非婚・未婚ひとり親家庭に所得税寡婦控除を 
2019年03月19日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下です。
 まず、所得税、住民税の寡婦控除を非婚、未婚のひとり親にも適用すべきという問題について質問したいと思います。
 もう前提といいますか、もう御存じのことだと思いますが、寡婦とは何ぞやということなんですが、国税庁のホームページを見ますとこうあります。夫と死別又は離別した後婚姻していない女性で、扶養親族又は生計を一にする子どものいる人、これを寡婦と定義されております。したがいまして、夫と死別又は離別でありますので、婚姻歴のない非婚、未婚のひとり親は寡婦控除の対象とはなりません。これは、元々未亡人の方に対する支援制度が始まりだったという歴史的背景があるとはいえ、私はこれは余りにも不合理ではないかとずっと思ってまいりました。
 まず、厚労省に基本的な全体像の把握をするために聞きますが、全国のひとり親世帯の数は幾らか、そのうち非婚、未婚のひとり親世帯の数は幾らか、お答えいただけますか。

藤原朋子(厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長) お答え申し上げます。
 我が国のひとり親世帯の数でございますけれども、厚生労働省の平成28年度全国ひとり親世帯等調査による推計の結果に基づきますと141.9万世帯となってございます。そのうち未婚の世帯につきましては、同調査結果に基づく推計の結果、約10.8万世帯であると推計をしてございます。

山下よしき 約142万世帯のうち約11万世帯が非婚、未婚のひとり親世帯だということであります。
 資料一に、これも厚労省の平成28年度全国ひとり親世帯等調査、今御紹介いただいたものかもしれません。そこに母子世帯の母の年間就労収入の数字が載っておりましたので掲載いたしました。
 これ見ますと、母子世帯の母の年間就労収入、平均は200万円、これ総数というところの平均ですよね、200万円。ですから、年収200万円ですから、これはもちろん全世帯の平均からすると恐らく半分以下ということになっていると思います。その中でも、この左側の欄見ていただくと、未婚の母子世帯で見ますと、平均年間就労収入は177万円と。母子世帯は全体として極めて低い、その中でも未婚のひとり親の収入は極めて更に低いということがあります。
 そこで総務省に伺いますけれども、今回の地方税法改正、改定案では、これまで寡婦に適用されてきた個人住民税の非課税を非婚、未婚のシングルマザー、シングルファーザーにも適用するというふうにしております。これが適用されますとどれだけの方が新たな対象となると見込んでいるか、併せて影響額についてどう見込んでいるか、お答えいただけますか。

内藤尚志(総務省自治税務局長) お答え申し上げます。
 今回のひとり親に対します非課税措置の創設による影響につきまして、厚生労働省が公表しております平成28年度全国ひとり親世帯等調査等に基づきまして試算をいたしましたところ、新たに非課税の対象となる者は約1万5000人、減収額は平年度で約4億円と見込んでいるところでございます。

山下よしき 厚生労働省にまた伺いますけれども、厚労省はこれまでも非婚、未婚のひとり親世帯に対する税制上の要望を上げてこられました。具体的にどのような内容か、またそれは理由はどのように付けていたのか、まずそこをお答えいただけますか。

藤原室長 お答え申し上げます。
 平成30年度の与党税制改正大綱を受けまして、昨年、厚生労働省において行った平成31年度の税制改正要望におきましては、寡婦控除が適用される寡婦や市町村民税が非課税となる寡婦に未婚の母を加えるなど、ひとり親に対する税制上の支援措置の拡充を要望したということでございます。
 この要望につきましては、子どもの貧困対策の観点から、経済的に様々な困難を抱えるひとり親家庭において、子どもの未来が経済状況によって左右されることのないようにすべきというふうな考え方から要望を行ったものでございます。

山下よしき 子どもの貧困対策という観点から、やはりこれは適用拡大する必要があるという要望をされているんです。
 重ねて厚労省に伺いますが、厚労省独自に寡婦控除のみなし適用という形で様々な制度について非婚、未婚のひとり親についての支援をできるようにしていると思いますが、それを幾つか説明いただけますか。

