地方交付税の拡充を 法定率引き上げ求める 
2017年3月10日 参議院本会議

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 地方財政計画及び地方税法、地方交付税法改定案について質問します。
 地方自治に関わって、まずお聞きします。
 安倍政権は、2月6日、沖縄県名護市辺野古で米軍新基地建設の工事を再開し、大浦湾のちゅら海に連日、巨大なコンクリートブロックを投げ込んでいます。断じて許されません。
 沖縄では、2014年の名護市長選挙、県知事選挙、総選挙、そして2016年の参議院選挙と、辺野古が争点となった全ての選挙で新基地建設反対を掲げたオール沖縄が勝利するなど、県民の意思は明白です。この圧倒的な民意を踏みにじり、新基地建設を強行することなど、民主主義と地方自治を掲げる国としてあってはなりません。
 昨日、沖縄県民の民意尊重と基地負担押し付け撤回を求める全国統一署名の国会提出行動が取り組まれ、全国から121万筆もの署名が届けられました。これは沖縄だけの問題ではありません。
 高市総務大臣、今政府が沖縄で進めていることと、地域の在り方は地域に住む住民の意思によって決めるという地方自治の根本との関係について、大臣はどのように考えていますか。沖縄県民と国民が理解できるよう説明してください。
 さて、地方の財源不足が22年間も続いています。政府はこの間、財源不足は国と地方の折半で負担するとして、自治体に対し、地方交付税の代替財源として位置付けた臨時財政対策債の発行を認めてきました。しかし、臨時財政対策債は、自治体からすれば新たな借金にほかなりません。この間、臨財債発行の延長が繰り返され、残高は52円にも膨らんでいます。今や、総務省が認めた発行可能額よりも実際の臨財債発行を抑制する自治体が二割に上るなど、この仕組みが自治体の歳出抑制、住民サービス低下を招いています。
 総務大臣、臨時といいながら16年も続いてきた、地方に負担を肩代わりさせるやり方はそろそろやめるべきではありませんか。財源不足が続いたときは地方交付税の法定率を引き上げるとしている地方交付税法の原則に従って、今こそ法定率を引き上げるべきではありませんか。
 我が党は、大企業や富裕層に対する優遇税制を改め、能力に応じて負担する公平公正な税制に改革することで、国と地方の財源を確保し、自治体が住民福祉の増進という本来の役割を果たせるよう、地方交付税を拡充することを強く求めます。財務大臣、総務大臣の見解を求めます。
 今年も、保育園落ちたの悲鳴が子育て世代から噴き出しています。一体いつになったら、幼い子供を抱えながら、入園先を幾つも探し回る保活のしんどさや職場復帰を諦めざるを得ない苦しみから解放されるのでしょうか。
 保育需要を見越した大幅な保育所増設が必要にもかかわらず、この5年間に公立保育所が1,222か所も減らされています。その一方で、保育士配置の基準を2分の1でよしとする企業主導型保育施設など認可外の規制緩和施設に多額の補助金が支出され、こうした施設が急速に増加しています。
 昨年、大阪で、認可保育所に入れず、1歳4か月の子供を認可外の施設で預けた僅か2時間後に失った母親は、なぜあの子が死んでしまったのか、保育の量も質も大事にしてほしいと訴えています。同じく、昨年、東京の企業内保育施設で亡くなった1歳2か月の子供の母親は、保育は子供のためという原点に返り、一人も死なせないように取り組んでほしいと切に望んでいます。
 厚生労働大臣、認可外保育施設で多発する死亡事故をどのように解決するつもりですか。また、公立保育所のみ施設整備と運営費の補助を一般財源化したのはなぜですか。
 その後、施設整備に対する当該自治体への交付税措置は100%でなく七割に抑えられ、公立保育所が大幅に減少していることをどのようにお考えですか。厚労大臣、総務大臣、お答えください。
 加えて、公共施設等の適正管理の名の下に、財政誘導による公立保育所の統廃合が進められています。総務大臣、この公共施設等最適化事業の3割が保育所の統廃合に活用されている事実をどう受け止めますか。
 我が子が保育施設で亡くなるという悲しい出来事を二度と繰り返さないためにも、地域の保育の質を担保する上で大きな役割を果たしている公立保育所の増設へ、総務、厚労両大臣が緊急対応に乗り出すことを強く求めるものであります。答弁を求めます。
 トップランナー方式と称して、既に16業務で民間委託された水準によって交付税を算定するやり方で基準財政需要額が削減されています。17年度からは、新たに青少年教育施設の管理や公立大学の運営が対象にされようとしています。住民サービス低下と人件費抑制、官製ワーキングプアの温床となるトップランナー方式は、地方交付税制度を著しくゆがめるものであり、やめるべきであります。
 1兆円のまち・ひと・しごと創生事業のうち、6,000億円になる人口減少等特別対策事業費の配分を、成果を上げた自治体に段階的にシフトすることも、交付税制度をゆがめます。人口減少に悩む中山間地の自治体にとって不利な成果を求めるようなことは本末転倒であり、課題に真剣に取り組もうとしている自治体にこそ厚く支援すべきです。総務大臣の答弁を求めます。
 最後に、明日3月11日、東日本大震災から6年目を迎えます。いまだ仮設住宅などで避難生活を送っている人は12万3,000人、何年たっても被災者の暮らしの再建には大きな困難が横たわっています。
 とりわけ心が痛むのは、福島の自主避難者とされた方たちへの住宅無償提供がこの3月で打ち切られようとしていることです。避難指示解除区域に戻れと言われても、病院が復活していないので帰ることができないなどの状況もあります。
 自主避難者への住宅支援の打切りは見直すべきではありませんか。
 避難先となっている全国各地の自治体が支援を継続できるように特別の対応を強く求めます。
 防災大臣、復興大臣、総務大臣の答弁を求めて、質問を終わります。

