何年働いても非正規雇用、正社員への道がますます遠くされようとしていることは重大 
【議事録】2013年12月7日 参議院本会議での国会戦略特区法案に対する反対討論

 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特区法案に反対の討論を行います。
 法案の内容に入る前に、法案審議の民主的ルールを真っ向から否定した与党による本院と内閣委員会の運営について一言申し上げたい。
 国家戦略特区法案は、安倍内閣の重要法案とされているにもかかわらず、公正で円満な運営を進めようとしていた前内閣委員長を数を頼んで解任した上に、委員長職権で委員会を開催し、参考人質疑も行わず、委員の十分な審議も保障しないまま、委員会に続いて本会議で採決を強行しようとしていることに対し、まず強く抗議をいたします。
 内閣委員会における本法案の審議時間は、衆議院の3分の1にも満たない僅か7時間でしかありません。そのような状態で会期末を迎えた以上、会期制の原則にのっとるなら、本法案は、本来、審議未了、廃案とすべきものであります。
 以下、国家戦略特区法案に反対する理由を具体的に述べます。
 第一の理由は、本法案が、弱肉強食の市場原理主義に基づく規制緩和を、特区地域の指定も含め、国家の意思として上から一方的に押し付け、やがて全国に拡大するものであり、そのために総理大臣の下に新たな規制緩和メニューを次々と加えることができるシステムを創設するものだからであります。
 初めに規制緩和ありきで、規制緩和によって安心、安全が脅かされる側の声は事前に聞かれることなく、規制緩和後の悪影響も検証される仕組みがない本法案は、国民の中に一層の貧困と格差をもたらすものとならざるを得ません。
 反対理由の第二は、特区地域の指定、特区計画の認定、雇用ガイドラインの検討などを担うこととなる要の組織、国家戦略特区諮問会議に、総理、官房長官などとともに、解雇特区や雇用の規制緩和を強力に主張している竹中平蔵氏、今や派遣会社会長でもある同氏を始め、財界人が民間議員として起用されようとしているからであります。
 私の本会議質問でも、菅官房長官は竹中氏の起用について否定せず、仮に議員が直接の利害関係を有すると考えられる議題が上がる場合には、当該議員が審議に参加しないようにできる仕組みとしたいと、根拠も担保もなく答弁されましたが、法人税の優遇や労働法制の規制緩和などが議題となるたびに外すことなどできるはずがありません。
 人間社会は、使用者と労働者が対等の立場にない雇用関係において、労働者保護のための労働法の必要性を自覚し、長年の努力によって契約自由の社会を修正してきました。それが近代社会の到達点であります。事もあろうに、労働者の搾取が自由にまかり通っていた時代に逆戻りすることを望むかのような、むき出しの規制緩和論者を諮問会議のメンバーに据えるなど到底許されるものではありません。
 反対理由の第三は、今や若者の、そして女性の二人に一人が正社員になれず、不安定雇用と低賃金に苦しんでいる中、求められているのは、安心して働ける雇用のルールの確立、正社員化と均等待遇、中小企業への支援と併せての最低賃金の大幅引上げなどであるにもかかわらず、この法案はそれと逆行する労働規制の緩和の道筋を付け、一層非正規化を進め、格差社会を広げるものだからであります。
 この間、国家戦略特区ワーキンググループでは、労使の契約でいつでも解雇できるようにすること、労働時間の上限規制の緩和をすることなど、解雇特区、過労死特区ともいうべきものが検討されてきました。こうした企ては国民の批判を前にトーンダウンしたものの、新たに有期労働の無期転換申込みを現行五年から十年に延長することが狙われており、何年働いても非正規雇用、正社員への道がますます遠くされようとしていることは重大です。
 これだけにとどまらず、法案では、医療、農業、教育など、様々な分野で、国民の命と安全、暮らしや営業にかかわる規制緩和が首相のトップダウンで次々と持ち込まれようとしております。日米の財界の要求を優先し、国民の命や暮らし、雇用や中小企業を守るルールを壊すことなどあってはなりません。
 以上、本法案に反対する理由を述べました。
 最後に、この法案にかかわらず、国会の中の多数で悪法を強行することはできても、国民の中に息づく民主主義の力まで押しとどめることはできません。国民は必ず政治の横暴を自ら乗り越え、新しい時代を切り開くことになることは間違いない。その確信を述べて、討論を終わります。

適性評価は派遣法違反 
【議事録】2013年12月6日 参議院内閣委員会質問

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 ちょっと通告とは順番が違うかもしれませんが、質問をさせていただきます。
 まず、この戦略特区法案では、特区会議の下に雇用相談センターなどを置いて、雇用のガイドラインを作成するなどとしております。
 私は、この法律を潜脱するような、脱法を促すようなガイドラインであっては絶対ならないと、こう思っております。いかに労働関係法制が分かりにくい面があるからといって、それを余計なガイドライン作って労働者に不利なように働くことをしてしまってはならない。行政はあくまで労働者保護の立場に立つべきであって、この分野に特区諮問会議の民間有識者の口を挟ませるべきではないと、私はこう考えております。
 この点はもう意見だけで終わっておきたいと思いますが、そこで、今本院にかかっております特定秘密法案についてもこれにかかわる問題が実は生じてくるんです。労働者の地位にとって重要な影響を与えると思われる適性評価の問題でありますが、まず、これは内閣審議官にも来ていただいておりますけれども、適性評価の対象となる労働者には、パートタイム労働者、契約社員、期間社員あるいは派遣労働者なども含まれるということでいいんでしょうか。

○鈴木良之内閣官房内閣情報調査室内閣審議官 お答えします。
 先生御指摘の従業者は、いずれも適性評価の対象となります。

○山下よしき そういうことなんですね。企業の直接雇用されている労働者だけではなくて、派遣労働者も特定秘密を扱うことが起こり得る場合は適性評価の対象になっております。
 そこで質問しますが、派遣先でかかわっている業務が特定秘密を扱うこととなった場合に、その派遣労働者も適性評価の対象となるわけですが、その派遣労働者が適性評価を受けることを同意しなかったとき、また適性評価で適性だという評価がなされなかったとき、派遣契約は解除されることがあるんでしょうか。

○岡田広内閣府副大臣 お答えいたします。
 派遣労働者を含め、契約業者の従業者が行政機関から特定秘密の提供を受けてこの取扱いの業務を行う場合には、特定秘密を提供する行政機関の長が実施する適性評価を受けなければならないということは、議員御承知のとおりだろうと思います。
 そして、適性評価を行った行政機関の長は、契約業者に対して適性評価の結果又は当該従業者が適性評価の実施に同意しなかった旨のみを通知し、また通知を受けた契約業者は派遣労働者の雇用主に対してこれらの事項を通知することとなっております。これら以外に契約業者や雇用主に通知される情報はありません。適性評価で調査された事項が派遣労働者の人事考課に影響することもありません。
 加えて、特定秘密保護法では、第16条第2項において、通知された適性評価の結果又は適性評価の実施に同意しなかったことを特定秘密の保護以外の目的のために利用又は提供することを禁止しており、特定秘密の取扱いに関係しない人事考課に利用することはそもそもできないということになっております。
 以上です。

○山下よしき じゃ、厚労省に確認しますけれども、適性評価に派遣労働者が同意しなかった、あるいは適性評価を受けたけれども適性だという評価がなされなかったことを理由にして派遣契約を解除することは違法だという理解でいいですか。

○宮野甚一厚生労働省職業安定局次長 お答えをいたします。
 特定秘密を取り扱う業務への派遣の場合、特定秘密保護法の施行後に締結される派遣契約においては、派遣労働者が適性評価をクリアすることが業務遂行の前提になるものと考えております。そのため、派遣労働者が適性評価をクリアしなかった場合の対応については、派遣契約においてあらかじめ定められることになるというふうに考えております。
 したがって、派遣契約が中途解除された場合に、それが派遣先都合の解除であるかどうかということについては、当該派遣契約で定められた内容に従って判断されるものと考えております。

