山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
2000年に改正された成年後見制度は、判断能力の不十分な高齢者や障害者の虐待や財産的被害からの救済や予防などで一定の役割を果たしてきたと思います。
資料の1枚目に成年後見制度の概要、これは法務省のパンフレットから抜粋いたしましたけれども、付けております。
制度は三類型されておりまして、後見、保佐、補助であります。後見というのは判断能力が欠けているのが通常の状態の方、それから保佐というのは判断能力が著しく不十分な方、補助は判断能力が不十分な方でありまして、どうやってこれを分類するのかといいますと、本人や親族が家庭裁判所に申立てをして、審判でこの類型が区分されるというふうに承知をしております。
先ほどからの答弁にあったように、この三類型の中で最も多い、大宗を占めるのは、85%を占めるのが後見でありまして、この後見人には、ここにあるように、財産に関する全ての法律行為に関しての代理権が与えられるということになっているわけであります。こういう制度が一定の役割を果たしているということは私も認めるわけですが、もう15年たって様々な問題が発生している、改善されるべき問題が生まれていると指摘せざるを得ません。
昨年の10月に、日弁連人権擁護大会のシンポジウムで成年後見制度から意思決定支援制度へと題したディスカッションが行われました。そこでも様々な問題点が紹介されております。私もそれ学びまして、私なりに問題点三点あるんじゃないかと、こう理解いたしました。
一つは、被後見人とされた方の財産が毀損される、本人の意思に反してですね。例えば、紹介された事例では、被後見人の所有する土地を被後見人の意思に反して売却してしまったという事例が紹介されておりました。財産が本人の意思に反して処分されるということが起こっております。
それから、二つ目のパターンとして、本人がこれまで築いてきた人と人との関わり、あるいはその地域で住むこと、そういう人間関係だとか地域で住む権利が残念ながら後見人によって遮断されたり奪われたりということも起こっております。例えば、親と住み慣れた自宅で生活してきた精神障害者の方が、同居の親が亡くなったために離れて暮らしていた兄が成年後見人となったところ、本人が理解できないまま施設入所契約をして自宅での生活を断念させられてしまい、すっかり元気をなくしてしまったなどなど、これはもうたくさん起こっていると承知しております。
それから、三つ目のパターンは、先ほど相原理事からもお話があった仕事を奪われちゃうという例ですね。市役所で仕事をしていた方が、保佐人が付いたことで公務員の欠格事由とされて解雇されたということも、これも日弁連のシンポジウムでも実際に紹介された事例としてあります。
こうして、本来いろいろ意思決定が十分できない方々を支援するはずのこの制度が、本人の意思に反して財産が毀損されたり、人と人との関わりや居住の意思が損なわれたり、それから職を奪われたりということが残念ながら起こっていると。提案者に伺いますが、こういう問題が起こっていることについてどう認識されていますか。
大口善徳衆議院議員 今先生の御指摘のようなある意味では副作用的なことが行われている、やっぱり自己決定権が十分尊重されているとは言い難い事案もあるということはそのとおりだと私も思います。
提案者としては、やっぱり成年後見制度の利用を促進するに当たり、成年被後見人等の自発的意思を尊重することが重要であると考えておりまして、今回のこの法案においても、基本理念の内容として、成年被後見人等が成年被後見人等でない者と等しく基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障されるべきこと、成年被後見人等の意思の決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人の自発的意思が尊重されるべきことということ、これは3条の1項で書かせていただいています。
民法の858条、本人の意思を尊重し、その身上に配慮する義務を負っているわけでありますけれども、それを怠っている例もあるということでございまして、この点につきましては、しっかり本当に本人の意思を尊重するということを徹底していくためにどうすべきか、あるいは不正行為をいかに防止していくのかということも、これからこの法案において、利用促進会議や利用促進委員会の御意見もお伺いしながら進めていくということになると考えております。
