山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
今日は、子供の貧困問題を質問させていただく予定にしておりますが、その前に菅官房長官に。
昨日、大津地裁は、関西電力高浜原発3、4号機の運転停止を命じる仮処分決定を行いました。新規制基準に合格して再稼働した原発の運転停止を命じる仮処分決定は初めてであります。明日がちょうど福島第一原発事故から5年、いまだに広大な地域で人が住めない。子供は外遊びができない。農家は作物を作れず、漁師は魚を捕ることもできない。たった1回の事故でこれだけの災禍をもたらし続けるのが原発だということであります。
私は、今回の決定は、安易に原発を再稼働することに対する国民の不安が届いた決定であり、そして福島で今起きていることを正面から見据えた決定だと感じますが、まず、官房長官の昨日の決定への受け止め、伺いたいと思います。
菅義偉内閣官房長官 政府としては、そうした福島の事故の教訓を生かして、まさに世界最高水準と言われます新しい規制基準、こうしたものを、原子力規制委員会が専門的見地から十分に時間を掛けて、それに基づいて判断をしたものであります。そうした3、4号機についてはその原子力規制委員会の判断を尊重する、このことについては変わりませんし、その尊重をし、再稼働を進めていくという方針は変わらないのであります。
いずれにしろ、本件は仮の処分であります。当事者である関西電力がやはりしっかり説明を尽くすことが大事だというふうに思います。
山下よしき 余りにも軽い受け止めだなと思わざるを得ません。仮処分とおっしゃいましたけれども、仮処分というのは直ちに止めよという決定なんですよ。それほど危険だということなんですよ、逆に言えば。それほど差し迫った危険があるからこそ仮処分で直ちに止めよと司法は判断したんですよ。これ、軽いどころか重いんですよ。そう受け止めるべきだと思います。
大臣、判決文をお読みになったかどうか分かりませんが、非常に重い中身であります。今日、二点だけ、少し大臣の意見を伺いたいんですが。
まず、規制基準について、先ほど大臣も触れましたが、昨日の決定はこう言っております。福島事故の原因究明は、建屋内での調査が進んでおらず、今なお道半ばの状況で、津波を主たる原因として特定し得たとしてよいのかも不明である。その災禍の甚大さに真摯に向き合い、二度と同様の事故を防ぐとの見地から安全確保対策を講ずるには、原因究明を徹底的に行うことが不可欠である。この点に意を払わないのであれば、そしてこのような姿勢が関電ひいては規制委員会の姿勢であるとするならば、そもそも新規制基準策定に向かう姿勢に非常に不安を覚えるものと言わざるを得ない、こう述べております。
原因がまだ分かっていないのにこれで安全だなどという姿勢は問題だということでありまして、先ほど官房長官は、政府として、この新規制基準を世界で最高水準だと、こうおっしゃいましたけれども、そうじゃない、不安を覚えざるを得ないと司法は判断しているわけですから、この新規制基準に合格したことをもって安全だといって再稼働をどんどんやる、このやり方、政府の姿勢をやはりここは再検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
菅官房長官 原子力規制委員会は専門的見地から十分時間を掛けて世界最高水準の新規制基準に適合するという判断をされたわけでありますので、政府としては、こうした原発について、その判断を尊重をし、再稼働をしていくという考え方に変わりはありません。
山下よしき 先ほどからこれまでそうだったという説明に終始しているんですけれども、そうではないという司法のこの決定が下ったわけですが、それについてどう思われるんですか。
菅官房長官 本件は仮の処分であります。いずれにしろ、当事者である関西電力が更にしっかりと説明を尽くしていくということが大事でありますので、そこはしっかり指導していきたいというふうに思います。
山下よしき あの福島から5年たって、こういう司法の判断が出て、しかしいまだにそれに真摯に耳を傾けようとしない姿勢、私は、福島の方だけではなくて、オールジャパンでいかがなものかと見ると思いますよ。
もう一つ、昨日の大津地裁の決定の中身を少し紹介しますが、避難計画についてこう述べております。福島事故を経験した我が国民は、事故発生時に影響の及ぶ範囲の圧倒的な広さとその避難に大きな混乱を生じたことをよく知っている。安全確保対策としてその不安に応えるためにも、地方公共団体個々によるよりは、国家主導での具体的な可視的な避難計画が早急に策定されることが必要であり、この避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準が望まれる。過酷事故を経た現時点においては、そのような基準を策定すべき信義則上の義務が国家には発生していると言ってもよいのではないだろうかと、こういう判断ですよ。
確かに、今、各自治体で避難計画策定してますけど、なかなか策定が困難だし、それが実践できるのか、極めて危うい状況に置かれたまま再稼働が次々されようとしているわけですね。そういう状態でいいのか、やはり国がこの避難計画に責任を持って基準作るべきじゃないかと。
この司法の判断、どう受け止められますか。