関係大臣の答弁

高市早苗総務大臣 山下議員から私には、まず、沖縄における米軍基地移設についてお尋ねがございました。
 国と地方公共団体の役割分担の下、国の施策に関して意見が対立する場合には、両者の関係を定めた地方自治法などの各種法令の規定に沿って解決が図られているものと認識をしております。
 次に、臨時財政対策債と地方交付税法定率の引上げについてお尋ねがございました。
 地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債による対応ではなく、法定率の引上げにより地方交付税を安定的に確保することが望ましい方向であるというのは、山下議員御指摘のとおりでございます。しかしながら、国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えていることなどから、平成29年度地方財政対策においては、法定率の引上げによらず、折半ルールを3年間延長した上で、国は一般会計からの地方交付税の特例加算、地方は臨時財政対策債の発行により対処することとしました。
 国、地方とも厳しい財政状況でありますことから、法定率の更なる引上げが容易に実現できるものであるとは考えませんが、でも、今後とも諦めずに、法定率の見直し等による交付税総額の安定的な確保について、政府内で粘り強く主張し、十分に議論もしてまいります。
 次に、税制の在り方と地方交付税の拡充についてお尋ねがございました。
 税制につきましては、グローバル化、少子高齢化の進行等の経済社会構造の変化に対応して、国税、地方税を通じて、各税目が果たすべき役割を見据えながら、その在り方を検討することが重要でございます。特に地方税につきましては、行政サービスの対価を広く公平に分かち合うという応益課税の考え方を重視しつつ、その充実確保を図ることが必要です。
 今後とも、地方団体が地域に必要な行政サービスを確実に提供しながら安定的な財政運営を行えるよう、地方交付税を含む地方の一般財源総額を適切に確保してまいります。
 次に、公立保育所の施設整備に係る地方債の交付税措置についてお尋ねがありました。
 一般財源化された公立保育所の施設整備に対する補助に係る地方財政措置については、全額を地方債の対象とし、その元利償還金について、事業費補正により70%、単位費用により30%、合わせて100%の地方交付税措置を講じています。その上で、保育の供給体制整備については、それぞれの地方団体において、地域の実情などを踏まえて適切に判断されているものと認識をしています。
 次に、公立保育所の統廃合についてお尋ねがありました。
 公共施設の老朽化が進む中、計画的な施設管理を行うことで、財政負担の軽減、平準化や施設配置の最適化を図ることが重要でございます。施設の集約化や複合化に当たっては公共施設最適化事業債が活用できますが、これは公立保育所といった特定の施設の廃止や統合を進めようとするものではございません。各団体においては、保育所などの子育て施設をどのように配置することが地域において必要とされる保育サービスの要請にかなうのかということも含めて議会や住民の皆様と議論し、検討をしていただきたいと存じます。
 次に、公立保育所の増設についてお尋ねがありました。
 公立保育所の整備については、一般財源化による影響が生じないよう適切に地方財政措置を講じておりますが、地域において良質な保育サービスが確保されるよう、今後も厚生労働省と連携しながら対応してまいります。
 次に、トップランナー方式についてお尋ねがありました。
 トップランナー方式においては、既に多くの団体が民間委託等に取り組んでいる業務について、その経費水準を基準財政需要額の算定基礎としています。また、導入に当たっては、地方団体への影響等を考慮し、複数年掛けて段階的に反映するとともに、小規模団体において民間委託等が進んでいない状況を踏まえて算定を行っており、地方交付税制度をゆがめるものではございません。
 次に、人口減少等特別対策事業費についてお尋ねがございました。
 人口減少等特別対策事業費においては、地方創生の取組の成果が現れつつあることを踏まえ、段階的に、取組の必要度に応じた算定から取組の成果に応じた算定にシフトすることとしています。また、その際、財政力が低く過疎法などの対象となっている団体について算定額の割増しを行うなど、条件不利地域に配慮した算定を行うこととしています。
 最後に、自主避難者への住宅支援についてお尋ねがございました。
 避難指示区域外からの避難者への応急仮設住宅の供与の取扱いについては、福島県において、災害公営住宅の整備状況などを踏まえ、災害救助法を所管する内閣府と協議の上で決定されたものと承知をしています。また、住宅確保に関しては、福島県において、自主避難者に対する仮設住宅の供与終了後の支援策を策定し、取り組まれることと承知しています。
 総務省では、引き続き、人的、財政面での支援を始めとして、被災自治体が必要な復旧・復興事業を確実に実施できるよう万全を期してまいります。
 以上でございます。

