日本郵政巨額損失、航空機の無線設備に関する検査制度の見直しについて 
2017年4月25日 参院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 法案に先立って、日本郵政の巨額損失問題について質問をいたします。
 日本郵政が6200億円もの巨額を投じて買収したオーストラリアの物流企業トール社の業績不振で、数千億円に上る巨額の損失を計上すると報道されております。日本郵政は、本日夕方、記者会見を行うと聞いておりますが、日本郵政がトール社を買収したのは2015年であります。当時の総務大臣は高市大臣でありました。
 大臣、当時この買収についてお認めになったんですか。

高市早苗総務大臣 買収につきましては私が認可するものではございません。

山下よしき 日本郵政の経営判断だということだと思うんですが、しかし、日本郵政の監督官庁は総務省であります。加えて、民営化、当時もされていたとはいえ、100%政府が株式を保有しておりました。監督官庁としても100%株主としても、政府そして総務大臣には重い責任があると思います。
 今回の件について、高市大臣、責任お感じになりませんか。

高市総務相 平成27年、私の記者会見の記録もございますけれども、私も発表になるまで十分承知はいたしておりませんでしたが、しっかりとした対応を期待したいと、それから、うまくいかなかったらこれは大変なことであると、しっかりと日本郵政グループのグローバル化と収益力の多角化、強化、そして、当然、法定されておりますユニバーサルサービスの確保、これを両立させていただきたいと考えています、このように記者会見で、これは日本郵便から発表があった数日後の記者会見でお答えしたところでございます。
 今、山下委員がおっしゃいましたトール社に係るのれんの扱いについては、今日現在、今の時点では日本郵政から現在検討中とのコメントが出されているのみでございます。さらにまた、日本郵政の経営判断によることですから、今の時点で総務省としてコメントをすることは差し控えたいと存じます。
 平成29年度事業計画の認可においては、私から日本郵便に対しては、国際物流業務の状況等に留意しつつ、引き続き、収益力の多角化、強化、経営の効率化の更なる推進、ガバナンスの強化などを着実に進めることということを要請いたしております。しっかりと取り組んでいただきたいと存じます。

山下よしき 今、会見のことが紹介されましたので、私もその会見を議事録を読みました。2015年の2月18日に日本郵政がトール社の買収を発表しているんですね。買収は、その後数か月掛けてトール社の全株式を取得する予定でありました。この2月18日の発表された2日後に高市総務大臣は記者会見で野心的な挑戦だというふうに評価をされていたわけで、事実上これはこのトール社の買収について追認されたと言っていい状況だったと思います。ですから、知らなかった、日本郵政がやったことだということでは私は済まない。
 ユニバーサルサービスの維持ができるのか、郵政で真面目に働く人たちへの影響はないのかが懸念されておりますので、委員長に提案したいと思いますが、この件について、買収当時の社長だった西室泰三氏、現社長の長門正貢氏ら関係者に参考人として出席していただいて、集中審議を行うことを提案したいと思います。

横山信一総務委員長 ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。

山下よしき それでは、法案の質疑に入ります。
 法案の航空機の無線設備に関する検査制度の見直しについて聞きます。
 航空機にはたくさんの無線設備が搭載されておりますが、まず、どのようなものがあるのか、紹介してください。

富永昌彦(総務省総合通信基盤局長) 航空機に搭載される無線設備には、管制所と交信するための航空機用無線電話、質問信号を受信すると自機の識別信号を送信するATCトランスポンダー、前方の雨などの気象情報を表示させる気象レーダー、航空機の対地高度を測定する電波高度計、不時着時に救命信号を発信する航空機用救命無線機、質問信号を送信して周辺のATCトランスポンダーの情報を収集する衝突防止装置などがございます。

山下よしき いずれも航空機の安全運航にとって不可欠な機器でありまして、こういう機器が正常に機能しなければ大変なことになります。
 人命にも関わることになると思いますが、実際に航空機の無線設備の不具合が原因で乗員乗客が死亡した事故はありますか。

