「桜」疑惑 雇用 外交 気候変動 国民の声に背く政治追及 
2020年1月24日 参議院本会議

 私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。

 まず、桜を見る会について聞きます。

 どの世論調査でも、7、8割の国民が総理の説明に納得できないと答えています。ところが、総理は、施政方針演説でこの問題に一言も触れませんでした。余りに無自覚、無反省と言わねばなりません。

 以下、端的に聞きます。

 一つ。総理は、長年の慣行の中で、招待者の基準が曖昧であった結果として招待者の数が膨れ上がってしまったとの答弁を繰り返していますが、問われているのは長年の慣行ではありません。第2次安倍政権で総理自身が行った桜を見る会の私物化です。その認識はないのですか。

 二つ。下関市の安倍晋三事務所が、桜を見る会の参加者を募り、安倍事務所主催のツアー旅行に利用した、総理はこのことを認めますか。これが桜を見る会の適切な招待だという認識ですか。

 三つ。総理は、昨日、安倍事務所が推薦したもので招待されなかった例もあったと答弁しましたが、その根拠は何ですか。

 四つ。2018年には、自民党の都道府県会議員の研修会の参加者に、希望者には翌日開催される桜を見る会の招待状を渡していたとの報道があります。これは事実ですか。内閣府が提出した資料でも、2018年は総理等の招待者が最も多い9494人に達しています。これは、同年行われた総裁選挙で地方票を獲得するために、自民党地方議員を多数招待したからではないですか。

 以上、明確な答弁を求めます。

 次に、カジノ汚職について質問します。

 安倍総理が成長戦略の目玉になると推進してきたカジノ事業をめぐり、現職国会議員が中国のカジノ企業からの収賄容疑で逮捕されるという重大事件が起こりました。総理、重く受け止めるというのなら、このままカジノを実施するわけにはいかないのではありませんか。

 元々、カジノは、刑法で禁じられた賭博であるにもかかわらず、国民多数の反対を押し切って解禁されました。逮捕された自民党のあきもと司議員は、カジノ推進法を強行採決したときの衆議院内閣委員長、カジノ実施法を提案したときの内閣府IR担当副大臣と、カジノ解禁に道を付けるど真ん中を歩いてきた人物です。その人物に贈賄側のカジノ企業からどのような要請があり、カジノ解禁の制度づくりにどのような影響があったのか、カジノ推進法、実施法の策定過程を政府として検証すべきではありませんか。

 カジノ解禁をめぐる政治家への資金提供は中国企業にとどまりません。2014年から3年間、アメリカの大手カジノ企業シーザース・エンターテインメントから、カジノ推進法の提案者だった自民党など15人の議員にパーティー券購入の形で資金が渡っていたと報じられ、西村康稔経済再生担当大臣は、18年7月、参議院内閣委員会でその事実を認めました。カジノ面積の上限規制が米国カジノ企業の要求により緩和されたという経緯もあります。カジノマネーが日本の政界を汚染し、カジノ企業に都合の良い制度となったのではないかとの疑惑はいよいよ深まりました。

 総理、疑惑の全容解明とともに、カジノの実施は中止すべきです。野党は共同してカジノ廃止法案を提出しましたが、この法案にどういう態度を取るつもりか、答弁を求めます。

 歴代最長となった安倍政権は、どの政権もやったことがない二度にわたる消費税増税を強行しました。しかし、消費税導入後の32年間、消費税収は国、地方合わせて424兆円にも達しますが、同じ時期に法人三税の税収は306兆円減り、所得税、住民税の税収も280兆円減りました。消費税の目的は、社会保障のためでも財政再建のためでもない。弱者から吸い上げ、大企業や富裕層を潤す、これこそが消費税の正体だということがすっかり明らかとなりました。

 政府は、今回の補正予算で、経済対策のために2.2兆円、景気悪化による税収不足の穴埋めに2.2兆円、合わせて4.4兆円もの国債を追加発行しようとしています。消費税10%への増税分がすべて消し飛んでしまう規模です。消費税増税で景気を悪化させてはそのたびに経済対策を組む、この悪循環からいいかげんに抜け出すべきです。

