竹中氏の起用は問題—特区諮問会議について追及 
【議事録】 2013年11月26日

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。質問をいたします。
 まず新藤大臣に。国家戦略諮問会議はどのような権限を持ちどのようなメンバーで構成されるのか、また民間有識者の構成比はどうなるのか、お答えください。

新藤義孝国務大臣 国家戦略特区諮問会議の役割、それは例えば、この国家戦略特区全体に共通する政府全体の指針でございます基本方針、それから戦略特区の区域指定、また特区ごとの取組の方向性である区域の方針、こういった戦略特区に係る重要事項を定める際に実質的な審議を行い、内閣総理大臣に対して意見を述べるものでございます。
 そして、この諮問会議の構成員につきましては、議長は内閣総理大臣でございます。議員は、内閣官房長官、国家戦略特区担当大臣、そして内閣総理大臣が指定をする国務大臣、また内閣総理大臣が任命する民間有識者で構成することとされております。議員の数は10人以内とされておりまして、そのうちの民間有識者は全議員の半数以上でなければならないとされております。

山下よしき 今あったように、非常に重要な中身を決めるのが諮問会議であります。その諮問会議の人事に関して先ほど甘利大臣から陳謝があったような事態が起こったんですが、分かっている人には分かるけれども分からない方には全く分からないので、少し記事について紹介をさせていただきます。
 11月24日の日本経済新聞にこうあります。見出しは、「民間議員に竹中氏起用へ 特区諮問会議で経財相」、「甘利明経済財政・再生相は23日、都内で講演し、地域を限定して大胆な規制緩和や税優遇を認める国家戦略特区の選定などにあたる「国家戦略特区諮問会議」の民間議員に竹中平蔵慶大教授を起用すると明らかにした。」と、こうあるわけですね。
 先ほど陳謝されたのは、この発言についての陳謝というふうに理解していいんでしょうか。

甘利明国務大臣(経済財政政策担当) 慶應義塾での講演に関して固有名詞を挙げたということに関してです。

山下よしき これは慶應義塾大学での講演の中身ですから、これについての陳謝だったということだと思いますが、私は、参議院における法案審議のまだ前にそういうことを言っちゃったというのは、もちろん国会を軽視するものであって、これは陳謝に値すると思いますが、それだけで済まない問題がある。それは、竹中平蔵氏を選定しようとしているという、この人選の中身についてであります。
 竹中平蔵氏は、実は私、ついこの間、本会議でこの法案の審議をする際に具体的に名前を挙げて、竹中平蔵氏と三木谷浩史氏、このお二人はいろんな形で利害関係もあるので、こういう方々を民間議員にすべきではないのではないかということをあえて質問させていただいた直後にこの方の名前が甘利大臣から出たので、びっくりしたわけですね。
 それで、まず、竹中平蔵氏の少し経歴を紹介しますけれども、小渕内閣のとき、1998年、経済戦略会議のメンバーになられました。それから、小泉内閣のときに、2001年、経済財政政策担当大臣になられ、2002年、金融担当大臣になられ、2004年、参議院議員に当選され、同じく2004年、郵政民営化担当大臣になり、2005年、総務大臣になられたわけです。
 小泉内閣のときに経済担当の重要閣僚をずっと歴任されたのが竹中さんでありまして、竹中氏は大臣中に小泉・竹中路線と言われる路線で規制緩和路線を進めました。国会では竹中さんは、企業が良くなればやがて雇用、賃金に回ると、もう繰り返し述べてこられたわけですが、確かに2005年から2007年に大企業主導の景気回復局面はありましたけれども、それが賃金の増加にはつながらずに内部留保に回ってしまったわけですね。そのことが今のデフレ不況を生んでいるわけですね。
 つまり、この日本経済の不況、景気の低迷をつくり出した本人だと思います、私は。その人に、経済成長のためにといって、またも国家戦略特区の諮問会議という非常に大事なメンバーに据えていいのかと。自分が不景気をつくり出した自覚も責任も反省もないままの方なんです、この方は。さっさと国会議員も辞めていった方ですよ。そういう方をまたこういうふうに祭り上げていいのかということを、私は、先言っちゃったという以上に、こういう方を指名することが果たしていいのかと、こう思うんですが、甘利大臣の認識を伺いたいと思います。

