竹中氏の起用は問題—特区諮問会議について追及 
【議事録】 2013年11月26日

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。質問をいたします。
 まず新藤大臣に。国家戦略諮問会議はどのような権限を持ちどのようなメンバーで構成されるのか、また民間有識者の構成比はどうなるのか、お答えください。

新藤義孝国務大臣 国家戦略特区諮問会議の役割、それは例えば、この国家戦略特区全体に共通する政府全体の指針でございます基本方針、それから戦略特区の区域指定、また特区ごとの取組の方向性である区域の方針、こういった戦略特区に係る重要事項を定める際に実質的な審議を行い、内閣総理大臣に対して意見を述べるものでございます。
 そして、この諮問会議の構成員につきましては、議長は内閣総理大臣でございます。議員は、内閣官房長官、国家戦略特区担当大臣、そして内閣総理大臣が指定をする国務大臣、また内閣総理大臣が任命する民間有識者で構成することとされております。議員の数は10人以内とされておりまして、そのうちの民間有識者は全議員の半数以上でなければならないとされております。

山下よしき 今あったように、非常に重要な中身を決めるのが諮問会議であります。その諮問会議の人事に関して先ほど甘利大臣から陳謝があったような事態が起こったんですが、分かっている人には分かるけれども分からない方には全く分からないので、少し記事について紹介をさせていただきます。
 11月24日の日本経済新聞にこうあります。見出しは、「民間議員に竹中氏起用へ 特区諮問会議で経財相」、「甘利明経済財政・再生相は23日、都内で講演し、地域を限定して大胆な規制緩和や税優遇を認める国家戦略特区の選定などにあたる「国家戦略特区諮問会議」の民間議員に竹中平蔵慶大教授を起用すると明らかにした。」と、こうあるわけですね。
 先ほど陳謝されたのは、この発言についての陳謝というふうに理解していいんでしょうか。

甘利明国務大臣(経済財政政策担当) 慶應義塾での講演に関して固有名詞を挙げたということに関してです。

山下よしき これは慶應義塾大学での講演の中身ですから、これについての陳謝だったということだと思いますが、私は、参議院における法案審議のまだ前にそういうことを言っちゃったというのは、もちろん国会を軽視するものであって、これは陳謝に値すると思いますが、それだけで済まない問題がある。それは、竹中平蔵氏を選定しようとしているという、この人選の中身についてであります。
 竹中平蔵氏は、実は私、ついこの間、本会議でこの法案の審議をする際に具体的に名前を挙げて、竹中平蔵氏と三木谷浩史氏、このお二人はいろんな形で利害関係もあるので、こういう方々を民間議員にすべきではないのではないかということをあえて質問させていただいた直後にこの方の名前が甘利大臣から出たので、びっくりしたわけですね。
 それで、まず、竹中平蔵氏の少し経歴を紹介しますけれども、小渕内閣のとき、1998年、経済戦略会議のメンバーになられました。それから、小泉内閣のときに、2001年、経済財政政策担当大臣になられ、2002年、金融担当大臣になられ、2004年、参議院議員に当選され、同じく2004年、郵政民営化担当大臣になり、2005年、総務大臣になられたわけです。
 小泉内閣のときに経済担当の重要閣僚をずっと歴任されたのが竹中さんでありまして、竹中氏は大臣中に小泉・竹中路線と言われる路線で規制緩和路線を進めました。国会では竹中さんは、企業が良くなればやがて雇用、賃金に回ると、もう繰り返し述べてこられたわけですが、確かに2005年から2007年に大企業主導の景気回復局面はありましたけれども、それが賃金の増加にはつながらずに内部留保に回ってしまったわけですね。そのことが今のデフレ不況を生んでいるわけですね。
 つまり、この日本経済の不況、景気の低迷をつくり出した本人だと思います、私は。その人に、経済成長のためにといって、またも国家戦略特区の諮問会議という非常に大事なメンバーに据えていいのかと。自分が不景気をつくり出した自覚も責任も反省もないままの方なんです、この方は。さっさと国会議員も辞めていった方ですよ。そういう方をまたこういうふうに祭り上げていいのかということを、私は、先言っちゃったという以上に、こういう方を指名することが果たしていいのかと、こう思うんですが、甘利大臣の認識を伺いたいと思います。

甘利大臣 正確に申し上げますと、慶應義塾大学の三田祭の記念講演の講師として御案内をいただきました。講演テーマはアベノミクスの今後、2020年にオリンピックが来ますから、それを見据えてこれからどういうスケジュールで経済再生が進んでいくかということについての講演であります。
 そこで、今この国会にこういう法案がかかっています、こういう法案がかかっていますと、その中で幾つか象徴的に取り上げました。産業競争力強化法も取り上げまして、これが成立をした後にはこういうことが行われていきます、この国家戦略特区法案も、これが成立した後にはこういうスケジュールで事が進んでいきますと、先のことをしゃべるわけですから、そういうお話をいたしました。もちろん前提付きであります。
 その際に、慶應義塾という場所で講演したものでありますから、若干のサービス精神が入ったかもしれませんけれども、その検討されている中にこういう方がいられますと、ここの大学の教授をされている竹中さんもいろいろと取りざたされている中にいらっしゃいますと。この人は国家戦略特区の提唱者でありますから、ですから要するにその対象者、検討されている対象者の一人ですよということをお話をいたしました。
 ただ、その後、ぶら下がり会見がございまして、いずれにしても法案が通ってからの話ですと、そして、法案が通った後に、この担当大臣は新藤大臣ですから、新藤大臣を中心に人選が進められていくというふうに理解をしておりますということを記者さんの前でお話をいたしました。(発言する者あり)中心的な大臣ということでやっていらっしゃいますから、新藤大臣を中心に、もちろん総理が頭になるんですけれども、人選が進んでいくんではないでしょうかということを話したということです。

山下よしき 重大なのは、検討されている中に竹中さんがいるんだということを述べたということですよ。検討されているんですよ。
 そんな、この方を検討する対象にしていいのかというのを私は問題提起したわけですが、これについてはお答えなかった。どうですか。

甘利大臣 業に携わる人というのは、いろんな人が競争力会議にいらっしゃいまして、産業界の代表です。それぞれ、広義で言えば、規制緩和はそれぞれ事業に関係してくるものであります。また、ビジネスの現場からこういう問題がある、ああいう問題があると、幅広くビジネス全体に共通をしている規制の問題点というのは、現場の問題提起というのは大事だと思います。現場感覚が全くない人がこういう規制緩和をせよというような話について、一体その効能が本当にあるのかどうかという点もあろうかと思います。要は、自分の企業に対する利益誘導がなされるかどうかということでありまして、そこはきちんと線を引くという対応をしていくということになろうかと思います。
 要は、この人だから、あの人だからといろんな議論はありますけれども、私が申し上げたのは、少なくともこの国家戦略特区をやるべきだということを競争力会議で提唱された方でありますから、そういう議論の中で取りざたされている一人ということを紹介を申し上げたつもりです。

山下よしき 竹中さんが大臣のときに規制緩和を小泉・竹中路線としてやった結果、非正規が非常に増えたということが一つの事実なんですね。そういうことをもう一度繰り返すことでいいのかと。
 私、11月10日にNHKの日曜討論に甘利大臣がお出になっていまして、いろいろ意見の違う点もありましたけど、おっと思うことをおっしゃっているんですよ。例えば、平均給与が下がっているのは非正規が増えているからだ、こうおっしゃいました。それから、非正規雇用の増大は社会問題だと。結婚できない、子供をつくれない方が増えていると。これは私、正論だと思いますね。
 その非正規が増えたことが賃下げの原因になり、そして、若者にとってはなかなか結婚もできない、少子化の原因にもなっていると。その大本にあるのは小泉・竹中路線で、特に労働法制の規制緩和をやって、1990年、派遣労働者が50万人だったのが、2008年、ピークには400万人に増えているわけです。これ、自然現象じゃないです。若者のせいでもないです。労働法制の規制緩和、雇用のルールを変えた結果、こうなったんです。
 その結果、賃下げになっている、結婚できない、子供をつくれない人がいるとお認めになりながら、その中心にいてそういう政策を取った人をまたぞろ持ち上げるんですかと、おかしいんと違いますかと私言っているんですよ。どうですか。