 日本共産党は、格差を拡大し景気悪化を招いた消費税を5%に減税すること、社会保障と暮らし応援の財源は大企業、富裕層に応分の負担を求めてつくることを提案していますが、総理の見解を求めます。

 次に、雇用について聞きます。

 総理は施政方針演説で、多様で柔軟な働き方を可能にすると述べました。かつて、経済産業大臣は、フリーランサーのような契約にとらわれない柔軟な働き方は働き方改革の鍵となると発言しています。

 内閣府の調査では、自営業主の形で働くフリーランスは既に300万人に上り、全就業者の5%になっています。この調査では、特定の発注者に依存する雇用的自営業者が増加傾向にあり、最近の労働市場の変化の特徴の一つとしています。特定の企業に依存しながら、雇用関係がないために、労働者としての権利は全く保障されない。最低賃金も適用されず、労働保険もなく、仕事中の事故も自己責任。契約の打切りによる解雇も企業の自由勝手。まさに、労働者の権利ゼロ、企業にとっては雇用責任が一切問われない、究極の使い捨て労働が、日本でもアマゾンやウーバーイーツの宅配代行業務などで広がっています。

 総理は非正規という言葉をこの国から一掃すると言いますが、安倍政権がやろうとしているのは、実態は、労働者でありながら雇用関係がない自営業者として働かせる、つまり非正規雇用ですらない労働者を増やすことなのではありませんか。

 人間らしい労働、ディーセントワークの実現は、ILOを始め世界の大きな流れです。働き方改革と言いながら、それに真っ向から反する働かせ方を増やすことなどあってはなりません。

 日本共産党は、中小企業の支援を強化しながら、最低賃金を直ちに時給1000円、速やかに1500円に引き上げること、労働者派遣法を抜本改正し、雇用は正社員が当たり前のルールを作ること、そして、残業代ゼロ制度を廃止し、長時間労働を是正することを提案していますが、総理の見解を求めます。

 次に、対米関係について聞きます。

 トランプ大統領の指示で行われた米軍によるイラン司令官殺害をきっかけに中東の緊張が激化し、軍事的衝突から戦争に発展する危険が続いています。

 総理は衆議院で、わが党の志位委員長から、米国による国連憲章に違反した無法な先制攻撃を是とするのか非とするのかと問われましたが、答弁を避けました。

 あからさまな国連憲章違反を批判すらできないとは、対米従属外交極まると言わなければなりません。緊張の激化につながる中東沖への自衛隊派兵はやめるべきです。

 対米外交に関わって2点聞きます。

 第1に、在日米軍駐留経費の問題です。

 トランプ大統領は、12月3日、「シンゾウには、君たちは我々を助けないといけない、我々は多くの金を払っているんだ、君たちは裕福な国なんだろうと伝えた」と、米軍駐留経費の負担増を安倍総理に要求したことを明らかにしました。総理、これは事実ですか。一体何を言われ、どう答えたのですか。

 そもそも、日米地位協定は、日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、日本国に負担を掛けないで合衆国が負担すると明記しています。にもかかわらず、思いやりなどといって在日米軍駐留経費を負担することは、安保条約、日米地位協定にさえ反するものです。思いやり予算、米軍再編関連経費、SACO経費を合わせた日本が負担する米軍駐留経費の総額は、1978年以降の43年間で実に10兆円に上り、他のすべての同盟国の負担額の合計を上回っています。極めて異常だと言わなければなりません。

 総理、トランプ大統領からの米軍経費負担の不当な増額要求は、はっきり拒否すべきではありませんか。

 第2は、沖縄での米軍新基地建設の問題です。

 政府は、昨年末、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設について、これまでの計画を見直し、完成までの期間を約12年、総工費を約9300億円とする試算を示しました。辺野古東側にある大浦湾の埋立予定海域に超軟弱地盤が広がり、当初の計画になかった大規模な地盤改良工事が必要になったためです。工期も費用も大幅に膨張することになりますが、これで済む保証は全くありません。

