日本共産党の山下芳生議員は11月28日の参院総務委員会で、かんぽ生命保険の不正販売問題での日本郵政の経営陣の責任をただしました。
山下氏は、日本郵政が労働者に販売ノルマを強要する恫喝(どうかつ)的な「研修」の実態を把握していないことについて「人権侵害の研修だ。調べないのか」と批判。日本郵便の横山邦男社長は「調査を進め、そうした事案があれば厳正に対処する」と述べました。
山下氏は、日本郵政が基本給を下げて、営業成績に応じた手当の比率を高めたことを指摘。「(パートの妻と子どもが2人いる労働者は)一定の契約が取れた時でも手取り20万円を切る」「営業手当を増やさなければ暮らしていけない。こうした賃金体系が労働者を不正販売へと追い込んだ」と指摘しました。横山氏は「(賃金体系が)今回の問題の一因」と答えました。
山下氏は、深刻な不正販売について日本郵政の長門正貢社長が「今年6月まで知らなかった」と答弁したのに対し、「昨年4月にNHKが詳しい告発をしたのに対応しなかった。経営者として失格と言わねばならない」と批判。日本郵政が今年4月にかんぽ生命株を売却したこととの関係をただしました。
金融庁の斉藤馨監督局参事官は「株式の売り出し時点に経営者が投資判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している情報については、開示書類に記載する必要がある」と述べました。
【議事録】
山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
12日の質疑に続きまして、日本郵政グループ経営陣の皆様にご出席いただきました。
前回、日本郵政の長門社長は、かんぽ生命保険の不正販売について、厳しい目標が大きな理由の一つだったとお認めになりました。
そこで、まず、前回も指摘した、営業目標を事実上のノルマとして労働者に強要する仕掛けの一つである研修会について聞きます。
前回の質疑で日本郵便の横山社長は、不適切な指導が行われないように具体的な禁止事例を示して防止に取り組んできたと答弁されました。この具体的な禁止事例を示したのはいつからで、何回示しましたか。
横山邦男 参考人(日本郵便社長) お答え申し上げます。
不適切な研修の事例につきましては、具体的には、今年7月以降に、営業推進に対する指導など支社による呼出し、あるいは管理者からの行き過ぎた指導の架電、メールを示すなどして、防止に取り組んでおりますところでございます。
山下よしき 今年7月以降にそういう指示を出したというご答弁ですが、それ以前にそういう指示を出したことは一切ありませんか。
横山 参考人 お答え申し上げます。
具体的な指示としては、今申し上げたようなものについては今年の7月以降でございますが、それ以前から、そういう意見が出てまいりましたときに、こういったことについてはやってはならないというような指導は適時やっておったというところでございます。
山下よしき 今年の7月以前からも、そういう事例があれば対応してきたということであります。
私は、前回の質疑で、直接聞いた生々しい証言を紹介しました。例えば、こんな先輩にはなりたくありませんと新人に言わせている、あるいは、同僚の前で営業のやり取りを実演させて、駄目だ駄目だと同僚に言わせると。こういう研修会が繰り返されているのではないかと具体的に質問しましたが、この問いに対する直接の答えはありませんでした。
昨日、調べて答えてほしいと要請しましたけれども、結果を報告してください。
横山 参考人 お答え申し上げます。
そうした具体的な事例につきましては、誠に申し訳ありませんが、私どもとしては把握はしておりませんが、実際にそうしたことがあれば、適切に対応をしてまいりたいと考えております。
山下よしき いや、調べたんですか。
横山 参考人 本社や支社で企画した研修会につきましては全部調べておりますが、勉強会レベル、私どもも二万の郵便局がございますので、それぞれにおいて勉強会を実施しているものについて全てを調査したということではございません。
山下よしき 前回、高市総務大臣は、事実ならパワハラであるとともにモラハラでもあり大変深刻な問題だと指摘されているんですよ。総務大臣からそういう重大な指摘がされているにもかかわらず、調べていないと、つかめるだけしか。私は、大変これはゆゆしき事態だと言わざるを得ません。
