ダンス規制–対象を残す“クラブ文化 芽摘む” 
【議事録】2015年6月16日 参議院内閣委員会質問

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 私も、警察庁の方からレクチャーを受けてもなかなかよく分からない、概念がですね。遊興しかり、それから風俗しかりなんですが、まず、風俗とは何か、お答えください。

○辻義之警察庁生活安全局長 お答え申し上げます。
 本法に言う風俗とは、いわゆる飲む、打つ、買うという言葉に代表されております人間の欲望についての生活関係を意味していると理解をいたしております。

○山下よしき それは非常に狭い解釈なんですよね。例えば学説では、元来、風俗とは風習の具現であると、換言すれば人間生活の全分野にわたって存在する風習を外面的に見たものであるとか、別の学説では、風俗とは社会において長年行われている生活上の風習であり、人の行動を規制する規範的意味を持っていると。今言ったような飲む、打つ、買うなんというのは極めて狭い、限定的な使用法と言わざるを得ません。
 そこで、そもそも風俗営業法の成り立ち、仕組み見たら、私も、風俗とは何かと書いていないんですよ。書いていなくて、こういうものが風俗営業に当たるということで、いろいろ規制せぬとあかんと。勝手にこれは善良なる市民の風俗を乱すおそれがある、これもそうかもしれない、これもそうかもしれないと勝手にそれぞれの業種を指定して、これが風俗営業に当たるというふうに決めているので、そのやり方自体が私はお上が下々の者を取り締まる思想、統治者が、支配者が大衆を統治する発想、こんなふうに思えてなりません。世の中はかくあるべし、風俗かくあるべしというのを上から決め付けて、これは当てはまるからもう規制するんだというその発想そのものを、これはもう時代遅れだと私はつくづく思いました。
 その中で、今回、ダンスを外したと、当たり前ですよね。何でダンスが外されたのか述べてください。

○辻局長 お答え申し上げます。
 現行の風営適正化法は、客にダンスをさせる営業を風俗営業として規制し、原則として深夜においてこれを営んではならないこととするとともに、風俗営業以外の飲食店営業にあっても、深夜に客に遊興をさせてはならないことといたしております。
 しかし、近年、国民の生活様式の多様化が進み、ナイトライフの充実を求める国民の声が高まっていることや、ダンスに対する国民の意識が変化してきたことなどを踏まえ、政府の規制改革会議における検討の結果、ダンスに係る風営法規制の見直しなどが盛り込まれた規制改革実施計画が昨年6月に閣議決定されたところでございます。
 これを受けまして、警察庁におきましては、外部の有識者から成る研究会から規制の見直しに関する提言を受けつつ、超党派のダンス文化推進議員連盟の議論も踏まえて、風営適正化法の改正について検討を行ってきたところでございます。
 こうした経緯を経まして、ダンス自体に着目した規制を改め、客にダンスをさせる営業の一部を風俗営業から除外するとともに、特定遊興飲食店営業の制度を新設し、深夜に客に遊興と酒類の提供を伴う飲食をさせる営業を許可制の下で認めることを内容とする改正案をここに提出させていただいているところでございます。

○山下よしき 経過の説明がありました。今日は、規制改革会議でどんな議論があったのか、そこでダンスを外す必要があるという議論がどういうふうにされたのか、ちょっと紹介いただけますでしょうか。

○越智隆雄内閣府大臣政務官 規制改革会議におきましての風営法改正、ダンスについての議論についての御質問をいただきました。
 まず、経緯についてお話し申し上げますが、ダンスに係る風営法規制の見直しにつきましては、規制改革会議の創業・IT等ワーキング・グループにおきまして、一昨年度、平成25年度に風営法を所管する警察庁のほか、事業者団体、地元商店街組合等の関係者からヒアリングを行ったものでございまして、平成25年11月から26年1月に行いました。これは、実はその直前の規制改革ホットラインに寄せられました意見等に基づきましてこういった検討を進めたわけであります。
 これらのヒアリングを踏まえまして、委員の間で議論が行われまして、平成26年5月の規制改革会議におきまして、ダンスという切り口での規制は見直すべきとの意見を公表したわけでございます。ここの意見書では、近年、社交ダンス以外にも様々なダンスが国民に愛好されるようになり、小中学校の教育現場にもダンスが取り入れられるなど、ダンスの文化的、経済的な重要性が増していると。そしてまた、2020年の東京オリンピック開催が決定している中、ダンス文化を活用した魅力ある町づくりを進め、海外観光客を呼び込むためにも、以下のような方向で風営法の早急な見直しが必要である等々の意見がございました。
 その後、同年6月にダンスをさせる営業について風俗営業から除外するなど、その規制の在り方について検討を行うこととした規制改革会議の答申を踏まえて、規制改革実施計画が6月24日に閣議決定されたものでございます。
 以上でございます。

