アベノミクス「3本の矢」は、経済を成長させることに逆行する内容 
【議事録】 2013年6月13日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 まず、労働基本権について大臣の基本的な認識を伺います。
 日本国憲法28条で保障された労働基本権は、労働者が人間に値する生活を実現するための基本的人権の一つであると私は考えます。そして、憲法28条の勤労者には公務員労働者が含まれることは当然だと考えます。
 この二点、大臣の認識を伺いたいと思います。

新藤義孝総務大臣 憲法28条のこの労働基本権の保障、これは勤労者たる公務員に対しても及ぶものでありまして、重要な権利であると、このように私も認識しております。
 一方で、公務員の地位の特殊性と職務の公共性、これを根拠といたしまして、公務員の労働基本権に対して必要やむを得ない限度で制限を加えることは十分合理的な理由があると、こういうことで最高裁の判決が確定をしているわけであります。勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められる労働基本権であるが、それ自体が目的とされる絶対的なものではない、おのずから勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地から制約を免れないと、こういった判決も出ておるわけでありまして、その双方をもって私としては基本認識としております。

山下よしき 私も全体の奉仕者たる性格を踏まえる必要はあると思いますが、御存じのとおり、歴史的経緯を見るならば、公務員の労働基本権は占領時に強権的に奪われたと、これを回復することがまずもって民主主義の復権にほかならないと思っております。
 その上で、昨年2月28日、民主、自民、公明三党による議員立法で、国家公務員の給与を2年間にわたり平均7.8%引き下げる臨時特例法が強行されました。私は、この臨時特例法は、国家公務員の大臣も認めた重要な権利である労働基本権を不当に制約したまま、その代償措置である人事院勧告制度さえ無視して、給与削減を一方的に押し付けた二重の憲法違反であり、かつ、地方公務員始め独立行政法人を含む600万人に及ぶ労働者に影響を与えるものであり、日本経済と地域経済にも大きくマイナスの影響を与えるということで反対をいたしました。
 そこで、人事院に聞きます。
 昨年4月から実施された臨時特例措置による国家公務員給与平均七・八%引下げによって、実給与は民間と比較してどうなっていますか。

古屋浩明人事院事務総局給与局長 昨年の給与改定臨時特例法による減額後で見た場合の月例給の官民較差につきましては、率で7.67%、額で28,610円、公務が民間を下回っていたところでございます。

山下よしき 今ありましたように、臨時特例措置による7.8%の引下げの結果、民間との比較で月28,610円も下回ってしまっております。この実態は、明らかに総理や副総理が民間給与の引上げの要請をしたことと逆行し矛盾するものでありますが、大臣、この臨時特例措置は早急に元に戻す必要があると思いますが、いかがですか。

新藤大臣 これは、給与の特例減額支給措置、これはもう未曽有の国難である東日本大震災からの復興財源に充てるということで、臨時異例の措置であります。そして、国会での御議論を経てこのような形で導入されたわけでありまして、この必要性は既に国会でも御議論いただいておりますが、私も同じ思いでありますし、是非委員にも御理解をちょうだいしたいというふうに思います。
 そして、これは臨時異例の措置でありますから、今後についてはこれしっかりと議論していかなきゃいけないと、これは何度もお答えをさせていただいております。

