アベノミクス「3本の矢」は、経済を成長させることに逆行する内容 
【議事録】 2013年6月13日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 まず、労働基本権について大臣の基本的な認識を伺います。
 日本国憲法28条で保障された労働基本権は、労働者が人間に値する生活を実現するための基本的人権の一つであると私は考えます。そして、憲法28条の勤労者には公務員労働者が含まれることは当然だと考えます。
 この二点、大臣の認識を伺いたいと思います。

新藤義孝総務大臣 憲法28条のこの労働基本権の保障、これは勤労者たる公務員に対しても及ぶものでありまして、重要な権利であると、このように私も認識しております。
 一方で、公務員の地位の特殊性と職務の公共性、これを根拠といたしまして、公務員の労働基本権に対して必要やむを得ない限度で制限を加えることは十分合理的な理由があると、こういうことで最高裁の判決が確定をしているわけであります。勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められる労働基本権であるが、それ自体が目的とされる絶対的なものではない、おのずから勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地から制約を免れないと、こういった判決も出ておるわけでありまして、その双方をもって私としては基本認識としております。

山下よしき 私も全体の奉仕者たる性格を踏まえる必要はあると思いますが、御存じのとおり、歴史的経緯を見るならば、公務員の労働基本権は占領時に強権的に奪われたと、これを回復することがまずもって民主主義の復権にほかならないと思っております。
 その上で、昨年2月28日、民主、自民、公明三党による議員立法で、国家公務員の給与を2年間にわたり平均7.8%引き下げる臨時特例法が強行されました。私は、この臨時特例法は、国家公務員の大臣も認めた重要な権利である労働基本権を不当に制約したまま、その代償措置である人事院勧告制度さえ無視して、給与削減を一方的に押し付けた二重の憲法違反であり、かつ、地方公務員始め独立行政法人を含む600万人に及ぶ労働者に影響を与えるものであり、日本経済と地域経済にも大きくマイナスの影響を与えるということで反対をいたしました。
 そこで、人事院に聞きます。
 昨年4月から実施された臨時特例措置による国家公務員給与平均七・八%引下げによって、実給与は民間と比較してどうなっていますか。

古屋浩明人事院事務総局給与局長 昨年の給与改定臨時特例法による減額後で見た場合の月例給の官民較差につきましては、率で7.67%、額で28,610円、公務が民間を下回っていたところでございます。

山下よしき 今ありましたように、臨時特例措置による7.8%の引下げの結果、民間との比較で月28,610円も下回ってしまっております。この実態は、明らかに総理や副総理が民間給与の引上げの要請をしたことと逆行し矛盾するものでありますが、大臣、この臨時特例措置は早急に元に戻す必要があると思いますが、いかがですか。

新藤大臣 これは、給与の特例減額支給措置、これはもう未曽有の国難である東日本大震災からの復興財源に充てるということで、臨時異例の措置であります。そして、国会での御議論を経てこのような形で導入されたわけでありまして、この必要性は既に国会でも御議論いただいておりますが、私も同じ思いでありますし、是非委員にも御理解をちょうだいしたいというふうに思います。
 そして、これは臨時異例の措置でありますから、今後についてはこれしっかりと議論していかなきゃいけないと、これは何度もお答えをさせていただいております。