前回の質疑の後、私のところに寄せられた新たな職場実態の告発を紹介したいと思います。
ある方は、内臓摘出の手術をして、退院一週間後に職場復帰を強いられた上、目標達成しなければ研修だと言われましたと、こう言っておられました。余りにもそれはきついと懇願したら、月10万円の保険料新規契約獲得目標という個人ノルマを2万円まけてくれたということだそうですが、私が何を言いたいかといいますと、内臓摘出の手術をしたような職員を退院一週間後に職場に復帰させて、ノルマ達成を迫るために、その圧力や道具としてこの研修が使われているということがこの証言には示されていると思うんですね。
別の人は、パラシュート研修と呼ばれている研修を受けさせられた。全く知らない県外の土地で地図を渡され、2日間丸々、家々を訪問して、ゆうパックやはがき販売をやらされたと。別の人は、新人研修や中途採用研修で、半ば強制的に丸坊主にさせられる、雨の中を回った方が感動して加入してくれるからと土砂降りの中を傘も差さずに回らされるなどの研修がやられていると聞きました。
前回、能力に応じて育成するための研修とおっしゃいましたけど、これがそういう研修ですか。まるで旧日本軍のような精神主義で、何より人権侵害の研修ですよ。こういうことは全国各地で行われているんですよ。私がちょっと質問したらもうそれだけ集まってくるんですから、これ、たまたまじゃないですよね。経営方針として組織的にやられている。
横山社長、それを認めないんですか、調べないんですか。
横山 参考人 ご指摘の事態につきましては、誠に申し訳ございませんが、承知しておらないところでありますけれども、引き続き、実態の調査を進めまして、そうした事案があれば厳正な対処をしてまいる所存でございます。
山下よしき 調べるつもりがあるのかどうか、私、疑わしいんですよ。
今日、私の資料要求に対して、こんな研修がありますよという枠組みだけ出てきましたけれども、中身は全く分かりませんよ、これ。私が紹介したような生々しい事例は全然書いていないと。でも、労働者に聞いたらすぐ分かりますよ、どんな研修がやられているかなんかね。
長門社長、経営の最高責任者として聞きますけれども、人権侵害を伴う恫喝的な研修の実態、自ら責任を持ってちゃんと調べるべきじゃありませんか。
長門正貢 参考人(日本郵政社長) 大変貴重なご意見、真摯に承ってきっちり対応させていただきたいと思います。
山下よしき これはトップが調べないと駄目ですよ。そのことが、ノルマを強要されて、お客様に迷惑を掛けた。さっき郵政の信頼を毀損したとおっしゃいましたけど、その背景になっている可能性大なんですから。トップが調べなきゃ駄目ですよ。
次に、日本郵政の賃金体系について聞きます。
日本郵政では、この間、基本給を下げて、営業成績に応じた手当の比率を二割から三割へと高めました。私が直接聞き取りをした現場の労働者は、これが郵政労働者をかんぽ生命保険の不正販売に走らせる一つの要因になったと共通して指摘していました。
長門社長、そういう認識ありますか。
横山 参考人 お答え申し上げます。
渉外営業社員の給与体系でございますけれども、2015年の4月、この時期に基本給の12%を圧縮いたしまして、その分営業手当を引き上げる見直しを行ったところでございます。
この見直しも含めたこの手当の体系、今回の問題の一因となっているという認識はございますし、9月30日に公表されました特別調査委員会の中間報告でもその点が挙げられているということも踏まえまして、私どもといたしまして、この営業目標等の考え方の整理と併せまして、給与、手当については見直しの検討を図ってまいりたいというふうに考えております。
山下よしき ちょっと実際の声紹介しますね。ある郵政労働者の方に給与明細見せていただきました。ある年のある月、たまたま病気などで思うように営業できなかったときの賃金は、自分の営業の仕事で使う車のローン代3万円を引かれたら、手取りは10万円前後だったと。妻はこの明細を見て、こんなにひどいのかと泣き崩れたというんですね。一定の契約が取れたときでも手取りは20万円を切る状況でしたと。勤続20年、子供さんが2人いるという方ですけれども、妻もパートで働いているということでしたけれども、営業手当がなければとても暮らしていけない。ですから、営業成績を上げねばと追い詰められていく賃金体系があったということなんですね。