甘利大臣 竹中さんがどう小泉内閣の当時関与をされて、それがどういう結果につながっているかということの検証は必要だと思いますが、あの当時行われた労働法制の規制緩和は製造業の解禁だったというふうに思います。その結果、確かに非正規の比率は上がりました。これはデータで出ていると思います。ただ、当時、失業率が相当高くなって、その近隣の数字としては一番高い数字を示しました。
 そして、小泉総理の発言を思い起こすんですけれども、とにかく雇用の場をどんな形でもつくっていくことが大事で、職に就いていない人、失業率を下げていくというためにいろいろな手だてを講ずるというようなことをたしか総理がおっしゃったという記憶があるんでありますけれども、その結果、確かに失業率は下がっていったと思います。ですから、小泉総理の功罪いろいろおっしゃいます。私どもからすれば、金融機関が不良債権処理を先延ばしにしてちっとも踏み込んでいかないと、そこに公的資金の投入と併せて決断を迫らせて不良債権処理をしたと。その後に、金融機関が資金供給機能、経済の心臓の役を回復したということもあるわけであります。
 功罪はいろいろあろうかと思います。竹中さんの功罪もいろいろあると思いますが、それは、総合的に失業率がどう変化していったか、今の御指摘の非正規が増えていったこともありますけれども、失業率が下がっていったという事実もあるわけでありますから、功罪は総合的に検証する必要があろうかなというふうに思っております。

山下よしき いいところだけつまみ食いしちゃ駄目なんですよ。全体として失われた20年の中心部分をつくっちゃっているわけですからね、小泉・竹中路線で。
 それから、製造業のことを言いましたけど、日本の製造業の賃金がもう先進国の中でもずば抜けてというか、唯一下がっちゃっているんですよね。2000年と2011年比較しますと、韓国は一〇〇%増えています。イギリス、ドイツは四割台増えています。アメリカ、カナダも三割台増えていますけれども、日本は製造業でこの10年間減っているわけです、賃金が、労働者の。
 そういうことをつくっちゃった大本に非正規の増大があるというふうに労働経済白書も言っているし、甘利さんも言っているわけですから、その中心人物をまたこうやって持ち上げるようなこと、本当に無責任だし無反省だと思うんですが、加えて、もうさっき答弁されていましたけど、この竹中さんが大臣を辞められた後、2007年に株式会社パソナの特別顧問に就任され、2009年から現在までパソナの会長をされております。それで、そういう方にこの規制緩和に携わる諮問会議の議員を委ねていいのかと。
 2009年9月8日の中日新聞、こうあります。規制緩和旗振り役、竹中元総務相、派遣大手パソナグループの会長に、究極の天下り、ワーキングプア、原因をつくったのにと。人材派遣最大手のパソナグループ会長に竹中平蔵元総務相が就任し、波紋を広げている。格差社会を生んだ元凶とも言われている改正労働者派遣法。この法改正に深くかかわり、規制緩和の旗振り役として派遣業界を急成長させた功労者がほかならぬ竹中氏であったからだ。これぞ究極の天下りかと首をかしげる向きは少なくない云々かんぬんという記事がいっぱいありまして、週刊ポストでも、パソナの売上げが、竹中氏の功労によって、2003年5月期の1,356億円から2008年5月期の2,369億円へと一・七倍になったと。明治大学高木勝教授の談として、自らが旗振りした規制緩和政策で拡大した派遣業界に、政治家を辞めた後とはいえ経営者として就任し、大金を受け取るというのはまさにマッチポンプ、これは竹中氏の規制改革路線が正しかったか否かの問題ではありません、パソナへの再就職そのものが道義的に批判されてしかるべきですと、こう言っておられます。
 私は、もうそのとおりだと思います。その道義的責任を不問にしたまま、そのままパソナの会長のまま、こういうまた諮問会議の議員に選ぶようなことは私はあってはならない、本会議でもこういう質問しましたら、自民党の多くの方も、それはあってはならないと大きな拍手いただきましたけど、そんなことするつもりですか。

甘利大臣 いや、自民党から拍手が出たというのは知りませんけれども、それ、今書いてある話は週刊ポストですか。

山下よしき 週刊ポストと、これは中日新聞ですね。

甘利大臣 ああ、そうですか。
 とにかく、確かに評価の分かれる方であることは私も承知をしております。そして、競争力会議のメンバーとして、競争力会議の進行役の大臣としても、正直お話ししますと、今までかなりぶつかったこともございます。
 その上で、競争力会議のメンバーというのは多様な、ある程度とんがった人も入っているわけでありますから、それをうまく手綱を引っ張って使っていくと。なかなか、停滞する日本経済をブレークスルーしていくというのは、当たり前の発想だとなかなか閉塞状況を突破できないということもあります。だから、とんがった人が並べばいいということを言うつもりはありませんけれども、既成概念を打破するような発想が出てきたら、それをうまく活用する、ハンドリングしていくというのも政権側の役割かなというふうに思っております。
 私は、この特区諮問会議メンバーの閣僚に仮に入ったとしたら、そこら辺の、誰が選ばれるかはまだ断定できませんけれども、どの方々が選ばれようと、うまく手綱を引いて、いいところは使って、ちょっととんがり過ぎるところは抑えて、うまく誘導していきたいというふうに考えております。
 個々の人の評価については、この議場の場で私が断定してしまうのもどうかというふうに思っております。

山下よしき 選ばないとは言えないわけですよね。
 それで、私、とんがっているかどうか聞いているんじゃないんですよ。とんがっている人かどうかはどうでもいいんです。そうじゃなくて、規制緩和によって莫大な利益を上げる直接の業界、人材派遣業界の会長ですよ。そういう方を、その規制緩和をやる、さっき新藤大臣からお答えありました、戦略を決める、地域を決める、その計画を決める、そのど真ん中に人材派遣会社の会長を入れていいのかということが問われているんですよ。
 竹中さんは今でもそのことについて物すごい利益代表的発言されていますよ。3月6日、産業競争力会議、労働力の流動化を促すための手段として正社員を解雇しやすくするようにルール改正すべきだという趣旨のことを言って、日本の正社員は世界の中で見ると非常に恵まれたというか、強く強く保護されていて、容易に解雇ができない。企業は正社員をたくさん抱えるということが非常に大きな財務リスクになっているということで、要するに正社員を解雇しやすいものにしたらどうだということをこの方ずっと言っていて、それが世論の批判を受けてちょっとトーンダウンしたわけですが。
 そうしますと、10月1日、竹中平蔵氏の「『成長戦略の当面の実行方針』について」というペーパーで、これまで、国家戦略特区ワーキンググループを中心に、当競争力会議の立地競争力分科会もサポートして、関係省庁との協議を進めてきた。岩盤規制を含め、相当の前進もあったものの、まだ課題は多い。特に雇用分野は、残念ながら全く前進が見られないと評価せざるを得ない。また、一部ゆがんだ報道により、しっかりとした改革が止められる可能性についても危惧している。ゆがんだ報道じゃないですよ、自分が解雇しやすくせいと言っているんですから。解雇特区という語源を作ったのは竹中さんです。そういうことも踏まえて、雇用分野を含め、国家戦略特区を完成させるべく、引き続き全力を尽くしたいと、こう述べて、その後、規制改革会議などでは日雇派遣の禁止の見直しが提言されたりしております。
 一貫としてこれは雇用の規制緩和をやるべきだ、岩盤規制というのはそこに焦点を当てて、もっと規制緩和をやれと。そのことによってパソナは非常に大きな利益を得るチャンスが広がることは間違いないんです。もう直結しているんですよ。とんがっているかどうかじゃないんです。そんな人入れたら、これは国民の信任を得られないでしょうと、そのことを言っているんですが、そう思いませんか。

