待機児童の解消は保育の質が保たれ、保育士の待遇を改善することこそ国が責任を果たす本来のあるべき姿 
2016年5月26日 参議院内閣委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 まず、石破大臣に一問質問をしたいと思いますが、大臣は本法案の審議の中で、繰り返して安全の規制、社会的規制の緩和には慎重であるべきだ、むしろ強化すべきだということを述べておられます。非常に重要な御認識だと思いましたが、なぜそう考えるのか、お聞かせいただきたいと思います。

石破茂地方創生担当大臣 それは、社会的規制と経済的規制が重なる部分もございますので、ここは言葉は気を付けて使わなければいけないと思いますが、要は、人命、人身に関わるもの、あるいは健康に関わるもの、そういうものについての安全性というものについては最大限の配慮がなされなければならないという、実に当然のことだと思っております。それをないがしろにするということはあってはならないのであって、いろんな時代の変化、時代の要請に伴う規制の緩和というものは、それは行わねばならぬでしょう、時代背景が変わっているものがありとせば。しかしながら、いかなる時代であっても、人命、人身、健康等に関わるものについてはそれを緩めることがあってはならないのだと私は思っております。

山下よしき 石破大臣、繰り返しそのことをおっしゃっていますので、私は、その点は共感するものであります。
 そこで、安全に関わる規制、生命に関わる規制、この緩和については、たとえ私はそれが特区に限定されるとしてもこれは慎重であらねばならない、そう考えますが、大臣、いかがでしょうか。

石破大臣 それは、特区であるからといってそういうものが軽んぜられていいはずはございません。特区だったからそういうものについて規制が緩められて、結果として人身、人命、健康に被害が及ぶようなことがあっては、何のための特区だか分からないということだと思います。

山下よしき これも重要な御認識だと思います。
 そこで、5月10日に開催された東京圏・関西圏・仙北市の国家戦略特別区域会議、いわゆる区域会議の合同会議で、大阪府から待機児童対策に関わる提案が行われました。
 推進事務局に伺いますが、この大阪府の提案内容について簡潔に説明いただけますか。

佐々木基内閣府地方創生推進事務局長 お答えいたします。
 5月10日の区域会議で大阪府からいただいた御提案のうち、待機児童対策に関するものについて御説明いたします。
 提案一と提案二がございました。
 大阪府から提案があったうち、提案の一つは保育所の設置基準を自治体の判断で決定させてほしいというものでございます。例えば、国が必要な保育士の割合を定める人員配置基準につきまして、主任の配置等で質を担保した上で、自治体が独自に判断できるようにしてほしいという提案でございます。また、面積基準につきましても同様に、ほふく室等の面積につきまして、自治体の点検、観察を義務付けるなど安全を担保した上で、意欲のある自治体が広く裁量で緩和できるようにしてほしいというものでございました。
 また、二つ目の提案といたしましては、保育の量と質を確保するため、准保育士といった新たな資格を創設し、多様な人材が保育士をサポートできるようにしてほしいという提案でございました。
 以上でございます。

山下よしき 今御説明のあった大阪府の提案について、資料の1枚目に大阪府が提出された資料を添付しております。
 私ども、これを見て、率直に言って驚きました。この一番上の箱の中にある、「特区内においては、待機児童解消のため、認可保育所の設置・運用にかかるすべての要素について、自治体の判断と責任で決定できるようにしたい。」とあるわけですね。
 これ、全ての要素について自治体の判断でできるようにというのがポイントだと思っておりますが、実は2011年に成立した地域主権改革一括法、これでは、地域のことは地域が決めると、児童福祉法においてもその条文から最低基準という文言を削って、都道府県が条例で基準を定めることとしました。私、当時審議に直接関わりまして、子どもたちの安全や発達に対する国の責任を放棄することになると厳しく指摘をし、反対をいたしました。しかし、そのとき改定された児童福祉法でも、都道府県が児童福祉施設の設備、運営について条例で基準を定めるに当たって、職員の配置基準と施設の面積基準については厚生労働省令で定める国の基準に従って定めるものとされたわけであります。
 厚労省に伺いますが、保育所における職員の配置基準、それから施設の面積基準について、自治体が参酌すべき基準ではなくて従うべき基準としたのはなぜでしょうか。

