学童指導員の配置に財政的裏づけを 
【議事録】 2013年5月16日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 今日は、学童保育の設置運営基準について質問したいと思います。
 学童保育というのは、共働き、1人親家庭の小学生の放課後などの生活と遊びの場を保障し、それを通して親が働き続けることを保障する、なくてはならないものであります。厚労省の調査でも、全国で2万1000か所、85万人の子供たちが利用をしております。放課後や土曜日、学校休業日を合計しますと、学校にいる時間よりも長い時間を学童保育で過ごしていることになります。潜在的なものも含めますと50万人の待機児童がいるとされております。
 学童の子供の1日の様子をちょっと紹介しますと、学校の授業が終わるとランドセルを背負ってただいまと学童保育に帰ってくる、親に代わって指導員がお帰りと迎える。学校であった嫌なこと、けんかしたこと、うれしかったこと、友達のことなどを親に話すようにぶつけてくると。
 小学校1年生から現在6年生まで利用するようになっておりまして、様々な成長段階の子供たちが放課後の生活を過ごしているわけであります。毎日の遊びや宿題、おやつ、それから塾通いする子もいます。学校の夏休みには合宿やキャンプ、卒業の時期には集大成の出し物など、季節ごとのイベントを自分たちでつくる。それを通じて、学年の下の子供たちは年上の子供たちを格好いいと目標にしていくなど、学年の違う子供たちが指導員や保護者などとのかかわりの中で成長、発達していく大切な場所、それが学童だと思います。その中で保護者同士の子育て交流が深まるというのも一つの役割だと思います。
 新藤大臣に伺いますが、学童保育は市町村の公的サービスとして大切な業務だと思いますが、大臣の御認識、いかがでしょうか。

新藤義孝総務大臣 これは大変重要な施設であると、そしてまた、この学童の、放課後児童クラブをこれを運営する、そういう熱心な人たちがいて、それによって支えられているものだと、このように考えています。

山下よしき そういう重要な役割を果たしている学童なんですが、長い間、法律上の根拠も基準もありませんでした。全国の保護者などの粘り強い運動で、ようやく1997年に放課後児童健全育成事業として児童福祉法に法制化され、法的根拠を持つようになりました。
 その後、設置運営基準を求める声も大きくなる中で、厚労省は2007年10月に、放課後児童クラブガイドラインを定めました。そして、昨年、児童福祉法の改定で、学童保育について初めて国が従うべき基準と参酌基準を作ることになったわけです。これは今、作られようとしているわけですね。実施主体である市町村は、この国の基準に基づいて、あるいは踏まえて、設置運営基準を条例でこれから定めることになるわけです。
 今回、従うべき基準になったのは指導員の配置基準のみであります。私たちは、面積基準ですとか安全面での配慮規定など、ほかにもきっちり最低基準を設けて公的な責任、国の責任を明らかにするべきだと考えてはおりますが、しかし、今までなかった法的根拠を持った従うべき基準が定められるということは学童保育にとっては一歩前進だと思っております。だからこそ、いい基準にしてほしい、学童保育が拡充される内容となるようにしてほしいという声が関係者から出されていると思うんですね。
 そこで、今日は厚生労働副大臣に来ていただいておりますが、どういう心構えでこの基準作りに当たるのか。私は、改定された児童福祉法第34条八で、こうある。「その基準は、児童の身体的、精神的及び社会的な発達のために必要な水準を確保するものでなければならない。」。要するに、子供たちの発達のために必要な水準を確保するものである。それに加えて、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準、これ省令だと思いますけれども、この中に、厚生労働大臣は設備運営基準を常に向上させるよう努めるものとすると、こうあります。要するに、基準というのは、社会の発展に応じて、やはり子供たちにより良いものを提供する観点から常に向上させる必要がある、こういう観点でこれまでの基準を更にこの際引き上げていく、底上げしていく、そういう構えで国の基準作りに当たる必要があると思いますが、厚労副大臣、いかがでしょうか。

秋葉賢也厚労副大臣 山下委員から御指摘もいただきましたとおり、子ども・子育て三法によりまして児童福祉法が改正をされまして、放課後児童クラブの設備や運営につきましては、国が政令で定める基準を踏まえまして市町村が条例を定めることとされたわけでございます。
 法律に根拠を置いたという点では一歩、二歩前進したというふうに私どももとらえているところでございまして、この基準の具体的な内容につきましては、今後、社会保障審議会児童部会を中心にしっかりと御議論をいただきたいと思っております。この際には、この事業をより良いものにしていくためにも、様々な御意見や各種調査など、いろいろな陳情、調査の結果が出ております。こういったものを十分配慮しながら検討していく必要があるというふうに認識しているところでございます。

