非常勤の正規化早く 地方自治体の実態告発 総務相は消極的 
2017年4月11日 参院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 自治体で働く非正規雇用の職員、臨時・非常勤職員が急増し、10年ほど前から官製ワーキングプアとして社会問題になっております。総務省も在り方研究会で対応を検討し、この度、法改定を予定されております。
 そこで、今日は、自治体で働く臨時・非常勤職員の実態について、総務大臣の認識を伺いたいと思います。
 まず、総務省に伺いますが、地方自治体の臨時・非常勤職員数の推移を報告してください。

高原剛(総務省自治行政局公務員部長) 御答弁申し上げます。
 地方公務員の臨時・非常勤職員に関する調査によりますと、臨時・非常勤職員数は、平成17年4月1日時点において45万5840人でございましたが、平成28年4月1日時点では64万3131人となっております。平成17年4月と比べまして、18万7291人、率では41・1%の増加となっているところでございます。
 以上でございます。

山下よしき 今あったように、自治体で働く非正規雇用の職員の皆さんは10年余りで約20万人近く増えたわけであります。
 では、正規職員はどうか。総務省、地方自治体の常勤職員数の推移、報告してください。

高原部長 御答弁申し上げます。
 地方公共団体定員管理調査による全地方公共団体の職員数の総数については、ピーク時の平成6年が328万2492人でございましたが、平成17年は304万2122人、平成28年は273万7263人となってございます。したがいまして、平成28年を平成6年と比べますと54万5229人の減少となっているところでございます。
 以上でございます。

山下よしき 今あったように、正規職員は20年余りで50万人以上減りました。うち30万人はこの10年余りに減っております。要するに、この10年で自治体で働く正規職員が30万人減って、代わりに非正規雇用の職員が20万人増えたということになるわけです。
 地方自治体の臨時・非常勤職員は実に多様な業務を担っております。先週、私、大阪で臨時・非常勤職員の皆さんから直接話を伺いました。一部紹介いたします。
 ある自治体では、公立病院の滅菌業務を嘱託職員の方が担っています。滅菌業務というのは手術に使う器具を洗う業務でありまして、二重窓の高圧室で消毒や殺菌よりもより高度な無菌状態にすると。器具ごとに様々な洗い方があって、ヨーロッパではこれは専門職とされております。滅菌ができなければ手術はできません。それを嘱託職員の方が今担っておりました。
 また、ある自治体では郷土資料室の調査研究業務を嘱託職員の方が担っております。仕事は、郷土の古文書を解読し、市民講座で市民に伝えることや市の歴史に対する問合せに対応することでありまして、大学院で日本史や近世史の博士課程を修了した方が嘱託職員としてこの業務を担っておりました。
 高市総務大臣に伺いますが、住民の命や文化に関わる大事な仕事の多くを臨時・非常勤職員が担っていることについてどう認識されているでしょうか。

高市総務相 今委員がおっしゃいましたような文化に関わるお仕事、また命に関わるお仕事を担っていただいている臨時・非常勤職員の方々もいらっしゃると思います。
 現在、地方公共団体においては多様化する行政ニーズに対応するため、それから働く側からも多様な働き方が求められているということから、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営を原則としながらも、臨時・非常勤職員など多様な任用、勤務形態が活用されてきたと認識をしています。
 総務省では、地方公務員の臨時・非常勤職員の方々については総数も増加しています、また事務補助職員のほか教員、講師、保育士、給食調理員、図書館職員などといった行政の様々な分野で御活躍をいただいているということから、現状において地方行政の重要な担い手になっていただいていると考えております。