吉本明子厚労大臣官房審議官 お答え申し上げます。
 保育園の設備及び運営に関する基準でございますが、児童福祉法に基づきまして、児童の身体的、精神的、社会的な発達のために必要な生活水準を確保するための基準として定めなければならないということでございます。
 ただいまお話がございました平成23年に成立いたしました第一次地方分権一括法におきましては保育園に配置する保育士の数、また確保すべき居室面積等につきましては、従うべき基準として、条例などによって国が定める基準を下回って定めることはできないものとされております。
 その考え方についてでございますが、必要な保育士の数、居室面積などは、子どもの健康の安全、発達の保障に直接影響を与え、また保育の質等に深刻な影響が生じ得る事項であり、国が最低限の基準を定めることで保育現場における質の確保を図る役割があるため、従うべき基準としているものでございます。

山下よしき 子どもの健康や安全、発達の保障に直接影響を与える事項については国が最低限の基準を定めるべきものであるとの考えからそうしたというんですが、これは当然だと思いますね。
 保育所の最低基準というのは、少しちょっと歴史を振り返ることになりますけれども、昭和23年、1948年、児童福祉施設最低基準として定められました。これは当時、アメリカのワシントン州の基準を参考にして、日本社会事業協会、今の全国社会福祉協議会が厚生省から委託を受けて策定したものですが、ただ、そのときアメリカのワシントン州はかなり基準が高かったので、社会福祉協議会の前身の基準にはなかなか日本の、戦後直後ですから、基準を定めるのは少し無理があるという議論があったんでしょう、戦後の社会状況を踏まえて大幅に引き下げて決められたものであります。約70年近く前ですね。
 したがって、当時の厚生省児童局企画課長だった松崎芳伸さんも自書の中で次のように述べておられます。最低基準というのは読んで字のごとく、これより下がってはいけないぎりぎりの最低線ということであり、単に基準というのとは大いに異なる、それはいわゆる最低賃金という場合の最低に通じるものであり、これだけくれなければ生きていかれないという思想である、こう述べておられます。つまり、これ以下では真っ当な保育ができないという基準であって、制定当時からそれを上回る基準が期待されていたわけであります。
 資料の2枚目に、児童福祉法に基づく児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の抜粋を付けておりますが、この第1条3項に、「厚生労働大臣は、設備運営基準を常に向上させるように努めるものとする。」ということがあります。私は、これこそ児童福祉法の精神だと思います。
 取りあえず、戦後直後、この低い水準からスタートせざるを得なかったけれども、これで満足してはならない、常に向上させるように努める、これは厚生労働大臣に課せられたわけですね。これはもう当初からこの文言は変わっておりません。これは私は、子どもの権利条約、子どもに最善の環境をという精神にも合致するものだと思っております。
 しかし、残念ながら、この国の最低基準は70年近くほとんど引き上げられていないのが実態でありまして、職員の配置基準は若干改善がありましたけれども、面積基準はこれまで一切改善がありません。したがって、各自治体の努力で上乗せが行われて、改善されない国の基準をカバーしてきたというのが実態だと思います。
 資料3枚目に、その結果、保育所の面積基準の国際比較、今どうなっているかということを載せておきました。これは全国社会福祉協議会が調査研究したものをまとめたものなんですが、保育所の面積基準の国際比較、調査した十四の国、地方の中で、例えばゼロ歳児あるいは一歳児、左側ですね、1人当たりの面積基準の比較をやりますと、日本のゼロ、一歳児のほふく室三・三平米、これは畳二畳分ですけれども、これは下から五、六番目ということになっております。トップのストックホルムの半分以下という広さにすぎません。
 それから右側、二歳児あるいは三歳以上児1人当たりの面積基準の国際比較を見ますと、日本の保育室、遊戯室の一・九八平米、畳一畳強ですけれども、これは十四か国、地域の中で文字どおり最下位になっております。トップのストックホルムの三分の一以下ということになっているわけであります。日本の最低基準は世界最低の基準に甘んじていると言わなければなりません。
 厚生労働省に伺いますが、私が述べたこの最低基準の歴史、それから児童福祉法の精神、向上させなければならない、そして今残念ながら国際的な到達、間違いありませんか。イエスかノーでお答えください。

