小選挙区制が民意と懸け離れた政権の暴走を生み出す 
2017年6月7日 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 本法案は、昨年成立した小選挙区制の維持を前提に定数を10削減する衆議院選挙制度関連法に基づいて6県の小選挙区と4ブロックの比例定数を削減し、政府の衆議院議員選挙区画定審議会勧告に沿った小選挙区の区割りを改定するものであります。
 まず、定数削減について聞きます。
 今回、東日本大震災で大きな被害を受けた東北ブロックが1減、小選挙区も青森県、岩手県が1減となります。岩手県では沿岸部の岩手三区が2分され、それぞれ隣の選挙区と統合され、選挙区が一つ減ります。三区に含まれる陸前高田市の戸羽太市長は、地元から議員が減れば国へのルートが閉ざされる、復興にマイナスになりかねないと述べ、仮設で暮らす住民の方も、被災地の事情を分かってくれる地元議員がいなくなれば復興は更に遅れてしまうと述べています。
 総務大臣、定数削減に対する被災地からのこうした声に、どう受け止められますか。

高市早苗総務大臣 今回の改正法案におきましては、小選挙区の定数において1減となる県の中に東日本大震災等の被災地が含まれていることは承知しております。被災地の支援につきましては、それぞれ選出選挙区に関わりなく全ての国会議員の皆様方、そして政府が被災地の皆様のお声にしっかりと耳を傾け、対策に取り組んでこられたと承知をしておりますので、このような取組を続けていくことは大切だと考えております。
 この衆議院小選挙区の定数削減及び六減県の決定方法につきましては、平成28年5月に議員立法によって成立した衆議院選挙制度改革関連法において規定されており、この法律に基づいて今回法律案を提出しているものでございます。
 各都道府県への小選挙区の定数配分の方法も含め、衆議院の選挙制度の在り方につきましては、議会政治の根幹に関わる重要な問題でございますので、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えております。

山下よしき 定数削減によって切り捨てられるのは主権者、国民の声です。それはまた国民、国会の政府監視機能を低下させるという大きな弊害も生みます。今回、我が国の男子普通選挙制度始まって以来最少の定数に削減したことを、改めてこの場で厳しく批判をしておきたいと思います。
 次に、区割りの改定について聞きます。
 今回の区割りの改定は19の都道府県、97の選挙区に及び、これまでで最大となります。これによって様々な不合理が生じることになります。例えば、市区町村内で分割、分断される自治体が、これまでの88から105に増えます。区割り審の知事意見には、住民に戸惑いが生じており、選挙時にも候補者が分かりにくい、選挙への関心が持てないといった弊害が生じている、北海道。分断後初めて行われた選挙において投票率の低下や無効票の増加という傾向が見受けられた、長崎県などの指摘がありました。
 大臣、知事意見にも見られる有権者の戸惑い、投票率の低下、どう認識されているでしょうか。

高市総務相 衆議院選挙制度改革関連法においては、各選挙区の人口に関して、次回の見直しまでの5年間を通じて人口較差が2倍未満となるよう、平成27年国勢調査による日本国民の人口に加えまして、平成32年見込み人口においても較差を2倍未満とすることが求められました。この結果、相当数の選挙区の改定の必要が生じましたことから、今回の区割り改定案の勧告では19都道府県、97選挙区において改定を行うということとなりました。
 分割市区町の数ですが、9市町の分割が解消されました。その一方で、26市区が新たに分割され、17増加することとなりました。
 今後、政府としては、勧告に基づく区割り改定法案成立の暁には、区割り改定の趣旨や内容を十分御理解をいただくということはもとより、特に選挙区の変更について選挙人始め関係者に混乱が生じることのないよう、きめ細かく周知啓発を行ってまいります。

山下よしき 不合理なことのもう一つ、紹介したいと思いますが、今回の区割り改定によって、市区町村が丸ごと小選挙区間を移動するケースも生まれます。
 資料1枚目に配付しておりますけれども、大阪では一区、二区、四区が見直しの対象となります。人口較差を是正するために大阪市東成区が四区から一区へ移動します。その代わりに生野区が一区から二区へ移動することになります。行政区がまるで玉突きのように選挙区を移動すると。市議時代から生野区を地盤としていた自民党現職の衆議院議員の関係者の方は、えらいことだと、本人が選挙区を変わるわけにもいかないとショックを受けた様子と報じられておりますけれども、私は、この議員候補もショックでしょうけれども、それ以上に有権者にとってこれは納得できる話ではないと思います。行政区の住民が丸ごと人口較差を是正するための駒のように扱われるわけですから、これは先ほど大臣、理解をお願いしたいとおっしゃいましたけれども、こうしたケースについて、大臣、どう認識されていますか。また、理解を得られるとお思いでしょうか。

高市総務相 平成28年5月に議員立法で成立した衆議院選挙制度改革関連法においては、平成27年日本国民の人口だけではなく、平成32年見込み人口においても較差を2倍未満とすることとされていました。
 これを踏まえて、平成28年12月に衆議院選挙区画定審議会が決定した区割り改定案の作成方針におきましては、選挙区の改定に当たっては、市区町村の区域は分割しないことを原則とするとしており、一定の分割基準に該当する場合のみ市区町村を分割するということになっております。
 今回の区割り改定案の勧告は、いずれもこの作成方針によって、地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮して、衆議院議員選挙区画定審議会の判断に基づき作成されたものです。政府としましては、この衆議院選挙制度改革関連法の規定に基づいて、衆議院議員選挙区画定審議会の勧告の内容どおり、そのまま小選挙区を改定する法案を提出させていただきました。
 今後、区割り改定の趣旨や内容を十分理解していただくことはもとより、特に選挙区の変更については選挙人始め関係者の皆様に混乱が生じることのないよう、きめ細かく周知啓発を図ってまいります。