山下よしき 私は、こんな法律を通した諸党の責任は重大だと思っております。
 それから、被災地を始め、国家公務員、地方公務員も含めて、国民、住民のために献身的に仕事をされております。にもかかわらず、国の財政難と東日本大震災の復興財源に充てるという筋違いの理由で、また、国民に消費税増税を押し付けるために公務員も我慢しているとの姿を見せるというよこしまな狙いのために何重にも憲法をじゅうりんし、一方的に国家公務員給与を削減した。これは間違いだと思っております。
 大臣は2年後にもう一遍総合的に検討するというふうなことをおっしゃっているんですが、これは、こんなものを2年以降も続けるというのはもう絶対に許してはならないと思っておりますが、今日はそのことに入るとまた時間がなくなりますので、そこで、今実態がどうなっているか。
 昨年6月に、公務労組連絡会が2012年家計簿調査なるものを行いました。その結果がまとまって、今年の3月に出されております。今日、資料に、そこに寄せられた感想コメントの幾つかを紹介してあります。この生の声からは、国家公務員労働者の現在七・八%削減による厳しい生活の実態が浮かび上がってきております。幾つか抜粋して読み上げます。
 まず、20代、30代の方々。
 27歳男性。超過勤務手当が6万円ほどなので、超過勤務手当が減れば減るほど預貯金を取り崩すしかなくなってくる。
 29歳男性。今月は残業が多く、見た目上多少の余裕があるように思えるが、残業代を引くと貯金もままならない状況である、今回の給与削減は大きな痛手です。
 32歳男性。6月は衣替え期に当たり、子供服や職場で着る服等の整備のお金が掛かった、妻が無収入の状態で幼い子供の養育に力を入れながら妻の日常交際も維持する生活をしようとすると、貯金など到底できないような収支になることが明らかとなった、今後も賃金が減り続ける可能性や、消費税、年金、退職金問題を考えると気が重くなる。
 32歳女性。給与削減で貯金を取り崩して生活している、現在はぎりぎりの状態で生活しているので、このままでは家庭が持てないのではと不安になる。
 34歳男性。官舎に入居していること、子供2人もこれから学費が掛かることを考えれば限界、最大限の貯蓄により将来に備える必要があるが、想定外の給与削減で家計が直撃を受けており、将来への展望が見出せない状況である。
 以上、20代、30代では、貯金もままならない、あるいは貯金を取り崩している。それから、独身の人は結婚できないのではないかという不安を持ち、家族がいる人はこれから掛かる子供の養育費、教育費を考えると将来が見えないと。
 7.8%削減が公務員の暮らしを直撃しております。将来不安が大きくなっておりますが、若い世代の公務員のこうした実態、声を大臣、どう考えますか。

新藤大臣 生活が厳しい、これは日本中がそういう状態の中で、長期にわたる経済の低迷がありました。これは国政の責任であります。したがって、このように公務員の皆さんが厳しい中で更に苦しい状況を強いられていること、これについては、これは大いに心を私も痛めております。
 しかし、その上で、これを打破するためには、みんなで頑張る、そして、それは公務員そして政治が先頭に立ってこの国を立て直していくと、そういう中からしかこの結果は生まれないのであります。したがって、私は何度も言いましたが、国においても地方においても、まず隗より始めよで、財政再建をしつつ経済成長をするという非常に難しい、針の穴を通すようなことをやるためには、まずできることから始めていこうということでやってまいりました。
 ですから、ここは耐えて、その上できちんとした、厳しい冬があるとするならば、必ず春を迎えられるように我々は頑張らなければいけないと、このように考えております。

山下よしき 私は、まず国家公務員の生活の実態、この声に耳を傾けるべきだと思います。
 続けます。40代、50代。
 42歳男性。基本的に月給だけでは生活が困難であるため期末手当から補填することが当たり前になっており、苦しい家計は今月だけのことではありません、給与削減が増税でますます厳しい状況に追い込まれますので、生命保険の見直しなど更に緊縮していきたい。
 43歳男性。長男のアルバイトと子ども手当を入れても足りず、貯金を取り崩してやりくりしているが苦しい、毎月子供の教育費用(将来のために)を捻出したいが、給与削減のために無理、ボーナスを見越して生活している現状では先行き不安です。
 46歳。単身赴任であるため、自分自身の生活は切羽詰まった状況ではない、しかし実家の方は家のローンに加え、娘、高二の教育費やクラブ活動費がかさんでおり少々苦しい思いをさせている、上の娘が高卒後すぐに就職したため助かっているが、この子が大学に進学したとなると非常に苦しいやりくりとなっていた。
 51歳男性。単身赴任のため、大学生への仕送りを考えると生活は非常に苦しい、自分のための教養娯楽費はほとんどなく、交際費の割合が高く小遣いと言えるものはない、大学生が2人になる2年後を考えると更に生活は厳しくなるが、貯蓄をする余裕もないのが状況。
 52歳男性。息子が大学に進学し、学費、仕送り(家賃を含む)の出費が増加し家計を圧迫している、4月からの給与減額があり預貯金の取崩しが増加、更なる節約が必要、などがあるんですね。
 40代、50代の職員も子供の教育費の捻出に大変苦労されております。特に大学生の子供の学費、仕送りは高額で、自分のために使うお金がなくなっている、貯金を取り崩してぎりぎりの生活になっている。
 大臣、もう1回聞きますけど、この中堅層、40代、50代のこういう生活実態、これどう思われますか。

新藤大臣 これは、それぞれの個人個人の生活への影響、これは様々なものがあると思います。そして、本当に苦しい、厳しい中で耐えて頑張っていただいていること、これには私は敬意を表したいというように思いますし、共にこの苦労を分かち合っていかなくてはいけないと、こういう思いは今こういうお話を聞いても新たにするところであります。
 そして、何よりもこれらを改善するのは、国を成長させ、経済を立て直していかなくてはならないわけであります。お金は自分たちでつくらない限りどこからも降ってこないわけでありまして、私たちはまず国家として経済を立て直す。その中から国家のために働く人たちの給料というのは生まれてくるわけでありますから、私としては一刻も早く経済成長の実効を上げなければいけない、実体経済に好影響が出るような成果を早く出さなければいけないのが政治の責任であると、このように考えております。