それ要因だったということお認めになりましたけど、達成しなければ人権侵害の恫喝研修を強いられるノルマがあって、その上に、成果を上げなければ、手当を稼がなければ生活できない賃金体系と、これが労働者をかんぽ不正販売へと追い込んでいったということだと思います。
金融庁に伺います。
お配りしている資料1枚目に主要行等向けの総合的な監督指針を添付しております。
そこで、アンダーライン引いている2点、収益追求と法令遵守、コンプライアンスを適切にバランスさせ、営業を牽制する10分な内部統制や経営管理、ガバナンス態勢が導入されているか、②営業部員や役職員の給与・賞与体系が短期的な収益獲得に過度に連携し、成果主義に偏重していないか、この2点、私注目したんですが、その意味するところはどういうことなのか、簡潔にお答えいただけますか。
齋藤馨 金融庁監督局参事官 お答えいたします。
先生ご指摘のあった監督指針は、金融庁が金融機関に対して監督上の着眼点を示したものでございます。
先生ご指摘の部分について申し上げると、金融機関は、営業職員が過度な収益確保を図り、法令等遵守がおろそかとなることがないよう、例えば営業部門内における管理者等による点検、コンプライアンス部門や内部監査部門における検証、経営陣に対する定期的な報告などの取組を通じて、営業職員に対して牽制機能を発揮することが重要という考えを示したものでございます。
また、収益・営業目標や業績評価は営業職員の行動を動機付ける重要な要素となり得ることから、金融機関が顧客本位の業務運営を確保するためには、それらが経営方針や経営理念と整合的であるかどうか、また、適切な水準で整備、運用していく必要があるといったことが重要であるということを示したものでございます。
こうした点を踏まえ、金融庁としては、保険会社、保険募集人は、保険契約者の利害を害したり信頼を損ねることがないよう、適正な募集のための体制を確立することが重要と考えているところでございます。
山下よしき 今、丁寧に言っていただいたんですけど、分かりやすく言いますと、収益ばかりを評価すると営業社員はやっぱりそっちに、営業に走っちゃうと、だからコンプライアンスもちゃんと評価しないと駄目ですよということをこれは述べているんだと。そういう点では、私は、残念ながら日本郵政の職場の実態というのはここから懸け離れちゃっていると。営業を牽制する仕組みは全くなかったんじゃないか。それどころか、営業に追い立てる、ノルマを強要するような研修がされていた。
そういうことで、ちゃんと、だからこそ研修の実態をちゃんと調べなきゃ、この金融庁の指針から外れっ放しになっちゃうということなんですよ。横山さん、どうですか。
横山 参考人 お答え申し上げます。
研修の実態につきましては更に調査を進める方向でございますけれども、先生ご指摘の配付されました資料にございますとおり、それぞれの個々の人間の能力、そしてスキルに合った研修、これにつきましても、この階層別研修、課題解決型研修、これを充実することでお客様満足度の向上に努める研修を徹底してまいる所存でございます。
山下よしき いや、私の問題提起ちゃんと受け止めていますか。そういうことを駄目だと言っていないじゃないですか。人権侵害の恫喝研修が全国に広がっているんじゃないかということを問題提起しているんですよ。
それを長門さんはさっき調べますとおっしゃいましたけど、横山さん、直接の社長、調べる気ないの。
横山 参考人 私も、全国の研修の実態につきましては更に調査を進めてまいる、そして是正を図っていく所存でございます。
山下よしき 本当に真剣にやっていただきたいんですよ。これで迷惑掛けた、これで辞めていった、これで病気になってもう出られなくなった職員がたくさんいるんですからね。
長門社長に聞きます。前回の質疑で、148年の歴史を持つ郵便局への信頼を大きく毀損した、断腸の思いだ、経営陣として深く反省すると述べられる一方で、今般の事件、6月末から大変深刻な問題だと認識したと答弁されています。
そこで伺いますが、今年の6月末までは大変深刻な問題だと認識していなかったんですか。
長門 参考人 お答え申し上げます。
今般のご指摘の契約乗換事案の重大性の認識のタイミングでございますけれども、本年の6月下旬に至るまでございませんでした。