山下よしき 資料の2枚目に、先ほど紹介した日弁連の人権擁護大会のシンポジウムで配付された、東田直樹さん、自閉症をお持ちの方ですが、その方の「尋ねてほしい。 見た目の行動から決めつけないで」という詩でしょうか、を載せておきました。ちょっと後段を紹介します。
いちばん嫌なのが、わからないからといって、見た目の行動だけで気持ちまで決めつけられることです。答えられなくても、尋ねてくれたらいいのにと、思います。そうしてもらえれば、その人が僕を大切に思ってくれていると伝わるからです。僕について話をしているにもかかわらず、まるで僕がその場にいないかのような態度をされると傷つきます。自分は、その辺の石ころみたいな存在なのだろうか。ただ、周りの人の意見だけで動かされ、すべてが決められていく。自分の意思をみんなのように伝えられない僕は、なんて無力なのだろう。小さい頃、何度こんなふうに思ったことでしょう。
気持ちを伝えられないということは、心がないことではありません。周りの人がさせたがっていることが、本人のやりたがっていることだとは限らないのです。そのことを忘れないでください。
大変、実際こういうお立場の方がどんな気持ちでいらっしゃるのか、痛切に伝わってまいりました。この気持ちを大事にした制度の運用であり、制度そのものにしていく必要が私はあると思いました。
そこで、提案者に伺いますが、先ほど紹介したような、こういう本人の意に反するような事例がこの成年後見現行制度の下で起こっているのはなぜか、どこに原因があるかと御認識でしょうか。
大口衆院議員 山下委員にお答えを申し上げます。
この成年被後見人等の自己決定権が十分尊重されていないと見られる対応が行われる根本的な原因の一つとして、成年被後見人の自己決定権に対する社会や一般の成年後見人等の理解の不足が考えられるところではないかと思います。そして、私ども、この法の11条の2号で、いまだに200以上こういう欠格条項がある、権利制限の条項があるということもやはりそうした認識の表れではないかなと思います。そういう点で、本当に成年被後見人の自己決定権というものをもっともっと社会が、また成年後見人等も、一生懸命やっている方は大変だと思いますが、一部理解不足の方がいらっしゃると、こういうことをどう防いでいくかということだと思っております。
提案者として、成年被後見人等の自己決定権が尊重されるように成年後見制度が運用されるようにしていきたいと。そういう点で、本法案では、3条の1項で基本理念として成年被後見人等の自発的意思が尊重されるべきことを、また、11条の8号では、基本方針として成年後見人等又はその候補者に対する研修の機会の確保を掲げております。
実は、これはそれこそ消費者相談をやっておられる方のアンケートを取りましても、要するに、裁判所がきちっと点検とか審査をする、問題があったらそれをきちっと研修をしていくというようなこともやられるのは本当に一桁なんですね、パーセントにすると。やはりそういうことも含めて、しっかりこの11条の8号でやっていかなきゃいけないと思います。
また、成年後見制度の利用に占める後見の比重が大き過ぎるというふうに考えます。ですから、成年後見人が成年被後見人の意思決定を代行する後見ではなく、意思決定を本人が行う保佐や及び補助、あるいはどの事務を委託するかを本人に選択権がある任意後見の利用の比重を大きくしていくことが本人の自発的意思を尊重する実務の傾向を醸成するために重要であると、こういうふうに考えております。
また、障害者福祉の分野におきましては、社会保障審議会の障害者部会の平成27年12月14日の報告において、意思決定支援の定義や意義、標準的なプロセス、留意点を取りまとめた意思決定支援ガイドライン(仮称)を作成し、事業者や成年後見の担い手を含めた関係者で共有し、普及を図るべきであると、こう述べられています。この意思決定支援ガイドラインの案というものを、策定に向けた調査研究も進んでいます。