山下よしき 今のアベノミクスが実体経済に効果を及ぼすかどうか、及ぼさないんじゃないかという世論調査の結果、そちらの方が多くなっております。その矢がないからです、国民の所得を増やすですね。この国家公務員の給与削減も、残念ながら経済を浮揚させることと逆行するわけです。
 時間がもう迫ってまいりましたので、最後に、別の50代職員の声です。年金受給までは再任用でつなぐしかないが、再任用になれば給与もかなり下がるので少しでも蓄えが欲しい、しかし今回の昇給停止でどうなるか、それでなくても高年齢になるほど引上げ幅も低いし、これでは業務に対する意欲も低下すると。いよいよこういう声がやはり出始めております。
 大臣が好んで使う公務員の高い志、士気、私もこの言葉は好きです。そういう構えでやってくれている方が大半です。しかし、その高い志や士気がこの一方的な給与削減と高年齢層の昇給抑制によって低下していると、間違いなく。原因をつくっているのは政府ですよ。まあ議員立法でしたから、賛成した諸党は責任を負わなければならないと思うんですけど。
 こういうことを考えると、これはゆゆしき事態だと。この士気の低下に直結し始めていると。これは放置できないんじゃないんですか。

新藤大臣 ですから、これは今、現状を打開するために、実践とスピードなんですね。
 今委員は、これが、アベノミクスが効果が出ないと、こういうふうにおっしゃいましたが、出ないことを願っていらっしゃるんでしょうか。(発言する者あり)私たちは出さなければ駄目なんです。そして、そのためのあらゆる努力をしていくと。是非御協力をいただきたいと思いますし、何よりもみんなの、国民生活の向上を上げなければいけないと、このように思っております。

山下よしき 出る矢があれば協力しましょう。しかし、経済を成長させることに逆行する内容しかないと。これから労働の規制緩和も、公務員だけじゃないですよ、非正規を増大し、長時間労働を野放しにし、そしてそういう非正規を増やす等々があるわけですよ。だから、その矢を打てば打つほど私は景気が冷え込むと、それを国民の皆さんが今感じ始めていると。
 その仕事の先頭に立たされるような公務員は、士気はますます低下するであろう。その中身も変えるし、賃金引き下げることはやめる、地方に押し付けることも絶対にやめる、そのことを求めて、終わります。

高齢者、障がい者、どうやって津波から逃げる手だてを取るか、これが一番の課題 
【議事録】 2013年6月12日 参議院災害対策特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 先日、南海トラフ巨大地震津波で大きな被害が予想される和歌山県の津波対策について、和歌山県和歌山市、海南市に調査に行ってまいりました。特に感じたのは、避難訓練、防災訓練の重要性の再認識です。例えば、海南市長さんは、市民の20%が訓練に参加している、東日本大震災後、関心の高さが違うとおっしゃっていました。
 いろいろ聞いて、私が感じた避難訓練には二つぐらい教訓があるなと思っております。第一は、住民の皆さんの逃げるという意識が高まるということです。和歌山市の担当者の方は、南海トラフ巨大地震津波の予測が発表された後、津波高の数字が独り歩きをして、もうどうしようもないと考えている高齢者の方がいると。そういう方に防災講座なんかで家族や孫が探しに来るよと言いながら、まず逃げてもらうということを徹底しているんだとおっしゃっていました。それから、これは和歌山じゃないですけれども、NHKのニュースで報道されていました高知の場合も、もう30メートルを超える津波が短時間で来ることについてもう諦めている高齢者がいるのに対して、避難訓練を子供さんと一緒に手をつないで山に上がるという経験をする中で、やっぱり逃げよう、生きようという気持ちが高齢者の中に湧いてきたということもありました。やはり、この訓練を通じて逃げる意識が高まるというのが第一。
 第二に、逃げる上での課題や障害が分かり、対策が進むということも感じました。海南市の場合は、割と平野部がそれなりの広さなので、逃げるよりも近くの高い建物に駆け上がる方が早いんじゃないかと。そうやって見ると、国家公務員の宿舎が幾つかあって、その屋上に避難してもらうことを市長を先頭に決めたと。そのために関係官庁と交渉もして、常に屋上への非常階段の入口を開放してもらうようにしたということも聞きました。
 それから、和歌山市の北部、本脇地区という海辺の地域では、避難訓練をする中で、車椅子を押して高台に行くのは無理だ、もうリヤカーの方がいい、そのためには道が狭過ぎる、地震でブロック塀が倒れてきたら大変だということも分かって、そういう問題の改良に着手しようとしているということでした。
 したがって、本当に避難訓練、防災訓練というのはいろんな効能があると思いますが、大臣の防災訓練、避難訓練についての重要性の認識、伺いたいと思います。

