最低基準を引き上げ、保育士の専門性を磨き、子どもの命と発達を保障することこそ政治の責任 
2016年4月28日 参議院内閣委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 3月、4月と、東京、大阪の認可外保育施設で死亡事故が連続いたしました。厚労省、それぞれの事故の概要を簡潔に説明してください。

吉本明子厚労大臣官房審議官 東京都と大阪市の保育施設におきまして死亡事故が起こったことは誠に残念だというふうに考えております。
 この2件は、認可外保育施設におきまして、いずれも午睡中に起きたというふうに報告を受けているところでございます。東京都の死亡事故につきましては、発見時、顔は横向きでうつ伏せ寝の状態であったと、また、大阪市の死亡事故につきましては、発見時の状況は不明だというふうに報告を受けているところでございます。

山下よしき 4月12日、NHKが、うつ伏せ寝の一歳児、企業設置の保育施設で死亡と、東京の死亡事故を詳しく報道いたしました。
 亡くなった男の子の母親は、育児休業を終え、仕事に復帰する今年3月に向けて自宅近くにある六か所の認可保育所に申し込みましたけれども、全て入れませんでした。仕方なく、勤務先の会社が契約する東京都中央区の認可外保育施設キッズスクウェア日本橋室町に子どもを預けることを決めたといいます。七つの企業が共同で従業員のために設けた事業所内保育施設、これがキッズスクウェア日本橋室町であります。母親はただ一人の子どもを失い、毎日遺影に向かって話しかけているそうで、骨つぼを抱くと本当に小さくて軽くて、いなくなったんだと感じますが、まだとても受け止められませんと話しておられました。
 加藤大臣、安心して子どもを託したはずの保育施設で子どもが亡くなる、こんなことはあってはならないと思いますが、大臣の認識を伺いたいと思います。

加藤勝信内閣府大臣 こうした事故で子どもさんを亡くされた方がた、特に御両親の心痛を思うと言葉もないということでございます。
 教育・保育施設等は、まず第一に子どもたちが安心して過ごすことができる、あるいは保育所でいえば安心して預けていただける、そういう環境でなければならない、事故で子どもの命が奪われることはあってはならない、こういうふうに考えておりまして、そうした事故が二度と起きないようにしっかりと対処していくというのは当然の責務だというふうに思います。

山下よしき 厚生労働省に伺いますが、東京の事案はうつ伏せ寝の状態だったということがはっきりしております。うつ伏せ寝について国としてどのような指導を行ってきましたか。

吉本審議官 うつ伏せ寝につきましては、保育所における保育の内容等について厚生労働省が定めました保育所保育指針、この解説におきまして、うつ伏せ寝にして放置することは避けなくてはならないこと、また、うつ伏せにする際には子どものそばを離れないようにし、離れる場合にはあおむけにするか他の保育士等が見守るようにすることとしているところでございます。あわせまして、認可外の保育施設指導監督基準におきましても、乳児を寝かせる場合にはあおむけに寝かせることとされており、うつ伏せ寝に関しては注意喚起をしているところでございます。
 また、さらに、本年の3月に重大事故の予防、事故発生時の対応に関するガイドラインを作成したところでございまして、その中におきましては、医学的な理由で医師からうつ伏せ寝が勧められている場合以外は、乳児の顔が見えるあおむけに寝かせることが重要であること、何よりも一人にしないこと、寝かせ方に配慮を行うこと、安全な睡眠環境を整えることは、窒息や誤飲、けがなどの事故を未然に防ぐことにつながることについて定めて、施設、事業者等に対して周知を行っているところでございます。