吉本審議官 ただいまの経過、最低基準につきましては、途中、児童福祉審議会等の意見具申に基づきまして、配置基準については一部改善を図ってきているところでございますが、その他につきましては先生がおっしゃったとおりだというふうに認識しております。

山下よしき 児童福祉法の精神、向上に努めなければならない、それから国際比較で面積基準はもう本当に最低になっていると、これも間違いありませんね。

吉本審議官 その指針における考え方、またこの統計も私どもも承知しているところでございます。

山下よしき ところが、資料1枚目に配っている大阪府の提案は、待機児童解消のためとして、認可保育所の設置、運営に係る全ての要素について自治体の判断と責任で決定できるようにしたいというものでありまして、これは引き上げたいというんじゃありません。引き上げたいんだったら結構なんですが、これより下回ってはいけないぎりぎりの最低線を更に引き下げられるようにしたいというのがこの提案であります。
 これは非常に重大だと思うんですが、そこで、まず大阪府の提案内容について更に突っ込んでただしたいと思うんですが、まず、①保育に従事する人員の配置基準について、確認ですけれども、大阪府の提案というのは、子どもの年齢別の職員配置数、すなわちゼロ歳児は子ども3人に対して職員が1人、一歳、二歳児は6人に1人、三歳児は20人に1人、四歳以上児は30人に1人、この配置数を自治体で決めるようにしたいというものなんでしょうか。

佐々木事務局長 お答えいたします。
 年齢別の職員配置基準につきましては当日の大阪の知事の御発言にもありませんで、再度大阪府にも問合せをいたしましたけれども、5月10日の大阪府の提案に年齢別の職員配置基準は含まれていないという確認を受けているところでございます。

山下よしき さすがにそれまでもっと緩めてくれということにはなっていないんです。
 大阪府の、では提案は何かといいますと、①の検討例というものの中にはっきり書かれてあります。保育人員配置基準に占める保育士の割合、現在は認可保育所で三分の二以上、小規模保育所で五割以上を自治体が独自に判断できるようにするとあります。こんなことをやっていいのかと私は率直に思います。
 これまで国の最低基準では、基本的に保育士の資格を持っている人が保育に当たることとしてきました。厚生労働省、それはなぜか、保育士資格を持つ人はどのような研さんを積んでいるのか、述べてください。

吉本審議官 保育園における保育は生涯にわたる人間形成の基礎を培うものでございまして、専門的知識と技術を持つ保育士が中心となって担うべきものと考えております。
 保育士になりますためには二つ方法がございまして、一つは指定保育士養成施設の卒業、それからもう一つは保育士試験に合格していただくということでございます。
 指定保育士養成施設について申し上げますと、修業年限は2年以上、また六十八単位の履修が必要ということで、講義によりまして保育、教育の内容の専門的な科目を学ぶほか、保育実習も行うこととなっております。また、試験につきましても筆記試験九科目、また実技試験も課せられているところでございます。
 さらに、保育士資格取得後におきましても、現場での実践や研修を通じまして専門性を高めていくことが重要だというふうに考えておりまして、国では、自治体が実施する乳児保育、障害、虐待など専門性を持った保育士に係る研修なども行っているところでございます。