○山下よしき 今おっしゃった派遣契約というのは、例えば防衛省と派遣先企業のことなのか、それとも派遣労働者と派遣元の契約のことをいっているのか、どちらですか。

○宮野次長 派遣契約につきましては、これは派遣先と派遣元、それぞれの企業との間の契約でございます。

○山下よしき それでは、今答弁にあった派遣先の都合による解約なのか、それとも派遣労働者の能力の問題なのか、それはどこで判断するんですか。

○宮野次長 いずれにいたしましても、その点については、派遣契約においてどういった形で契約がされているのかということによるものというふうに考えております。

○山下よしき 現在、派遣労働者が派遣先で労働している場合、その派遣先企業に対し特定秘密が提供され得る場合もあるわけです、これから。その場合に、現在派遣先で働いている派遣労働者に対して適性評価が行われることになります。
 その結果、不適格だというふうになった場合、先ほどの答弁では、その派遣労働者はその当該企業では労働することができなくなるという趣旨の答弁がありました。そうすると、雇用を失うということになるんじゃありませんか。

○宮野次長 今委員御指摘がございましたように、特定秘密保護法の施行前に締結された派遣契約の場合は、派遣労働者が適性評価をクリアしなかったことを理由とした中途解除、これがあり得るわけですけれども、それは法律の規定により当該業務を遂行できなくなったことによるものであって、派遣先の責に帰すべき理由による解除とは認められないというふうに考えております。
 いずれにしても、その場合どうなるかということでございますが、派遣法においては、派遣契約の当事者は、派遣契約の解除に当たって派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項をあらかじめ定めるということとなっております。派遣契約が解除された場合には、この定めに従って適切に対応されるものというふうに考えております。

○山下よしき 二点確認します。
 なぜ派遣先の責任ではないんですか。

○宮野次長 繰り返しになりますが、法律の規定により業務を遂行できなかったということでございますので、これは派遣先の責に帰すべき理由にならないというものでございます。

○山下よしき じゃ、労働者の責任ですか。

○宮野次長 繰り返しになりますが、いずれにしても、これは派遣先の責に帰する事由ではないということだというふうに考えております。

○山下よしき 質問に答えておりません。労働者の責任になるのかと聞いております。

○宮野次長 これは、その事情によってどういうふうに判断されるのかというのは、個別の事情によって判断されることになるというふうに考えております。

○山下よしき 派遣先企業は責任はないと今判断できるのに、なぜ労働者の責任ではないと言えないんですか。おかしいじゃないですか。これまでずっと働いていた労働者が、派遣先とその派遣先の契約先が行政庁あるいは防衛省になって、そこが特定秘密の提供を受ける、あるいはその業務を委託する、そういうことになっただけじゃないですか。何でそれが労働者の責任になる可能性があるんですか。ならないでしょう。

○宮野次長 お答えをいたします。
 これは、派遣労働者が適性評価をクリアしなかったという理由について、これは恐らく様々な理由が考えられると思います。それによりまして具体的にどう判断されるかということになろうというふうに考えております。

○山下よしき その派遣労働者が適性評価に合格しなかった、様々な理由と言いますが、労働者の責任だということになってしまうわけですよ、客観的には。そして、その派遣先で雇用契約が、雇用契約というか、そこで仕事をすることはできなくなる。その労働者の雇用の安定はどうなるんですか。

○宮野次長 これも恐縮ですが、繰り返しになりますが、派遣法におきましては、これは派遣契約の解除に当たって派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項をあらかじめ定めるということになっております。それによりまして適切に対応していただくということになろうと思います。

○山下よしき そんなことが実効性があるわけがないというのがこれまでの実際の結論じゃないですか。リーマン・ショックのときに派遣契約は打ち切られました。八割の労働者がそのまま解雇され、職も住まいも失ったんですよ。そんなもの紙に書いているからといって、派遣労働者が次の就職先、雇用、労働の場所が保障されるなんという担保は全くないですよ。
 派遣先企業の責任は免れるけれども、派遣労働者の雇用の安定は全く保障されないということにならざるを得ないということが確認されました。
 もう一つ聞きます。
 派遣先は、特定秘密にかかわる業務に就ける派遣労働者、つまり適性評価に合格をして特定秘密取扱者の資格を得た派遣労働者を具体的に要請することができるのか。派遣先が派遣労働者を特定する行為は派遣法違反となるのではないですか。

○宮野次長 これは、派遣契約を結びまして、具体的にどの労働者を派遣するかという時点におきまして、派遣先におきましてこの適性検査を行うということになろうというふうに考えております。

○山下よしき 今の答えは、確認しますけど、派遣先で適性評価を受けるんですか。

○宮野次長 派遣先で、派遣先といいますか、適性評価を行う、この法律によりまして、特定秘密保護法によりまして適性検査を行う主体によって適性検査を行うということでございます。

○山下よしき 派遣法では、派遣先は派遣労働者の特定は禁止されているんです、事前面接も禁止されているんです。派遣される前に派遣労働者が適性評価のために、これ、適性評価を行うのは関係省庁の長ですから、防衛省の場合は防衛相、これは防衛大臣ができるわけありませんから防衛省の職員が面談をすることになります。派遣法の事前面接違反になるんじゃないですか。

○宮野次長 これは、特定秘密保護法におきましてこうした仕組みが定められておりますので、この適性検査につきましては労働者派遣法の違反になるものというふうには考えておりません。

○山下よしき 重大な答弁ですよ。労働者の雇用の安定、それから労働者を物のように扱ってはならないという今の事前面接禁止をこの特定秘密保護法ができれば守らなくていいという、そういう答弁ですね、今のは。重大だ。もう一遍確認します。

○宮野次長 派遣労働者、この特定業務の遂行に必要であるために、それぞれの労働者の個人を特定することはできませんけれども、能力がどうかということを要請すること自体は可能であるというふうに考えております。

○山下よしき 要するに、実際は事前面接をやったのに等しい、そういう効果が生まれるんですよ。そうじゃないと、その派遣先、つまり防衛省の特定秘密を扱う仕事はできないわけですから。
 そうすると、これまで働いていた派遣先の労働者がその事前面接を理由にしてやっぱり契約解除ということ、あり得ますね。

○宮野次長 これは先ほども御答弁したとおりでございますけれども、特定秘密保護法の施行前に締結された労働契約の場合について、この法律の施行後、法律の規定によって派遣契約が中途解除されるという可能性はあるというふうに考えております。

○山下よしき 何遍聞いても可能性ありなんですが、もう一つ聞きます。
 適性調査をする場合、今の特定秘密保護法では、派遣労働者の同僚、上司への聞き取りということがやられることになります。この場合は、派遣先の同僚なのか、派遣元の同僚なのか、どちらになるんですか。

○鈴木審議官 お答えします。
 両方含まれると考えています。

○山下よしき かなり広く聞き取り調査が行われるということですが、その派遣先あるいは派遣元で聞き取り調査をするのは誰ですか。

○鈴木審議官 お答えします。
 行政機関の長が指名した行政機関の職員が行います。

○山下よしき 防衛省と契約している場合は防衛省の職員ということですか。

○鈴木審議官 さようでございます。

○山下よしき 派遣法24条には、個人情報保護法に基づいて、思想、信条、出身地、社会的身分の個人情報を収集してはならないと派遣法24条に明定しております。適性調査はこの点からも派遣法違反ということになるんじゃないですか。