菅官房長官 この避難計画の段階から、国は地方自治体としっかり連携をして避難計画を策定をし、総理を議長とする原子力防災会議で了承するという、国が前面に立ってしっかり地方自治体を応援するという体制により、ここは国はしっかりと関与し、そして責任を持って行っている、そういうことであります。
山下よしき 責任なんか持てないですよ。だって、バスの台数確保できないし、運転手確保できないというのがこの地裁の判決のあった滋賀県で起こっているんですよ。だから、国がちゃんと責任持った基準を作らないと、それ誰が責任持つんだというこの指摘、今の答弁で済ますんですか。受け止めないんですか。
菅官房長官 今申し上げましたけれども、避難計画策定の段階から国は地方自治体と一緒になってこれ作っているんです。そして、その計画に基づいて原子力防災会議、これは総理が議長でありますけれども、そして閣僚が出席して、そこで了承を得るわけであります。結果として、まさに国が前面に立ってしっかりと地方自治体を支援していく体制をつくらさせていただいている、このように考えております。
山下よしき 私は、本当にこの司法の判断をそのように軽く受け流す姿勢は残念でなりません。明日、福島は5年目迎えますけれども、恐らく多くの国民の皆さんがこの決定を生かしてほしいと願っていると思いますよ、行政に、国に。今の姿勢ではその国民の期待に応えることはできない。私は、そういう姿勢を転換すること、そして原発ゼロに向かった方向転換することを、引き続き多くの皆さんと一緒に求め続けていきたいと思います。
次に進みたいと思います。子供の貧困問題であります。
山形大学の戸室健作准教授が調査をされまして、資料1枚目に載せておりますけれども、少子化で子供の数が減少しているにもかかわらず、生活保護以下の収入で暮らす子育て世帯が倍増していると、この20年間でですね。これは、総務省の5年ごとに実施する就業構造基本調査などを分析して、生活保護費の受給対象となる最低生活費以下の収入しかなく、かつ17歳以下の子供がいる世帯数の20年間の推移を調べたもので、その結果、1992年に約七十万世帯だった子育て中の貧困世帯数が、直近の2012年の調査では約146万世帯に倍増していたという調査結果であります。なお、この同じ期間に子育て世帯自体は2割減っているわけですから、2割減っても貧困世帯の数が倍になったというのは非常に深刻な事態だと思います。
政府の調査より実態に近いものだというふうに見られておりますが、官房長官、こういう実態について、認識伺いたいと思います。
菅官房長官 政府として、ジニ係数の動向を見てみますと、我が国の当初の所得に比較して、税や社会保障による再分配後の所得の格差はおおむね横ばいで推移しているというふうに思います。また、相対的貧困率については、2012年までのデータであり、第二次安倍内閣以降における状況を示すものではありませんけれども、長期的な傾向としてはおおむね緩やかに上昇しているというふうに認識をしております。
いずれにしろ、政府として子供貧困対策は極めて重要な課題であるというふうに認識しておりますので、総合的な施策をしっかり推進をしてまいりたいというふうに思います。
山下よしき 緩やかな上昇じゃないんです。20年で倍以上になっているんですからね。
加藤一億総活躍担当大臣に伺いたいと思います。
私、この間、東京都内の子供食堂を運営されているグループ訪ねました。今全国に広がっておりますけれども、私が行ったところは、月2回、子供さんが親子で食事ができるように、せめておなかいっぱい温かい御飯を食べてもらえるように、そんなことができない子供さんたちがなくなるようにということで、地域のボランティアの学生の皆さん、シニア世代の皆さん、近所の女性たちが腕を振るって御飯、夕食を作っておられました。次々と自転車に子供さん乗っけてお母さんがやってきて食べておられました。私も一緒に机を挟んで食べたあるシングルのお母さんは、いつもは2人だけで娘と寂しい食事しているけど、ここに来るとにぎやかで、子供も明るくてたくさん御飯食べますと言っておられました。
加藤担当大臣、こういう子供食堂の全国の営みについて、どう評価されますか。
加藤勝信国務大臣 議員御指摘のように、各地で子供食堂が増えております。また、今年の1月12日には、豊島区と豊島子どもWAKUWAKUネットワークの共催で第2回の子ども食堂サミットが開催されて、大きな広がりを見せているというふうに承知をしております。
私も一度、子供食堂、視察をしていきたいと思いましたが、今おっしゃったように間が空いているものですから、なかなかうまくフィットしないんですが、是非直接行って私自身もじかにそれを見ていきたいと思っておりますが、貧困の状況にある子供の抱える困難やニーズ、様々であります。貧困であるということがなかなか表に出てこない、実態が分かりにくいということでありまして、そういう意味では、行政の支援が必ずしも手が届くということには限らず、こうした子供食堂のように、草の根の皆さん方が子供たちにまさに寄り添って細かな支援をしていただくということは大変重要だというふうに考えております。
現在、国を挙げて子供の貧困対策を推進するため、官公民の連携・協働プロジェクトである子供の未来応援国民運動を展開をさせていただいておりまして、国民運動の事業である子供の未来応援基金、今いろいろとお願いに回っておりますけれども、そうした基金や、あるいは企業等の支援リソースと民間団体の支援ニーズを合わせるマッチングサイト、これも運営しております。こういったものを使って応援ネットワークをつくり、民間団体の取組をしっかりと後押しをしていきたいと、こう思っております。