富永局長 お答え申し上げます。
 平成24年8月の航空機に搭載する無線局の検査の在り方に関する研究会の開催に当たり調査いたしましたところ、平成21年に電波高度計の異常に関係する死亡事故が海外で1件発生しております。これは、搭載されている二台の電波高度計のうち一台が原因不明のトラブルで異常な値を示し、警報が鳴ったにもかかわらず、そのまま降下を続けた結果墜落し、乗員乗客9名が死亡したものでございます。
 本件は、警報が鳴ったにもかかわらずそのまま降下を続けたという航空機の運航上の問題と、トラブルを起こした電波高度計が事故発生前の25時間以内に同じトラブルを二度発生させており、かつ以前より100回以上のトラブルが発生していたことにもかかわらず取り外し等の措置をとらなかった整備体制の問題と捉えられております。
 こうしたことも勘案しまして、今回、日常的な点検体制、点検方法について総務大臣の認定を受けることができる制度を導入することとしたものでございます。

山下よしき 電波高度計の不具合が理由で墜落事故で死んじゃったということでありますが、じゃ、日本は大丈夫かということなんですが、資料一に、お配りしてありますけれども、これは総務省の航空機に搭載する無線局の検査の在り方に関する検討会が無線設備の不具合により発生したトラブルの例を国土交通省に聞き取って作ったものであります。
 ここに紹介してあるのは2011年中に発生したもののみの抜粋ですが、それを見ても、例えば気象レーダーとか電波高度計とか航空無線電話などで不具合が発生し、飛行中目的地を変更したとか、離陸直後引き返したなどのトラブルとなっております。いずれも日本の航空会社であります。下のピンク色の箱の中に、国土交通省に報告されている案件だけでも過去10年間に100件超の無線設備不具合によるトラブルが発生している模様だとされております。
 資料二に、そこで、この検討会を受け継いだ総務省の航空機局の定期検査等に関する評価会が、今度は各航空会社に対して、トラブルに至らないまでも不具合がどれだけあったのかということを調査しております。無線機器の定期検査及び通常運航時の不具合データ調査です。要するに、引き返すとか目的変更まで至らなかったけれども不具合が見付かったものはどれだけあるかを調査したんですが、結果、現状は無視できないほどの不具合があることが明確になったと結論付けられております。
 A社からJ社まで個別の航空会社の結果が載っておりますけれども、一番大きいと思われる下のJ社、これは無線機器の保有台数が4090台です。定期検査のときに不具合が見付かった件数が、レベルワン、レベルワンというのは下のちっちゃい字ですけれども、通信不能や他の通信に影響を及ぼす事象に直接つながった不具合でして、これが26件。レベルツー、継続して使用するとレベルワンの事象になる可能性のある不具合、これが17件。レベルスリー、そこまではいかないけれども電波法の技術基準を満たさない不具合、これが591件あったと。その他の航空会社でもかなりの件数報告されております。日本の航空会社でもこういう無線機器の不具合、それを原因とするトラブルは結構起こっているということであります。
 ところが、今回総務省が導入しようとしている航空機の無線設備の新たな検査制度というのは、これまで年1回、国の検査官が直接合格、不合格の合否判定してきたのをやめて、航空会社自身に点検も検査も任せてしまう規制緩和であります。これは、航空機運航の安全、安心に対する国の責任を後退させるものではありませんか。