山下よしき 周知を行っているということでしたが、残念ながらそうなっていないんですね。
 東京の事故について、私たちは母親から直接話を伺いました。母親は、東京以外の首都圏から子どもと一緒に電車に乗って都心のキッズスクウェアに子どもを預けていました。2月中旬から慣らし保育を始めたわけですが、一か月もたたない3月11日午後二時過ぎにお迎えに行ったところ、息子の状態が良くないと言われて駆け寄ると、顔の形や色も変わり、目はうつろだったと言います。誰も救命救急の蘇生措置をしておらず、母親本人自身が人工呼吸をしましたが、その後、救急車で運ばれた病院で死亡が確認されたということであります。
 母親がキッズスクウェアの職員にその日の子どもの様子を聞いたところ、10時45分に昼食を食べた後、11時25分頃からうつ伏せで寝かし付けが行われ、11時45分には眠ったとされています。寝付きが良くないということで、ほかの子どもが寝ている午睡室とは別の部屋で一人で寝かされていたと言います。寝かし付けた職員は保育士の資格を持たない非常勤の職員で、1月に1日程度しかこの施設には来ない、たまたま事故の当日と前日に臨時的に来ていた方であります。園長からうつ伏せで背中をさするようにとこの非常勤の1か月に1、2回しか来ない人が指示されて、こういうことになった。また、この方は、寝かし付けた後、子どもが一人で寝ている部屋の窓の掃除などをしたそうですが、掃除中は子どもが寝ている方向とは別の方向に向いて作業していて子どもを見てはいなかった。掃除が終了した後、別の作業をするために子どものいる部屋を離れた。作業中は子どもが見えない場所で作業が行われていたということであります。
 異変に気付くまでの2時間半近くの間、ほかの職員も含め、顔や呼吸を確認する等はされておりません。そして、14時過ぎに、起きてこないので見に行った職員が名前を呼んだけれども反応がなく、手は冷たくなっていたと。人工呼吸などの蘇生努力をしたのは、たまたま早めにお迎えに来た母親だったということであります。これが母親から直接私どもが聞いた事実関係であります。
 その上で三点、厚労省に聞きます。
 一つは、国の保育指針では、乳幼児のうつ伏せ寝は窒息などの突然死の危険性があるとして避けなければならないと明記されております。事情があってうつ伏せ寝にする場合は、職員がそばに付いて呼吸の確認をするよう求められています。それから、うつ伏せ寝でなくても睡眠中は小まめにチェックすることになっておりますし、東京都は睡眠中十分ごとに状況をチェックして、それを表に記入することとしております。ところが、こうしたことがキッズスクウェアでは全く守られていなかった、これはなぜか。これが一点です。それから二つ目、無資格者が1人で寝かし付けに当たり、他に有資格者はいないということは許されるのか。それから三点目、職員がいない部屋で子どもが1人で寝かされるということは許されるのか。
 以上、お答えください。

吉本審議官 お答え申し上げます。
 まず、一点目でございますけれども、今ほども御説明ございましたように、指針等におきましては、一定の期間、乳児の観察をきめ細かくするといったことを定めているところでございまして、今回の事案につきましては、その一定の時間における乳児の観察がきちんとなされていなかったといった報告を受けているところでございます。そういう意味では、私どもが示している基準を踏まえた適切な対応がなされていなかったのではないかというふうに考えられるところでございます。
 また、寝かし付けを行うことにつきましてですが、これは保育士資格を有するかそうでないかを問わず、今ほど申し上げましたその保育指針等を踏まえて適切に行われるべきだというふうに考えているところでございます。
 そしてまた、子どものそばを離れる場合につきましては、きちんと他の保育士等がきめ細かくチェックをするといったことについてもガイドラインで記載しているところでございまして、そうしたことがきめ細かくなされていなかったというふうに考えられるところでございます。

山下よしき なぜそんなことになったのかということはお答えがありませんでした、守られていなかったんだろうということでありましたが。
 キッズスクウェアの運営主体は株式会社アルファコーポレーション。都内に、認可保育所、認証保育所、認可外保育施設合わせて12か所運営しています。驚いたのは、代表の坂本秀美氏が内閣府の子ども・子育て会議のメンバーでもあるということであります。
 加藤大臣に伺いますが、こうした企業が経営する保育施設で、国や都の基準や指針が守られず子どもの命が失われたことをどうお考えでしょうか。