山下よしき 私、訪ねた子供食堂のリーダーの方に聞いたら、何を一番行政から支援してほしいですかって、そんないろいろ、何といいますか、手取り足取りは必要ないんだけど、一番困っているのは場所の問題だというふうにおっしゃっていました。その方がやっている子供食堂も、その方の御自宅を改築して食堂を二つ、何といいますか、ちゃんと賄えるようにそれ用のキッチン造って、そこにたくさん人が集まっているんですね。公民館借りようと思っても、月2回ですからなかなか常時設備を置いておくわけにはいかない、またそういう設備がないところが多い。場所が一番何とか応援してくれたら有り難いとおっしゃっていましたが、そういう点どうでしょうか。
加藤大臣 今申し上げた民間の取組に加えまして、27年度補正で地域の子供未来応援交付金というのを設けさせていただいて、この中には、貧困の実態を把握していただく、計画を策定したりとか、あるいはそれを支える運動をしている方々のネットワークをつくっていただくというのに加えて、言わば自治体の取組として地域のいろんな取組を応援していく、そういったものも対象にさせていただいておりますので、それぞれの自治体においてもそういったものも活用していただければと思います。
山下よしき 次に、子供の医療費の問題について伺います。
厚労省に聞きますが、子供の医療費への無料化を含めた助成をしている自治体、都道府県、市町村、どうなっていますか。
谷内審議官お答えいたします。
平成26年4月1日時点におきます自治体によります子供医療費の助成の実施状況でございますけれども、自治体によって対象年齢が異なっているなどの違いはありますけれども、全ての都道府県及び市町村におきまして子供医療費助成を実施しているところでございます。
山下よしき 全ての都道府県、市町村で実施していると。いろいろ実施の状況は違いますけれどもね、そういうことであります。
就学前までではもう100%助成しております。それから、小学校卒業まで85%の自治体で、中学校卒業まででも81%の自治体で実施されているわけですが、群馬県が相当頑張っておられるんです。
群馬県の子供の医療費無料化の制度は四つ特徴がありまして、一つ、入院、通院共に中学校卒業までを対象としていること、二つ、所得制限がないこと、三つ、受診時に自己負担なしで医療を受けられること、四つ、県内の全ての市町村で実施されていること。この四つともやっているのは、全国で群馬県が初の取組だそうでありまして、ここで利用されている保護者の方の、どのような点で生活に役立っていますかというアンケートに対して、子育て家庭の経済的負担が軽減される、95.7%、安心して早期に治療が受けられ子供の健全な成長が促進される、89.4%、子供を産み育てやすい環境が整備され少子化対策の効果が期待される、50.9%というふうになっておりますが、加藤大臣、自治体のこういう取組、どう評価されますか。
加藤大臣 それぞれ自治体でそうした地域の実情に応じて対応はしていただいているというふうに思いますし、また、今、基本的には厚労省の方でいろいろと御議論があるんだろうと思いますけれども、子供たちが健やかに成長できるようにやはり政府としても様々に対応はしていきたいと、こう思っております。
山下よしき 2月25日、子どもの医療費無料化制度を国に求める全国ネットワークのお母さんたちと、私、一緒に加藤大臣を議員会館の部屋に訪ねまして、要望をさせていただきました。そのときの要請では、中学校卒業まで国の制度として子供の医療費の無料制度を実現することを目指しつつ、当面、就学前までの早期の創設をという要望でした。
お母さんたちからは、同じ県内でも自治体によって制度が違うのはおかしい、国の制度として誰もが安心して医療を受けられるようにしてほしいという声が出されて、加藤大臣、真剣に受け止めていただいて、子供の貧困が次の世代につながっていくことがないようしっかり対応していきたいという御答弁もいただきました。踏み出すべきじゃありませんか。
加藤大臣 今、子供の医療費に関していろんな論点があるというふうに承知をしておりまして、それを今厚労省において御議論もいただいているというふうに思います。
それをまず我々としてはしっかり見ていきながら、ただ、基本的な流れとして、最初に申し上げましたけれども、やはり子供たちが家庭環境に左右されることなく健やかに成長していけるようにしっかりと取り組んでいきたいと思います。
山下よしき その加藤大臣に訪ねた際、あるママから歯の問題が出されたことを覚えておられると思うんですね。子供の友達が歯医者にも行けず、虫歯で少し臭いもするということでいじめの対象になってしまっていますという声でありました。
ここがかなり衝撃的な中身だったので、加藤大臣も相当真剣に聞いていただいたという印象を持っているんですが、資料2枚目に、子供の歯の実態の、ちょっとリアルに見ていただくために、口腔崩壊と言われておりますけれども、ほとんどの歯がもうなくなっちゃっている子供が今残念ながら増えているという写真を載せてあります。これはもう四歳児ですけれども、右上の乳歯に急性症状があって、頬をぱんぱんに腫らせて来院したと。乳歯20本中14本が虫歯状態だったということでありますが、大阪府歯科保険医協会が子供の歯の健康についてずっと系統的に調査をした結果を毎年出しております。
