被災者の生活再建、農漁業のとのかかわりで住宅再建もセットで 
【議事録】 2013年6月7日 参議院災害対策特別委員会 参考人質疑

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 4人の参考人の皆様から、未曽有の大規模災害の現場に身を置かれた、あるいは今も置かれている立場から、大変重要な御意見を伺うことができました。一言一言胸に迫ってくるものがありました。ありがとうございました。
 まず、磯辺参考人に伺います。
 どれだけ多くの命が奪われれば法や制度は変わるのかと感じてきた、それから、被災者の血のにじむような努力で、生活再建支援法だと思いますが、作られたことを忘れてはならないと、大変思いのこもったお言葉でした。私も共感するところがあります。血のにじむような被災者の努力で生活再建支援法ができたということについて、もう少し詳しく、思いも含めて聞かせていただければと思います。

磯辺康子参考人(神戸新聞社編集委員) 阪神・淡路のときには、今のような生活再建支援法がなくて、災害救助法も政府の方では現物支給が基本ということですので、被災者が取りあえずの生活再建を進めていくための資金が欲しいというのは、やはり義援金とか保険とか、そういうものに頼らざるを得ませんでした。それ以前は、義援金の額に対して被災者の数が少ないという災害が割と多かったですので、一世帯当たりの義援金がかなり多額であったということがございますが、阪神・淡路の場合は20万円、30万円というような非常に少ない額になってしまいました。
 やはりその義援金頼みの生活再建では無理だということで、皆さん、被災者の方が多く疑問を持たれて、署名活動をして、生活再建支援法が3年以上たってようやくできたということなんですね。その間、いろんな運動をされた方がいらっしゃって、それによって、最初は百万円でしたけれども、非常に貴重な現金支給の法律ができたということで、小さく産んで大きく育てる法律にしようということで、今ようやく最高3百万円まで支給される法律になったということで、このプロセスは私はとても大事なことだというふうに思っています。
 以上です。

山下よしき ありがとうございます。
 私も、阪神・淡路大震災の年に初当選させていただいて、被災者の皆さんと一緒に、生活再建に対する公的支援をどう実現するか、立法府に身を置く者の一人としてかなり当時の政府の立場と板挟みになって苦悶いたしましたけれども、やはり被災者の皆さんの運動、今、磯辺参考人からたくさんの運動があったというふうに紹介されましたけれども、その運動に支えられて一緒に作ることができたと思っております。で、終わりじゃないと。やっぱりどんどんどんどん災害被災者の皆さん、新たな被災者の皆さんと一緒にこれを前進させていく、発展させていく、やはり常に運動、闘いと私は思っておりますけれども、そういうものがあって被災者制度というのは前進するんだと思っております。
 それで、もう一つ磯辺参考人、復興には時間が掛かるんだとお話しされました。いろんな課題がまだ阪神・淡路の被災地でも残っているんだと思います。その一つとして、僕が非常に今危惧しているのは、借り上げ公営住宅の20年の期間、期限の問題です。多くの高齢者の方々が、あと何年かで期限が来るので、公営住宅なんだけれども出ていかざるを得ない状況に追い込まれている。これは人道上も問題だと私も思っているんですが、この問題についてどういう見解をお持ちでしょうか。

磯辺参考人 ありがとうございます。
 民間住宅を借り上げて公営住宅扱いにして被災者の方がそこに入っておられて、民間住宅ですので、そこも20年たつと返さないといけないという問題が今阪神・淡路の被災地で起きているという御指摘だと思うんですけれども、非常に高齢者の方が多くて、なかなか引っ越しするのが大変だ、引っ越しするのが大変というよりも、そこのコミュニティーでこの十数年築いてきた人間関係であるとか、そういうもの全て失うのは非常に、ある意味生命にかかわるという方もおられます。ですから、そのところはしっかりと配慮してやっていただかないといけないなというふうに思っております。
 以上です。