古屋圭司内閣府特命担当大臣(防災) 委員御指摘のように、やっぱり住民の皆さんが適切な避難行動を取ってもらうためには、単なる知識を身に付けるということだけではなくて、実際に行動して、移ってみるとかの体験的訓練、これを1回ではなく、やっぱり重ねてやっていくって極めて大切ですね。
 今回の法改正では、第7条に、住民の責務として防災訓練への自発的参加を努力義務として規定をさせていただいておりまして、また平成25年度の総合防災訓練大綱では、地方公共団体における防災訓練として、まず住民が防災を考え、具体的な行動を取る機会の提供、二つ目、地域住民等の連帯による自主的な防災訓練の普及促進、三番目、災害時要援護者の避難支援訓練、こういったものを位置付けをさせていただいておりまして、今後とも地域における避難訓練の、効果的な防災訓練の実施、こういったものについて周知を徹底してまいりたいと思いますし、そういった対応を促進をしてまいりたいというふうに思います。

山下よしき 和歌山の聞き取りでも、高齢者、障害者の存在を事前に把握することとともに、どうやってそういう方々の逃げる手だてを取るか、これが一番の課題となっていました。
 今回の改正案では、こうした災害時に避難する際手助けが要る避難行動要支援者の名簿作成やその活用、個人情報の取扱いなどの規定が設けられております。これをきっかけに、各自治体で、災害時の要援護者の避難支援をどうするか、計画の策定、マンパワーの確保に取り組むことになりますが、そこで、まず東日本大震災では被災者全体の死亡率と比べて高齢者や障害者の亡くなった比率が高いと言われておりますけれども、数字を御報告いただけますでしょうか。

西村康稔内閣府副大臣 総務省消防庁が公表しております平成25年3月26日現在の報告によりましたら、東日本大震災で亡くなられた方の総数は1万8千人にも上るというふうにされております。改めてお悔やみ申し上げたいと思いますが、この亡くなられた方のうち、65歳以上の高齢者の死者数が約6割を占めておりまして、さらに御指摘がありました障害者、障害をお持ちの方の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2倍というふうになっているところでございます。

山下よしき 今ありましたように、65歳以上の死亡が全体の六割、障害者の死亡率は全体の約2倍ということです。大臣、この数字をどう受け止めて、どう対応されるでしょうか。

古屋大臣 今委員おっしゃるとおり、65歳以上の方がこういう数字、今副大臣からも答弁があったとおり、やはりそこの背景には、亡くなられた方々におかれては必要な情報がまず届かなかったということがありますね。それから、避難すべきかどうかを判断することができなかった。あるいは、必要な避難支援を受けられなかった。寝たきりの状態や老老介護により、自力や介護者だけでは避難することができなかった。あるいは、もう避難すること自体を諦めてしまったという事例が少なからずあったんでしょう。行政として、こういった面は反省をしていかないといけないというふうに思います。避難行動要支援者の支援に取り組んでいく必要があると改めて認識をしております。
 そういった視点から、今回の改正における災害対策基本法への避難行動要支援者名簿の作成等の位置付けを行いました。そして、それを踏まえて、災害時要援護者の避難支援ガイドラインの見直しを進めることといたしておりまして、今回の東日本大震災で明らかとなった様々な課題を教訓に、全力でそういったものが起きないような取組をしっかりしてまいりたいというふうに思います。

山下よしき 要援護者の皆さんを支援するためには、私、地域力が必要だと思うんですね。要援護者の方を迅速に避難していただくためには、手助けする方が必ず必要です。比較的若くて元気な方がやはり地域の中にたくさんいることがその地域力の一つの要だと思うんですが、行政のマンパワーはもちろんです。それから、介護福祉事業者のパワーも要るでしょう。しかし、それだけではやっぱり足らないです。
 例えば、その地域にある職場の労働者、あるいは農業従事者、特に後継者、そういう比較的若い力が地域の中にあるというのが、いざというときの要援護者の避難の支援に大きな力を発揮していただけるんじゃないかと思うんですが、ただやはり、もう皆さん御存じのとおり、地域を歩きますと、日常的にそういう方々が存在できているのかという点では非常に心配です。雇用の場が地域からはだんだんだんだん少なくなっております。農業で食べていけないということで、後継青年も少ない状況も生まれております。ですから、地域の中に日常的に支援する側の方々が存在していただく上でも、何といいますか、地域力の確保、これ大事だと思うんですが、大臣の認識伺いたいと思います。