加藤大臣 坂本秀美さんは、平成27年4月9日より子ども・子育て会議の専門委員に御就任をいただいているところでございます。
 先ほど申し上げましたように、こうした保育所でのこうした事故、特に死亡事故というのは、預けた親御さんにとっても本当に思い、余るところがあるというふうに思います。
 現在、子ども・子育て会議の委員を選定するに当たりましては、全国保育サービス協会から御推薦をいただくという形でこの方にお願いをしたという経緯がございますので、現在、全国保育サービス協会において対応を御検討いただいているというのが今の状況でございます。

山下よしき どこであれ、あってはならないんですがね。ましてや、この子ども・子育て会議のメンバーだった方の企業で起こっちゃったということですよね。重く受け止める必要があります。
 アルファコーポレーションのホームページを見ますと、キッズスクウェアは、保育所、託児所のコーナーで紹介されております。この日本橋室町のキッズスクウェアの園長と言われている人はまだ若く、26、7歳だったと思いますが、通信教育で資格を取っておられて、本人も、入社まで保育経験ゼロで教科書の知識しかなかったとホームページで自己紹介されています。その方が入社後1年3か月で園長となられたわけです。預かっている子どもの数は、ゼロ歳児4人、一歳児11人、二歳児4人、三歳児2人、四歳児1人の合計22人。それに対して、このマネジメントもしているこの園長さんと、それから保育士の有資格者がほかに3人いらっしゃいますが、この3人の保育経験は4年、1年、1年であります。極めて短いわけですね。あとは資格を持たない方が非常勤で2人。そのうちの1人は、先ほど言ったように、月に1回来るか来ないかという方であります。
 これでも認可外の指導基準は満たしていると、一応、ということになっているんです。なっているんですけれども、私はこの事例を見ると、子どもの発達を保障するために必要とされている専門的知識を持つ有資格者、それと保育現場での経験、これが圧倒的に不足している、その中で今回の死亡事故が発生していると。これはやはり因果関係、認めざるを得ないんではないかなと感じました。
 加藤大臣、こうした認可外保育施設の実態、放置していいんでしょうか、改善の必要を感じませんか。

加藤大臣 認可外保育所の指導監督基準の御議論だというふうに思いますけれども、認可外保育施設における保育をしっかり確保するという観点から様々な議論、検討を経て今の基準というものが定められているというふうに承知をしております。
 ただ、いずれにしても子どもを預かる施設であります。保育士の資格があろうとなかろうと安全確保に最優先で取り組んでいただく、そして保育の質をしっかりと確保するように努めていただくということは当然のことだというふうに思いますし、また、そうした形で運営が行われていくように我々としてもしっかりと対応させていただきたいと思います。

山下よしき 今、加藤大臣、保育士の資格があろうとなかろうと安全にはしっかり取り組む必要があるとお答えになりましたが、果たしてその認識でいいのかということであります。
 資料に、厚労省がこの間の保育施設での死亡事故件数をまとめたものを配付いたしました。平成16年から平成27年まで毎年十数人、保育施設で子どもが亡くなっております。これは一人でもあってはならないことですが、起こり続けております。認可と認可外を比べますと、預かっている子どもの数は圧倒的に認可の方が多いです。240万人です、認可は。認可外は約20万人です。にもかかわらず、死亡事故件数は認可外の方が多いということが分かります。平成27年で見ますと、認可が2件、認可外が10件であります。
 先日、当委員会の参考人質疑で京都華頂大学の藤井伸生教授が、認可外と認可で死亡事故の比率は子ども一人当たりに直すと認可外が60倍高いと告発をされ、その大きな違いは、保育士の有資格者の比率が認可外は認可の3分の1でよいとされていることがあると指摘をされました。ここはやはり無視できないんじゃないか。
 有資格者であれ無資格者であれ安全に配慮しなければならないと大臣おっしゃいますが、やはり有資格者は、子どもの成長、発達、危険性、リスクについてもしっかり専門的知識を、もう2年間保育専門学院で訓練受けて、教育受けて、実習もして身に付けておられます。そういう方がやはり3分の1でいいんだというふうになっている認可外でこういうことが起こっているのではないかというのが、これは藤井教授の御指摘ですが、加藤大臣、この御指摘、これは真剣に受け止める必要があるのではないでしょうか。

