山下よしき 日本共産党の山下です。
私どもも法案については賛成であります。
まず、成田財特法は誰のために制定されたのか、その根本を聞いておきたいと思います。
私は、陸上空港であり、空港周辺の住民に耐え難い苦痛を与え、飛行ルートの下に住む住民を落下物の危険、不安におびえさせるなど、住環境、生活環境の悪化をもたらすことから、その軽減策として、さらには損害賠償的な意味合いを持って制定されたと考えますが、大臣の見解、求めたいと思います。
石田真敏 総務大臣 成田財特法は、成田空港の周辺地域における公共施設等の計画的な整備を促進するため、関係地方公共団体の財政負担を軽減するよう、国の財政上の特別措置について規定する法律でございまして、この法律は、国として必要な国際空港を農業地域である内陸に設置せざるを得ない状況であったこと等を踏まえて制定されたものでございますが、周辺の住民に対する損害賠償のために制定したものではございません。
なお、成田空港の滑走路建設等により生ずる移転等の直接的な影響につきましては、成田国際空港株式会社が費用負担を行い、成田空港の機能強化により生ずる騒音対策につきましては、騒防法及び騒特法に基づき、成田国際空港株式会社等の関係者において対応されているものと認識をいたしております。
山下よしき 内陸部に造らざるを得なかったので、周辺住民の皆さんの騒音等の環境をしっかり守るためにもこれ作ったということはお認めになったと思います。
国交省に来ていただいておりますけれども、ちょっとこれ通告していないんですが、基本的な問題ですから。成田空港の機能強化がやられようとしておりますけれども、私の理解では、今2本ある滑走路を、3本目の滑走路、C滑走路を造る、それから二つ目に空港運用時間の延長、すなわち夜間飛行制限の緩和というもので成り立っていると思います。
それによって30回から50回に空港容量を拡大するということだと理解しておりますが、その夜間飛行制限の緩和というのはどのようになるのかということなんですが、現在、朝の六時から夜の22時までが運航可能時間とされておりますけれども、それがいつからどのように変わっていくんでしょうか。
久保田雅晴(国土交通省航空局航空ネットワーク部長) お答え申し上げます。
昨年3月の四者協議会におきます合意におきましては、夜間飛行制限の変さらにつきましては、現状、朝の六時から夜の11時まで運用しているところを、C滑走路という3本目の滑走路が完成する前には朝の6時から深夜の0時まで夜1時間延長するという話が合意になっておりまして、これにつきましては今年の冬ダイヤ、10月最終週の日曜日からでございますが、そこから適用になってございます。
そして、第三滑走路供用後につきましては、現在、朝の6時から夜の11時までになっておりますものを朝の5時から深夜の0時30分、24時30分まで延長するということになっておりまして、その際には、3本の滑走路を運用することによって、現在七時間の静寂時間が取られていますが、その静寂時間を確保するような形で滑走路運用を行うということになっておるところでございます。
山下よしき 私、最初22時と言ったかもしれませんが、23時までですね。私、ちょっと資料を読み間違えました。
いずれにしても、6時から23時までの制限を24時まで、今年の冬から緩和しようということなんですよね。したがって、これは周辺住民の方にとっては騒音被害が深夜に及ぶということで、非常に大きな問題となっております。こういうことをやるのであれば、四者協議会というふうに言われましたけれども、四者協議会の構成は、国、千葉県、それから空港周辺九市町、そして空港会社でありますから、国と自治体と空港会社なんですね。直接の周辺住民というものはこの中には入っておりません。
したがって、その周辺住民にちゃんと説明をする必要がある、これ絶対にあると思いますが、その辺どうなっていますか。
阿達雅志 国土交通大臣政務官 委員ご指摘のとおり、成田空港のさらなる機能強化を実施するに当たっては、空港の国際競争力の確保と地域住民の生活環境の保全の両立を図ることが重要であると考えており、騒音対策を始め必要な環境対策を進めていくこととしております。
成田空港のさらなる機能強化については、平成28年9月の四者協議会における提案以降、2回のフェーズで計200回以上の住民説明会等を開催し、延べ1万人近くの地域の皆様にご参加いただくなど、機能強化の必要性や環境対策等について丁寧に説明してまいりました。こうした説明会等における意見も踏まえ、提案内容の再見直し等を検討し、既存防音工事の施工内容の改善や寝室への内窓設置工事等の実施など騒音対策を強化するとともに、空港と地域の共生を進めるため、地域振興の充実にも取り組むこととしております。
国土交通省としては、成田空港のさらなる機能強化を進めるに当たって引き続き関係者とともに丁寧な説明を行っていくこととしており、これは四者協の合意の内容でもありますが、より多くの住民の理解と協力が得られるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
山下よしき 納得されていない住民の皆さん、あるいは住民団体がまだまだ残っています。成田空港開港時に取決め書あるいは航空公害に関する交渉覚書を交わした住民団体と直接話合いはしていないと聞いております。
確認しますけれども、空港運用時間延長について、そうした開港時に覚書を交わした住民団体、具体的に言いますと、成田空港から郷土とくらしを守る会の方々と直接話合いをされましたか。
久保田 部長 委員ご指摘の成田空港から郷土とくらしを守る会の方につきましては、成田国際空港騒音対策委員会にご参画をいただきまして様々なご意見、ご要望をいただいておるところでございます。最近でもこれ開催されたわけですけれども、その都度、関係機関より誠意を持ったお答えをさせていただいておるところでございます。