古屋大臣 お答えいたします。
 要支援者名簿に記載し又は記録した情報は、本人の同意を得て必要な限度であらかじめ市町村から避難支援等関係者に提供することとしていますけれども、避難行動要支援者が確実に避難できる体制の確保を進めるためには、平時から地域づくり、人材育成等に幅広く取り組んでいくこと、行政だとか福祉の事業者だけではなくて、やはり農業とか漁業に従事する方々とか企業の従事者、こういったより多くの支援者を確保していくということは極めて重要です。委員のおっしゃるとおりだと思います。
 このため、国としても、災害時要援護者の避難支援ガイドラインを見直しまして、ふだんから住民同士が顔の見える関係を構築することを促進をして、支援者を拡大するために、まず地域づくり組織だとか福祉団体、市民団体等と要支援者が連携をした防災訓練を行っていくということ、それから地域づくり担当部局とも連携をして、防災行事に限らない様々な地域行事への参加の呼びかけであるとか、要支援者に対する声掛けあるいは見守り活動等を通じて人と人とのつながり、これを深めていくこと、そして自主防災組織、自治会等に対して、要支援者と接するに当たって留意すべきことなどの研修を行うこと、こういったことを盛り込みまして、その対策を強化をしてまいりたいというふうに思います。

山下よしき 繰り返しになりますが、その対策をやる上でも、マンパワーといいますか、元気な比較的若い方がいないと駄目です。その点では、僕はすごく痛感するんですけど、今大企業が地域の工場を勝手に閉鎖して海外に出ていっちゃうということだとか、TPPだってこれ農業に対しては非常に大きな打撃を与えますから、こういうことは地域の防災力を確保する上でもよく考えてやる必要がある、止めなければならないと、こう感じております。
 もう一つ、要援護者の方々を安全に避難していただく上で、例えば津波てんでんこという言い伝えや言葉があるとおり、津波においてはまずそれぞれが逃げることが基本だと言われております。これと要援護者の避難支援とをどう両立させるのか、大変これ重たい課題だと思います。大臣が先ほどから答弁されている中身は、恐らくこの災害時要援護者の避難支援に関する検討会の報告書の中に出てくる内容だと思いますが、この冒頭に、助けようとして自分も津波にさらわれたという事例が幾つも出ております。これ、どう考えたらいいのか。
 私は、私なりに考えることを少しまず述べて大臣の見解を伺いたいんですが、やはり科学的な予測に基づいた計画が大事だと思います。この地域は津波が何分後に、あるいは何十分後に到達するのか。あらかじめしっかりとそのことを想定した上で、その間にどんな対策ができるのか、それを取るのにどういう協力体制が必要なのか。で、実際にそれができるか訓練でやってみる。その上で、どうしても無理な場合は、もうそういう要援護者の方々を安全な場所に移り住んでいただくということも含めて対策を取る必要があると思いますが、いずれにしても住民が主人公で、日常から、常日ごろからそういうことを考えておくことが大事だと思うんですが、非常に重い課題も含まれると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

古屋大臣 避難行動要支援者に対する支援については、やはり避難支援者の関係者の協力というのがこれは不可欠でして、ちなみに今度の東日本大震災でも、消防団員とか消防団の死者・行方不明者、実際それ援護に当たった方ですよね、281名に上りました。避難支援に当たった方も多数犠牲になられているわけでありまして、実際に避難支援に当たられる方々の安全確保というのも一方では重要ですよね。
 今回の法改正については、災害応急対策に従事する者への安全確保への配慮規定は設けさせていただきました。また、国として、先ほどのガイドラインを見直して、事前に避難行動要支援者と支援者の間でしっかりと打合せを行う、支援者本人等の安全を守ることを大前提として、地域で避難支援の撤退ルール、これについて定めておく等々を盛り込みまして、避難行動要支援者の円滑な避難支援と支援者の安全確保、この両立、これをしっかり図っていかないといけないわけで、そういう視点に立って取り組んでいきたいというふうに思っております。