藤原室長 お答え申し上げます。
 議員御指摘ございました寡婦控除のみなし適用でございますけれども、平成30年度から厚生労働省の関係事業におきまして順次実施をしているところでございます。
 具体的には、ひとり親に対する資格取得支援を行う高等職業訓練促進給付金ですとか、障害福祉サービスの利用者負担、あるいは小児慢性特定疾病医療費助成の自己負担など、合計27の事業で実施をしているところでございます。

山下よしき 今、厚労省さんから説明がありました。たくさんみなし適用されているんですけれども、これも御存じのとおりですけれども、寡婦控除によって算出された所得が基準となって、例えば国保料ですとか保育料ですとか、公営住宅の入居要件ですとか家賃などが決められていきます。
 ですから、同じ収入であっても、税や保育料などの支払が、いわゆる既婚のひとり親なのか、あるいは未婚、非婚のひとり親なのかによって10万円から多い場合は数10万円年間差が開く、不利益を被るということがこれまでもずっとありました。そのことによって、ただでさえ経済的に大変厳しい母子家庭の母と子が一層厳しい状況に置かれたということもあるわけですね。
 そこで、今回、法改正で非婚、未婚のひとり親に対する住民税の非課税措置が適用拡大されることになったんですが、これによって、単に住民税が軽減されるというだけではなくて、他のサービスに対しても負担軽減がされるものがいろいろあると思うんですが、いろいろあると思うんですが、厚労省さん来ていただいていますから、厚労省関係で今回の住民税非課税措置の適用によってどういうものが負担軽減されるというふうに考えておられますか。

藤原室長 お答え申し上げます。
 厚生労働省の各種制度、事業におきましては、健康保険の高額療養費ですとか介護保険制度の高額介護サービス費など、住民税非課税者に対して費用負担の軽減などの仕組みを設けているところでございます。
 今回の税制改正によるひとり親家庭への住民税非課税措置の適用拡大を受けまして、新たに住民税非課税者となった未婚のひとり親の方々につきましては、今申し上げたような事業につきまして、他の非課税者と同様に軽減等の措置を受けることができることとなると考えております。

山下よしき ですから、私、総務省が今回一歩を踏み出したことは大変評価しているんですね。
 大臣に伺いたいと思います。今回の非婚、未婚のひとり親世帯に対するこの住民税非課税措置の適用、どのような趣旨でされたのか、またどういう効果を期待されているのか、大臣の言葉でお答えいただければと思います。

石田真敏総務大臣 今回のひとり親に対する……(発言する者あり)済みません。担税力がない又は著しく薄弱である者に税負担を求めることは適当ではないとの趣旨から、所得が一定以下の寡婦に対し個人住民税を非課税とする措置が講じられているところでありまして、今回の税制改正で、児童扶養手当の支給を受けており、所得が一定以下のひとり親に対して個人住民税を非課税とする同様の措置を講ずることとしています。
 これは、ひとり親は一般子育て世帯と比べて平均所得が大きく下回っている等、経済的に厳しい状況にあり、所得を稼得する能力や担税力が小さいと考えられることから講ずるものであり、子どもの貧困への対応として意義があるものと考えております。

山下よしき やはり石田総務大臣からも子どもの貧困として意義があると、本当それは大事なことだと思うんですね。今、児童虐待等いろいろ社会問題になっておりますけれども、これをどうやってカバーできるのかという点からいうと、今回の住民税における措置は大いに波及効果もあるのではないかというふうに考えております。
 ただ、1点、もう一歩前進していただければと私思っているのは、ここまで前進したんですから、冒頭説明があったと思いますが、所得135万円未満の世帯に対して、今回、未婚、非婚のひとり親世帯に対しても住民税非課税措置を適用することになったんですが、寡婦控除の場合は、所得500万円未満のひとり親世帯に対して、寡婦世帯に対して控除がされるわけですね。
 せっかく住民税について一歩踏み込んだんですから、寡婦控除と同じように、所得500万円未満の非婚、未婚のひとり親世帯に対しても同程度の措置を適用するように、もう一歩前進する必要が私はあるんじゃないかなと思うんですが、その点、大臣、いかがでしょうか。