○宮野次長 この適性調査については、この今回の特定秘密の保護法案、保護法に基づいて行われるものであるというふうに認識をしております。

○山下よしき では、派遣法24条をじゅうりんする特定秘密保護法案だけれども、厚生労働行政の担当者としては容認するということですか。

○宮野次長 繰り返しの御答弁になりますけれども、この特定秘密の保護に関する法律に基づいて行われるものであるというふうに考えております。

○山下よしき これ、もう本当にこの面からも派遣労働者は保護されないんですよ。非常に重要な、重大な内容が含まれている。この委員会の所管ではないですけど、こういうものはもっともっとこういう面からも慎重に検討がなされなければならないという感想を持ちました。
 別の質問に移ります。
 新藤大臣、伺います。
 新藤大臣の戦略特区コンセプトの素案段階の資料を見ますと、諮問会議などに関係大臣が正式メンバーとして入っていたということにこれなっているんですけれども、諮問会議にですね、関係大臣が。ところが、これが外されております。今度の法案では、諮問会議には関係大臣は入っておりません。何でこうなったんでしょうか。

○新藤義孝国務大臣 コンセプトペーパーは案として作りました。その一体、今私見ておりませんが、関係大臣というのはどこまでを関係大臣と言うかということでございまして、この国家戦略特区にかかわる大臣を関係大臣と呼んでいるわけでありますから、それは、諮問会議には大臣というのは入っております。

○山下よしき 済みません、もう一度。ちょっと聞き漏らしてしまいました、関係大臣は。

○新藤大臣 特区諮問会議には、総理とそして関係大臣と民間の有識者で構成するのでありますから、大臣は入っております。

○山下よしき 諮問会議ですよ。
 諮問会議には関係大臣は入っていないですよ。

○新藤大臣 それは、戦略特区担当大臣も関係大臣ではないんですか。

○山下よしき 戦略特区担当大臣はもう元々入っているんですよ。要するに、行政の規制を所管する大臣がそもそも新藤大臣のこの最初のコンセプトの素案段階には入っているんですよ、ここに。それが外されているんです。何でですかと。

○新藤大臣 それは、外したのでなくて、必要に応じて参加できるようにいたします。しかし、この特区諮問会議をこれは簡潔に、そしてスピーディーに進めていくために、そういう工夫をしたということでございます。

○山下よしき 外れた理由はいろいろあるかもしれませんが、一つの大きな要因に、私は、竹中平蔵さんが入れるべきじゃないという趣旨のことを発言されているんですよ。否定されていますけれども、客観的にはそういう事実がここにあるわけですね。
 外すどころか、特区諮問会議の下、関係大臣に対する措置要求ないし勧告などの制度を設けるんだと。要するに、意見を言うんじゃなくて、諮問会議で規制緩和せいと言ったらちゃんと従えと、そういう仕組みをつくるべきだというふうに竹中さんは言っているんですよ。それに負けちゃったんじゃないんですか。

○新藤大臣 その方がいつどういう発言したか、私は承知をしておりませんけれども、私どもがこの問題を検討するときに、そういった意見は一度も検討の俎上にのせたことはございません。
 そして、今回の関係大臣は必要に応じというのは、先ほど申しましたように、スピーディーに、そしてシンプルな組織とすると。最終的には閣議決定を行います。そこで全大臣が参加をするわけであります。ですから、まずは、案を作るときには総理の強力なリーダーシップの下で関係者をできる限り絞り込んで決めていこう、しかし必要に応じての協議は行えます、また関係大臣も入っていただく場合もあります、そして最終的には全大臣が参加をする閣議においてこれを決定すると、こういう仕組みにしたわけでございます。

○山下よしき ちゃんと4月17日の竹中平蔵さんの、立地競争力の強化に向けて、アベノミクス戦略特区の推進というペーパーの中に今私が言った趣旨が入っているんですよ。新藤さんが知らなかったというのはそうかもしれませんけれども、だから大臣は知らなかったんでしょうけれども、こういうことがやられている。もういいです、これは時間ないですから。
 前から積み残している質問をしなければならないんで、そちらに移りたいと思いますが、もう一度厚生労働関係に戻りますけれども、この特区法の中にはわざわざ労働契約の規制緩和について触れた部分があります。有期労働契約の上限規制の問題ですが、厚生労働省に伺いますが、厚生労働省が所管する直接の法案以外にわざわざ労働契約の規制緩和について労政審で議論する、あるいは次期通常国会でなどと書き込まれたケースはありますか。

○大西康之厚労大臣官房審議官 委員御指摘のこの法案でございますけれども、10月18日、委員御承知のとおり、日本経済再生本部の基本方針の中ででございますが、厚労大臣は検討に当たり労働政策審議会の意見を聴くとか、あるいは26年通常国会に必要な法律案を提出するという、そういう本部の決定に沿いまして法案を作るという、そういう作業をしたわけでございます。
 確かにこの法案、全体が別に労働関係ばかりではございませんが、この労働政策審議会の意見という部分につきましては、委員御指摘のとおり、有期雇用の特例という労働関係の事項についてこういったことを審議するというようなことが書かれたものという具合に承知しておるところでございます。

○山下よしき いやいや、答えていないじゃないですか。こういうことをやった法案がほかにあるんですかと言っているんです。

○大西審議官 労働関係が何も書いていない法案におきまして労働政策審議会の意見という形で何か書かれているという、そういったものについては承知しておりません。

○山下よしき これはたまたまそこの部分に入っているだけなんですよ。労働関係の法令じゃないんですよ。そこでこういうことまで義務付ける、方向付けするというのは初めてなんですよ。
 私が何を言いたいかといいますと、雇用と労働という人間にとって生きていくもう基本的条件の問題について、こんな特区というやり方で、本来であれば三者構成主義ですよ、使用者側、そして労働者代表、そして政府代表が、三者が一致してとことん話し合ってルールを決めていく。そして、労働行政は労働者保護の原則に立って物を言わなければならないんですよ。そういう原則がすっ飛ばされる危険性がある。もう結論はここにあるんだから、その三者構成主義を具体化している労働政策審議会にももうあらかじめ結論を持って議論せいよというようなことをやっちゃったら、労働者保護のルールがこの特区法案を通じて骨抜きになるんじゃないか、そういうことを危惧するわけであります。こういうことをやってはならないと思います。
 最後、時間が来ましたので、もう一問だけ聞いて終わりにしたいと思いますが、新藤大臣にかかわる問題ですが、これ、ある新聞、日本経済新聞ですが、特区の選定場所について、東京、大阪、愛知というもう具体的な地名が報道されました。あわせて、官房長官が沖縄を提案した、新藤大臣は新潟を提案していると。沖縄の普天間の基地、柏崎刈羽原発再稼働に向けて利益誘導ではないかという報道でありましたけれども、これは事実でしょうか。

○山東昭子内閣委員長 新藤大臣、時間が来ておりますので簡潔に。

○新藤大臣 私がそのようなことを申し上げた事実はございません。

○山下よしき 経過を見たいと思いますが、もしこのとおりのことやったら大変なことになるということですので、こういうことがあってはならないということで注視していきたいと思います。
 終わります。

労働者保護のルールが骨抜きにされる危険性—戦略特区法案 
【議事録】 2013年12月6日 参議院内閣委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 ちょっと通告とは順番が違うかもしれませんが、質問をさせていただきます。
 まず、この戦略特区法案では、特区会議の下に雇用相談センターなどを置いて、雇用のガイドラインを作成するなどとしております。
 私は、この法律を潜脱するような、脱法を促すようなガイドラインであっては絶対ならないと、こう思っております。いかに労働関係法制が分かりにくい面があるからといって、それを余計なガイドライン作って労働者に不利なように働くことをしてしまってはならない。行政はあくまで労働者保護の立場に立つべきであって、この分野に特区諮問会議の民間有識者の口を挟ませるべきではないと、私はこう考えております。
 この点はもう意見だけで終わっておきたいと思いますが、そこで、今本院にかかっております特定秘密法案についてもこれにかかわる問題が実は生じてくるんです。労働者の地位にとって重要な影響を与えると思われる適性評価の問題でありますが、まず、これは内閣審議官にも来ていただいておりますけれども、適性評価の対象となる労働者には、パートタイム労働者、契約社員、期間社員あるいは派遣労働者なども含まれるということでいいんでしょうか。

