議院運営委員長解任決議案への賛成討論 
2017年6月14日 参議院本会議

 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました議院運営委員長山本順三君解任決議案に賛成の討論を行います。

 そもそも、今日は、本会議散会後に、次回の日程を協議するために議院運営委員会理事会を開くことを朝の理事会で確認しておりました。にもかかわらず、山本議院運営委員長は、昼休みに突然、理事会を開いたのであります。なぜか。今日、昼前に突然、与党代表自民党国対委員長から野党代表民進党国対委員長に対し、共謀罪法案については中間報告を行いたい、その上で採決したいと、一方的な通告があったからであります。

 与党の諸君は恥を知りなさいと言わなければなりません。国会は何のためにあるのか。参議院は何のためにあるのか。政府の行うことを国民の立場からチェックする行政監視機能こそ、国会の最も重要な役割であり、衆議院の議論に加えて、異なる選挙制度、異なる時期に国民から選ばれた我々参議院がより深くより丁寧に議論を尽くすことこそ、二院制における参議院の役割ではないのでしょうか。それこそ、国民の期待する国会、参議院の使命ではないかと確信するものであります。

 共謀罪法案について、国民はどう見ているでしょうか。6月に入って実施された北海道新聞の世論調査で、共謀罪反対の声は一四ポイント増えて59%と、賛成34%を大きく上回りました。テロ対策のためなど政府寄りの設問であるNHKの世論調査でも、反対、どちらとも言えないが6割以上を占め続けているのであります。

 共謀罪法案は、審議すればするほど国民の中に不安が広がる法案であります。国会が仮にも国民の代表者であるなら、徹底審議して不安をなくすのが当たり前ではないでしょうか。不安がなくならないのなら廃案とするのが当然ではないでしょうか。それを中間報告で審議を打ち切り採決するとは、国会、参議院の自殺行為に等しいと言わなければなりません。

 だからこそ、参議院野党四会派は、中間報告の通告がなされた直後、小川敏夫民進党・新緑風会会長、福島みずほ希望の会会長、糸数慶子沖縄の風会長と私が伊達忠一議長の元を訪ね、先ほど述べた中間報告の問題点を丁寧にお伝えし、与党によって一方的に政党間協議が打ち切られた以上、ここは議長が賢明な御判断をと要請したのであります。

 私は、その場で、かつて自民党出身の河野謙三参議院議長は七三の構えを説かれ、与党に三、野党に七顔を向けてこそ議院の公正な運営ができると、このことを貫かれました、今こそこの役割が求められているのではないでしょうかと私は伊達議長に申し上げました。議長は、しっかり受け止めます、信頼が大事ですねとお答えになったのであります。

 にもかかわらず、山本委員長は、中間報告をやろうとする議院運営委員会理事会を開きました。開かれた議運理事会でどんな議論があったか、詳しく報告したいと思います。

 自民党の理事から、状況が変化した、中間報告の動議を出したい旨の発言がありました。我が党仁比理事から、朝、本散後に次回本会議の日程を協議すると言っていたではないか、状況が変わったとは一体何が変わったのか。昨日の法務委員会でも、自民党の理事、西田理事から、今日採決は考えていない旨の発言があり、法務委員長も、採決はまだだ、こういう認識を示されました。これから一体何が変わったのか、仁比理事が質問いたしました。自民党の議運理事は、……、答えられない状況があったわけであります。維新の理事から、仁比さんの言うとおりだ、こういう発言があり、激しい抗議とともに持ち帰るという発言がありました。仁比理事から、持ち帰る前に一つ確認したいことがある、中間報告にする一体理由はどこにあるのか、こう詰め寄りました。自民党の理事からは、動議は自民党会派として出す、お怒りはごもっとも、会期末なので、こういう理由しか示されなかったのであります。それを受けて仁比理事は、公明党は知らなかったのか、屈服するのか、こう問いましたが、公明党の理事は、……、答えがなかったのであります。仁比理事が改めて、会期末に本会議で強行採決するのか、こう詰め寄りましたら、またも自民党はうつむいたまま返事はありません。ここで休憩になり、山本議院運営委員長は、指摘は重く受け止めると、休憩に入ったのであります。

 にもかかわらず、山本議院運営委員長は、公正公平な議院の運営という自らの役割を投げ捨て、議会制民主主義を踏みにじる中間報告のための本会議を開催するための委員会を強行いたしました。解任は当然であります。

 共謀罪法案の参議院法務委員会における審議はまだ18時間弱、緒に就いたばかりです。時間だけの問題でもありません。審議すればするほど、矛盾と問題点が噴出しています。審議すべき問題点は山のようにあります。にもかかわらず、委員会での審議を打ち切って、数の力で召し上げて、強行採決で成立を図ろうなどということは、参議院と国会の存在を否定する行為だと言わなければなりません。

 与党に言われるがままにその暴挙を唯々諾々と受け入れようとする議院運営委員長は、そのことだけを取っても解任に値すると言わなければなりません。

 しかも、共謀罪で問われているのは、人権とプライバシーが脅かされることになるのではないかという重大問題です。一つ、内心に踏み込む捜査や処罰が行われるのではないか。二つ、一般人が捜査や処罰の対象となるのではないか。三つ、民主主義の根幹に重大な萎縮をもたらす監視社会になるのではないか。(発言する者あり)ないということが言えるんだったら、ちゃんと審議したらいいじゃないですか。

 参議院の参考人の3人のうち2人がこの懸念を出したわけであります。参考人に対して、審議を尽くすのが参議院の礼儀ではないでしょうか。

 こうした大問題は、国民の不安、専門家の指摘の焦点です。僅かな審議においても、新たな重大問題が次々と明らかになっています。こうした国民の懸念、批判に真摯に向き合い、問題を究明する徹底した審議こそ、参議院に求められている責務であります。

 そして、この徹底した審議を支える柱が委員会中心主義であります。戦前の本会議中心主義に対して、新憲法下の新しい国会は、その運営について委員会中心主義を採用いたしました。より突っ込んで、より充実した審議をすることを目的としているのが委員会中心主義であります。中間報告の濫用は、その新しい国会の柱を乱暴に破壊するものと言わなければなりません。

 今、安倍政権は、森友問題、加計問題に象徴されるように、行政を私物化し、政治をほしいままにしております。

 これに対し、多くの国民が厳しい批判、怒りの声を上げています。

 我が党は、こうした国民とともに、野党とも力を合わせて闘うことを表明し、議院運営委員長解任決議案への賛成討論といたします。

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。