電波料金徴収に反対“公共利用ゆがめる” 
2019年5月9日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

 私も、当委員会の理事、委員を務められた島田議員のご逝去に心より哀悼の意を表したいと思います。

 まず、電波法について質問します。

 歴代総務大臣は、電波は国民共有の財産であると繰り返し表明されておりますが、この電波は国民共有の財産というのはどういう意味でしょうか。

石田真敏 総務大臣 電波は、携帯電話や警察、消防などの公共業務用無線を含めまして、国民生活にとって不可欠なサービスの提供などに利用されている有限希少な資源であり、まさに国民共有の財産と考えております。

 電波の利用に際しましては、混信等を防止しながら有効利用していただく必要があり、電波法第1条において、電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって公共の福祉を増進することを目的とすると規定されているところであります。

山下よしき 私も、電波を利用することによって、人びとのコミュニケーション、あるいは安全、文化、教育の向上が図られる、あるいは経済の活性化が図られるなど、国民生活を豊かにすることが可能となると、同時に、電波は有限希少なものであって利用できる周波数も限りがあるので、電波の利用が特定の者に偏ることのないように、国民共有の財産として国が管理する必要があると思っております。

 そこで、本法案では、今後の5G等の周波数の割当て手続に当たって、比較審査項目に周波数の経済的価値を踏まえて申請者が申し出る評価額を加えておりますが、要するに、申請者がうちは電波を利用することでこれだけもうけますよと名のり出るということだと思います。

 こうした経済的価値の評価額が周波数割当ての審査項目に入るのは今回が初めてでありまして、こういうやり方は電波は国民共有の財産であるという考えと矛盾するのではないでしょうか。

石田 総務相 本法案で導入をいたします電波、携帯電話用の周波数の新たな割当て制度は、周波数の経済的価値に係る評価額を事業者に申請、納付させることによって電波の効率的、効果的な利用を促すものであります。これによりまして、国民共有の財産である電波について、より一層の有効利用を促進することで多様なサービスにつながるというふうに考えております。

山下よしき ただ、その評価額が高い方が割り当てられる可能性が高くなっていくという、そういうことですから、そうすると、ようけもうけまっせというところに使ってくださいということに、今回はかなり限定的ですけれども、これがアリの一穴となって、国民共有の財産である電波の利用が事業者の利益の多寡を基準に割り当てられるようになることを私は危惧します。

 それから、法案では、今全額免除あるいは半額免除の対象となっている公共用無線局で非効率な技術を使用していると認められるものに対して電波利用料を徴収する規定を入れるようになっておりますが、繰り返し議論がありましたけれども、全額免除、半額免除の対象となっている無線局は、警察、消防、防災など国民の安全に直結するものであります。まさに、電波は国民共有の財産との位置付けからして最も優先されるべき電波利用のあり方ではないかと思います。

 何でこの分野の免除をやめて電波利用料の徴収というふうに変えるんでしょうか。

石田総務相 これは、現在電波利用料を減免している公共用無線局のうちで非効率な技術を用いているものについて、電波の有効利用を促すために電波利用料を全額徴収できることとするものでございまして、したがいまして全ての公共用無線局を電波利用料の徴収対象とするものではございません。

 治安、消防等の無線局など、特に高い公共性を有する無線局の電波利用料を減免するという基本的な考え方には変わりはございません。

山下よしき ちょっと今、大臣のご答弁、理解がそれでいいのかなとちょっと思ったんですが、今も公共用の無線局であっても全部減額、免除されていないんですよ。警察や消防などに限って減額、免除されているんですよ。今度はその警察や消防についても、利用料、電波利用料を徴収するようにしようじゃないかというふうに変わるわけですから、これはそこに踏み込んでいいのかということが問われるわけですね。

 私は、公共用無線局の施設設備は、国や自治体の財政、すなわち国民、住民の税金で設置されているものでありまして、電波の有効利用を図るべきだ、あるいは非効率な技術を使用し続けるのはけしからぬという観点のみから更新を迫るのは、税金の使い方としては大いに問題があると思います。

 耐用年数に達していないのに、あるいはまた十分使えるのに電波利用料徴収をちらつかせて更新を迫るということになりはしないかと、これだと税金の本当に大事に使うという点にちょっとこれは反することになるんじゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