石田総務相 寡婦控除については、先ほど議員からも御指摘がございました。成り立ちについての経緯もございます。
 そして、平成31年度の与党税制改正大綱では、子どもの貧困に対応するため、婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する更なる税制上の対応の要否等について、平成32年度の税制改正において検討し結論を得るとされているところでございまして、個人住民税の諸控除の見直しにつきましては、税制抜本改革法第7条において、地域社会の会費的性格をより明確化する観点から、個人住民税における所得控除の種類及び金額が所得税における所得控除の種類及び金額の範囲内であることを踏まえることとされているわけであります。
 総務省としては、今後の与党における議論や所得税の動向を踏まえ、適切に対応してまいりたいと思っております。

山下よしき もう少し母子世帯の実態を紹介して、ちょっと財務省さんに意見伺いたいんですけれども。
 厚労省の調査によりますと、母子世帯の母の八割は就労しております。その半数は派遣やパート、アルバイトなどの非正規雇用でありまして、これが母子世帯の収入が非常に低い要因になっております。非正規雇用の女性の収入は、正規雇用の男性の収入の4分の1という数字もあります。ですから、母子世帯の貧困というのは、すなわちこれ、女性の貧困と同じ原因になっているんではないかということも言えると思うんですね。
 ところが、同じ母子世帯なのに婚姻歴のあるなしで、その中で大きな差が付いているということでありまして、これはもう御存じのとおり、日弁連も、婚姻歴の有無で寡婦控除の適用が差別されてその子に不利益を及ぼすことは許されない、憲法14条の平等原則に反し違憲であることは明らかだということを述べられて、繰り返し是正を求めておられます。
 財務政務官、来ていただいていますけれども、根本には、所得税でこの寡婦控除を非婚、未婚のひとり親に適用することがないと、いま総務大臣のお答えもそれに並んでいるという趣旨のお答えでしたけれども、やはり、所得税に対する非婚、未婚のひとり親世帯への寡婦控除と同じ適用を、これはもうここまで来ているんですから、私は、今回、先ほど総務大臣が御紹介された与党税制改正大綱の中身を見ますと、これまでは、寡婦控除については家族の在り方にも関わる事柄であるのでという概念がありました。それが昨年度からなくなりました。代わって、子どもの貧困対策というのが出てきた。これは、やはり実際に未婚、非婚のひとり親世帯の運動、支援者の声、そして最高裁が、非嫡出子も差別してはならないという最高裁の判決が出たなどなど、社会的な世論の熟成というものがあってこうなったんだと思うんですよ。
 だったら、もうあとは、所得税においても決断すべき時期だと思いますが、いかがですか。

伊佐進一財務大臣政務官 山下先生から、子どもの貧困に対応するためというところを強調して質問いただきました。
 先ほど大臣の方からもお答えさせていただいたとおり、個人住民税を非課税とするという措置は、今回、まずこの子どもの貧困に対応するという点でやらさせていただくと、やらさせていただきたいということでございますが、あわせて、予算面においても、この児童扶養手当の受給者のうち、未婚のひとり親に対して1人1万7500円、これを臨時特別の給付金として支給するということにさせていただいております。
 委員の方からも、先生の方からも、この成り立ちという御指摘ございました。確かにこの寡婦控除というのは元々、戦争未亡人の負担を軽減するというところで昭和26年に創設されました。その後も数度にわたって改正されるわけですが、亡くなった夫の家族との関係というものに配慮するという仕組みでこれまで成り立ってきた制度だというふうに思っております。
 この制度に未婚のひとり親を寡婦控除の対象とすべきという議論だというふうに伺っておりますが、この点については、先ほど申し上げたとおり、この成り立ちというものも踏まえた検討が必要だというふうに思っております。
 いずれにしましても、この更なる税制上の対応をどうするかという点については、この要否等も含めて32年度の税制改正において検討して結論を得るということにされておりますので、政府としても、与党における議論を踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

