独立行政法人通則法の審議はじまる。航空大学校の役割は重要、民間に委ねるのではなく、十分な予算措置を要求 
【議事録】2014年5月29日 参議院内閣委員会質疑

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 独立行政法人制度がスタートして10年余りがたちました。この制度は、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがある事業を効率的、効果的に行うとされてきました。
 私も、それぞれの独立行政法人は、安全、安心の基準の研究ですとか医療や雇用など国民の命に関わる事業など、全体として大事な役割を担っていると、そう思っております。にもかかわらず、様々な業務、事業を行っているそれぞれの独法を十把一からげにしたルールで管理しようとして一律に目標と計画を押し付け、人件費削減を強いるなど、評価でがんじがらめにしてきたのではないかという批判が強いものとなっております。これは私たちが言っているだけではなくて、昨年末に閣議決定された独法改革基本方針にも、自主性、自律性を最大限機能させるべきだとか、一律、硬直的な運用は見直すべきだという指摘がされております。
 通告にはなかったんですが、まず基本的な問題ですので、大臣に、今後独法の運営に当たっては自主性、自律性を大事にすること、一律、硬直的な運用はしないということでよろしいですか。

○稲田朋美国務大臣 まさに今回なぜ法改正をしたかといいますと、分類がなくて一律的な硬直的な運用がされていたと。今回、PDCAサイクルをきちんと回すことによって自律性、自主性を確保するということでございますので、御指摘のとおりだというふうに思います。

○山下よしき そこで、お聞きしたいんですが、法案は独法を今言われたように中期目標管理法人、それから国立研究開発法人、そして行政執行法人の3つに分類をしております。そして、その上で、総務大臣が目標、評価の指針を決める、そしてそれぞれの主務大臣が具体的な目標を決め、毎年の業績評価を行い、組織の見直しを進めるというふうになっております。
 私は、問題は、この総務大臣などが決める評価指針の中身だと思うんです。といいますのは、特殊法人が独法化される際に、平成15年4月18日、行政改革推進事務局が独立行政法人の中期目標等の策定指針という指針を出しております。その中には独立行政法人の中期目標等の具体的な記載例というものがありまして、ちょっと紹介しますと、各事業年度の経費総額を対前年度比で平均○%抑制するとか、人件費の割合を平成○年度と比較して○%とするとか、期初の常勤職員数○○○人を期末までに○○○人とするとか、外部委託の推進により○○事業における○○経費を○%削減するとか、研修生等の養成期間を現行の○年○か月から○年○か月に短縮するとか、学理及び技術の教授に関する業務に関し非常勤講師を活用すること等により教育時間当たりのコストを○%削減するなど、もう空欄にしてあとは全部埋めてもらえばどんな独法だってこれが目標になるんだという、しかも、これみんな人件費削減とか非正規化とか、そういうリストラに関わるようなことがずらっと一々こういうふうに数値目標書きなさいよということがひな形みたいにあって、押し付けられているんですね。
 私は、一律の運用しないというのであれば、もうこんな指針は今後金輪際やめるべきだ、そう思いますが、大臣、いかがですか。

○稲田大臣 総務大臣が指針を策定するその指針は、やはり事後的に評価が適正に行われるよう目標設定に際して具体的、明確に設定して、可能な限り定量的に設定すべき旨が盛り込まれることが必要であろうかというふうに思います。ただ、一方で、この指針の策定、運用に当たって、法人の業務の特性を踏まえた目標設定、業績評価となるよう柔軟、弾力的な対応が可能となるべきであろうかというふうに考えております。
 また、昨年末の改革の基本方針の閣議決定において、主務大臣が指示する効率化目標については、画一的で硬直的な目標ではなく、法人ごとに適切な目標を設定するよう定めることとしており、一律で硬直的な目標にはならないのではないかというふうに考えております。

○山下よしき ですから、一律的、硬直的な目標にしないためにも、こんなひな形を一々○%と空けておいてここに書き込めなんというのは、もうまさに一律的、硬直的だと思うんですよ。こういうことはもうやらないということで確認してよろしいですか。

○稲田大臣 総務大臣の指針でございますので、そこはある程度具体的、明確に書かなければならないというふうには思いますけれども、それがどのような形ですべきか。また、いずれにいたしましても、主務大臣の目標設定、業績評価が柔軟で弾力性のあるようにすべきであるというふうに考えております。

○山下よしき なかなかしないとおっしゃらないところが私、非常に危惧するわけですよ。こんなことを繰り返していたら、幾ら口で一律にしないと言っても、もうこれ官僚が作るんだと思いますけれども、そうなっちゃいますよ。ここはよく目を光らせる必要があると思うんですね。こんなことをやっていたら、いつまでたっても自主的、自律的な独法の良さが、それぞれに応じたやはり仕事をしているんですからそれぞれに応じた評価があってしかるべきなのに、こんな一々同じような数値目標を当てはめて目標にしろというもし基準が出てきたら、これはもう何も変わらないということですから。それはよろしいですね。