山下よしき ありがとうございました。
 続きまして、室崎先生に伺いたいと思います。
 私は、室崎先生も被災者の立場に立って支援の内容を前進させるために闘った学者の代表格だと思っております。そこで、先生、先ほどの意見陳述で、今度の法改正を評価しつつも、残された課題がまだあると。生活再建や住宅再建への踏み込みが弱い、特に住宅再建への踏み込みが弱いという御指摘だったと思いますが、どのような問題がまだあると認識されているのか。
 私は、先ほど磯辺参考人も少し述べられたんですが、例えば被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給限度額が3百万円ですけれども、津波で根こそぎ住宅が失われた東日本大震災の皆様にとって3百万円では、阪神にはゼロでしたから、これ大きな支えになっておりますけれども、やはりこれでは不十分ではないか、5百万円に当面引き上げる必要があるんじゃないかとか、先ほどお話があった半壊や一部損壊も対象にするべきではないか、店舗もするべきではないか、こういう問題があるんではないかと。
 それから、災害救助法関係では、被災者の生活を中長期的に再建していくことにつなぐという観点から、例えば仮設住宅の建設に際して将来的に災害公営住宅や個人の住宅に転用可能な木造の戸建ての仮設住宅を建設する等の問題もあるんじゃないかなと、これは私が思っているんですけれども、室崎先生の住宅再建についてのもっと踏み込んだ支援が必要だという点はいかがなものでしょうか。

室崎益輝参考人(公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長) まず第一点は、これは従来の住宅再建の常識というものをやはり変えていかないといけないというふうに思っています。それは災害復興公営住宅で被災者を救済するというのは主要なルートでありますけど、それにこだわり過ぎると必ずしも、例えば公営住宅を造ってもそこに入る人が意外に少なかったとか、空き家になったまま放置をされるとか、やっぱりそういう問題が出てくるわけですね。
 今回の東日本の場合ですと、自分の土地にやっぱり住み続けたいという人がとても多い、あるいはほかの周りの人と一緒に住み続けたいと。そうすると、既にこれは実行されていますけれども、木造の公営住宅を造って何年間で払下げをする、それは個々の敷地に造って隣同士で一緒に住めるような形にするというような、形でいうと従来の公営住宅の概念を少し変えていかないといけない。あるいは、一戸建ての公営住宅でもいいよとかというようなことだとか、あるいは住宅再建でいうと、最初は小さな住宅を造るときに対してしっかりサポートするけれども、将来にわたって増築をしていくところのプロセスについてもそのプログラムを持つというような形で、少し住宅再建の多様な在り方というか、実態に応じて少し考えていくというようなことをしないといけないというのが一点目です。
 それから二点目は、いわゆるこれ阪神のときは仕事を失って大変な人がたくさんいてたんですけれども、大半の人たちは大阪に勤務していてサラリーマンだったので、問題は主として住宅であった。だからこそ、住宅の再建ということで非常に取り組んで、生活再建支援法等というのは形の上では住宅の制度ではありませんけれども、実質的には住宅再建の支援制度として生み出されたわけです。
 ところが、今回の東日本を見ていると、住宅も重要ですけれども、まさに生業というかなりわい、暮らし、生きがいとか暮らしだとか、その支えがないと住宅が戻ってもやっぱり住み続けられないと。そうすると、住宅再建だけではなくてそういう生業再建みたいなものも要るし、さらにはもっと言うと、コミュニティー再建だとか、その再建を全体で考えていかないといけないので、いわゆるそれを住宅再建という狭い範囲で考えていると、やっぱりなかなか復興はうまくいかないので、少しその辺りのことも、だから生活再建支援法というもののフレームをどういうふうに考えて、その中に生業支援もはめ込むのか、別途、生業というか、中小企業だとか商店の人たちが立ち上がるところに別の制度を作るのか、これはちょっと検討していかないといけないだろうというふうに思っています。
 最後、三点目ですけど、これは私に3百万では少ないと言わせようとしているのかもしれませんけれども、私は3百万論者なんです、増やす必要はない。それはどうしてかというと、一つのフレームは、まさに自助、共助、公助の関係をどうとらえていくのかということだと思うんです。だから公助の公的支援だけではなくて、やっぱり自助というと、これは保険の問題だとかいろんな問題がありますし、共助というのは義援金だとか、あるいは事前に兵庫県がやっているフェニックス共済のようなもので支え合うシステムというものをしながら、トータルで組み合わせてしっかりつくり上げていくということだと。
 ただ、そのうちの自助で、自助の力がどうにもならない人がやっぱり世の中にはいるわけです。その人たちに自助であなた3百万貯金していないのが悪いと言うわけにはいかないので、その部分については別途、福祉的な視点というか災害保護的な視点で何か別途考えないといけないと思いますけれども、少し自助、共助、公助のバランスの中で公助の責任というのはどこまでかということを考えていかないといけないというふうに一つは思っているわけでありますし。
 それからもう一つは、先ほど出たことと関係するんですけれども、生業支援とかそういうもののところをもっと手厚くして、トータルとして再建できるように考えるということは必要ではないかというふうに思っています。
 以上でございます。