○山下よしき 御丁寧にありがとうございました。
 もう今のような議論があって、私もその規制改革会議のヒアリングをちょっと見せていただきましたけれども、例えばこういう意見がありますよ。ダンスは人間の本能、根源的な喜びの表現である、ダンス文化が普及している国々を見てもダンスが青少年の健全な育成を阻害しているとは言えないのではないか。もう当たり前の話でありまして、そういう議論を通じて今規制改革会議の結論が出、警察庁の今度の法改正の一つの大本になったということなんですが、ダンスが風俗を乱すというのはもう時代遅れで根拠がないということでありまして、若者から高齢者まで健全な文化、あるいは交流、あるいはスポーツとしてもう位置付けられている、息づいているということだと思います。
 もう一つ、私、このダンス文化を発展させようという先ほど小坂議員からの運動もありました。それから、大阪のクラブが摘発されたことによって、いろんな文化人もダンス文化を守ろうという大きな運動が起こった。その中で、ダンスは規制されるべきじゃないということが明らかになったことと、もう一つ、クラブという場所の持つ意義というものも随分社会的に認知されるようになったのではないかと思います。
 私も、行ったことないので、この質疑に先立ちまして先週末、京都の老舗クラブM、それから一番大きなクラブW、行ってまいりました。
 そこで、老舗のクラブMの経営者の方はこう言っておられました。若者が純粋に音楽が好きで好きでたまらない、そういう人たちが、同じ趣味を持つ人たちがやってきて、共に楽しい時間を過ごすのがこのクラブMだとおっしゃっていましたね。それが、毎日の勉強あるいは仕事の疲れを、ここで仲間と出会うことによって、その時間を過ごすことによって元気になって、また明日から頑張ろうと、これが私たちの場所なんですと、こうおっしゃっておられました。これ非常に大事な場所なんだなと思いました。
 それからもう一つ、私がそのクラブの経営者の方に話を聞いて感じたのは、このクラブという場所は単にダンスを踊っている場所ではないなと。新しい文化が生まれてくる場所、要するに新しい文化を発現させるというか、インキュベーターのような機能を持っているのがクラブだなというふうに感じたわけです。
 例えば、この老舗M、オーナーの方が私にこのスマホの動画を見せて聞かせてくれました、ここでどんなことがやられているか。非常にちっちゃいんですよね、Mさんは。もう数10人入れば満席、満杯ぐらいなところなんですけれども、そこで25周年イベントが昨日ありました、こんなことをやりましたと。アメリカのギタリストを、物すごいテクニシャンなんですけれども、その美しいメロディーの途中にギーッとこう何か騒音、雑音のようなものが、でもこれが全体としては非常に心地よいものになるんだと。これは、まだメジャーにはなっていない。しかし、それを聴くためにやっぱり数10人集まって、若い人だけじゃなくて50代、60代の人も来てそれをずっと楽しんでいると、立ちっ放しで。こういうものが生まれる場所なんだと。
 決してメジャーではないけれども、実験的にそういう文化を発信して、それが受け入れられれば、それがやがて大きくなっていく。こういうクラブから、例えばプロジェクションマッピングなどという、今、私、大阪ですけど、USJなんかに行きますと、クリスマスのときにもう本当にたくさんの人を楽しませている、ああいう技術、テクニックもクラブから生まれたということを聞きました。
 それからもう一つ、一番大きな京都のWというクラブも、やっぱりここから大きな舞台に出ていく芸術家、アーティストが生まれたというんですよ。例えば、光をどうやって操作して操って盛り上げるか、ここでやってみて大きなイベントを演出するような芸術家になった人も実際いますというお話でした。音楽というコンテンツを核にして、いかに楽しんでもらう空間と時間をつくるか、その全体が僕たちの文化、カルチャーなんだという発言に、これはなるほど、いたく納得することができました。
 そこで、規制改革会議等でもこのクラブ文化について議論されたと思いますが、いかがでしょうか。

