NSCの危険な実態を参考人が陳述 
【議事録】 2013年11月21日 参議院国家安全保障特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 お三方、ありがとうございます。
 西山参考人にまずお聞きしたいと思いますが、先ほど、NSCが発足すればアメリカは日本に対して協力を引き出すための情報を出すようになるだろうと、こういう趣旨のことをお話しされました。
 私は、もう既にNSCが日本に発足する前からそういう傾向が往々にしてあると、その一つの苦い教訓が先ほどから議論になっているイラク戦争だと思います。ただ、イラク戦争の場合は、アメリカもそれからイギリスも間違いだったと誤りを認めました。ところが、日本だけはいまだに政府は誤りを認めません。しかし、誤った情報に基づくイラク戦争に対する支持をしただけではなくて、イラクに自衛隊を送った、空自は武装した米兵まで運んだ。憲法違反のことまでやったわけですが、私は、そういう下で政府に情報を集中するというのであれば、まずそういうことがあったことについての深い反省をしなければ非常に危惧される事態が起こるんじゃないかと思いますが、西山参考人、いかがでしょうか。

西山太吉参考人(元毎日新聞政治部記者) 全くそのとおりで、私が一番日本の外務省の官僚連中に言いたいことは、ある過去の事実で、もし、日本がある大きな密約なり違憲性のある違法な密約をやったということが発覚したと。それも、しかもアメリカが、交渉相手のアメリカが全部発表している、正式に詳しく。そして、それが何10年も後に分かったというときに、なぜ依然としてないと言うのかと。これが日本の、先進国群の中でこういう国は日本だけだという。アメリカはキューバ侵攻のときに失敗したと。失敗したら失敗したで、ケネディだって失敗したということを言うんですよね。アメリカはイラク戦争で失敗した、大義名分はあれはでっち上げだったと。そうしたら、やがて、いや、あれは間違っていたと言うんですよ。イギリスもそうですよ。イラク戦争に参加したら、これは間違いだったかどうかというのを検証するわけです、徹底的に。そして、やがて、それは俺たちが間違っていたと、こう言うんですよ。
 なぜ日本がそれ言わないか。言えばすごく簡単なんです。言ったら、こんなだらだらだらだらした、変なもやもやした不信感というのは生まれないです。なぜ外務省は沖縄密約をいまだにまだ否定するのか。ちゃんと認めたらいいんですよ。それを私は何遍も言っているんですよね。それが日本の今の政治の一番の根底にある一番ガンですよ、これはね。これを是正するということは、機密保全という問題にもある程度解決する糸口をつくるんです。全くそのように思います。

山下よしき もう一問、西山参考人に伺いますが、私は、戦後、二度と戦争はしないと決めた憲法があるにもかかわらず、日米安保体制の下で戦争する国づくりにずっと進んできていると、こう認識をしております。その中で、日本政府は一貫して、先ほどお話があった核持込みあるいは沖縄返還についての日米間の密約を存在しないものと、先ほどから言っておられるように、米側が資料を出しても、また当事者が証言しても、そんなものはなかったというふうにずっとこれを認めることを拒否し続けてまいりました。そして、それを明らかにしようとする行いや取材に対して妨害や弾圧を加えてまいりました。
 そういう流れの中で、今、安倍政権が日米同盟の一層の強化を図ろうとし、その下で、NSCの設置、それと一体の秘密保護法制を急ごうとしていると。この狙いはどこにあるのか。日本、アメリカ両政府の狙い、この間密約と闘ってこられた西山参考人の御認識を伺いたいと思います。