資料3ページに、これは2015年の学校歯科治療調査なんですけれども、これ見ていただきますと、小学校では、2014年に学校歯科検診を受けた児童のうち34.0%が要受診と診断され、このうち歯科を受診した児童は50%なんですね。中学校では、32.3%が要受診と診断され、このうち歯科を実際に受診した生徒は31.0%。高校になりますと、30.1%が要受診とされ、うち歯科を実際受診したのは13.0%ということになっておりまして、受診しなければならないのに受診できていない子供さんが小学校でも5割。もっと多いわけですね、中高となるにしたがって。その結果、この大阪府歯科保険医協会の調査では、小学校で6年生で既に永久歯12本が虫歯、歯がないと一目で分かる児童がいる、虫歯が10本以上ある児童が十数人いるなどの事例があったというふうに報告されております。
加藤大臣、何でこんなことが広がっていると思われますか。
加藤大臣 今の資料、ちょっと初めて見させていただいたところでありますけれども、歯や口腔の健康というのは、食べる喜び、話す楽しみを保つ上でも重要でありますし、単に身体的なということだけではなくて、やはり精神的な、あるいは社会的な活動にもいろいろと寄与するものであります。特に子供にとっては健全な育成に大変重要だというふうに思います。
子供の齲歯、虫歯全体については、歯科医師の皆さん方等の努力もあってかなり下がってきているという統計は一方であるわけでありますけれども、今御指摘のあったような点、あるいは足立区においても、何か貧困と子供の虫歯との関連があるかないか含めて実態調査をしているというふうにも聞いております。こうした調査もしっかり見て必要な対応を考えていきたいと、こう思います。
山下よしき 大阪府歯科保険医協会の調査の結果の一つのコメントというか評価として、こう言っているんですよ。口腔崩壊の事例の子供たちの多くが経済的に困難な状況に置かれ、ネグレクトや生活習慣などに様々な問題を抱えているということだと。これは毎回の調査で同様の傾向が出ていると。要するに、経済的困難な状況で、歯医者さんにかかる必要があってもかかれない。つまり、内臓の疾患とかとまた違いまして、直接命に関わる問題ではないということもあるんでしょう。どうしても歯の治療というのは後回しにされるということはよく聞きます。その結果、こういう状況が、家庭の貧困が増えるに従って子供の口腔崩壊が広がっているというのが専門医の皆さんの分析なんですね。
学校の先生方が行政に望むことは何ですかと。まず治療費を何とかしてほしいという声が寄せられていると。窓口負担の軽減だけでこういうことが起こっているとは言いませんが、しかし、窓口負担の軽減は子供たちの健康の大前提となるというふうに歯科保険医協会の先生方も結論付けております。
この点からも、国の制度としての医療費の助成制度、踏み切るべきではないかと。もう一度、どうでしょうか。
加藤大臣 今の点については、そうした地域の中で様々な調査も行われているということでありますから、その辺もしっかり把握に努めさせていただきたいというふうに思います。
その上で、改めて国の対応ということでありますけれども、今、先ほども御答弁させていただきましたけれども、厚労省においていろいろ御議論いただいているということでございますので、その議論もしっかり見極めながら対応させていただきたいと思います。
山下よしき さっきから厚労省においてと言うんですけれども、私、何で加藤さんが、わざわざ少子化を克服するために、出生率一・八と、安倍総理から直々に任命されてこういう大臣になられたのかと。やっぱり厚労省が今までもやってきたから見守りますでは、私はこの大臣が特設された値打ちがないと率直に言って思うんですね。ですから、私、今いろんなことをお示ししながら、また、大臣、本当に真剣に聞いていただきましたので、お母さんたちの声を、しかもそのポジションにおられるわけですから、大臣がイニシアチブを発揮すればかなり大きな後押しになると思いますので提起しているわけですから、そういうふうに受け止めていただければと思いますが。
例えば、就学前までの子供の医療費を国の制度として無料化した場合にどのぐらい予算掛かるのかと。国費として負担するのに2400円、厚労省が試算出しております。この額の多い少ないというのはいろいろ評価ありますが、例えば法人税の減税、安倍政権の下でこれまで3年間でも3円ですから、これからまた新年度で更に拡大して1円上乗せしようとしておりますから、そういうことも含めれば決して出てこないお金ではない。もう子供の命と健康、成長、発達に関わる問題として、これ思い切って判断いただきたいというふうに思います。
もう時間が迫ってまいりました。せっかく石破大臣来ていただいていますので、私は、子供の医療費の無料化に踏み込むべきだということをまず、いろんな方が要求されながら、もう一つ、直ちに自治体がそういうことを独自で踏み込んだら、これは政府がペナルティーを科しているという問題があるわけですね。窓口で無料化した場合など、国は自治体に対する公費負担を減額措置している。もうペナルティーなんです。
何でこんなことをやっているんですか、厚労省。
谷内繁厚労大臣官房審議官 お答えいたします。
国保の国庫負担金の減額調整措置はどういう趣旨で実施しているのかというお尋ねでございますけれども、これは地方単独事業によりまして医療費助成によって窓口負担が軽減される場合に、一般的に医療費が増加するため、限られた財源の公平な配分や国保財政に与える影響などの観点から、増加した医療費分の公費負担を減額調整しているところでございます。