○越智政務官 クラブ文化について御質問がございました。
 まず、個人的には、最近はクラブは行っておりませんが、学生時代は、まだディスコと呼ばれていた時代でございましたが、よく通わせていただいておりましたので、それなりの理解はしているものだというふうに思います。
 ダンス文化等々につきまして規制改革会議でどういう議論があったのかということでございますけれども、このダンス文化自体についてどうのこうのという議論があったか、私も全ては出ておりませんので承知しておりませんけれども、私個人的には、先ほど申し上げたように、小中学校でダンスの授業が始まったというようなこともございますし、またオリンピックを見据えてということで、意見書に出ているとおりでございまして、こういった議論を踏まえて、ダンス文化についての重要性、有用性ということについて議論したというふうに私は承知をしております。

○山下よしき 平さんにも来ていただいていますけど、先ほどからかなり共感いただいているような感じがします。
 地方創生ということが言われていますけれども、やはり地方創生の一つの鍵は文化を発信するということだと思いますが、そういう観点からいって、このクラブ文化、地方創生との関係、お感じの点、伺いたいと思います。

○平将明内閣府副大臣 今、山下委員のお話伺ってきて本当に共感するところが多くて、私、クールジャパンも担当しているんですが、サブカルチャーとか創造性、クリエーティビティーのところというのは、ある程度、やっぱり権力の近いところじゃなくて権力から遠いところで生まれるんだと思います。ですから、私は、大の大人が何時まで何をしていようが、社会的に迷惑が掛からないのであればそれは自由であるべきだと思っていて、お上がどうこう口出しをすることではないと思っています。ですから、そこは基本的に考え方は同じだと思います。
 今回は、私もこれはダンス議連、共産党さんの穀田さんなんかと一緒に、小坂先生と一緒にやってきましたので、その中で、警察的な視点もありましたのでこういうことになりましたけれども、ようやく一歩が踏み出せたと思います。
 日本のまずは照明の技術とかダンスフロアの演出の技術は、これは多分世界一だというふうに言われています。一方で、クラブ文化とかDJの社会的地位が低い。ロンドン・オリンピックでは、たしかあれはDJがオープニング仕切っていたと思います。DJの世界的な年収は大リーガーをはるかに上回るんですね。年収10億超える、多い人では年収40億、50億というふうに聞いております。また、あるヨーロッパでやったイベントでは、伝説的なDJがパーティーを開いて、そこで日本酒を振る舞ったんですね。それで、そのことによってかなり、いわゆるハイソサエティーの人たちにその日本酒の銘柄が認知されたということもあります。
 公序良俗などなど、あと近所迷惑とか青少年の健全育成とか薬物とかいろんな問題ありますので、そういうところは配慮しながら、極力自由にすることが、新たな成長の芽であったり創造性を発揮するんだろうなと思っておりますし、地方創生においてもそういう視点は生かしてまいりたいと思っております。

○山下よしき 非常に重要な御発言を伺うことができたと思っております。
 そういうことを、クラブの経営者の皆さん、みんな本当に自覚しているから、誇りに思っているから、クラブ文化に対するもう突然の摘発に対して大変お怒りだし、文化人がみんな反応したんですよ。坂本龍一さんはこう言っておられますね。クラブはサブカルチャーのハブ、音楽、ダンス、アート、文学、ITなど多くの分野がつながっている、クラブ文化を取り締まるのは時代錯誤、日本文化破壊と言って過言ではないと、厳しい批判ですよ。
 経営者の皆さんも、だからといって、今、平さんからあったように、迷惑掛けちゃならないと思っているので、摘発があって以降、より自主的な努力されています。福岡でも京都でも名古屋でも東京でも大阪でも、経営者の皆さんが集まって情報交換しながら、例えば、まずやれることは、若者に迷惑掛けちゃならぬぜということを啓蒙するために、まずは清掃活動からやってみよう。大体もうやっていますよ、それからもうきれいになっていっています。
 それから、IDチェックというのも物すごいやっていますね。私が行ったWの前には、こういう赤いリボンのテープで順路があるんですよ。これ何ですか、こんなにお客さん来るんですかと聞いたら、いやいやいや、IDのチェックをするために時間が必要なんですと言って、一人一人にチェックをして、酔客はもう帰っていただく、それから大きな大きなかばんを持っていたら中身を見せてもらう、そういうボディーガード的な若い点検の方も何人もいらっしゃいました。お金も掛かるし場所も取るんだけれども、やっぱりそうやって、ここがいかがわしい場所ではないんだという自主的な努力をやって、まあ災い転じて福となすといいますか、おかげで若い女性のお客さんが増えたというふうに言っておられました。
 何でそんなことをやるかといったら、やっぱりクラブ文化を途絶えさせてはならない、ここは新しいものがやっぱり生まれていくだろうということに自覚と誇りを持っているからそういう自主的な努力をされているんだというふうに思います。
 そのことは、私、非常に今回、災い転じてそういうふうになりつつあるというのはいいことだと思うんですが、ところが、最後の結論で、何でこの法律の中にわざわざそうやって、深夜の遊興も認めようじゃないかとなったのに、特定遊興飲食店営業ですね、こんなものがわざわざくっついてきたのかと。これが、もう本当に残念でならない。この中にはダンスも入っているんですよね。クラブも入っているわけです。
 そこで、もう一々同じ説明は要りません。この特定遊興の定義でいいますと、深夜お酒を出して遊興をさせるというこの3点セットがそろっていれば駄目よと。駄目というか許可が要りますよということなんですが、深夜遊興するだけだったらオーケーと、お酒飲んで遊興するだけだったら午前零時まではオーケー、しかしこの3つがそろったら許可が要るというのはなぜかということなんですよ。深夜だけだったら悪いことないでしょう、警察庁。

