非婚の母と子の救済 寡婦控除のみなし適用を 
2013年3月25日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 今日は、非婚の母に寡婦控除をみなし適用する問題について質問します。
 資料1枚目を御覧ください。
 今年の1月11日に、日弁連から新藤総務大臣に対してこの問題で要望書が提出をされました。申立人申立てに係る人権救済申立て事件につき調査した結果、下記のとおり要望するとありまして、申立人らはいずれも非婚の母として子どもを扶養している者であるところ、非婚の母に対しては所得税法の定める寡婦控除は適用されないと。寡婦とは、法律婚を経由したことのある者と定義されているからである。この寡婦控除規定により算出された所得が、地方税、国民健康保険料、公営住宅入居資格及びその賃料、保育料等算定のための基準とされている結果、非婚の母である申立人らは、寡婦控除規定が適用されないことにより、寡婦と比較すると上記各種金額算定に当たり著しい不利益を受けている。これは、非婚の母を合理的な理由もなく差別するものであり、憲法14条等に違反する。よって、当連合会は、非婚の母に対し寡婦控除をみなし適用することにより、国民健康保険料、公営住宅入居資格及びその賃料等の算定に当たって非婚の母子世帯の経済的苦境を救済するよう適切な措置をとることを要望するというものであります。
 新藤総務大臣、これ、どう受け止め、どう対応されたんでしょうか。

新藤義孝総務大臣 今御説明がありましたように、今年の1月の11日、日弁連から私の方に、総務大臣あてにこのような要望書が提出されたわけであります。今のこの非婚の母が、寡婦控除が規定されないことによって生活上の非常に厳しい状況下に置かれていると、こういうこと、これについての要望があったこと、これは承知をしております。
 現状において、今これについては、まだ私どもの方で具体的な何か作業をしているわけではございません。これは御要望をいただきましたが、それについては、今総務省で直接これに対して何か具体的な検討ですとか、そういったものにまだ至ってはおりません。これは前々からも言われてきたことだと思っておりますし、やはり国民の中にこういう厳しい状況にある人たちがいるということだと思いますから、それは私も承知をしているという状態でございます。

山下よしき まだ検討されていないということなんですけれども、是非これはしっかりと受け止めていただきたいんですね。
 そこで、資料2枚目を御覧ください。
 実態はどうなっているかということを見てみたいと思うんですが、ここに母子世帯の寡婦控除の有無による負担の比較を二つの具体例で示しております。
 上は、大阪市在住Aさん、非婚の母、子ども4歳の方です。Aさんの2011年度の給与収入は272万2868円です。このAさんの現在、住民税、所得税、保育料の支払総額は年間42万3300円となっております。この方は非婚の母ですから、寡婦控除が適用されないんですね。仮に婚姻歴があって寡婦控除があったとしますと、この支払総額は32万7700円となりまして、9万5600円、大きな格差が生まれているということであります。
 それから下の段、那覇市在住Bさん、非婚の母、子ども四歳。Bさんの2011年度給与収入は201万4770円です。現在は寡婦控除対象にならないので、非婚の母ですから、住民税、所得税、保育料合わせますと支払総額は年間32万4200円です。仮に婚姻歴があって寡婦控除があったとすると、この支払総額は何と1万800円、がっと減るんですね、格差は31万3400円です。これは何でこうなるかといいますと、かなり低い給与年収ですので、住民税が非課税になり、もし控除がみなされればですね、保育料は、これは免除になるんです。ところが、そうならないために、年間31万3400円もの格差が生まれてしまっているわけなんですね。これが実態であります。
 総務大臣、同じ母子世帯でも、婚姻歴があるか否かで寡婦控除の適用から外されて、非婚の母が差別され、経済的に一層の困窮に追い込まれている、これは不合理だと思われませんか。

新藤総務相 この今の御指摘のように、各種制度において個人住民税の課税所得、税額が負担金の算定の基準として用いられていると、こういう場合があって、非婚の母が寡婦控除の適用を受けられないことにより経済的負担が重くなる、こういう場合もあると思います。また、そういうふうに御苦労いただいている方々がいらっしゃるということであります。
 しかし、この個人住民税は、市町村の条例の定めるところで、貧困により生活のための公私の扶助を受ける者その他特別な事情がある者に対しては市町村長の判断で減免を行うことができると、こういう制度もあります。
 それから、その制度の負担自体は、それぞれの制度の趣旨や目的、それから運用実態を踏まえて、所管の各府省と運用自治体において適切に応対をしていかなければならない、こういう側面もあるというふうに私は考えております。

山下よしき もう少し現実を直視していただきたいんですね。こういう実態があると。
 不合理だと思いませんかというふうに私は聞いたんですよ。同じ母子世帯なのに婚姻歴があるかないかでこんなに格差が生まれているということ自体が不合理と思われませんかという、これ質問なんですよ。

新藤総務相 その件については、ですから、非婚の母と寡婦ですね、ここの定義をどうするかというのは、法律上の議論があってこのような制度になっているわけであります。
 ですから、不合理とかという以前に、そういうルールで法律があって、それに適用されるか否かという問題であると思いますから、私はこの心情において、いずれの方々も大変な生活していくのには苦労が伴います。また、誰も望んでそういう苦労をしているわけではないですから、そういうお気持ちは、これは目の前で、そういう実情を知れば気の毒だという思いはございます。
 しかし、そのことと法律の制度をどういうふうにしていくかは、これは各省においてそれぞれまた法律論というものはしっかりと議論をしていただきたいと、このように思っています。

