公職選挙法(参院選挙制度)改定案(自民党案)に対する反対討論 
2018年7月11日 参議院倫理選挙特別委員会

 

本日の参院倫理選挙特別委員会に、自民党が突然提出し強行可決した「討論封殺」動議によって、「幻の討論」となった私の討論予定原稿を、満身の怒りと抗議の意を込めて紹介します。


公職選挙法(参院選挙制度)改定案(自民党案)に対する反対討論 

       2018年7月11日 日本共産党・山下芳生 
 
 私は日本共産党を代表して、参議院選挙制度改革に関する自由民主党・こころ及び無所属クラブ提出の公職選挙法改定案に対する反対の討論を行います。

 選挙制度は議会制民主主義の土台であり、どのような選挙制度にするかは、議会を構成する各党・会派間で十分議論を重ね、合意を得る努力を尽くすことが必要です。多数党が数の力で、自らに都合のいい選挙制度改変を強行するなら、議会制民主主義が壊れてしまうからです。

 ところが、自民党はこの1年間、各党・会派間で大きく意見の異なる「憲法改定」を前提とする案に固執し、合意形成に対する最大会派としての責任を果たそうとしませんでした。
加えて、自民党は、1年間の各派協議の場で一切提示も議論もしなかった新たな案を突如持ち出し、協議の継続を求める野党の声に背を向けたまま、法案として国会に提出。いままさに数の力で押し切り、議会制民主主義を破壊しようとしています。
選挙制度改革に対するあまりに非民主的で強権的なやり方に厳しく抗議するものです。

以下、法案の反対理由を述べます。
反対の第1の理由は、参議院選挙制度改革に求められている「抜本改革」に全く値しないからです。
いま、参議院の選挙制度改革に求められているのは、2009年最高裁判決にのっとり、投票価値の平等を実現するために、現行の都道府県単位の選挙区方式を見直す抜本改革であります。また、2015年改定公選法の付則にある「2019年参院選に向け、選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得る」ことであります。しかし、自民党案は「2県合区」を含む現行制度の維持であり、抜本改革に全く値しません。

第2の理由は、比例代表選挙への「特定枠」導入が、合区によって立候補できない自民党議員・候補者の救済策であり、党利党略であるからです。
自民党は、「特定枠」を導入する理由について、「国政上有為な人材や、政党が民意を反映するうえで必要な人材が、当選しやすく」するためと説明していますが、2014年選挙制度協議会に示した合区導入案では、「(合区により)選挙区で立候補できなくなる人を比例名簿の上位にすることを可とする」ために、救済策を盛り込むと露骨に述べていました。自らの党利党略に対する批判を恐れて、本当の理由を隠すのは、国民を愚弄するものといわねばなりません。
先ほど、自民党案の発議者は、世論調査の結果も設問によって変わると答弁しましたが、自民党案が「合区漏れ」した自民党候補の救済策であることを明確にした設問にするなら、「反対」世論はさらに増えるでしょう。

最後に、自民党が、各党・会派の合意を得る努力をつくさず、数の力で選挙制度を自らに都合よく改変するのは、今回が初めてではありません。
2000年公選法改定において、各党・会派が9回協議を重ね、全会派一致でまとめた合意を突然踏みにじり、数の力で一方的に、比例代表選挙を非拘束名簿式に改変したのも自民党でありました。
民主主義の土台である選挙制度を党利党略でもてあそぶ勢力は、必ずや、主権者国民によって厳しい審判を下されることになるであろうことを指摘し、反対討論とします。

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。