加藤大臣 当該保育園でこの3分の1に対して幾らだったか、済みません、ちょっと私は承知していないのであれですけれども、いずれにしろ、3分の1は上回っているんだろうというふうに思います。
 したがって、何といいますか、3分の1云々という議論ではなくて、やはり、むしろ先ほど申し上げた保育士の方であろうとなかろうと、そうした仕事に従事をされるということであれば、やはりしっかりとしたそうした点における配慮がなされるように対応していくということがまず一番に大事なんではないかと。そして、そういうことによって、こうした痛ましい事故が二度と起きないように対応していく必要があるんだろうと思います。

山下よしき 極めて残念な御答弁ですよ。いいんでしょうか。
 今、私、具体的に子どもが亡くなったことの経過と事例をお話ししました。保育の経験が資格者であっても4年とか、あるいは1年数か月で園長になった方で担われていた。そして、その園長がうつ伏せ寝で寝かしなさいという指示をして、全く月に1、2回しか来ない非常勤の方がそのとおりやって、目を離して亡くなったんですよ。この教訓を生かしてこそ政治じゃないですか。この教訓を生かすのが国会じゃないですか。私は、今の答弁、極めて残念だということを申し上げたいと思います。
 保育士は子守役じゃありません。子どもの成長と発達を保障する専門性が求められる仕事であります。保育士の配置基準、この資格を逆に緩めようとしているのが先ほど御質問があった今の政府の緊急対策ですから、あるいはまた、この4月からも、朝と夕方は最低2人の保育士のうち1人は資格外でもいいというふうにまたこれも緩められておりますから、これは逆行だということを指摘しておきたいと思います。
 それから、認可施設でも死亡事故はゼロではありません。先ほどの表を見ていただいたら分かるように、毎年数件起こっております。これもゆゆしき問題だと言わなければなりません。
 私は最近、株式会社が運営している認可保育所で働いていた保育士の皆さんから話を伺いました。ちょっと生の声、紹介したいと思います。
 Aさん。ある株式会社経営の認可保育所、この保育所は、ゼロ歳児から五歳児まで約70人見ている保育所ですが、Aさんは二歳児8名を2人で見ていました。2人ですから、1人当たり3人の基準は満たしているんですが、この子どもさんのうち1人はダウン症で歩けない。ですから、加配がされずに実質このダウン症の子どもさんを1人が掛かり切りで見ることになって、7人の二歳児を1人で見ることになっていたということであります。
 2時間残業が初めからシフトに組まれていると。要するに人が足らないと。毎日本部から手伝いにヘルパー、アシストが来ると。子どもたちは、ですから落ち着かないと。保護者からも苦情が毎日のように来て、保育士が足らないのではないかと親から見ても分かると。
 ですから、4月、5月でもうせっかく入った職員が辞めていくと。この方も辞めたそうですが、同期のうち6人辞めちゃって、残っているのは1人、2人しかいないと。職員会議もできない、引継ぎもできない、持ち上がりの先生もいない。要するに、担任だった先生がみんな辞めちゃうので、その担任の子どもたちがどんな状況だったのかを次に担任する人が聞くことができないということが起こっている。あるいは、一歳と二歳の子どもを合同にしないと職員が不足して保育できないということで狭い部屋で一緒にやっているけれども、やっぱり発達段階が違うので大変危ないということでありました。
 この方は、ここで仕事をしても自分のためにならないということで辞められたそうですが、この企業が毎年都内で2園から3園、新しい保育所をどんどん増やしているということでありました。
 それから、別のBさん。別の株式会社経営で122名の子どもを預かっているマンモス認可園ですが、4月1日の最初から十時間労働で、初日から残業してくれということになって驚いたそうですけれども、職員の入れ替わりがここでも激しくて、園長が大変怖い方だそうで、プラス激務で精神的に参って突然次の日から来なくなる保育士が相次ぐと。信頼できる主任さんと思っていた人も突然来なくなったということで、辞める職員が多いとその分しわ寄せが当然残っている方に来ます。しかし、月の残業は5時間までとしか認められない。もう行事、生活発表とか運動会とかありますし、見た目を気にする園長さんだったようで非常に飾り付けに凝られたようで、これも残業の要因になっていたそうですが、五時間で切るなんというのは労働基準法違反だと言わなければなりません。職員が入れ替わって子どもが落ち着かずに、怒ってばかり自分もいるので、そういう毎日の自分に嫌になってきたと。
 この方は三歳児を持っていたそうですけれども、三歳児の中にお1人障害を持った子がいて、遠足に連れていってあげたいなと思っていたんだけれども、上の方とおっしゃっていましたけれども、本部の方から連れていくなと、もし何かあったら困るからということで、連れていくことができなかった。しかし、その上の方、本部の人というのはその子どもの実態を見ているわけじゃない。保育士の専門的な目で見て、ちゃんとサポートすれば遠足にだって行けるはずだと思っていたのに、それが認められずに、それを親に言うときのつらさ、親はそれを聞かされたときに泣いていたということで、この方もこのままだと子どもが嫌いになるということで辞められたということであります。
 私も聞きながら、これ全部認可園ですから基準満たしているわけですが、しかしこういうことが起こっている。大臣、こういう株式会社経営の認可園における実態、どう感想をお持ちでしょうか。