○稲田大臣 そのとおりだと思います。

○山下よしき 次に、研究開発法人や研究業務に関わっては、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議が目標と評価の基準案を作るとなっております、法案では。この総合科学技術・イノベーション会議というのは、先日、私、当委員会でも取り上げたんですが、科学技術政策や予算配分を検討する行政機関でありますが、同会議のメンバーには経団連幹部でもある3菱電機、日立製作所、トヨタ自動車の経営者らが任命されておりまして、経団連の要求に基づいて政府が予算化した研究費についても、この具体的3社の利益に直結するような課題が選ばれているということを前回指摘させていただきました。
 国民の税金で特定企業の利益に直結する研究開発を支援するこの総合科学技術・イノベーション会議が国立研究開発法人の目標と評価の基準案作りに関与することは、私は、日本の研究開発の在り方をゆがめ、本来の改革に逆行することになっちゃうんじゃないかと思いますが、この点いかがですか。

○後藤田正純副大臣 今、稲田大臣の下で独法も担当させていただいておりますが、山本大臣の下でも科学技術を担当させていただいている立場でお答えをいたします。
 まず、先ほど来御意見ございますが、一律管理ではなくて、今回3分類いたしました中での研究開発につきましては、総務大臣がその特性について知見がない場合に、総務大臣の求めに応じて総合科学技術・イノベーション会議が、研究開発の特性や国際的な水準等を踏まえまして、研究開発の事務及び事業に関する事項に係る指針の案を作成することとされているところでございます。
 それと同時に、今個別企業の利益に資するというようなお話がございましたが、これは私どもはまた異なる見解でございます。先ほど委員もお話ありましたように、総合科学技術会議のまさに機能というのは内閣総理大臣及び内閣を補佐する知恵の場ということでございまして、平成13年1月に内閣府設置法に基づいて重要政策に関する会議の一つとして設置されたものでございまして、先ほどお示しになった方は確かにおられますが、やはり国際競争に向かってしっかり成長戦略を成し遂げていく、そしてまた国民生活の向上のためにしっかりとした技術革新を生んでいく中では、やはり基礎、そしてまた応用、そして産業化という、そういうプロセスをしっかりやっていかなきゃいけません。
 その中において、産業界では確かに日立、トヨタ、3菱の方がおられますが、それと同時に、日本学術会議の大西会長もおられる、そしてまた東北大学の今、小谷先生というのが、いわゆる分子材料の専門家もおられます。また、元東北大学教授である原山優子さんが常勤でおられるだとか、また大阪大学の総長であられる平野議員もおられる。そういう意味では、私どもは、しっかりと基礎研究、応用、そして産業化というバランスを取りながら、目的は国民生活にしっかりと直結する、また国際競争でしっかり戦える体制を助言する場ということでございますので、先ほどの個別企業の利益に資する課題という御指摘は当たらないと考えております。

○山下よしき もう委員会で、前回ですから、終わった話ですけど、残念ながら個別企業の利益に資するような課題が設定されてスタッフも選ばれているという事実がありますから、そのことをもう一度、それが今回、独法の目標や基準に関わってくるということで危惧したわけです。
 ある研究独法で働く研究者の方、こう言っておられます。同じように高くてもスカイツリーと富士山は違うんだと、富士山の高さは裾野の広がりにあると。これ、さっき副大臣言われたことと共通することかもしれません。研究の種、シーズが様々、種々あることによって先端の、先進の成果が生み出されるということだと思います。産業化だけを前のめりに走っても、やっぱり高い成果というのはなかなか出てこないだろうということですから、そういう産業界の、まさに個々の企業のトップがもうかなりのウエートを占めているこの会議がそういう役割を担うというのは、大変危惧されるということを指摘しておきたいと思います。
 ちょっと時間が過ぎております。一問飛ばしたいと思います。具体的な独法の問題について聞きます。
 まず、国立大学法人についてですが、現行制度では、政策・独立行政法人評価委員会による勧告について、各大学の大学本体や学部等の具体的な組織の改廃、個々の教育研究活動については言及しないということになっております。
 これは、発足に当たって、参議院文教科学委員会の附帯決議、その趣旨の大臣答弁などがあってこういうことになっているんですが、今回、整備法案では、事務及び事業の改廃に関して委員会が文部科学大臣への勧告ができ、内容を公表し、大臣が講じた措置について報告を求めることができるとされておりますが、この法案が通った後、評価委員会の勧告について、これまでと同様に各大学の大学本体や学部等の具体的な組織の改廃、個々の教育研究活動については言及しないということでよろしいんでしょうか。

○稲田大臣 委員御指摘のとおり、平成15年度国立大学法人法に係る参議院文教科学委員会の附帯決議において、国立大学法人については、国立大学の教育研究の特性に十分配慮されることが決議をされて、これに沿った運用が行われているというふうに承知をいたしております。
 本法案成立後も、国立大学法人に係る参議院の附帯決議の趣旨に沿った運用が引き続きなされるべきものと考えております。