山下よしき 次のページ、資料を見ていただいたら分かるんですけれども、今の言い分書いてあるんですけど、箱の中の下ですけれども、国庫の公平な配分という観点からというふうにあるんですが、もう全ての自治体でやっているんですよ、医療費の無料化は。公平も何もないです、みんなやっているんですから。それを国の制度としてやっていただいたらもっとバージョンアップできるじゃないかという要望なんです。公平に欠くからなんていうのはもう理屈にならない。
石破大臣、来ていただいていますが、地域創生事業において子供の医療費助成事業も活用されておりますが、どのぐらいの自治体で活用されていますか。また、もう時間になりますから、どういう思いで自治体はそういうことをやっているんでしょうか。
石破茂国務大臣 はしょって申し上げますが、御質問のありました医療費助成につきましては、交付決定ベースで申し上げますと、74の市町村におきまして、合計13億円ということになっておるわけでございます。
これは、少子化対策もメニュー例の一つとしてお示しをしておるわけでございまして、出会いの場づくりですとか結婚相談、不妊治療助成、保育料軽減、保育士の保育環境の拡充、育休取得促進など幅広い事業で活用されておるところというふうに承知をしております。
各地方公共団体、子育て支援に有益な取組であるというふうに考えまして、これを活用しておるという認識を持っておるところであります。
山下よしき この場合、減額措置はされているんでしょうか。
谷内審議官お答えいたします。
現行法令上、国保の減額調整措置でございますけれども、国の負担金又は補助金の交付を受けないで地方自治体が実施する医療の窓口負担の軽減のための事業について実施することとされております。
したがいまして、国の地方創生先行型交付金の交付を受けまして、地方単独で医療費助成につきまして例えば年齢要件や所得要件を緩和するなど対象者の拡大を行った場合などには、その拡大部分については減額調整措置の対象にしないこととしております。
山下よしき 要するに、国が認めればいいけれども、認めなかった、勝手にやったらペナルティーだと。おかしいですよ。どっちも思いは一緒なんですよ。子供のために、地域のためにと、こう思ってやっているのに、片やペナルティー、片やペナルティーじゃないと。これどっちに合わせるかというと、やっぱり全部ペナルティーなんかなくすのが当たり前なんですね。もうそういうところまで来ている。
石破さん、頑張ってください。
石破大臣 いや、それはペナルティーというふうに考えるかどうかというお話であります。ですから、今の政府参考人から答弁がありましたように、公平というものをどのように考えるかということに最後は帰着するものだと思っています。だから、ペナルティーという意味合いを持っているとは私は思いませんが、何が公平なのかということについて議論を突き詰める必要はあるというふうに認識をいたしております。
山下よしき 終わります。
山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
まず、無人航空機、ドローンの技術の発展あるいは普及を踏まえて、昨年、航空法が改正されて、ドローンの飛行ルールが設定されました。その概要を説明いただけますでしょうか。
島村淳国交省航空安全部長 御説明いたします。
無人航空機は昨今急速に普及し、撮影、農薬散布、インフラの点検分野で利用が広がっています。一方で、人が密集している場所へ落下する事案が発生するなど、その安全性に懸念が生じているところでございます。このため、無人航空機の飛行に許可を必要とする空域や飛行の方法など基本的なルールを定めることにより、無人航空機の安全な飛行を確保し、航空機の運航や地上の人への影響を防止することが改正航空法の目的でございます。
具体的には、航空機の往来が見込まれる高度150メーター以上の空域や空港周辺、さらには人口密集地域の上空において、国土交通大臣の許可なく無人航空機を飛行させることを禁止しております。また、飛行可能な空域においても、例えば日中において飛行させること、目視の範囲内で飛行させること、人又は物件との間に距離を保って飛行させることなど飛行の方法を定め、これによらない場合は国土交通大臣の承認を求めております。
禁止されている空域、また、これらの飛行の方法によらない無人航空機の飛行は、必要な安全対策を取った上で国土交通大臣の許可、承認を取得すれば可能ですが、一方で、許可、承認を得ずに行った場合は50万円以下の罰金が科せられます。
以上です。
山下よしき 要するに、航空法の改正は、航空機の航行の安全、それからそれがおっこちた場合の地上の安全を目的とした法律だと理解していいですか。
島村部長 お答えいたします。
おっしゃるとおりでございまして、航行する有人の航空機の安全、それから地上の安全でございます。
山下よしき 続いて、衆法の提出者に伺います。
それでは、今回の衆法はどういう目的からドローンの飛行規制を行う法案となっているのでしょうか。
古屋圭司衆院議員 今御質問の趣旨は、何を対象としているかということでしょうか。そういう……
山下よしき 目的ですね。
古屋衆院議員 目的ですね、分かりました。
これは、今事務方から、政府委員から答弁がありました航空法に基づくものと我々とは、これは対象が異なっております。例えば、この法案は、国の重要施設周辺地上空における小型無人機の飛行を禁止をすることによって、そういった重要施設に対する危険を未然に防止をして、そして国政の中枢機能等の維持に資することを目的としているという、ここで明らかに航空法とは違うということでございます。
