戦争法案廃案にむけ全力でたたかいぬく 
2015年9月9日 日比谷野音大集会での連帯あいさつ(要旨)

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 日本共産党書記局長の山下芳生です。

 今日はわが党の池内、梅村、大平、斎藤、清水、畑野、畠山、真島各衆院議員、そして田村参院議員がそろって集会に参加しました。ともにたたかう決意を込めてご挨拶申し上げます。

 きょう自民党・公明党の幹事長が16日の採決をめざすことで合意したということが報道されました。とんでもありません。そんな条件がどこにあるのか。戦闘地域での兵站、戦乱が続く地域での治安活動、そして集団的自衛権。この法案でやろうとしていることは、どれも憲法が禁止する海外での武力行使に道を開くものばかりではありませんか。

 だからこそ、圧倒的多数の憲法学者、元内閣法制局長官に続いて元最高裁判所長官の山内さんまで違憲だと言っています。

 山内さんは、集団的自衛権が違憲だとした1972年見解の枠の中で行使できるというのは、論理矛盾でありナンセンスだとおっしゃっています。

 これまで政府は、最高裁こそ憲法の番人だと言ってきました。その最高裁の元長官にここまで言われたら、廃案にするのは当たり前ではないでしょうか。

 昨年来、安倍総理は、赤ちゃんを抱っこしたお母さんのイラストを散々使って、日本人を乗せた米艦船を守らなくていいのかと繰り返しました。ところが最近、中谷防衛大臣は「日本人が乗っているかは絶対条件ではない」と言っています。

 安倍さんが言っていたことはウソだったのか。

 そして、ホルムズ海峡での機雷除去についても安倍総理は繰り返し述べていましたが、当のイラン政府が「ホルムズ海峡の封鎖などありえない」などと否定する中で、現実味がなくなって口にすることもできなくなってきているではありませんか。

 集団的自衛権が何で必要か。政府はまともに説明できなくなりました。立法事実がなくなりました。だったら、撤回するしかないではないでしょうか。

 自衛隊の暴走がひどい。私たちは、いくつかの(自衛隊)内部文書を暴露しました。今焦点になっているのは、それは、昨年12月の総選挙直後に、自衛隊のトップ=河野統合幕僚長が訪米し、米国防総省や米軍高官らと会談した記録です。ここには、大変大きな問題が書かれています。戦争法案について「来年の夏までに終了する」との見通しを、5月の法案の閣議決定のはるか以前の時点でアメリカ側に示していました。翁長雄志沖縄県知事誕生直後に、辺野古新基地建設に関して「安倍政権は強力に推進するであろう」と世論に背く発言をしていました。さらに、辺野古新基地に関して米海兵隊と自衛隊の共同使用を前提に、「これにより沖縄の住民感情も好転するのではないか」と進言しています。米軍と自衛隊の共同使用をめぐっては、3月の衆院予算委員会で穀田議員の追及に、中谷防衛相は「恒常的な共同使用は考えていない」と答弁したが、国会答弁とはまったく逆のことが話され、確認されています。

 防衛省は昨日、会談記録について「同一のものの存在は確認できなかった」、「類似の資料はあったか、統合幕僚長の訪米に関わる会談の記録は存在しています。ただ(会議記録と)同一のものであるとは確認できなかった」、「どこがどう違うのか、同一性はお答えしかねる」「公開すると相手側との信頼関係を損なう。忌憚のない意見交換ができなくなる」と、まったく通用しない説明をしています。

2015091001_01_1 わが党が示した会談記録の内容が事実なのかは答えず、アメリカとの関係で内容を公開することさえ拒否しました。自衛隊のトップが、政府も確認していないことをアメリカに報告し、協議・確認してきているわけです。この姿勢は、8月11日に小池議員が追及した戦争法案の具体化を自衛隊幹部に徹底した内部文書と同じです。国民にも、国会にも隠して、軍部が暴走し、そのことを把握も対処もしていない安倍首相と中谷防衛相の責任も重大と言わざるを得ません。

 会談記録に書かれていることは、どれ一つとっても安保法制特別委員会で確認しなければならない重大な問題だ。河野統合幕僚長の証人喚問と徹底した審議が法案審議にとって不可欠です。採決などを口にできる状況では到底ありません。

 このように、戦争法案は国会審議が進めば進むほど、政府の答弁はボロボロになっています。典型は集団的自衛権の具体的事例だ。安倍首相の答弁が変わり、中谷防衛相の答弁と食い違うなど、整合性のある答弁ができなくなってきています。

 邦人輸送の米艦防護は「邦人が乗っていなくてもよい」と言い、ミサイル防衛にあたる米艦防護も「米軍は自己完結型」で自らできる限りの防護を固めていると総理自身が認め、米艦防護の根拠が崩れました。「ホルムズ海峡での機雷除去」もイラン政府が「封鎖などあり得ない」と否定するなか現実味がなくなり、衆議院の答弁では対象とならないとしてきた「南シナ海での機雷解除」を持ち出してくるなど、立法事実を国民に説明できなくなっています。

 集団的自衛権の行使は、日本が攻撃されていなくても、他国への、つまりアメリカへの武力攻撃を排除するために、日本の自衛隊を海外に派兵し、武力行使することです。アメリカは戦後、ベトナム戦争、イラク戦争など数多くの無法な先制攻撃の戦争をやってきました。戦争法案が通れば、アメリカに言われるまま、自衛隊が一緒になって、殺し殺される戦場に日本の若者を送り込むことになります。それを「自国を守るため」と政府が説明しようとしていることに根本的な矛盾があと言わざるを得ません。

 「武力行使の目的をもって自衛隊を他国の領土、領海、領空に派遣することは、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない」というのが、歴代内閣の立場です。。憲法を投げ捨て、歴代政府の立場も投げ捨てる戦争法案を廃案に追い込もうではありませんか。

 政府・与党は、来週にでも、戦争法案の強行を企てています。これに対して、8月30日には12万人の人々が国会を包囲し、全国1千カ所以上で抗議行動が取り組まれました。9月6日には、新宿伊勢丹前で学生と学者による街宣行動が行われ1万2千人が参加しました。8日の新宿駅西口大集会は、およそ5,000人もの方が集まりました。たたかいは、国民一人ひとりが主権者として、「いま声を上げなければ」と、自発的・自覚的にたちあがる、戦後かつてない新しいたたかいに発展し、大きく広がっています。

 国会での論戦、野党共闘、新しい国民運動、この3つの力で安倍内閣を打ち倒して戦争法案を葬り去りましょう。集会お集まりの皆さん、廃案までともに頑張りましょう。

 

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。