○山下よしき 私は、学問の自由、大学の自治という観点からこれは当然だと思うんですが、大学法人に対してそうであるように、教育研究に関わる独法全体にも本来私はそういう配慮がされてしかるべきではないかと、こう思います。
 中期目標管理法人に仕分された独法の中には、国民にとって大事な安全のための教育をする法人も少なくありません。効率性優先では安全は確保できないと思っております。
 具体的に聞きますが、昨年末の独法改革の基本的方針の閣議決定で、航空大学校について、民間におけるパイロット養成の規模拡大及び能力の向上を図り、将来的に民間において十分なパイロット養成が可能となった段階で、より多くの部分を民間に委ねていくなどとされております。
 国交省に聞きますが、2つ聞きたいと思うんですが、一つは、航空大学校が果たしている役割についてどう評価されているか。2つ目に、パイロットの養成のより多くの部分をなぜ民間に委ねようとしているのか、お答えください。

○島村淳国土交通省航空局安全部長 お答えいたします。
 航空会社のパイロットは民間事業者が事業を展開するために必要な人材であることに鑑み、可能な限り民間の能力を活用することは望ましいものの、安定的な供給の確保の観点から民間だけでは十分に対応できないため、航空大学校を通じた供給が行われております。
 昨年の閣議決定において、航空大学校については、将来的に民間の養成状況を踏まえた上でより多くの部分を民間に委ねるとしたものであり、一方的に航空大学校の規模を縮小することを決定したものではございません。
 今後のパイロット需要の拡大に対しまして、引き続き航空大学校は我が国のパイロット養成の中心的な役割を担うものと認識をしております。

○山下よしき 一方的に縮小というわけではないですよということなんですが。
 ただ、この独法改革議論の中でこんな議論があったというように聞いたんです。高給取りのパイロットをなぜ国のお金で養成しなければならないのか。これはいかがなものかと。今や航空輸送というのは国民の必要な足と言ってもいいと思います。しかも、もう最も高い安全性が確保されなければならない。高給取りのパイロットを何で民間でやらないんだというような感じの議論を安易にして、それで民間に任せたらいいんだというのは、本来国民の安全に対する国の責任という点から見て、こんな議論は看過できないのではないかと私は思いました。
 それから、航空大学校は、毎年72人の定数で学生を養成していると聞きました。平均毎年56人、安定的に操縦士を供給しております。日本の大手航空会社を始め、試験を行う査察機長、それから航空行政に関わる人材も航空大学校が多く輩出をしております。
 そこで、聞きますが、パイロット養成を民間に委ねるといいますが、今民間の年間の養成状況はどうなっているでしょうか。

○島村部長 民間におきましては、各社の自社養成と私立大学において養成がされております。
 自社養成につきましては、大手の航空会社においてのみ実施されており、平成22年度以降、その規模は年間数10人規模となっておりますが、その養成規模は景気動向に左右されやすいという特徴を持っております。
 私立大学については年々その規模を拡大しておりますが、年間60人から70名程度の養成が行われております。今後、量の拡大と質の確保を図っていくことが課題と考えております。

○山下よしき 資料の3枚目に今の御答弁をグラフ化されたものがありますので、配付しておきました。
 自社養成というのが全日空、JALなどで自分の社内でパイロットを養成する数字ですけれども、今もお話があったように、凸凹があるわけですね、年によって。当然これ経営状況によって大きく変動しております。安定的な供給とは言えません。特に、1980年代はほぼゼロになっております。
 それから、2010年、JALの経営破綻が起こる中で、会社の放漫経営に厳しく物を言ってきた労働組合の幹部、組合員などを狙い撃ちにした整理解雇がされたわけですが、その整理解雇を合法化するために、もうこれ以上パイロットは要らないんだというために、わざわざ副操縦士も含めて300人以上のパイロットの訓練生の訓練が中止されるということもありまして、2010年以降、JALの養成はゼロというふうになっております。
 一方、私立学校、右上ですけれども、パイロット養成学科を持つところがごくごく最近4校できたわけですが、これ学費が非常に高いんですね。4年間で1,300万円から2,600万円の学費が掛かる。したがって、これ余りにも高過ぎて定員割れがあるということも聞きました。航空大学校は2年間で250万円なんです。大学の教養課程2年修了した者に入学資格があるということですが、それまでの学費というのもばかにはなりませんが、それでも2年間で250万円。4年間で2,000万円ぐらい掛かる民間の養成学校とは全く違う経済的な負担でパイロットになれるわけですね。
 パイロットというのは、瞬時に冷静な判断ができる能力、それから人格も求められます。操縦技術の素質なども求められます。お金のない人はもう元々パイロットは志せないんだということでは、こういう適格な資質を持った人材の確保が危ぶまれるということにもなりかねません。
 そういう点では、やはり航空大学校の今の果たしている役割というのは非常に大事だと。そういう中で、7年から10年パイロットの養成には掛かるというふうに言われておりますが、これ民間に委ねて本当にそれが賄えると、そんなことが現実に可能なのか、いかがでしょうか。