山下よしき じゃ、もうちょっと聞きましょう。
 日弁連の調査報告書というのが付いているんですね。大臣のところにも行っております。それは、子どもへの影響についても考察をされておりまして、こうあります。
 人間形成の重要な時期である子ども時代を貧困のうちに過ごすことは、成長、発達に大きな影響を及ぼし、進学や就職における選択肢を狭め、自ら望む人生を選び取ることができなくなる。子どもの貧困は、そのような不利が世代を超えて固定化されるという容認できない不平等であり、これを放置することは、社会の分断と不安定をもたらす。したがって、もし、現実の制度や政策がその不利をより固定したり拡大する方向に機能しているとすれば、早急に是正されなければならない。その観点からすると、最も低収入である非婚母子世帯に対する寡婦控除の不適用は、間違いなくそこで生活する子どもの不利を、固定若しくは拡大させていると、こうあるわけですね。
 自分の母が婚姻歴がある母か非婚の母かは子ども自身ではどうすることもできません。ですから、日弁連は、憲法14条、法の下の平等に違反するし、子どもの権利条約にも違反すると、こう判断して要望されているわけですね。
 大臣、やっぱりこれは、心情さっきおっしゃいましたけど、その心情当たっているんですよ、これ放置できないと、そう思われませんか。

新藤総務相 これは、ですから、各省の制度、そして自治体も含めていろいろなそういう適切な措置を期待をしているというところであります。
 それから、私も子どもが育つ上で親の環境というのは大きな影響を与えることになるというふうに思います。ですから、そういう境遇の中で負けずに頑張って努力したい、そういう人たちを応援する世の中にしなければいけないと、このようには思います。
 それから、今厳しい状態にあるこの非婚の母の方々も、やはりそういう人たちが更にいい職業に就けるように、またそういうところで収入を得られるように、そういう努力は世の中として支援をしていくべきだと、このようには思います。

山下よしき その支援の中身がみなし適用だということになっているんですよ、日弁連の主張は。
 私は、既に政令市ではこれやっているんですね。岡山市、千葉市、札幌市では、非婚の母に寡婦控除のみなし適用を実施し、それに見合った保育料の減免やっております。最近、琉球新報を見ますと、宜野湾市、那覇市、沖縄市、北谷町、うるま市、糸満市でも保育料の減免、みなし適用でやっております。それから、四国の松山市、高知市、高松市などでも実施していると伺いました。いろいろ自治体独自にやっているんですね。ただ、やっぱりやっているところの方が圧倒的に少ないです。
 そこで、これ本来だったら根本的には大臣おっしゃるように所得税法を改正しなければならないものなんです。しかし、それには時間が掛かるんです、いろいろ影響も多いですから。したがって、今困窮している目の前の母と子を救済するためには、この自治体でやっているようなみなし適用を拡大することが適切だとして、日弁連もまずは総務大臣とそれから関係の自治体の首長さん、知事や市長さんにこのみなし適用で救済することをやってほしいと、そのために自治体にいろいろ助言ができる総務大臣に対して適切な措置を要望しているんですよ。財務大臣には要望していないんですよ、時間が掛かるから、所得税法は。総務大臣にこれ要望しているんですね。これ重く受け止める必要が私はあると思いますよ。
 検討していないということですが、こういう流れの中で、私、事実の具体例も出しました。何とかしなあかんという総務大臣の心情も伺いました。だったら、これしっかり検討して、何らかの措置を、みなし適用を更に自治体に要請するとか財政措置を総務省としても検討するとか、目の前の子どもたちを救うためにはこのみなし適用が一番確実なんですよ。それを是非検討すべきではないですか。

新藤総務相 まず、財務省に言わずに総務省だけと言われても、それは国の全体の制度でございますし法律でありますから、そこは政府全体としての整合性が必要だと、このように思います。
 それから、私が検討していないというのは、これは誤解のないように申し上げますが、こういったことは今までもあり、また実態として大変な困窮な状態にある人たちがいることも承知しているわけでありますから、そういう意味での実態把握や、またこのように日弁連からの御要望だとか、そういったものをいただいて、それをどうしたらいいのかというようなことは不断に続けております。
 ただ、具体的に個別にこのような作業を、こういう事務をこのようにしようとか、そういう作業の検討に入っていないということで御理解いただきたいと思います。知らぬ顔しているわけではないということであります。
 その上で、まず自治体や各省がいろんな支援制度を設けたり、こういった状態に対するそれぞれの所管がございます。だから、そういうところについて適切な対応ができるようにしていただけるように私も期待をしているということでございます。

山下よしき そういう状況を私はもう一歩進める必要があると思っているんですね。
 こういう、日弁連が初めてこれはもう人権侵害だとまで認定しているわけですよね。その際に、僕は財務省が何もしなくていいとは言っていませんよ。根本的には、財務省が所得税法の改正で根本的な解決すべきだと日弁連も言っているんです。しかし、それは時間掛かるから、このみなし適用でまずは救済する必要が、自治体ごとにはもうやっているんだから、しかしやっていない自治体の方が多いんだから、それは各自治体とともに総務省としてもよくやっている自治体の状況を調べて、そして総務省としてそれを何らかの形で促すようなことができれば、私はこれは不合理だと思いますけれども、婚姻歴があるかないかで同じ母子世帯がこれだけ格差が付けられて、子どものやっぱり健全な成長が残念ながらこの問題で阻害されている、これ救済するのは大人の責任、政治の責任ですよ。
 だから、今まではこうでしたと言うだけじゃなくて、大臣、やっぱり大臣が、今こうやって私、この委員会で問題提起しているわけですから、しっかり関心持って、何らかの形で一層踏み出して、一層真剣な検討していただきたい、いかがですか。

新藤総務相 こういう状況があるということは、私のときにも日弁連からも御要望いただいているわけでありますから、それに基づいて実態把握、それからそういった問題意識、これは持ち続けていきたいと、このように思います。

山下よしき 終わります。