山下よしき まあそういうことかなと思いましたけどね、頑張ってくださいよ、ここまで来たんでね、ここまで来たんで。
 やっぱり世論はもう間違いなくこれは求めていると思いますし、何の合理性もないですよ、結婚歴があるかないかで差別されているというのは。差別ですから、これは、日弁連も差別という言葉を使っていますから、これはやっぱり政治がもう決断するしかないと私は思います。不合理な差別は直ちになくすことを強く求めておきたいと思います。
 また、厚労省さん、総務省さんに伺いますが、今回、せっかく非婚、未婚のひとり親世帯に対する住民税の非課税措置に踏み切ったわけなんで、私は周知徹底が大事だと思うんですね。各省またがって既に厚労省さんから説明があったような寡婦控除みなしのみなし適用というのはやられておりますけれども、なかなか知らない方たくさんいらっしゃるんですよ、私も直接その非婚のひとり親世帯の方の声何回も聞いていますけど。
 今回、非課税対象の要件に児童扶養手当を受けていることにしていますが、その児童扶養手当、児扶手自体が申請主義なんですよね。だから、これ本人が申請しなければ、受給していない方たくさんいらっしゃいます。それから、この非婚のひとり親に対してもこういうみなし適用しますよという制度があったとしても、その周知がもう非常に小さい小さい字で書いてあって分からないという声も聞きます。それから、そもそも寡婦って何なのと。寡婦という言葉はもう今普通には使わないと思いますから、やはりひとり親、シングルマザー、シングルファーザーの方が分かりやすいんではないか。
 そういう点で、私ちょっと一つ提案なんですけれども、やはり分かりやすいポスターやリーフレットを作る、この際ですね。それから、出産や入園、入所、あるいは入学の際に、全てのお母様に対して、非婚であってもひとり親の方の場合はこういう制度が適用できますよということを、やっぱり子どもさんができたとき、あるいは入園、進学等のときに1番そういう制度が必要になると思いますので、そういう際に、誰でも分かるような周知の、そういうものを作る必要があるんじゃないか。言葉も分かるようにした方がいいんじゃないか。それからあわせて、自治体が恐らくそれ窓口になると思うので、窓口の自治体のそういう努力に対して財政措置も検討すべきではないか。
 厚労省さんと総務省さん、それぞれお答えいただければと思います。

藤原室長 お答え申し上げます。
 委員から御指摘いただきましたように、子育て支援に関わる様々な施策ございます。市町村におきましては、包括的な支援センターで相談を受け付けたり、あるいは、そもそも最初に妊娠の手帳を交付をするときに様々な情報を提供したり、そういった機会を捉まえて、各自治体において周知徹底をお願いしているところでございます。
 また、今回のようなこういった制度改正があるときには、私どもから、主管課長会議など全国会議の場を用いまして、自治体の皆様方に丁寧に周知をいただくようにお願いをする機会もございますので、そういった機会も使いながら、しっかり周知についても努めてまいりたいと思っております。

内藤局長 お答え申し上げます。
 今回のひとり親に対します個人住民税の非課税措置でございますけれども、平成33年度から適用することとしておりまして、総務省としては、改正案の趣旨や内容につきまして、既に各地方団体に対する説明会等を実施いたしますとともに、ホームページなどを活用し、広く周知を行っているところでございます。
 法案成立後、今回の改正が円滑に施行されるよう、総務省といたしましても、地方団体の御意見をよくお伺いしながら、周知広報に努めてまいりたいと考えております。

山下よしき 財政措置も、多分声出ると思いますので、検討いただければと思います。
 次に、残りの時間で災害時における通信の役割について質問したいと思います。
 まず、総務省に、災害時における通信の重要性について簡潔に説明いただけますか。