山下よしき 撤退ルールという言葉がありました。ここに載っているんですけれども、それ読んで、これ本当にこれでいいかなと思ったのは、支援者は全力で助けようとするが、助けられない可能性もあることを理解してもらうことが望ましいと。これは非常に残酷というか、しかし、助ける側まで一緒に流されたのでは元も子もないと。
 やっぱり、これは地域の中に助ける側の人数を増やすことだと、解決の方法としてはですね。そうじゃないと、もう助けられないかもしれませんよという通告をしなければならないということになりますので、やはりここは、これはもう行政だけでは駄目ですけれども、さっき言ったいろんな地域の力をしっかり確保できるような総合的な対策が必要であります。
 もう時間が参りましたので、最後に、障害者団体の当事者の声をしっかりその計画を作成する段階から取り入れていただきたい。そして、障害者の中でも助かった人もおられますから、その教訓もまとめて生かしていただきたいということを要望して、終わります。

被災者の生活再建、農漁業のとのかかわりで住宅再建もセットで 
【議事録】 2013年6月7日 参議院災害対策特別委員会 参考人質疑

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 4人の参考人の皆様から、未曽有の大規模災害の現場に身を置かれた、あるいは今も置かれている立場から、大変重要な御意見を伺うことができました。一言一言胸に迫ってくるものがありました。ありがとうございました。
 まず、磯辺参考人に伺います。
 どれだけ多くの命が奪われれば法や制度は変わるのかと感じてきた、それから、被災者の血のにじむような努力で、生活再建支援法だと思いますが、作られたことを忘れてはならないと、大変思いのこもったお言葉でした。私も共感するところがあります。血のにじむような被災者の努力で生活再建支援法ができたということについて、もう少し詳しく、思いも含めて聞かせていただければと思います。

磯辺康子参考人(神戸新聞社編集委員) 阪神・淡路のときには、今のような生活再建支援法がなくて、災害救助法も政府の方では現物支給が基本ということですので、被災者が取りあえずの生活再建を進めていくための資金が欲しいというのは、やはり義援金とか保険とか、そういうものに頼らざるを得ませんでした。それ以前は、義援金の額に対して被災者の数が少ないという災害が割と多かったですので、一世帯当たりの義援金がかなり多額であったということがございますが、阪神・淡路の場合は20万円、30万円というような非常に少ない額になってしまいました。
 やはりその義援金頼みの生活再建では無理だということで、皆さん、被災者の方が多く疑問を持たれて、署名活動をして、生活再建支援法が3年以上たってようやくできたということなんですね。その間、いろんな運動をされた方がいらっしゃって、それによって、最初は百万円でしたけれども、非常に貴重な現金支給の法律ができたということで、小さく産んで大きく育てる法律にしようということで、今ようやく最高3百万円まで支給される法律になったということで、このプロセスは私はとても大事なことだというふうに思っています。
 以上です。

山下よしき ありがとうございます。
 私も、阪神・淡路大震災の年に初当選させていただいて、被災者の皆さんと一緒に、生活再建に対する公的支援をどう実現するか、立法府に身を置く者の一人としてかなり当時の政府の立場と板挟みになって苦悶いたしましたけれども、やはり被災者の皆さんの運動、今、磯辺参考人からたくさんの運動があったというふうに紹介されましたけれども、その運動に支えられて一緒に作ることができたと思っております。で、終わりじゃないと。やっぱりどんどんどんどん災害被災者の皆さん、新たな被災者の皆さんと一緒にこれを前進させていく、発展させていく、やはり常に運動、闘いと私は思っておりますけれども、そういうものがあって被災者制度というのは前進するんだと思っております。
 それで、もう一つ磯辺参考人、復興には時間が掛かるんだとお話しされました。いろんな課題がまだ阪神・淡路の被災地でも残っているんだと思います。その一つとして、僕が非常に今危惧しているのは、借り上げ公営住宅の20年の期間、期限の問題です。多くの高齢者の方々が、あと何年かで期限が来るので、公営住宅なんだけれども出ていかざるを得ない状況に追い込まれている。これは人道上も問題だと私も思っているんですが、この問題についてどういう見解をお持ちでしょうか。

磯辺参考人 ありがとうございます。
 民間住宅を借り上げて公営住宅扱いにして被災者の方がそこに入っておられて、民間住宅ですので、そこも20年たつと返さないといけないという問題が今阪神・淡路の被災地で起きているという御指摘だと思うんですけれども、非常に高齢者の方が多くて、なかなか引っ越しするのが大変だ、引っ越しするのが大変というよりも、そこのコミュニティーでこの十数年築いてきた人間関係であるとか、そういうもの全て失うのは非常に、ある意味生命にかかわるという方もおられます。ですから、そのところはしっかりと配慮してやっていただかないといけないなというふうに思っております。
 以上です。