山下よしき 様々な調査を十分配慮してという御答弁でしたので、資料に様々な調査は載せております。
 1枚目に表がありますけれども、従うべき基準とされている指導員の配置基準を見ますと、現在の厚労省のガイドラインはこの中身がないんですね、ありません。現在のガイドラインは集団の規模、児童のですね、これはおおむね40人程度までとする、最大規模は70人程度としております。ただ、実際には70人を超える、例えば大阪でも90人規模のマンモス学童というのも幾つもあります。こういうことで、集団の規模はあるんですが、指導員の配置基準は書かれていません。
 そこで、いろんな研究調査がやられておりまして、例えばその右隣、全国学童保育連絡協議会の提言には、指導員の配置基準として、開設中は常時複数とする、児童数20人までは指導員3人以上を配置し、21人から30人までは4人以上の配置とすると基準を示しております。それから、その右隣、国民生活センター、何で国民生活センターがこういう調査するのかといいますと、残念ながら、学童でいろいろ事故も起こったんですね。事故のないようにということで調査をして、安全に関する調査報告を提言されておりますが、ここでは指導員の配置基準は具体的に書かれておりませんが、報告の中で、子供の安全対策、危機管理は現場で対応する指導員の対応によるところが大きいとし、指導員の過少配置や専門資格や研修の欠如が子供の安全に大きな影響を与えると分析し、この資料にあるように、安全、安心に責任を持つ職員として、専任で常勤の指導員が常時複数配置されることが必要としております。いずれも、指導員は常時複数配置が必要だというのが提言に共通した中身になっております。
 保育所など他の児童福祉施設では、保育士のほかに嘱託医とか、お医者さんとか調理員とか看護師、そういう方が配置されておりますけれども、学童保育は指導員だけで全てをこなすわけですので、障害を持っている子供さんもいらっしゃれば、病気になって病院に連れていかなければならない場合もあると、家庭へのサポートも要る子供さんもいると。何かあったときのことを考えると、やはり3人は欲しいというのが現場からの声でありました。
 放課後の生活の場、遊びの場として、児童の発達が保障され、安全、安心が保障されるにふさわしい基準を作るためには、この学保連だとか国民生活センターの提言も踏まえた指導員配置基準にすることが必要だと思います。
 向上をこの機会にやはりするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

秋葉副大臣 問題意識は、山下委員と同様の問題意識を持っているわけでございまして、先ほども申し上げましたとおり、今後、社会保障審議会の児童部会を中心にしっかり御議論いただくというふうに思っております。
 放課後の児童指導員は、子供の基本的な生活習慣の習得に向けた援助など、また、先ほど御指摘もありましたとおり、放課後をそこで大半を過ごすという子供たちもおりますことから、やはり留守家庭の子供の健全な育成を支援する上で大変重要な役割を担っているというふうに認識しているわけでございまして、先ほども申し上げましたとおり、子ども三法を踏まえた改正の趣旨を十分生かして、この放課後児童クラブに従事する者について、資格や員数に関する基準を定めることとしているところでございます。

山下よしき 2枚目に、厚労省のガイドラインの抜粋として、指導員の役割について載せてあります。
 非常に多岐にわたって、しかも深いこれは仕事が求められていると思います。子供の人権の尊重と子供の個人差への配慮ですとか、遊びを通しての自主性、社会性、創造性を培うことですとか、児童虐待の早期発見に努めなども求められているわけですね。かなり専門性が求められる仕事だと思います。そういう役割を発揮してこそ、子供たちにすばらしい影響を与えることができる。
 あるお母さんからいただいた手紙を少し紹介したいと思います。ちょっと長いですが、読み上げます。
 1年生の11月、待ちに待った学童への入所が決まりました。障害があるので保留となり、半年間利用できませんでした。
 学童に入ってからは、1年生から6年生までの異年齢集団の中で息子はいろんな経験をし、いろんな人とかかわり、身をもって物事を学び、発達してきました。いいことばかりの発達ではありませんでしたが、生きていく上で経験しなければならないことです。そのたびに指導員の先生方も支援の方法を聞いてくださり、親の私に代わって支援してくださいました。その指導員の先生方の姿を見て、子供たちも息子へのかかわり方を学んでくれました。1年生の女の子は、将来Tちゃんみたいなお友達のお手伝いをする仕事がしたいと言ってくれました。息子も、自分自身が受け入れられているという安心感の下、たくさんの経験と体験を積み重ねてきました。同級生のいたずらに、何々ちゃん嫌いと初めて言葉を発したこと、大好きなお姉ちゃんに本を読んでとおねだりすることができるようになったこと、お片付けをする習慣が付いたこと、お友達に通じる言葉が増えたことなどなど、私たち夫婦2人だけでは経験させてやれないたくさんのことを学び、経験することができました。
 人とかかわりながら成長することが障害を持つ子たちには特に必要です。大人から支配された空間ではなく、子供たちが子供同士で大人の愛情ある見守りの中で過ごすことができる学童は、息子にとっても私たち夫婦にとってもなくてはならない居場所ですと。
 この子供さんは、高学年になったら、この学童ではみんなで御神楽を踊るそうですけれども、みんなのように十分ではなかったけれども、一生懸命踊っているTちゃんのことをみんな受け止めてくれて、一緒にステージに立ったことがこの子の大きな自信につながったということも書かれてありました。
 こういうことを本当に異年齢集団の中でコーディネートしてこういうふうにつくり上げていこうと思ったら、やはりこれは高い専門性と、そして経験の蓄積と、そしてヒューマニズムが私は求められるのが学童の指導員だと思いますが、その点いかがでしょうか。