麻生太郎財務大臣 山下議員から、公正公平な税制の在り方や地方交付税について一問お尋ねがあっております。
 税制につきましては、所得税の最高税率の引上げ、金融所得課税の見直し、法人税改革におきます大企業を中心とした課税ベースの拡大など、現政権におきましても担税力に応じた税負担となるよう見直しに取り組んできており、大企業や富裕層に対する優遇課税との御指摘は当たらないと存じます。
 地方交付税につきましては、地方による必要な行政サービスの安定的な実施を勘案しながら、毎年度の地方財政対策において、総務省と十分に協議してまいりたいと考えております。

塩崎恭久厚労大臣 山下芳生議員にお答えを申し上げます。
 認可外保育施設での死亡事故と公立保育園の費用の一般財源化についてのお尋ねがございました。
 認可外保育施設に対しましては、事故防止ガイドラインによる取組の徹底、都道府県等による年1回以上の立入調査に加え、平成29年度予算案では新たに指導員による巡回指導を支援することとしており、これにより重大事故の発生を防止していきたいと考えております。
 また、公立保育園につきましては、平成16年度に運営費が、平成18年度に施設整備費がそれぞれ一般財源化されました。これは地方6団体の提案による三位一体改革によりなされたものでございます。
 公立保育園の減少に対する見解とその増設についてのお尋ねがございました。
 公立保育園の数は全体では減少しておりますけれども、各市区町村がどのような形で保育の受皿を整備をしていくかということにつきましては、地域が抱える諸事情を踏まえ、各市区町村において適切に判断されているものと考えます。
 各市区町村においては、公立や私立を問わず、質を確保しつつ、地域の保育ニーズに対応した保育園の整備を進めており、厚生労働省としては、こうした市区町村の取組をしっかりと支援をしてまいります。

松本純防災大臣 山下議員より、いわゆる自主避難者の方への住宅支援の見直しについて御質問をいただきました。
 東日本大震災における応急仮設住宅の提供については、発災当初から災害救助法に基づく応急救助として実施することとしたものであり、地震、津波、原子力災害を別なく一律に取り扱ってきたところでございます。
 福島県におきましては、これまで、避難指示解除、災害公営住宅の整備状況などを勘案し、国の同意を得て、各市町村を一律に6年目まで応急仮設住宅の提供を延長してまいりました。今般の7年目の延長決定に際しては、災害公営住宅の整備等がおおむね完了し、各市町村の復旧・復興状況に応じたきめ細やかな対応が可能であると福島県において判断されたところでございます。そのため、福島県において個々の市町村の状況を確認し、延長の方針を検討、判断され、国に協議し、その同意を得た上で決定されたものでございます。
 具体的に、平成29年4月以降については、避難指示区域以外の市町村は、災害公営住宅が十分に整備等されていない市町村を除き、災害救助法に基づく応急仮設住宅の供与から、福島県により策定された帰還・生活再建に向けた総合的な支援策に移行することとなります。
 内閣府としては、引き続き、関係省庁や福島県と連携し、避難者の方々の安心して生活を営むことができるよう努めてまいりたいと考えております。

今村雅弘復興大臣 福島の自主避難者への住宅支援についてお尋ねがありました。
 この度の応急仮設住宅の供与の取扱いについては、福島県が、復興公営住宅の整備、住居の確保の市町村ごとの状況を踏まえて判断し、災害救助法に基づいて内閣府に協議がなされ、決定されたものでございます。
 応急仮設住宅の供与終了に当たり、福島県においては、自主避難者に対する仮設住宅の供与終了後の支援策を策定し、民間賃貸住宅の家賃補助、公営住宅等の確保、県内帰還時の移転補助を行うものと認識しております。
 復興庁としましては、住宅確保に関して、雇用促進住宅での受入れを関係団体に協力要請し、住宅の一部提供が行われることとなったほか、国土交通省とも連携しながら、公営住宅への入居円滑化の支援を行っているところでございます。また、避難者への相談支援などを通じ、福島県の支援策が円滑に進むように支援してまいりたいと考えております。
 福島県に対しては、個々の避難者の方の事情をよく伺って丁寧に対応していただくようお願いしており、県においてそのように対応されているものと認識しております。