甘利大臣 正確に申し上げますと、慶應義塾大学の三田祭の記念講演の講師として御案内をいただきました。講演テーマはアベノミクスの今後、2020年にオリンピックが来ますから、それを見据えてこれからどういうスケジュールで経済再生が進んでいくかということについての講演であります。
 そこで、今この国会にこういう法案がかかっています、こういう法案がかかっていますと、その中で幾つか象徴的に取り上げました。産業競争力強化法も取り上げまして、これが成立をした後にはこういうことが行われていきます、この国家戦略特区法案も、これが成立した後にはこういうスケジュールで事が進んでいきますと、先のことをしゃべるわけですから、そういうお話をいたしました。もちろん前提付きであります。
 その際に、慶應義塾という場所で講演したものでありますから、若干のサービス精神が入ったかもしれませんけれども、その検討されている中にこういう方がいられますと、ここの大学の教授をされている竹中さんもいろいろと取りざたされている中にいらっしゃいますと。この人は国家戦略特区の提唱者でありますから、ですから要するにその対象者、検討されている対象者の一人ですよということをお話をいたしました。
 ただ、その後、ぶら下がり会見がございまして、いずれにしても法案が通ってからの話ですと、そして、法案が通った後に、この担当大臣は新藤大臣ですから、新藤大臣を中心に人選が進められていくというふうに理解をしておりますということを記者さんの前でお話をいたしました。(発言する者あり)中心的な大臣ということでやっていらっしゃいますから、新藤大臣を中心に、もちろん総理が頭になるんですけれども、人選が進んでいくんではないでしょうかということを話したということです。

山下よしき 重大なのは、検討されている中に竹中さんがいるんだということを述べたということですよ。検討されているんですよ。
 そんな、この方を検討する対象にしていいのかというのを私は問題提起したわけですが、これについてはお答えなかった。どうですか。

甘利大臣 業に携わる人というのは、いろんな人が競争力会議にいらっしゃいまして、産業界の代表です。それぞれ、広義で言えば、規制緩和はそれぞれ事業に関係してくるものであります。また、ビジネスの現場からこういう問題がある、ああいう問題があると、幅広くビジネス全体に共通をしている規制の問題点というのは、現場の問題提起というのは大事だと思います。現場感覚が全くない人がこういう規制緩和をせよというような話について、一体その効能が本当にあるのかどうかという点もあろうかと思います。要は、自分の企業に対する利益誘導がなされるかどうかということでありまして、そこはきちんと線を引くという対応をしていくということになろうかと思います。
 要は、この人だから、あの人だからといろんな議論はありますけれども、私が申し上げたのは、少なくともこの国家戦略特区をやるべきだということを競争力会議で提唱された方でありますから、そういう議論の中で取りざたされている一人ということを紹介を申し上げたつもりです。

山下よしき 竹中さんが大臣のときに規制緩和を小泉・竹中路線としてやった結果、非正規が非常に増えたということが一つの事実なんですね。そういうことをもう一度繰り返すことでいいのかと。
 私、11月10日にNHKの日曜討論に甘利大臣がお出になっていまして、いろいろ意見の違う点もありましたけど、おっと思うことをおっしゃっているんですよ。例えば、平均給与が下がっているのは非正規が増えているからだ、こうおっしゃいました。それから、非正規雇用の増大は社会問題だと。結婚できない、子供をつくれない方が増えていると。これは私、正論だと思いますね。
 その非正規が増えたことが賃下げの原因になり、そして、若者にとってはなかなか結婚もできない、少子化の原因にもなっていると。その大本にあるのは小泉・竹中路線で、特に労働法制の規制緩和をやって、1990年、派遣労働者が50万人だったのが、2008年、ピークには400万人に増えているわけです。これ、自然現象じゃないです。若者のせいでもないです。労働法制の規制緩和、雇用のルールを変えた結果、こうなったんです。
 その結果、賃下げになっている、結婚できない、子供をつくれない人がいるとお認めになりながら、その中心にいてそういう政策を取った人をまたぞろ持ち上げるんですかと、おかしいんと違いますかと私言っているんですよ。どうですか。

甘利大臣 竹中さんがどう小泉内閣の当時関与をされて、それがどういう結果につながっているかということの検証は必要だと思いますが、あの当時行われた労働法制の規制緩和は製造業の解禁だったというふうに思います。その結果、確かに非正規の比率は上がりました。これはデータで出ていると思います。ただ、当時、失業率が相当高くなって、その近隣の数字としては一番高い数字を示しました。
 そして、小泉総理の発言を思い起こすんですけれども、とにかく雇用の場をどんな形でもつくっていくことが大事で、職に就いていない人、失業率を下げていくというためにいろいろな手だてを講ずるというようなことをたしか総理がおっしゃったという記憶があるんでありますけれども、その結果、確かに失業率は下がっていったと思います。ですから、小泉総理の功罪いろいろおっしゃいます。私どもからすれば、金融機関が不良債権処理を先延ばしにしてちっとも踏み込んでいかないと、そこに公的資金の投入と併せて決断を迫らせて不良債権処理をしたと。その後に、金融機関が資金供給機能、経済の心臓の役を回復したということもあるわけであります。
 功罪はいろいろあろうかと思います。竹中さんの功罪もいろいろあると思いますが、それは、総合的に失業率がどう変化していったか、今の御指摘の非正規が増えていったこともありますけれども、失業率が下がっていったという事実もあるわけでありますから、功罪は総合的に検証する必要があろうかなというふうに思っております。

