戦争法案と新指針で運用・訓練・基地まで日米軍事一体化 
【議事録】2015年9月14日 参議院安保法制特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 まず、相次ぐ自然災害で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 今回の安保法案が、4月27日に改定合意された日米防衛協力のための指針、ガイドラインを実行するために必要な法案であることは我が党の小池議員が暴露し、防衛省が提出した統合幕僚監部の内部文書にもはっきりと示されております。
 統幕監部の文書は、ガイドラインの記載内容については、既存の現行法制で実現可能なものと平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものがあると述べています。ガイドラインというのは安保法案がなければ実行できません。
 そこで、ガイドラインと安保法案の関係等について聞きます。
 総理、ガイドラインは、日本防衛はおろか、周辺事態さえも大きく超えて、文字どおり地球規模で米軍と自衛隊が協力すること、平時から有事に至るあらゆる段階で日米が切れ目なく共同対処することをうたっています。これがガイドラインの中心命題ですが、総理の認識を伺います。

安倍晋三首相 日米間では、ガイドライン見直しと平和安全法制の整備との整合性を確保することの重要性を確認した上で、平和安全法制の整備の進展を踏まえながらガイドライン見直し作業を進めてきたところであります。したがって、新ガイドラインの内容には、平和安全法制において、改正法や新法に基づき新たに可能になる事項も含まれているわけであります。
 以上でございまして、その中でガイドラインをお示しをしているところでございます。

山下よしき ガイドラインには、「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」という項目が初めて盛り込まれました。防衛大臣、そこに何と書いてありますか。

中谷元防衛大臣 「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」ということで、日米両国が、各々、米国又は第三国に対する武力攻撃に対処するため、主権の十分な尊重を含む国際法並びに各々の憲法及び国内法に従い、武力の行使を伴う行動を取ることを決定する場合であって、日本が武力攻撃を受けるに至っていないとき、日米両国は、当該武力攻撃への対処及び更なる攻撃の抑止において緊密に協力をする。共同対処は、政府全体にわたる同盟調整メカニズムを通じて調整をされる。
 以上です。

山下よしき パネルにしました。(資料提示)2015091504_01_1c  日米両国が、米国又は第三国に対する武力攻撃に対処するため、武力の行使を伴う行動を取ると。これは、日本は攻撃されていないのに米国のために武力の行使をするということです。
 歴代政権は、憲法9条の下でこんなことはできないとしてきました。ところが、安倍政権は、憲法の解釈を変えて、安保法制を作ってこれをできるようにしております。国民の過半数がこれは憲法違反だと。国民の七割が今国会の成立には反対だと声を上げるのは当然だと言わなければなりません。同時に、私は、今の日米安保条約の下でこんなことができるのかということも問われていると思います。
 外務大臣、安保条約第5条は、日米両国はどのような場合に共通の危険に対処するとしていますか。

岸田文雄外務大臣 日米安全保障条約ですが、第5条におきまして、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」、このように記載しております。

山下よしき 今ありましたように、日米安保条約は、日本の領域で日米いずれか一方に対する武力攻撃があった場合、共通の危険に対処する、すなわち武力行使をするというふうにしています。ところが、ガイドラインは、米国又は第三国に対する武力攻撃があれば武力行使するとしたわけですね。日本が武力行使する場面が大きく拡大されました。
 外務大臣、現行安保条約の下でどうしてこんなことができるんですか。

岸田外務大臣 ガイドラインですが、従来のガイドラインにおいてもこれは構造は同じでしたが、元々日米安保条約及びその関連条約を根拠とする内容と、一方、日米安全保障条約あるいは関連法令に根拠を置かないもの、この両方を含むという構造であります。これは、従来のガイドラインも今年新たにされたガイドラインも同じであります。こういった構造があるからこそ、従来から我が国は、ハイチにおける地震対策ですとかあるいはソマリア・アデン湾における海賊対策、こういったことができた、こうした説明がされております。
 この安全保障条約において説明される部分と元々根拠を置いていない部分両方を含む、この構造につきましては、ガイドラインの構造、従来と全く変わっておりません。