加藤大臣 今の御指摘のあった園においては、今のお話を聞くと、特に残業もしっかり払われていないというのは、これはもう論外だろうというふうに思いますし、また、そうした状況が、かえって残っておられる保育士の方がたに更に過重な労働になり、ストレスになり、まさに悪い循環になってしまっていると。そのことは、働く方のみならず、そこに預けられておられる子どもさんにとっても決してプラスにはなっていないんだろうなと、こういうふうには受け止めさせていただきました。
 ただ、株式会社がやっている保育園が全部がそうだというのは、必ずしもそうも言い難いんだろうと思います。それぞれの園で、誰が主体でやっていようが、今のような事態がないようにしていかなければならない。
 また、制度としてどうしても保育士の方の定着という問題がいろいろ御議論されるわけでありますけれども、今御議論させていただいた処遇改善に加えて、やはり様々な形で安心して働き得る環境、これをしっかりつくっていくということは我々としては取り組んでいかなければならないと、こう思っております。

山下よしき 今大事なことを大臣おっしゃったと思います。要するに、保育士の待遇が悪くなることは子どもにしわ寄せになっていくという問題であります。こういう保育施設が私は急増しているというふうに話を伺って感じました。
 株式会社が経営する認可保育施設は、平成19年、108でした。それが平成27年、928へ800増えております。同じ時期に社会福祉法人だとか公立保育所だとか、全部合わせた保育施設が2万2848から2万3537へ700増えていますから、同じ時期に八百、株式会社の経営する認可保育所が増えているというのはかなりの増え方というか、物すごい増え方なんですね。東京都の認証保育所がそれとは別にありますが、670のうち460、7割が株式会社経営になっている。ですから、株式会社の保育施設がどんどん増えているということだと思います。
 私も、株式会社経営の保育施設が全て悪いとは思いません。しかし、利益第一主義で、子どもの安全、成長と発達や保育士の働きがいは二の次、三の次にされている施設が増えていることはゆゆしき問題だと思います。
 そこで一つ提案がありますが、事業所に対して保育士の定着率を公表させるということが大事ではないかと。これは、赤ちゃんの急死を考える会の活動を支えている寺町東子さん、弁護士、社会福祉士の方ですが、4月3日に提案された安全を切り捨てない待機児解消策の中にこの提案をされております。保育士の定着率を向上させる工夫を各事業者に競わせることを誘引する目的で、法人ごと、園ごとの保育士定着率を、全体、1―2年目、3―5年目、6―10年目、10年目超などの区分で公表させてくださいということであります。
 私は、これはなるほどなと思いました。私も話伺っていて、大体もう子どもにしわ寄せが行っているような株式会社方式の保育園で共通しているのは、保育士がどんどん辞めていって定着しないということであります。ですから、全部株式会社が悪いとは言いません。しかし、保育士が何年ぐらい勤めている人が何人ぐらいいるんだろうかということを公表することによって、社会的に、こういう定着がなく子どもにしわ寄せが行っているもうけ第一主義に走っているような保育所は社会から監視され、子どもが預けられにくくなるということで淘汰されていくということをやってはどうかというのがずっと子どもの急死を一緒に考えてきた弁護士さんからの提案ですが、これ検討の余地あると思うんですが、大臣、いかがですか。