山下よしき 今御答弁あったとおりなんですが、学校に行って資格を取得するか、保育士試験に合格するかなんですが、この保育士試験というのも大変たくさんな科目があるんですね。私、ちょっと見せていただきましたが、保育原理、教育原理及び社会的養護、児童家庭福祉、社会福祉、保育の心理学、子どもの保健、子どもの食と栄養、保育実習理論、そして実技試験などですね。
 保育原理というのはどういうことかと少し見ますと、児童の最善の利益を考慮した保育でありますとか、発達過程に応じた保育でありますとか、計画、実践、記録、評価の連動でありますとか、やはり子どもの成長、発達に関する専門的知識を基に子どもたちの育ちを援助するということができるような専門的知識と技術を身に付ける内容になっております。
 こういう方々が保育士として保育所で直接子どもに関わってくださっていることによって様々なサポートができていると私は思います。
 この間、大阪で保育の現場で働いている方、園長さんや理事長さんも含めて話聞きましたけれども、子どもの状態というのはもう毎月のように目まぐるしく発達すると言うんですね。それはそうでしょう、成長早いです。その子どもに今何が必要なのかということをちゃんと見抜く、集団でそれを見抜くということが大事だと。
 例えば、こだわりの強い子どもさんがいるわけですが、そういう場合は、もう保育士さん1人じゃなくて、集団でケース会議で検討して、あるいは専門家のアドバイスも得て、保護者との適切な対応で、時間を掛けることで成長を促すことができている。それから、障害をお持ちの子どもさんも最近少し増えてきているということも聞きましたけれども、その障害を持っていることに気付くということがまず大事で、そして、どのようにそれを判断し、保護者にどのように伝えていくか。保護者の方はそれをなかなか受け入れたくありません。それをきちっと時間掛けて、納得いただけるように説明する。そして、保護者と一緒に、保育所としても集団の中で、その子どもさんが保育所にいるうちに、できるだけその障害が軽微で済むように、あるいは発達する力が引き出せるように、そういうことを働きかけたり、卒園時には、軽微の障害を持っていたけれどもほかの子どもさんと変わらないようになっていったという話も聞きました。
 専門性を持った保育士が複数、集団で子ども一人ひとりの状況変化を発見、検討することで、適切に一人一人の子どもの発達を促すことができる。子どもの状況が多様化すればするほどそういう専門性が求められていると思います。
 石破大臣に伺いますが、乳幼児期の子どもの発達に関わる人がどんな人たちか、専門的知識、技術、経験を持っている人たちが集団となって見守ってくれているということは子どもの成長にとって大変重要なことだと思いますが、大臣の御認識、いかがでしょうか。

石破大臣 私もこの部門について専門的な知見を持っているわけではありません。そういうことについて専門的な知見を持たれた方々が、どういうようなお子さん方の生育過程に合わせてどのようにしてケアをしていくのがいいのか、見ていくのがいいのかということについては、専門家の知見が最も重んぜられるべきものだと考えております。

山下よしき 専門家の知見ということでしたけれども、専門家の皆さんが集団で見ることが非常に大事だというふうにおっしゃっているわけですね。
 資料2枚目の設備運営基準、第1条2の中に、「児童福祉施設に入所している者が、明るくて、衛生的な環境において、素養があり、かつ、適切な訓練を受けた職員の指導により、心身ともに健やかにして、社会に適応するように育成されることを保障するものとする。」とあります。
 まさにこれは保育士の役割だと思いますが、大阪府の提案は、この保育士の資格を持っている人をうんと減らしちゃうということなんですね。どこまで減らすのかということで見ますと、これ書いてないんですけれども、ただし、保育士資格を有する主任、担任等を配置するなど質の担保措置をとるというふうにありますが、これ、主任というのは保育所に1人です、最低。それから、担任という概念はないというふうに伺いましたけれども、例えば1年齢で一担任ということだってあり得るわけですね。そうすると、100人以上の保育所であっても、主任と、担任がゼロ歳から五歳児まで6人、兼務することができますから、この6人ぐらいさえ保育士の資格を持っている人がいれば、もう100人規模の子どもさんを見ることができるということになってしまうわけですね。これは大変な質の低下を招くことにならざるを得ないと思います。
 准保育士というのがその下にありますけれども、サポートする、保育士をというんですが、きちっとした保育士資格を持っている人が配置された上に准保育士が配置されてサポートというのなら分かりますけれども、保育士さんを無資格の方に置き換えるわけですから、これサポートになりません、保育士資格を持っていない人が直接子どもに関わっていくことになるわけですから。
 そうすると、私、大阪の先生方に、保育士さんたちに聞きました。これはもう主任、担任が大変になると。子どもの保育だけではなくて、専門性のない職員も複数指導しなければならない、そうすると、これは例えばさっきの障害を持つ子どもさんの見方が、どのようにこの子どもさんたちの能力引き出していくか、発達を保障するかという目ではなくて、かわいそうだなというふうな目で見るような方が周りにいっぱいいたら、子どもに対する適切な支援ができなくなるんじゃないかというふうにおっしゃっていました。
 こういう心配、厚労省、いかがでしょうか。

