国家戦略特区法一部改正案に対する反対討論 
2016年5月26日 参議院内閣委員会

 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
 反対理由の第一は、企業による農地所有を認めるものだからです。
 企業による農地所有は、耕作者の地位の安定を否定し、農地制度を根幹から覆すものです。質疑の中でも、国内外の企業にも農地の所有権を与えた場合、農地の荒廃、転用の懸念は払拭されていません。企業の農地所有の自由化は、農業、農村に新たなもうけの場を広げたい財界の年来の要求です。五年間の時限措置をてこに全面的に広げようとするもので、断じて許せません。
 第二は、道路運送法の特例です。
 いわゆるライドシェアは白タク行為として禁止されています。本法案は、現行の自家用有償旅客運送制度を拡充して、ライドシェア推進者の要求に応えようとするものです。外国人観光客の受入れのためと言いますが、事実上、誰でも運送の対象となります。また、運送区域も、地域住民が参加する運営協議会の合意は不要となり、国家戦略特区の区域会議で決めることができます。参入のハードルは低くなり、白タク行為がしやすくなります。
 第三は、運用拡大による規制緩和です。
 革新的医療機器の開発を促進するとして、特区内の臨床研究中核病院に対する医薬品医療機器総合機構の職員による出張相談の制度をつくるとしています。医療技術の迅速な開発を優先すれば安全性がおろそかになりかねません。
 外国人観光客の来日促進に対応するとして、出入国手続への民間委託化を拡大することには反対です。外国人の入国を認めるか否かは国家の主権の行使に属するものです。職員の大幅増員を行って体制を整備すべきであり、民間委託は行うべきではありません。
 最後に、先ほど取り上げた大阪府の提案では、特区内においては、認可保育所の設置、運用に係る全ての要素について、自治体の判断と責任で決定できるようにしたいとされていますが、子供が亡くなれば誰にも責任を負うことはできません。子供の安全や発達に関わる基準を特区を利用して緩和することなどあってはならないことを強く述べて、反対討論を終わります。