援措置の一つとして講じられたものでございます。
 済みません、失礼いたしました。特例措置の内容の三番目ですが、償還免除についてということでございます。失礼しました。

山下よしき こういうふうに、無利子あるいは保証人なし、それからもう資力がない方、あるいはそれに近い方は償還免除なんですよ。これは、大事な特例だと思いますが。しかし、阪神の方は18年たっていても、もうほとんどの方は資力がないに等しい、にもかかわらず死ぬまで払い続けなければならない。もしこの東日本と同等の特例があれば、このおもしが取れて助かる、みんな高齢で義理堅い方々ですけどね。
 大臣、私は、これは少し、もうここまで来てなおこういうことでつらい目をしながら亡くなっていっているんですね。何とかならないか、何とかすべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

古屋防災相 阪神・淡路大震災で被災された方が償還に大変苦労されている、よく承知はいたしております。ただ、法律上免除ができるのは亡くなったときか、あるいは体に著しい障害を受けたために償還ができなくなったと認められるときのみが免除になっていますので、法律を実施する市町村としてはこの規定に基づいて取り組んでいるというのが実情ですね。
 実際に、この厳しい状況の中で実際に返済を努力してこられた方もたくさんいらっしゃるわけでありまして、こういった方々との公平性ということを考えると、そう簡単に結論は出せる話ではないというふうに思います。

山下よしき 私も、そう簡単に結論が出せる話でないとは思うんです。思うんですけれども、18年たってこういう状況があるというのは、この制度が持っている、私は、東日本ではもうこれ特例で救われるわけですけれども、そうなっていないわけですね。
 市町村に返還しますけれども、その3分の2は国が出している、貸し付けているわけですから、国が決断すればかなりのことはできると思います。私は、少なくとも、生活保護あるいは準じる世帯は、高齢の方は、もうこれは償還免除してしかるべきじゃないかと。それから、もうこれは保証人は外したらどうだと。保証人に迷惑掛けたらあかんということで、もう亡くなるまで返し続けているわけですね。こういうことはちょっと検討すべきじゃないかと思うんですね。
 阪神・淡路の方が、これにしか頼るものがなかったんです。今、東日本の方は被災者生活再建支援法ができていますから、住宅再建、生活再建に個人補償的な支援があります。しかし、ないから、これしかなかったんですよ。もう返せるかどうか分からないけれども、これしかないからみんな借りたんです。そうしたら、返せない方がこんなにたくさん残っちゃって、今5人に1人がもうこんな高齢になっても残っていると。
 こういうことを、よく特殊な事情を考察していただいて、ちょっと大臣、これはもう一遍踏み込んで検討していただけないかと。

古屋防災相 今申し上げましたように、やはりこういった厳しい状況の中で実際に返済に努力してきた被災者の方も大勢いらっしゃるんですね。そういった方々との公平性というものを考えると、先ほども申し上げましたように、安易にそういった結論はなかなか出せないというのが現実だというふうに思います。

山下よしき 公平性というんだったら、阪神・淡路大震災の被災者には個人補償、生活再建支援金もなかった、これこそ不公平だということを申し上げて、終わります。

淡路島地震被害 政府の対策をただす 
【議事録】 2013年5月29日 参議院災害対策特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。先月、4月13日に発生した兵庫県淡路島を震源とする地震被害について質問したいと思います。
 最大震度六弱を観測し、淡路市、洲本市、南あわじ市の淡路島3市を中心に多数の被害が生じております。地震当日から、我が党市議団、地元党組織も救援活動や生活相談に取り組み、私の事務所スタッフも二度ほど現地に入って聞き取りを行ってまいりました。宅地のひび割れ、住宅被害、農地やガラス温室、ブロイラー、漁業施設の被害、そして店舗や商品の損害が発生しております。また、観光や特産品である淡路の瓦産業への風評被害対策も求められております。特に住宅被害が深刻だということを感じております。
 現在、住宅の被害数、どうなっているでしょうか。

原田保夫内閣府政策統括官 お答え申し上げます。
 4月13日に発生した淡路島付近を震源とする地震による住家被害につきまして申し上げますと、全壊6棟、それから半壊66棟及び一部破損8千棟ということでございまして、特に洲本市、南あわじ市、淡路市の三市で住家被害の99.5%を占めているというような状況でございます。

