集団的自衛権 法制局「想定問答」廃棄は問題 横畠長官 対応見直す意向示す 
2017年1月31日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

 今回の法案は、政府の税収見込みの失敗のツケを地方に割り振るものであって、賛成できません。

 今日は、内閣法制局長官にも出席してもらって、情報公開について質問します。

 集団的自衛権の行使を容認した2014年7月1日の閣議決定に関連して、内閣法制局が国会審議に備えて作成しながら開示を拒んでいた想定問答について、総務省の情報公開・個人情報保護審査会は、1月17日付けで改めて開示決定等をすべきであると答申いたしました。総務省、間違いありませんね。

山内達矢総務省情報公開・個人情報保護審査会事務局長 お答えいたします。

 委員御指摘の答申は、平成28年度行情答申第646号外2件でございまして、集団的自衛権の閣議決定に関して、内閣法制局において作成されたが内閣法制局長官により不採用とされた国会答弁資料案等につきまして、内閣法制局が行政文書に該当しないことを理由として行った不開示決定に係るものでございます。

 答申におきましては、当該答弁資料案は行政文書に該当しないとは認められないので、内閣法制局において原処分を取り消し、改めて開示、不開示を判断して決定すべきとされたものでございます。

山下よしき 内閣法制局長官、答申をどう受け止め、どう対応しましたか。

横畠裕介内閣法制局長官 内閣法制局におきましては、御指摘の答申を踏まえ、情報公開法にのっとり、当該文書を行政文書として開示したところでございます。

山下よしき これが一転して開示された文書でありまして、(資料提示)答申書では、次長了の国会答弁資料集12問、それから次長了前の国会答弁資料集11問、合わせて全23問の国会答弁資料集とされております。

 内閣法制局は当初、この文書を行政文書に該当しないとして開示しなかったわけですが、そこで審査会は、まずこの文書が行政文書として作成、利用されたか否かについて検討します。審査会の検討内容について、答申書はどう述べていますか。

山内局長 お答えいたします。

 委員御指摘の答申書の該当箇所を適宜要約しながら読み上げさせていただきます。

 全23問の国会答弁資料案は、内閣法制局第一部の職員が、国会における閉会中審査に備えて、次長の了承を得て長官に上げることを予定して職務上作成したものであることは明らかである上、そのうちの次長了の国会答弁資料案は、実際にも、その後にそうした決裁手続が踏まれて組織的に利用しているものと認めるものであり、また、次長了前の国会答弁資料案も、内閣法制局第一部の複数の職員の閲覧、検討等にも供されるなど、組織的に利用されていたことが容易にうかがえるものである。したがって、このような作成状況を踏まえ、その利用状況も総合すれば、全23問の国会答弁資料案は、その電磁的記録を含め、全部が行政文書として作成、利用されたものであることは明らかである。

 以上でございます。

山下よしき 要するに、この文書は内閣法制局の職員が職務上作成し、組織的に利用されたものであって、行政文書として作成、利用されていたということは明らかだということであります。

 もっとも、この文書が行政文書に該当しないとした内閣法制局は、審査会に対し異なる認識を示しています。答申書によると、内閣法制局の説明の要旨は2点。一つ、内閣法制局においては、国会答弁資料案は長官の了承を得た段階で行政文書として成立するという認識である。2つ、長官が了承する以前の国会答弁資料案については、各段階で不採用となった瞬間に組織共有性を失い、行政文書としての性格も失うものであると考えている。この2つの考えに立って、長官の了承を得られず不採用となった全23問の国会答弁資料案は、開示請求の時点において行政文書に該当しないというのが法制局の説明でありました。