○辻局長 深夜の飲食店でございますけれども、深夜の飲食店につきましては、現在やはり深夜帯ということで飲食店についての一定の規制というのはあるところでございます。

○山下よしき 許可要りますか。

○辻局長 許可は必要がございません。

○山下よしき ないんですよ。深夜に飲食店を営むだけだったら許可要らないんですよ。
 何で若者が深夜になるかというと、長時間労働だからですよ。(発言する者あり)いや、私、聞きましたよ。だって、クラブの皆さん、私行きましたけど、8時に行ってぱらぱらですよ。9時ぐらいから、若者が2人、3人、5、6人、連れ立って来るんですよ。何でかというと、御飯食べる場所じゃないからですよ。まず、7時、8時ぐらいまでやっぱり仕事しているんです、みんな、遅くまで。日本は異常な長時間労働の国ですよ。ヨーロッパはもうアフターファイブは家族のためというのは当たり前になっているんですよ。ヨーロッパだったらもっと早く、深夜営業しなくたってクラブ文化は花開いたかもしれない。日本だからこんなことになっているんですよ。
 それから、御飯食べて、さあ、ほんじゃみんなで踊りに行こうか、音楽聴きに行こうかといってクラブに行くから、やっぱり9時、10時になるんですよ。そういうものがある。それは悪じゃないんですよ、もう仕方なくそうなっている面がある。
 それから、じゃ、お酒はあかんのかと、お酒は悪ですか、文化という面もあるんじゃないですか。それから、遊興だってそうですよ、これはもう、何か文化そのものですよ、みんなで集まって楽しむというのは、盛り上がるというのは。
 何でそれが3つそろったら規制されなければならないのか、お答えください。

○辻局長 お答え申し上げます。
 特定遊興飲食店営業の制度は、遊興のみに着目して規制を行うのではなく、深夜に酒類提供を伴う飲食をさせ、遊興をさせるという3つの要素の全てを満たす営業に対して、風俗上の問題の防止、解決のための規制を行おうとするものでございます。
 深夜という風俗上の規範の逸脱が起こりやすい時間帯に飲酒により自制心が低下していく酔客に対して営業者側が積極的に慰安や娯楽のためのサービスの利用を働きかけて遊興をさせた場合には、これらの3つの要素が相まって歓楽的、享楽的雰囲気が過度なものとなり、酔客が自制心を失って違法行為を行うなどの問題が発生することということでございまして、このような経営体につきまして、現在、深夜における飲食店営業につきましては、深夜において客に遊興させないこととなっておりますけれども、これを認めると。そして、その際に、現在させないこととされておる趣旨を踏まえまして、問題のない形で営業していただけるという方について、地域も限定をして、これを認めていこうということで、今回、許可の制度を置くこととしたということでございます。

○山下よしき もう余計なお世話だと言わざるを得ません。お酒も文化だし、遊興だって文化なんですよ。だから、一つ一つは何ら問題ないと。だから深夜の遊興を解禁したんでしょう。ところが、3つそろったら何か善良な市民の風俗を乱すおそれがあると。おそれなんですよ。おそれがあるから規制しようというのは、さっきの風俗営業法のお上思想が全く変わっていない。尻尾くっつけたまま、改正したけれども、残っちゃっていると。むしろダンス以外にもこれ規制が広がるおそれがある。これ、本当に余計なことをやっていると思いますよ。
 大体、考えてくださいよ。お酒も飲まずに深夜踊る人いますか。ちゃんとスポーツでやったりする人もいるでしょうけど、お酒飲んで楽しくなって踊り出すというのが人間の本源的なやっぱり表現じゃないですか、先ほどの話じゃないけど。それを深夜にお酒飲んで踊ったらあかんなんていうのは、これは余計なお世話ですよ。文化の芽を摘みかねないということを私は言いたいわけです。
 もう一つ問題なのは、それに許可を与えるということなんですよ。そうすると、許可取ったらええやないのという発想かもしれませんが、許可を取れない現在営業しているお店あるいはクラブがかなり出てくるんじゃないかということを心配しております。
 まず、今度の特定遊興飲食店営業の許可に関わって、面積の規制はどうなっていますか。