山下よしき 全然答弁になっていませんよ。安保条約上何でこんなことができるんですかと聞いているんですよ。地震対策とか海賊対策と違いますよ。武力行使を他国に対してやるんですよ。
 安保条約第5条は米国が対日防衛義務を負う、そして6条で日本が米国に基地提供義務を負う、こう説明してきました。米国への武力攻撃で共同対処するなどどこにも書いていないじゃないですか。
 総理、安保条約のどこにこんなことができると、根拠があるんですか。

中谷防衛大臣 これは、憲法上我が国による武力の行使が許されるのは、あくまでも新三要件、これを満たす場合に限られるわけでありまして、すなわち、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるとは言えない場合、そして他に適当な手段がある場合、そして必要最小限度の範囲を超える場合、これは新三要件を満たさないということで、武力の行使は許されない、米国からの集団的自衛権の要請があったとしても断るわけでございます。
 あくまでも我が国の国益に照らして主体的に判断するものでありまして、新ガイドラインの下で協力を含めて日米間で協議をいたしましたが、この新三要件につきましては米国にも十分説明をしておりまして、新ガイドラインの中で、日本が武力行使をするのは日本国民を守るためだとはっきりと書き込んでおります。このことは日本とアメリカの共通の認識でございます。

山下よしき 安保条約の根拠、どこにあるのかと聞いているんですよ。ここに、日米両国が米国又は第三国に対する武力行使に対処して武力の行使をやると書いてあるんですよ。安保条約のどこにその根拠があるのか。
 総理、これでは、日本が基地を提供する、米国が日本を防衛する、この安保条約の権利義務を根幹から変えることになるじゃありませんか。どこに根拠があるんですか。

安倍首相 言わば、今回の平和安全法制における存立危機事態については、これは条約上の義務を果たすためのものではないわけでございまして、まさにこれは我が国の平和と安全を守るため、つまり、国の存立が危うくなり、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるときに武力の行使をするということでございまして、言わばこれは米国のために義務を負って行使をするものではございませんから、これは日米安保条約上の義務を果たすということではなくて、まさにこれは我が国を守るために武力の行使をするということでございます。

山下よしき 結局、安保条約では説明ができないということですよ。これ、事実上安保条約の改定ですよ。憲法の解釈を勝手に変えて、安保条約の枠も超えて、日本が武力行使する場面を飛躍的に拡大させようとしている。憲法の読み方だって変えて、やろうとしているじゃありませんか。こんなことを国会にも諮らずにアメリカに行って誓約する。これ、日本の独立と主権をないがしろにするやり方だと言わなければなりません。
 ガイドラインはそのほかにも様々なことを決めています。例えば、同盟調整メカニズムというのがあります。日米両国は緊密に協力する、共同対処は政府全体にわたる同盟調整メカニズムを通じて調整されるとありますが、防衛大臣、これはどういう意味ですか。

中谷防衛大臣 同盟調整メカニズムとは、日本の平和と安全に影響を与える状況その他の同盟としての対応を必要とする可能性が、あらゆる状況に対して切れ目なく実効的に対処するために日米両政府において設置されるものでありまして、自衛隊及び米軍の活動に係る政策面及び運用面の調整を強化をするということです。
 97年のガイドラインの下で構築された日米間の調整メカニズム、これは武力攻撃事態や周辺事態に際して日米両国が行う各種の活動の調整を図ることを目的としておりました。また、97年のガイドラインにおきまして、同メカニズムは、我が国に武力攻撃が差し迫っている場合や周辺事態が予測される場合に運用を開始するものとされておりました。
 これに対し同盟調整メカニズムは、現下の安全保障環境において安全保障上の脅威が日米両国の平和と安全に深刻かつ即時の影響を与えることを踏まえて、上記のような事態のみならず、国内の大規模災害時を含め、平時から緊急事態までのあらゆる段階において日米間の調整を図ることを目的とするとともに、平素から構築しておくだけではなくて、平時から利用可能なものとして調整所要に適切に即応できる態勢を維持することを目的といたしたものでございます。

山下よしき 日米間で平時から有事まで自衛隊と米軍の政策面、運用面、すなわち作戦面の調整を強化するということは、日米統合司令部をつくって日本以外の国への攻撃に対する対処をするということじゃないですか。