鈴木良之内閣情報調査室内閣審議官 お答えします。
 先生御指摘の従業者は、いずれも適性評価の対象となります。

山下よしき そういうことなんですね。企業の直接雇用されている労働者だけではなくて、派遣労働者も特定秘密を扱うことが起こり得る場合は適性評価の対象になっております。
 そこで質問しますが、派遣先でかかわっている業務が特定秘密を扱うこととなった場合に、その派遣労働者も適性評価の対象となるわけですが、その派遣労働者が適性評価を受けることを同意しなかったとき、また適性評価で適性だという評価がなされなかったとき、派遣契約は解除されることがあるんでしょうか。

岡田広内閣府副大臣 お答えいたします。
 派遣労働者を含め、契約業者の従業者が行政機関から特定秘密の提供を受けてこの取扱いの業務を行う場合には、特定秘密を提供する行政機関の長が実施する適性評価を受けなければならないということは、議員御承知のとおりだろうと思います。
 そして、適性評価を行った行政機関の長は、契約業者に対して適性評価の結果又は当該従業者が適性評価の実施に同意しなかった旨のみを通知し、また通知を受けた契約業者は派遣労働者の雇用主に対してこれらの事項を通知することとなっております。これら以外に契約業者や雇用主に通知される情報はありません。適性評価で調査された事項が派遣労働者の人事考課に影響することもありません。
 加えて、特定秘密保護法では、第十六条第二項において、通知された適性評価の結果又は適性評価の実施に同意しなかったことを特定秘密の保護以外の目的のために利用又は提供することを禁止しており、特定秘密の取扱いに関係しない人事考課に利用することはそもそもできないということになっております。
 以上です。

山下よしき じゃ、厚労省に確認しますけれども、適性評価に派遣労働者が同意しなかった、あるいは適性評価を受けたけれども適性だという評価がなされなかったことを理由にして派遣契約を解除することは違法だという理解でいいですか。

宮野甚一厚労省職業安定局次長 お答えをいたします。
 特定秘密を取り扱う業務への派遣の場合、特定秘密保護法の施行後に締結される派遣契約においては、派遣労働者が適性評価をクリアすることが業務遂行の前提になるものと考えております。そのため、派遣労働者が適性評価をクリアしなかった場合の対応については、派遣契約においてあらかじめ定められることになるというふうに考えております。
 したがって、派遣契約が中途解除された場合に、それが派遣先都合の解除であるかどうかということについては、当該派遣契約で定められた内容に従って判断されるものと考えております。

山下よしき 今おっしゃった派遣契約というのは、例えば防衛省と派遣先企業のことなのか、それとも派遣労働者と派遣元の契約のことをいっているのか、どちらですか。

宮野次長 派遣契約につきましては、これは派遣先と派遣元、それぞれの企業との間の契約でございます。

山下よしき それでは、今答弁にあった派遣先の都合による解約なのか、それとも派遣労働者の能力の問題なのか、それはどこで判断するんですか。

宮野次長 いずれにいたしましても、その点については、派遣契約においてどういった形で契約がされているのかということによるものというふうに考えております。

山下よしき 現在、派遣労働者が派遣先で労働している場合、その派遣先企業に対し特定秘密が提供され得る場合もあるわけです、これから。その場合に、現在派遣先で働いている派遣労働者に対して適性評価が行われることになります。
 その結果、不適格だというふうになった場合、先ほどの答弁では、その派遣労働者はその当該企業では労働することができなくなるという趣旨の答弁がありました。そうすると、雇用を失うということになるんじゃありませんか。

宮野次長 今委員御指摘がございましたように、特定秘密保護法の施行前に締結された派遣契約の場合は、派遣労働者が適性評価をクリアしなかったことを理由とした中途解除、これがあり得るわけですけれども、それは法律の規定により当該業務を遂行できなくなったことによるものであって、派遣先の責に帰すべき理由による解除とは認められないというふうに考えております。
 いずれにしても、その場合どうなるかということでございますが、派遣法においては、派遣契約の当事者は、派遣契約の解除に当たって派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項をあらかじめ定めるということとなっております。派遣契約が解除された場合には、この定めに従って適切に対応されるものというふうに考えております。

山下よしき 二点確認します。
 なぜ派遣先の責任ではないんですか。

宮野次長 繰り返しになりますが、法律の規定により業務を遂行できなかったということでございますので、これは派遣先の責に帰すべき理由にならないというものでございます。

山下よしき じゃ、労働者の責任ですか。

宮野次長 繰り返しになりますが、いずれにしても、これは派遣先の責に帰する事由ではないということだというふうに考えております。

山下よしき 質問に答えておりません。労働者の責任になるのかと聞いております。

宮野次長 これは、その事情によってどういうふうに判断されるのかというのは、個別の事情によって判断されることになるというふうに考えております。

山下よしき 派遣先企業は責任はないと今判断できるのに、なぜ労働者の責任ではないと言えないんですか。おかしいじゃないですか。これまでずっと働いていた労働者が、派遣先とその派遣先の契約先が行政庁あるいは防衛省になって、そこが特定秘密の提供を受ける、あるいはその業務を委託する、そういうことになっただけじゃないですか。何でそれが労働者の責任になる可能性があるんですか。ならないでしょう。

宮野次長 お答えをいたします。
 これは、派遣労働者が適性評価をクリアしなかったという理由について、これは恐らく様々な理由が考えられると思います。それによりまして具体的にどう判断されるかということになろうというふうに考えております。

山下よしき その派遣労働者が適性評価に合格しなかった、様々な理由と言いますが、労働者の責任だということになってしまうわけですよ、客観的には。そして、その派遣先で雇用契約が、雇用契約というか、そこで仕事をすることはできなくなる。その労働者の雇用の安定はどうなるんですか。

宮野次長 これも恐縮ですが、繰り返しになりますが、派遣法におきましては、これは派遣契約の解除に当たって派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項をあらかじめ定めるということになっております。それによりまして適切に対応していただくということになろうと思います。

山下よしき そんなことが実効性があるわけがないというのがこれまでの実際の結論じゃないですか。リーマン・ショックのときに派遣契約は打ち切られました。八割の労働者がそのまま解雇され、職も住まいも失ったんですよ。そんなもの紙に書いているからといって、派遣労働者が次の就職先、雇用、労働の場所が保障されるなんという担保は全くないですよ。
 派遣先企業の責任は免れるけれども、派遣労働者の雇用の安定は全く保障されないということにならざるを得ないということが確認されました。
 もう一つ聞きます。
 派遣先は、特定秘密にかかわる業務に就ける派遣労働者、つまり適性評価に合格をして特定秘密取扱者の資格を得た派遣労働者を具体的に要請することができるのか。派遣先が派遣労働者を特定する行為は派遣法違反となるのではないですか。

宮野次長 これは、派遣契約を結びまして、具体的にどの労働者を派遣するかという時点におきまして、派遣先におきましてこの適性検査を行うということになろうというふうに考えております。

山下よしき 今の答えは、確認しますけど、派遣先で適性評価を受けるんですか。

宮野次長 派遣先で、派遣先といいますか、適性評価を行う、この法律によりまして、特定秘密保護法によりまして適性検査を行う主体によって適性検査を行うということでございます。

山下よしき 派遣法では、派遣先は派遣労働者の特定は禁止されているんです、事前面接も禁止されているんです。派遣される前に派遣労働者が適性評価のために、これ、適性評価を行うのは関係省庁の長ですから、防衛省の場合は防衛相、これは防衛大臣ができるわけありませんから防衛省の職員が面談をすることになります。派遣法の事前面接違反になるんじゃないですか。

宮野次長 これは、特定秘密保護法におきましてこうした仕組みが定められておりますので、この適性検査につきましては労働者派遣法の違反になるものというふうには考えておりません。

山下よしき 重大な答弁ですよ。労働者の雇用の安定、それから労働者を物のように扱ってはならないという今の事前面接禁止をこの特定秘密保護法ができれば守らなくていいという、そういう答弁ですね、今のは。重大だ。もう一遍確認します。