山下よしき 分かりました。
それでは、その国の重要な施設とは具体的にどういう施設でしょうか。
古屋衆院議員 この法案で指定する重要な施設は、いわゆる三権の長、それから、そのほかは赤坂御所、それからあとは、先ほども答弁がございましたが、外務大臣と外国公館との協議の中で指定をする外国公館等がその対象となっております。
山下よしき 今説明のあった国の重要な施設を、その上空でドローンの飛行を禁止することによって未然に危険を防止するという目的なんですが、じゃ、どのようなやり方でその飛行を禁止するということになるのか。事前にいろいろレクチャー受けますと、いわゆるレッドゾーンとイエローゾーンという区域の概念に基づいてそれぞれ飛行禁止の対応をするということのようですが、レッドゾーンというのはどういう区域で、そのレッドゾーンの上空で飛行させた場合どういう対応をされるのか、御説明いただけますでしょうか。
古屋衆院議員 今委員御指摘のように、いわゆるイエローゾーン、これはその施設から300メーター以内ということで区域を限定をしております。そして、レッドゾーンと言われるところはまさしくその施設の上空ということが仕切りになっております。
それだけで、まずそれでよろしいでしょうか。
山下よしき 処罰の点、対応。
古屋衆院議員 処罰の方ですね。分かりました。
処罰については、その上で、まず、その施設上空で小型飛行機を飛行させた場合は、まず退去命令が警察官によってできます。小型無人機の飛行の妨害又は破損その他必要な措置を講じることもできることになっています。この命令の違反に対しては、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することができます。
さらに、対象施設及びその敷地の上空で小型の無人機を飛行させた場合、これは要するにレッドゾーンというところですね、これについてはいわゆる直罰、すなわち直ちに1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処するというふうに規定をさせていただいております。
山下よしき 要するに、これは先ほど藤本さんの御質問とも関連するんですが、目的を問わないわけですね。飛ばしただけで直罰なんですよ、懲役1年、罰金50万円。これ、かなりきつい。きついんですよね、これ。何も被害が出てなくても、上空をドローン飛ばしただけでそういう状況になるということであります。
それからもう一つ、その外側の、重要施設及び敷地上空の外側、いわゆるイエローゾーン、これは先ほどいろいろ質疑の中でも、300メートルを基準にした区域を、いわゆるイエローゾーンを設定するということなんですが、ここではどういう対応をされることになりますか。
古屋衆院議員 いわゆるイエローゾーンで、周辺地域の上空で飛行が認められた場合は、警察官は小型無人機等の飛行を行っている者に対して、対象施設及びその周辺の上空から小型無人機の撤去、その他の対象施設に対する危険を未然に防止するために必要な措置を講じることができると。これは8条の1項に規定されていますが、じゃ、その具体的な措置命令の実施体制については、今警察庁等においてあらゆる状況を想定をしながら適切に対応をしていくということでございます。
山下よしき 要するに、周辺地域、イエローゾーンで上空飛行させた場合は、まず排除命令、排除措置と、もう飛ばしてはなりませんよという命令を課して、命令に従わなかったらこれまた1年以下の懲役、50万円以下の罰金ということになっているんですが、そうしますと、その300メートル基準のエリアですと、かなり広いエリアだと思うんですね。今、大臣、どういう体制でというのは今警察庁の方でというふうにおっしゃいましたけれども、かなりこれは広い範囲、常時監視しないと実際ならなくなるんじゃないでしょうか。
古屋衆院議員 私は提案者でございまして、大臣ではございませんので。
警察においてやはり、今この法案がもし成立をされたならば、あるいは成立後、この問題が起きたときから、発生したときからいろいろなケースを想定をして、その警備体制、そしてどういう対応をしていくかということは検討をされておるというふうに私も承知をいたしております。適切な対応をしていただけるものと我々も期待をいたしております。
山下よしき もう一つ、イエローゾーンに関わって、今御説明あったイエローゾーンの上空でドローンを飛行させた場合は排除命令の対象となるわけですが、飛行はイエローゾーンの上空でも操縦はイエローゾーンの外、かなり遠く離れた場所からドローンを操縦しているという場合はかなりあると思うんですが、その場合も排除命令の対象となるんでしょうか。
古屋衆院議員 これは、あくまでもこの法案上は、当該小型飛行機が飛んでいるエリアに着目をして対応することになっておりますので、操縦がその対象の地域であるのかどうかということは問いません。あくまでもその飛行機が飛んでいる場所が300メーターのイエローゾーンなのかどうかということで判断をされるということです。
山下よしき そうしますと、これは相当広範囲になるわけですね。遠隔操作をしている者がそのイエローゾーンで飛ばしているかどうかも判断するのもなかなか難しいでしょうし、そういう者がどこにいるかを探すとなると、相当広範囲に監視体制をしかなければならなくなるわけですね。本当にそういうことをやろうと思ったら、これかなり警察官の監視体制強めなければできないんじゃないですか。