山下よしき ありがとうございました。
 続きまして、室崎先生に伺いたいと思います。
 私は、室崎先生も被災者の立場に立って支援の内容を前進させるために闘った学者の代表格だと思っております。そこで、先生、先ほどの意見陳述で、今度の法改正を評価しつつも、残された課題がまだあると。生活再建や住宅再建への踏み込みが弱い、特に住宅再建への踏み込みが弱いという御指摘だったと思いますが、どのような問題がまだあると認識されているのか。
 私は、先ほど磯辺参考人も少し述べられたんですが、例えば被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給限度額が3百万円ですけれども、津波で根こそぎ住宅が失われた東日本大震災の皆様にとって3百万円では、阪神にはゼロでしたから、これ大きな支えになっておりますけれども、やはりこれでは不十分ではないか、5百万円に当面引き上げる必要があるんじゃないかとか、先ほどお話があった半壊や一部損壊も対象にするべきではないか、店舗もするべきではないか、こういう問題があるんではないかと。
 それから、災害救助法関係では、被災者の生活を中長期的に再建していくことにつなぐという観点から、例えば仮設住宅の建設に際して将来的に災害公営住宅や個人の住宅に転用可能な木造の戸建ての仮設住宅を建設する等の問題もあるんじゃないかなと、これは私が思っているんですけれども、室崎先生の住宅再建についてのもっと踏み込んだ支援が必要だという点はいかがなものでしょうか。

室崎益輝参考人(公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長) まず第一点は、これは従来の住宅再建の常識というものをやはり変えていかないといけないというふうに思っています。それは災害復興公営住宅で被災者を救済するというのは主要なルートでありますけど、それにこだわり過ぎると必ずしも、例えば公営住宅を造ってもそこに入る人が意外に少なかったとか、空き家になったまま放置をされるとか、やっぱりそういう問題が出てくるわけですね。
 今回の東日本の場合ですと、自分の土地にやっぱり住み続けたいという人がとても多い、あるいはほかの周りの人と一緒に住み続けたいと。そうすると、既にこれは実行されていますけれども、木造の公営住宅を造って何年間で払下げをする、それは個々の敷地に造って隣同士で一緒に住めるような形にするというような、形でいうと従来の公営住宅の概念を少し変えていかないといけない。あるいは、一戸建ての公営住宅でもいいよとかというようなことだとか、あるいは住宅再建でいうと、最初は小さな住宅を造るときに対してしっかりサポートするけれども、将来にわたって増築をしていくところのプロセスについてもそのプログラムを持つというような形で、少し住宅再建の多様な在り方というか、実態に応じて少し考えていくというようなことをしないといけないというのが一点目です。
 それから二点目は、いわゆるこれ阪神のときは仕事を失って大変な人がたくさんいてたんですけれども、大半の人たちは大阪に勤務していてサラリーマンだったので、問題は主として住宅であった。だからこそ、住宅の再建ということで非常に取り組んで、生活再建支援法等というのは形の上では住宅の制度ではありませんけれども、実質的には住宅再建の支援制度として生み出されたわけです。
 ところが、今回の東日本を見ていると、住宅も重要ですけれども、まさに生業というかなりわい、暮らし、生きがいとか暮らしだとか、その支えがないと住宅が戻ってもやっぱり住み続けられないと。そうすると、住宅再建だけではなくてそういう生業再建みたいなものも要るし、さらにはもっと言うと、コミュニティー再建だとか、その再建を全体で考えていかないといけないので、いわゆるそれを住宅再建という狭い範囲で考えていると、やっぱりなかなか復興はうまくいかないので、少しその辺りのことも、だから生活再建支援法というもののフレームをどういうふうに考えて、その中に生業支援もはめ込むのか、別途、生業というか、中小企業だとか商店の人たちが立ち上がるところに別の制度を作るのか、これはちょっと検討していかないといけないだろうというふうに思っています。
 最後、三点目ですけど、これは私に3百万では少ないと言わせようとしているのかもしれませんけれども、私は3百万論者なんです、増やす必要はない。それはどうしてかというと、一つのフレームは、まさに自助、共助、公助の関係をどうとらえていくのかということだと思うんです。だから公助の公的支援だけではなくて、やっぱり自助というと、これは保険の問題だとかいろんな問題がありますし、共助というのは義援金だとか、あるいは事前に兵庫県がやっているフェニックス共済のようなもので支え合うシステムというものをしながら、トータルで組み合わせてしっかりつくり上げていくということだと。
 ただ、そのうちの自助で、自助の力がどうにもならない人がやっぱり世の中にはいるわけです。その人たちに自助であなた3百万貯金していないのが悪いと言うわけにはいかないので、その部分については別途、福祉的な視点というか災害保護的な視点で何か別途考えないといけないと思いますけれども、少し自助、共助、公助のバランスの中で公助の責任というのはどこまでかということを考えていかないといけないというふうに一つは思っているわけでありますし。
 それからもう一つは、先ほど出たことと関係するんですけれども、生業支援とかそういうもののところをもっと手厚くして、トータルとして再建できるように考えるということは必要ではないかというふうに思っています。
 以上でございます。