宮野次長 派遣労働者、この特定業務の遂行に必要であるために、それぞれの労働者の個人を特定することはできませんけれども、能力がどうかということを要請すること自体は可能であるというふうに考えております。

山下よしき 要するに、実際は事前面接をやったのに等しい、そういう効果が生まれるんですよ。そうじゃないと、その派遣先、つまり防衛省の特定秘密を扱う仕事はできないわけですから。
 そうすると、これまで働いていた派遣先の労働者がその事前面接を理由にしてやっぱり契約解除ということ、あり得ますね。

宮野次長 これは先ほども御答弁したとおりでございますけれども、特定秘密保護法の施行前に締結された労働契約の場合について、この法律の施行後、法律の規定によって派遣契約が中途解除されるという可能性はあるというふうに考えております。

山下よしき 何遍聞いても可能性ありなんですが、もう一つ聞きます。
 適性調査をする場合、今の特定秘密保護法では、派遣労働者の同僚、上司への聞き取りということがやられることになります。この場合は、派遣先の同僚なのか、派遣元の同僚なのか、どちらになるんですか。

鈴木審議官 お答えします。
 両方含まれると考えています。

山下よしき かなり広く聞き取り調査が行われるということですが、その派遣先あるいは派遣元で聞き取り調査をするのは誰ですか。

鈴木審議官 お答えします。
 行政機関の長が指名した行政機関の職員が行います。

山下よしき 防衛省と契約している場合は防衛省の職員ということですか。

鈴木審議官 さようでございます。

山下よしき 派遣法二十四条には、個人情報保護法に基づいて、思想、信条、出身地、社会的身分の個人情報を収集してはならないと派遣法二十四条に明定しております。適性調査はこの点からも派遣法違反ということになるんじゃないですか。

宮野次長 この適性調査については、この今回の特定秘密の保護法案、保護法に基づいて行われるものであるというふうに認識をしております。

山下よしき では、派遣法二十四条をじゅうりんする特定秘密保護法案だけれども、厚生労働行政の担当者としては容認するということですか。

宮野次長 繰り返しの御答弁になりますけれども、この特定秘密の保護に関する法律に基づいて行われるものであるというふうに考えております。

山下よしき これ、もう本当にこの面からも派遣労働者は保護されないんですよ。非常に重要な、重大な内容が含まれている。この委員会の所管ではないですけど、こういうものはもっともっとこういう面からも慎重に検討がなされなければならないという感想を持ちました。
 別の質問に移ります。
 新藤大臣、伺います。
 新藤大臣の戦略特区コンセプトの素案段階の資料を見ますと、諮問会議などに関係大臣が正式メンバーとして入っていたということにこれなっているんですけれども、諮問会議にですね、関係大臣が。ところが、これが外されております。今度の法案では、諮問会議には関係大臣は入っておりません。何でこうなったんでしょうか。

新藤義孝国務大臣(国家戦略特区担当) コンセプトペーパーは案として作りました。その一体、今私見ておりませんが、関係大臣というのはどこまでを関係大臣と言うかということでございまして、この国家戦略特区にかかわる大臣を関係大臣と呼んでいるわけでありますから、それは、諮問会議には大臣というのは入っております。

山下よしき 済みません、もう一度。ちょっと聞き漏らしてしまいました、関係大臣は。

新藤大臣 特区諮問会議には、総理とそして関係大臣と民間の有識者で構成するのでありますから、大臣は入っております。

山下よしき 諮問会議ですよ。
 諮問会議には関係大臣は入っていないですよ。

新藤大臣 それは、戦略特区担当大臣も関係大臣ではないんですか。

山下よしき 戦略特区担当大臣はもう元々入っているんですよ。要するに、行政の規制を所管する大臣がそもそも新藤大臣のこの最初のコンセプトの素案段階には入っているんですよ、ここに。それが外されているんです。何でですかと。

新藤大臣 それは、外したのでなくて、必要に応じて参加できるようにいたします。しかし、この特区諮問会議をこれは簡潔に、そしてスピーディーに進めていくために、そういう工夫をしたということでございます。

山下よしき 外れた理由はいろいろあるかもしれませんが、一つの大きな要因に、私は、竹中平蔵さんが入れるべきじゃないという趣旨のことを発言されているんですよ。否定されていますけれども、客観的にはそういう事実がここにあるわけですね。
 外すどころか、特区諮問会議の下、関係大臣に対する措置要求ないし勧告などの制度を設けるんだと。要するに、意見を言うんじゃなくて、諮問会議で規制緩和せいと言ったらちゃんと従えと、そういう仕組みをつくるべきだというふうに竹中さんは言っているんですよ。それに負けちゃったんじゃないんですか。

新藤大臣 その方がいつどういう発言したか、私は承知をしておりませんけれども、私どもがこの問題を検討するときに、そういった意見は一度も検討の俎上にのせたことはございません。
 そして、今回の関係大臣は必要に応じというのは、先ほど申しましたように、スピーディーに、そしてシンプルな組織とすると。最終的には閣議決定を行います。そこで全大臣が参加をするわけであります。ですから、まずは、案を作るときには総理の強力なリーダーシップの下で関係者をできる限り絞り込んで決めていこう、しかし必要に応じての協議は行えます、また関係大臣も入っていただく場合もあります、そして最終的には全大臣が参加をする閣議においてこれを決定すると、こういう仕組みにしたわけでございます。

山下よしき ちゃんと四月十七日の竹中平蔵さんの、立地競争力の強化に向けて、アベノミクス戦略特区の推進というペーパーの中に今私が言った趣旨が入っているんですよ。新藤さんが知らなかったというのはそうかもしれませんけれども、だから大臣は知らなかったんでしょうけれども、こういうことがやられている。もういいです、これは時間ないですから。
 前から積み残している質問をしなければならないんで、そちらに移りたいと思いますが、もう一度厚生労働関係に戻りますけれども、この特区法の中にはわざわざ労働契約の規制緩和について触れた部分があります。有期労働契約の上限規制の問題ですが、厚生労働省に伺いますが、厚生労働省が所管する直接の法案以外にわざわざ労働契約の規制緩和について労政審で議論する、あるいは次期通常国会でなどと書き込まれたケースはありますか。

大西康之厚労省大臣官房審議官 委員御指摘のこの法案でございますけれども、十月十八日、委員御承知のとおり、日本経済再生本部の基本方針の中ででございますが、厚労大臣は検討に当たり労働政策審議会の意見を聴くとか、あるいは二十六年通常国会に必要な法律案を提出するという、そういう本部の決定に沿いまして法案を作るという、そういう作業をしたわけでございます。
 確かにこの法案、全体が別に労働関係ばかりではございませんが、この労働政策審議会の意見という部分につきましては、委員御指摘のとおり、有期雇用の特例という労働関係の事項についてこういったことを審議するというようなことが書かれたものという具合に承知しておるところでございます。

山下よしき いやいや、答えていないじゃないですか。こういうことをやった法案がほかにあるんですかと言っているんです。

大西審議官 労働関係が何も書いていない法案におきまして労働政策審議会の意見という形で何か書かれているという、そういったものについては承知しておりません。

山下よしき これはたまたまそこの部分に入っているだけなんですよ。労働関係の法令じゃないんですよ。そこでこういうことまで義務付ける、方向付けするというのは初めてなんですよ。
 私が何を言いたいかといいますと、雇用と労働という人間にとって生きていくもう基本的条件の問題について、こんな特区というやり方で、本来であれば三者構成主義ですよ、使用者側、そして労働者代表、そして政府代表が、三者が一致してとことん話し合ってルールを決めていく。そして、労働行政は労働者保護の原則に立って物を言わなければならないんですよ。そういう原則がすっ飛ばされる危険性がある。もう結論はここにあるんだから、その三者構成主義を具体化している労働政策審議会にももうあらかじめ結論を持って議論せいよというようなことをやっちゃったら、労働者保護のルールがこの特区法案を通じて骨抜きになるんじゃないか、そういうことを危惧するわけであります。こういうことをやってはならないと思います。
 最後、時間が来ましたので、もう一問だけ聞いて終わりにしたいと思いますが、新藤大臣にかかわる問題ですが、これ、ある新聞、日本経済新聞ですが、特区の選定場所について、東京、大阪、愛知というもう具体的な地名が報道されました。あわせて、官房長官が沖縄を提案した、新藤大臣は新潟を提案していると。沖縄の普天間の基地、柏崎刈羽原発再稼働に向けて利益誘導ではないかという報道でありましたけれども、これは事実でしょうか。