谷脇康彦(総務省総合通信基盤局長) お答えを申し上げます。

 今回の改正におきまして、具体的な徴収対象につきましては、今委員ご指摘のとおり、使用している技術が非効率かどうかという点に加えまして、同じ周波数の使用を希望する者がほかにいるかどうかといった事情も勘案して政令で定めることとしております。このため、具体的な対象につきましては、電波に関する需要の動向や使用している無線設備の状況、さらには支援策の状況、あるいはそれに対するニーズ、こうしたものも含めて電波の利用状況について包括的に調査を行って、その結果を踏まえた上で慎重に検討をしていく必要があるだろうと考えております。

山下よしき 私が提起した、国民、住民の税金で設置されている公共用無線局が技術的な革新、進展というものはどの程度の速度で、あるいはいつできるかというのは、それは分からないわけですから、ですから、大事に使っていようと、使おうと思っているその無線局がまだ使えるのに技術革新がされる、それが普及しつつあるというときに、それを理由にしてまだ使えるものをやめるということは私はいかがなものかと思うんですが、その点の考慮というのはされないんですか。

谷脇 局長 お答えを申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、単に非効率な技術を使っているかという観点だけではなくて、そのアナログ技術を使っていることによって電波を使いたい人たちのニーズがどれだけ満たされているのかいないのかとか、それから、そのアナログ技術を使っている当事者が支援策があるにもかかわらずデジタル技術の方に移っていないといったような消極的な姿勢にあるのかどうかとか、こうした様々な観点を考慮して、その上で慎重に政令において決定をしていくというプロセスを踏むものだというふうに認識をしております。

山下よしき まあ、今いろいろ、とか、とかと言われましたけど、税金を大事に使うという観点はどうも聞こえてこないわけですね。私は、そういうところから新たに電波利用料を徴収するんじゃなくて、さっき片山議員がおっしゃいました、電波利用料がたくさんたまっているわけですから、こういうところにしっかりと財政的な支援をして更新するならまだ分かりますけれども、利用料をちらつかせて更新を迫るというのは、これはいかがなものかと私も思います。

 それから、この背景には規制改革会議があるんですよね。新たな電波利用のニーズが拡大していることに対応する観点から、公共用周波数に焦点を当てて、2017年6月の実施計画で、公共用周波数の民間開放に係る目標設定を、これは規制改革会議として掲げたんですよ。規制改革会議というのは、これまで経済活動の自由を拡大し、企業の利益を最大化するために必要な社会的規制を撤廃する立場で様々な提言をしてきたところであります。こういう立場から国民共有の財産である電波の利用のあり方をゆがめてはならない、国民の生命、財産を守ることに関わる無線局の継続利用に影響が及ぶことはあってはならないとくぎを刺しておきたいと思います。

 さて、今回の法案は、電波利用料の総額を620円から750円に大幅に増額することを前提にしております。同時に、この電波利用料の料額を決める際の特性係数、いわゆる軽減係数を見直した結果、各事業者の負担額は放送事業者全体で3割増、キー局は5割増、一方で、携帯電話事業者は新たな5Gの周波数割当てを受けたにもかかわらず2割増と、増額が抑えられているわけですね。非常にバランスが悪いと感じるんですが、何でこういう特性係数見直しになったんでしょうか。

谷脇 局長 お答え申し上げます。

 電波利用料の料額算定方法につきましては、総務省の有識者会議におきまして免許人等からのヒアリングや意見募集等を実施しつつ検討を進め、昨年8月に電波利用料の見直しに係る基本的な考え方についてご提言をいただいたところでございます。具体的な提言の内容といたしましては、携帯電話や放送等の無線局の種別ごとの電波利用料負担の更なる公平性の確保や各無線局が使用する電波の利用価値の料額への一層の反映を実現する観点からの見直しを行うべきとするものでございます。

 これを受けまして、今回の料額の見直しにおきましては、携帯電話が実態として国民に広く普及して十分な公共性を有することを踏まえ、携帯電話に係る料額の算定過程において新たな軽減措置を適用したところでございます。

 この見直しによりまして、携帯電話につきましては、同様に国民への電波利用の普及に係る責務等に着目した軽減措置が既に適用されている放送との間で同等の軽減措置が適用されることとなり、結果として通信事業者と放送事業者の負担のバランスは改善されたものと考えております。

 電波利用料負担のあり方につきましては、免許人間における公平性を確保できるよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