山下よしき 私は、こんな法律を通した諸党の責任は重大だと思っております。
 それから、被災地を始め、国家公務員、地方公務員も含めて、国民、住民のために献身的に仕事をされております。にもかかわらず、国の財政難と東日本大震災の復興財源に充てるという筋違いの理由で、また、国民に消費税増税を押し付けるために公務員も我慢しているとの姿を見せるというよこしまな狙いのために何重にも憲法をじゅうりんし、一方的に国家公務員給与を削減した。これは間違いだと思っております。
 大臣は2年後にもう一遍総合的に検討するというふうなことをおっしゃっているんですが、これは、こんなものを2年以降も続けるというのはもう絶対に許してはならないと思っておりますが、今日はそのことに入るとまた時間がなくなりますので、そこで、今実態がどうなっているか。
 昨年6月に、公務労組連絡会が2012年家計簿調査なるものを行いました。その結果がまとまって、今年の3月に出されております。今日、資料に、そこに寄せられた感想コメントの幾つかを紹介してあります。この生の声からは、国家公務員労働者の現在七・八%削減による厳しい生活の実態が浮かび上がってきております。幾つか抜粋して読み上げます。
 まず、20代、30代の方々。
 27歳男性。超過勤務手当が6万円ほどなので、超過勤務手当が減れば減るほど預貯金を取り崩すしかなくなってくる。
 29歳男性。今月は残業が多く、見た目上多少の余裕があるように思えるが、残業代を引くと貯金もままならない状況である、今回の給与削減は大きな痛手です。
 32歳男性。6月は衣替え期に当たり、子供服や職場で着る服等の整備のお金が掛かった、妻が無収入の状態で幼い子供の養育に力を入れながら妻の日常交際も維持する生活をしようとすると、貯金など到底できないような収支になることが明らかとなった、今後も賃金が減り続ける可能性や、消費税、年金、退職金問題を考えると気が重くなる。
 32歳女性。給与削減で貯金を取り崩して生活している、現在はぎりぎりの状態で生活しているので、このままでは家庭が持てないのではと不安になる。
 34歳男性。官舎に入居していること、子供2人もこれから学費が掛かることを考えれば限界、最大限の貯蓄により将来に備える必要があるが、想定外の給与削減で家計が直撃を受けており、将来への展望が見出せない状況である。
 以上、20代、30代では、貯金もままならない、あるいは貯金を取り崩している。それから、独身の人は結婚できないのではないかという不安を持ち、家族がいる人はこれから掛かる子供の養育費、教育費を考えると将来が見えないと。
 7.8%削減が公務員の暮らしを直撃しております。将来不安が大きくなっておりますが、若い世代の公務員のこうした実態、声を大臣、どう考えますか。

新藤大臣 生活が厳しい、これは日本中がそういう状態の中で、長期にわたる経済の低迷がありました。これは国政の責任であります。したがって、このように公務員の皆さんが厳しい中で更に苦しい状況を強いられていること、これについては、これは大いに心を私も痛めております。
 しかし、その上で、これを打破するためには、みんなで頑張る、そして、それは公務員そして政治が先頭に立ってこの国を立て直していくと、そういう中からしかこの結果は生まれないのであります。したがって、私は何度も言いましたが、国においても地方においても、まず隗より始めよで、財政再建をしつつ経済成長をするという非常に難しい、針の穴を通すようなことをやるためには、まずできることから始めていこうということでやってまいりました。
 ですから、ここは耐えて、その上できちんとした、厳しい冬があるとするならば、必ず春を迎えられるように我々は頑張らなければいけないと、このように考えております。

山下よしき 私は、まず国家公務員の生活の実態、この声に耳を傾けるべきだと思います。
 続けます。40代、50代。
 42歳男性。基本的に月給だけでは生活が困難であるため期末手当から補填することが当たり前になっており、苦しい家計は今月だけのことではありません、給与削減が増税でますます厳しい状況に追い込まれますので、生命保険の見直しなど更に緊縮していきたい。
 43歳男性。長男のアルバイトと子ども手当を入れても足りず、貯金を取り崩してやりくりしているが苦しい、毎月子供の教育費用(将来のために)を捻出したいが、給与削減のために無理、ボーナスを見越して生活している現状では先行き不安です。
 46歳。単身赴任であるため、自分自身の生活は切羽詰まった状況ではない、しかし実家の方は家のローンに加え、娘、高二の教育費やクラブ活動費がかさんでおり少々苦しい思いをさせている、上の娘が高卒後すぐに就職したため助かっているが、この子が大学に進学したとなると非常に苦しいやりくりとなっていた。
 51歳男性。単身赴任のため、大学生への仕送りを考えると生活は非常に苦しい、自分のための教養娯楽費はほとんどなく、交際費の割合が高く小遣いと言えるものはない、大学生が2人になる2年後を考えると更に生活は厳しくなるが、貯蓄をする余裕もないのが状況。
 52歳男性。息子が大学に進学し、学費、仕送り(家賃を含む)の出費が増加し家計を圧迫している、4月からの給与減額があり預貯金の取崩しが増加、更なる節約が必要、などがあるんですね。
 40代、50代の職員も子供の教育費の捻出に大変苦労されております。特に大学生の子供の学費、仕送りは高額で、自分のために使うお金がなくなっている、貯金を取り崩してぎりぎりの生活になっている。
 大臣、もう1回聞きますけど、この中堅層、40代、50代のこういう生活実態、これどう思われますか。