山下よしき 震災から1か月たってその淡路島がどうなっているか。5月13日付け神戸新聞の見出しですが、「淡路島地震1カ月 増え続ける「一部損壊」」、こうあります。13日付け読売新聞、淡路島住宅再建遠く、生活元どおりへのめどなし23%、11日付けの朝日新聞、「淡路島復旧、住宅悩み 高齢化「震災過疎」懸念」、こうやって、やっぱり住宅再建の遅れが報じられているわけであります。
 私のスタッフが洲本市の炬口、塩屋、それから淡路市の生穂の地域で直接お話を伺ってまいりました。
 屋根をブルーシートで覆って取りあえずの応急措置をしているお宅がたくさんありました。資料の1枚目と2枚目にそのときの写真を掲示しておりますが、先ほど御報告があったように、ほとんどが一部損壊の扱いとなっているんですが、一部損壊であっても屋根瓦がずれたり落ちるなどしたお宅では修理しないと雨が漏りますので、住み続けることはできません。ここに載せているAさん、このお宅も屋根がずれておりまして、四人家族のうち娘さんと息子さんはもう出ていって遠いところの場所から職場に通わざるを得なくなっていると。それから、2枚目のBさんも、介護の必要な親御さんがおられるので、これは雨漏りしますので、借家住まいに今はなっておられると。それから、Cさんも、アパートを確保して、もうここには住めないということで、自ら借家住まいになっておられるということで、これは一部損壊でもこうして住めない状況が多々見受けられました。
 それから、屋根を直すだけでも100万円から200万円掛かると。さらに、崩れたりひびが入った部屋の壁、あるいは家がゆがんで開かなくなった戸などを一緒に直せば数100万円掛かるということでありました。したがって、この修理費用が出せないことから、避難したまま自宅に戻る見込みが持てない世帯も少なからずあるという状況でありました。
 皆さん共通して口にするのは、淡路ではこの間3度の大きな災害による被災を被ったというんですね。一つは、先ほどお話のあった阪神・淡路大震災であります。それから2回目は、2004年の台風23号水害であります。そして今度の地震被害。18年間で3回大きな被災を受けて、もう直すお金がないという言葉も聞きました。加えて、洲本市の高齢化率は30%、所得200万円以下が61%です。それから、淡路市の高齢化率は35%で、所得200万円以下が73.6%ということもありまして、そういう下で生活の基盤である自宅の再建や補修が思うようにできない状況が今現れてきているわけですね。
 大臣に認識を伺いたいんですが、私は、地震から1か月過ぎたわけですが、全半壊の戸数が先ほどあったようにそれほど多くないために災害救助法も被災者生活再建支援法も適用されていない中で、しかし被災者の置かれている状況は厳しいものがあると私思ったんですが、古屋防災担当大臣、御認識いかがでしょうか。

古屋圭司防災担当大臣 1か月半経過して、その生活再建についての所感は、どう感じているかという趣旨の質問だと思いますけど、確かに今回の地震では全壊の住家は少ないですよね。一部破損の住家が多くあるということで、そういう意味では、被災者に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
 その上で、今回の災害に対しては、兵庫県とか地元において、こうした被害を被った住家に対して災害援護金や見舞金の支給、ひょうご住宅災害復興ローンの貸付けや金利負担の軽減、修繕費用や解体、撤去費用の補助といった被災者支援対策が講じておられて、そういった支援により適切な対応が取られているのかなと、こういうふうに認識をいたしております。
 国の支援制度としては、住家による被害を受けた被災者に対して災害復興住宅融資制度による貸付制度がございます。また、国や地方税において、所得税、固定資産税、個人住民税等の税制における減免等の措置を設けているところでございまして、今後とも、そういった被災自治体と連携をして適切に対応していくということが必要だというふうに思っています。

山下よしき ローンとか貸付けということもあったんですが、先ほど紹介したように、高齢化で所得が非常に少ない方ですから、もう今更ローンは借りられないという声も随分聞きました。
 そこで、災害救助法の適用について質問しますが、災害救助法は何か一定規模以上の全壊、半壊の被害世帯がないと適用できないかのような一部の新聞で報道もされているんですが、そうではないと思います。災害救助法の適用について、どうなっているか確認したいと思います。

西藤公司厚労大臣官房審議官 お答えいたします。
 災害救助法の適用につきましては、各市町村の人口規模に対する家屋の全半壊世帯数により判断を行う以外に、当該市町村において多数の者が生命又は身体に危害を受け又は受けるおそれが生じ、避難して継続的に救助を必要とされる場合にも都道府県知事の判断で可能ということになってございます。
 厚生労働省といたしましては、都道府県の全国会議などにおいてこの災害救助法の適用の考え方について周知するとともに、災害発生時にも当該都道府県に対して助言しているところでございます。