山下よしき 今、バランスが良くなったというご答弁なんですけど、総額を増額することに合わせてこの特性係数を変えることによって放送事業者の増額率がぐっと上がっちゃうということになっているわけですよ。それで、ローカル局なんかは非常に財政基盤が脆弱で、大変なところがたくさんあるんですね。そういうところに、額がどれほどかというのはありますけれども、より重い負担を大手携帯電話事業者に比べて課すというのはいかがなものかなと言わざるを得ません。

 そこで、携帯電話事業者の電波利用料についてちょっと突っ込んで伺うんですけれども、携帯事業者の電波利用料は無線局単位プラス電波帯域によって徴収するというふうに資料には書いてあります。今回の特性係数の見直しによって、電波帯域により徴収される電波利用料が、一メガヘルツ当たり、これまでの4763円から3264円に大幅に軽減されております。そういうことになっております。

 それで、私は何点か聞きたいんですが、まず一点目、軽減額を携帯電話利用者に還元する必要があるのではないかと、その保証はあるんでしょうか、いかがでしょうか。

谷脇 局長 お答え申し上げます。

 携帯電話事業者による電波利用料の負担の総額というものと、それから携帯電話事業者の事業規模ということを考えた場合に、圧倒的に、携帯電話事業者の事業規模であったり、あるいは営業収益の規模というのが、桁が違うほど大きいわけでございます。したがいまして、電波利用料の改定を行った場合に、これが直ちに利用者料金の変更につながるか、引下げにつながるかというと、それは必ずしもそうではなく、かつ、これは携帯電話事業者自らが判断をするべきものであろうというふうに理解しております。

山下よしき その考えでいいんですかね。国民共有の財産を利用した事業ですよ。その利用料が減ったんだったら、それは当然、企業の内部に取り込むんじゃなくて、利用者に還元すべきではないかと思います。

 それからもう一点、先ほどの周波数の経済的価値を踏まえて申請者が申し出る評価額、これは特定基地局開設料として国庫に納付されることになると。先ほどの質疑で100円想定されているとありましたけれども、この100円と先ほどの電波利用料の徴収、電波利用との関係、これは別個なんですか、含まれるんですか、どちらでしょうか。

谷脇 局長 お答え申し上げます。

 特定基地局開設料でございますけれども、これは、先ほど来申し上げておりますように、使途が決まっているという意味においては特定財源でございますけれども、例えば余剰が発生した場合、これは一般財源ということになるわけでございます。

 これは、電波利用料につきましては電波共益費用という特徴がございますので、これはこの中に閉じた形で収支というものが見られるわけでございますから、結論から申し上げますと、特定基地局開設料というものと電波利用料というものはその性格が異なるものでございますし、その内容というものは別個のものであるというふうに考えております。

山下よしき 同じ電波を利用することによって徴収するものですから、それが全然違う性格だというのはおかしい。そして、私は、5Gの対応だったら電波利用料を今回増額することによってやるべきであって、その上に特定局の開設料を取るんだったら、これは一般財源化して社会保障の財源に充当するなどした方がよっぽど国民共有の財産の利用の果実としては意味があるのではないかと思います。

 それから、もう一点これに関わって、特定基地局開設料の100円が、これ、逆に携帯電話利用者の負担に転嫁されるおそれはないんですか。

谷脇 局長 お答え申し上げます。

 ご通告をいただいていないご質問かと思いますけれども、100円、推計でございますけれども、年間100円程度の負担を携帯電話事業者が行うという場合に、これが例えば料金などにどう跳ね返るかという点については、今、今回の電気通信事業法でご審議を頂戴しておりますように、端末代金と通信料金を切り分けることによって通信料金に対して引下げ圧力が掛かってくるということと、それから、当然コスト増の要素がございますので、これがそれを押しとどめるような効果。ただ、この場合は、その100円と想定される金額が、やはり繰り返しになりますけれども、電気通信事業者のその営業規模に比べますと相対的に小さいということを考えますと、その影響というものは極めて小さいというふうに考えられるのではないかと考えております。

山下よしき 小さいからといって転嫁していいとは限りませんからね。これは注視しておく必要があると思います。

 さて、政府は、IoT、AI、ロボット、自動走行車など、新たな技術で経済発展と社会的課題の解決を両立する方法として、先ほど来議論になっておりますソサエティー5・〇を示しております。それを支えるものとして5Gが欠かせないとされております。石田大臣も度々この問題に言及し、推進に意欲を示されておりまして、先ほどは物すごく社会が変わるんだというご発言でした。