いずれにしましても、先ほど政務官が答弁いたしましたとおり、国土交通省としましては、成田のさらなる機能強化を進めるに当たりましては、関係者とともに地域の住民の方々に対して丁寧な説明を行っていくこととしておりまして、より多くの住民の理解と協力が得られるように最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。
山下よしき 住民団体の代表が入っていると言われた騒音対策委員会、これは文字どおり騒音対策について協議をする委員会でして、運用時間の延長について協議する場ではないと理解しておりますけれども、そこに入られた、先ほど紹介した守る会の代表が、対策委員会、2018年3月19日の議事録を見ますと、住民に対する説明会の様子を発言されております。
ちょっと紹介しますと、先ほど政務官が、200回ですか、やられたという説明会の様子をその騒音協議会で紹介されているんですけれども、説明会は我々から見るとほとんど説明をするだけだった。国の政策である、機能強化をしないと世界のグローバル化の中で取り残される、それだけだった。騒音直下の住民自身がそれによって健康を害するじゃないかと非常に心配していた。ところが、そういう質問に対しての答えというのは全くなかった。例えば、50回になっても皆さんの健康には大丈夫ですよ、心配ありません、こういう説明は何にもなかったとこの方は発言されたことが議事録に載っておりますけれども。
住民説明会、一方的な説明で、住民の皆さんの心配、騒音による健康被害などに対するちゃんと安心できる説明はされていないんじゃないですか。
久保田 部長 先ほど政務官がご答弁いたしました、2回のフェーズに分けて合計200回以上、そしておおむね1万人、延べですけれども、住民の方、ご参加いただいたわけでございます。
今委員からいただいたご指摘、真摯に受け止め、われわれも説明会、きちっと運営しているつもりではございますけれども、さらに改良を加えていきたいと考えておるところでございますし、そういう意見をお持ちの方がいらっしゃるのも十分承知しておるところでございますので、関係者とともに、そういった地域の方々に対して今後とも引き続き丁寧な説明を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
山下よしき 丁寧な説明の中に、開港当初に反対はせずに、地域の周辺の環境をちゃんと守ってほしいという立場で運動されているのが先ほど紹介した成田空港から郷土とくらしを守る会の方々なんです。この方々の存在がなければ、激しい成田開港反対の闘争の中で空港は開港できなかった、そういう役割を果たされた住民団体の方なんですよ。
その方がたと各種覚書を交わして、それから取決め書を交わしているんですね、1972年にですよ。その中には、本約定に関し、特に定めなき事項があったとき又は疑義を生じたときには、甲乙において協議するというふうになっていまして、甲というのはこの住民団体の代表です。乙というのは、当時の丹羽運輸大臣、川上千葉県知事代理の副知事、そして今井新東京国際空港公団総裁、当時ですけどね。これだけ重い、大臣も判こをついている取決め書、覚書がありまして、新しいことが起こったらちゃんと協議すると、この団体と。
ところが、その協議がされていないんですね。これ新しい事態ですよ、空港の機能強化、深夜の飛行が拡大されるという。これは当然、この大臣が判こついた取決め書、覚書書に基づけば、この団体と当然誠意を持って話し合うのが当たり前じゃありませんか。
久保田 部長 お答え申し上げます。
今委員がご指摘されましたのは、昭和47年4月に結ばれた覚書であると認識をしてございます。覚書というか取決め書であると認識してございます。
大変恐縮ですが、この取決め書を厳密に見ますと、夜間飛行制限に関する実は具体的な記述はございません。
そういったことから、今回の夜間飛行制限の緩和に際しまして、改めてこの取決め書、昭和47年の取決め書に基づく協議というところまでは行かないのではないかというふうに認識をしておりますが、いずれにしましても、この成田空港、さらなる機能強化、努めてまいりますので、関係者とともに丁寧な説明を行って、より多くの住民の方の理解と協力が得られるように努めてまいりたいと考えてございます。
山下よしき 取決め書の読み方が全然違うと思うんですけどね。さっき最後に紹介したように、新しい、特に定めなき事項があったときは協議しなければならない、協議することになっているんですよ。新しい事態が起こっているんですからね、何で協議しないんですか。協議すればいいじゃないですか。
久保田 部長 それは、累次説明会を開催し、ご説明を累次させていただくということで我々としては対応してまいりたいと考えておるところでございます。
山下よしき この方がたは、かなり広い住民の皆さんの意を体した運動を今でもされているんですね、周辺の環境を守るために。ですから、自治体行政とはまた違う角度でいろんな声を聞いている方々なんですよ。その方々とずっとこの約定書に関わってこれまで、だから騒音協議会には入っておられるんですけどね。騒音問題だけではなくて、夜間飛行制限を緩和するという非常に大きな問題が起こっているんだから、いろんな運動をされてきて大事な役割を果たされた方々にちゃんと面と向かって協議をして、どうやって知恵出していくかというのをやらない方がおかしいんじゃないですか。やった方がいい知恵が出ますよ。
久保田 部長 お答えを申し上げます。
累次で大変恐縮でございますが、私どもとしましては、関係者とともに地域の方がたに対しまして丁寧に説明、引き続き行ってまいりたいと思います。それによりまして、できる限り多くの住民の方の理解と協力が得られるよう努めてまいりたいと考えてございます。
山下よしき 時間がまいりましたので終わります。
空港の機能強化、住民不在で押し付けては絶対になりません、なりません、これは。そういうことをやったら、この法の趣旨に反します、反しますからね。その点は、政務官も来ていただいていますので、最後まで最大限の努力、その中に、こういう団体ともちゃんと最大限誠実に話し合っていただきたいということを再度申し上げて、終わります。