【手記】米「エルサレム首都」認定直後 中東を訪問して

 このほど、伊達忠一参院議長の外国公式訪問に同行してヨルダン、エジプト、ギリシャの3カ国を訪問しました。「しんぶん赤旗」(1月7・8日付)に寄稿した手記を掲載します。


“大国支配の世界でない”に賛同

 昨年12月10日から17日にかけて、伊達忠一参院議長の公式訪問に随行し、ヨルダン、エジプト、ギリシャの3力国を巡る機会がありました。直前に行われたトランプ米大統領による「エルサレム首都認定」の決定が、中東諸国でどう受け止められ、日本に何か期待されているか、肌で感じる訪問となりました。
 最初に訪問したのはヨルダン。イスラエルの東隣の国で、パレスチナ難民を数百万人規模で受け入れています。首都アンマンはエルサレムからわずか数十キロしか離れていません。ヨルダンでは国王、上下両院議長と会談しましたが、いずれの会談でもトランプ発言に対する強い懸念が表明されました。

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 ファーイズ上院議長は「発言により問題がさらに悪化することを懸念している。エルサレム問題については、米国を説得すべくご協力いただきたい」と述べました。
 タラーウネ下院議長は「発言はさまざまな怒りの感情を呼び起こしている。日本を含めた国際社会が、米国に対して、公正で平和裏な解決をもたらすよう働きかけてほしいと願っている」と述べました。
 両院議長の強い口調に憤りの大きさを感じました。その両氏から、日本による米国への「説得」「働きかけ」が参院議長に要請されたことは重要です。北朝鮮問題でも、エルサレム問題でも、トランプ大統領べったり、言うべきことを言えない安倍首相の姿勢では、国際社会の期待に応えることはできません。
 ヨルダンは王制で、国王が首相や上院議員を任命するなど強い権限を持っています。現在のアブドラ国王を表敬。歴代のヨルダン国王は、イスラム教の聖地エルサレムの施設整備に多額の寄進をしてきたとのことで、トランプ発言に対する憂慮は深い。
 アブドラ国王は「今回の米政府の決定は、われわれすべてに対する挑戦だ」と述べ、12月13日にトルコのイスタンブールでイスラム諸国首脳会議を緊急開催し、この問題を討議すると教えてくれました。まさに激動の渦中です。
 それぞれの会談で、伊達参院議長は、エルサレム問題についての日本政府の立場を伝えるととともに、「トランプ発言を契機として、中東全体の情勢が悪化しうることを大変懸念しており、本件の動向については大きな関心を持って注視していきたい」と発言しました。

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2017年12月11日、ヨルダン下院議長との会談で発言(写真正面左端が私)

 タラーウネ下院議長との会談では、伊達議長に促され、私も発言する機会を得ました。私はまず、「下院議長のエルサレムへの思いを受け止めました。帰国したら、みなさんの思いを安倍首相に直接伝える機会が持てればと思います」と表明。通訳されると、先方は一斉にうなずきます。
 続けて、「日本は広島、長崎に原子爆弾を投下された世界で唯一の戦争被爆国です。ヨルダン政府が核兵器廃絶に向けて国際的な発信をされていることに敬意を表します。昨日、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞したことをうれしく思います。核兵器のない世界を実現するために、今後も協力していければと思います」と発言。一文ごとに訳されるたびに、先方がうなずくのが分かりました。手応えありです。

 夜、ヨルダン上院議長主催の夕食会。「あなたのスピーチは素晴らしかった」と声をかけてくれたのはヨルダン・日本友好議連のドゥーディーン上院議員(写真右から2番目のヒゲの男性が、サヘル・ドゥーディーン議員)。「みなさんのエルサレム問題に対する真剣な発言を聞いて、できる限りのことをしなければと感じました」と返すと、彼は笑顔で「ありがとう」。一気に打ち解け、テーブルに並ぶヨルダン料理の食べ方を手ほどきしてくれました。ホブズという焼きたてのパンに、新鮮な牛生肉をパテ状にしたものを塗り、オリーブオイルをかけて食べるとこれが絶品!

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 ドゥーディーン議員は、同じテーブルの威厳ある風貌の男性は元外交官だと紹介してくれました。そこで、ヨルダンの外交で大切にしてきた点は何か質問すると、元外交官は「問題を平和的に解決することだ」と即答。その理由を尋ねると、「周辺諸国(イスラエル、シリア、イラクなど)では紛争が多い。問題の平和的解決は「ハーシム王家の伝統だ」との答えが返ってきました。「中東の緩衝地帯」ともいわれるヨルダンの外交の背景が少し分かった気がします。
 続けて、私か「トランプ発言に対し、アラブ諸国、イスラム諸国だけでなく、欧州各国、米国の同盟国からも厳しい批判の声が出ています。21世紀の世界は、一握りの大国が支配する世界ではなくなったことを示していると思います」と述べると、元外交官は「賛同する」。
 さらに「北東アジアで大きな問題となっている北朝鮮の核・ミサイル開発も、対話による解決しかないと考えます」と水を向けると、「同感だ。聞きたいことがある。彼らは本気で戦争しようとしているのか、それとも脅しなのか」。私か「後者だと思うが、米朝が挑発を繰り返し、偶発的な軍事衝突になる危険が高い。避けるには米朝の直接対話しかありません」と述べると、元外交官は「対話による平和的解決に同意する」。
 中東の地で、党綱領の世界論、党の外交方針が、まさに。“打てば響く”反応を得たのはうれしいことでした。

すべての地域から核兵器撤去を

 ヨルダンの次に訪問したのはエジプト。人口1億人を超えるアラブの大国です。

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 エジプトは一院制で、アブデルアール代議院議長と会談。昨年5月に訪日した同議長は、「北朝鮮の核開発を非常に危惧(きぐ)している。すべての地域から核兵器が撤去されることを訴えている」と述べました。同感です。朝鮮半島で破滅をもたらす戦争を避けるとともに、すべての核兵器を禁止・廃絶することが必要です。
 同議長が、昼食会で話題にしたのはやはりエルサレム問題でした。私たちがエジプトを訪問した12月13日、イスラム諸国首脳会議は、共同声明で「東エルサレムはパレスチナ国家の首都」と宣言。この問題でのアラブ、イスラム諸国の結束は固いようです。

 空港まで見送りに来てくれたエジプト・日本友好議連のヘイカル会長(写真右)が、「エジプトは数十年前から核兵器と大量破壊兵器禁止を訴えています」「ナイル川の水利権をめぐるエチオピアとの緊張も、戦争でなく平和的に解決する方針です」と語ったことも印象的でした。
 3番目の訪問国、ギリシャでブチス国会議長から債務危機対応などについて説明を受け、帰国しました。
 帰国後すぐ伊達忠一参院議長に、ヨルダンで聞いたエルサレム問題についての先方の声を、議長から安倍首相に伝えてはどうかと提案。議長は、ヨルダンに随行した自民、民進、公明、維新各議員の了承を得て、トランプ発言に関するヨルダン国王、上下両院議長の発言のポイントを文書にまとめ、伊達忠一参院議長名で、菅宣房長官を通じ安倍首相に渡るよう対応してくれました(12月22日)。

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 国連総会で、「エルサレムの地位変更は無効」とする決議が、米国のどう喝にもかかわらず賛成多数で採択された同じ日に、ヨルダンでの約束を果たすことができてよかった。その点も含めて実り多い訪問でした。