 私は、言うとおり、5Gの普及で社会的に大きな影響が与えられるというふうに思うんですね。プラスの影響ばかりではなくて、憂慮すべきマイナスの影響も生じるだろうと思います。政府として推進する以上、以下三点、ちゃんと対応する必要があると。

 一つは、プラスマイナス両面で全面的に影響を調査し、把握すること。二つ目に、それを国民に広く知らせること。そして三つ目に、その上で5Gの導入のあり方について国民的に議論をして合意形成を図ること。これがどうしても必要だと思いますが、石田大臣、この三点についての認識を伺います。

石田 総務相 ご指摘のように、5Gなどの新しい技術を導入する際には、広く国民の理解を得られるよう取り組むことが重要であると考えております。

 5Gにつきましては、これまで審議会におきまして基本コンセプトや技術的条件について議論をいただくとともに、意見募集を経た上でその内容を決定したところでございます。
 また、5Gの周波数割当てに当たっては、昨年10月に利用意向調査に基づきまして割当て希望者に対して有識者による公開ヒアリングを実施をいたしまして、5Gの使われ方やサービス展開の方針について広く議論を行ったところであります。総務省としては、これらの議論を踏まえ、昨年12月に5Gの周波数の割当て方針を示す開設指針を電波監理審議会に諮った上で、意見募集を経て、本年4月に四社に対して周波数割当てを行ったところでございます。

 また、このほか、2030年から2040年に5Gが広く使われた社会をイメージしたビデオを昨年5月よりインターネット上で公表し、広く周知に努めているところでございます。

 また、昨年9月に審議会から、5Gの電波が人体に与える影響がないようにする基準の考え方について答申をいただき、これを踏まえた省令改正案について本年2月から意見募集を行っておりまして、その結果を踏まえまして今月中に策定する予定でございます。
 5Gの導入はこれらのプロセスを経て行われたものでございまして、今後とも国民的議論と合意形成に努めてまいりたいと考えております。

山下よしき 今大臣からご丁寧なご答弁ありましたけれども、三点について、特に広く、プラスだけではなくてマイナスの影響を把握して、それを国民に知らせて議論を喚起するということは行政として大事だと思うんですが、今、人体への影響という点については言及がありましたけど、その他、どういう体制を取っているのか、そしてどういうことが分かっているのか、どうしようとしているのか、いかがですか。

谷脇局長 お答え申し上げます。

 5Gのプラスとマイナスの影響についてというご質問でございますけれども、今大臣からもご答弁申し上げましたように、人体に与える影響、これが現時点において最も直近で見えているマイナスが起きてはいけないものということでございます。それ以外のマイナスの可能性があるものにつきまして現時点で見通せるものはございませんけれども、そうした点についても十分に様々な皆様方のご意見を聞きながら、なるべく先手を打つ対策を打っていく必要が当然にあるだろうというふうに考えております。

山下よしき 現時点で見通せるマイナスの影響がないというご答弁はちょっと驚いたんですよ。いろいろ報道等によって調べただけでも、5Gの普及によって危惧される問題が様々指摘されております。

 例えば、通信料金が上がるんじゃないか、あるいは健康被害、先ほどありました人体への影響というのと併せて、携帯依存、ゲーム依存の青少年が一層増加するんじゃないかということもあるでしょう。5G対応の機器の購入費の増加、国民がサービスを享受するには費用負担が大きくなるんじゃないかということもあるでしょう。ビッグデータで扱われる個人情報の保護の問題もあると思いますが、こういう問題、やはり様々な影響がもう既に指摘されていることについて、しっかり全面的に把握して国民に周知しなければ、私は、幾ら意見求めても、余りにも情報が、いい、プラスの影響しか国民に提供されていない状況で今進んでいるんじゃないかと、それを危惧するんです。

 大臣、いかがですか、うなずいておられますけど。人体への影響以外にもこういう指摘されていますから、ちゃんと行政としてつかんで対応できるように国民にも周知すべきじゃないですか。

石田 総務相 5Gにつきましては、先ほど答弁申し上げましたように、人体への影響ということが今議論されておるわけでありますけれども、今委員からご指摘のありました点についてはもう既に4Gの段階でも様々指摘され、様々議論されているわけでありまして、われわれとしては、そういう議論を十分踏まえながら、5Gの世界でも対応してまいりたいと思っております。