中谷防衛大臣 これはあくまでも調整メカニズムでございまして、あくまでもそれぞれの国の指揮権に応じて対応するということになるわけでありますし、またこれの全体像としては、2プラス2という閣僚会議があれば、その下に日米の安全保障小委員会などの局長級とかまた課長級とかありまして、その下に自衛隊と米軍の関係の調整があると、そのような総合的なメカニズムのことを同盟調整メカニズムというふうに呼んでおります。

山下よしき この防衛省提出の統幕文書を見ますと、安保法案成立に先立って、8月には防衛協力小委員会、SDCから指示の発出がなされ、日米間の同盟調整メカニズム、ACMの運用が開始されることになっております。このACMは常設で、その中に軍軍間の調整所が設置されることになっております。
 そこで、防衛大臣、このSDCの指示文書は発出されたのか。既にACM、この同盟調整メカニズムは動いているんじゃないですか。

中谷防衛大臣 これは、ガイドラインが合意されたのは4月の28日でございまして、ガイドライン、まずその前のガイドライン、97年のガイドラインですけれども、もう既に日米間の調整メカニズム、BCM、また包括的なメカニズム、これはいずれも日米双方の参加を得るという性質のものでございます。
 このメカニズムにおいて日米双方が参加して適切に作業していくために日米間で必須な事項について確認をしておくことが必要でございますが、この日米間の調整メカニズム、BCM、また包括的なメカニズムの設置におきましては、確認した内容において日米の共同発表等において適切に発表をしたわけでございまして、このガイドラインの発表と5月の閣議決定を受けまして、その後対応しているということでございます。

山下よしき この統幕文書のスケジュール表に、8月にSDCが指示の発出をし、ACM、同盟調整メカニズムが運用が開始されると書いてあるんですよ。そうしているんですか、もう。動いているんですか。

中谷防衛大臣 この新ガイドラインにおきましては、本年4月の2プラス2の共同発表におきまして、防衛協力小委員会、SDCに対して同盟調整メカニズムの設置等について指示がなされていることから、今後の検討を行うということにつきましては、私は、もう既にこれ公表されて指示がされているということで、当然ではないかと考えております。

山下よしき 同盟調整メカニズム、そうしたら動いているんですね。文書を発出されてACMは動いているんですね。

中谷防衛大臣 私が申し上げましたのは、SDCに対して同盟調整メカニズムの設置等について指示がなされているということでございます。これはまだ動いていなくて、今検討中であると認識しております。

山下よしき SDCに対してじゃなくて、SDCから指示が発出されることになっているんですが、その指示は発出されたんですか。

中谷防衛大臣 それはまだでございます。

山下よしき しっかりと受け止めていただけていないようなんですが。
 じゃ、まだ動いていないと。いつ動くんですか。

中谷防衛大臣 これは日米間で協議を行いますが、私といたしましては、可能な限り早急に動き始めるものではないかと思っております。

山下よしき 統幕文書には軍軍間の調整所の運用要領について検討するとありますが、この軍軍間の調整所の運用要領はできたんですか。

中谷防衛大臣 検討中でございます。

山下よしき 軍軍間の調整所はどこにどんなメンバーで設置するのか、何を調整するのか、お答えください。

中谷防衛大臣 同盟調整メカニズムの構成員につきましては、今後、日米間で具体的な検討を進めていくことになります。この同盟調整メカニズムは、日本の平和及び安全に影響を与える状況その他の同盟としての対応を必要とする可能性があるあらゆる状況において活用されるということで、具体的案件としましては、発生する事案等により異なるものでありまして、あらかじめお答えすることは困難ですが、一般論として申し上げれば、地域及びグローバルな協力についても調整の対象になることはあり得ると考えておりまして、今後、日米間で具体的な検討を進めていくことになります。

山下よしき どこに設置するんでしょうか。

中谷防衛大臣 この具体的な内容につきましては、今後、日米間で必要な実施要領、また基盤等の検討を進めていく予定でありまして、現時点で具体的な設置の期限、これが定められているわけではございません。
 他方、現行の安全保障の環境におきまして、安全保障上の脅威が日米両国の平和と安全に深刻かつ即時の影響を与え得ることを踏まえますと、可能な限り速やかに設置できるように検討を鋭意進めていく考えでございます。
 また、我が国といたしまして、同盟調整メカニズムが設置されるまでの間も、日本の平和と安全に影響を与える状況その他の同盟としての対応を必要とする可能性があるあらゆる状況に、切れ目のない、実効的に対処するための既存の日米間の調整メカニズム、この下で可能な限りの対応をしていくということは当然のことでございます。