福祉の分野で意思決定支援の普及や質の向上に向けた取組を進める方向で動いており、本法案も、成年被後見人等の意思決定支援と自発的意思の尊重について定める中、今後とも、成年被後見人等の自己決定権の尊重のための取組が進められるようにしていかなければならないと、こう考えます。
山下よしき 今、大口さんは、社会一般あるいは後見人の理解が足らないんじゃないかという御回答でしたけど、私、その点もあるんですが、もっとより根本的には、この現行の成年後見制度の体系、構造そのものにこういう問題を生じさせる原因があると、そういろいろな事例を聞いて理解いたしました。
先ほどの法務省のパンフレットにもあるように、この制度の85%は後見人で担われています。保佐とか補助は少ないというんですが、そちらの方にもっと行ってもらったらいいという御趣旨の御答弁でしたけど、問題は、この後見人という概念が、果たしてこういう概念がいいのかどうかということにしっかり切り込む必要があるんじゃないかなと思うんですよね。
すなわち、もうこの後見類型では、判断能力について自己の財産を管理、処分できないと判断されるその方は、後見人には包括代理権、全ての法律行為に代理・代行権限が与えられる。しかも、その人の能力の状態が回復したと診断されない限り権限は死ぬまで継続される、もうずっと固定化されるんですね。要するに、判断能力がもう一切ないという、それを固定的に判断される類型になっている。そして、後見人には包括的な広範囲な代理権が付与されるということから、本人の意思がしっかり確認されないまま意思に反する代理、代行がされちゃうということになっているんじゃないかと思うんですね。
日弁連が昨年10月2日に、このシンポジウムを踏まえて総合的な意思決定支援に関する制度整備を求める宣言というものを出しておられます。
その中で現行の成年後見制度の改革として問題点を述べているんですが、その文章をちょっと紹介しますと、その人の意思決定能力を支援することにより本人の意思決定を導くことは義務付けられておらず、権限行使に当たって本人意思の尊重をどの程度図るかについては後見人等の広範な裁量に委ねられている、利用件数の大半を占める成年後見類型は、判断能力につき自己の財産を管理、処分することができないと診断されると、個々の行為について必要な支援がなされれば自ら意思決定が可能なものがあるかについて個別に考慮することなく、その人につき成年後見が開始され、その人の法律行為全てにつき包括的に代理・代行権限及び同意権、取消し権が付与されることになっていると。
こういう全てもうできないであろうということを一律に決めちゃって、もう包括的に全面的に権限を移行されてしまう、そういう類型をつくっちゃっていいのか、つくっちゃっていることがこういう本人の自己決定権が尊重されない一つの大きな要因になっていると日本弁護士連合会は指摘をされております。続けて、開始決定の審判の効力に期間制限がないこと、定期的な審査の機会が与えられていないこと、死ぬまでそうなっちゃっているということも指摘されているんですね。
これは、非常に大きなやっぱり構造的問題から起因していると私は理解したんですけど、提案者はいかがですか。
大口衆院議員 先生がおっしゃること、また日弁連の議論ということも聞いております。
今回の法案は、まず、これは障害者団体の方からも、当面今のことを放置していいのかということで、できる限り障害者権利条約の精神を生かした形でその運用をしっかり改善していく、あるいは権利制限とか資格制限、こういうものはもう法改正をしていく、そういう形で成年後見制度を権利制限に転用するというようなことはこれは良くないということからも11条の2号を規定させていただいているところでございます。
そういうことから、この後見と、それから保佐と補助、この割合を本当にしっかり考えていかなきゃいけない。そういうこともあって、私どもはこの11条の1号でこういう形で書かさせていただいているところでございます。
抜本的なお話については、じゃ、その支援付きの意思決定制度というのは具体的にどういうものなのかとかいうことがまだはっきりしていません。ただ、本当に今、それこそ十八万、19人の方が成年後見を利用されています。だから、そういう現実もありますし、そしてまた、実は、これはこういう制度によって裁判所がチェックするということももっとしっかりやっていかなきゃいけないわけでありますけれども、ただ、そういう目があるわけですね、第三者の目が。ところが、そういう成年後見が利用されていないがために、実際に虐待され、そして財産を毀損されている方もこれは相当多いわけであります。そういうことも含めて考えていかなきゃならないと、こういうふうに考えます。