吉本審議官 現在の人員の配置基準でございますが、先ほど来申し上げましたように、子どもの健康、発達、安全のために必要な最低基準ということで、専門性のある保育士を配置した上でそれを担保するといった考え方でやってきているものございまして、厚生労働省としては、質の確保のためにはその基準、最低の基準といったものの確保というのは重要だというふうに考えております。

山下よしき 非常に譲ってはならない基準だと思うんですね。
 次に、大阪府の②保育所の面積基準に係る提案について聞きますが、その前に、政府は3月28日、待機児童の緊急対策を打ち出しました。国の最低基準、面積基準との関係でこの対策について説明してください。

吉本審議官 3月に取りまとめました緊急対策でございますが、その中身、いろいろございますところですけれども、一部、規制の運用の弾力化といったところがあるわけでございます。
 国の基準を上回って配置基準等を定められている自治体がございますので、その上回る部分を活用した形で一人でも多くの子どもを受け入れてくださいといったような内容を盛り込んでいるところでございますが、これはあくまで質の確保された認可保育園等を利用できるようにお願いしているものでございまして、国の定める最低基準を満たしていただくということが大前提というふうに考えております。

山下よしき 先ほど言いましたように、国の最低基準に独自の上乗せしている自治体に対して上乗せ分を受け入れてくれないかということでありますが、しかし、それでも詰め込みになるということで、少なくない自治体ではそれはしませんということになっているわけです。
 それからもう一つ確認しますが、厚労省は既に、待機児が100人を超え、かつ地価が高い自治体に対しては、面積基準を従うべき基準ではなくて標準として、下回ってもよいということを打ち出しています。全国でそういう条件にかなった自治体が幾つあって、実際実施している自治体はどこでしょうか。

吉本審議官 御指摘の居室面積に関する基準を従うべき基準から標準にするという、これ時限的な特例でございますけれども、これに関しましては、条件といたしましては、待機児童数が100人以上、それからまた平均地価が三都市、大都市圏平均以上といったことで、今年度4月1日の状況ですと四十七市区町村が該当するところでございます。その中で実態を申し上げますと、現在は大阪市においてのみこの取扱いが適用されているところでございます。