山東昭子内閣委員長 新藤大臣、時間が来ておりますので簡潔に。

新藤大臣 私がそのようなことを申し上げた事実はございません。

山下よしき 経過を見たいと思いますが、もしこのとおりのことやったら大変なことになるということですので、こういうことがあってはならないということで注視していきたいと思います。
 終わります。

内閣委員長水岡俊一君解任決議案に断固反対する討論 
2013年12月5日 参議院本会議

 私は、日本共産党を代表して、内閣委員長水岡俊一君解任決議案に断固反対する討論を行います。
 反対理由の第一は、政府の提出した法律案を始め、付託された案件を慎重に審議することは委員会の最も重要な使命であり、その点で水岡委員長には一点の瑕疵もないからであります。
 提案者が問題にする国家戦略特区法案は、衆議院では、三日間の質疑と参考人質疑、総理出席の審議など二十二時間以上を充てているのに対し、参議院の内閣委員会では、まだたった一回、五時間程度しか審議できておりません。
 審議が十分にできていない最大の原因は何か。そもそも、五十三日間しかない今臨時国会であるにもかかわらず、政府が内閣委員会に関連する重要法案を多数提出したことにあります。
 こうした中でも、各会派の代表が充実した審議のためによく協議するように頻繁に促すなど、民主的ルールにのっとった委員会運営を進めていた水岡委員長を解任することは、国民生活に重大な影響を及ぼす政府提出法案を多数の横暴で成立させようとするものであり、断じて認めることはできません。
 この間、政府・与党は、国家戦略特区法案を重要法案と位置付けながら、一方で、本来内閣委員会で審議すべきが筋である国家安全保障会議設置法案と特定秘密保護法案を強行するために特別委員会を設置し、内閣委員会と並行して特別委員会の開会をごり押ししてきました。衆参のNSC特別委員会の開催を理由として、与党は、特区担当大臣の新藤大臣の特別委員会への出席を優先しようとしたり、あるいは、内閣委員会の所管大臣である森まさこ大臣、菅官房長官などの内閣委員会への出席を拒むなどしてきました。
 加えて、安全保障会議設置法案の採決強行や、秘密保護法案の衆議院での強行採決、参議院での審議入りと、与党による乱暴極まる運営の中、内閣委員会での十分な審議を確保するための理事間の協議を調えることが困難になったのであり、その責任を水岡委員長に一方的に課すことは余りにも理不尽と言わなければなりません。むしろ、強引な運営を進めてきた政府・与党、自民党国対の内閣委員会軽視にこそその責任が問われているのであります。
 反対理由の第二は、戦略特区法案が国民にとって極めて重大な影響を与える内容であり、反対の立場の会派だけでなく、賛成の会派にとっても慎重な検討が不可欠であるにもかかわらず、委員長解任でその委員会の任務を放棄し、多数の横暴で押し通そうとしているからであります。
 戦略特区法案は、戦略特区での様々な分野における規制緩和を、国家の意思として、地域指定も含めて上から一方的に国民に押し付け、全国区に広げるものであり、規制緩和のメニューを次々と加えていくためのシステムを創設するものです。まず規制緩和ありきで、国民の中に一層の格差と貧困を進めるものにほかなりません。
 とりわけ、戦略特区計画を議論する戦略特区諮問会議について、総理、官房長官などとともに民間有識者を起用するとしていますが、その民間有識者として、小渕、小泉両内閣の主要閣僚を歴任し、雇用の規制緩和を推進し、非正規雇用労働者を急増させた上に、政治家、大臣を引いた後は、その雇用の規制緩和で大もうけした人材派遣会社最大手パソナ会長に収まっている竹中平蔵氏を起用しようとしていることは到底認めることはできません。
 私は、竹中平蔵氏の諮問会議への起用について、十一月二十二日の本会議質問で、利害関係者を入れるべきではないと厳しく追及しました。自民党の皆さんを含めて大きな拍手が返ってきたことを覚えております。
 ところが、甘利経済再生担当大臣は、翌十一月二十三日、慶応大学での講演会で、戦略特区諮問会議に竹中平蔵氏を起用することを公言したのであります。参議院での法案審議が始まったばかりであり、特区諮問会議も設置されていないにもかかわらず、また担当大臣でないにもかかわらず、この発言は国会と国民を余りにも軽視したものであります。
 十一月二十六日の内閣委員会で、当然のことながら、この甘利発言をめぐって激論となり、自民党理事の対応能力不足により理事会が混乱したところを水岡委員長が交通整理を行い、委員会を予定どおりに開催することができ、委員会の中で甘利大臣より陳謝の発言を行うことになりました。しかし、甘利大臣は、竹中氏起用を発言した事実は認めた上で、誤解を与えたことを陳謝するとしたもので、そもそも、人材派遣会社会長の肩書を持ち、解雇特区を提唱してきた使用者側代表、この国に貧困と格差を拡大させた張本人を再び経済政策の重要会議のメンバーとすることの問題点を根本的に認めるものではありませんでした。
 このような看過できない問題を持つ法案を政府・与党の都合で不十分な審議のまま強行することは断じて許されません。
 先ほど、提案者は、民主党以外の全ての会派が共同して提出した委員会開会要求書と説明しましたが、それは事実と異なります。理事の一人である私にも、自民党筆頭理事より共同提案のお誘いを受けましたが、委員会を開催しようにも、その条件である理事協議が先ほど述べた政府・与党の横暴によって調わない下で、いたずらに委員長に開会要求書を提出しても事態を打開することはできないのではないですかと、理を尽くしてお断りをした次第であります。事実に基づく討論、とりわけ院の役員の解任を要求するような重大な討論については、なおさら正確な討論がなされなければなりません。
 党利党略ではなく、数の横暴で進めるのではなく、徹底した審議のルールを貫くことこそ参議院の存在意義であります。そのルールを踏みにじり、自分の意のままにならない委員長は多数を頼みに首にする、そんなノンルールの参議院にすることなどあってはなりません。
 以上をもって、内閣委員長水岡俊一君解任決議案に対する反対討論といたします。