○島村部長 お答えいたします。
 現状においても先ほど申し上げました自社養成や私立大学で一定数のパイロットは養成されておりますが、質、量両面で我が国のパイロットの需要を十分に賄える状況とはなっておりません。そのため、航空大学校は今後とも我が国のパイロット養成の中心的な役割を担うものであり、直ちに全てを民間に委ねられるとは考えておりません。
 将来的により多くの部分を民間に委ねる時期、範囲等の検討を行うに当たっては、今後、パイロットの需要増大を踏まえ、私立大学等からパイロットの供給量が大幅に増加し、需給を安定的に、かつ十分満たすだけの供給量が確保されていることや、私立大学等の出身者が機長や指導層のパイロットに任命される状況が安定的に継続していることなどを前提として、その時期や範囲の検討を行っていく必要があると認識しております。

○山下よしき そういう認識だったら、将来民間に委ねるみたいなことを安易に決める必要はないんじゃないかと私は思うんですが。
 もう御存じのとおり、4月28日、格安航空会社ピーチが、新石垣空港から離陸して那覇空港に進入する際に低空に異常になっちゃって、航空法で言うところの地表又は水面への衝突、接触を回避するための緊急操作を行った事態、重大インシデントとして運輸安全委員会が調査をしております。このときのパイロットは採用1年のアルゼンチン人の方でしたが、管制の指示を勘違いした、さらに、この直後にもきちんと会社に報告しないで別便で操縦し続けていたということが明らかになっております。
 ピーチやバニラなどいわゆる格安航空会社で今起こっているのは、パイロット不足による大幅減便であります。もうぎりぎりのそもそも人員しか配置していないことで、ほんの数人パイロットが病気になったり退職すれば、たちまち大きな影響が出るということが今明らかになっているわけですが、我が国の操縦士の需要予測ということを言われました。今どうなっているんですか。

○島村部長 今後の航空需要の増大や退職者を考慮した我が国のパイロットの需要予測によりますと、2022年には6700名から7300名のパイロットが必要となります。この場合、今後1年当たり約200人から300人の新規パイロットの採用が必要になると見込まれております。さらに、2030年頃には大量退職者が見込まれることから、年間約400名程度の新規パイロットの採用が必要になると見込まれております。
 国土交通省では、パイロット不足への対応といたしまして、交通政策審議会の下に小委員会を設置して、パイロットの養成確保のための対策の検討を現在行っております。本年3月の中間取りまとめにおいて、航空大学校を安定的な供給源と確保しつつ、民間養成機関の供給能力の拡充等を図ることとしており、引き続き具体策の検討を進め、夏前までに取りまとめを行う予定としております。

○山下よしき 資料3枚目にその需要予測のグラフを載せておきました。あっ、2枚目かな、2枚目ですね。これから退職者がうんと増える。特に2030年、うんと増えて、それから航空需要もうんと増えると。両方で、これからパイロットの新規採用は今、年間200人ぐらいですが、400人ぐらい必要になるときが来るであろうと。ますますこれパイロットの養成は増えざるを得ないんですね。
 そういう中で、航空大学校の役割は、私はこれ、民間に委ねるどころじゃなくて、もっと頑張ってもらわなければならないというふうになるわけなんですが、ところが、航空大学校の運営交付金が年々削減をされております。2001年30億円あったものが昨年度には20億円を切っていると。急激に運営交付金が減らされておりまして、その分、学生の負担や航空会社からの寄附で穴を埋めようとされていると聞きました。
 この5年間だけでも、職員、教官が114人から10人減らされて104人になったと。特に事務職員が減らされて、教官が様々な事務を担いながら学生の指導、搭乗訓練などを必死でこなしておられる。5分、10分のフライトの間の休憩時間にも電話機を握って、フライト前の学生へのブリーフィング、概要説明を行いながら午前も午後もフライトをされているというふうに聞きました。
 そういう中で、残念ながら航空大学校での事故も発生しておりますが、この10年間の事故の状況を報告してください。