古屋衆院議員 これはむしろ警察の方からお答えしていただいた方がよろしいかもしれませんが、そのためにあらゆることを想定をしながら適切な対応をするということで、先ほど私が答弁をさせていただいたとおりでございます。
山下よしき 警察庁、そういう相当広範囲なエリアで常時監視体制すると、可能ですか。
沖田芳樹警察庁警備局長 いわゆるドローン対策につきましては、ドローンの発見という面と、その排除あるいは阻止ということでございますけれども、発見につきましては、大きく警察官の目によるもの、この目も、直の目というか、いろいろ、双眼鏡その他暗視スコープ等を用いることもございますし、その他機材を用いたドローンの探知ということも検討しているところでございます。
また、排除につきましては、具体的なものとして、例えばドローンキャッチャーというものが、警視庁が導入しておりますけれども、ドローンに網を付けまして、これで飛んできた違法なドローンを捕獲すると、こういったものも使っているところでございますけれども、その他ほかにいろいろと有効な方策につきまして更に検討を進めているところでございます。
山下よしき 今のは上空で見付けたり捕まえるという説明であって、遠隔操作している人にどう排除命令出すんですかというお答えはなかったんです。もしこれ本当にやろうと思ったら、相当な警察官の増員とか常時監視の体制つくらなきゃならない。そうなりますと、これはもういわゆる監視社会みたいな雰囲気になっちゃう。町の雰囲気が非常に緊張した息苦しいものにもなりかねないという心配を私はいたします。
それからもう一つ、先ほど冒頭質問した航空法というのがあるんですね。航空法では、ちゃんと許可を得た空域や場所、あるいはイベントの上空であっても申請を出して認められた、そういう取材だとか測定、監視などの目的であれば飛ばせるわけですよ。それはどこで飛ばしているか。いろんなところで飛ばしているでしょう。そういう方も、ひょっとしたらその人が国の重要施設の上空あるいは300メートルぐらいで飛ばしている人じゃないのかと。
正当な目的でドローンを扱っている人に対しても、これは監視の目が注がれることになりませんか。提出者の方。
古屋衆院議員 これは、規制、禁止あるいは制限区域においても、例えば事前にその申請をする等々によってその飛行が可能になるわけでございまして、そのためには、例えば取材とか報道活動というのが想定されるかと思いますけれども、そういった場合には、国家公安委員会規則が定められておりますので、都道府県公安委員会に通知をして、そして具体的な方法についてはその公安委員会にてルールに基づいて対応していく、要するに飛んでもいいですよという許可を出していくと、こういうことになっております。
山下よしき そうすると、ドローンを飛ばしている人が、その許可をもろうていますよということを常に腕章か何か巻いたりして分かるようにして飛ばしておくことになるんですか。
古屋衆院議員 それは実際の運用でございますので、これはむしろ私よりもこちらの方に聞いていただいた方が間違いないと思いますけれども、我々の法律の考え方というのは、今私が申し上げたとおりの考え方で対応していきたいと思っております。
山下よしき 要するに、遠隔操作ですから、どこで飛ばしているかが分からないということでちょっと聞いているわけですが。
実は、日本民間放送連盟がこの問題で、心配だという意見を出されております。小型無人機の使用目的には、報道、学術、設備点検、測量、映画制作など国民の利益に資する正当な業務があり、一方で、テロなどの違法行為が考えられます。全て一律に捉え、同じ規制を掛けようとしていますが、合理性がないことは明らかです。取材・報道活動に配慮した規定がなく、非常時における国民の情報アクセスの妨げになるおそれがあるものと、強く憂慮いたしますという御心配なんですね。これは、単に取材する側だけではなくて、そういうことによって少しでもちゅうちょされるようなことがあったら、規制されるようなことがあったら、これは国民の知る権利が阻害されるということを私は心配するわけです。
もう時間ありませんので、関連して、原子力事業所も対象に加えられました。
私、福島第一原発の事故の直後の状況を思い起こすんですが、東電も政府も情報を本当に出そうとしなかったんです。水素爆発の直後、自衛隊がヘリコプターで水をわっと掛けようとしましたが、うまくいかないので、次の取られた方法は各自治体の消防ですよね。東京消防庁のハイパーレスキューなんかが決死の覚悟で放水作業を行いました。
しかし、そのとき東電は、福島第一原発の敷地内でどれほど爆発によって大きなコンクリートの瓦れきなんかが散乱しているのかという情報を東京消防庁に伝えなかったんです。それから、政府も、衛星があるわけですよね、写真見たらそれちゃんと分かるはずなのに、それも東京消防庁の方には伝えられずに、現場に行って大変な状態になっていて、消防車が通ることができずに、人海戦術で海からホースを何百メートルもつないで決死の放水活動をやったということが実際にありました。そういうことが現に原発施設では起こっているんですね。
私は、この法律案が通ったことによって一層、原発施設が対象になることによって、ドローンというのは恐らく有用だと思うんですね、事故が起こった際の情報の収集、あるいは放射線の測定なんかには大変有用だと思うんですが、そういうことが残念ながらこの法案によって規制されるようなことがあったら、万に一つもあってはならないと思うんですが、法案提出者、その点はいかがでしょうか。