加藤大臣 保育所について保護者がまず適切に選択できるというその状況をつくっていく、また保育所の努力が保護者から適切に評価されているようにしていく、これ大変重要だというふうに思います。
 子ども・子育て支援法においても、保育所等が提供する保育に関する情報を都道府県知事に報告をする。その情報の中には、施設等において、保育、教育に従事する従業者に関する事項として、従業者の勤務形態、労働時間、従業者1人当たりの小学校就学前子どもの数等、あるいは、従業者の教育、保育の業務に従事した経験年数などが含まれておりまして、報告を受けた都道府県知事は当該情報を公表するという仕組みになっております。先ほど定着率というお話がありましたが、今、経験年数というのはそういった形で公表事項の一つになっております。
 ただ、残念ながら、全ての本来は都道府県で公表することになっているんですが、制度がスタートしたのが昨年度からということで、まだ十分にそうした入力が行われていないということもありましてまだ一部にとどまっておりますけれども、まずは全ての都道府県においてこれは公表しなきゃならないと書いてありますから、しっかり公表が行われるように取り組んでいきたい。そういったことを通じて、やはり外からしっかりとその実態が見えるようにしていくということは、保育所においてしっかりとした経営が行われていくための一つの手段だろうと、こういうふうに思います。

山下よしき 経験年数も大事なんですけれども、幾ら経験がある人が来ても定着しないというのは問題なんです。その点の公表をという御提案ですが、検討する必要はありませんか。

加藤大臣 今は、これまでの様々な議論を通じてそういった内容について今申し上げたようなことについて公表させていただき、それをまず公表していこうという仕組みをまず動かしていくという状況であります。それをまずしっかりやる中で、その上でどういった情報が更に必要なのかどうかも含めて議論をしていかなければいけないと思います。

山下よしき 極めて消極的だなと言わざるを得ません。もう命が奪われている。現場に寄り添った方がたからの専門的な御提案なんですね。これ真剣に受け止めるべきだと私は思いました。
 死亡事故の検証を国がしっかり責任を持って直接行うことだということもありますが、もうそれは時間がありませんので割愛したいと思います。
 最後に、やはりこの亡くなった子どものお母さんから、昨日、遺族の気持ちをお伝えさせていただきますということでメールいただきましたので、紹介して終わりたいと思います。
 企業主導型保育は、営利事業である性質上、利益を出してこそ成り立つのであり、利益を出すために必要となる効率性は保育の質の担保と正反対だと思います。子育てをする母親に余裕がないと子どもに対して寛容に愛情を注ぐことができないように、まして複数の子どもを一手に見なければいけない保育士たちは、余裕がなければ、愛情を注ぐことは言うに及ばず、最低限のこと、すなわち、けがを予防したり、窒息しないように食事をさせたり、安全に昼寝をさせることすらできません。幾ら規則や指針を作り安全を掲げても、子どもは泣き、動き回り、触れ合いを求めるもので、現場の保育士たちが余裕を持って保育に当たれなければ実効性に乏しく、実効性の乏しいものを保育士たちに課すのは酷です。そして、犠牲になるのは、しゃべれない、自由に動けない子どもたちです。どうか子どもを犠牲にしないでくださいと、こう述べられていました。
 最低基準の緩和による詰め込みではなくて、私は、むしろ最低基準を引き上げる、そして保育士の専門性を磨き、子どもの命と発達を保障することこそ政治の責任だということを申し上げて、質問を終わります。