 地盤改良のための設計変更には、玉城デニー沖縄県知事の承認が必要ですが、知事は絶対に基地を造らせないと明言しています。総理、やみくもに土砂を投入しても、新基地を完成させる展望などないのではありませんか。

 沖縄県民の圧倒的な民意を踏みにじり、新基地建設を強行することは、政治的にも技術的にも完全に行き詰まっています。

 政府は、普天間基地の1日も早い返還という口実で新基地建設を強行してきましたが、日米両政府が1996年に普天間基地の返還を合意して既に四半世紀になります。返還が実現しないのは、代替の基地をあくまで沖縄県内に求め、普天間と辺野古をリンクさせてきたからにほかなりません。今度の見直しで普天間返還は更に大幅にずれ込みます。世界一危険と言われる基地をいつまで県民に押し付けるのですか。総理、普天間基地は即時閉鎖、撤去し、辺野古基地建設は断念すべきです。答弁を求めます。

 次に、対中外交に関わる二つの問題について聞きます。

 一つは、東シナ海における中国の覇権主義的な行動がエスカレートしている問題です。

 2019年の1年間で、中国公船による尖閣諸島周辺の領海侵犯を含む接続水域への入域は、延べ1097隻を超え、前年の1.8倍、過去最多に達しました。2018年に日中両国関係について正常な発展の軌道に戻すことができたと喧伝しながら、その翌年の2019年に領海侵犯などを激増させ、常態化させることは、極めて不誠実な態度と言わなければなりません。

 中国側にどんな言い分があろうとも、日本が実効支配している地域に対して、力によって現状変更を迫る行動を常態化させ、実効支配を弱め、自国領と認めさせようという行動は、国連憲章などが義務付けた紛争の平和的解決の諸原則に反する覇権主義的な行動だと言わなければなりません。日本共産党は、中国のこうした行動に強く抗議し、その是正を求めるものであります。

 いま一つは、香港における人権侵害の深刻化です。

 自由と民主主義を求める香港市民の活動に対する香港警察による弾圧が強まる下で、日本共産党は、昨年11月、弾圧の即時中止を求める声明を発表し、中国政府に伝達しました。

 この問題について、香港警察の暴力もひどいが、デモ参加者の暴力もひどい、どっちもどっちだという議論がありますが、わが党はそうした立場には立ちません。

 わが党も、デモ参加者が暴力を自制し、平和的な方法で意思を表明することが大切だと主張してきました。同時に、殺傷性の高い銃器を使用した香港警察の弾圧はそれとは次元を異にするものであり、事態の推移と事実に照らすなら、深刻な事態を招いた責任が香港政府及び中国政府の側にあることは明瞭であります。特に、弾圧が中国の最高指導部の承認と指示の下に行われていることは、極めて重大と言わなければなりません。

 中国は、この問題についての国際的な批判を内政干渉として一顧だにしない姿勢を取っています。しかし、今日の世界においては、様々な国際的な人権保障の基準が作られ、人権を擁護し発展させることは国際的な課題となっています。

 そこで、聞きます。

 総理は、昨年12月に訪中し、習近平国家主席、李克強国務院総理とそれぞれ首脳会談を行いました。その際、尖閣と香港の二つの問題について、先方にどのような意見を述べたのですか。外務省の会談概要を見ると、総理は、ただ憂慮すると述べただけで、抗議の表明も是正や中止を求めることもしていません。重大な領海侵犯、重大な人権侵害が行われているのに、抗議一つしない情けない外交でいいのですか。しかとお答えください。