泉健太衆院議員 原発施設を追加させていただいた修正案提出者ということで、私の方から答弁させていただきます。
まず、今ほどお話のあった福島原発の例でいきますと、画像情報を共有をするというのはとても大事なことだというふうに我々も認識しております。だからこそ、しかしながら、一般の方がその場所で画像情報を収集するということはなかなか困難だと思いますので、原発で事故が起こった場合には、恐らく何らかの行政機関なり公権力が画像を活用するということになると思います。そういった意味では、管理者はもちろん飛ばすことはできますし、そして行政機関であれば、そこは意思疎通の中でしっかりとそういうものを活用して情報収集をすることは可能だというふうに思います。
昨日もちょうど、海上自衛隊が福島原発にゲージを寄せて、そして水をどんどん送る作業の画像がニュースで流れていましたけれども、それは一般に公開されるのは初めてであっても、当時から映像として残しておいたんだというふうに思うんですね。そういったことの共有はしっかりと進めていっていただきたいというふうに思っております。
ただ、一般の方々が重要施設においてこういったドローンを飛ばすということは、どんな目的かということが非常に判断しにくいということがありますので、極めて限定的にでありますが、今回の重要施設というところにおいては、一般の方のドローンの活用、飛行ということに関しては規制を掛けさせていただくという考え方に至ったということです。
神本美恵子内閣委員長 山下芳生さん、時間ですので、おまとめください。
山下よしき 今、非常に大事なことを答弁されていなかったんですよ。要するに、公的機関だけじゃないはずなんです。報道機関、それから大学や民間の研究者、放射線測定ですね、そういうものが、ドローンを使って事故現場の上空を飛びたい、飛ばなければならない使命なんです、それは。それ今答えなかったけど、そんなことはあってはならないと。いかがですか。
泉衆院議員 事故直後は恐らくやはり避難ということが最も大事であると思いますし、ドローンを飛ばして調査をすぐできるという状況には恐らく至らないんだと思うんですね。しかし、事故後数年たって調査をするときに、やはり学術団体が調査をしたいと言っているときに、例えば管理者というか施設の所有者がそれをむやみに確かに断るということは望ましくないことだというふうには思います。
ただ、やはり、繰り返しになりますが、事故直後等々であれば管理者や行政機関以外が私が調査をしたいというふうに手を挙げて調査を自由にできるというのも、これもやはりなかなか難しいのではないかというふうに思います。
山下よしき もう時間が来たので、河野大臣、済みません、終わります。
山下よしき 私は、日本共産党を代表して、重要施設等の周辺地域上空における小型無人機の飛行禁止法案に反対の討論を行います。
本案は、昨年4月22日に総理官邸屋上で、小型無人機、いわゆるドローンが発見されたことを契機としたものです。
その内容は、国会議事堂、総理官邸、最高裁等をレッドゾーンと設定し、国政の中枢機構だからという理由だけで、その上空で小型無人機の飛行を禁止し、処罰するものです。実際の飛行による危険や被害の内容を問わず、ただ小型無人機を飛ばす行為に対して直ちに懲役刑を含む刑罰を科すことは、刑罰法規としての合理性を欠くものです。
修正により、防衛省など危機管理行政官庁、原子力事業所がレッドゾーンに追加されましたが、このような法体系のままレッドゾーンを拡大することは、国民の知る権利や正当な業務を広範囲に制限することにつながり、認めることはできません。
ドローンの定義に関して、本案の小型無人機と航空法における無人航空機の定義が異なります。法律によって定義が異なれば、混乱を招きます。
外国要人の所在する場所をレッドゾーンに指定する場合、国賓来日や国際会議などの期間を区切って各地で指定するものであり、これを周知できるのか疑問が残ります。同時に、外国要人の所在場所を周知することにもなり、かえって要人警護に支障が生じる懸念も残ります。
法案は、対象施設地域の周辺300メートルをイエローゾーンと設定し、この区域で小型無人機を飛行させた場合、排除命令を出し、それに違反した場合、懲役を含む刑罰を科し、イエローゾーンでの警備強化を行うものです。質疑の中で、その警備の区域が更に広がる可能性のあることも明らかになりました。こうした警備強化が国会、官邸周辺での国民の請願行動や集会等に影響を及ぼす可能性も否定できません。
航空法で許可を得た正当な飛行でも警備取締りの対象となることも懸念されます。日本民間放送連盟は、取材・報道活動に配慮した規定がなく、非常時における国民の情報アクセスの妨げになるおそれがあると憂慮しています。国民の集会の自由、言論の自由、表現の自由が脅かされないかとの懸念は拭えません。
最後に、ドローンなど小型無人機が一般に購入できるようになり、人口密集地での墜落事故や盗撮によるプライバシー侵害などが起きている下で、今必要なのは、国民生活への具体的な被害に対応した国民の安全対策の観点からのルール作りであります。この観点からは、既に航空法が改正されているところです。
官邸周辺の警備強化のために、とにかく刑罰規定を導入することに突出した本法案は認められないことを表明し、反対討論を終わります。