山下よしき 大阪市だけなんですね。ほかの自治体は、認可保育所の最低基準、面積基準を引き下げてはおりません。
 今、大阪市が引き下げているんですが、どういう引下げ方しているかといいますと、例えば、ゼロ歳、一歳児のほふく室、国の基準は3.3平米ですが、1.6平米以上、半分でいいと言っています。それから、二歳児以上は、保育室1.98平米以上を1.65五平米以上でいいというふうに切り下げております。
 その結果、どんなことが起こっているか。これも大阪市の保育士の皆さんに聞きました。二歳児では、子ども同士の距離が保てないことから、かみつきが増えているというんですね。これはどうしてもそうなるというんですよ。これはもう一定詰め込まれたら子どもはそういうことになると、これはもう法則だと。子どもがかみつきをしますと、それは子どもだけで終わらないで親のトラブルになる、親同士のかみつきというふうにおっしゃっていましたけど、責任を問い合うことになるんですね。そういうことが起こっているというふうになりました。今でも大阪市はそういうことを、面積基準緩めちゃったらそんなことが起こっているのに、これは時限的措置ですが、それを今度は特区で大阪市だけじゃなくて大阪府全域に広げようということになるわけですね。
 私は、国家戦略特区を利用して自治体の判断で最低基準さえ引き下げよう、実質これはもう、この大阪府の提案は実質最低基準をなくそうという提案だと思いますが、この間、私、この委員会で、保育施設で子どもが死亡する事例が毎年毎年2ケタ発生していると、それが減っていないという問題を取り上げました。この3月にも東京で、4月にも大阪市で子どもさんが亡くなっています。非常に経験年数の短い保育士さんが、保育士資格のない方がローテーションでやってくる施設において、残念だけれども、うつ伏せ寝が起こっちゃって、誰も見ていない間に亡くなっちゃったということでありますが、そのお母さんはもういたたまれない気持ちで、こういうことを絶対に起こしてほしくないと。
 最も子どもにとって安全であるべき保育所で、保育施設で子どもが亡くなるなどということは1人たりとも、1件たりともあってはならないということを強く感じたわけですが、参考人として来ていただいた京都の大学の藤井先生は、子ども1人当たりの死亡事故の発生率は、認可外保育施設が認可保育施設の六十倍になると指摘されました。それはなぜかというと、保育士の資格を持っている人の配置が三分の一でいいなど、やはり質が保てない状況があるということを、これはもう明確な因果関係があるとみなさざるを得ないと思います。
 大阪市のある保育所経営者は、この大阪府の緩和をやりますと、認可保育所まで死亡事故が起きている施設に近づけることになる、これは国家的な殺人だということまで保育士の方から言葉をいただきました。痛切な叫びだと思います。
 石破大臣、このような子どもの安全、発達に直結する保育の最低基準の緩和は、たとえ特区であったとしても私は認めてはならないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

石破大臣 今回、大阪府からいろんな御提案をいただいております。
 私どもとして、厚労省とこの提案を基にいろいろな検討を行うことになりますが、そのときの大前提は、保育の質を低下させないことというのが前提となっております。ですから、それが前提なのであって、その上でいろいろな検討を行うということでございます。
 そうしますと、保育の質というものが、これによって本当に保たれるんでしょうね、低下しないんでしょうねということがまず第一に検討されなければいけないし、保育の質が下がるというようなことがありとせば、それは元々前提が崩れることになりますので、そういうお話には相なりません。
 ですから、保育の質とは何であるか、安全性とは何であるかということがこの議論の前提でございますから、そこにおいて大阪の提案というものが保育の質というものを維持することになるのかどうかということが議論されることになると思っております。

山下よしき 私は、この提案では保育の質が維持されることにはならないと、もうそのことは既に実際に死亡事故等で明らかになっていると思います。
 日経新聞が、この大阪の提案が参議院選挙の後の臨時国会でもう法案になって出てくるという報道がありましたけれども、これは事実ですか。

石破大臣 そのような事実を政府として決定したことはございません。あくまで保育の質というものを低下させないということが大前提でございます。一方におきまして、待機児童の増加、あるいは保育士の方々、特に潜在保育士の方々が現場に随分と、60人ぐらいでしょうかそれ以上でしょうか、出ていないという状況がございます。
 そういたしますと、そういうようなことを総合的に考えてみるべきことなのであって、日本経済新聞を私も拝読、拝読というかな、読みましたが、そのような事実は政府として決定したことはございません。

山下よしき 時間参りました。
 待機児童の解消は、言わずもがな、大事なんです。しかし、それは保育の質が保たれてこそですよね。私たちは、やはり認可保育所を増やす、そのためには土地がやっぱり必要ですから、土地さえ提供してもらえば、やりたい人はいっぱいいます。もう八か月で建ちましたという大阪市の新しい保育所も何か所も見ましたけれども、そして保育士の待遇を改善する、そちらの方に国が責任を果たすことこそ本来のあるべき姿だ、そのことを申し上げて、質問を終わります。