山下よしき 場所を全然お答えにならないんですが、横田ですか。

中谷防衛大臣 場所は検討中でございます。
 既存の日米の調整メカニズムの下で可能な限り対応をしていくということでございますが、これからの組織等につきましては、現時点で具体的なものが決まっているわけではございません。

山下よしき では、現在、自衛隊の司令部機能、自衛艦隊司令部、航空総隊司令部、中央即応集団司令部は、それぞれどこに置かれていますか。

中谷防衛大臣 横田、横須賀、座間にございます。

山下よしき 自衛艦隊司令部は横須賀に米海軍とともにあります。航空総隊司令部は、2012年に府中から米軍横田基地内に移転しております。中央即応集団司令部も、2013年に朝霞から米軍キャンプ座間に移転いたしました。既に陸海空全ての自衛隊司令部が米軍基地内に置かれて、日米の司令部は一体化しております。
 防衛大臣、そういうことですね。

中谷防衛大臣 そのとおりでございますが、あくまでも調整所でありまして、例えば東日本の大震災のときにおきましては横田の在日米軍司令部に、日本の部隊の関係機関等で震災の対応等もいたしましたが、あくまでも共同の調整所があるということでございます。

山下よしき 場所だけ一体になるはずないんですよ。
 驚くべきことで、この10年間の米軍再編で、日米陸海空司令部の一体化は進んでいる。その上、軍軍間の調整所を常設でつくる、これはもう一体化を更に深化させようということにほかなりません。法案審議の裏でこうした体制が着々と構築されております。
 もう一つ、ガイドラインで重要なポイントが共同計画の策定です。日米共同作戦計画を作るということですが、中谷大臣、共同計画の策定について説明してください。

中谷防衛大臣 新ガイドラインにおきまして、日米両政府は、我が国の平和と安全に関連する緊急事態に際し、自衛隊と米軍がより緊密に連携して適切に対応できるように、各々の政府の関係機関を包含する改良された共同計画策定メカニズム、これを活用しまして平時から共同計画の策定、更新を行い、その成果を最大限活用すべく努めてまいっております。
 これまでも包括的なメカニズムの下に関係省庁の関与を得つつ、日米共同の計画検討作業が進められてきておりますが、新ガイドラインは日米の共同計画の策定、更新に当たって、適切な場合に関係省庁の情報提供を得ることが明記をされております。
 このように、新ガイドラインの下での共同計画の策定、更新、これは日米双方の関係省庁の一層の関与を得た形で進めていくことになると考えております。

山下よしき 共同計画ではどういうことを決めるんですか。

中谷防衛大臣 これは、先ほど説明をいたしましたが、我が国の平和と安全に関連する緊急事態に際して、自衛隊と米軍がより緊密に連携して適切に対応できるように、政府の関係機関を包含するようにいたしました共同計画策定メカニズムを活用いたしまして平時から共同計画を策定をするということでございます。

山下よしき ガイドラインにはこう書いてあるんですよ。「運用面及び後方支援面の所要並びにこれを満たす方策をあらかじめ特定する」、こう書いてあります。これは、平時から緊急事態に至るまで、どういう情勢下で米軍がどういう作戦を行うのか、その際、自衛隊はどういう作戦を行い、どの部隊がそれを担うのか、政府機関、自治体、民間事業者がどういう協力を行うのか、こうしたことを日米であらかじめ特定しておくということじゃないんですか。ガイドラインにそう書いてあります。

中谷防衛大臣 ガイドラインで合意をしたことが記述をされておりまして、それに従って行っていくということでございます。

山下よしき 今言ったようなことがやられるんですね。確認します。

中谷防衛大臣 これは日米間の計画等でございますので、詳細には申し上げることはできないわけでございますが、もう既に97年のガイドラインのときから共同作戦計画、また相互協力計画についての検討を行っておりまして、こういった作業の進展及び精緻化について確認がされて更なる検討を積み重ねてきたということで、今回のガイドラインの見直しにおきまして共同計画として策定、更新をしていくということになったということでございます。