かんぽ生命では、お客様のご意向に沿わず不利益を生じさせた可能性のある契約、これを、監督当局との協議も踏まえまして、過去5年間に遡って抽出し、約2万4000件というその規模感を把握いたしましたのは6月27日の直前でございます。6月24日に契約乗換えに関するネガティブな報道がございました。大変大きな反響がございました。報道された内容がかんぽ生命自身で公表している数字ではございませんでしたので、会社から正しい情報を発信する必要があるということで、本件事案の重大性を認識して、かんぽ生命から6月27日に適時開示をさせていただきました。
当社、日本郵政持ち株会社が本件事案の重大性を認識したのも同時期、6月27日の直前でございます。
山下よしき 前回の質疑の際に私お配りしたのが、NHKの「クローズアップ現代」のホームページなんですよね。2018年、去年の4月24日ですよ。タイトルは、「郵便局が保険を”押し売り”!? ~郵便局員たちの告白~」となっています。その番組には、こうあるんですよ。400件に上る当事者の声と内部文書から、その実態に迫りますと。そして、一週間で百通以上のメールが届きました、中でも目立ったのが郵便局関係者の声だったと。こういうことを言って番組作っているんですよ。
これ深刻ですよ。知らなかったんですか、この内容を。
長門 参考人 お答えをいたします。
先刻も片山先生のご質問にお答え申し上げましたけれども、当時、今となっては本当に深い反省がございますのですけれども、当時は、4月24日にNHKの「クローズアップ現代+」第1回目の放送がございました。第2回目の放送を企画しているということで、7月の7日、10日に、NHKのツイッターにいろいろ情報を集めるツイッターが立ち上がりました。ここでの言葉が、押売、詐欺、あるいは元本割れ等々、1万6000人の渉外セールスマンたちが多く誠実にやっているときに、あたかも会社全体がブラック企業で、全体で悪事を推しているというような偏った報道がございましたので、片山先生から先ほどお叱りを受けましたけれども、ああいうやり取りになった次第です。
当時のこのNHKの報道、一連の報道に対する私どもの総括でございますけれども、当時でございますけれども、今の中期経営計画、あるいは2017年12月に募集品質が非常に大事なテーマだということで注力的に努力をしてきまして、現に数字も、不祥事件の数字も非常にいい傾向に流れていたというような手応えもあったし、少しNHKの報道行き過ぎではないかという総括をいたしまして、残念ながら、今から思うと、あの時点に真摯に向き合っていればもっと早くこの問題に取り組めたと深く反省してございますけれども、当時はそういう印象で総括をいたしまして、残念ながらこの機会を見過ごしたというのが事実でございます。
山下よしき 印象で総括してもらったら困るんですけれども、印象で総括できるような生易しいものじゃないでしょう。四百通とか、一週間で100件ですよ。本当にそういう総括されたんですかね。私は本当に不思議で仕方がないんですよ。
今となってはということですから、今となってはその総括は間違いだったという認識なんですか。
長門 参考人 今となっては、あの時点で、今、同僚たちがいろいろ調査をする、再発防止策を打つということで傾注中でございますけれども、なぜあの時点でスタートできなかったのかということについて、せっかくNHKさんが問題提起をしていただきましたので、そこを捉え切れなかったことについて深く反省してございます。
山下よしき 金融庁に伺いますけれども、資料1枚目の下段に保険会社向け総合的監督指針があります。ここで、苦情等の扱いについて、現場でまずちゃんと対応した上で、「重要案件は速やかに監査部門や経営陣に報告されるなど、事案に応じ必要な関係者間で情報共有が図られる態勢を整備しているか。」ということがありますけれども、この意味するところ、どういうことですか。
齋藤 参事官 お答えいたします。
一般に、保険会社や募集人は、保険契約者の利害を害したり信頼を損ねることがないよう、適正な募集のための体制を確立することが重要でございます。そのためには、経営陣がリーダーシップを発揮し、経営陣に適時適切に報告や情報が入るための社内ルールや組織体制を整備する、内部監査体制を構築するなどの取組を通じて、経営陣自らが主体的に営業現場等の実態を把握することが重要と考えられます。
先生ご指摘の点は、このような考え方を示したものでございます。