 しかしながら、審査会は法制局のこの説明を受け入れませんでした。答申書にはその点についてどう述べられていますか。

山内局長 お答えいたします。

 委員御指摘の答申書の該当箇所を一部要約しながら読み上げさせていただきます。

 行政文書の範囲について、政府の説明責任が全うされるようにするという法の目的に照らして必要十分なものとするためには、決裁、供覧等の行政機関内部における手続を要件とすることが適切でないのは言うまでもないことである。したがって、内閣法制局の説明は、国会答弁資料案については、長官の了承を得たもの、すなわち、長官の最終決裁を終えたもののみを行政文書とし、それ以前の段階における国会答弁資料案は行政文書に該当しないとする趣旨と見られる点で、対象となる文書に係る決裁、供覧等の手続を要件として行政文書の範囲を画するものであって、適切ではないと言うべきであり、また、国会答弁資料案が不採用となった瞬間にその行政文書としての性格も失われたとする点で、結局は、対象となる文書に係る決裁、供覧等の手続を要件として行政文書の範囲を画することにほかならず、到底採用することはできない。

 以上でございます。

山下よしき 今の審査会の判断の根底には、私は法の目的、理念があると思います。

 資料配付しておりますけれども、行政機関の保有する情報公開法1条には、国民主権の理念にのっとり、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とするとあります。公文書管理法1条には、国民主権の理念にのっとり、国及び独立行政法人等の諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とするとあります。同4条には、目的の達成に資するため、行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程を合理的に跡付け、又は検証することができるよう文書を作成しなければならないとあります。

 つまり、政府には、主権者である国民に対し政府の意思決定がどのようになされたかを説明する責任がある。そのためには、結論だけではなくて経過、意思決定に至る過程を国民が検証できるように文書を作成し、保存し、公開しなければならない。これが法の目的であり、理念です。

 この法の目的、理念に立脚するなら、長官の最終決裁を終えたもののみを行政文書とし、それ以前の段階における国会答弁資料案は行政文書に該当しないとする法制局の認識、あるいは国会答弁資料案が不採用となった瞬間にその行政文書としての性格も失われるとする法制局の認識が適切ではない、到底採用することはできないとして退けられたのは当然だと言わなければなりません。

 総務大臣、行政機関が情報公開法、公文書管理法を解釈、運用するに当たっては、こうした法の目的、理念に立脚することが大事だと考えますが、いかがでしょうか。

高市早苗総務大臣 一般的に、行政機関が法の解釈、運用を行うに当たっては、法の目的などを踏まえた上で、具体的な条文の規定や個別具体の事案に即して判断するということが重要だと考えます。

山下よしき 私は、この法の目的、理念に照らして、内閣法制局の認識あるいは文書取扱いの実情には大きな問題があると言わざるを得ません。

 そこで、法制局長官に具体的に聞きますが、この私が示した全23問の国会答弁資料案、これ以外にも、先ほど言った二点、同様の認識で不開示あるいは廃棄とされた国会答弁資料案がこれ以外に数多くあるのではありませんか。

横畠長官 本件、その23問の文書につきましては、当局において、平成26年7月の時点において既に不要として廃棄することとし、実際に紙の文書は廃棄していたことなどから、平成28年2月の本件開示請求の時点において当局のサーバー内の共有フォルダ内に消去を失念して残存していた電子データについては行政文書性がないと考えていたものでございますが、今回の答申は、当該データについて、用いられることがなくなったことにより直ちに廃棄又はこれに準ずるような状況が生じたとは言えず、消去されないまま残存していた以上、なお行政文書性は失わないとの判断が示されたわけでございます。

 したがいまして、行政文書として開示をすることとしたものでございまして、他にこれに類似するような文書あるいは消去を失念して残存していた電子データというものはございません。

山下よしき 法制局が審査会に提案した補充理由説明書にはこうありますよ。実際の運用としても、長官の了承を得た最終版が行政文書として保管されており、その作成過程において作成された原案、修正指示があった場合の修正前のものや不採用、没となったものは、速やかに廃棄すべきものとして取り合っているのが実情であると説明しているじゃありませんか。