山下よしき 具体的な問題を一つ提起したいと思うんですが、5Gは高周波数帯を活用するという方式になります。この高周波数帯の電波は、電波の届く範囲が短い、ビルがあると遮断されるという特性があります。したがって、基地局1局当たりのカバーエリアが狭く、4Gなどこれまでの方式と比べて基地局を多数配置する必要があります。基地局を細かく敷き詰めてエリア整備する必要があるという指摘もあるんですね。

 日本経済新聞、2月14日付けは、これまで携帯電話に使われてきた2ギガヘルツ帯は一つの基地局から半径数キロメートルまでエリア化できる、ミリ波帯は僅か数百メートルしか飛ばないと言われていると。10倍の差があるわけですね。10倍の差があるということは、面積でエリアは決まりますから、100倍基地局を造らなければならないということに単純に計算するとなるんです。

 韓国では4Gの4ないし18倍の基地局が必要になると予想されておりますが、日本での基地局、5G対応の基地局の設置、どうなるんでしょうか。

谷脇 局長 お答え申し上げます。
 わが国で開設される5Gの基地局数の見込みでございますけれども、認定を受けた各者の計画において、2023年度末までに全者合計して約12万局を開設する計画となっております。

山下よしき 今のはもう極めて初歩的な計画の説明なんですよ。

 総務省が5年間掛けて、全国を10キロ四方のメッシュ、区域で、何千か所ですか、4500区画に分けて、その中に一つでも基地局を造ることを半分以上でやろうじゃないかということで今進めておられると。その5年以内にどれだけの数をそれぞれの事業者が計画しているのかというのが13万局なんですよ。でも、これは、10キロ四方に一つとか、一つじゃないですね、13万だったら。結構あるんですけれども、総務省の資料をいただきましたら、やっぱり当初の計画では親局というのをばんと造って、あと全部、そこから届きませんから10キロ、その届く距離が短いので。だから、例えば役所の周辺だとかスタジアムの周辺だとか、診療所だとか工事現場の近くに子局を建てて、その周辺数百メートルには電波が届くようにしようというのがまず初動段階での計画なんですよ。これで、もう少し密度の高いところもあるから13万局でしょうけれども。

 今の携帯電話が届いているような範囲に全部電波が5Gで利用できるようにしようと思ったら、物すごい基地局を造らなければ利用できないはずなんです。その将来展望はどうなっていますかということを聞いているんです。

谷脇 局長 お答え申し上げます。
 委員ご指摘のとおり、今回の認定を行いました開設計画におきましては、全国に4500ある10キロ四方のメッシュ、4500の中で、これを5年以内に50%以上と、この場合に置かれる基地局は高度特定基地局と言われるいわゆる親局でございます。当然、今申し上げた基地局に加えまして、需要見合いで子局がどんどん打たれていくということになろうかと思います。

 その子局も含めてどれくらいの基地局が打たれることになるのかという点につきましては、携帯電話事業者の経営判断によるところでございますけれども、他方、なるべく地方に5Gを広げていくということも政策的には極めて重要でございますので、その点につきましては、政策的な支援のあり方を含めて、現在、有識者の方々にお集まりをいただいた会合において様々な検討を加えていただいている最中でございます。

山下よしき これは本当に心配するんですよ。

 さっき言ったように、非常に短い距離しか届かない。全面的に今の国民の皆さんに自宅でも利用されるようにするとすると、たくさん基地局造らなければならなくなるんですね。今までだって、携帯電話の基地局を設置するに際しては地域住民からいろんな問題が提起されたりしたことはありますよ。それが物すごいことになる可能性がある。

 政府、総務省は、私は、5Gの普及によって地域社会がどのように変貌するのか、国民にあらかじめ情報提供する責任があると思いますよ。気が付いたら自分たちの周りに鉄塔がにょきにょき立っていたということになりかねないんです、これは。それから、もう鉄塔ではなくて、マンホール型の基地局も必要なんじゃないかということも言われています。そうすると、子供たちはより身長が低いですから、さっきの電波の影響をより受けやすいんですね、頭に。そういうことにもなるんじゃないかと。そういうことを全く何にも検討せず事業者任せにして、蓋開けたらえらいことになっていたってしらない、これは絶対に駄目なんだと。

 だから、大臣、私は、そこまでちゃんと、5G推奨するんだったら、将来こんなふうになりますよという、それこそイメージを国民に提供して、議論して、どう対応するのかということを示さないと無責任になるんじゃないかと。大臣、いかがですか。