あかま二郎総務副大臣 お答えいたします。
 航空機に搭載される無線設備に係る電波の質の維持は、航空機の安全運航の確保の観点から極めて重要と考えております。
 今回の認定制度でございますけれども、まず、点検の手法及びその間隔並びにその体制について規程を定めさせた上、総務省の認定を受ける。そして、点検その他保守に係る報告を義務付けることにより、これまでの年1回の定期検査と同等以上の電波の質を維持させようとするものでございます。認定の基準の策定及び個々の認定でございますけれども、電波監理審議会への諮問、答申を経て行うこととしております。
 また、毎年義務付けている免許人からの保守点検実施状況の報告内容に疑義がある場合や、免許人の業務の不適切な実施に関する疑い、又は外部からの情報があった場合には、その事実関係を確認するために立入検査を実施し、必要に応じて認定を取り消して、国が直接検査をすることとしております。
 こうしたことにより、日常の点検、整備が適切かつ確実に実施されるよう、国の責任を果たしてまいりたいと考えております。

山下よしき 私、説明受けたんですが、航空会社の自主点検、整備にPDCAサイクルを取り入れるんだということなんですが、その新たなスキームで本当にトラブルや不具合を減らすことができるのか。これからその具体的な基準を決めるということなんで、じゃ、その検査の方法とか、検査の頻度とか体制とか、どういうふうにするんですか。

富永局長 お答え申し上げます。
 今回の制度における保守規程につきましては、その認定の基準として、保守を行う体制、能力の観点から、電波の質を維持するために十分な点検、整備能力を有していること、点検、整備に携わる組織、人員、資格の要件が定められていること、それから二つ目といたしましては、点検手法の観点から、無線設備の点検、整備手順が明確であること、無線設備に関する品質、信頼性、技術管理の方法が定められていること、それから三つ目は、そのほか、無線局の基準適合性を確保するために必要な事項が定められていること、こういったことを定めることとしております。
 今後、法律の施行までの間に専門家の御意見なども聴取しながら、具体的な認定の要件をまとめていく予定としております。
 無線局の基準適合性の確認の頻度につきましては、現在の定期検査の頻度、それから航空法に定められる整備間隔などを勘案いたしまして、電波の質が維持されるように具体的な頻度を検討してまいります。
 以上でございます。

山下よしき だから、これから検討なんですよね。
 具体的に聞きますけれども、年1回の定期検査、これどうなるんですか、やめるんですか。

富永局長 年1回の定期検査を選択される場合と、それから今回の認定制度を選択される場合ということで、二つのコースを今回設定させていただいております。
 それから、認定制度におきましても、毎年報告を受けて、私どもがしっかりそれを見るということにしております。
 以上でございます。

山下よしき ベンチチェックというのはどうなりますか。ベンチチェックというのは、積んで飛んでいるとき、フライトチェックじゃなくて、航空機が着陸して機器を降ろしてチェックする検査ですが、これ定期検査のときにはこれまで全部やっていましたけれども、このベンチチェックどうなるんですか、やめるんですか。

富永局長 ベンチチェックにつきましては、どういった形で実際に点検をしていただくかということを含めまして、これからの検討課題とさせていただいております。
 以上でございます。

山下よしき 結局、これから決めるということなんですよ。どうなるか分からない。定期検査が年1回やられていたときよりも良くなるのか悪くなるのか、私は今の段階で判断できない、白紙だと言わなければなりません。何も決まっていないんですからね。これではトラブルや不具合を減らせるのかどうかは分からないと思います。
 そこで、そもそも論聞きたいんですけれども、航空機の無線設備で、先ほど紹介したように、これだけの日本の国内でもトラブルがあったり不具合があったということが分かったわけです。しかも、これは2013年、2014年にこの検討会や評価会が国交省や各航空会社に問合せをして初めてこれだけたくさんあるんだということが分かった。専門家の先生方もたくさんあるじゃないかと驚いておられたわけですが、だとすればですよ、まずは国が主導して、緊急に事故や不具合発生の原因を分析、究明して、今すぐ可能な取れる対策を打つことが当然だと思うんですが、それやらないで、なぜ航空会社のPDCAサイクルに委ねるようなことをするんですか。なぜまず国が主導して、直ちにやれることをやらないんですか。

