参院本会議で2日、公権力の行使を含む自治体窓口業務を地方独立行政法人に外部委託(アウトソーシング)できるようにすることなどを柱とした改定地方自治法が自民、公明、維新の各党などの賛成多数で可決・成立しました。日本共産党、民進党、希望の会(自由・社民)、沖縄の風は反対しました。
参考人が危惧
採決に先立ち行われた5月30日の参院総務委員会では「自治体職員と独法職員に業務が分断されると、必要な施策を市民につなげるのが困難になる」(奈良女子大学研究院の中山徹教授)と住民サービス低下を危惧する声が上がりました。
中山氏は、地域活性化の要の行政を外部委託することは地域活性化に逆行していると強調するとともに、改定案は過大な人口減少を前提にしていると批判。日本共産党の山下芳生議員が地域活性化の要の意味を尋ねたのに対し、中山氏は「合併せず頑張ってきた中山間地などの小さな自治体を、地域創生の事例として政府も紹介している。その中心に行政が座っている」と述べました。
参考人の富山市の森雅志市長は、改定案を評価しつつ住民と自治体職員との顔を合わせた対応が「市民の安心感を生んでおり、委託はしない」と発言。神戸大学の阿部泰隆名誉教授は、首長への損害賠償請求権を地方議会が放棄できるようにすることについて「弁護士も住民も手弁当。やっと勝訴したら議会に権利放棄されるのは問題」とし、住民訴訟抑制につながると訴えました。
私はこの日の質疑で、そもそも地方独法が「直接自治体が行う必要のない」業務を行うとされていることを指摘。現場から「自治体職員にとって窓口は大事な仕事。住民と直接接し必要な手続きを勉強して一人前になる」などの声が上がっていることも示し、部分的に業務を切り離せば住民にとって大きな損失になると追及。総務省の安田充自治行政局長は、窓口業務の重要性を認めつつ「各自治体が適切に選択すべきだ」と述べました。