地方自治法等改正案に対する反対討論 
2017年6月1日 参院総務委員会

 私は、日本共産党を代表して、地方自治法等改定案に反対の立場で討論を行います。
 反対理由の第一は、地方自治体のいわゆる窓口業務について、公権力に関わるものも含めて業務の流れから切り出し、地方独立行政法人に外部委託できるとしたことであります。
 戸籍業務の民間委託化を導入した足立区で、戸籍法違反や偽装請負の実態が明らかになり、委託した相当部分を直営に戻すなどのケースが起こったことから、自治体のアウトソーシングを進めるために、地方独立行政法人のできる業務を拡大して委託させようとするものです。
 これまで、公権力に関わる窓口での業務は民間委託できないとしてきたものを、公権力に関わる業務であっても、定型的とされれば総務省令によって地方独立行政法人に担わせることとなります。住民要求をすくい上げ、必要な施策につなげるという極めて重要な役割を持つ窓口業務を切り離し、職員と遮断するならば、住民の基本的権利を守る自治体の役割と機能は大きく後退します。
 政府は、市町村による独立行政法人への強い関与、きめ細かい関与ができると説明しますが、現場で自治体職員と法人職員が業務上で直接やり取りすることは違法な業務請負となり、さらにかえって非効率、不合理で住民負担を増やすことになりかねません。
 さらに、複数の市町村の窓口業務が一法人に集約され、自治体の統廃合が加速される点、また、独立行政法人の業務や組織の見直し規定で、窓口独法の改廃、再委託等に向けた検討が強化され、将来の民間委託化に道が付けられようとしている点も看過できません。
 参考人の指摘にもあったように、人口減少社会への対応のためとしながら、かえって地方再生の要となるべき行政の力と役割を弱体化させることになり、地方における人口減少が更に進むようなことになれば本末転倒であります。
 反対理由の第二は、住民監査請求権と住民訴訟提起権を抑制する仕組みを設けることです。
 監査請求が提起された後、議会が監査委員の意見を聴けば損害賠償請求権等を放棄する議決ができることや、条例で軽過失の一部免責をあらかじめ定めることができるなどとすることは、国民の参政権に関わる権利である住民監査請求権と住民訴訟提起権の機運をそぐこととなりかねません。
 住民訴訟の係争中、長などの適法行為の真偽が争われているさなかに議会が損害賠償請求権等を放棄することで違法性の究明が断ち切れとなり、住民訴訟が事実上閉ざされるような事態が問題となっています。特段の理由のない限り、訴訟中の議会の放棄決議に明確な歯止めを掛けるべきです。
 反対理由の第三は、総務大臣が監査基準の策定、変更についての指針を定め、地方自治体に必要な助言をするなど、地方自治体に対する国の関与を更に強めようとしていることであります。
 以上を述べて、反対討論とします。

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。