谷脇康彦(総務省総合通信基盤局長) お答え申し上げます。
 災害時における通信サービスの確保は、家族同士の安否確認、119番通報等による救助要請、自治体から住民への防災メール等による情報伝達、救援関係機関等の間での連絡手段などの観点から極めて重要だと考えております。
 また、特に、近年においてはスマートフォンが被災者の情報入手や情報発信の手段として災害時に欠かせないツールとなってきているものと認識をしております。

山下よしき ですから、災害対策基本法でも、通信について指定公共機関とされているところであります。
 そこで、昨年の一連の災害で通信にどんな問題が起こったのかについて質問したいと思いますが、まず、北海道胆振東部地震について、私がその被害状況のペーパーを読ませていただいたら、地震とともに大停電、ブラックアウトが起こりましたので、その影響も受けております。固定電話では、1時、約20万回線途絶えたと。それから、北海道の市町村、全部で179あるそうですが、携帯電話が支障を来したエリアが、NTTドコモで179分の113市町村、KDDIで164市町村、ソフトバンクで149市町村。大半が今重要だと言われた携帯電話に支障が生じたということになっております。
 厚真町の一部エリアを残して復旧するまでの間に一週間近く掛かっております。私は、平常だったら一週間ぐらいというふうになるかもしれませんが、災害時に一週間通信が途絶えるとこれは人命にも関わるということだと思うんですが、東日本大震災でも通信はいろいろな問題が起こって教訓が生かされようとしていたと思いますが、今回新たな課題として何が浮かび上がったのか、御報告いただけますか。

谷脇局長 委員御指摘の平成23年の東日本大震災を受けまして、総務省におきましては、通信設備の停電対策や重要な伝送路の冗長化など、関係する省令を平成24年に改正をいたしまして、これに基づき通信事業者において所要の対策が講じられてきたところでございます。
 こうした取組の結果、昨年の北海道胆振東部地震においても一定程度は通信サービス支障を抑制することができたというふうに認識はしておりますけれども、想定を超える広域、長時間の停電によりまして多くの携帯電話基地局は停波をしたところでございます。これを受けまして、緊急点検を総務省において行いました結果、被災直後の役場付近における通信サービスの被害を正確に把握できていなかったことによりまして、移動型の携帯電話基地局の展開などの応急復旧に遅れが生じていたということが判明をしたところでございます。
 これを受けまして、総務省におきましては、平素からの通信事業者との連携体制を昨年10月に構築をいたしまして、大規模な災害時は被害が著しいと見込まれる地域の役場への迅速な訪問を行うこととしたところでございます。
 また、応急復旧手段として機動性に優れた移動型設備の活用が有効であることから、現在、移動電話、携帯電話事業者に対しまして、車載型の携帯電話基地局や移動電源車等の増設を働きかけているところでございます。

山下よしき 現場の状況が把握なかなかし切れなかったということなんですよね。
 これ、やっぱり総務省だけではないと思いますが、これ、通信事業者についても、私は、この間のリストラ、人減らしというものがこういうときに大変大きな残念ながらマイナスの影響を与えているんじゃないかなというふうに危惧するものですが、早く行くようにしようというだけで行けるのかなと、そこの問題ですね。それ、どうでしょうか。

谷脇局長 委員御指摘のとおり、災害時の通信手段の確保ということは、これライフラインの維持ということで極めて重要でございますので、10分な人員の配置、また技術開発なども含めた所要の努力を通信事業者に促していくということも大変重要だというふうに考えております。