甘利大臣 私は、解雇特区なる話が出たときに、解雇特区なるものは絶対につくるつもりはありませんし、つくらせませんと明確に申し上げました。労働関係者からも、甘利さんがいるから安心しているという御連絡もいただきました。
 雇用に関しては、これは労政審で扱うということに手順上なっているわけであります。そこでは、関係者がみんな入って、労働関係の者も入って、きちんとそれぞれの立場からの議論が行われるはずであります。その経緯を経て結論が出されるというふうに承知をいたしております。

山下よしき じゃ、確認ですが、労政審を経れば、竹中さんのような直接利益を得ることになるであろう人材派遣会社の会長であっても国家戦略特区諮問会議の議員にしても構わないというのが甘利大臣の認識ですか。

甘利大臣 見識を持っていらっしゃる方は多々いらっしゃいますし、そういう方が競争力会議、全て入っていらっしゃると思います。
 いろいろ個人個人に評価はあります。そして、企業の代表は、いかなる企業の代表といえども規制緩和とかかわってくるわけであります。それによってビジネス環境が良くなる、そのための特区をつくるわけでありますから、この人は規制緩和とビジネスにかかわってくるけど、この人は絶対ないということはあり得ないわけであります、事業者である以上はですね。そういう、全てに対してプラスになると、特定のどこの企業にとってプラスだというようなことを誘導するつもりはありません。全てのビジネスにとってプラスになるような環境整備をしていかないと日本が立ち行かなくなるわけであります。
 今、日本は世界の競争に勝たなければなりません。世界で一番ビジネスが立地しやすい環境をつくっていく。と同時に、世界で一番ビジネスマンが、あるいはその家族が住みやすい環境をつくっていく。もろもろ、会社があって従業員がないということはあり得ないわけでありますから、企業を構成するステークホルダーにとって立地環境の良いところ、そういう日本にしていきたいというふうに考えております。

山下よしき もう時間が来ましたのでやめますけれども、企業が世界で一番活躍しやすい国をつくる、それから日本の産業競争力を強化すると、非常に大きなきれいな話ですが、実態はもうもろ自分の企業がもうけられるチャンスを広げたいというメンバーで構成しようとしている大問題だということを指摘して、終わります。

国民をモルモット扱い 国家戦略特区法案 
【議事録】 2013月11月22日 参議院本会議

山下よしき 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特別区域法案について質問します。
 政府は、国家戦略特区について、新たな規制緩和を全国で展開するための突破口と位置付けています。しかし、これまでの規制緩和によって私たちの社会が一体どうなったのか、しっかり検証する必要があるのではないでしょうか。
 今や、若者や女性の2人に1人が正社員になれず、不安定雇用と低賃金に苦しんでいます。そのことに多くの国民が胸を痛めています。若者や女性のせいではありません。1999年の派遣労働の原則自由化、2004年の製造業への派遣労働の解禁など、相次ぐ労働法制の規制緩和がもたらした結果であり、これが賃下げ社会の一番の要因ともなっています。
 また、大店法を廃止し、大型店の出店、退店を自由化した結果、全国各地で商店街がシャッター通りとなりました。都会の真ん中で買物難民と言われる高齢者が生まれていることは深刻であります。
 官房長官、歴代自民党政権が推し進めてきた弱肉強食の市場原理に基づく規制緩和が、私たちの社会を、若者が自らの能力を生かせず将来に希望を持てない社会、高齢者が安心して住み続けられない地域社会にしてしまった、まず何よりそのことを自覚し反省すべきではありませんか。
 国民の命と暮らし、雇用と中小企業を守るために必要な規制、安心、安全を保障するための規制までなくしてはならないと考えますが、いかがですか。
 以下、法案の具体的な問題について聞きます。
 法案は、総理大臣、官房長官、特区担当大臣及び民間有識者をメンバーとする国家戦略特区諮問会議をつくり、そこで特区で実行する規制緩和の内容を決めるとしています。民間有識者とは企業側の利益代表です。これは、企業の利益に直結する規制緩和を総理と企業の代表が一体となって進める体制づくりではありませんか。
 現在、政府の下に置かれている産業競争力会議の民間議員の中には、派遣会社会長の竹中平蔵氏やネット販売会社社長の三木谷浩史氏の名前がありますが、国家戦略特区諮問会議の民間議員には、規制緩和で直接利益を得るような業界関係者、利害関係者は断じて入れるべきではありません。明確にお答え願いたい。
 さらに、政府は国家戦略特区で大企業に対する減税策の導入を目指していると報道されていますが、これは事実ですか。
 さきに述べたとおり、規制緩和は国民生活に多大な影響を与えます。にもかかわらず、法案では、国家戦略特区で実行される規制緩和のもたらすマイナスの影響、例えば労働条件の悪化、事業者の経営悪化、医療被害、環境破壊などについて、問題点を主張できる人が諮問会議や区域会議のメンバーになることはできず、関係大臣さえ蚊帳の外に置かれています。これでは、特区の指定や計画の作成に、国民や住民、自治体の声、専門家の声はどのように反映されるのですか。影響が出た後にそれを検証する体制もないのではありませんか。
 政府の国家戦略特区ワーキンググループの議事概要を見ると、まず特区でやってみて全国でやるべき、どちらがより多くの国民をモルモットにしているのかなどと、驚くべき議論が展開されています。悪影響を受ける国民の声を無視し、被害を放置する、まさに国民をモルモット扱いするような特区を認めることはできません。
 次に、法案は、幾つかの分野で具体的な規制緩和が提案されています。その一つが雇用の分野です。この間、国家戦略特区ワーキンググループでは、労使の契約でいつでも解雇できるようにすることや、労働時間の上限規制の緩和などが検討されてきました。まさに解雇特区、過労死特区ともいうべきものであり、断じて容認できません。
 さすがにこうした企ては国民の批判を前にトーンダウンしましたが、新たに有期労働における期間の定めのない雇用への転換申込み発生までの期間の在り方などについて検討するとしたことは見過ごせません。官房長官は、5年を10年にすると述べたと報じられましたが、何年働いても非正規雇用、正社員への道を遠ざけることになる有期労働の無期転換申込み発生期間の引き延ばしを検討しているのかどうか、明確にお答えください。
 今、自動車産業などで働く期間社員に対し、最長2年11か月あるいは最長4年11か月などと契約期間の上限を置きながら、数か月単位で細切れの雇用を契約する、一方で大量の期間社員切りをしながら、他方で大量の期間社員を採用するという、極めて不合理なやり方が広がっています。非正規から正規への道が開かれていることが大事というのなら、こうした脱法行為こそやめさせるべきではありませんか。
 以上、官房長官の答弁を求めます。
 次に、厚生労働大臣に質問します。
 労働基準法第1条には、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」と明記されています。労働のルールは全国一律であるべきであって、特区で治外法権となる地域をつくることなどあってはならないと考えますが、いかがですか。
 また、戦略特区における労働相談センターの設置、雇用ガイドラインの策定については、いずれも、政府・厚生労働省として、あくまでも雇用の確保、雇用の安定を前提として、企業が社会的責任を果たすよう指導を強めるべきだと考えますが、大臣の決意を伺います。
 農林水産大臣に伺います。
 経済団体は、農地耕作者主義原則を否定し、農業分野への株式会社参入を一貫して求めています。法案は、農業従事者の役員の構成比を大幅に低め、農業生産法人の要件緩和を進めるものです。これは、農業委員会事務の一部市町村への移管など、農業委員会の形骸化を図ることと併せて、農業への株式会社参入の一里塚としようとしているのではありませんか。
 文部科学大臣に質問します。
 法案では、公立学校の民間委託を検討するとしています。学校教育法上、学校の設置者がその教育に責任を負うことが求められています。公立学校の民間委託は、公立学校の設置者である地方公共団体の責任及び国の責任の後退につながるのではありませんか。
 また、この民間というのは株式会社など営利法人も含むのですか。もしそうだとすれば、本来、子供たちの教育に掛ける費用を株式配当に回すことになり、学校が利潤追求の道具になります。安倍政権の目指す教育改革とはそういうことなのですか。
 最後に、法案には、ほかにも各分野の規制緩和が盛り込まれています。しかも、今回は第一弾にすぎません。そもそも、特区による規制緩和は、アメリカの対日規制改革要望で繰り返し要求されていたものです。日米の財界の要求を優先し、国民の命や暮らし、雇用や中小企業を守るルールを壊すことなどあってはなりません。
 法案の徹底した審議を求めて、質問を終わります。