数の横暴許さず、徹底審議を—内閣委員長解任決議案への反対討論 
【議事録】 2013年12月5日 参議院本会議

山下よしき 私は、日本共産党を代表して、内閣委員長水岡俊一君解任決議案に断固反対する討論を行います。
 反対理由の第一は、政府の提出した法律案を始め、付託された案件を慎重に審議することは委員会の最も重要な使命であり、その点で水岡委員長には一点の瑕疵もないからであります。
 提案者が問題にする国家戦略特区法案は、衆議院では、3日間の質疑と参考人質疑、総理出席の審議など二十二時間以上を充てているのに対し、参議院の内閣委員会では、まだたった1回、五時間程度しか審議できておりません。
 審議が十分にできていない最大の原因は何か。そもそも、53日間しかない今臨時国会であるにもかかわらず、政府が内閣委員会に関連する重要法案を多数提出したことにあります。
 こうした中でも、各会派の代表が充実した審議のためによく協議するように頻繁に促すなど、民主的ルールにのっとった委員会運営を進めていた水岡委員長を解任することは、国民生活に重大な影響を及ぼす政府提出法案を多数の横暴で成立させようとするものであり、断じて認めることはできません。
 この間、政府・与党は、国家戦略特区法案を重要法案と位置付けながら、一方で、本来内閣委員会で審議すべきが筋である国家安全保障会議設置法案と特定秘密保護法案を強行するために特別委員会を設置し、内閣委員会と並行して特別委員会の開会をごり押ししてきました。衆参のNSC特別委員会の開催を理由として、与党は、特区担当大臣の新藤大臣の特別委員会への出席を優先しようとしたり、あるいは、内閣委員会の所管大臣である森まさこ大臣、菅官房長官などの内閣委員会への出席を拒むなどしてきました。
 加えて、安全保障会議設置法案の採決強行や、秘密保護法案の衆議院での強行採決、参議院での審議入りと、与党による乱暴極まる運営の中、内閣委員会での十分な審議を確保するための理事間の協議を調えることが困難になったのであり、その責任を水岡委員長に一方的に課すことは余りにも理不尽と言わなければなりません。むしろ、強引な運営を進めてきた政府・与党、自民党国対の内閣委員会軽視にこそその責任が問われているのであります。
 反対理由の第二は、戦略特区法案が国民にとって極めて重大な影響を与える内容であり、反対の立場の会派だけでなく、賛成の会派にとっても慎重な検討が不可欠であるにもかかわらず、委員長解任でその委員会の任務を放棄し、多数の横暴で押し通そうとしているからであります。
 戦略特区法案は、戦略特区での様々な分野における規制緩和を、国家の意思として、地域指定も含めて上から一方的に国民に押し付け、全国区に広げるものであり、規制緩和のメニューを次々と加えていくためのシステムを創設するものです。まず規制緩和ありきで、国民の中に一層の格差と貧困を進めるものにほかなりません。
 とりわけ、戦略特区計画を議論する戦略特区諮問会議について、総理、官房長官などとともに民間有識者を起用するとしていますが、その民間有識者として、小渕、小泉両内閣の主要閣僚を歴任し、雇用の規制緩和を推進し、非正規雇用労働者を急増させた上に、政治家、大臣を引いた後は、その雇用の規制緩和で大もうけした人材派遣会社最大手パソナ会長に収まっている竹中平蔵氏を起用しようとしていることは到底認めることはできません。
 私は、竹中平蔵氏の諮問会議への起用について、11月22日の本会議質問で、利害関係者を入れるべきではないと厳しく追及しました。自民党の皆さんを含めて大きな拍手が返ってきたことを覚えております。
 ところが、甘利経済再生担当大臣は、翌11月23日、慶応大学での講演会で、戦略特区諮問会議に竹中平蔵氏を起用することを公言したのであります。参議院での法案審議が始まったばかりであり、特区諮問会議も設置されていないにもかかわらず、また担当大臣でないにもかかわらず、この発言は国会と国民を余りにも軽視したものであります。
 11月26日の内閣委員会で、当然のことながら、この甘利発言をめぐって激論となり、自民党理事の対応能力不足により理事会が混乱したところを水岡委員長が交通整理を行い、委員会を予定どおりに開催することができ、委員会の中で甘利大臣より陳謝の発言を行うことになりました。しかし、甘利大臣は、竹中氏起用を発言した事実は認めた上で、誤解を与えたことを陳謝するとしたもので、そもそも、人材派遣会社会長の肩書を持ち、解雇特区を提唱してきた使用者側代表、この国に貧困と格差を拡大させた張本人を再び経済政策の重要会議のメンバーとすることの問題点を根本的に認めるものではありませんでした。
 このような看過できない問題を持つ法案を政府・与党の都合で不十分な審議のまま強行することは断じて許されません。
 先ほど、提案者は、民主党以外の全ての会派が共同して提出した委員会開会要求書と説明しましたが、それは事実と異なります。理事の一人である私にも、自民党筆頭理事より共同提案のお誘いを受けましたが、委員会を開催しようにも、その条件である理事協議が先ほど述べた政府・与党の横暴によって調わない下で、いたずらに委員長に開会要求書を提出しても事態を打開することはできないのではないですかと、理を尽くしてお断りをした次第であります。事実に基づく討論、とりわけ院の役員の解任を要求するような重大な討論については、なおさら正確な討論がなされなければなりません。
 党利党略ではなく、数の横暴で進めるのではなく、徹底した審議のルールを貫くことこそ参議院の存在意義であります。そのルールを踏みにじり、自分の意のままにならない委員長は多数を頼みに首にする、そんなノンルールの参議院にすることなどあってはなりません。
 以上をもって、内閣委員長水岡俊一君解任決議案に対する反対討論といたします。(拍手)

国家秘密法案参考人質疑 
【議事録】 2013年12月3日 参議院安全保障特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 お三方、ありがとうございました。
 まず、日比野参考人に伺います。
 これまで、核持込み密約あるいは沖縄返還密約など、日米安保をめぐって国の在り方にかかわる重要な問題が政府によって長い間国民に秘密にされてきました。今もこの状態は継続しております。こうした秘密に挑み、国民に真実を明らかにするのは、これまでもこれからもジャーナリストの重要な社会的使命だと思います。先月二十一日、当委員会に出席された元毎日新聞の記者西山太吉さんの意見陳述からもそのことを痛感した次第であります。
 そこで、日比野参考人、この法案でそのジャーナリストの社会的使命が果たせなくなるのではないかと私は危惧しますが、いかがでしょうか。

日比野敏陽新聞労連委員長 西山太吉さんのおっしゃっていることは、この法案ができたら、やはりますます取材の萎縮、そして情報源の萎縮が激しくなり、情報公開、もう既にある情報公開法も空文になってしまう、そのような状況になるというふうにおっしゃっておりますが、取材現場としても同じように、使命を果たそうと思っても果たせなくなることは明らかであると思います。
 日本では、戦後一貫して、情報を取得することについては、つまり探知、アクセスすることについては処罰がなかったというふうに解釈しておりますが、これが初めてこの法案によって探知罪をつくるわけですから、これまでできたあらゆる報道、私たちの先輩によって行われてきた掘り起こし的な取材活動が政府の恣意的なその運用によってできなくなるという可能性は相当程度あるというふうに思います。

山下よしき 続いて、日比野参考人に伺いますが、先ほど、法案二十二条で報道、取材の自由について配慮しなければならないと書かれたので、政府はこれで報道、取材が過剰に規制されることはないと言うが、日比野参考人は、私にはそうは思えないと、こう述べられました。
 この点を更に詳しく伺いたいんですが、特に、この法案が成立すれば、取材相手、公務員その他の方が萎縮して取材に応じなくなるのは確実だとおっしゃったんですが、この辺りも含めて、少し御心配な点を述べていただければと思います。

日比野新聞労連委員長 少し重なるかもしれませんが、私たちの取材というのは、先ほど小野先生にも申し上げましたけど、社会的かつ歴史的に重要であるということで相手を説得して取材をすると。だまして、ある種ごまかして情報を得るということはあり得ません。私、最初に述べましたけど、情報は自動販売機に知る権利を入れたら出てくるものではないので、人対人の、ある種人間対人間の泥臭い営みだと思っています。
 その相手が、最初からもうこの法律によって同じ土俵にも上がらないということになるのは確実ですから、そもそも取材ができなくなる。取材に応じたとしても、いや、それ以上はもうしゃべれません、こういったことが日本全国各地で起きることは確実ではないかなというふうに懸念しております。

山下よしき ありがとうございました。
 続いて、江藤参考人に伺います。
 まず、少しちょっと大きな視点で、この法案は国民主権あるいは基本的人権始め日本国憲法の根本原則を踏みにじるものではないかと私は考えるんですが、この点での江藤参考人の御意見、伺いたいと思います。

