離島の産業振興と交通・輸送費の低廉化について 
2016年4月19日 参議院内閣委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 初めに、私からも九州地方の地震で犠牲となった方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
 さて、本法案は、離島の中でも自然的、社会的条件の厳しい外海離島の振興を主眼とし、離島住民、離島自治体の強い要望でもある離島航路の整備強化に資するものとして賛成をいたします。
 先週末、私の事務所のスタッフが九州の西にある長崎県五島列島南西部の自治体、五島市を訪ねまして、地域振興の取組、国への要望などを伺ってきました。
 五島市は、長崎港から約100キロ、フェリーで約3時間、高速船でも約1時間半掛かる福江島を中心に、11の有人島と52の無人島で構成されている離島自治体であります。2004年に1市5町が合併して五島市となり、現在、約2万世帯、4万人が暮らしておられます。島には美しいツバキが自生し、古くは遣唐使が往来するなど大陸文化との交流拠点でもありました。また、遠洋漁業や捕鯨の一大拠点として栄えた時期もありました。
 現在は、人口減少、高齢化が進む中で、五島市は雇用を生む島づくりを掲げ、地場産業の育成、五島ブランド、特産品の振興に取り組んでおられます。ツバキ油、あるいはマグロ養殖、タカナやブロッコリーなどの野菜、五島牛などに力を入れておられました。また、古くからのキリスト教の潜伏信者たちが建てた教会群遺跡で世界遺産の登録を目指すなど、観光の振興、交流人口の拡大にも取り組んでおられます。
 しかし、離島ですから、やはり本土にはない困難が伴います。長崎と福江島を結ぶフェリーは往復約5000円、高速船だと往復1万円、長崎から飛行機で五島空港まで行きますと往復2万円かかると聞きました。その福江島から更に11の離島に行くには、また船を乗り継いで行かなければなりません。
 提案者に伺いますが、離島住民から出されている離島航路あるいは離島航空路の維持や運賃の低廉化の要望についてどうお考えになるのか、また、どの程度の運賃の低廉化が必要とお考えなのか、お答えください。

鷲尾英一郎衆議院議員 お答え申し上げます。
 昨年の6月、全国離島振興協議会におきまして、離島航路・航空路支援の抜本拡充を求める特別決議がされたと承知しております。提出者といたしましても、離島航路、航空路の維持及び運賃等の低廉化について極めて重要な問題であると認識いたしております。
 委員御承知のとおり、離島が他の地域に比べまして大変厳しい状況にある大きな要因の一つが、海で隔絶をされているということで交通に要する費用が大きくなるということと考えており、離島、とりわけ国境離島の地域社会を維持するためには離島航路、航空路の運賃等の低廉化が極めて重要な施策であると認識をいたしております。
 そこで、本法案の第12条におきまして国内一般旅客定期航路事業等に係る運賃等の低廉化について、第13条におきまして国内定期航空運送事業に係る運賃の低廉化について、それぞれ特別の配慮をするものとし、重点的に実施すべきこととしております。
 提出者といたしましては、航路、航空路の運賃等の負担につきまして可能な限り低廉化することを期待をいたしているところでございますけれども、施策の詳細な中身及び制度設計につきましては、今後、内閣総理大臣が基本方針を定めた上で、政府及び都道府県において本法案の趣旨を踏まえて適切に検討されるものと考えております。
 以上です。

山下よしき 重要性の御認識はよく分かりました。どの程度かというのは今後政府が基本方針を定めるなどということですが、私、一つだけちょっと議論しておきたいのは、離島自治体や離島の議会の関係者からは、フェリーや高速船はせめてJR料金並みにしてほしい、それから飛行機はせめて新幹線並みの料金にしてほしいという要望が出されております。この声、私はそれ聞いて、新幹線並みの料金だってまだ高いじゃないのと思いましたけれども、今はそれ以上飛行機に乗れば掛かるということですね。
 せめてこのぐらいにしてほしいという声について、提案者の皆さん、どうお考えでしょうか。

鷲尾衆院議員 私も選挙区内に離島を抱えておりまして、そのような声が強いということはもう本当に承知をいたしておりまして、これはもう予算が確保されればされるほどその住民の皆さんの御要望に近づくのかなというふうに思ってございますが、何分これは財政の制約もこれあり、今後政府で検討されることをひとえにお願いする次第でありまして、提出者としても、先生のお気持ち重々承知しております。住民の皆さんの御要望に沿った形で制度が運用されることを期待をしたいと思います。

