漏えいも警察“業務” 市民監視事件 警備局長答弁を批判 
【議事録】2015年6月4日 参議院内閣委員会質問

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

 私は、5月26日の当委員会で、岐阜大垣警察署市民監視事件と呼ばれる事件について質問をいたしました。大垣署の警察官によって、平穏な市民運動のメンバーやそれと無関係な個人に対する不当な監視、情報収集が行われ、そこで得た情報が利害の対立する一企業に提供されていた事件であります。しかも、思想信条、学歴、病歴、病状、法律事務所への相談状況など、通常では知り得ない個人情報、しかも他人には知られたくない極めて機微な情報が取得され、提供されていたということであります。

 なぜこの事件が明らかになったのかといいますと、中部電力の子会社シーテックという会社が大垣署の警察官と会ったときの議事録をまとめていた、その議事録が明るみになったことで事件が発覚したわけであります。

 5月26日、当委員会で山谷えり子国家公安委員長はこう答えました。「お尋ねの件でございますけれども、大垣署の警察官が関係会社の担当者と会っていたという報告を受けております。」。

 そこで、今日は警察庁警備局長に来ていただいておりますが、山谷国家公安委員長にはどのような報告がされているのか。つまり、大垣署の誰がシーテックの誰といつどこで会ったのか、それはどんな内容だったのか、山谷大臣には報告されているんでしょうか。

高橋清孝(警察庁警備局長) お答えいたします。 本件につきましては、岐阜県警察より報告を受けておりまして、その報告内容に基づき、事業者との面会の趣旨、日時を含む本事案の概要やその後の対応について大臣に説明を行っております。

山下よしき 岐阜県警に報告を求め、面会の趣旨、日時を含む概要、その後の対応について説明、報告を大臣にしたということであります。 山谷大臣への報告では、大垣署の警察官はシーテックの社員といつ会ったとされていますか。

高橋警備局長 その面会の日時、いつ会ったかにつきましては、大臣には報告しておりますけれども、この場で御説明することは今後の警察活動に支障がございますので、お答えできないということでございます。

山下よしき なぜ今後の警察活動に支障が出るのか分かりませんが、では、こちらからもう少し具体的に聞きたいと思います。

 朝日新聞が議事録に基づいて報道したのは、平成25年8月7日、平成26年3月4日、同年5月26日、同年6月30日に大垣署の警察官とシーテックの社員が会ったと議事録に基づいて報道されておりますが、今言った4日間が会った日だということが、この4日間以外にも会っているかもしれませんが、この4日間は会った日の中に含まれていますか。

高橋警備局長 朝日新聞の報道については承知しておりまして、今委員が御指摘した日にちについては承知しておりますけれども、いつ会ったか、何回会ったかということにつきましては、それを申し上げますと、会っている頻度とか回数が分かるということで、それについて警察の関心度合いとかそういうことが分かるということで、今後の活動に差し支えるということですので、説明は、お答えは差し控えさせていただきたいということでございます。

山下よしき 別の内容を聞きたいと思いますが、では、山谷大臣への報告では大垣署の誰がシーテックの社員と会ったとされていますか。

高橋警備局長 大垣警察署の警備課長以下担当者が面会したということで報告しております。

山下よしき 警備課長以下担当者だということでした。名前は分かりますか。

高橋警備局長 面会した警備課長は2人おりまして、1人は阪上壽秋警部、もう1人は横山裕之警部、両方大垣署の警備課長でございます。

山下よしき 資料配付をしてください。 〔資料配付〕

山下よしき 今お配りしたのが、朝日新聞が報道した記事の基になっている株式会社シーテックの社員が作成した議事録であります。

 これは、不当な個人情報を取得、提供された被害者が相談している、ぎふコラボ西濃法律事務所の提供によるものであります。そして、この資料は、この法律事務所によって、後の裁判等でも使う必要があるという理由から証拠として保全されているものであります。 そこを見ていただいたら分かりますように、今警備局長からお答えがありました名前も出ております。

 1枚目、平成25年8月7日に大垣警察署の阪上警部がシーテックの社員と会っていろいろ協議をした内容が記されております。

 資料2枚目、平成26年3月4日、同じく阪上警部が会談した記録が載っております。3枚目、平成26年5月26日、今度は横山警部が会って会談した記録が載っております。あと4枚目にも記録が載っております。

 この4枚、今明るみになった大垣署と株式会社シーテックとの協議があった事実とその内容であります。 この先ほど警備局長からお答えのあった人物と同じ人物が、阪上警部、それから横山警部という名前が載っておりますので、私は、そのこと1つ取ってみても、この議事録の真実性が示されているというふうに思います。この議事録の内容が真実であることをお認めになりますか。