谷脇 局長 お答え申し上げます。
 委員ご指摘のとおり、5Gで使う周波数帯が28ギガ帯の場合は、これはなかなか遠くまでは届かないということになります。ただ、3・7ギガ帯あるいは4・5ギガヘルツ帯につきましては28ギガ帯よりは直進性が弱い、つまり遠くまで届くという点がございます。この点はまずご理解をいただきたいと思います。

 その上で、基地局の数が増えると、これは間違いない事実でございます。当然、景観面などに配慮する必要も出てまいります。その場合に、例えば各携帯電話事業者が個別に携帯電話基地局を打つのではなくて設備を共用する、いわゆるシェアリングを行うといったようなことであったり、あるいは、その場合でも景観上の問題で鉄塔の設置が制限されているような場合、これはなるべく相乗りで基地局を設置するだとか、あるいは、マンホール型の基地局の話も出ましたけれども、こちらについても、当然のことながら人体への影響がないように技術基準なりを考えていかないといけない。こういったことを考えるのは、ある意味当然やらなければいけないことだと思っております。

山下よしき 私は、まずきちっと想定をして情報を提供すべきだということを申し上げたいと思います。

 もう時間が参りました。せっかく消費者庁から来ていただいていますので、今回の勧誘のあり方について、代理店についてもきちっと適正な勧誘にすべきだということが述べられています。

 私も経験あるんですけど、携帯の代理店に行きますと、もういろんな専門的な情報が一気に流されて、消費者の方はなかなか分からない。だから、いろんなこの要求にも、声としても出ているのは、通信容量の大きな料金を勧められたが必要なかったとか、不要なタブレット端末などをセット契約したけれども利用していなかったと、こんなこといっぱいあるんですね。私の身内でも、携帯電話を買いに行ったのにタブレットを二つ目買うてきたとか、あるんですよ、それは。そういうことのないようにする必要がある。

 その中で、今回は、勧誘はちゃんと先立って自己の氏名若しくは名称、勧誘である旨を告げずにやっちゃ駄目ですよと禁止することになっていますが、これ一体できるんだろうかというふうに思うんですが、そこで、私は、総務省に任せていたのではなかなか心もとないので、消費者庁としては今回の法改正がもし成立した場合はどういう対応ができるのか、ご検討いただいているのかお答えください。

高田潔(消費者庁政策立案総括審議官) お答えいたします。

 電気通信事業法の改正に伴う苦情相談への対応としましては、消費生活センター等の相談員が適切に対応できることが重要と考えております。

 まずは、総務省から提供される法改正の解説資料を消費生活センター等に周知してまいります。また、国民生活センターが実施している消費生活相談員向けの研修において、法改正の内容が盛り込まれるように対応してまいります。このほか、PIO―NET、全国消費生活情報ネットワークシステムに登録された苦情相談は総務省にフィードバックされるようにしてまいります。

 以上でございます。

山下よしき 終わります。


【電波法の一部改正案に対する反対討論】


山下よしき 私は、日本共産党を代表し、電波法の一部を改定する法律案に対し、反対の討論を行います。

 電波法は、安倍内閣が進めるソサエティー5・0の基盤となる5G普及、高度化を図り、電波利用料や周波数割当て制度の見直しを行うものです。

 反対理由の第一は、減免対象となっている公共用無線局について、非効率な技術を使用しているとされれば電波利用料を徴収するものとなっているからです。

 国や地方公共団体の消防用や水防用、地域防災用などを目的とする無線局が減免対象とされてきたのは、公共用無線については、人命、身体や財産に対する被害から国民、住民を保護するもので、民間では成し得ない業務であるからであります。

 電波利用料の負担を決めるに当たっては、電波利用の公共性について十分な評価と考慮が行われるべきであり、法案はこれに逆行するもので、反対です。

 第二は、5G等の実現、普及対策など、歳出予算を1・2倍に拡大するため、電波利用料の料額を決定しますが、放送事業者の大規模局の料額は1・五倍増となる一方で、携帯電話事業者の電波帯域による料額が3割減となるなど、負担額がバランスを欠くものだからです。

 そのため、負担がより重くなった放送事業者からは、信頼感や公平感を大きく損なうもの、ローカル局の経営基盤強化は放送政策上も重要な課題、これに逆行した施策となり、極めて不適切との声が上がる結果となっています。

 なお、特定基地局開設料については、運用と実施状況の詳細を明らかにし、電波の公正、有効な活用という観点からの検証が必要と考えます。
 また、5Gの推進について、その社会的影響についても多面的に考慮を行うよう指摘して、討論といたします。
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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。