山下よしき 運用、所要、方策をあらかじめ特定するというふうに書いてあるんですね。
 総理、こういう共同計画を作ったら、私は、米軍が何らかの事態で軍事行動を取れば、あらかじめ決められた自衛隊の部隊が動員されて、政府機関や自治体、民間の協力も求められる、これ自動参戦装置ということになるんじゃありませんか。

安倍首相 我が国が武力の行使をするのは、あくまでも新三要件の下に自主的に判断をして武力の行使をするわけでありまして、それはまさに国の存立を全うし国民を守るためのものであります。

山下よしき 幾ら口で言っても、もう実態は日米一体化が進んでいるわけですね、軍事面で。
 米軍と自衛隊の軍軍間の調整所を設置し、共同作戦計画を策定したら、これどうなるかと。圧倒的な情報と部隊を持つ米軍が作戦上の主導権を握るのは当然じゃありませんか。これ、一体化とともに自衛隊の従属化が進む、自衛隊が米軍の指揮下に入るということにほかなりません。
 既に自衛隊と米軍の一体化が進んでおります。一つは、訓練、演習です。
 安保法案審議中のさなか、8月31日から9月9日まで、カリフォルニアの米軍基地で日米統合訓練ドーン・ブリッツ15が行われました。あれはどういう訓練でしたか。

中谷防衛大臣 本訓練は、島嶼防衛における自衛隊の統合運用能力の維持向上を図ることを目的として実施をいたしました。8月18日から事前訓練を実施した上で、8月31日から9月9日までの間、米国カリフォルニア州キャンプ・ペンデルトン、サンクレメンテ島及び周辺海空域において実施をいたしました。
 この訓練には三自衛隊の部隊約一千百名を派遣をいたしまして、陸上自衛隊からは、西部方面隊の人員三百二十名と、AH64D二機、中央即応集団の人員約三十名と、CH47JA二機が参加をいたしました。また、海上自衛隊からは、護衛艦「ひゅうが」、「あしがら」、輸送艦「くにさき」及び搭載されているSH60K三機、SH60Kが参加をいたしました。また、米軍からは、第三艦隊及び第一海兵機動展開部隊が参加をいたしたということでございます。

山下よしき 自衛隊1,000人、米海兵隊中心に3,000人ですよ。これがそのときの写真ですが、自衛隊のヘリ空母「ひゅうが」の甲板上で離着艦訓練しているのは米海兵隊のオスプレイです。これ、誘導しているのは自衛隊員ですよ。米海兵隊と自衛隊による水陸両用作戦、上陸訓練も行われました。まさに、米軍と自衛隊が一体となった統合訓練がもう既に進んでおります。
 訓練だけではなくて、基地の一体化も進んでおります。2012年7月に統幕防衛計画部が作成した日米の動的防衛協力についてという文書があります。この文書は、9月10日の記者会見で河野統幕長がこの文書の存在を認めております。そこには、沖縄の米軍基地の十三の施設、二つの水域に自衛隊の部隊を配置し、そして共同使用するという計画が示されております。それを地図に落としたのがこのパネルであります。
 米軍キャンプ・シュワブとキャンプ・ハンセンに陸上自衛隊の部隊を配置し、上陸訓練を行う。米軍北部訓練場では対ゲリラ訓練戦を共同して行う。そして、米軍伊江島補助飛行場でも自衛隊が離着陸訓練、上陸訓練、降下訓練を行う。驚いたのは、この米軍海兵隊キャンプ・コートニーに自衛隊の司令部を置く計画まであることです。
 中谷大臣、もうこういうことまで計画しているんですか。

中谷防衛大臣 これは、もう既に2プラス2とか、前大臣等がこういった共同使用について日米間で協議をしていくということは数年前から公表した上で行っておりまして、この信頼関係の下に実際の行動等におきましてもこの検討は進めてきているわけでございます。
 また、日米の共同使用作業部会等がございまして、あらゆる選択肢を排除することなく、地元との関係も踏まえつつ幅広く検討を行っているところでございますが、その具体的な成果につきましては説明をできる段階にはないということでございます。

