国が個人情報を一元的に管理するマイナンバー(共通番号)に関する個人情報保護対策で、地方自治体の1~2割が日本年金機構の情報流出事件の教訓を反映させないままマイナンバーを割りあてていることが、27日の参院内閣委員会での追及で明らかになりました。
27日の内閣委員会では、個人情報保護に関わる重大な問題が判明したにもかかわらず、マイナンバー制度の利用範囲を拡大する改定法案を年金機構に係る修正をした上で、自民、民主、公明などの賛成多数で可決。日本共産党は反対しました。
総務省は6月、日本年金機構の情報流出問題の発覚を受け、自治体にマイナンバー制度の番号をつける7月の前までに、番号をつけた個人情報を保管する基幹系ネットワークと、インターネットに接続する情報系ネットを分離するよう対策を求めました。
私は、総務省が8月に対策期限を「10月5日まで」と延期する通知を発したことをあげ、「対策が取られていない自治体があることを示している。(対策未実施は)どれくらいあるのか」と追及しました。
総務省の宮地毅審議官は「1割から2割程度」(8月18日時点)と答弁。こうした自治体もすでに付番していると述べました。
私は「年金機構は基幹系と情報系ネットが分離されていたにもかかわらず、あれだけの情報が漏れた。ところが分離されていない自治体は1割から2割ある。しかも番号はふられている。これを是認するのか」と山口俊一担当相に繰り返し迫りました。
山口担当相は「(個人情報保護対策が)できていない自治体にマイナンバーのネットワークに入ってもらうことはしない」と述べ、対策未実施の自治体は制度に参加させない意向を示しました。
翌28日の参院本会議で可決。参院で修正したため衆院に回付されました。自民党、民主党、公明党、維新の党などが賛成。日本共産党、社民党、生活の党は反対しました。
改悪案は、マイナンバーが施行もされていないのに、プライバシー性の高い個人の預貯金や特定健診情報などについても利用対象に拡大するもの。
参院では日本年金機構の情報流出事件の発覚を受け、同機構の個人番号利用と情報連携の実施を延期するなどの修正を行いました。
私は、27日の参院内閣委員会で反対討論にたち、「一つの番号で国民の個人情報を照合させるマイナンバーは、情報漏えいや悪用の危険を高める」と強調。10月実施予定のマイナンバー制度を中止するよう求めました。
個人情報保護法改悪案については、目的に「新たな産業の創出」との文言を加えることにふれ、「個人の権利利益の保護を後退させかねない」と指摘しました。