総額約32兆円の3分の1を占める10兆円の予備費が盛り込まれた2020年度第2次補正予算案が8日、衆参の本会議で審議入りしました。麻生太郎財務相は財政演説で、10兆円のうち5兆円の使途の大枠を示すことで巨額予備費の正当化を図りました。日本共産党の藤野保史衆院議員と山下芳生副委員長(参院議員)がそれぞれ質疑に立ちました。
藤野、山下両氏は、「10兆円の予備費は憲法が定める財政民主主義の大原則を侵すものだ。巨額の血税の使い道を政府に白紙委任することはできない」と強調。「おおまかな使途を示すのならば、政府・与党の責任で明確に予算化し、国会で修正すべきだ」と迫りました。その上で、「残る5兆円についても、直ちに第3次補正予算の編成に入るべきだ」と求めました。
憲法は国の財政は「国会の議決に基づく」(83条)と規定し、政府もこれまで予備費の計上に抑制的でした。ところが安倍内閣は、コロナ対策を理由に20年度予算で5千億円を計上。第1次補正で1・5兆円に上積みし、さらに第2次補正で10兆円も積み増ししようとしています。
山下氏は「雇用危機を回避し、暮らしを守ることは政治の最大の使命だ」と強調し、具体策を提起しました。
従業員に休業手当を支払った企業への雇用調整助成金が現場に届くのが遅れ、その間に失業・倒産が増え続けていることをあげ、「これ以上遅れたら600万人の休業者の多くが失業者になる危険がある」と批判。「緊急に雇用調整助成金を『事前審査』から『事後チェック』に切り替え、支給を迅速化すべきだ」と主張しました。中小企業と個人事業主への家賃補助の対象を「3月以降1カ月でも売り上げが3割減少した事業者」へと拡大することも求めました。
安倍晋三首相は家賃補助について「売り上げ急減に直面する事業者に最大600万円を給付する」と説明するだけで、対象拡大に背を向けました。
山下氏はまた、収入激減で住居を失うケースが増えて命に危機が及んでいるとし、生活保護決定の迅速化や住宅扶助引き上げなどを提起しました。
学校再開に関して山下氏は「子どもの心身のケア、手厚く柔軟な教育、感染症対策のために学校の教員やスタッフを思い切って増やし、20人程度で授業できるようにするべきだ」と述べ、教員10万人増を主張しました。文化芸術分野への支援は「国が数千億円規模の拠出を行い、文化芸術復興基金を創設すべきだ」と求めました。