 最後に、地球規模の気候変動について聞きます。

 猛威を振るう風水害、熱波、多発する山火事など、国連のグテーレス事務総長が気候危機と表明しているように、一刻も早い対応が迫られる状況に人類は直面しています。

 ところが、昨年12月のCOP25で、日本政府は、地球温暖化対策に前向きと言えない国に対してNGOが贈る化石賞を二度も受賞するという不名誉な事態となりました。

 そこで、聞きます。

 第1に、グテーレス事務総長が石炭火力発電所について2020年以降の新規建設中止を訴えるなど、石炭火力からの脱却は世界の流れとなっています。ところが、日本は国内で建設中、計画中の石炭火力が二十二か所もあります。向こう30年ないし40年も二酸化炭素を出し続ける施設を新たに多数造ろうというのです。

 国連環境計画は、日本に、石炭火力発電所の建設をやめ、既存の火力発電所を停止する日程表を作るよう勧告しています。

 総理は、こうした訴えや勧告に正面から向き合う考えはないのですか。石炭火力の建設中止を決断しないのですか。お答えください。

 安倍政権が石炭火力発電所の輸出を成長戦略と位置付けて推進していることも世界で大問題となっています。地球環境を壊し、世界の持続可能な発展を阻害する、そんな成長戦略などあり得ません。石炭火力の輸出は中止すべきではありませんか。

 第2に、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするための戦略を今年中にまとめるとしている国は七十五か国に上ります。ところが、日本は2050年度までに80%削減のままとなっています。これでは環境後進国と言われても仕方ありません。

 総理、国連の要請に応え、2050年までに実質ゼロを目指す、その実現のために2030年の削減目標を引き上げる、こうしたゼロ戦略の立案に直ちに取り組むべきではありませんか。答弁を求めます。

 世界の流れに立ち、国民に希望が湧いてくる新しい政治を市民と野党の共闘で切り開く決意を述べて、質問を終わります。


【安倍首相の答弁】

 山下芳生議員にお答えいたします。

 桜を見る会についてお尋ねがありました。

 桜を見る会については、昭和27年以来、内閣総理大臣が、各省庁からの意見等を踏まえ、各界において功績、功労のあった方々などを幅広く招待し、日頃の御労苦を慰労するとともに、親しく懇談する内閣の公的行事として開催しているものです。

 同会の招待者については、提出された推薦者につき、最終的に内閣官房及び内閣府において取りまとめを行っているところですが、当該プロセスに私は一切関与しておりません。

 他方、桜を見る会については、長年の慣行の中で行われてきたところでありますが、招待者の基準が曖昧であり、結果として招待者の数が膨れ上がってしまった実態があると認識しています。

 こうした運用を大いに反省するとともに、国民の皆様からの様々な御批判を踏まえ、来年度の開催を中止にするほか、今後、私自身の責任において全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行ってまいる所存です。

 桜を見る会の推薦等についてお尋ねがありました。

 私の事務所においては、後援会の関係者を含め、地域で活躍されているなど、桜を見る会への参加にふさわしいと思われる方を始めとして、幅広く参加希望者を募ってきたところです。

 他方で、御指摘の都内観光ツアーについては、私の事務所によれば、希望する方に対して旅行会社の紹介等を行っていたとのことですが、ツアー自体の主催、企画はあくまで旅行会社であったとのことであります。

 次に、私の事務所から推薦を行った者で招待されなかった例もあったものと承知しておりますが、これは内閣官房が確認した結果であると聞いております。

 なお、長年の慣行で与党にも推薦依頼を行っているところですが、自民党内の推薦の経緯等については政府として掌握はしておりません。

 IRについてお尋ねがありました。

 副大臣も務めた現職の国会議員が逮捕、起訴されたことは誠に遺憾です。かつて副大臣に任命した者として事態を重く受け止めておりますが、御指摘の事案については、捜査中の刑事事件に関わる事柄であることから、詳細なコメントは差し控えます。

 IR推進法及びIR整備法は国会審議で議論が積み重ねられた上で成立したものであり、政府としては、これらの法律に基づき、必要な準備を進めるのが基本的な立場です。

 議員提出された法律案の取扱いについては、国会においてお決めになるべき事柄と承知しておりますが、IRは、カジノだけではなく、国際会議場、展示場や大規模な宿泊施設を併設し、家族で楽しめるエンターテインメント施設として観光先進国の実現を後押しするものと考えております。