秋葉副大臣 大変今貴重な親御さんの御感想のお披瀝拝聴しまして、本当に国民の皆さんの学童保育に対する期待の高さというものを改めて認識させていただいた気がいたします。
 本当にトータルな人間性も含めた多様な能力が求められる、やはりこれからも資質の高い指導員をしっかり教育していくことの重要性を再認識させていただいた次第でございます。

山下よしき ただ、現状は、その指導員の実態どうなっているかといいますと、指導員の経験年数は1年目から3年目までの人が44.8%、つまり半数近くが3年で辞めてしまうんですね。子供たちや親にとってみれば、6年間の間に先生が何人も替わってしまう。これは子供の安定した生活のためにも良いとは言えません。指導員も経験が蓄積、これではされません。
 何で働き続けられないのか、現場の指導員の皆さんに聞いてみますと、例えば、学童で育った経験から憧れの指導員さんを目指したとか、保育士などの資格を取ってやっと指導員になったなど、多くの若い指導員さんが夢を持っておられました。しかし、この給料では生活できない、結婚もできない、指導員を続けたいがいつまで続けられるか不安、働き続けられる環境にしてほしい、研修も自前の持ち出しなので大変など、切実な声が寄せられました。
 年収は200万から150万未満という方が半分だというふうに聞いております。早急にこの処遇の改善を行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。

秋葉副大臣 学童保育の場合には、大概は午後3時とか、時間が短時間であるとか、そういった限られているというような背景もございますけれども、しかし、基本的にはやはり処遇の充実に向けてしっかり取り組んでいくことが大事だという認識を持っているところでございまして、昨年の8月に成立いたしました子ども・子育て支援法の附則の中におきましては、幼稚園の教諭、保育士、放課後児童健全育成事業に従事する者の、つまり指導員の処遇改善に資するための施策の在り方等について検討を加え、必要があると認めるときには所要の措置を講ずるというふうに規定をされてきたところでございます。
 今般の子育て支援の新制度、消費税率の引上げによる恒久財源の確保というものを前提といたしまして、子育て支援施策の質、量共に拡充を図ることといたしております。今後、放課後児童指導員の処遇につきましてもしっかりと検討してまいりたいと考えております。

山下よしき 済みません、あともう一問だけで終わります。
 市町村が実施主体ですけれども、本当に今副大臣がおっしゃったように、国民のニーズにこたえる基準を作って職員を配置しようと思いましたら、やっぱり財政的な裏付けがなければできません。これは市町村だけではできません。やはりこれから条例を作ろうというときですから、いい条例を作っていい環境をつくろうと思えるだけの国の財政的支援がなければ、なかなかこの条例を作る機会がそういうふうにならないわけですから。
 単価がまだまだ低過ぎる実態あります。水準を引き上げられる、意欲の湧く財政保障が必要ではないか、これ、最後に伺いたいと思います。

松あきら総務委員長 秋葉厚生労働副大臣、御簡潔にお願いいたします。

秋葉副大臣 はい。
 本当に大事な課題だというふうに認識しております。国民生活センターの調査などを見ましても、常勤指導員の月給の平均が20万、特に非常勤の先生方では8円ぐらいということで、こうしたやはり十分とは言えない処遇の状況というのをしっかりと踏まえて検討してまいりたいと考えております。

山下よしき 終わります。