 

菅義偉官房長官 規制緩和の地域社会への影響についてお尋ねがありました。
 規制改革の推進に当たっては、国民に多様な選択肢を提供することにより、本人の希望で多様な雇用形態を選択できるようになること、また、市場における多様な主体の参画や競争等により、安全性をより効率的に確保すること等を念頭に置いております。
 これまでも、経済環境等の変化に応じて規制改革に取り組み、成果を上げてきたところであります。引き続き、国の成長、発展、国民生活の向上及び経済活動活性化への貢献を目的として規制改革を進めてまいります。
 国民の命を守るための規制等についてお尋ねがありました。
 全ての規制は、公衆衛生や安全、安心の確保、社会的混乱の防止など、公共的な必要性を持って導入されたものであり、全てを撤廃するべきものではないと考えます。しかしながら、経済環境や新技術の開発等に応じて規制の見直しが行われることは重要であり、今後も不断の取組を進めてまいりたいと考えております。
 国家戦略特区諮問会議における民間有識者の人選や、その運営方法についてお尋ねがありました。
 民間有識者については、経済社会の構造改革の推進などの本法の目的に照らして、優れた識見を有する方を総理が任命することといたしております。具体的な人選は本法の成立後になりますが、産業界の方かどうかを問わず、国家戦略特区の重要事項を審議していただく上で経験や識見が豊かな方を選定してまいります。また、仮に議員が直接の利害関係を有すると考えられる議題が上がる場合には、当該議員が審議に参加しないようにできる仕組みとしたいと考えております。
 このように、会議の運営については、中立性、公平性を担保するため、万全の対策を講じてまいります。
 大企業に対する減税策についてお尋ねがありました。
 個別の税制措置については、国家戦略特区における制度設計に応じて検討していくことといたしております。年末の税制改正大綱に向けて、どのような税制措置を講ずべきなのか、幅広く検討をしてまいります。
 国家戦略特区における国民の意見などの反映方法、特区ワーキンググループの議論、悪影響が出た際の体制についてお尋ねがありました。
 国家戦略特区会議は、必ず関係地方公共団体の長を構成員としており、具体的事業を記載した区画計画の作成に当たっては、その同意が必要になってまいります。したがって、関係地方公共団体の長が住民の声を十分に勘案して区域社会の作成に当たるものと考えます。
 日本経済の再興が国家として喫緊の課題となっている中、成長戦略の要である国家戦略特区については、スピード感を持って強力に取り組む体制が必要であります。このため、総理主導の下、迅速で簡潔に実行できる体制を構築をしてまいります。
 こうした趣旨から、国家戦略特区諮問会議の構成員となる大臣は必要最小限の範囲とすることとしておりますが、必要とあると認めるときは、関係大臣、議案を限って、臨時議員として国家戦略特区諮問会議に参加をさせることができることになっております。さらに、本諮問会議は、必要に応じて構成員以外の専門家等に対しても協力を依頼することができるとなっております。安全性等について万全のチェック体制を構築できるものと考えています。
 区画計画の認定に際し、関係大臣が必ず同意を行うなど、特区においては悪影響がないよう努めていくことは言うまでもありません。万が一問題が発生した場合であっても、国家戦略特区会議で協議を行い、必要な改善策について速やかに検討したいと考えております。
 有期の労働契約についてお尋ねがありました。
 有期雇用の特例については、例えばオリンピックまでのプロジェクトを実施する企業が優秀な人材を集めることが可能になるよう、全国規模の規制改革として無期転換権発生までの期間の在り方等について、今後、法案の規定に基づき検討を行うことといたしております。
 また、有期労働契約の締結に当たり更新の上限を設けることについては、直ちに違法、無効となるものではなく、仮に紛争になれば、裁判所において様々な要素を総合的に考慮し、個別具体的に判断されるものと承知をしております。
 政府としては、非正規雇用労働者の雇用の安定を実現するためにも、強い経済を取り戻し、雇用の拡大と賃金の上昇に向けて取り組み、若者、女性を含め、働く頑張る人たちの雇用の拡大と安定を図ってまいります。
 以上であります。


田村憲久厚労大臣 山下議員からは二問御質問をいただきました。
 まず、雇用ルールの特区についてのお尋ねがございました。
 雇用に関する基本的なルールである労働基準法や労働契約法等について、一部地域を対象として緩和できるかどうかについては、生存権的基本権である勤労権を保障する観点から慎重に検討されるべきものと考えております。
 同時に、我が国の経済発展に何が必要かという視点も踏まえながら、政府としてどのような対応が可能か、関係閣僚間で慎重に検討した上で、雇用分野の方針についても取りまとめ、10月18日に日本経済再生本部検討方針を決定をいたしました。
 今後、法案に盛り込んだ方針を踏まえ、制度の具体化を図ってまいります。
 続きまして、雇用労働相談センター等についてお尋ねをいただきました。
 雇用労働相談センターは、新規開業直後の企業や海外からの進出企業にとって我が国の雇用ルールが分かりにくいという声にこたえるため、国家戦略特区に設置するものであります。
 雇用労働相談センターでは、こうした企業の要請に応じ、その雇用管理や労働契約事項が裁判例を分析、類型化した雇用ガイドラインに沿っているかどうかなど、具体的事例に即した相談、助言サービスを事前段階から実施していく方針であります。これは、企業が紛争を生じることなく事業展開することを容易にするとともに、従業員が意欲と能力を発揮できるよう援助を行うものであります。
 なお、厚生労働省といたしましては、大規模な雇用調整事案を把握した際には、機動的な事実関係の把握や判例等に基づく啓発指導に取り組んでおり、引き続きこうした対応に努めてまいりたいと考えております。
 以上であります。


林芳正農水大臣 山下議員の御質問にお答えいたします。
 国家戦略特区法案における農業分野の特例措置についてお尋ねがありました。
 今回の国家戦略特区における農業生産法人の要件緩和は、農業生産法人の六次産業化を支援する観点から、農作業に従事する役員数に関する特例を設けるものでありまして、出資要件などほかの要件は変更いたしません。したがって、農業者を中心とする法人という農業生産法人の性格が変わるものではなく、株式会社による農地取得を進めることを念頭に置いたものではありません。
 また、農業委員会と市町村長の事務分担については、農業委員会と市町村長の合意の下、農業委員会の事務の一部を市町村長が分担することを可能とするものでありまして、これにより農業委員会が農地のあっせん等の農地の流動化に力を注げるようにしようとするものであります。
 したがって、これにより農業委員会を形骸化しようとするものではありません。
 以上です。

NSCの危険な実態を参考人が陳述 
【議事録】 2013年11月21日 参議院国家安全保障特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 お三方、ありがとうございます。
 西山参考人にまずお聞きしたいと思いますが、先ほど、NSCが発足すればアメリカは日本に対して協力を引き出すための情報を出すようになるだろうと、こういう趣旨のことをお話しされました。
 私は、もう既にNSCが日本に発足する前からそういう傾向が往々にしてあると、その一つの苦い教訓が先ほどから議論になっているイラク戦争だと思います。ただ、イラク戦争の場合は、アメリカもそれからイギリスも間違いだったと誤りを認めました。ところが、日本だけはいまだに政府は誤りを認めません。しかし、誤った情報に基づくイラク戦争に対する支持をしただけではなくて、イラクに自衛隊を送った、空自は武装した米兵まで運んだ。憲法違反のことまでやったわけですが、私は、そういう下で政府に情報を集中するというのであれば、まずそういうことがあったことについての深い反省をしなければ非常に危惧される事態が起こるんじゃないかと思いますが、西山参考人、いかがでしょうか。