富永局長 航空機局の定期検査等に関する評価会におきましては、航空機局に搭載される無線設備につきまして、過去数年にわたる不具合の技術的データを分析した結果、定期検査時だけではなく通常運航時、この通常運航時と申しますのは、航行中に限らず運航前点検中ですとか整備期間中という期間も含みます、こういった運航時にも不具合が一定程度発生していること、それから、不具合を予防するための系統的な信頼性管理は行われていないことが判明いたしまして、不具合を減少させる方策につきまして検討を進めるとの中間的な取りまとめが平成27年6月に行われました。
 この取りまとめを受けまして、不具合の原因分析及び信頼性向上のための具体的な方策について検討を進めた結果、PDCAサイクルなど予防的な整備管理体制を構築し、恒常的に無線機器の基準適合性、適合性確認を行うスキームを導入するとの方向性が平成28年3月に示されたところでございます。今回の制度改正はこれを踏まえて行うものでございます。
 以上でございます。

山下よしき 予防的整備、PDCAサイクルというんですが、私、それがうまく回ることを前提に今お答えになっていると思いますけれども、必ずしもそういくとは限らないということを指摘しなければなりません。
 2004年の日本航空のMD87型機、これが、義務付けられた左主脚部の点検をしないで41回離着陸を繰り返していた事件があります。しかも、この未検査が発覚した後の検査も、必要な二つの検査のうち一つを行わずに手抜き検査のままだったと。それで12回、また後、離着陸を行ったということがありました。このとき報道では、検査を担当した整備士は、翌日のフライトに影響を与えることが気になった、早く検査を終えたかったこともあると、こう答えているわけでありまして、2011年、航空機を製造する三菱重工でも部品の手抜き検査があって、89年から2011年までの間、46万個の航空部品で規程の検査手順を守らなかったということもありました。
 何が言いたいかといいますと、民間会社では、こうして運航に支障を来すなどの理由で検査、点検が正常に行われないことがあり得ると、こういうところにPDCAを委ねても正常に機能しないことが起こり得ると。違いますか。

富永局長 今回の制度整備は、専門家にお集まりいただきました評価会等の検討を受けて、やはりPDCAサイクルを実際に点検等を行う会社がやることを前提に制度整備ということでつくらさせていただきたいということでございます。
 私どもとしては、この制度創設を契機にいたしまして、しっかりと民間事業者におきまして、点検整備、PDCAサイクルを回すようなことをやっていただくようにしっかりと周知啓発を図っていきたいと思っておりますし、実際にこの認定制度を運用していく段階で報告を求めることになっております。その報告の中で、しっかりしたものがやられていない場合は立入検査もいたしますし、また、必要によっては認定を取り消す、あるいは、更に申しますと無線局の免許を取り消すといったことも可能でございますので、しっかりと総務省として対応していきたいと考えております。

山下よしき 事故が起こってからでは遅いんですね、命に関わるわけですから。ですから、さっき言ったような民間会社における手抜きがなぜ起こるのかといいますと、やはり背景に利益至上主義があると思います。今回の航空機の無線機器の検査制度の見直しの出発点も、航空機会社、とりわけ格安航空会社と言われるところから2012年に年1回の定期検査の免除を求める規制緩和要求が出された、費用も手間も掛かる定期検査を3年に1回にしてくれとか、検査項目を減らしてくれとか、ベンチチェックを見直してくれとかいうことが出たことがきっかけですから。
 私は、そういう規制緩和、検査のコスト削減と安全というものをてんびんに掛けるわけには絶対にいかないと、航空機の安全というのは絶対優先されなければならないと思いますが、まだそういうPDCAサイクルに委ねるのは私は時期尚早だと。まず国が、これだけのトラブル、不具合があることが分かったんですから、やるべきことをまずやらせるということをやるのが先決だと思っております。
 国の責任を後退させることはまかりならないということを申し上げて、終わります。