西山参考人 私、二つあると思うんですが、一つは、やっぱり内閣の権限を一極集中化させようと、この際、一挙にね。御覧になってくださいよ。内閣人事局つくる、各府省の幹部が首相官邸で全部人選できるわけですよ。日銀総裁も自分の配下、いいですか、内閣法制局長官も自分の配下、NHKの会長を決めるNHKの経営委員も全部自分の息の掛かった連中。これはちょっと、幾ら権力の集中過程としても、こんなのを一挙にやるというのは異常なことですよ、これ。権力の集中というものは必ず秘密の保全を伴うんです。権力の集中一元化をやればやるほど秘密の保全というのは進行するんですよ。そういう悪循環を断ち切らなくちゃいけない。
 私は、権力を集中させるということの意義が今分からないんです。なぜこんなに異常に集中させるかということです。そういうような流れも一つあると思うんです、大きなね、この際一挙にという。これはなぜかというと、やっぱり一つにあるのは、日米体制というものをこの際一挙に聖域化して、これによって日本の国家の安全保障体系をもう不動のものにするという意思もあります。対中国、対朝鮮に対する抑止力を固定化させるというものと裏腹になって権力の集中一元化が進んでいると思います。
 だから、私は、そういうようなことの前に、そういう権力の集中一元化を、恐らく、こんなに際立って集中的に一挙に出てきたというのは、私、戦後長い間見ているけど、まずあり得ませんよ。余りにもすごいですよ、これ。だから、その辺の中に秘密保全が必ず付きまとうんです。集中と保全というのは必ず一体、裏表の関係にある。それをやっぱりもう少し反省していただきたいと思いますね。

山下よしき 続いて、春原参考人に質問したいと思います。
 アメリカの要人にいろいろ直接取材をされていると承知しておりますが、米側は日本側の情報保全についてどのように見ているのかと。先ほど、ペルー大使館人質事件の際のことを、これは具体的な確証、証拠があってのことではないがというふうにおっしゃられましたが、別の具体例ももしあるなら挙げていただきながら、その辺り、いろいろな取材を通じてお感じのことを、御見解伺いたいと思います。

春原剛参考人(日本経済研究センター・グローバル研究室長) 日本の安全保障に関する官庁、外務省はもちろんですが、防衛省にしてもそうでしょうし、経産省、文部科学省、警察庁、いろいろあろうかと思いますが、それぞれそれなりに情報の保全に努めているものと思っています。
 ただ、アメリカ側から見たときに、どうしてもなかなか完全に漏れないという確証を得られないという実感を持っている人が時折いることもそれは間違いありません。特に最近の場合ですと、衛星情報とかがありまして、画像が例えばあります。これは私の著作にも書いていますけれども、アメリカ側はだから結構縛りを掛けますね。外務省なり防衛省の局長に、あなたには見せるけれどもその上の政治家には見せないでくれとか、ニード・ツー・ノウとか、昔スパイ映画のタイトルにもなりましたが、ユア・アイズ・オンリーとかいろんな言葉がありますけれども、おまえだけにとどめておいてくれと。だけど、昨今の政治主導、官邸主導の名の下に、今政治家の皆さんがどんどんいろんな政策において主導権を握ろうとしているという中で、今までのように官僚が全てを決めるわけにはいかない、最終的な政治判断を仰ぐためには情報を、アメリカから提示されたものも伝えなきゃいけないと。さて、これどうしようかというジレンマをここ数年日本はずっと抱えていたのではないかというふうに思います。
 ですから、これは自民党の石破幹事長の持論でもあるし、私もそれは賛成なんですが、例えば、国会において、これはアメリカのモデルですけれども、先ほど西山さんがアメリカの情報開示の例を言いましたけれども、一方で、アメリカは情報の保全のために例えば上院に情報特別委員会というのがあって、この委員長は、何人か私も知り合いがいますけれども、非常に厳格に情報を管理しておられます。そこに入られた上院議員の方々にもちろん取材をしても一切コンフィデンシャルな情報は漏らさないと。例えば、そういった形での立法府におけるいろいろな施策も今後やらなければいけないのではないかと個人的には思います。そうすることによって、皆さん、国会議員に情報が共有されるわけであって、そこでもって初めて政治の主導なり政治の判断というのがもっともっと充実していくのではないかというふうに思っております。