○島村部長 過去10年間に航空大学校においては3件の航空事故が発生しております。そのうち1件は死亡事故となっております。

○山下よしき 独法化になってからそういう重大な事故が3件起こっているということなんですが、これ、実際に教官の方に聞きました。予算が縮小され教官の確保も苦労しているけれども、しかし、山と海の迫る日本列島で、様々な気候変動のある日本の中で、航空大学校の役割をしっかり自覚して頑張る必要があるということで、ある教官は、訓練機では、学生の技量を見極めつつ、しかし教官がすぐに学生の操縦桿を取り上げたのでは訓練にならないので、ぎりぎりの難しい判断をしながら指導することになる。国の安全運輸を支えるという使命がなければ命懸けのこのような仕事はやっていけないと思う。全体の予算の縮小の中で教官の確保が難しくなって、年度当初、教員の欠員が出て、有期契約の教員もいるが、自分たちの仕事が航空の安全確保に必要な人材を育てているのだということが、自負があるから何とかやっていけているという言葉でありました。
 私、非常に大事な言葉だと思いますが、この個々の使命感と奮闘だけに委ねていたのでは、残念ながらまた事故が起こったり、必要な人材を、質の高い人材を供給するということの役割が細っていくのではないかと思います。
 国交副大臣にも来ていただいておりますが、これ、むやみやたらに民間に委ねる、予算を削るというのではなくて、逆にこれは、これからも日本再興戦略の中でも空港の機能強化、航空需要の増大というのを見ているわけですから、航空大学校の予算も人員体制も拡充すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○坂井学国交大臣政務官 どこの組織や法人に対しても、当然のこと、お願いをすることでありますが、航空大学校につきましても業務の効率化をお願いをし、そしてまた行っていただきながら約年間70人という養成規模を維持してきたところでございます。
 今後とも、これまでどおり、航空大学校はパイロットの安定的な供給源として中心的な役割を果たすとともに、私立大学などへの技術支援等も通じて、我が国全体のパイロット養成能力の拡充に寄与する必要があると認識をいたしております。大事だという、こういう認識の下、国土交通省といたしましても、今御指摘いただきましたような現状でありますとか今の状況等をいろいろとヒアリングをしたり適切につかみながら、業務の適正な運営のために必要な体制を確保するよう努めてまいりたいと考えております。

○山下よしき 時間参りましたので、最後に大臣に伺いたいと思います。
 独法改革に関する有識者懇談会でも、企画立案部門、主務省と、執行部門、独法が長く分離されると、行政としての責任の所在が曖昧になり、執行現場での問題点が政策に反映されにくくなると。独法にしたからといって、もうずっと各省庁が現場のことを知らないままでは、これは現場の政策を作る上でもまずいという指摘です。
 私は、今日は、航空大学校の現場が今どうなっているか、そこで教官が、職員がどういう思いで頑張っているか、こういうことを申し上げました。やっぱりこういうことを、今度の法案の中にはとにかく主務官庁の大臣がトップダウンで縦の管理を強めるんだということがいっぱい書かれていますけれども、現場の状況をボトムアップで吸い上げてそれを政策に生かしていくということが極めて弱いなと感じるんですが、そういうことが非常に大事であって、一律に硬直的に上から数値目標で削れ削れと言うんじゃなくて、むしろボトムアップで吸い上げることこそ本当の改革になると思いますが、先ほどの航空大学校の事例も踏まえて御所見いただきたいと思います。

○稲田大臣 法人の業務内容や業務実態等を十分把握するために、法人と恒常的な意思疎通を行うことは当然だというふうに思います。
 今般の改革において、主務大臣の政策意図を法人にきちんと把握させるとともに、業務内容や業務実態を踏まえた目標設定を行う旨を明確化するため、年末の改革の基本方針の閣議決定において、主務大臣が中期目標を定める際に法人と十分に意思疎通を図る旨を明記をしたところでございます。

○山下よしき 終わります。

深刻な人権侵害 日米間で指紋情報をオンライン自動照会 
【議事録】参議院内閣委員会質疑

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 本法案は、日米間の条約に基づいて、指紋情報のオンラインによる自動照会を行う仕組みを導入するものであります。指紋情報という極めて重要な個人情報の取扱いに係る本法案については、日弁連などから、国民の人権、プライバシーの保護の観点から様々な懸念が表明されております。
 通告した質問に入る前に、一つだけ確認しておきたいんですが、この指紋情報のオンラインによる自動照会を行う仕組みとはどういうものか、簡単に、イメージが湧くように御説明いただけますでしょうか。

○河野章外務大臣官房参事官 お答え申し上げます。
 この協定におきましては、重大な犯罪、この協定上定義された重大な犯罪について具体的なその疑いというのがある人につきまして、その捜査の過程におきまして指紋というのがあった場合に、例えばアメリカで指紋があった、これについて、まず第一段階として、日本側にオンラインでその指紋を送って、それに適合する指紋というものが日本の持っているデータベースの中にあるかないかということを自動で答えると、これがオンラインによる照会でございます。その後に人定などの二次照会がございますけど、オンラインという意味ではそこのところでございます。

○山下よしき 要するに、第一次照会として、日米間において指紋情報が登録されているデータベースに、相手国の同意なく自動で指紋情報を照会できる制度を新たに創設するということでありまして、私は、これは指紋情報のデータベースが日米間で共有化されるに等しいというふうに思います。
 そこで、まず今回の措置の必要性について質問をします。
 我が国には、多国間、二国間で犯罪捜査の共助、犯罪捜査を共に助けることを進める必要から、既に国際捜査共助条約、さらに日米刑事共助条約などが締結されており、それに基づく国際捜査共助法が定められております。これらの条約、法律によって、既に日米間で指紋情報を含む情報の提供要請と情報提供が行われていますが、平成24年度の実績は日米それぞれ何件になっているか、お答えください。

○栗生俊一警察庁刑事局長 お答えいたします。
 平成24年中の数字でございますが、日米刑事共助条約に基づき我が国警察から米国に捜査共助を要請した件数は5件でございます。また、平成24年中にインターポールルートで我が国警察から米国に捜査協力を要請した件数は57件、一方で、米国から我が国警察に捜査協力が要請された件数は858件でございます。