山下よしき なかなかかみ合わないんですけれども。今大臣から、地勢それから経済的、社会的エリアという趣旨のことをおっしゃいましたけど、全く関係ない選挙区にどんどんなっていっているというのが実態でありまして、私は、こういう不合理は小選挙区制が続く限りなくならないと言わなければなりません。
 2020年の国勢調査を踏まえて、定数配分にアダムズ方式が導入されることになります。ですから、5年後には更に大幅な区割りの変更が見込まれております。選挙のたびに、少なくない有権者が不自然な選挙区変更を強いられることになります。今回で3度目の区割りの変更ですけれども、何回変更してもこの人口較差の問題は続くと、これなくなりません。これは、小選挙区制が元々投票権の平等という憲法の原則とは矛盾する制度だということを示していると言わなければなりません。
 そのことを指摘しておいて、次に、憲法が求める投票価値の平等は、選挙区間の人口較差是正にとどまらないと思います。そもそも選挙制度というのは民主主義の根幹でありますので、その根本は国民の多様な民意を正確に議席に反映させることにあります。ところが、現行制度は民意の反映が著しくゆがめられる制度となっています。
 資料2枚目に、これまでの小選挙区選挙における第一党の得票率と議席占有率を示しました。直近4回の総選挙では、第一党が4割台の得票で7割から8割の議席を獲得しております。一方、約半数の投票がいわゆる死に票となっております。ここに私は小選挙区制の最大の問題があると思いますが、大臣、小選挙区制がもたらすこの民意と議席の乖離、放置できないんじゃないですか。

高市総務相 現行の衆議院の選挙制度であります小選挙区比例代表並立制は、選挙や政治活動を、個人中心の仕組みから政策本位、政党中心の仕組みに転換するということを目指して、長年にわたる政治改革の議論を経て、平成6年に導入されました。
 小選挙区制につきましては、第8次選挙制度審議会の答申などによりますと、長所としては、政権の選択についての国民の意思が明確な形で示される、政権交代の可能性が高い、そして短所としましては、選挙区ごとの票の動きが激しい、少数意見が選挙に反映されにくいなどが挙げられております。
 いずれにしましても、選挙制度の在り方につきましては、議会政治の根幹に関わる重要な問題でございますので、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えております。

山下よしき 選挙をやるたびに短所の方が、弊害が顕著になってきていると言わなければなりません。
 小選挙区制がもたらす民意と議席の乖離が政治に何をもたらしているか。私は、民意と懸け離れた政権の暴走が起こっていると思います。
 資料3枚目に、安倍政権の主要政策に関する世論調査を幾つか並べました。秘密保護法、安保法制、原発再稼働、これいずれも国民の多数意見は反対でありました。それが、国会では数の力で強行されたわけです。その根底には、小選挙区制によって獲得した多数議席があると言わなければなりません。
 自民党について少し数字を紹介しますと、結党直後の1958年の総選挙で、有権者全体に対する自民党の得票割合、絶対得票率は44・17%でありました。それが、2014年の総選挙では16・99%になっております。自民党安倍政権は、有権者全体の17%の支持で獲得した多数議席の下で、国民の反対を押し切って安保法制などを強行していると。まさに小選挙区制の害悪を明白に示すものだと言わなければなりません。
 大臣に伺いますが、小選挙区制が民意と懸け離れた政権の暴走を生み出す基盤となっている、そういう自覚はおありですか。

高市総務相 先ほど来申し上げておりますとおり、確かに、小選挙区制であれ中選挙区制であれどのような選挙制度を選択したとしても、それぞれ弊害が指摘されてきたところでございます。一方で、メリットも指摘されてきたところでございます。
 国民の皆様は選挙の機会を通じて政権を選択し、そしてまた、争点というものはその時々の選挙に応じて有権者の方々がお決めになるものだと私は考えますけれども、そこで政権を選択する権利をお持ちであると思います。いずれの選挙制度であっても、これは議会政治の根幹に関わることですから、各党各会派で御議論をいただくべきことでございます。
 特に、国会は内閣をチェックしていただく重要な役割を担っておりますから、その国会議員の身分に関わること、国会の在り方に関わることにつきまして、総務省の方から案を提示するというよりは、国会において御議論を進めていただくべき事柄だと考えております。

山下よしき 資料4枚目に、直近2回の総選挙について、仮に総定数を各党の比例得票率で配分したらどうなるか、試算をいたしました。注目してほしいのは、民意が完全に反映されたこういう議席配分なら、秘密保護法も安保法制も原発再稼働も、賛成推進勢力が国会の過半数を占めることはできないということであります。
 先ほどから言っているように、小選挙区制による虚構の多数によって政権の暴走が生み出されているというのは、私はこういうことを基に言っているわけであります。先ほどから大臣は国会の内閣チェック機能ということが大事だとおっしゃいましたけれども、こういう中でどんどんどんどんチェック機能が人為的にゆがめられているという面を直視する必要があると思っております。
 我が党は、現行制度の提案当初から、小選挙区制が民意の公正な議席への反映をゆがめ、比較第一党が虚構の多数を得ることで強権政治を推し進めようとするものだと批判してまいりました。民意と議席に著しい乖離を生み出す小選挙区制は廃止し、民意を反映する選挙制度へ抜本的に改革することを強く主張して、質問を終わります。