山下よしき 今、春原参考人から、アメリカの情報保全委員会でしたっけ。

春原参考人 情報特別委員会。

山下よしき 特別委員会ですか。
 私、最近ある本を少し読ませていただいたら、恐らくその委員会のことが出ていて、その委員会がイラク戦争のときに、その委員にしかイラク戦争を開戦する際に必要な情報が開示されなかった。その委員がその情報に接しようと思うとある部屋に議員だけが行って、秘書も同行できない、コピーも取ることができない、その場で見ることしかできない、そういうところで膨大なイラク戦争開戦に当たる情報があって、だから、ほとんどの議員は大部のその情報を見ることができなかった、秘書も同行できませんから。その中にごく一部注釈として、国務省の情報として、イラクが大量破壊兵器を保有しているということは違うというのが一言あったけれども、それを見た議員は、そこまで達した議員はほとんどいなかった。それがいわゆる日本でいうと秘密会的なアメリカの議会の在り方。
 もしそういうことになったら、これは戦争を回避するかどうかという非常に重要な国家の意思を決定するのに、国民の代表たる議員がその重要な情報に接することもできない仕掛けがつくられたことが一つ間違った戦争にアメリカが突き進んでいった大きな要因ではないかということもその本を読みながら感じたんですが、そういう点はいかがでしょうか。

春原参考人 確かに、アメリカの情報はたくさん開示されているんですが、今おっしゃられた秘密公聴会等々でも膨大な情報が提示されて、その中で、その砂浜の中で本当の光るダイヤモンドを見付けるのは非常に大変だというのはよく言われていることではあります。ですから、逆に言うと、例えばアメリカの例でいうと、上院の特別情報委員会に選ばれる議員というのは非常に優れた人たちで、国益を考えている人だというふうに尊敬をすごく集めています。
 何が言いたいかというと、議員の皆さんも、恐らくアメリカにおいては非常にそこのところは鋭敏な感覚を持ち、日々切磋琢磨し、あるいは日ごろから行政側の人たちといろんなコンタクトをして勉強もされているんだろうと思います。ただ、それだけでも、今御指摘があったように、膨大な砂浜の中からたった1個のダイヤモンドを見付けられるかというと、それは個人の能力には限界がありますので、そこのところはやはりアメリカのシステムが、先ほどから申し上げましたように、全て我々の参考になるわけではなく、それがお手本になるわけではなく、一つのモデルとして見て、その足りないところは我々の日本流、独自の新しいシステムを構築していくべきではないかというふうに思います。

山下よしき 最後に、落合参考人に伺います。
 参考人は弁護士であり東京地検公安部の経験もお持ちなので、ちょっと今日のテーマとは違いますが、秘密保護法案について私からも聞かせていただきたいと思います。
 昨日のやり取りでも、この特定秘密保護法案は一般の国民には関係がないんだと、総理も、なぜなら、一般の国民は特定秘密に接することがないからだと、こうおっしゃいました。ただしかし、私は本当にそうだろうかと。例えば、森の中で野鳥を観察していた、そうすると軍事演習が近くの森林でやられているということに気が付いたと、そのことを仲間に情報をネットで提供したということなどが、その人は、本人は特定秘密とは知らない場合であっても突然逮捕される危険性はないのかと。しかも、知らないということを証明するのは本人ではなくて、それは警察権力の方になるであろうと。だから、一般の人は知らないから関係ないと言えないんじゃないかと、こう理解しているんですが、参考人、いかがでしょうか。

落合洋司参考人(弁護士・東海大学実務法学研究科教授) 端的に申し上げますけれども、やはり行政庁が持っている情報に対して様々な形でアクセスしたい、知りたいという人は今の世の中やっぱり多いわけですよね。その中に、もちろんテロリストのような人もいれば市民運動やっている人とか、いろんな方がいらっしゃると。やっぱりその知りたいというふうな希望があってそこに寄っていくということはいろんな形であり得るわけですから、ですから、一般人がそういった情報に接近していくというふうな中で、それが特定秘密というものにかかわるということは、それはやっぱり起きてこないとは当然言い切れないですよね。むしろ起きてくる可能性は当然あるんだと。
 だから、そういったことがあり得るんだということを前提にして、やはり処罰をするにしても過剰な処罰に及ばないとかというふうな絞りを掛けていくと。私は検察庁にもいましたし、今弁護士ですから、刑罰というものは必要最小限度といいますか、にとどめなくちゃいけないという、そういう基本的な考え方を持っているものですから、やはりそういった危険性というものを踏まえた上で処罰の在り方というものを考えていかなくちゃいけないというふうには思っております。
 以上です。

山下よしき ありがとうございました。終わります。