西山太吉参考人(元毎日新聞政治部記者) 全くそのとおりで、私が一番日本の外務省の官僚連中に言いたいことは、ある過去の事実で、もし、日本がある大きな密約なり違憲性のある違法な密約をやったということが発覚したと。それも、しかもアメリカが、交渉相手のアメリカが全部発表している、正式に詳しく。そして、それが何10年も後に分かったというときに、なぜ依然としてないと言うのかと。これが日本の、先進国群の中でこういう国は日本だけだという。アメリカはキューバ侵攻のときに失敗したと。失敗したら失敗したで、ケネディだって失敗したということを言うんですよね。アメリカはイラク戦争で失敗した、大義名分はあれはでっち上げだったと。そうしたら、やがて、いや、あれは間違っていたと言うんですよ。イギリスもそうですよ。イラク戦争に参加したら、これは間違いだったかどうかというのを検証するわけです、徹底的に。そして、やがて、それは俺たちが間違っていたと、こう言うんですよ。
 なぜ日本がそれ言わないか。言えばすごく簡単なんです。言ったら、こんなだらだらだらだらした、変なもやもやした不信感というのは生まれないです。なぜ外務省は沖縄密約をいまだにまだ否定するのか。ちゃんと認めたらいいんですよ。それを私は何遍も言っているんですよね。それが日本の今の政治の一番の根底にある一番ガンですよ、これはね。これを是正するということは、機密保全という問題にもある程度解決する糸口をつくるんです。全くそのように思います。

山下よしき もう一問、西山参考人に伺いますが、私は、戦後、二度と戦争はしないと決めた憲法があるにもかかわらず、日米安保体制の下で戦争する国づくりにずっと進んできていると、こう認識をしております。その中で、日本政府は一貫して、先ほどお話があった核持込みあるいは沖縄返還についての日米間の密約を存在しないものと、先ほどから言っておられるように、米側が資料を出しても、また当事者が証言しても、そんなものはなかったというふうにずっとこれを認めることを拒否し続けてまいりました。そして、それを明らかにしようとする行いや取材に対して妨害や弾圧を加えてまいりました。
 そういう流れの中で、今、安倍政権が日米同盟の一層の強化を図ろうとし、その下で、NSCの設置、それと一体の秘密保護法制を急ごうとしていると。この狙いはどこにあるのか。日本、アメリカ両政府の狙い、この間密約と闘ってこられた西山参考人の御認識を伺いたいと思います。

西山参考人 私、二つあると思うんですが、一つは、やっぱり内閣の権限を一極集中化させようと、この際、一挙にね。御覧になってくださいよ。内閣人事局つくる、各府省の幹部が首相官邸で全部人選できるわけですよ。日銀総裁も自分の配下、いいですか、内閣法制局長官も自分の配下、NHKの会長を決めるNHKの経営委員も全部自分の息の掛かった連中。これはちょっと、幾ら権力の集中過程としても、こんなのを一挙にやるというのは異常なことですよ、これ。権力の集中というものは必ず秘密の保全を伴うんです。権力の集中一元化をやればやるほど秘密の保全というのは進行するんですよ。そういう悪循環を断ち切らなくちゃいけない。
 私は、権力を集中させるということの意義が今分からないんです。なぜこんなに異常に集中させるかということです。そういうような流れも一つあると思うんです、大きなね、この際一挙にという。これはなぜかというと、やっぱり一つにあるのは、日米体制というものをこの際一挙に聖域化して、これによって日本の国家の安全保障体系をもう不動のものにするという意思もあります。対中国、対朝鮮に対する抑止力を固定化させるというものと裏腹になって権力の集中一元化が進んでいると思います。
 だから、私は、そういうようなことの前に、そういう権力の集中一元化を、恐らく、こんなに際立って集中的に一挙に出てきたというのは、私、戦後長い間見ているけど、まずあり得ませんよ。余りにもすごいですよ、これ。だから、その辺の中に秘密保全が必ず付きまとうんです。集中と保全というのは必ず一体、裏表の関係にある。それをやっぱりもう少し反省していただきたいと思いますね。

山下よしき 続いて、春原参考人に質問したいと思います。
 アメリカの要人にいろいろ直接取材をされていると承知しておりますが、米側は日本側の情報保全についてどのように見ているのかと。先ほど、ペルー大使館人質事件の際のことを、これは具体的な確証、証拠があってのことではないがというふうにおっしゃられましたが、別の具体例ももしあるなら挙げていただきながら、その辺り、いろいろな取材を通じてお感じのことを、御見解伺いたいと思います。

春原剛参考人(日本経済研究センター・グローバル研究室長) 日本の安全保障に関する官庁、外務省はもちろんですが、防衛省にしてもそうでしょうし、経産省、文部科学省、警察庁、いろいろあろうかと思いますが、それぞれそれなりに情報の保全に努めているものと思っています。
 ただ、アメリカ側から見たときに、どうしてもなかなか完全に漏れないという確証を得られないという実感を持っている人が時折いることもそれは間違いありません。特に最近の場合ですと、衛星情報とかがありまして、画像が例えばあります。これは私の著作にも書いていますけれども、アメリカ側はだから結構縛りを掛けますね。外務省なり防衛省の局長に、あなたには見せるけれどもその上の政治家には見せないでくれとか、ニード・ツー・ノウとか、昔スパイ映画のタイトルにもなりましたが、ユア・アイズ・オンリーとかいろんな言葉がありますけれども、おまえだけにとどめておいてくれと。だけど、昨今の政治主導、官邸主導の名の下に、今政治家の皆さんがどんどんいろんな政策において主導権を握ろうとしているという中で、今までのように官僚が全てを決めるわけにはいかない、最終的な政治判断を仰ぐためには情報を、アメリカから提示されたものも伝えなきゃいけないと。さて、これどうしようかというジレンマをここ数年日本はずっと抱えていたのではないかというふうに思います。
 ですから、これは自民党の石破幹事長の持論でもあるし、私もそれは賛成なんですが、例えば、国会において、これはアメリカのモデルですけれども、先ほど西山さんがアメリカの情報開示の例を言いましたけれども、一方で、アメリカは情報の保全のために例えば上院に情報特別委員会というのがあって、この委員長は、何人か私も知り合いがいますけれども、非常に厳格に情報を管理しておられます。そこに入られた上院議員の方々にもちろん取材をしても一切コンフィデンシャルな情報は漏らさないと。例えば、そういった形での立法府におけるいろいろな施策も今後やらなければいけないのではないかと個人的には思います。そうすることによって、皆さん、国会議員に情報が共有されるわけであって、そこでもって初めて政治の主導なり政治の判断というのがもっともっと充実していくのではないかというふうに思っております。

山下よしき 今、春原参考人から、アメリカの情報保全委員会でしたっけ。

春原参考人 情報特別委員会。

山下よしき 特別委員会ですか。
 私、最近ある本を少し読ませていただいたら、恐らくその委員会のことが出ていて、その委員会がイラク戦争のときに、その委員にしかイラク戦争を開戦する際に必要な情報が開示されなかった。その委員がその情報に接しようと思うとある部屋に議員だけが行って、秘書も同行できない、コピーも取ることができない、その場で見ることしかできない、そういうところで膨大なイラク戦争開戦に当たる情報があって、だから、ほとんどの議員は大部のその情報を見ることができなかった、秘書も同行できませんから。その中にごく一部注釈として、国務省の情報として、イラクが大量破壊兵器を保有しているということは違うというのが一言あったけれども、それを見た議員は、そこまで達した議員はほとんどいなかった。それがいわゆる日本でいうと秘密会的なアメリカの議会の在り方。
 もしそういうことになったら、これは戦争を回避するかどうかという非常に重要な国家の意思を決定するのに、国民の代表たる議員がその重要な情報に接することもできない仕掛けがつくられたことが一つ間違った戦争にアメリカが突き進んでいった大きな要因ではないかということもその本を読みながら感じたんですが、そういう点はいかがでしょうか。