高橋警備局長 シーテック作成に係る議事録なるものにつきましては、報道等によりその概要を承知しておりますけれども、当該議事録なるものが警察が作成したものではないため、その内容を評価する立場にはございません。

山下よしき では、この議事録が虚偽であると主張されるのですか。

高橋警備局長 そのことについても評価する立場にないということでございます。

山下よしき 評価する立場にないということですが、評価しなければならない立場にあなたはあります。なぜなら、岐阜県警大垣署の警察官によって重大な人権侵害が行われたと記録されている議事録だからであります。それが真実かそうでないのか、調査して説明する責任が警察にはあるんじゃないですか。

高橋警備局長 繰り返しになりますけれども、当方で作成した書類ではございませんので、その内容を評価する立場にないというふうに考えております。

山下よしき それで逃げるつもりですか。逃げられませんよ、それでは。 だって、先ほど、今後の警察活動に支障を来すおそれがあるから答えられないという発言がありましたけれども、それは理由にならないですよ。それでだんまり決め込むことはできません。なぜなら、多数の国民に対する重大な人権侵害が行われていた可能性があるからですよ。その疑いが警察に掛けられているときに、それを示すこの資料が真実なのか虚偽なのか、それをしっかり調査して国民に説明する責任が警察にはあるじゃありませんか。どんな理由をもってしても、これが作成に関わっていないからといって答えを拒否する、そんな立場にはないと思いますが、いかがですか。

高橋警備局長 警察の立場としましては、岐阜県警からよく事情といいますか状況を聞いておりまして、岐阜県警からは、この大垣署の警察官が、公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で、通常行っている警察業務の一環として事業者の担当者と会っていたもので、警察法でありますとか岐阜県の個人情報保護条例の規定にのっとり適正に個人情報を取り扱っているというふうに報告を受けておりまして、我々もそのように認識しております。

山下よしき 今その認識は、この議事録に書かれてあることを事実として認定した上での見解ですか。それとも、そうではない一般論としての見解ですか。

高橋警備局長 繰り返しになりますけれども、議事録については評価する立場でございませんので、我々の調査に基づいた判断でございます。

山下よしき それではその判断を信用するわけにはいきません。この議事録は虚偽ではなくて真実を記したものであります。

 それは、議事録を作成したシーテックの社員自身が認めております。 資料9ページ、一番最後ですけれども、御覧ください。 これは、朝日の取材にシーテックの加藤広地域対応グループ長は、岐阜県警大垣署警備課と協議し、有益だったと認めたと。一問一答は次のとおり。「大垣署とのやりとりを記した議事録を作っているのか。」、「はい。でもこれは社内資料だ。どこから出たのか。」といって、私が今配付した議事録と同じものが写真で載っております。

 つまり、朝日の記者はこの議事録をシーテックの社員に示してこの議事録は作成されたものかと聞いて、はいと答えているわけですね。ですから、これ1つ見ても、この議事録が真実だということは明らかだと思います。

 そして、この議事録には、警察による重大な人権侵害の記録がリアルに記されております。 もう一度、資料1枚目に戻りますけれども、この平成25年8月7日、大垣警察署の阪上警部が参加したシーテック社員との協議の記録ですが、アンダーライン引いています。大垣警察署警備課が、南伊吹風力の事業概要情報を必要としている旨の連絡が当グループに入ったので訪問したと。これ三角印が大垣警察署員の発言であります。

 岐阜新聞に、大垣市上石津町で風力発電について学ぶ勉強会が行われたことについて大垣署の警察官が、同勉強会の主催者である3輪唯夫氏や松嶋氏が風力発電にかかわらず、自然に手を入れる行為自体に反対する人物であることを御存じかと聞いたり、松嶋、三輪氏は、同じ岐阜県内で活発に自然破壊反対や希少動物保護運動にも参画しており、ぎふコラボ法律事務所ともつながりを持っているなどなどの情報が提供されてあります。

 そのほかにもいっぱい、住民の皆さんとは全く関わりのない個人の名前が提供され、その人の個人情報が提供されているという記録が4枚の議事録によって明らかにされております。 5月26日の当委員会で山谷大臣は、本件につきましては、大垣署の警察官が通常行っている警察業務の一環として事業者の担当者と会っていたものと承知しておりますと御答弁されました。