山下よしき やはり阪神・淡路と東日本の大きな違いは、住宅再建だけでは済まないという、生業支援がどうしても、漁業ですとか農業、林業とのかかわりで住宅がセットにならないと、家だけでは何ともならないというのはおっしゃるとおりだと思っております。
 それと、その上で、私、阪神・淡路以来、被災者の願いの前に壁のように立ちはだかった理屈の一つが、私有財産制の国では個人の財産は自己責任が原則だという、この論法でした。ただ、これはもう僕は事実上、その後の被災者の支援の拡充によって住宅再建に3百万円出すことができるようになったということで突破されてきつつあるんだと思っているんですが、いまだにいろんなことでこの考えがしっぽとして残っていまして、いろんな、例えば住宅地の改良ですとか集団移転のときの問題ですとか液状化対策ですとか、そういうものになると必ず個人の財産はというのが付いて回るんですね。しかし、そのときにやはり理論的な整理が必要ではないかと。
 僕は、住宅というのはもちろん個人の財産という側面があるけれども、同時に住宅なしに人間らしい生活を営むことはできない、したがって、これは必要不可欠の生活基盤の一つ、その破壊された生活基盤を再構築するために必要な支援という側面が一方であると思うんですね。単に財産という面だけ見て、私有財産云々というのは当たらないと。そこをはっきりしないと曖昧で、何かのときにそれがまたもたげてくると。
 室崎先生にこの辺りの考えについて少し整理いただければ有り難いと思います。

室崎参考人 先ほどの質問とも関係すると思いますけど、だから個人財産としての住宅で、確かに全てが、でも、公共性を持っているわけではないと思っている。私は、やっぱり自助、個人の財産としての部分と、それからもう一つは公共的な部分と、両方相併せている。それは、例えば町並み、景観をつくるということもそうですし、あるいは住宅が早く建つことによって人口の回復が早くて地域の経済が早く元に戻るというようなこともあります。そういう意味では、公共的な側面があるし、他方でいうと、でも個人財産で、やっぱりそれを維持し管理するのは個人の責任だという部分があるわけです。だから、そういう意味でいうと、その割合というかバランスをどう考えるかということだと。
 そういうことでいうと、どの部分が公助かというのはしっかり議論をして早くきちっと決めた方がいいと。公的な性格はここ、この部分に対して公として支援をすると。そうすると、額の問題も僕はおのずから決まってくるんだろうというふうに思っています。

山下よしき ありがとうございました。
 石巻の亀山市長に伺います。
 市長も、現在最大の課題は住宅再建だというふうにおっしゃいました。それで、1万2千世帯、2万9千人が仮設住宅になおお暮らしだと。この方々が今からどう仮設から出ようとされているのか。先ほどちょっと土地の買上げの問題が言われましたけど、少し教えていただきたいのは、1万2千世帯が今後恒久住宅に移っていく上で、自力再建、自宅を自力で再建される方がどのぐらいいて、それはなかなか難しいだろうから公営住宅に入っていただこうと、そしてそれがどのぐらいの、あと何年ぐらい公営住宅だとか自力再建というのが掛かるのか、大体のところ、どんなふうに御覧になっているんでしょうか。

亀山紘参考人(石巻市長) 今議員御指摘のように、全体として仮設住宅にお住まいの方、みなし仮設も含めてですけれども、1万2千世帯。大体7千世帯は自立再建していただけるんじゃないかと。ですから、あと4千は公営住宅建設を目標としてこれから建設していくという状況にあります。

山下よしき 大体、公営住宅の建設のめどというのは付いているんでしょうか。

亀山参考人 公営住宅につきましては、民民のケースではもう入居が始まりましたので、公営住宅についてはできるだけ早く、26年度には入居できるような状況まで持っていこうと。目標としては、今年が169戸、来年が2千戸、そして再来年が、達成目標ですけれども、3千3三百戸ということで、4千戸は27年度までには確保していきたいというふうに考えております。

山下よしき 時間が参りました。
 ありがとうございました。