 これ以外にそういう観点から廃棄されたもの、たくさんあるんじゃないですか。

横畠長官 失礼いたしました。

 廃棄したものは廃棄してございます。残っているものは本件の文書のみであるということをお答えしたのでございます。

山下よしき たくさん廃棄されているということです。

 更に聞きます。

 この国会答弁資料案以外の文書、たくさんあると思いますが、これについても、長官の了解を得た段階で行政文書として成立する、長官が了承する以前の文書については行政文書としての性格も失うという認識で取り扱っているのではありませんか、国会答弁資料案以外。

横畠長官 当局の行政文書にはいろいろなものがございまして、例えば法令案の審査に関する文書などは、まさにその審査の過程そのものが業務の内容でございますので、例えば字句の修正などがあったりした場合には、それぞれその過程が全て分かるように修正過程のもの、途中のものを全て保存して記録にしております。

 国会答弁想定問答につきましては、実際に国会において答弁者が答弁で使う資料でございまして、その過程においていろいろ修正あるいは書換えというのが行われることもありますけれども、最終版以外のものは国会の答弁において使うことはないということでございますので、実情といたしましてそのようなものまであえて全て保存するということはしていないということでございます。

 文書の種類によって適切に保存すべきものは保存するという扱いをしているつもりでございます。

山下よしき 委員長に一つお願いしたいと思いますが、国会答弁資料案以外の文書の法制局における取扱いについて、その規定が分かるような文書等を委員会に提出するよう要求します。

横山信一総務委員長 後刻理事会において協議いたします。

山下よしき ここで、公文書管理法を所管する内閣府に聞きます。

 一般論として、行政機関の長の了承を得た段階で行政文書として成立する、長が了承する以前の文書については不採用となった瞬間に組織共有性を失い行政文書としての性格も失うという認識、あるいはその認識に基づく取扱い、これは公文書管理法の目的、理念に合致していると言えますか。

田中愛智朗内閣府大臣官房審議官 お答え申し上げます。

 公文書管理法につきましては、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源たる公文書が、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑み、現在と将来の国民への説明責任を全うすること等を目的として、行政文書の適正な管理に関するルールを定めているものでございます。

 各行政機関においては、こうした法の目的の達成に資するため、行政機関の意思決定の過程や実績について合理的に跡付け、検証することができるよう文書を作成し、整理し、保存及び移管等を行うことが求められているところでございます。

 それを踏まえまして、一般論でございますけれども、作成された文書を行政文書として取り扱うか否かにつきましては、形式面ではなく、法の目的である政府の説明責任を全うするために必要十分なものとなるよう実質的に判断することが必要であるというように考えております。

山下よしき 法の目的に照らして十分全うすると。つまり、国民に説明することができるかどうかですよ。で、この答弁資料案23問については、そうなっていないから出すべきだという審査会が答申を出して、ちゃんと答申されたわけですね。しかし、先ほど長官は、いまだに国会答弁資料案についてはそういうルールでやっていると言われましたけれども、こういうやり方、その認識自体が私は法の目的、理念から反していると思いますから、この誤った認識に基づく文書の取扱い、今後は改めるべきじゃありませんか、国会答弁資料案。

横畠長官 公文書管理法の目的規定の趣旨に従いまして、それぞれの文書ごとに適切に対応してまいりたいと考えております。

山下よしき ということは、国会答弁資料案の長官の了がないものは公文書とは扱わないと、これからも続けるということですか。

山下よしき もう時間なので終わりますけれども、私は法の理念が全く理解されていないと思いますよ。この答弁資料案は途中で採用にならなかったものです、横畠長官の答弁としては。しかし、なぜ採用にならなかったのか、その過程に横畠長官が国会で正式に答弁するに至る政府の考え方、法制局の意思の経過が示されているんですよ。これが廃棄されちゃったら、国民が憲法の解釈を大きく変えるような国会答弁についての経過を知ることができなくなる。こんなものを廃棄することのルールを改めないというのは、国民主権の原則に基づく法の理念が分かっていないということを言わざるを得ないということを指摘して、終わります。