春原参考人 確かに、アメリカの情報はたくさん開示されているんですが、今おっしゃられた秘密公聴会等々でも膨大な情報が提示されて、その中で、その砂浜の中で本当の光るダイヤモンドを見付けるのは非常に大変だというのはよく言われていることではあります。ですから、逆に言うと、例えばアメリカの例でいうと、上院の特別情報委員会に選ばれる議員というのは非常に優れた人たちで、国益を考えている人だというふうに尊敬をすごく集めています。
 何が言いたいかというと、議員の皆さんも、恐らくアメリカにおいては非常にそこのところは鋭敏な感覚を持ち、日々切磋琢磨し、あるいは日ごろから行政側の人たちといろんなコンタクトをして勉強もされているんだろうと思います。ただ、それだけでも、今御指摘があったように、膨大な砂浜の中からたった1個のダイヤモンドを見付けられるかというと、それは個人の能力には限界がありますので、そこのところはやはりアメリカのシステムが、先ほどから申し上げましたように、全て我々の参考になるわけではなく、それがお手本になるわけではなく、一つのモデルとして見て、その足りないところは我々の日本流、独自の新しいシステムを構築していくべきではないかというふうに思います。

山下よしき 最後に、落合参考人に伺います。
 参考人は弁護士であり東京地検公安部の経験もお持ちなので、ちょっと今日のテーマとは違いますが、秘密保護法案について私からも聞かせていただきたいと思います。
 昨日のやり取りでも、この特定秘密保護法案は一般の国民には関係がないんだと、総理も、なぜなら、一般の国民は特定秘密に接することがないからだと、こうおっしゃいました。ただしかし、私は本当にそうだろうかと。例えば、森の中で野鳥を観察していた、そうすると軍事演習が近くの森林でやられているということに気が付いたと、そのことを仲間に情報をネットで提供したということなどが、その人は、本人は特定秘密とは知らない場合であっても突然逮捕される危険性はないのかと。しかも、知らないということを証明するのは本人ではなくて、それは警察権力の方になるであろうと。だから、一般の人は知らないから関係ないと言えないんじゃないかと、こう理解しているんですが、参考人、いかがでしょうか。

落合洋司参考人(弁護士・東海大学実務法学研究科教授) 端的に申し上げますけれども、やはり行政庁が持っている情報に対して様々な形でアクセスしたい、知りたいという人は今の世の中やっぱり多いわけですよね。その中に、もちろんテロリストのような人もいれば市民運動やっている人とか、いろんな方がいらっしゃると。やっぱりその知りたいというふうな希望があってそこに寄っていくということはいろんな形であり得るわけですから、ですから、一般人がそういった情報に接近していくというふうな中で、それが特定秘密というものにかかわるということは、それはやっぱり起きてこないとは当然言い切れないですよね。むしろ起きてくる可能性は当然あるんだと。
 だから、そういったことがあり得るんだということを前提にして、やはり処罰をするにしても過剰な処罰に及ばないとかというふうな絞りを掛けていくと。私は検察庁にもいましたし、今弁護士ですから、刑罰というものは必要最小限度といいますか、にとどめなくちゃいけないという、そういう基本的な考え方を持っているものですから、やはりそういった危険性というものを踏まえた上で処罰の在り方というものを考えていかなくちゃいけないというふうには思っております。
 以上です。

山下よしき ありがとうございました。終わります。

雇用ルールの緩和で、非正規から正規への道を延ばしたり、閉ざしたりするようなことには絶対にしてはならない 
【議事録】 2013年11月5日 参議院内閣委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 まず、深刻化する非正規雇用の問題について、菅官房長官に質問します。
 日本では、この20年間に正社員が500万人減り、非正規雇用が1000万人増えました。国税庁の調査では、正社員の年収は468万円、非正規は168万円となっておりまして、非正規雇用の増大が労働者全体の賃金を引き下げているという状況になっております。
 安倍総理はさきの参議院予算委員会で、非正規が増えていけば、労働条件は正規の方より悪いわけですから、これは改善をしなければならないと述べた上で、大切なことは正規になりたいという方に対してはしっかりとチャンスが開けている社会をつくっていくことではないか、非正規から正規に移りたい、正社員になりたいという方々がその道がちゃんと開かれていることが大切だとの認識を示されました。これ大事な認識だと思います。
 官房長官も、総理の言うように非正規雇用から正規雇用になりたい人に道が開かれていることが大切という認識おありでしょうか。

菅義偉官房長官 私も全く同様です。

山下よしき 総理も官房長官も非正規から正規に道が開かれていることが大事だという点では共通の認識をお持ちだということが確認されました。
 そこで、具体的な実態を紹介したいと思います。2008年のリーマン・ショック後の派遣切りで、仕事を失った労働者が数10万人の規模で生まれました。仕事と同時に住まいまで失った労働者も多く、これは社会問題となりました。
 実は、自動車産業ではその際大量の派遣切りをしたわけですが、その後、2010年以降、期間社員を次々と雇い入れております。今も各社が期間社員募集を行っております。しかし、期間社員を大量に募集する一方で、大量の期間社員の雇い止めが今広がっているという問題が生まれております。
 33歳のAさんのことを紹介します。Aさんは2006年からいすゞ自動車で派遣労働者として働いてきました。リーマン・ショック後に派遣切りされ、その後別の派遣先企業で2年間働きましたけれども、そこも仕事がなくなったと派遣切りをされてしまいました。そのときにいすゞ自動車が期間社員を募集していると知って、Aさんはやっぱり自動車造りがしたいとインターネットで調べて募集に応じました。真面目に働いていれば正社員になれるかもしれないという期待を抱きながら、2011年の3月から三か月ごとの更新、契約を10回更新して、今まで3年近く働いておられます。派遣労働者として働いてきた期間も加えますと、Aさんはいすゞで6年間働いてきたわけで、かなりの経験を積んでおられます。時には正社員に仕事を教えることもあったというんですね。
 ところが、今年の夏以降、Aさんの周りの期間社員たちが勤続3年前に次々と雇い止めされております。いすゞでは先月だけでも藤沢工場と栃木工場で少なくとも20人以上が雇い止めされたといいます。生産がこれ低下したからもう期間社員が必要なくなったということからではないんです。いすゞの売上高は2010年以降着実に伸びております。なのに、勤続3年直前の期間社員を一律に3年を前にして雇い止めしているんですね。一方で、そうすると人が足らなくなりますから、いすゞは大量の期間社員を新たに募集し続けているわけであります。工場では毎週のように新規に採用された期間社員たちが10人ぐらい見学に来ているという報告を受けました。
 そこで、菅官房長官にお聞きいたします。
 いすゞは勤続3年直前の期間社員を大量に雇い止めする一方で、新たに期間社員を大量に採用しているわけです。要するに、仕事はずっと継続しているのに労働者は大量に入れ替える。個々の企業の問題としてはお答えにくいかもしれませんが、こういうやり方について、これおかしいと思いませんか。仕事はあるのに労働者を入れ替えている、不合理だと思われませんか。

菅官房長官 委員言われましたように、個別の企業に関することの意見は差し控えたいというふうに思います。
 ただ、一般論として申し上げると、やはり有期労働契約の締結に当たって更新の上限を設けるということは直ちに違法、無効となるものではなく、仮に紛争となれば、これは裁判所において様々な要素を総合的に考慮して個別具体的に判断されるものと承知はいたしておりますけれども、しかし今のような現状を考えたときに、雇用不安定、そして賃金が安いわけでありますから、政府としてはまさにそうした方のキャリアアップというものを応援をし、そうした方がしっかりとした雇用に就くことができるようにこれは取り組んでいきたいと思います。