山下よしき 今御説明あったように、かつては厚生労働大臣と協議が必要だったんですが、今は都道府県知事の判断で適用が可能というふうになっております。適用されれば、災害救助法にある救助メニュー、全壊、半壊世帯には住宅応急修理ですとか借家を仮設住宅として提供したりすることもできるわけですので、今ある制度をフル活用していくことが私は求められていると思っております。
 次に、住家の被害認定基準とその運用について質問をします。
 現地を訪ねて被災者のお話伺いますと、一番多かったのは住宅の被害認定に対する不満、判定員や役所の対応に対する憤りでありました。
 屋根が駄目になって雨で布団も敷けない状態なのに半壊にもならなかったという声、それから、この写真でも紹介しておりますけれども、家がゆがんで戸が開かなくなったり、壁のすき間から外が見えるようになってお風呂が使えなくなった状態でも、これ一部損壊なんですね。一体どこを見て決めているのかとか、もう住めないから部屋を借りた状態なのに何で一部損壊なのかとか、役所は冷たい、厳し過ぎるなどの声が出ております。これは当然の声だと私は思いました。
 内閣府の災害の被害認定基準、住家、平成13年6月28日では、住家の全壊とは、住家がその居住のための基本的機能を喪失したもの云々とあります。半壊については、居住のための基本的機能の一部を喪失したもの云々となっております。つまり、住み続ける上で、その機能がどの程度失われているかを見て被害認定の判断をするべきだというのが基準ではあるんですが、古屋防災大臣、屋根が駄目になってもう住めないのに半壊にもならないというのはおかしいと思いませんか。

古屋防災担当大臣 住家の被害認定については、もう委員御指摘のように、災害の被害認定基準において全壊あるいは半壊の具体的な基準は定めています。
 半壊については、今御指摘があったように、住居がその居住のための基本的機能の一部を喪失したもの、すなわち住家の損壊が甚だしいけれども、修復をすれば元どおりに再使用できる程度のもの、具体的には、住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表して、その住家の損害割合が20%以上で50%未満のもの等としています。
 屋根については、災害に係る住家の被害認定基準運用指針がございますけど、これで住家全体の10%を構成するというふうになって、屋根瓦が崩壊していることのみをもって半壊とはなりにくいわけですけど、しかし、外壁だとか建具だとか天井等、屋根以外の部位についても被害が生じている場合は、家の内部の被害も丁寧に調査をすることで半壊等と認定をされることもあります。
 平成25年の4月13日付けで、国から県を通じまして、市町村に対して適切な被害認定の実施について通知をさせていただきました。
 今後とも、こうやって丁寧に被害認定を行うように、地方公共団体に対しては適切に指示をしてまいりたいと思っております。

山下よしき 丁寧な被害認定は非常に大事ですよね。一次調査というのはもう外見から見ると、スピーディーさが要求されるという、災害時においてはですね、そういう面も、仕方がない面もあると思いますが、それで納得できなければ二次調査、三次調査と。中に入って被災者の皆さんの声をよく聞いて丁寧にと、大臣おっしゃるとおりですが、そのとき、屋根が全部壊れていても10%だという部分部分を積み上げるやり方では、先ほど大臣もおっしゃった居住のための基本的機能が喪失されているという実感と、まるで固定資産税を評価するような経済的損失の積み上げでは、どうも、住めないのに何で10%なのという声が出ておりますので、柔軟な判定と併せて、この被害認定基準の運用指針も私はこれは見直していくべきではないかなと、こういう思いはありますが、今その答えは求めません。求めませんが、今大臣からあったように、そういう形で丁寧な対応をしていくということ、これが非常に大事だということは申し上げておきたいと思います。
 その上で、その丁寧なということに関して、資料3枚目の裏表のチラシをちょっと見ていただきたいんです。これ、洲本市が被災世帯に配布したチラシです。兵庫県が独自に見舞金を出すことになったことをお知らせする内容ですが、全壊20万円、半壊10万円、半壊に至らない一部損壊でも損害割合が10%以上なら50,000円の見舞金を出すということになっております。
 このチラシには損害割合が10%以上と思われる方は市役所まで申し出てくださいとあるんですが、問題だと私が思ったのは、裏面の写真入りの説明なんです。これ見ますと、10%とはこのぐらいの損傷ですよという写真を見ると、こんなに壊れていないと駄目なのかとなるわけですね。この裏の方ですね、この10%の写真ですね。
 もう屋根瓦は全部落ち、壁ももう本当に大変な損害を受けているような、これで10%という写真が付いているわけで、こんなに壊れていないと駄目なのかと、これでは私のところは駄目だと落胆して、二次調査を依頼することも諦めている方が、行きますと、おられました。このチラシを見ながら、そう言っておられました。
 更に問題だと思ったのは、二次調査を依頼しに行った役所の窓口で、この資料を使って、損害割合10%というのはこういうことですよと、これほどの被害受けていますかと、こう説明されて、窓口で二次調査の依頼を諦める人もおられるということになっておりました。
 先ほどあったように、外見でしか判断しない一次調査では分からない、行政が立ち入って詳しく調査する二次調査が必要なわけですが、残念ながら、それがこのチラシによって非常に狭められているということが実際としてあるんですね。
 資料4枚目見ていただいたら、その結果どうなっているかという数字が表れております。淡路市と洲本市の家屋被害認定調査の実施状況ですが、淡路市は、一次調査件数2,478件、二次調査済みは2,323件で、二次調査率98%。これに比較して洲本市は、一次調査件数3,425件と淡路市より多いんですが、二次調査の件数は752件、二次調査率21%と非常に低い状況になっております。
 こういうチラシが影響しているんじゃないかと私は現地に行った声を聞いて感じたわけですが、いろいろな事情が洲本市にはあると思いますが、一か月たって被害者から、被災者から不満の声や諦めの声が上がっているわけですので、是非、政府として洲本市の実情をよくつかんでいただいて必要な助言をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