山下よしき もう離島では、人の往来、物資の運搬コストが高い、どうしても食品始め生活必需品、あるいは様々な商売のための仕入れや販売、これ費用が割高になってまいりますので、私のスタッフが聞いたところ、農業、漁業、建設、製造、観光、あらゆる分野で移動、運搬のコストが大きなハンディになっていると。島に暮らし続ける、島で営みを続ける限りせめて本土と同じ土俵にしてもらえればという声が痛切に出ておりますので、国交省中心になるんでしょうか、しっかり受け止めていただきたいと思っております。
 さて、五島市内の島々の人口は、1955年、昭和30年に比べて約56%も減ったと聞いております。毎年、高校卒業生約300人のうち九割以上が進学や就職のために島を出てしまう、人口減と高齢化が急速に進んでおり、現在、高齢化率は33%と聞きました。
 特に深刻とされているのが漁業従事者の急激な減少であります。五島市の就業者数は現在1万7千人で、2000年と比べて約16%減少しておりますが、とりわけ漁業従事者は37.5%減少し、4割近く減っちゃったということですね。じゃ、一次産業全部そうかといいますと、農業従事者を見ますと7.3%の減少にとどまっておりますから、漁業の従事者の減少というのは大変深刻な問題になっております。
 提案者に伺いますが、離島において若者の雇用の場を確保することは非常に重要な課題、特に一次産業、とりわけ漁業の就業者を増やす取組の意義についてどうお考えでしょうか。

中野洋昌衆議院議員 お答え申し上げます。
 漁業への就業者を増やす取組の意義ということでお尋ねがございました。特定有人国境離島地域に係る地域社会が維持をされるためには、有人国境離島地域の住民の雇用の機会が確保され、経済的に自立をした生活が可能でなければならない。そのためには、雇用を創出する事業の存在というものが不可欠でございます。
 そこで、本法案の第15条におきまして、雇用機会の拡充を図るため、事業の事業規模若しくは事業活動の拡大又は事業の開始に要する費用の負担の軽減をする、また職業訓練の実施を講ずる、このようにされておりまして、こうした施策を通じて御指摘のございました漁業を含めた就業者の増加というものが期待をされる、このように考えております。
 漁業は、特定有人国境離島地域における重要な産業であります。また、我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に重要な役割を果たしていると言えます。このような重要性を有する漁業に若い就業者を始め離島住民の雇用の場を確保することは、漁業従事者の多い特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持、ひいては有人国境離島地域が有する我が国の領海、排他的経済水域等の保全等に関する活動の拠点の機能の維持にとっても極めて重要な意義を有している、このように考えております。

山下よしき そこで農水省に伺いますが、農水省の支援事業に農業への新規就業者支援があります。農業研修時に最大2年間、その後、認定新規就農者給付金が最長5年間、合わせて7年間、年間150万円までの給付金制度があります。
 しかし、漁業の方を見ますと、新規就業支援に漁業学校等に通うなどの就業準備支援が最大2年間、その後、就業・定着支援として雇用型、幹部養成型、独立型とあるんですが、それぞれ期間が1年か3年なんですね。農業に比べて短いんです。
 島の一次産業の後継者は地域の宝、提案者からも先ほどそういうお話がありましたけれども、農業と同様に漁業も支援期間をもう少し延長する必要があると思うんですが、水産庁、いかがですか。

水田正和(水産庁漁政部長) お答えいたします。
 漁業が将来にわたって持続的な発展を図っていくためには、若い世代を中心とした意欲のある新規就業者を確保していくことが重要であるというふうに考えております。このため、漁業への就業希望者が経験ゼロからでも円滑に就業できるよう、新規漁業就業者総合支援事業として就業の段階に応じた支援というものを実施をしているところでございます。
 具体的に申し上げますと、漁業への就業に向けて漁業学校などで学ぶ若者に対する就業準備資金の給付でございますが、これは年間150万円、最長2年間ということでございます。それから、新規漁業就業者の漁業現場での実地による長期研修ということで最長3年間ということでございまして、合わせまして最長5年間の支援というものを実施をしているところでございます。
 先生御指摘のとおり、農業との支援期間の差異はあるわけでございますけれども、漁業の場合には、安全な操業のために、例えば十分な船の操縦技術とか、こういったものを実地で習得していく必要があるというふうに考えておりまして、こういった農業との違いを踏まえまして、限られた財源の中で研修に重点化した支援というものを行っているところでございます。
 この研修を受けた後に独立して安定的な漁業を営むことが可能となるように十分な研修を行ってまいりたいというふうに考えているところでございまして、今後とも、こうした対策を継続的に実施し、新規就業者の確保、定着に努めてまいりたいと考えております。

山下よしき 要望がありましたし、それから漁業の就業者が激減しているという実態を踏まえての提案ですので、より真剣な検討を求めておきたいと思います。
 島で生産された特産品を島の外に販売する取組が様々な産業で努力されておりますが、先ほど言ったように、輸送コストが高いことが大きなハードルになっているわけですが、そこで国交省に伺いますが、離島輸送コスト支援事業、戦略産品の移出に係る輸送費支援というものがありますが、簡潔に説明いただけますか。

舘逸志(国交大臣官房審議官) お答え申し上げます。
 ただいま御質問のございました輸送費支援でございますけれども、離島活性化交付金がございまして、現行の改正離島振興法の施行に合わせまして平成25年度に創設されたものでございまして、これは定住促進、それから交流促進、安全安心向上の三つの事業が柱となっております。このうち、定住促進事業として島の特産品を戦略産品として位置付け、その移出及び原材料の移入のための海上輸送費の支援を行っているところでございます。
 離島活性化交付金の活用は離島と本土との格差是正等に資するものであり、今後とも適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