山下よしき 地方行政の重要な担い手という御答弁でした。
 もう少し実態を紹介したいんですが、この公立病院の滅菌業務はかつて正規職員がやっていた業務であります。今正規職員はゼロで、滅菌業務に18年当たってきた嘱託職員の方がアルバイトの職員を指導しながらやっております。それから、郷土資料室の調査研究業務もかつては正規職員がやっていた仕事でありますが、今嘱託職員2人だけでやっているそうでありまして、私が話を聞いた嘱託の方は20年この仕事を続けているということでありました。
 先ほど述べたように、正規職員が減らされる中で、かつて正規職員が担っていた基幹的、恒常的業務の多くを臨時・非常勤職員が担っている。高市大臣、今や自治体の臨時・非常勤職員が担っている仕事の多くは補助的、臨時的業務ではなくて基幹的、恒常的業務になっている、その認識はありますか。

高市早苗総務大臣 今般、今後御議論をいただきます地方公務員法の改正案でございますけれども、やはり任用、服務などの適正化を図るということと併せまして、会計年度任用職員に対して期末手当の支給を可能とするというように、やはりこの処遇の改善ということを目指していくものでございます。
 様々な分野で今、臨時・非常勤職員の方々に活躍していただいていると承知をしていますが、一般職非常勤職員制度がやっぱり不明確であったということが課題だったと思います。ですから、制度の趣旨に沿わない任用も見られます。一般職であれば課される守秘義務などの服務規律が課されない場合もありますし、先ほど申し上げましたように、期末手当が支給できないといった勤務条件上の課題もございます。こういったことについてやはり改善をしていく必要があると、そういう思いで今後御審議をいただく地方公務員法等の改正法案を提出させていただきました。

山下よしき 質問に答えておられないんです。
 もう1回聞きます。紹介したように、事実認識を問うているんですけれども、今や、自治体の臨時・非常勤職員が担っている仕事の多くが補助的、臨時的業務ではなくて基幹的、恒常的業務になっていると。かつて正規職員がやっていた業務が今多くの臨時・非常勤職員によってそのまま担われていると、この事実認識、おありですか。

高市総務相 これまで総務省が行ってきた調査ですけれども、臨時・非常勤職員の増加数を上回って正規職員が減少していて、全体の数字から見て臨時・非常勤職員が正規職員の代替となっているのではないかという指摘があるのは事実だと思います。
 地方団体においては、多様化する行政ニーズに対応するため、また働く側からも多様な働き方が求められているということから、先ほど申し上げましたように、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営を原則としつつ、事務の種類や性質に応じて、臨時・非常勤職員など多様な任用、勤務形態が活用されてきたと認識をしています。
 この職員の任用については、就けようとする職の職務の内容、勤務形態などに応じて、任期の定めのない常勤職員、任期付職員、臨時・非常勤職員のいずれが適当か、基本的には各地方公共団体において適切に判断されるべきものだと考えます。

山下よしき 聞いたことに端的にお答えいただきたいと思うんですが、今や臨時・非常勤職員が補助的、臨時的業務ではなくて基幹的、恒常的業務を多くの方が担っていると、その指摘は事実だということはお認めになりました。私、この事実認識がなければ自治体の臨時・非常勤問題の解決、正しい解決できないと思っております。
 臨時・非常勤職員がどのような思いで仕事をしているか。
 公立病院で滅菌業務を担っている嘱託職員の方は、個人で講習を受け、民間の資格認定を取得、更新するなど技術の向上に励んでおられました。やりがいがあります、二百床余りある病院でここでしか滅菌ができない、見えない力持ちだと自分では思っていますと話してくれました。
 また、郷土資料室の調査研究を担っている嘱託職員の方は、市内の旧家にある古文書を集めて整理し、大学に分析を依頼し、その成果を市民に返す地道な活動をこつこつとやっておられます。市民から電話や手紙でお礼をいただくととてもうれしいと語ってくれました。
 また、ある自治体の学童保育支援員は、全員が非正規雇用ですが、全員が保育士、幼稚園教諭、教師、社会福祉士、いずれかの資格を持っております。専門的知識と経験に基づいて、アレルギーや障害を持つなど様々な子供の成長と発達に関わり、保護者の子育て相談にも適切に対応しております。私が話を聞いた方は、子供が好きだしやりがいがあると目を輝かせて答えてくれました。
 今や、臨時・非常勤職員の多くが誇りと責任感を持って仕事に当たっておられます。私は、この方々は、身分は非正規ではあるけれども志はプロフェッショナルだと、そう感じましたけれども、高市大臣の御認識、伺いたいと思います。