○上冨敏伸法務大臣官房審議官 平成24年に米国から日米刑事共助条約に基づく共助要請を受けた件数は6件でございます。また、法務大臣を中央当局といたしまして米国に共助要請を行った件数は4件でございます。

○山下よしき 今、それぞれ件数をお答えいただきましたが、これは指紋情報を含む全体の情報ですが、今回の新たな法律の対象となる指紋情報の要請、提供の実績は何件になるでしょうか。

○栗生局長 お答えします。
 平成24年中に日米刑事共助条約に基づき我が国警察から中央当局ルートで指紋情報を米国に提供し、米国に照合を要請したものはございません。一方で、平成24年中にインターポールルートで指紋情報を我が国警察から米国に提供し、米国に照合を要請した件数は6件、一方で、米国から同じルートで指紋情報が我が国警察に提供され、我が国警察に照合を要請された件数は1件でございます。

○上冨敏法務大臣官房審議官 当局におきましては、要請内容ごとの統計を作成しておりませんので、その点は明らかに、申し訳ありませんが、できません。

○山下よしき いずれにしても、年に数件以下、非常に少ない件数なんですね。
 大臣に伺いますが、このような状況、ほとんど年に数件あるいはなしということですが、そういう状況の下で、新たに日米オンラインの指紋情報システムを立ち上げる必要があるのかどうか、これ、ないんじゃありませんか。

○古屋圭司国家公安委員長 このPCSC協定の目指すところは、日米間の査証免除制度の下で安全で国際的な渡航を一層容易にすると、一方では、両国民の安全強化を図る、テロ等の重大な犯罪に関わる情報を交換する枠組みを設定するものでございます。したがって、この協定の締結は、日米間の査証免除制度を維持するという観点からも極めて重要でございます。
 重大な犯罪の防止及び捜査については、指紋情報を介して日米間で迅速に情報交換をするものという点で有意義なものであるというふうに思っております。特に、2020年のオリパラがございますので、国際的に非常に注目を集める行事でもございますので、やっぱりテロ組織等の標的となる可能性は否定できません。その意味からも、円滑かつ安全な開会を確保するために、こういった協定の実施が必要であるというふうに考えております。

○山下よしき 安全のためだ、そして迅速化のためだということですが、私もそれを否定するわけではありません。
 ただ、これ指紋情報という重要な個人情報が今度のシステムで国境を越えて共有化される、国外に出ていくことになる。それによって何が起きるのかということでありますが、衆議院の審議でも明らかになりました、また今日も何人かの方がお触れになりましたが、第一次の指紋の自動照会の対象となるのは警察庁に保管されている全ての被疑者指紋、1040人分あるというふうに聞いておりますけれども、しかもこの中には、無罪判決が確定した者、嫌疑なし、嫌疑不十分で不起訴になった者のデータも含まれていると承知しておりますが、間違いありませんね。

○栗生局長 米国から特定の者が識別されている場合の第一次照会を受けたときでございますけれども、これは三百万人でございます。
 それで、お尋ねの点でございますけれども、これは一次照会を受けましたときに一千四十万人分の指紋に照合されるということでありますけれども、この中には、お尋ねの起訴猶予以外の理由による不起訴処分を受けた者や無罪判決確定者なども含んでおるところでございます。

○山下よしき 一千四十万人の中には無罪判決が確定した人、不起訴となった人が含まれるということですが、これ非常に重大な人権侵害だと私は思うんですよね。
 一旦被疑者として、あるいはまた、任意であっても本人の同意があるとして採取された指紋、個人情報は、これ本人が死亡するまで延々と警察庁に蓄積、保管され、本人の知らないところで利用されていく。その利用が、しかも本人にも確認ができないという状況に長く置かれるわけであります。
 そうなりますと、日本国内だけでもそういう状態がずっと続いているというのは問題であるにもかかわらず、この法案によって、今度は無罪判決が確定した人あるいは嫌疑不十分で不起訴になった人の指紋情報が国境を越えて共有されることになる。人権侵害の深刻度が格段に増すと言わなければなりません。
 古屋大臣、これはゆゆしき事態だと思いませんか。

○古屋委員長 我が国においてはそういう形を取っておりますが、一方で、今委員御指摘があったような、米国が特定の者を識別をして照会してきた場合には、そもそも無罪判決確定者等の指紋情報はその対象ではないということでありまして、また、米国が特定の者を識別しないで照会してきた場合には、無罪判決者等の指紋も第一次照会の照合対象には含まれていますけれども、その後の第二次照会において、対象者の人定事項等の個人情報を提供するについては慎重な判断を要するものというふうに考えています。
 この協定とは別の問題でございますけれども、我が国では、都道府県において、刑事訴訟法の規定に基づき被疑者の人定を確認するため指紋を採取し、保管しています。その結果、無罪判決が確定した者の指紋も捜査の記録として保存するということになりますが、無罪判決が確定したということだけで直ちに指紋の採取自体が違法になるということでもございませんので、このような指紋を引き続き保管することに法律的な問題はないというふうに認識しております。