山下よしき 虐待だとか財産侵害についてはこの制度が一定の役割を果たしていると私は認めた上で、その上でこういう問題が起こっていることについてどう切り込んでいくかという、私は、それに構造的な、この制度自身の構造問題があると、日弁連もそれを指摘しているんだから、ここはやっぱり踏み込まないと。そこを、残念ながら、今御答弁聞いても、そこに踏み込まないまま単に現行制度の利用促進という今回の法律の立て付けになっているというふうに思わざるを得ないわけです。
そこで、どういう、じゃ、あるべき制度に進んでいったらいいのか。私は、そのガイドラインとしては、やはり障害者の権利に関する条約、資料の3枚目にお付けしておりますけれども、その第12条に、法律の前にひとしく認められる権利として、もう具体的に大事なガイドライン、指針が、指針というか基本的な理念ですね、書かれてあります。
第12条の1項、締約国は、障害者が全ての場所において法律の前に人として認められる権利を有することを再確認する。これは、知的発達障害者等も意思決定の権利主体であるとしていることであります。
第2項、締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的能力を享有することを認める。これは、すなわち知的発達障害者等、生活の全側面で意思に応じた行為能力がある、自分で自分のことを決める能力があるというふうに権利条約は認めているということです。
第3項、締約国は、障害者がその法的能力の行使に当たって必要とする支援を利用する機会を提供するための適当な措置をとる。すなわち、国に知的発達障害者等への意思決定支援の体制をつくることを求めていると。
その上で、第4項は、濫用の防止ということがありまして、法的能力の行使に関する措置が、障害者の権利、意思及び選好を尊重すること。ちゃんと障害を持つ方が自分で選ぶことができることを尊重すること。そして、障害者の状況に応じ、かつ、適合すること、可能な限り短い期間に適用されること並びに権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関による定期的な審査の対象となること。日弁連が先ほど指摘した現行制度の問題点は、既に障害者権利条約で濫用の防止として指摘されていることがやはり日本の現行制度については当たっているということだと思うんですね。
大臣、来ていただいておりますが、この法律が成立した暁には加藤さんがこの現行成年後見制度の担当大臣となられますので、この今私紹介した障害者権利条約第12条で述べられていることをしっかり念頭に置いてこの制度の所管担当大臣になっていただくことが大事だと思いますが、いかがですか。
加藤勝信国務大臣 成年後見制度、そしてこの法案が成立をいたしましたら、この法案に関しては私のところで対応させていただくということになるわけであります。
今提案者からもお話がありましたように、本提案というのは、急速に高齢化が進み認知症の方が増える、そうした中で成年後見制度が十分利用されていないという、そういう状況にあるとの認識の下で提案がされていると。
他方で、この利用推進に当たりましては、今御指摘もありましたように、成年被後見人の方の意思が尊重されるということも踏まえて対応するということでございますので、そこをしっかり踏まえながら私どもとしてこの法律の施行を進めさせていただきたいと、こう思っております。
山下よしき 最後に、資料の4枚目に付けてあるんですが、実は、世界ではもう進んだ実践が広がっております。日本自閉症協会の「成年後見制度の見直しを進めるよう提案します」という冊子の中に紹介されている2005年に成立されたイギリスの意思決定能力法の内容であります。非常に重要なことが書かれてあります。
(1)意思決定の能力は固定されたものではなく、事柄によって異なる(家の売買契約はできなくても、服を選ぶことはできるように)。
(2)意思決定の能力は、その時の環境や気分によっても変化する。落ち着いた環境で、信頼できる人と一緒であれば、意思決定の能力は高まる。