 そこで、伺いますけれども、この議事録に記されているような活動が通常行っている業務なんでしょうか。

高橋警備局長 済みません、議事録に記載されている業務というのはちょっと分かりかねますが、通常行われている業務というのを御説明申し上げますと、一般に警察は、管内における各種事業等に伴い生じ得るトラブルの可能性につきまして、つまり各種事業というのはそういう風力発電事業でありますとか道路工事の事業とか様々な事業があると思いますけれども、そういう各種事業等に伴い生じ得るトラブルの可能性について、公共の安全と秩序の維持の観点から関心を有しておりまして、そういう意味で、必要に応じて関係事業者と意見交換を行っております。そういうことが通常行っている警察の業務の一環だということでございます。

山下よしき あくまでもこの議事録の内容を認めない、その上に立って、通常行っている業務の説明がありました。それでは納得できないですよ。

 それでは、一般論として聞きます。私は、この議事録に書かれていることが真実だという認識に立った上で、一般論として聞きます。 居住地のそばに大きな施設建設が計画されようとしているときに、住民がその件について勉強会を行ったり、行政への陳情活動を行うことはよくあることです。そうした住民の個々の情報を収集し、利害が対立する相手に収集した情報を提供することが通常の警察業務となるのでしょうか。一般論でお答えください。

高橋警備局長 一般論で申し上げますと、一般的に、ただいま申し上げましたように、それぞれの管内において様々な事業が行われる際に、その事業がどのように推移するかということについては治安維持の観点から関心を有しておりまして、必要に応じて関係事業者と意見交換を行いますし、必要な情報については情報収集をするということでございます。

山下よしき 質問に答えていただいていません。 私は一般論とは言いましたけれども、その一般論の中に、そういう事案が発生したときに、個々の住民、個々の個人の情報を収集し、第三者に提供することが通常の業務として含まれているのかという質問です。

高橋警備局長 一般論として申し上げれば、必要な範囲で様々な情報収集もいたしますし、法律や条例に従いましてそういう情報の取扱い、例えば提供というものも行っているということでございます。

山下よしき 確認しますけれども、住環境を守れるかどうか心配だといろいろな勉強会や陳情をする、そういう住民の個々の個人情報を収集し、それを第3者に提供することも通常の業務の一環という認識なんですね。

高橋警備局長 ですから、各種事業に伴うトラブルの防止といいますか、可能性を判断する上で必要な情報の収集とか関係者との協議、意見交換を行うということでございます。

山下よしき ですから、今私が示しました、個人の情報を収集し、第3者に提供するということも、そういう必要な場合は通常の業務の中に含まれるという認識なんですね。

高橋警備局長 一般論で申し上げれば、そういうことが排除されているわけじゃないというふうに考えております。

山下よしき 結局、認めました。 これは、極めて重大な事実だと思いますよ。

 通常の業務の中に、個人情報の収集と第三者への提供が本人同意なしにやられることを通常の業務に含んでいると、警察は。これ極めて重大じゃありませんか。これは、警察が公共の安全あるいは治安の維持のためと言いさえすれば、もう何だって個人情報を収集したり提供したりすることが許される。

 私は、今、そういうさらっと警備局長お答えになりましたけど、日本国憲法の下でそんなことは許されないと言わなければなりません。これはもう、前々回のときに山口大臣とも、なぜ日本国憲法の中に思想、良心の自由があえて記されたのかという歴史的経過についても述べましたけれども、こういうことが今公然とやられているということが警備局長から答えがあったということを、私は重大な問題だと指摘をしたいと思います。

 委員長に、更に、ただ一般論でしか答えていないので、資料要求をしたいと思います。 2点。平成25年8月7日、平成26年3月4日、大垣署の阪上警部、それから平成26年5月26日、同じく横山警部の業務記録。それから、この件についての山谷国家公安委員長に報告した内容。この2点を当委員会に資料として提出することを要求したいと思います。

大島九州男委員長 後日理事会で協議をさせていただきます。

山下よしき 日弁連の情報問題対策委員会の坂本委員長が新聞のインタビューでこう言っておられます。行政機関でも職権の濫用は必ず起きる。行政機関は民間と異なり、有無を言わせず情報収集を活用している。行政だから信用してくださいは通らない。個人情報保護について公的分野の監視、監督が必要だと。

 山口大臣、今回の個人情報保護法の見直しで、要配慮個人情報など、新たに個人の権利利益を保護する仕組みをつくられようとしておりますけれども、幾らそれがつくられても、警察など行政機関、公的機関が権利の、権限の濫用をもう平気で行っているとしたら、つくっても本当にこれは意味のないものになってしまうんじゃないか。公的機関にも権限の濫用がないように、しっかり監視、チェックする仕組みが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