○山下よしき 問題ないということなんですけれども、私はそれは世界の流れには逆行していると言わざるを得ません。
 諸外国の事例、少し調べてみました。ちょっと紹介します。
 イギリスでは、指紋の取扱いは、2001年、刑事司法及び警察法で原則無期限で保管されることになっていたんですが、2008年に欧州人権裁判所によって欧州人権条約第8条、プライバシーの保護違反の判決が出されたことを受けて、2012年、自由保護法が成立しております。そこでは、軽犯罪については、被逮捕者の不起訴処分又は被告人の無罪判決があったときは採取した指紋の記録を廃棄する、それから、重大犯罪の被告で有罪判決を受けなかった者の記録の保管期間は3年以内とするということになっております。
 それから、ニュージーランドでは、2008年、警察法で無罪が確定した者の指紋等を削除することを定めておりますし、シンガポール、アイルランドなども無罪となった者の指紋は廃棄、破棄することが法律で定められております。
 それから、アメリカも、メリーランド州では刑事訴訟法で、起訴されないで解放された場合は自動的に記録が消えることや、裁判で無罪になった場合には記録削除を申し出る必要があるなどが定められております。
 ドイツでも、刑事訴訟法によって削除について規定が定められておりまして、刑事手続のために保存した個人データは手続の終了時には削除しなければならず、今後の手続のために保存した場合は必要か否かを検証して、不要とされれば削除しなければならないとされております。
 フランスも、大統領、大臣の定める命令で書面による申立てができることになっており、無罪判決の人の指紋情報が削除された事例が存在をしております。
 このように、各国とも法律や法令で、個人情報である指紋情報の管理とともに削除、抹消などについて定めております。これが世界の流れなんですね。ところが、我が国では、さっき言ったように、一旦被疑者として、あるいは任意であっても本人が同意したことだとして採取された指紋、個人情報は、本人が死亡するまで延々と保管、蓄積される。本人が知らないところでそれが利用されていく。
 ですから、古屋大臣、これは日本の人権保護が世界の流れに比べて大変遅れているということだと思いますが、そういう世界の流れに対する日本の現状の私は遅れだと思いますが、大臣の認識、いかがでしょうか。

○古屋委員長 今委員御指摘ございましたけれども、世界を見渡しますと、欧州の一部に無罪又は不起訴になった者の指紋情報の保管について法律で保管期間を定めるという国もありますね。一方では、そういう規定がない国もありますね。イタリアもそうです。アメリカも一部の州はありますけれども、そうでないところもありますので。
 ですから、いずれの国の指紋情報の保管とか管理の在り方が、どれがいいのかということを評価する、一律的に評価するということは非常に私は困難だというふうに考えておりますし、一方、我が国のこの指紋制度というのはもう100年、明治時代に導入されて以来の歴史の積み重ねがありまして、今、先ほども答弁をさせていただいたように、法律にもそういうふうに、法令の対応はもちろんのこと、実務の積み重ねの上に成り立っているものであるんだと、こういうふうに私としては認識をいたしております。

○山下よしき そういうふうな、無罪あるいは不起訴になった人の指紋情報を削除する規定がある国もあればない国もあると、どちらが正しいか分からないということなんですけれども、そういう御答弁自身が、私は、大臣の人権保護の感覚の遅れを残念ながら物語っていると言わざるを得ません。
 そこで、これがそのまま今度の協定と法律が施行されたらどうなるかということなんですが、別の角度から聞いてみたいと思いますが、日米の今回の協定第8条5項の(1)は、提供された追加情報、指紋情報の照会の後の追加情報は、当初の要請目的以外の目的のためにも利用することができるというふうにしてあります。
 利用可能な目的は三つ明記されておりまして、一つは重大な犯罪の捜査、二つ目に自国の公共の安全に対する重大な脅威の防止、三つ目に出入国管理に関連する目的であります。それぞれそう判断するのは当該国の当局でありますので、これはかなり広い範囲で当初の目的以外でこの追加情報が利用される可能性があるということです。さらに、同条同項(2)では、この三つ以外の目的のために情報を利用するための規定も定められております。事前の同意を得るための書面による要請があれば、そういうことが可能だということが規定されております。
 したがって、さっき紹介した三つについては、事前の同意を得なくても、これは同意なしでそういう点での利用ができるということで、これは当初の重大犯罪の捜査あるいは予防という目的をかなり大きく外れた目的のためにも個人の情報が安易に利用できることになっているんじゃないか、そう懸念いたしますが、これは大臣か外務省か、御答弁いただけますか。