○参考人(江藤洋一君) 私も全く同意見でございまして、日本国憲法の下では国会が国権の最高機関とされておりますが、この法案を見ますと、その国会の上に行政が乗っていると、こういうふうに思えてなりません。先ほどの法案十条一項の規定もそうでございますが、行政が何をやっているかということに対するチェック機能が、国会がそれをチェックする機能が働いていないというところがやはり一番大きいのだろうというふうに思います。
 加えて、憲法上のいわゆる基本的人権、知る権利を侵害すると。知る権利って、先ほど瀬谷参考人も言いましたけれども、俺は十分だという考え方もあって、十分分かっているよと、それはいろんな人がいますけれども、これは権利ですから、最大限いったらどこまでのものが得られるかという視点から考えなければいけないという意味でいいますと、秘密が多くなるということは、この知る権利の範囲がだんだんだんだん狭まっているということを意味します。それはやはり民主主義社会にとって健全ではないという意味で危険性を感じるところでございます。

山下よしき 続いて、江藤参考人に伺います。
 特定秘密を取り扱う公務員あるいは民間人に対する適性評価について、政府は本人が同意しているから人権侵害に当たらないというふうに述べておりますけれども、この点、いかがでしょうか。

○参考人(江藤洋一君) 私ども仕事でよくあるんですけれども、あなたはそれを知っていますかと聞かれたときに、守秘義務がございますから、知っているとも知っていないとも答えられませんと、こういうふうに答えるわけでございます。
 全く同じことで、本人が同意しているからいいといったら、じゃ、拒否したら一体そのことがどういう影響を持つのかということについての配慮がないように思います。拒否したら、それだけで、いや、おまえは話せないことがいろいろあるんだねという評価につながるのだとしたら、あるいは、それは非公式なものであったとしてもそういう可能性があるんだとしたら、それは同意があるというだけでは済まされない問題があるんだろうというふうに思います。

山下よしき 続けて、江藤参考人に伺います。
 同じく適性評価についてですが、昨日、政府は、行政機関からの照会を受けた病院には過去の通院歴などを回答する法的義務があると見解を示しました。これでは医師と患者の信頼関係が成り立たないなど様々な問題が発生すると思いますが、この点についての、照会を受けた様々な機関がそれに応じる法的義務がある、回答しなければならない、この点についての御意見を伺いたいと思います。

○参考人(江藤洋一君) それは、専門職とその依頼者の関係あるいは患者さんとの関係でよく生じることでございまして、お医者さんと患者さん、私ども弁護士と依頼者、あるいはサイコセラピストあるいは臨床心理士とそこに通ってきている方と、そういう関係というのはやはり保護されなければならないというふうに思います。
 私どもの常識で考えた場合には、それはその患者さんがうんと言った場合にのみ出せるわけで、そうでない場合は、ノーと言った場合、あるいは分からない場合には、それは出すべきではないというふうに考えます。

山下よしき そういう常識的な判断が通用するのかなと思っていたら、昨日の答弁はそうではない、法的義務があるんだと、安全保障に資するかどうかにかかわる問題だというふうに言われますと、そういう常識の判断が作用しない危険性があるということを私は感じた次第ですが、その点、いかがでしょうか。

○参考人(江藤洋一君) つまり、そうやって悪法というのはだんだんだんだん広がっていって市民の生活を苦しめることになると、こういうことなんだろうと思います。

山下よしき 続いて、江藤参考人に伺います。
 秘密の指定期間が六十年に延長されたわけですが、しかも、過去の秘密にはこれは遡及されないということであります。また、六十年の例外もあるということでありまして、これでは永久秘密になるのではないかと危惧があるんですが、この点の御見解はいかがでしょうか。

○参考人(江藤洋一君) 私も全くそう考えておりまして、先ほど申し上げた点もその点でございます。その六十年のチェックすら利かない幾つかの項目を見ましたけれども、私は暗号はやむを得ないんではないかと先ほど申し上げましたけれども、六十年前の暗号なんてほとんど子供だましのような内容かもしれないし、そんなことを本当に守る必要があるのかなという疑問があるわけでございます。
 やはり、先ほどの質問にもございましたけれども、六十年たったときというのは、一つのもう歴史的時間という感じがいたします。それでもなお明かせないものって本当にあるのかなと、私にはちょっと想像の範囲を超えておりますが。

山下よしき ちょっと日比野参考人にも、これにかかわって、先ほどの核密約、沖縄返還密約などを果敢に取材されたジャーナリストの方はたくさんいらっしゃいますが、そういう方々が、その取材対象者である例えば元外務次官などに接触する際に、どうしてもその外務次官の方も、現役のときには秘密を秘匿しなければならないという作用が働いたとしても、退職されてから、自分がもういよいよ人生の最後の段階に掛かったときに、これは、国民にこの情報は提供して国民の判断を仰ぐ必要があるんではないか、そういうお考えで真実語られた方も少なくありません。
 それが、この六十年というふうになりますと、もう寿命との関係でそういうことができなくなるんじゃないかということも危惧されるんです。そういう点でのこの六十年問題について、これまでそういう取材をされてきたジャーナリストの立場から見解があれば伺いたいと思います。

日比野新聞労連委員長 私たちの先輩の皆さんが、特に核密約を含めて歴史の検証を行ってきておられると思います。もちろん取材対象者の方も、最後に、こう言ってはなんですが、もうそろそろ随分な年になったからということでお話になりたいと、それは悔いを残さないとか、いろいろな思いがあると思います。そういったものが歴史をつくっているわけでありますから、ジャーナリズムは、やはり歴史を記し、検証していくという役割が第一義であると思いますから、六十年、それ以上ということになると、もう何もそれができなくなるということです。
 アメリカでも、これもまた情報公開ではよく引き合いに出されることですけれども、アメリカでは原則二十五年ということで、つまりそれは二十五年で歴史だということの解釈だと思うんですね。そういったことを前提にして、国民の側、有権者の側が、政策そして政治を検証していく、これが、どのような党が政権に就こうと、それは関係なく検証されていくことがしかるべきであるというふうに思います。

山下よしき 再び江藤参考人に伺いますが、秘密の範囲が恣意的に拡大されるとの批判に対し、第三者機関をつくってチェックするということが今言われているんです、検討されようとしておりますが、この点についていかがでしょうか。

江藤洋一日本弁護士連合会秘密保全法制対策本部本部長 ですから、第三者機関の一番の問題点はその第三者性にあるということでございます。我々はなぜ裁判官の判断に従うか、公正な裁判所とは何かということをよく言われるんですけれども、それは構成が、裁判所の構成が公正なものでなければいけない。つまり、当事者と一定の関係にある人はその裁判所から排除される、排除される第三者だからこそその判断は手続的に公正なものだと、こういうふうに認められる。それは常識的な見方だろうと思います。
 同じように、それが適否を判断するときに、それに利害関係のある人が判断に加わったのでは妥当な判断には至らないというふうに思います。ですから、首相はいかに第三者的に振る舞うとおっしゃられても、私も日々総理の一日というのを拝見していますけれども、それはそんな、時間的にも多分難しいし、立場的にも難しいんだろうというふうに思います。

山下よしき 最後に、江藤参考人に、法案が国会で審議され始めてからまだ一か月もたっておりません。これだけの短期間にこれだけ反対世論が高まってきていることについて、御意見を伺いたいと思います。

江藤本部長 それは、根底に国民がこの問題に対する不安感を持っているんだろうと思います。確かにそれは漠とした不安だろうと思いますが、その実態が分からないからこそますます不安になっているという現実があるように思います。
 私ども、二年前からこの問題を指摘させていただきました。開示を求めましたが、その法案の中身は全て黒塗りでございました。おっしゃるように、やっと一か月足らずの間にこうなったわけですが、その前にこの法案の概要について意見募集が行われました。それも僅か二週間ということでございます。その七割、八割が反対意見であったと伺っております。ならば、そのパブコメの内容を分析してそれを国民に知らしめるというその手続があってもよかったと思うんですが、それも全く行われませんでした。なぜこのようにやみくもに急ぐのかということについて、国民の多くが疑問に思っているところではないかというふうに思います。

山下よしき ありがとうございました。