山下よしき やはり阪神・淡路と東日本の大きな違いは、住宅再建だけでは済まないという、生業支援がどうしても、漁業ですとか農業、林業とのかかわりで住宅がセットにならないと、家だけでは何ともならないというのはおっしゃるとおりだと思っております。
 それと、その上で、私、阪神・淡路以来、被災者の願いの前に壁のように立ちはだかった理屈の一つが、私有財産制の国では個人の財産は自己責任が原則だという、この論法でした。ただ、これはもう僕は事実上、その後の被災者の支援の拡充によって住宅再建に3百万円出すことができるようになったということで突破されてきつつあるんだと思っているんですが、いまだにいろんなことでこの考えがしっぽとして残っていまして、いろんな、例えば住宅地の改良ですとか集団移転のときの問題ですとか液状化対策ですとか、そういうものになると必ず個人の財産はというのが付いて回るんですね。しかし、そのときにやはり理論的な整理が必要ではないかと。
 僕は、住宅というのはもちろん個人の財産という側面があるけれども、同時に住宅なしに人間らしい生活を営むことはできない、したがって、これは必要不可欠の生活基盤の一つ、その破壊された生活基盤を再構築するために必要な支援という側面が一方であると思うんですね。単に財産という面だけ見て、私有財産云々というのは当たらないと。そこをはっきりしないと曖昧で、何かのときにそれがまたもたげてくると。
 室崎先生にこの辺りの考えについて少し整理いただければ有り難いと思います。

室崎参考人 先ほどの質問とも関係すると思いますけど、だから個人財産としての住宅で、確かに全てが、でも、公共性を持っているわけではないと思っている。私は、やっぱり自助、個人の財産としての部分と、それからもう一つは公共的な部分と、両方相併せている。それは、例えば町並み、景観をつくるということもそうですし、あるいは住宅が早く建つことによって人口の回復が早くて地域の経済が早く元に戻るというようなこともあります。そういう意味では、公共的な側面があるし、他方でいうと、でも個人財産で、やっぱりそれを維持し管理するのは個人の責任だという部分があるわけです。だから、そういう意味でいうと、その割合というかバランスをどう考えるかということだと。
 そういうことでいうと、どの部分が公助かというのはしっかり議論をして早くきちっと決めた方がいいと。公的な性格はここ、この部分に対して公として支援をすると。そうすると、額の問題も僕はおのずから決まってくるんだろうというふうに思っています。

山下よしき ありがとうございました。
 石巻の亀山市長に伺います。
 市長も、現在最大の課題は住宅再建だというふうにおっしゃいました。それで、1万2千世帯、2万9千人が仮設住宅になおお暮らしだと。この方々が今からどう仮設から出ようとされているのか。先ほどちょっと土地の買上げの問題が言われましたけど、少し教えていただきたいのは、1万2千世帯が今後恒久住宅に移っていく上で、自力再建、自宅を自力で再建される方がどのぐらいいて、それはなかなか難しいだろうから公営住宅に入っていただこうと、そしてそれがどのぐらいの、あと何年ぐらい公営住宅だとか自力再建というのが掛かるのか、大体のところ、どんなふうに御覧になっているんでしょうか。

亀山紘参考人(石巻市長) 今議員御指摘のように、全体として仮設住宅にお住まいの方、みなし仮設も含めてですけれども、1万2千世帯。大体7千世帯は自立再建していただけるんじゃないかと。ですから、あと4千は公営住宅建設を目標としてこれから建設していくという状況にあります。

山下よしき 大体、公営住宅の建設のめどというのは付いているんでしょうか。

亀山参考人 公営住宅につきましては、民民のケースではもう入居が始まりましたので、公営住宅についてはできるだけ早く、26年度には入居できるような状況まで持っていこうと。目標としては、今年が169戸、来年が2千戸、そして再来年が、達成目標ですけれども、3千3三百戸ということで、4千戸は27年度までには確保していきたいというふうに考えております。

山下よしき 時間が参りました。
 ありがとうございました。