○河野参事官 お答え申し上げます。
 ただいま委員から御指摘ありました協定第8条5の規定でございますけれども、今御指摘のありましたとおり、この協定に基づいて、当初、犯罪捜査の目的のために必要とした情報について、この協定5の(1)(a)、(b)、(c)に掲げる、先ほどおっしゃいました重大な犯罪の捜査、自国の公共の安全に対する重大な脅威の防止、出入国管理に関連する目的と、その三つのためには使えるというふうになってございます。
 これは、ちょっと分かりやすくするために、少しどういったことが考えられるかということを申し上げたいんですけれども、まず重大な犯罪の捜査というふうに書いてありますところですけれども、例えばという言い方をさせていただきますと、米国の捜査当局がある重大な犯罪、例えば文書偽造でもいいんですけれども、そういったことで逮捕した被疑者を取り調べている際に、他の重大な犯罪、麻薬取引でも何でもいいんですけれども、そういったものへの関与が発覚したと。そういった場合、この当該被疑者については、当初の捜査の目的のために日本についての人定の照会等が来ていて、それに対する答えも出ていて、アメリカ側がもうそれについて既に入手しているというようなことが考えられます。そういった場合に、これは別件だから改めて自動照会やその同意の要請をするということは、これは必ずしも合理的ではないだろうと。
 したがいまして、重大な犯罪の捜査に該当する限りにおいて、当初の要請とは異なる目的であってもその情報を利用できるというふうに規定している次第でございます。
 二つ目の、自国の公共の安全に対する重大な脅威の防止につきましても、例えば、米国の捜査当局が爆発物の不正取引についての捜査をしていました。ただ、それを調べている過程において、その被疑者というのがその爆発物を使ってテロを実行しようとしているというのが分かったと。そうした場合、公共の安全に対する重大な脅威ということになると思いますけれども、こういった場合に、当初の事案について被疑者の人定などがもう分かっているというときに改めて自動照会あるいはその同意の要請というのを新たな案件としてやるということは、特にそれが公共への重大な脅威というふうな一刻を争うような脅威であるような場合には対応への遅れを招くというようなことがあり得るので、そういったことはその手間を含めて適当ではないだろうと、そのような意味でその当初の要請とは異なる目的であっても情報を利用できると、そのようなこととしている次第でございます。

○山下よしき 今の話聞きますと、いかにもそれは合理的なように聞こえますが、しかし、その目的の一つはそうであって、かなりこれ恣意的に解釈することだって可能だし、それを歯止めを掛ける仕組みがしっかりあるのかという点では非常に心配される面があります。
 それから、協定第8条第7項は、提供された指紋情報等は同意なしに第三国、国際機関、民間団体、個人に開示してはならないとしているんですが、同じ8条7項の後段で、それぞれの国の国内法で開示義務がある場合は開示できることとしております。
 国内の法律があるときには同意がなくても第三者に開示、提供できるということですか。

○河野参事官 今御指摘は第8条7でございますが、御指摘のとおり、我が国から米国に提供した情報、指紋情報や追加的な情報等は、我が国の書面による事前の同意がない限り第三者に開示することはできません。ただし、提供された情報を開示する義務を自国の法令に基づいて負う場合には例外とされている、おっしゃるとおりでございます。

○山下よしき できるということなんですね。
 ですから、国外で目的外で利用されたり第三者に開示される場合があるということです。そうなると、個人情報が海外で広く流通する、個人情報が拡散していく、これ、本人はもとより、日本政府としてもそういう事態をコントロールできないという事態が起こり得るわけですね。二重三重に人権が侵害されるんじゃないかと思います。
 いずれにせよ、アメリカ国内、第三国まで個人情報、指紋情報が提供される可能性があるというのは大変大きな人権問題だと思いますが、そこで、大臣、もう1回戻りますけれども、そういう扱われ方をする指紋情報等に今のままでは無罪確定の人、あるいは嫌疑なし、嫌疑不十分で不起訴になった人の情報まで入ってしまうと、そういう扱いがされちゃうということです。これはあってはならないことだと思うんですが、大臣に聞く前に、警察庁が管理している指紋情報の中で、無罪判決が確定した人、嫌疑なし、嫌疑不十分で不起訴になった人の数、それぞれ何人でしょうか。

○栗生局長 お答えいたします。
 無罪判決確定者は約千人でございます。また、起訴猶予以外の不起訴処分を受けた方は約十一万人でございます。

○山下よしき それ以外にも、先ほど公明党さんの答弁にいろいろありましたね。
 だから、それだけの方々の情報が国外に流出、流出というか流れて、かなり第三者にも行く可能性を政府としてコントロールできないということであれば、古屋大臣、少なくともこの方たちの、不起訴処分になった方あるいは無罪判決が確定した方などの指紋情報は警察庁のデータベースから削除すべきではありませんか。

○古屋委員長 先ほども私答弁させていただきましたように、この無罪判決が確定したというだけで指紋の採取自体が違法になるものではありません。したがって、指紋を引き続き保管することに法的な問題はない、こういうふうに認識をいたしております。

○山下よしき その結果、海外でそういう方々の情報が扱われるということについて、大臣、何らかの対応を検討しなくてもいいというお考えですか。

○古屋委員長 現状は今私が申し上げたとおりでございまして、法律上問題はないというふうに認識をいたしております。

○山下よしき 日弁連からは、今指摘した何点かも含めて、幾つかの人権上の懸念が表明されております。このままこれを執行しますと大変な人権侵害が起こりかねない、そのことを強く指摘して、危惧して、質問を終わります。