 もとより、IRの推進に当たっては、国民的な理解が大変重要であり、今月発足した高い独立性を有するカジノ管理委員会や国会での御議論も十分に踏まえて、丁寧に進めてまいりたいと考えております。

 消費税の減税等についてお尋ねがありました。

 各税目の税収は時々の経済社会の変化を踏まえつつ改正を行ってきた結果を反映したものですが、所得税や法人税の税収が減少した背景には、制度改正要因に加え、バブル期以降の資産価格の下落等、経済情勢の要因もあることに留意が必要です。

 昨年10月の消費税率の引上げに当たっては、低所得者への配慮として軽減税率制度を実施することとしたほか、幼児教育、保育の無償化や年間最大6万円の年金生活支援給付金等の社会保障の充実を行っており、消費税が、弱者から吸い上げ、大企業と富裕層を潤すとの御指摘は当たりません。

 今回の消費税率の引上げは、すべての世代が安心できる全世代型社会保障制度へと大きく転換していくためにどうしても必要なものです。他方、御指摘の総合経済対策は、相次いだ災害からの復旧復興や海外発の下方リスクに対し万全の対応を取るためのものであり、また、税収についても、海外経済の減速等を要因とした減額補正となったものです。

 なお、法人税や所得税については、これまで、法人税の課税ベースの拡大による財源確保、所得税の最高税率の引上げ、金融所得課税について税率を10%から20%に倍増するなどの施策を既に講じてきたところであり、今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があると考えています。

 雇用についてお尋ねがありました。

 いわゆるフリーランスなど雇用によらない働き方の保護の在り方については、内閣官房において関係省庁と連携し、一元的に実態を把握、整理した上で、全世代型社会保障検討会議の最終報告に向けて検討を進めます。

 最低賃金については、政権発足以降の7年間で全国加重平均で152円引き上げました。今年度は現行方式で過去最高の上げ幅となっています。

 引き続き、中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備することと相まって、地域間格差にも配慮しながら、より早期に全国加重平均1000円を目指して引上げを図ってまいります。

 派遣労働については、正社員を希望する方にはその道が開けるようにするとともに、派遣という働き方を積極的に選択する方については、正社員との不合理な待遇差を解消し、どのような雇用形態であっても納得できる待遇を受けられるよう、同一労働同一賃金の実現に向けた取り組みを進めてまいります。

 また、議員が残業代ゼロ制度として言及されました高度プロフェッショナル制度は、時間ではなく成果で評価される働き方を自ら選択できる、高い交渉力を有する高度専門職に限って自律的な働き方を可能とする制度であり、その前提として、健康をしっかりと確保するための措置を使用者に義務付けています。

 引き続き、制度の運用に万全を期すとともに、事業場への監督指導などを通じ、長時間労働が是正されるよう努めてまいります。

 わが国の外交及び自衛隊の中東派遣についてお尋ねがありました。

 昨日の衆議院本会議にて志位議員に対してお答えしたとおり、ソレイマニ司令官の殺害に関しては、わが国は直接の当事者ではなく、詳細な事実関係を十分把握する立場にないことから、法的評価について確定的なことを申し上げることは差し控えます。

 その上で申し上げれば、現時点において、米国、イラン双方とも、これ以上のエスカレーションを回避したい意向を明確にしており、米・イラン間で武力の行使が行われている状況ではないと認識しています。

 こうした中、中東に対する日本の外交的関与は、イランからも、先般訪問したサウジアラビア、UAE、オマーンからも高く評価されており、対米従属外交との指摘は全く当たりません。

 政府としては、中東地域の緊張の高まりを踏まえ、日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集態勢を強化することが一層必要と考えます。

 地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けた粘り強い外交努力とともに、自衛隊による情報収集態勢を強化し、日本関係船舶の安全をしっかりと確保していくとの方針に変更はありません。