(3)意思決定の能力は、経験を通して発達する。
(4)意思決定支援を尽くしても意思決定できないこと、できない時にのみ、支援者の「代行決定」が認められる。
(5)代行決定は、その人の「最善の利益」となるように行う。本人への制約は最小限にすべきである。
これは、2005年にこういう理念に基づいた制度ができまして、実際にこの専門的な知見を持っている方々が法的に整備されて、この代行・代理権を行使する際には、その方が本人と意思を確認する際のアシストをされるということにもなっていると聞きました。日弁連のシンポジウムでもこの制度の調査の報告がされております。
日弁連さんが意思決定とは何かということをまとめておられます。意思決定の支援とは、その人が意思決定することができないという判断をする前に、本人と信頼関係を築いている身近にある支援者や家族等が本人に寄り添い、本人が自分で意思決定ができるように必要な情報をその人の特性に応じて提供し、選択とその結果を見通せるような工夫された説明や体験の機会をつくる等を通じて本人が意思決定することが可能となるように、様々な合理的配慮を尽くす実践の総体であると、そういうふうに意思決定ができることを引き出す支援があってこそ意思決定の支援なんだということなんですね。
こういうことを、もう非常に大事な観点ですが、加藤大臣、是非、そういう障害者権利条約、そして日弁連、世界の到達、しっかり踏まえて所管されることを期待したいと思いますが、もう一度その点を。
神本美恵子内閣委員長 時間ですので、答弁簡潔に。
加藤大臣 はい。
今御指摘の点もかなりこの法案の中にも盛り込まれているように私は感じさせていただきながら聞かせていただきました。
いずれにしましても、この法案、そしてここでの議論、それを踏まえながら適正に執行するように努めて、同時に、この法案の趣旨にしっかりと沿った形で執行できるように進めていきたいと思っております。
山下よしき 終わります。
山下よしき 私は、日本共産党を代表して、成年後見制度の利用の促進に関する法律案及び成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
現行の成年後見制度は、2000年、それまでの禁治産制度がもたらす社会的偏見を払拭し、硬直的制度から、本人の意思が尊重され、弾力的な運用を可能にすることを期待して導入されました。その下で、消費者被害に遭ったり親族等からの虐待を受けていた認知症高齢者などが成年後見人を付けることで被害から救済されるなど、同制度は判断能力が不十分な人を保護する上で一定の役割を果たしてきました。
一方、2006年に障害者権利条約が国連で採択され、2014年に日本も批准しました。同条約は、障害者は法律の前に人として認められる権利を有し、適切な支援があれば生活のあらゆる面で意思決定が可能であり、そのための支援を行うことを求めています。禁治産制度の枠組みをそのまま継承し、成年被後見人等を制限行為能力者と位置付け、成年後見人等による代理権行使等を幅広く認める日本の成年後見制度は同条約に抵触する疑いがあるとの批判が、法曹界、学者、関係団体などから共通して指摘されています。
こうした制度の根本的な問題と相まって、被後見人の意思に反する様々な代行が後見人によって行われたり、後見人による被後見人の財産の着服、横領問題が起こったりしているのです。今日では、代行決定型の制度ではなく、当事者の意思決定について、生活の様々な場面において、事柄に応じ、身近な家族や福祉、医療従事者など様々な立場の者から自ら意思決定するために必要な支援を受けることができる制度を整備すること、代理権等の行使は包括的ではなく事柄ごとに行うことなど、成年後見制度の根本的転換を求める声が強まっています。
ところが、本法案は、こうした制度の根幹には手を付けず、現行制度の枠組みを維持した下での利用促進をうたうものとなっており、賛成できません。
医療同意、死亡後の代理などの後見人の権限拡大についても、障害者団体などから懸念、反対の意見が出されており、慎重な検討が求められています。
今必要なことは、現行成年後見制度の制度上、運用上の問題を総点検することであり、国際的な流れとなっている意思決定支援制度の整備と、それと整合的な成年後見制度となるような制度の根本的見直しを行うことであることを強調し、反対討論とします。