高市総務相 今、山下委員のお話を伺う範囲でしか分かりませんが、それは公務員として誇りと責任感を持って公務に当たっていただいていると存じます。

山下よしき ところが、この非正規の雇用の職員の賃金、待遇は、正規職員と比べて大きな格差があります。
 これは、先ほど御答弁がありましたので、大体時間給で1,000円前後ですね。時給1,000円だとフルタイムで働いても年収200万円以下のワーキングプアであります。学童保育支援員の方は、やりがいはあるがこの賃金では一人で生活はできない、ダブルワークしている人もと言っておりました。
 実は、民間労働者の正社員と非正社員の賃金格差は、フルタイムの場合、6割台であります。民間で働く非正社員の1時間当たりの賃金は正社員の六割台。ところが、この民間も低いと思いますけれども、地方公務員の正規と臨時職員の賃金格差は、同じくフルタイムの場合、僅か3割台となっております。民間労働者よりも地方公務員の方が正規、非正規間の賃金格差がはるかに大きい。
 高市大臣、公務の職場でこのような格差、差別があっていいんでしょうか。

高市総務相 だからこそ、任用、服務の適正化とともに期末手当の支給を可能とするなど、改正法案を提出いたしました。今後御審議をいただくわけでございます。
 勤務条件面での取扱いというのは、これまで期末手当の支給が認められていなかったということを踏まえますと、昨年末に示されました民間部門に係る同一労働同一賃金ガイドライン案における、いわゆる賞与についての正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消という方向性にも合致していると考えております。
 各地方公共団体における定着状況、民間の動向、国家公務員に係る制度運用の状況なども踏まえて、また厳しい地方財政の状況にも留意しながら、これから御審議いただく法律案になりますけれども、成立しました暁には、会計年度任用職員制度について、その適正な任用、それから勤務条件の確保に向けて必要な取組を行っていくということが重要だと考えております。

山下よしき 処遇の是正とおっしゃったんですが、私は格差、差別があっていいのかということをもう率直に問うているんですが。正規職員と全く同じ仕事をしている非正規職員もおります。それは保育の職場だと思います。
 先ほど、全国の公立保育所で働く非正規保育士の割合が43%という御答弁がありました。今日、資料にそれぞれの自治体ごとの、都道府県別の状況を配付しました。十七県で臨時・非常勤保育士が五割を超えております。六割を超える県もあります。保育士の半数以上が非正規という自治体も、ですから珍しくないわけですね。こういうところでは、非正規の保育士もクラス担任を持って、保育日誌を作成して、保護者からの相談に応じるなど、正規と全く区別のない仕事をしております。しかし、賃金は正規の3分の1の水準で年収200万円を切ると。
 高市大臣、正規職員と同じ資格を持ち、同じ職場で同じ仕事をしている人が差別されている。自治体職場、公務職場でこんな事態、許していいんでしょうか。

高市総務相 差別されているというおっしゃり方が適切かどうか、個別の事例を私が、山下委員がお尋ねになられたところ、お話しになられたところで承知をしているわけではございませんが、基本的に、今民間事業者においても同一労働同一賃金ということでより公平な処遇をしていこうという世の中の流れになっております。国家公務員においても、そのような検討をしていかなきゃいけない。
 地方公務員においても、今後、民間の取組、また国家公務員の取組などを踏まえてしっかりと改善できるところは改善していかなきゃいけない、そういう思いで今後先生方に御審議をいただく地方公務員法の改正法案を提出させていただいたわけでございます。