山下よしき いつもこんなときに人減らしがたたるんですよ、特に保守部門がですね。今日はそのぐらいにしておきますけど。
 もう一つ、台風21号でも大きな被害が起こりました。21号では、9月4日、昨年、発災したんですが、10月2日、約一か月後の被害状況情報では、大阪府、和歌山県、京都府、滋賀県等の一部地域において、問合せに応じ、加入者宅への引込線等復旧対応中と。もう一か月たっても、まだ加入者宅への引込線等復旧対応中になっているんですね。これはちょっと遅過ぎるんじゃないかと思いますが、これ、何でこんなことになったんでしょうか。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 固定電話の被害につきましては、ケーブルの断線を巡回により目視確認をした上で、被害が広範囲にわたっているエリアでの優先復旧を目指しながら、通行止めなどの道路状況、それから復旧工事に携わる人的リソースなどを総合的に勘案しながら進めることとしているものと承知しております。
 委員御指摘の昨年の台風21号の際には、強風によるケーブルの断線が数多く発生しておりまして、特に電柱から加入者宅への引込みケーブルの断線の修理について、一軒一軒の加入者宅への戸別訪問が必要なことから、NTTにおきまして人員を増員して対応したものの、全ての回復には、今委員御指摘のように、時間を要してしまったというふうに認識をしております。

山下よしき 私は、現場で復旧作業に当たった職員、労働者の皆さんの奮闘には心から敬意を表しております。倒木した中にかいくぐっていって線を引っ張っているような作業をされていたんですね。だけど一か月掛かっちゃったと。これは人員の問題、さっき言った保守の部門の問題はあると思いますが。
 もう一つ、私ちょっと現場に行って感じたんですけれども、問い合わせるといっても、独り暮らしのお年寄り、障害をお持ちのお年寄りは問合せできないんですね。寝たきりでベッドの上にいる方なんかは、なかなか自分からは電話切れているよということは言えない。また、携帯電話持っていなかったら、そもそも電話つながらないわけですから問合せができないという事態にあると思いますから、そういうときは、恐らく周辺全部途絶えているでしょうから、何といいますか、1軒1軒訪ねてどうですかという声掛けは要るのではないかと思います。
 もう時間もありませんので後で一緒にそれも答えていただきたいんですが、もう一つ、大阪の泉南市というところで、電柱が9本一気に強風で倒れたんですね。その御自宅にも行きましたけれども、倒れているときに行ったんですけれども、電柱から垂れ下がった電線が玄関の前にずっとありまして、残念ながら、NTTさんの電柱だったんですけれども、説明がないというわけですね、その電線に触ると危ないのか、大丈夫なのか。ですから、腰をかがめて、くぐって出入りされていましたけど、せめてそういう周知を工事する前にでも来てほしかった。
 それから、もう直ったんです、9本。しかし、何のまたこれも説明がなくて、倒れたのが元どおりになったんだろうか、元々強度に不安があったのではないかとか、ちゃんと住民の方々に説明する責任が私は通信事業者にはあると思うんですが、今何点か言いましたけど、まとめてお答えいただければ有り難いです。

谷脇局長 お答え申し上げます。
 2点御指摘をいただいたかと存じます。
 まず、1点目でございますけれども、固定電話しかお持ちでない住民の方への通信手段の確保という点でございますけれども、近隣の公共機関等の固定電話等から故障受付用の番号に御連絡をしていただくだとか、あるいは避難所等において事前に設置をしている事前設置型の特設公衆電話を準備するなどにより対応していたというふうに承知しておりますけれども、なお、更なる改善策があるのかどうかについて関係者間で考えを更に深めていきたいというふうに思っております。
 また、もう1点の大阪府泉南市でのNTT柱が倒れた件でございますけれども、電柱に関しましては基本的に風の影響では倒れない設計となっておりますけれども、倒木や、あるいは風で飛来してきた飛来物が電線等に引っかかり電柱倒壊等につながる場合があるというふうに伺っております。このため、復旧後の電柱も基本的には安全面での問題は小さいと考えられますけれども、当然不安に感じる地元住民の方もおられるものと認識しております。
 今般、NTT西日本におきまして、自治体あるいは警察への説明を随時行い情報提供に努めていたとは承知しておりますけれども、地域に根差した通信事業者として、なお地元の住民の方々の不安を取り除くよう、丁寧な説明あるいは情報提供というものをしていただくことが必要だと考えております。

山下よしき 終わります。

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。