山口俊一国務大臣 国の、警察を含め行政機関等が保有をする個人情報、これは、事業者が保有する個人情報と比べましても、法令違反とか、あるいは犯罪捜査に関する情報のように権力的に収集される情報など、そもそも性質の異なるものがあるというふうに認識をいたしておりますが、そのためにも、国の行政機関等が保有する個人情報の取扱いに関する規制の在り方、これにつきましては、民間事業者を対象とする個人情報保護法とは別の視点からの検討も必要であろうと考えております。

 この検討につきましては、今回の法改正の内容も踏まえまして、現在、総務省において検討が行われておるところでございます。 また、各自治体に関しましても、今回の法改正を踏まえていろんな条例の見直しが行われていくであろうということが想定をされますので、政府としても、自治体からの問合せ対応等々、しっかりと情報提供につきましては適切に対応していきたいと思っております。

山下よしき 私は、今日の警備局長とのやり取りで、警察は、いろいろ理由を挙げて個人の情報を取得したり提供したりすることを、個々の具体的事実を明らかにせよといっても、それは認めない。一方で、通常の業務としてそれはやるんだと、そういう態度だということがはっきり分かりました。

 結局、闇の中、ベールに包まれたまま、警察が公権力によって、個人情報を取得したり提供したりすることをずっとこれまでもやってきたし、これからもやろうとしているということが明らかになったわけですね。 これ、チェックするのが私は国会の仕事であり、せっかく今日、こうして新しい個人情報保護法の改正でそういう機関をつくろうというんだったら、これはしっかりとそういう国家権力、公権力の個人情報に対する権利の濫用についてもチェックできる仕組みをつくる必要があるということを申し上げておきたいと思います。

 もう時間があと5分ですけれども、最後に1問だけ、

 日本年金機構の問題について聞きたいと思います。 これ、国民から不安と怒りの声が今どんどん広がっております。もうこの僅かな期間に150件問合せが集中したということからも明らかですが、いろんな新聞報道で、今、国民がどういうところに不安を持っているかよく表れているので、幾つか声を紹介します。

 消えた年金問題が発覚した当時の安倍首相は、最後の1人まで解決すると言ったが、結局うやむやになった、今度は情報漏れかとうんざりすると。年金機構はセキュリティー対策をちゃんと講じていたのか、サイバー攻撃を仕掛けた人間は誰かも含め、事実解明を私たち年金加入者に明らかにしてほしい。

 それから、一度情報が漏れると取り返しが付かないのではないか、自分の名前や年金番号が想像も付かない形で独り歩きしないか、詐欺に悪用されないかも心配だ。買物などで個人情報が漏れないように自衛してきた、それなのに公的機関がこんなことではどうしようもない、マイナンバー制の導入が不安だ、などなどであります。 日本年金機構の理事長、こうした声に真っ正面から声を受け止める必要があると思いますが、御感想はいかがでしょうか。

水島藤一郎日本年金機構理事長 日本年金機構といたしまして、このような事態が発生いたしましたことにつきまして、お客様に多大な御迷惑をお掛けいたしました。誠に申し訳なく、深くおわびを申し上げる次第でございます。

 私どもといたしましては、今回の事態を重く受け止めまして、更なる実態把握、原因究明を進めますとともに、2度とこのような事態を起こさないよう、個人情報の保護及び管理の徹底、職員教育の徹底に取り組みつつ、お客様の年金を守ることをお約束し、年金業務の信頼回復に向けて組織を挙げて努力してまいることをお誓い申し上げます。

山下よしき 1日も早く原因の究明と再発防止の対策を取ることを求めたいと思うんですが、やはり今審議している共通番号制度にこれは大変大きな不安を与えることになりました。

 マイナンバーで一括管理がされていない今でもこういうことが起こるのに、さらに、赤ちゃんからお年寄りまで、1つの番号に様々な個人情報を結び付けて管理していくシステムをつくる、これは今の事件を考えると、私はもうあり得ないことだと思います。

 私たちは、共通番号制度のこうした問題点、個人情報の流出によるプライバシーの侵害、あるいはそれが悪用される危険を指摘してまいりました。今のリスクが一層高まってしまう、飛躍的にということであります。

 私たちは、このマイナンバー制度そのものを中止する、廃止する必要があると主張しておりましたけれども、その主張が、残念ながらといいますか、極めて根拠のあるものだということを今回の年金機構の事件というのは証明したとも言えると思います。 少なくとも、この事件の解明と対策が明らかにならない限り、このマイナンバー制度の発動というのはするべきではないと思いますが、厚生労働委員会との連合審査も含めて、この問題の集中審議も、理事会でも提案しておりますけれども、これを委員長に求めて、質問を終わりたいと思います。