古屋防災担当大臣 今御指摘のあったように、一次調査を実施をした住家の被害者が、申請があると、二次調査として外観目視調査に加えて内部立入調査を行うということになっています。また、二次調査実施後、判定結果に対する再調査の申立てがあった場合には再調査を行う、こういう立て付けになっておりまして、洲本市では御指摘のチラシが配られたということは承知をいたしていて、このチラシ見てみますと、誤解を生じないよう、ほかにも基礎だとか柱だとか天井、床、建具なども認定の対象になるというふうに書いてありましたので、上記の全ての部位の損害割合を合計して被害の程度を計算しますというふうに書いてありますので、やはりそこをしっかり御覧になっていただく必要があります。
 だからこそ、このチラシのみによらず、被害世帯一戸一戸に声を掛けて丁寧に説明をして回っているというふうに私たちは伺っているところでありまして、第二次調査であるとか再調査は被災者にとって非常に重要な機会でありますので、こういった点はしっかり徹底してまいりたいと思っております。

山下よしき 役所に聞くとそういう答えに多分なるんだと思いますが、私は被災者に聞きましたので、これで相当もう二次調査の依頼を諦めたという方が出ていますので、この写真を見て。これは大臣、もう一度善処を、被害者の声も含めて聞いていただいて、ちゃんと丁寧にやられていたらいいんですよ、しかし明らかに差がありますから、洲本と淡路では。これちょっと、そういうことを問題提起しています。

古屋防災担当大臣 今答弁申し上げましたように、チラシのみではなくて一軒一軒丁寧に説明をするということを伺っていますので、やっぱりそれをしっかり徹底をしていくということが大切だと思っておりまして、そういったことはしっかり私どもの方からも徹底をしてまいりたいと思っております。

山下よしき じゃ、また現場でどうなっているかは引き続き私も聞いていきたいと思います。
 最後に、ため池、農地被害の支援について聞きます。
 淡路島には大小2万3千の農業用ため池があります。このうち一部は堤防の亀裂や漏水など被害が報告されておりますが、ちょうど田植の時期を控えておりますので、水を抜くわけにはいかないで、全体の被害を確認することも被害査定を行うことも今できないでおります。また一方で、貯水量や亀裂が大きい五か所のため池では、万が一決壊して下流の住宅に被害を出さないために、兵庫県が水位を下げるように要請しているところもあると聞いております。ただ、そうすると、水が必要な農家は、これから、非常に心配の声を上げておられます。
 そこで二点要請したいと思いますが、一つは、応急的な修理、それからよそから水を引いてくるくみ上げポンプ、そのための燃料代などを、災害復旧事業の査定前着工制度というものを活用すればできるということになっているはずですが、これを周知していただきたい。それから二点目、被害査定の時期も田植が終わってからやっていくこともできるんじゃないかと、柔軟に対応していただきたい。この二点、いかがでしょうか。

稲津久農水大臣政務官 お答えさせていただきます。
 淡路島の今回のこの地震によるため池の災害の査定と応急復旧の制度の周知ということになると思いますが、お答えさせていただきたいと思います。
 議員から今御指摘のとおり、現在、この淡路島の地域は田植の時期になってきておりまして、田植やその後の営農に支障が生じることのないようにしていくことが必要でございますが、この査定前着工の制度を活用すれば、査定前であっても対応の概要を報告していただければ、これは応急復旧、また応急ポンプの設置、それからポンプを運転するための燃料代等について災害復旧事業の対応の措置として含むことができるとしているほかに、査定のこの実施の時期につきましても、営農等の状況を考慮して、被災農家、また地元の自治体と相談した上で適切な時期に実施ができることとなっているところでございます。
 以上のような制度の仕組みについて、議員からも御指摘ありましたが、兵庫県及び関係市町村に十分周知をして活用していただけるよう引き続き努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

山下よしき 終わります。