山下よしき もう少し、じゃ保育の実態を紹介したいと思いますが、公立保育所の臨時・非常勤保育士は繰り返し継続して任用されている場合が多いです。
 総務省に伺いますが、10年以上同1人を繰り返し任用している事例のある団体、何割ありますか。

高原部長 地方公務員の臨時・非常勤職員に関する調査によりますと、平成28年4月現在で、臨時・非常勤職員の公立保育所保育士を任用する地方公共団体は1325団体ございます。このうち、同一任命権者において10年以上同1人を繰り返し任用する事例のある団体は544団体であり、臨時・非常勤職員の公立保育所保育士を任用する団体に占める割合は41・1%となっております。
 以上でございます。

山下よしき 実に四割以上の自治体が10年以上同じ人を非正規保育士として雇っているということなんですよ。要するに、これは正規保育士がいなくなる中で、もうずっと非正規の保育士に頼らざるを得ないと。だから、担任もするし、保育日誌も作るし、保護者対応もするんですね。
 もう一度聞きますけど、同じ仕事を同じ資格を持って同じ職場でやっている人が、しかしながら賃金は半分とか3分の1になっていると。これ、差別という表現がいいかどうか、大臣、そこに引っかかっておられるようですけど、同じ資格を持つ同じ仕事をしている人が、格差がもう固定化され、ずっと恒常的になっていると。これ、公務の職場で放置していい、良くないと思いませんか。

高原部長 事実関係だけ御答弁させていただきますが、昨年末に示されました民間部門に係る同一労働同一賃金ガイドライン案におきましても、フルタイム労働者が、ある意味キャリアコースの一環としてパートタイム労働者と同様の定型的な仕事に従事している場合、パートタイム労働者よりも高額な基本給を支給していても問題とならないというような考え方も示されておるところでございます。
 このガイドライン案は地方公務員に適用されるものではございませんが、やはり職務内容のみならず、キャリアコースを含めて総合的に勘案する必要が公務においてもあるのではなかろうかというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。

山下よしき あるんじゃなかろうかって、そんな無責任なことを言っちゃ駄目ですよ。自治体ではそんなことになっていないということを私、今、実際保育の現場の紹介をして示しているわけですね。
 それから、自治体で働く非正規雇用職員の74%は女性ですから、自治体で非正規、正規の格差を容認することは、そのままこれは女性差別を容認することになりますから、この点も大臣に指摘しておきたいと思います。
 私は、正規職員が減らされる中で、補助的でも臨時的でもない本来正規職員が担うべき基幹的、恒常的業務の多くが非正規雇用の職員によって担われている、ここにこそ自治体の非正規雇用問題の一番の核心があると考えます。この核心を直視しないでこの問題の真っ当な解決はありません。
 根本的な解決の道はもう一つだと思います。基幹的、恒常的な業務を担っている常勤的非常勤職員を正規化することです。大臣、実態直視して、今こそ常勤的非常勤の正規化、真剣に検討すべきではありませんか。

高市総務相 地方公共団体の正規職員につきましては、国家公務員と同様、競争試験による採用が原則とされております。厳格な成績主義が求められております。これは、長期継続任用を前提とした人材の育成確保の観点と、人事の公正を確保し情実人事を排する観点から必要とされております。
 地方公共団体の臨時・非常勤職員が正規職員に転換する場合には、競争試験などにより正規職員としての能力実証を改めて行う必要がございます。一定期間勤務を継続したことのみをもって正規職員に転換することは困難だと思っております。
 ただ、地方公共団体においては、実態として、教員などの資格職を始めとして、過去に臨時・非常勤職員の勤務経験がある者について、競争試験等により厳格に能力実証を行った上で正規職員として採用しておられる例もあるというふうに聞いております。

山下よしき 終わりますが、仕事の中身が同じなら権利もお金もみんな同じでなければならない、これは人間の平等からいって当たり前のことだと思いますが、それが残念ながらずっと放置されている。今度の法改正がそれに資するのかどうか、次回ただしたいと思います。
 終わります。