山下よしき このパネルで示された沖縄の米軍基地と自衛隊の共同使用、訓練、これは検討しているということですか。

中谷防衛大臣 その提示をされた資料につきまして私におきましては承知をしておらず、どのような内容を前提とした御質問にお答えするというのは困難でございますが、先ほどお話をいたしましたが、一般論として申し上げますと、施設・区域の共同使用については、2013年10月の2プラス2、新ガイドラインでもあるように、緊密な運用調整、相互運用の拡大、柔軟性や抗堪性の向上、地元とのより強固な関係の構築といった観点から、今後充実をさせるべき日米協力分野の一つと考えておりまして、あらゆる選択肢を排除することなく幅広く検討を行っているところでございますが、具体的な成果について説明できる段階にはないということでございます。

山下よしき 9月3日の記者会見で河野統幕長は、共同使用については作業部会を設けて鋭意検討している、シュワブ、ハンセンも含め検討しているとはっきり答えていますよ。中谷さんの答弁と矛盾しているじゃないですか。

中谷防衛大臣 統幕長の会見につきましてですが、統幕長は、その報道があることは承知しておりますと言うべきところを、その文書があるということは承知していますと言い間違えたものでありまして、このことは統幕長自身が直後に、文書の存在について現時点でお答えすることはできませんとお答えをしております。記者会見におきましてはそのように返事をしたということでございまして、その点につきまして明らかなことでございます。

山下よしき 私が言ったのは、9月3日の答弁で統幕長は、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブも含め共同使用を検討していると言っているじゃないですか。

中谷防衛大臣 統幕長は会見でも説明しましたが、その報道があるということは承知していると言うべきところを、文書があるということは承知していますと言い間違えたものでございます。
 具体的にどこかということにつきましては、まだそういったことを発言できるような状況ではないということでございます。

山下よしき 9月3日の記者会見、お読みですか。

中谷防衛大臣 今、手元に、確認しました。

山下よしき その部分を読み上げてください、河野さんの。

中谷防衛大臣 かなり量が多いのでどこの部分か分かりませんが、ちょっとその部分、問題の部分、ちょっと御指摘いただけませんでしょうか。

山下よしき 会議録の一番最後にはっきりおっしゃっています。読んでください。

中谷防衛大臣 最後の部分ですが、これ、以前に私が国会の答弁で、キャンプ・シュワブが代替施設ですけれども、恒常的な使用は考えていないというふうに言明されているのですということで、統幕長は、大臣が言われたのは、今、辺野古の代替施設の陸上自衛隊の恒常的な使用については考えていないと言われたと認識しております、恐らくそういうことです、私が申し上げているのはそこではなくて、シュワブ、ハンセンも含めて他の共同使用という意味です、それは今、全体として検討を進めているということで、作業部会を通じましてと発言をいたしたというところでございます。

山下よしき だから、今読み上げられたように、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、名前を二つ挙げて検討していると言っているんですよ。
 大体、安倍政権が作った防衛大綱でも、南西地域における米軍施設・区域の自衛隊による共同使用の拡大と書いていますよ。ガイドラインでも、施設・区域の共同使用の強化とちゃんと盛り込まれていますよ。ごまかしちゃ駄目ですよ。
 議論してきたように、日米同盟、新ガイドラインの下で、憲法も安保条約さえも踏みにじって、日米軍事一体化が地球規模で進められようとしています。それを完成させるために必要なのが今回の安保法案ですよ。日本の平和と安全、ためだというのは偽りの看板だと言わなければなりません。国民多数の声に応えて、戦争法案は廃案にすべきです。
 最後にどうしても言いたい。
 安倍政権は、一昨日、辺野古の新基地建設作業を再開いたしました。断固抗議したいと思います。本日、翁長知事は埋立承認取消しを通知しましたけれども、重く受け止めるべきであります。
 戦争法案は憲法違反だという国民の声にも、新たな米軍基地は要らないという沖縄県民の声にも一切耳を傾けずに暴走する政権に未来はないことを指摘して、質問を終わります。

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。