山下よしき キャリアアップとおっしゃいましたけど、キャリアアップどころじゃないんですね。もうキャリアアップしたいと思っている方が3年前に雇い止めされる、そういう状況が大量に一律に生まれているということなんですね。
 Aさんは、自分を雇い止めしようとしているのに会社はどんどん募集している、そこが納得できないと。これは当たり前だと思うんですね。一方で経験を積んだ期間社員を雇い止めしながら、他方で新しい期間社員を募集、採用する。だったら、初めから雇い止めしなければいいじゃないかと。これは不合理だ。これ、キャリアアップの以前に不合理だと思われませんか。

菅官房長官 いずれにせよ、政府としては、そうした若い方、女性も含めて頑張る人の雇用を拡大することができるように取り組んでいきたいと思います。

山下よしき じゃ、厚生労働省に少し具体的な問題を聞きますが、私は、契約更新を繰り返している場合、一方的な雇い止めは無効となるのではないかと思いますが、いかがですか。

大西康之厚労大臣官房審議官 今の委員の御指摘でございますけれども、有期労働契約につきましては雇用期間が限定された契約でございますので、使用者が更新しない場合、契約期間の満了により雇用は終了するというのが原則ではございますが、一方、多分、委員、こちらの方の御指摘だと思いますけれども、個々の雇い止めの有効性につきましては、一定の場合には無期労働契約における解雇権濫用法理を類推適用するという判例法理、雇い止め法理という具合に呼んでおりますけれども、こういったものが確立しておりまして、今年の4月から施行されております労働契約法19条におきまして制定法化されたところでございます。
 具体的に申し上げますと、過去にも反復更新された有期労働契約で、その雇い止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められる場合、あるいは有期労働契約の契約期間の満了時に労働者がその有期労働契約は更新されるものと期待することに合理的な理由があるということが認められる場合におきましては、使用者が雇い止めをすることが社会的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないときは雇い止めが認められず、従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されることになるわけでございます。
 あっ、失礼しました。労働契約法、先ほどの19条は昨年の国会で成立させていただきました公布日の施行でございました。失礼いたしました。
 ただ、紛争になりました場合には、雇い止めの有効性につきましては最終的に司法の場で判断されることでございますので、こうした保護すべき合理的な理由、期待があるかどうかということにつきましては、それぞれ個別に司法で判断されることになるという具合に承知しております。

山下よしき いすゞでは、Aさん始め期間社員の多くは10回も反復更新をされているわけですから、これは当然雇い止めは無効であって、期間の定めのない雇用とみなされるべきだと私は思います。
 ところが、いすゞは、先ほど官房長官もおっしゃいましたけれども、労働者に15項目にわたる内容の契約書にサインをさせているんです。その中に、更新する契約期間は通算して最長2年11か月とするという項目があるんですね。この項目が一つ入っているんです。これが勤続3年直前での雇い止めのてこにされているわけであります。
 ある労働者は、2年11か月で切られるのは嫌だと言えば採用も更新もされない、だから労働者はずっと働きたいと思っていても、その言葉をのみ込みつつ、僅かな望みを託しながらそのままサインをし続けるしかなかったと。言わば、労働者の弱みに付け込んだ2年11か月上限という契約書になっているわけです。しかも、インターネットや求人誌でのいすゞの期間社員募集広告には最長2年11か月とは一言も書かれておりません。私も四種類、いろんな募集広告を見ましたけれども、最長2年11か月の記載はありませんでした。それどころか、長期勤務できる方歓迎などの文字が躍っている広告もありました。
 さらに、Aさんの契約書の中には、契約更新の有無はいすゞが契約満了日の30日前までに労働者に告知すると、こうあるんですが、実際は満了の15日前とか12日前とか、中には期間満了を過ぎてから告知されサインしたということもあるわけですね。ですから、契約書の一言一句が完全に守られている実態にはありません。
 厚生労働省に確認しますが、たとえ契約書に形式的に最長2年11か月とあったとしても、それのみで雇い止めが有効だとすべきではなくて、今述べたような実態を総合的に見て判断されるべきだと考えますが、いかがですか。

大西審議官 個別企業の事案につきましては、ちょっと具体的に申し上げることは控えさせていただきますが、一般的に申し上げると、先ほども申し上げましたとおり、この雇い止めの有効性について紛争が生じた場合には、最終的にはもう民事的な紛争といたしまして、昨年成立しております労働契約法第19条に規定いたします雇い止め法理に基づきまして司法判断がされるというようなことでございます。
 これまでの裁判例を見ましても、司法判断の内容につきましては、個々の事案に応じまして最初の契約の締結時、あるいは雇い止めされてもう最後の契約の満了のときまでのその全体が総合的に勘案されるというようなことでございまして、一般論で申し上げますと、契約書の内容やその雇入れから雇いの契約の終了までの全ての事情が、その他の事情がいろいろ考慮されて具体的に判断されるというものだと存じます。

山下よしき 総合的に勘案すればさっき言ったようなことがあるわけですから、私はいすゞの期間社員の雇い止めは無効だと思います。
 いすゞでは、ずっと働き続けたいと願うこのAさんに対して、これまでは業務量などを判断して契約更新することがあるとしてきた契約書を、次の更新は行わないというものにして、それにサインしなければ12月8日で雇い止めすると言ってきております。このような労働者が毎月毎月大量に生み続けられていることを私は見過ごしてはならないと、こう思っております。
 官房長官にそこで是非認識していただきたいのは、こういうやり方がされているのは、いすゞだけではないということなんですね。ダイキン、ダイハツ、キヤノンなど、私が知っているだけでも、ほかの大企業で3か月や6か月などの短期契約を繰り返しながら、判で押したように最長2年11か月あるいは最長2年6か月などとして期間社員を雇い止めし、入れ替えております。何でこんなことをするのか。
 厚労省にもう一点確認しますけれども、有期労働契約が通算3年を超えて更新されることを禁止した法律でもあるんでしょうか。

大西審議官 有期労働契約の更新を3年を超えて行うことを禁止するような法令はないという具合に承知しておるところでございます。

山下よしき ないんです。ないんだけども、いろんな企業がみんな判で押したように2年11か月で雇い止めする上限はというふうになっておるんですね。
 何でそうなっているのかと。これは期間社員を雇用の調整弁にするため、それだけしかないと思いますね。景気が悪くなったときに切れなくなるから、今事業が忙しいけども切るということにほかなりません。そのために、名立たる大企業は右へ倣えで最長2年11か月などという契約書にしているわけですね。総理の言う非正規から正規への道をあえてそのために閉ざしているということであります。しかし、それがどんなに不合理で、どんなに理不尽なことか。私、官房長官に三つの角度から是非考えていただきたい。
 第一は、何よりも労働者の生活設計、人生設計が成り立たなくなるということです。労働者の人生は2年11か月とか2年六か月で終わりません。例えば三十代の方であれば、定年までだけでも30年あります。その後の定年後も考えれば40年、50年と続くわけですね。いすゞの期間社員1年目のある若者は、3か月ごとに本当に更新してくれるのかどうかいつも心配で、地に足が付かないそわそわしたような不安がずっと続いていると打ち明けてくれました。これでは結婚もできない、子供をつくることもできない若者がますます増えることにならざるを得ません。
 二つ目に、企業にとってもこれは不合理なやり方だと思います。技術や技能の継承が果たしてこれでできるんだろうかと。いすゞでは、7人から8人の作業チームのうち半分が期間社員だそうです。職場ではこの期間社員がもうくるくるくるくる新人に入れ替わると、そのたびに作業の流れが止まるんだよという声が上がっております。それから、ダイハツも、非正規がかつては1,000人だったのが今3,000人、3倍になっている。職場では、不良品のチェックなどは熟練が必要なのに果たして大丈夫かという声が上がっております。
 そして、三つ目に、これは日本経済全体にとってもデフレ不況からの脱却に逆行するやり方ではないか。政府の労働経済白書でも、賃下げの最大の要因は非正規雇用の増大だと言っております。
 官房長官、私は、切りたいときに切れなくなるから切らなくていいときにもう切るという、この余りにも不合理で理不尽なやり方が、労働者にとってだけではなくて、企業にとっても日本経済にとっても計り知れないマイナスの影響を与えていると思います。しかも、名立たる大企業が同じやり方をしている、これは放置できないゆゆしき問題だと思いませんか。

