児童相談所体制強化へ 
2019年03月20日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下です。
私も児童虐待について問いたいと思います。
児童虐待で子供たちが親の手によって殺害されるという痛ましい事件が次々と起こっております。東京目黒区の結ぶ愛と書いて船戸結愛ちゃん、5歳、千葉県野田市の心に愛と書いて栗原心愛さん、10歳、東京板橋区特別支援学校1年生、平和の和に希望の希と書いて添田和希さん、6歳。生まれたときに心を込めて名前を付けた親たちだったと思われます。心からの哀悼をささげるとともに、このようなことがこれ以上繰り返されないために、大人の役割そして政治の責任は極めて大きいと思っております。
そこで、子供の命を守り、若い親たちへの支援を行うための言わば最後のとりででもある児童相談所や一時保護所の問題について聞いていきます。
まず、児童相談所についてですが、設置主体は都道府県、指定都市などでありますが、現在全国に213か所児童相談所はあります。1718自治体、市町村の中で、児童相談所が置かれているのは2割にもならないわけであります。
厚労省に聞きますが、全国の児童相談所の相談件数、この20年間の推移、そしてその相談内容、そしてうち虐待相談の推移と内容について報告いただけますか。

藤原朋子(厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長) お答え申し上げます。
まず、児童相談所における相談の状況でございますけれども、児童相談所における主な相談としては、まず児童虐待に関する虐待相談、それから身体障害や発達障害を持つ子供に関する障害相談、あるいは法を犯した、触法行為があった子供に関する非行の相談、そして育児やしつけ、あるいは不登校などに関する育成相談、こういった種類の相談を受けているところでございます。
こうした全ての相談の種類を合計をした相談対応件数をこの20年間比較をするということをいたしますと、平成9年度が32万5925件でございましたところ、直近、平成29年度の数字になりますけれども、46万6880件ということで、14万955件の増加というふうな状況になっているところでございます。後ほど申し上げますけれども、この増加の要因としては、やはり虐待相談の対応件数が非常に伸びているということが大きく要因として考えられるところでございます。
また、二つ目にお尋ねのございました、そのうちの虐待相談件数がどうなのかということでございますけれども、これも平成9年度と29年度で比較をいたしますと、平成9年度が5352件でございましたところ、29年度は13万3778件と過去最多を記録をしているというところでございまして、単純に比較をすれば、この20年間で約25倍というふうな大きな伸びを示しているところでございます。
この増加の要因の分析というのはなかなか簡単にはできませんので、引き続き我々もしっかり分析をする必要があると思っているところなんですが、平成12年に児童虐待防止法ができまして、最近の動きといたしましては、平成27年7月から開始をいたしました児童相談所の全国共通ダイヤルの3桁化、いわゆるいちはやくということで189番ということで窓口を設定をしておりますけれども、こういったものの広報が進んできたということですとか、様々な報道などで国民や関係機関の皆様の意識が高まっているということもあろうかと思いますし、また、この間、警察を始めとした関係機関との連携が非常に強化をされておりまして、関係機関からの通告も増加をしているということがありますので、そういったことも影響しているのではないかと思っております。

山下よしき ということですよね。相談件数は20年で1.5倍ぐらいでしょうか。それから、うち虐待については25倍と物すごい増え方になっております。
そこで、児童相談所で児童福祉司の資格を持つ職員の方は2017年で3240人。心理司、保健師の資格を持つ方を入れて、合わせて4690人。総務省の調査で見ますと、児童相談所などの職員は、この10年で1.2倍程度にしか増えておりません。20年で二十五倍に増えた児童虐待にこれでは対応できるはずがないと思います。初期対応に当たる職員1人当たりの担当件数、聞いてみますと50人前後に上ると。場合によっては三桁の件数という実態もあります。まさに相談件数の増加に対して児童相談所の職員の増え方が全く間に合っていないということだと思います。
そこで、厚労省は、児童福祉司については、児童虐待防止対策総合強化新プランで2022年までに2020人増やすとしておりまして、2019年までに1070人増やすと。これ、いずれも常勤職員として増やすという計画になっております。実は、2016年から既に厚労省が主導されてこの児童相談所の増員のプランは始まっております。
そこで厚労省に伺いますが、児童相談所の児童福祉司、2016年からどれだけ増員されたのか、また、新プランによって2018年、19年、どれだけ増員が見込まれるのか、お答えいただけますか。

藤原室長 お答え申し上げます。
児童福祉司についての人数でございますけれども、平成28年度が3030人、29年度、3235人、そして平成30年の、4月1日の、いずれも時点での数字でございますけれども、3426人というふうになってきているところでございます。直近この1年間では約200人の増員が図られているというところでございます。
委員御指摘のとおり、一方、この児童相談所での児童福祉司の業務は非常に複雑化しており、相談件数も非常に伸びているということがございますので、昨年の12月に新しいプランを決定をいたしまして、2022年度までの間で児童福祉司を約2000人程度を増員ですとか、心理司についても800人程度増員、こうした体制の抜本的な拡充を図るということにしているところでございます。特に、来年度につきましては、児童福祉司1070人を確保したいということでございます。
このため、我々も自治体における人材確保を厚生労働省としてもしっかり支援をしていくことが必要であると考えておりまして、自治体における採用活動の支援に対する補助の創設ですとか、採用のみならず、専門性を確保するための自治体における取組、例えば児童相談所の経験者の再配置やOB職員の再任用を積極的に行っていただきたいこと、人事の異動サイクルについて考えていただきたいと、こういったお願いを周知をしているということですとか、社会福祉士会など専門職種団体に対する協力の呼びかけと、こういったことを厚生労働省としてもやってきているところでございますが、自治体の皆さんの御意見もよく伺いながらしっかり人材確保に努めていきたいというふうに考えております。