新藤大臣 これは、それぞれの個人個人の生活への影響、これは様々なものがあると思います。そして、本当に苦しい、厳しい中で耐えて頑張っていただいていること、これには私は敬意を表したいというように思いますし、共にこの苦労を分かち合っていかなくてはいけないと、こういう思いは今こういうお話を聞いても新たにするところであります。
 そして、何よりもこれらを改善するのは、国を成長させ、経済を立て直していかなくてはならないわけであります。お金は自分たちでつくらない限りどこからも降ってこないわけでありまして、私たちはまず国家として経済を立て直す。その中から国家のために働く人たちの給料というのは生まれてくるわけでありますから、私としては一刻も早く経済成長の実効を上げなければいけない、実体経済に好影響が出るような成果を早く出さなければいけないのが政治の責任であると、このように考えております。

山下よしき 今のアベノミクスが実体経済に効果を及ぼすかどうか、及ぼさないんじゃないかという世論調査の結果、そちらの方が多くなっております。その矢がないからです、国民の所得を増やすですね。この国家公務員の給与削減も、残念ながら経済を浮揚させることと逆行するわけです。
 時間がもう迫ってまいりましたので、最後に、別の50代職員の声です。年金受給までは再任用でつなぐしかないが、再任用になれば給与もかなり下がるので少しでも蓄えが欲しい、しかし今回の昇給停止でどうなるか、それでなくても高年齢になるほど引上げ幅も低いし、これでは業務に対する意欲も低下すると。いよいよこういう声がやはり出始めております。
 大臣が好んで使う公務員の高い志、士気、私もこの言葉は好きです。そういう構えでやってくれている方が大半です。しかし、その高い志や士気がこの一方的な給与削減と高年齢層の昇給抑制によって低下していると、間違いなく。原因をつくっているのは政府ですよ。まあ議員立法でしたから、賛成した諸党は責任を負わなければならないと思うんですけど。
 こういうことを考えると、これはゆゆしき事態だと。この士気の低下に直結し始めていると。これは放置できないんじゃないんですか。

新藤大臣 ですから、これは今、現状を打開するために、実践とスピードなんですね。
 今委員は、これが、アベノミクスが効果が出ないと、こういうふうにおっしゃいましたが、出ないことを願っていらっしゃるんでしょうか。(発言する者あり)私たちは出さなければ駄目なんです。そして、そのためのあらゆる努力をしていくと。是非御協力をいただきたいと思いますし、何よりもみんなの、国民生活の向上を上げなければいけないと、このように思っております。

山下よしき 出る矢があれば協力しましょう。しかし、経済を成長させることに逆行する内容しかないと。これから労働の規制緩和も、公務員だけじゃないですよ、非正規を増大し、長時間労働を野放しにし、そしてそういう非正規を増やす等々があるわけですよ。だから、その矢を打てば打つほど私は景気が冷え込むと、それを国民の皆さんが今感じ始めていると。
 その仕事の先頭に立たされるような公務員は、士気はますます低下するであろう。その中身も変えるし、賃金引き下げることはやめる、地方に押し付けることも絶対にやめる、そのことを求めて、終わります。