○辻局長 今回、この面積につきましては、国家公安委員会規則で、これ成立しました後、定めるということになっているところでございます。

○山下よしき 現在66平米以上を恐らく33平米ぐらいに、半分ぐらいにするんじゃないかというふうに聞いておりますが、それでも、もっとちっちゃいところはクラブの中にあるというんですね。でも、ちっちゃいからいい雰囲気だという店もあるわけですよ。狭いところで音楽楽しむのが好きな人もいるわけですよ。それが残念ながら、せっかくダンスを解禁しようじゃないかという、文化を守ろうという運動の中で、芽を摘まれるようなことがあっては私はならないと思います。
 それから、地域規制というのがありますね。今日、国交省来ていただいていますけれども、この法改正に伴う建築基準法の変更について簡単に説明してください。

○海堀安喜国交大臣官房審議官 お答えいたします。
 これまでは、ナイトクラブ、ダンスホールは、キャバレーと同様に商業地域、準工業地域以外での立地は認めておりませんでした。しかし、今般、ナイトクラブについては、劇場やライブハウスと類似するものとして、近隣商業地域などで立地を許容することとしています。また、ダンスホールについては、カラオケボックス、音楽スタジオと類似するものとして、第2種住居地域などの一部の住居地域を含めて許容することとしております。

○山下よしき 随分緩むんですよ。これはいいことなんです。
 ただ、心配するのは、特定遊興飲食店営業の営業設置許可地域、これどうなるか。これから政令でガイドライン決められるんですけど、どう考えていますか。

○辻局長 ただいま委員からございましたとおり、これから政令で基準を定めて、具体的には条例で定めるということになります。
 この政令を定めるに当たりましては、これからの検討でございますけれども、現在、風俗営業につきまして、営業延長許容地域ということで、原則零時までになっております営業時間を1時まで延長できるという地域がございます。こういった地域につきましては、比較的深夜飲食店とかそういったものが多いという地域でございますけれども、こういう基準が定められておりまして、今回の政令の制定に当たりましても、この現在ございます基準、こういったものを参考にしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○山下よしき 今の、現在午前零時までを1時まで営業することができる地域を参考にすると。これは深夜遊興も禁止していた時代、それから風俗営業に対する規制なんですよ。風俗営業じゃないですよ、深夜遊興は。深夜遊興は解禁されたんですよ。にもかかわらず、特定遊興飲食店営業の営業所設置許容地域を、1時まで風俗営業を認める地域を参考にしちゃったら、これは営業できないところが出てくるおそれがあるんです。
 私、山谷大臣、せっかくちょっと文化を生み出すような場所にもなっている、若者が健全に、あした頑張ろうと思う場所にもなっている、今までも近隣との折り合いを付けて自主的な努力もやっている。ところが、今回のこの新たな概念ができることによって、できなくなっちゃう危険性がある店もあるわけです。そういうことを聞きました。これはちょっとよく考えて、この政令を定めるときに考慮いただきたいんですが、いかがですか。

○大島9州男委員長 山谷国家公安委員会委員長、簡潔にお願いします。

○山谷えり子国家公安委員長 はい。
 ダンスは文化でありますし、文化は大切に守りたいと思っております。今回は、規制緩和の流れの中での法改正でございます。運用解釈範囲が明確化されますように、きちんと警察、徹底してまいりたいと思っております。

○山下よしき いや、さっきの営業区域の、これから政令で定めるんですけど、それによってこれまで健全に近隣と折り合い付けてやっていたところができなくなるようなことにならないように、政令を定めるときによく考える必要があるんじゃないですかという質問です。

○山谷国家公安委員長 具体的な条例は各都道府県において定めることとなっております。警察では、事業者や地域住民の意向等を十分に踏まえた上で条例案を作成し、その上で都道府県議会において、営業所設置許容地域の在り方について判断していただくということになっております。

○山下よしき もう時間ですから、終わります。

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。