山下よしき 平成28年度から30年度の間に400人ぐらい増えているということですからね。これを一気に1000人、2000人増やそうということですから、かなり大きな増やし方をする必要があるんですが。
そこで、新プランは、更に全市町村に子ども家庭総合支援拠点を置くとか要保護児童対策調整機関調整担当者を配置するというふうにしておりまして、児童相談所だけではなくて市町村にも児童虐待等への体制を厚くしなさいということになっているんですね。
そこで、総務省に伺いますが、資料1枚目に配付しておりますけど、地方創生1兆円交付金の地域の元気創造事業費。平成31年度は3900億円程度見込まれておりますが、うち行革努力分として2000億円が交付されることになっておりますが、その算定において、ここにもあるように、職員削減率だとか人件費削減率ということがあります。要するに、職員を増員すれば減額ペナルティー、賃金を増額したら減額ペナルティーが掛けられていると、そのための補正係数を掛ける計算式まで付いているんですけれども。
総務省に伺いますが、平成30年度、都道府県でこの行革努力分が減額された県名と減額の合計額、さらに減額上位5県のそれぞれの減額額を併せて報告いただけますか。

林崎理(総務省自治財政局長) お答えいたします。
今御紹介のあった行政改革の取組を反映した地方交付税の算定でございますけれども、これ元々、各地方団体は、地方創生など地方が直面する課題に取り組む財源を捻出するために行政改革の取組を行っているということで、行政改革の取組の成果を上げた団体にあっては地方創生のために多額の財政需要が生じていると考えられるということで、こういったものがまずあります。
そういった中で、今御質問ございました点に関してでございますけれども、これは、まち・ひと・しごと創生事業費1兆円のうち、元々、地域の元気創造事業費四千億、そして100億円は特交、特別交付税でございますので、残りが3900億円程度ということでございます。そして、その中で行政改革の取組から地域経済活性化への取組へ1000億掛けてシフトしていく、今そういう状況の中での数字になってまいりますけれども、30年度の都道府県分の算定では590億円、590億円が行政改革の取組による算定として対象となっておりまして、具体的には今お示しいただいたような形で算定をしてきているわけでございます。
私どもとしましては今申し上げたような算定を行ってきているところでございますけれども、今お求めということでございますので、仮にこれ、それぞれの取組によって、全国平均一とした場合に、一を上回ったり下回ったり当然こうなってくるわけでありますが、これを一というふうに置いて、そして割増し、割り落としを行わずに機械計算をした額というものを計算してみますと、それと実際に平成30年度の算定額とを比較しますと、四17都道府県で平均を上回る団体、下回る団体もちろん出てまいりますが、下回る団体が21団体になります。
21団体については個別にお話し申し上げてよろしいですか。
ちょっと長くなりますけれども、21団体申し上げます。宮城県、茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、新潟県、山梨県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、福岡県、佐賀県、熊本県、沖縄県。この21団体が、機械計算の結果、30年度算定額よりも低い数字が出てくると、こういうことでございます。
そして、今申し上げました21団体における数字を足し上げますと48億1000万円余りという数字になります。今申し上げましたとおりで、総額はもう元々590億円をどういうふうに配分するかということでございますので、例えばこういった機械計算をやった場合と元々の30年度算定とではいずれも590億円という数字になりますので、全国ベースでは増減は相互では生じないということになります。
次に、平成30年度算定額が計算額を下回る数字が大きい五団体でございますけれども……(発言する者あり)済みません、じゃ、こちらの方で。

山下よしき ちょっともう時間ないので、最後に、総務大臣、1点聞きます。
要するに、さっき前半で聞きました児童虐待対策で既に自治体は職員を増員してきているわけですね。その自治体が職員を増員してきたことに対して、行革努力分、行革算定として減額されていると。これは政府の要請ですよ、児童虐待対策として児童相談所の職員を増やしてくれと。それに従って増やしたら減額ペナルティーが掛かると。これ、余りにおかしいじゃありませんか。
もうこういうやり方はやめるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

石田真敏総務大臣 地域の元気創造事業費の算定において、職員数削減率といった指標を用いて行政改革の取組を算定に反映をしているわけでありますが、一方で、今御指摘のように、児童虐待防止対策体制総合強化プランに基づき児童相談所の体制強化を行う必要があること等を踏まえまして、職員数削減率を用いた算定につきましては平成32年度算定以降見直しを行う予定でございます。

山下よしき 平成32年以降は見直すと、これは当然だと思うんですが、しかし2016年度から増やしているんですね。これはそのまんま、じゃ、ペナルティーになるんですか。これもおかしいんじゃないですか。これをやめるべきだと思いますが、いかがですか。

林崎局長 お答えいたします。
今大臣の方から説明させていただきましたけれども、新プラン等が出てまいりましたので、状況が変化があるということで、職員数削減率を用いた算定につきましては32年度算定以降見直しを行う予定ということで、既に1月の地方団体の説明会でも私どもの方も明らかにしているところでございますが、31年度の算定につきまして、これは金額にすると、3か年で1000億移していくという最終年、500億円の算定になりますが、これにつきましては、職員数削減率の算定に反映されますのはこれまでの過去の定員管理の取組でありまして、今後の職員配置の問題とは直接関係しないということが1点ございます。
また、現実問題として、算定に用いる統計数値にも制約があるといったこともございまして、31年度につきましては従前どおりの算定を行わせていただきたいと思っております。32年度以降、また検討してまいりたいと思っております。

山下よしき 終わります。

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。