山下よしき いいところだけつまみ食いしちゃ駄目なんですよ。全体として失われた20年の中心部分をつくっちゃっているわけですからね、小泉・竹中路線で。
 それから、製造業のことを言いましたけど、日本の製造業の賃金がもう先進国の中でもずば抜けてというか、唯一下がっちゃっているんですよね。2000年と2011年比較しますと、韓国は一〇〇%増えています。イギリス、ドイツは四割台増えています。アメリカ、カナダも三割台増えていますけれども、日本は製造業でこの10年間減っているわけです、賃金が、労働者の。
 そういうことをつくっちゃった大本に非正規の増大があるというふうに労働経済白書も言っているし、甘利さんも言っているわけですから、その中心人物をまたこうやって持ち上げるようなこと、本当に無責任だし無反省だと思うんですが、加えて、もうさっき答弁されていましたけど、この竹中さんが大臣を辞められた後、2007年に株式会社パソナの特別顧問に就任され、2009年から現在までパソナの会長をされております。それで、そういう方にこの規制緩和に携わる諮問会議の議員を委ねていいのかと。
 2009年9月8日の中日新聞、こうあります。規制緩和旗振り役、竹中元総務相、派遣大手パソナグループの会長に、究極の天下り、ワーキングプア、原因をつくったのにと。人材派遣最大手のパソナグループ会長に竹中平蔵元総務相が就任し、波紋を広げている。格差社会を生んだ元凶とも言われている改正労働者派遣法。この法改正に深くかかわり、規制緩和の旗振り役として派遣業界を急成長させた功労者がほかならぬ竹中氏であったからだ。これぞ究極の天下りかと首をかしげる向きは少なくない云々かんぬんという記事がいっぱいありまして、週刊ポストでも、パソナの売上げが、竹中氏の功労によって、2003年5月期の1,356億円から2008年5月期の2,369億円へと一・七倍になったと。明治大学高木勝教授の談として、自らが旗振りした規制緩和政策で拡大した派遣業界に、政治家を辞めた後とはいえ経営者として就任し、大金を受け取るというのはまさにマッチポンプ、これは竹中氏の規制改革路線が正しかったか否かの問題ではありません、パソナへの再就職そのものが道義的に批判されてしかるべきですと、こう言っておられます。
 私は、もうそのとおりだと思います。その道義的責任を不問にしたまま、そのままパソナの会長のまま、こういうまた諮問会議の議員に選ぶようなことは私はあってはならない、本会議でもこういう質問しましたら、自民党の多くの方も、それはあってはならないと大きな拍手いただきましたけど、そんなことするつもりですか。

甘利大臣 いや、自民党から拍手が出たというのは知りませんけれども、それ、今書いてある話は週刊ポストですか。

山下よしき 週刊ポストと、これは中日新聞ですね。

甘利大臣 ああ、そうですか。
 とにかく、確かに評価の分かれる方であることは私も承知をしております。そして、競争力会議のメンバーとして、競争力会議の進行役の大臣としても、正直お話ししますと、今までかなりぶつかったこともございます。
 その上で、競争力会議のメンバーというのは多様な、ある程度とんがった人も入っているわけでありますから、それをうまく手綱を引っ張って使っていくと。なかなか、停滞する日本経済をブレークスルーしていくというのは、当たり前の発想だとなかなか閉塞状況を突破できないということもあります。だから、とんがった人が並べばいいということを言うつもりはありませんけれども、既成概念を打破するような発想が出てきたら、それをうまく活用する、ハンドリングしていくというのも政権側の役割かなというふうに思っております。
 私は、この特区諮問会議メンバーの閣僚に仮に入ったとしたら、そこら辺の、誰が選ばれるかはまだ断定できませんけれども、どの方々が選ばれようと、うまく手綱を引いて、いいところは使って、ちょっととんがり過ぎるところは抑えて、うまく誘導していきたいというふうに考えております。
 個々の人の評価については、この議場の場で私が断定してしまうのもどうかというふうに思っております。