菅官房長官 私も、委員の発言を素直に聞くと、会社にも不利益で、日本経済にも不利益、そして労働者の皆さんにも不利益と、そんなことが本当に通るのかなという、そんな思いで今聞いていたわけでありますけれども、政府としては、いずれにしろ、この非正規労働者の雇用の安定を実現するために、やはり経済が強くなきゃならない、先行き確かな経済でなきゃならないというふうに思っていますので、雇用の拡大と賃金の上昇に向けてそうした強い経済をつくって、全力でそうした生活安定のために取り組んでいきたいと思います。

山下よしき 前半の答弁は大変良かったんですが、その結論が違うんですよ。私が言ったのは、労働者だけではなくて企業にとっても日本経済にとってもこれはマイナスの影響を与えているじゃないかと。そう感じると官房長官はおっしゃったんだったら、これ放置してはならないと思うんですよ。
 一つ提案があるんですが、政労使会議というものを始めました。官房長官も総理も過去2回は出ておられます。次、3回目があって、非正規の問題が検討されるというように聞いております。ここでこういう、法律で禁止されているわけでもない、切りたいときに切れなくなるから今のうちに切っておくんだというようなやり方が余りにも経済にも個人にも企業にも大打撃を与えているとお感じになるんだったら、もうこういうやり方は再検討するように政労使会議の場で経済界に正面から再検討を提起すべきではないでしょうか。いかがですか。

菅官房長官 いずれにしろ、この我が国経済の人的資本形成の観点のみならず、社会問題としてもやはりここは極めて大事だというふうに思います。
 そういう中で、先般立ち上げた経済の好循環実現に向けた政労使会議、経済の好循環実現に向けてどのような課題があり、政府、経営者、労働者、それぞれの立場でどのような対応をすべきかについて共通の認識を持つ、そのためにこれをつくったわけであります。この会議において、労働者全体の3分の1以上を占める非正規労働者の処遇改善や多様な働き方に向けた課題についてこれ議論をする予定でありますので、有識者からの御意見も伺いながら幅広い議論がなされるものというふうに考えます。
 こうした取組を通じて政労使の共通認識をしっかりと醸成をし、非正規労働者を取り巻く環境の整備に取り組んでいきたいと思います。

山下よしき 私は、今こうやって国会の場で有期雇用労働者の実態を聞かせていただいた上で問題提起しているんですよ。だから、政労使の会議で有識者に議論してもらうんじゃなくて、参加する政府の代表、官房長官がこの国会の議論を踏まえて先ほど感じていただいたことをやはり問題提起しなかったら、何のために国会で問題提起しているんでしょうか。
 ですから、これは是非官房長官の方からこういう問題についても問題意識を持って提起していただくことを検討していただきたい。いかがですか。

菅官房長官 今申し上げましたけれども、こうした非正規労働者を取り巻く課題の解決、こうしたものについて、当然その環境について議論をすることであります。

山下よしき その中に今の2年11か月問題も含めて検討すると、提起するということでいいですか。

菅官房長官 非正規労働者の皆さんがやはり安心をして仕事に就くことができるように、これは当然この中の課題にはさせていただきたいと思います。

山下よしき 非常に大事な問題ですから、更にいろいろ視野を広げて、私たちも更に調査もして問題提起させていただきますが、これは放置できない問題だという立場から提起をさせていただきました。
 次に、新藤大臣に来ていただいております。国家戦略特区について質問をいたします。
 先日の当委員会での大臣挨拶では、国家戦略特区について、大胆な規制改革等を実行するための突破口として創設すると位置付けをされました。ならば、これまでの規制緩和が私たちの社会にどのような影響を与えたか、よく総括する必要があるのではないかと私は思うんです。
 例えば、大型店の出店規制の撤廃で全国各地で商店街はシャッター通りになるなど地方に活気がなくなりました。それから、労働法制の規制緩和で若者の2人に1人が正社員になれずに今苦しんでおります。このように、規制の撤廃や緩和が地域社会あるいは日本社会全体に大きな打撃やあるいは否定的な影響を与えたケースは決して少なくないと思います。
 私は、国民の命や暮らし、あるいは中小企業や雇用を守るための規制まで撤廃、緩和するのは間違いだと考えますが、これは通告していないんですけど基本的な認識、規制緩和についての基本的な大臣の認識についてまず聞きたいと思います。

新藤義孝国務大臣(戦略特区担当) これはまさに総合的に、メリットもあればデメリットもある、そういった中で社会的に環境が悪化するようなことはあってはならないと思うんです。
 今まで私たちも何度も経験してきました。大店法の改正も、確かにそういう御指摘のような部分も出てきました。ですから中心市街地活性化法で、これをどうやって挽回しようかというようなことを手を打ちました。それから、私がよく覚えているのは特石法ですね。石油スタンドが、初期のころの規制緩和でしたからゼロ、100で緩和してしまったものですから、全く手の打ちようがなくなってしまったと、こういうようなこともございます。
 ですから、規制緩和というのは国民生活により向上をもたらすものでなければいけないわけですから、それはいろんな影響をよく吟味しなければならないと、このように考えます。

山下よしき そこで、具体的に雇用の問題ですけれども、特区のワーキンググループでは、解雇要件、手続を契約書面で明確化すれば裁判規範とするように制度化させるなどが議論されてきました。例えば、労働者が遅刻したら解雇ということを書面で明確にしていれば解雇できるということを裁判判例として認めようということでありまして、これはもうまさに解雇特区だということで大きな批判が起こって、政府はトーンダウンされたわけですが、私は特区を使って雇用の規制緩和、今、非正規が大変増えて問題になっているときに、雇用の規制緩和を特区を使ってやることはもう一切やめるべきだと思いますが、いかがですか。

新藤大臣 今回の国家戦略特区というのは、まさに日本経済の突破口として大胆な規制緩和、それから税制、そういったものを含めてこの国の新しい経済を開こうと、そういう言わば象徴的なものにしようと、こういうことでございます。ですから、全国でやるわけではありません。
 そういう中で、今の雇用の問題につきましては、解雇ではなくて雇用ですよね、雇用ルールを明確化しようということでございまして、雇用ルールが分かりにくいことがグローバル企業それから新規企業の投資阻害要因になりかねないということでございます。したがって、裁判例の分析や類型化などによって雇用のガイドラインを作りまして、そして個別労働関係紛争の未然防止、それから予見可能性の向上、こういったものを図りたいというふうに考えているわけです。
 それから、もう一つは、統合推進本部という、特区をつくったときにそれぞれを推進するための本部をつくります。その本部の中に雇用労働相談センターというものを設けまして、この雇用ガイドラインに沿っているかどうかなど、あらかじめ助言や相談ができる、そういう事前の段階のいろんな対応ができるような、そういう工夫をしてみようということでございます。これは雇用条件を明確にすることで雇用の拡大を図る、そういったものを私としては取り組みたいと、このように考えておるわけでございます。

山下よしき もう時間なので一言だけ。
 そうおっしゃるんですけど、官房長官が昨日、講演された中で、有期雇用契約の無期雇用に切り替えられる期限を、5年にこの間なったばっかりですが、これを10年にする方向で進めていると講演されておりますが、これは非正規から正規の道をより長いものにしちゃうということにほかならないわけで、おっしゃっていることとやろうとされていることがもう全く逆だというふうに私は感じます。これが特区の中で一つ残っているということもありますので、これはもう法案の中で審議しますけれども、雇用のルールをより緩めて、非正規から正規への道を延ばしたり、閉ざしたりするようなことには絶対にしてはならない。そのことを申し上げて、質問を終わります。