山下よしき 苦情の一つ一つはそんなに重大な事案でないものもあるかもしれません。しかし、それが重なってくれば、あるいは全国各地で起こっているとなれば、これは経営全体を、郵便局への信頼を毀損する重大問題だと把握するのが当たり前ですよ。それを把握して、現場に調査を指示するのは経営者の責任なんですよ。それをしなかったんです。せっかくNHKがこういう警告をしてくれながら、しなかった。しないどころか、最後のページに付けていますけど、去年の11月になってまで、これは長門さん、横山さん、植平さんの名前でNHKに対して謝らせた上に、まだガバナンスが足らないと、ちゃんと結果報告せいという厚かましい文書出しているんですよ。ガバナンスが足らないのは一体どっちかと言わなければなりませんよ。
これ今、金融庁の指摘、すごく大事なんです。なぜ、NHKのこの事案をなぜ深刻に受け止めなかったのか、そういう事態が起こっていることをなぜ現場に行って聞かなかったのか。長門さん、経営トップですから。
長門 参考人 本当に、先刻申し上げておりますように、大変深く反省してございます。
当時は、本当に今となっては大変に痛恨の極みでございますけれども、当時は、募集品質、保険営業で大変に大事なテーマで、いろいろ手を打って、横山社長、郵便の方で販売部隊で、製造部隊の植平社長、かんぽの方でやっていただいて、相応にそれをメッセージにしっかり出して、現、生きている中期経営計画の大事なテーマ、で、12月にさらにこういうふうにやっていこうという方針を出して、具体的な手応えを感じておりました。
実際、ご当局に報告している不祥事件、不祥事案、昨年度は22件でございましたけれども、民営化時点から進めてきてどんどん数字が良くなっているという、数々のKPI数字も手応えで持っておりまして、こういうときに、あたかも会社全体がブラック企業で、詐欺だ、押売だと、こういう報道傾向でございましたので、これはひどいというふうに当時思ったのが事実でございます。
先生おっしゃるとおり、今となっては非常にはっきり問題がしてきておりますので、先刻も申し上げましたように、厳正中立な第三者による特別調査委員会、しっかりした報告がこの年末に出てまいります。金融庁さんからもしっかり今検査をしていただいておりまして、タイミングは分かりませんけれども、近々結果も出てくると思っております。
今となっては遅過ぎたとは反省しておりますけれども、今からしっかりと根本原因分析して、再発防止策を打って、着実にいろいろ施策を打って、今後このようなことが決して起こらないようにしっかりやってまいりたいと思います。当時は本当に抜かっておりました。
山下よしき もう経営者は残念ながら失格だと言わなければなりませんよ。そういうことを後から、今となってはと言っているようではね。だって、どれだけの労働者が悲鳴上げていました。局ぐるみですよ、支所ぐるみですよ。知らないはずないですよ、私に言わせれば。
金融庁に伺いますけれども、株価が下がることを想定されるような事案がありながら、その事実を明らかにせず株式の売買をやるようなことは許されるんでしょうか。
齋藤 参事官 お答え申し上げます。
個別企業の開示についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として、株式の売出し時点において、経営者が投資判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している情報については開示書類に記載する必要があると考えてございます。
若松謙維 総務委員長 時間過ぎておりますので、おまとめください。
山下よしき はい。
金融商品取引法違反になるんですよ。
それで、長門社長、最後に聞きます。
今年4月、日本郵政が保有しているかんぽ生命の株式を売却していますけれども……
若松謙維 総務委員長 簡潔にお願いいたします。
山下よしき それまでの間、この不正販売のことをできるだけ社会的問題にならないようにしたいなということは一切考えませんでしたか。
若松謙維 総務委員長 時間ですので、お答えは簡潔にお願いします。
長門 参考人 お答え申し上げます。
先刻から何回も申し上げておりますように、私どもが本事案を認識したのは6月の下旬でございます。4月4日、かんぽ第2次売出し、ローンチいたしましたけれども、その時点では全くこの重要事象を認識してございませんでした。したがいまして、隠すというような意思は全く、毛頭ございませんでした。
山下よしき 終わります。