山下よしき 選ばないとは言えないわけですよね。
 それで、私、とんがっているかどうか聞いているんじゃないんですよ。とんがっている人かどうかはどうでもいいんです。そうじゃなくて、規制緩和によって莫大な利益を上げる直接の業界、人材派遣業界の会長ですよ。そういう方を、その規制緩和をやる、さっき新藤大臣からお答えありました、戦略を決める、地域を決める、その計画を決める、そのど真ん中に人材派遣会社の会長を入れていいのかということが問われているんですよ。
 竹中さんは今でもそのことについて物すごい利益代表的発言されていますよ。3月6日、産業競争力会議、労働力の流動化を促すための手段として正社員を解雇しやすくするようにルール改正すべきだという趣旨のことを言って、日本の正社員は世界の中で見ると非常に恵まれたというか、強く強く保護されていて、容易に解雇ができない。企業は正社員をたくさん抱えるということが非常に大きな財務リスクになっているということで、要するに正社員を解雇しやすいものにしたらどうだということをこの方ずっと言っていて、それが世論の批判を受けてちょっとトーンダウンしたわけですが。
 そうしますと、10月1日、竹中平蔵氏の「『成長戦略の当面の実行方針』について」というペーパーで、これまで、国家戦略特区ワーキンググループを中心に、当競争力会議の立地競争力分科会もサポートして、関係省庁との協議を進めてきた。岩盤規制を含め、相当の前進もあったものの、まだ課題は多い。特に雇用分野は、残念ながら全く前進が見られないと評価せざるを得ない。また、一部ゆがんだ報道により、しっかりとした改革が止められる可能性についても危惧している。ゆがんだ報道じゃないですよ、自分が解雇しやすくせいと言っているんですから。解雇特区という語源を作ったのは竹中さんです。そういうことも踏まえて、雇用分野を含め、国家戦略特区を完成させるべく、引き続き全力を尽くしたいと、こう述べて、その後、規制改革会議などでは日雇派遣の禁止の見直しが提言されたりしております。
 一貫としてこれは雇用の規制緩和をやるべきだ、岩盤規制というのはそこに焦点を当てて、もっと規制緩和をやれと。そのことによってパソナは非常に大きな利益を得るチャンスが広がることは間違いないんです。もう直結しているんですよ。とんがっているかどうかじゃないんです。そんな人入れたら、これは国民の信任を得られないでしょうと、そのことを言っているんですが、そう思いませんか。

甘利大臣 私は、解雇特区なる話が出たときに、解雇特区なるものは絶対につくるつもりはありませんし、つくらせませんと明確に申し上げました。労働関係者からも、甘利さんがいるから安心しているという御連絡もいただきました。
 雇用に関しては、これは労政審で扱うということに手順上なっているわけであります。そこでは、関係者がみんな入って、労働関係の者も入って、きちんとそれぞれの立場からの議論が行われるはずであります。その経緯を経て結論が出されるというふうに承知をいたしております。

山下よしき じゃ、確認ですが、労政審を経れば、竹中さんのような直接利益を得ることになるであろう人材派遣会社の会長であっても国家戦略特区諮問会議の議員にしても構わないというのが甘利大臣の認識ですか。

甘利大臣 見識を持っていらっしゃる方は多々いらっしゃいますし、そういう方が競争力会議、全て入っていらっしゃると思います。
 いろいろ個人個人に評価はあります。そして、企業の代表は、いかなる企業の代表といえども規制緩和とかかわってくるわけであります。それによってビジネス環境が良くなる、そのための特区をつくるわけでありますから、この人は規制緩和とビジネスにかかわってくるけど、この人は絶対ないということはあり得ないわけであります、事業者である以上はですね。そういう、全てに対してプラスになると、特定のどこの企業にとってプラスだというようなことを誘導するつもりはありません。全てのビジネスにとってプラスになるような環境整備をしていかないと日本が立ち行かなくなるわけであります。
 今、日本は世界の競争に勝たなければなりません。世界で一番ビジネスが立地しやすい環境をつくっていく。と同時に、世界で一番ビジネスマンが、あるいはその家族が住みやすい環境をつくっていく。もろもろ、会社があって従業員がないということはあり得ないわけでありますから、企業を構成するステークホルダーにとって立地環境の良いところ、そういう日本にしていきたいというふうに考えております。

山下よしき もう時間が来ましたのでやめますけれども、企業が世界で一番活躍しやすい国をつくる、それから日本の産業競争力を強化すると、非常に大きなきれいな話ですが、実態はもうもろ自分の企業がもうけられるチャンスを広げたいというメンバーで構成しようとしている大問題だということを指摘して、終わります。