武器としての笑い

 

 先月、「他言無用ライブ」と銘打った演劇を観てきました。現役の劇作家や喜劇役者など3人組による辛口の風刺劇です。マスメディアではまったく知らされることもないのに会場はほぼ満席。根強いファンがいるのか、はたまた実行委員会の引きが強いのか(私の参加は後者が理由でした)。

 オープニングから強烈でした。終わったばかりの衆議院選挙が題材。落選した山崎拓自民党前幹事長が闇夜にまぎれて封印された投票箱をあさり、自分の票を増やそうと悪あがきする様子を面白おかしく描いていました。山崎氏と同じ落選した身の私としては、あまり笑えない場面だったのですが、それでも吹き出してしまうのは演技力の成せる業でしょう。案内のチラシには「喜劇役者といっても吉本芸人とはひねくれ方が違う本物」とありましたが、なるほどたいした洞察力と表現力です。あっという間に2時間あまりが過ぎてしまいました。

 3人は音楽のセンスもよく、ギターとドラムをやりながら渋い声でスキャットなどを口ずさみます。なかでもいちばん受けていたのが、『ブッシュの気持ち』と題した替え歌。おなじみ『遠くへ行きたい』の曲に乗せて、しみじみと歌い込みます。

 ♪ 知らない街を 燃やしてみたい
   どこか遠くを 燃やしたい 

   愛する人は  こっちにいるから
   どこか遠くを 燃やしたい

 学生時代に読んだ『武器としての笑い』(飯沢匡著、岩波新書)のなかに、「笑い」というのは、「怒り」とともに、庶民が権力と闘う強力な武器である、とありました。笑いのなかに権力のおろかさを批判するのは、狂言からシェークスピアまで洋の東西を問わず共通したことのようです。

 ところで、最近の報道によると、ブッシュ米大統領は、イラク戦争に反対した国々の企業を復興事業から排除する決定をしたそうです。なんだそういうことだったのか、と思った人も多いのでは。すでにチェイニー副大統領をはじめ、ブッシュ政権中枢メンバーの関連企業が復興事業に群がっています。替え歌の続編が出来そうです。

 ♪ 愛する人の  もうけになるから
   どこか遠くを 燃やしたい

 そのブッシュ大統領にひたすら忠誠を誓う小泉首相。イラクの状況がますます泥沼化するなかで、自衛隊派兵の「基本計画」を閣議決定しました。「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と、「憲法前文」をつまみ食いして派兵を「正当化」しようとするにいたってはあきれるほかありません。

 憲法前文の精神を具体化したのが、「2度と戦争はしない」「軍隊は持たない」とうたった憲法9条。国民の6、7割は、この9条を大切にすべきと考えています。前文のつまみ食いで9条を破ろうとする恥ずかしい首相を、国民が笑い飛ばす日も近いでしょう。