 在日米軍駐留経費についてお尋ねがありました。

 トランプ大統領とは様々な課題について率直な意見交換を行っていますが、外交上のやり取りであり、この場でその内容を明らかにすることは差し控えます。

 現行の在日米軍駐留経費負担特別協定は2021年3月末まで有効であり、新たな特別協定に関する交渉は始まっておらず、結果を予断することは差し控えます。

 いずれにせよ、政府としては、現在、在日駐留経費は日米両政府の合意に基づき適切に分担されていると考えています。

 普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。

 住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは地元の皆様との共通認識であると思います。

 日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせ、検討を重ねた結果、現在の辺野古に移設するという方針であります。

 先般、御指摘の工期等についての検討結果が出ましたが、辺野古移設に向けて着実に工事を進めていくことこそが普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものです。これからも地元の皆様と対話を積み重ね、御理解を得る努力を続けてまいります。

 尖閣諸島及び香港情勢についてお尋ねがありました。

 昨年12月の習近平国家主席及び李克強総理との首脳会談では、これらの問題についてしっかりと提起しました。

 尖閣諸島については、東シナ海の安定なくして真の日中関係の改善なしとの考えに基づき、中国側の対応を強く求めました。尖閣諸島周辺海域を含む東シナ海における一方的な現状変更の試みについては、これまでも累次の機会に日本の強い懸念を伝えてきており、引き続き冷静かつ毅然と対応してまいります。

 香港情勢については、大変憂慮しており、国際社会も関心を持って注視している旨指摘しつつ、すべての関係者による自制した対応と事態の早期収拾を求めるとともに、一国二制度の下、自由で開かれた香港が引き続き繁栄していくことが重要である旨強調しました。今後とも、高い関心を持って情勢をフォローしていきます。

 石炭火力についてお尋ねがありました。

 わが国は、再生可能エネルギーや水素など、二酸化炭素の排出削減に資するあらゆる選択肢を用いて世界の脱炭素化を牽引していきます。

 こうした中で、新興国を中心に効率の低い石炭火力発電所がいまだ数多く稼働している状況下で、わが国の高効率の石炭火力発電に対するニーズがあれば、その導入を支援することで世界の二酸化炭素の実効的な排出削減に貢献していく考えです。

 国内の石炭火力発電については、高効率化、次世代化を推進しながら、よりクリーンなガス利用へのシフトと非効率石炭のフェードアウトに取り組んでまいります。

 温室効果ガスの削減目標についてお尋ねがありました。

 わが国は、5年連続で温室効果ガスの排出量を削減しています。これはG20の中で日本と英国のみであり、合計で11%を超える削減は、G7の中で英国に次ぐ大きさです。引き続き、パリ協定に基づく2030年度削減目標の確実な達成に向けて積極的に取り組んでいきます。

 2030年以降の長期の取り組みについては、わが国は、パリ協定が掲げる今世紀後半のカーボンニュートラル実現との野心的な目標の達成に貢献するため、昨年6月に、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会の実現を目指すとした長期戦略を策定し、国連に提出いたしました。国連提出の長期戦略でカーボンニュートラルを目指すことを宣言しているのは、G7の中では唯1日本だけであります。

 また、昨年のCOP25において、2050年までのカーボンニュートラルを宣言した百二十の国と一地域のうち、現時点で長期戦略を国連に提出しているのは十一か国のみであります。

 どんな野心的な目標を掲げても、掲げるだけでは意味はなく、重要なことは、目標の実現を裏打ちする具体的な政策を示し、行動を起こすことです。長期戦略に掲げた脱炭素社会の早期の実現には非連続なイノベーションが不可欠であることから、今月、米国、EUなどG20の研究機関を集めた国際共同研究拠点をわが国に設置いたします。

 ゼロエミッションにとどまることなく、産業革命以来増加を続けてきたCO2を減少へと転じさせるビヨンド・ゼロを目指し、人工光合成を始め革新的イノベーションを実現するため、わが国が主導して世界の英知を結集していく考えであります。

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。