山下よしき というものがあるんですが、その戦略産品の輸送コスト支援の品目が4品目に限られていると聞きました。なぜ4品目に限っているんですか。

舘審議官 御質問のございました輸送支援の対象品目でございますが、これは元々、平成25年度、制度創設時、交付金の予算規模もございまして、それに鑑みまして、地元の御要望を伺いながら、対象品目が当初は3品目でございました。その後、地元から対象品目の拡充について強い御要望をいただきまして、関係省庁と協議した結果、平成25年度補正予算により四品目へと拡充したところでございます。さらに、平成26年度補正予算より、戦略産品一品目につき原材料費等一品の移入に係る輸送海上費の支援の対象としております。そういうことで、制度の充実には意を用いておるところでございます。
 このように、離島の海上輸送費支援についてはこれまでも最大限努力しておるところでございまして、今後とも地元からの御意見、御要望を十分伺いながら、更なる拡充に取り組んでまいりたいと考えております。

山下よしき 更なる拡充ということがありましたが、五島市の商工業者の方は、なぜ4品目に限定するのかとやはり強い声が出ているんですね。輸送コスト支援の拡充を求める要望書が出されております。
 こういう一生懸命取り組んでおられる方に聞きますと、何社かが集まっていろいろ取組されているんですけれども、メンバーの本土企業向けの出荷額が2年前のデータで約20億3500万円あったと、非常に大きな産業になっているわけですが、合わせれば。で、島の雇用も生み出されているわけですね。
 縫製工場を経営するある社長さんの話を伺いました。技術力があっても価格競争で仕事が取れないんだと。運送費、経費の高いところになぜ発注するのかということに、どうしても本土の企業から言われてしまうと。この社長さんは、ショーツやインナー製品、下着を有名メーカーに納めているわけですが、身に着けるものですから高い縫製技術、品質管理が求められております。少ないロットの注文や全国からこういうものは作れるかという特注の問合せも少なくないんですが、こういうことにしっかりと応えることによってこの会社を維持してきたわけですね。ただ、離島がゆえに仕入れに、あるいは出荷に係る割高のコストが足かせになっておりまして、本土なら一箱当たり7、800円の運送費も、島では1200円というふうに聞きました。
 この社長さんは、我が社には34人の従業員がいる、去年、高校卒業生も雇い入れた、島に働く場所がなければみんな島を出ていってしまう、人が減ればどんどん島に住めなくなる、国の支援で輸送コスト支援があるのなら、雇用創出のためにも対象を広げてほしい、本土の企業と同じ土俵で勝負させてくれるだけでいいと訴えられました。これはもう時間もありませんから、聞いておいていただいたらいいんですけれども。
 五島市の場合、今言われたような方々は全部品目から外れているわけですね。輸送コストの支援対象となる戦略産品として五島市は、野菜、芋類、二つ目に牛、豚の運送費、三番目に鮮魚類、四番目に家畜、養殖用飼料などを指定しておられますが、非常に有名な五島うどん、ツバキ油が練り込まれた風味のある五島うどん、これはいろんな新聞なんかでも全国紙に載っていますよね、これは残念ながらその支援対象になっておりません。あるいは、かんころ餅、これも有名ですけれども、なっておりません。
 せっかく特産品があって、全国にもニーズがあるのに、4品目に限られているがゆえにこの輸送コスト支援が受けられないということになっているわけですね。これやはり早急に離島の振興というのであれば拡充すべきではないかと思いますが、もう一度どうぞ。

舘官房審議官 先生御指摘のように、戦略産品の輸送コスト支援は大変重要なものと考えております。
 今、長崎県、御指摘のございました五島市で魚介類を中心にこの4品目、いっぱいいっぱい使っていただいております。その現状をよく踏まえまして、地元の御要望も踏まえまして取り組んでまいりたいと考えております。

山下よしき 高校生のアンケート、昨年、市内高校生、五島市ですけれども、930人、40%が高校卒業後は島外に住むと答える一方で、52%の高校生が将来的には五島市に戻りたいと回答されております。五島に良い仕事があれば戻りたい、結婚や出産のときに戻りたい、定年後あるいは親の介護が必要になったら戻りたいなど、地元への意識はやはり高いと言わなければならない。そういう点では、雇用の場、それを維持するための輸送コストの低減策の拡充、しっかりと進めていただきたいと思います。
 もう時間が来ましたので、最後にTPPに関して、平成25年の3月、長崎県五島市議会でTPP交渉参加表明に強く抗議し撤回を求める意見書が可決されております。五島市長が議会で答弁いたしました。TPPによる影響額、農業では、平成18年の農業生産額、出荷額56億6千万円のうち、米、牛肉、豚肉、大麦、小麦、茶等で28億7400万円が減少する試算結果が出たと。漁業では、特にアジ、サバ、イワシ、イカ、カツオ・マグロ類、五島などでは影響が大きく、43億円影響があるんではないかと言われております。
 もう答えは要りませんが、離島の振興というんであれば、それを根本から打撃を与えるような、産業に打撃を与えるようなTPPの承認、急ぐべきではないということを申し上げて、質問を終わります。