地方公務員法及び地方自治法の一部改正案に対する反対討論 
2017年4月13日 参院総務委員会

 私は、日本共産党を代表して、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 本法案は、地方自治体における特別職非常勤及び臨時的任用の実態が地方公務員法の規定と乖離しているとして、臨時、非常勤の任用要件を厳格化し、増大した臨時・非常勤職員の受皿として新たに有期雇用契約である会計年度任用職員制度を新設し、期末手当の支給を可能とするとされているものであります。
 反対理由の第一は、臨時、非常勤を急増させた国と地方自治体の責任への反省がなく、臨時、非常勤の正規化、正規職員の定員拡大などの根本的な改善策が示されていないことです。
 三位一体改革や集中改革プランなどによって国から正規職員の定数削減を迫られる中、行政需要の増大に対応した結果、地方自治体の臨時・非常勤職員が急増しました。今や、公立保育所の保育士の半数近くが臨時、非常勤となっています。学童保育については総務省の実態調査すらされていません。学校では、定数内でさえ臨時、非常勤の教員、講師が配置されています。未来をつくる子供たちの命と安全、発達を保障する業務の担い手が、不安定で低賃金、生活保障さえできない処遇で本当に良いのでしょうか。
 民間の非正規雇用労働者に認められた解雇法理の適用による無期転換の対象外とされ、司法の場でも歯止めが掛からなかったことで、不安定、低賃金な臨時・非常勤職員が自治体職場で一貫して増え続けてきたのであります。本来なら、基幹的、恒常的業務については定数枠を広げて常勤化すべきです。ところが、本法案には常勤化への道を積極的に開く内容は一切ありません。
 反対理由の第二は、導入される会計年度任用職員制度が入口規制のない有期任用の職となっており、会計年度ごとの任用と雇い止めを地方自治体の判断で進めることを可能としており、合法的な人員の調整弁となる可能性を否定できず、地方公務員法の恒常の職の無期限任用の原則を掘り崩すおそれがあることです。
 反対理由の第三は、会計年度任用職員への給付について、フルタイムの場合は給料及び各種手当の支給対象となるのに、数分でも短くパートタイマーとされた者は期末手当のみとされ、通勤費などは従来どおり費用弁償の対象とするとしつつも、フルとパートで待遇格差を温存することは認めるわけにはいきません。
 さらに、再度任用されても、条件付採用期間があることなどで、不当に雇い止めに遭った場合にも任用継続への期待権が認められにくくなるのではないかとの指摘を否定できる根拠はどこにあるというのでしょうか。
 また、特別職非常勤を会計年度任用職員へ移行させることにより労働基本権の制限が掛かることとなりますが、組合解散や一般労組からの脱退により労働条件の不利益変更などが生じるおそれも指摘されています。
 自治体における常勤、非常勤格差は今や民間以上となっており、臨時・非常勤職員の7割が女性です。まさに公務がワーキングプアの製造場所となって、日本全体の格差拡大を進める結果となっていることを直視すべきです。
 仕事の中身が同じなら権利もお金も皆同じ、人間の平等からして当然の状態を公務職場でこそ実現することが強く求められていることを指摘して、討論を終わります。

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。