山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
まず、野田大臣に端的にうかがいます。
森友公文書改ざん事件について、情報公開法を所管する総務大臣としての基本認識を述べていただけますでしょうか。
野田聖子 総務大臣 お答えします。
私の所管は情報公開法ですけど、それよりも公文書管理法の第1条というのは私にとっては非常に重要だと思っておりまして、そこには、今ご指摘のあった公文書は健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源ということであります。それでよろしいですか。
それに基づいて、各府省がその公文書管理法に基づいて公文書の作成や管理を的確に行い、さらには情報公開法に基づく開示を通じて国民に対する説明責任を全うすることは極めて重要であり、今回の決裁文書については行政全体に対する信頼を揺るがしかねないという大変な事態となっていることは私にとっては非常に残念なことです。
いずれにしても、書換えの趣旨等も含め、財務省において調査している途中であります。詳細な事実関係を承知しておりませんが、まずはしっかり財務省において徹底的に事態を究明していただきたいと考えているところです。
山下よしき 公文書管理法の第1条を紹介いただきました。非常にこれ大事な内容だと思いますし、それから情報公開法も車の両輪として、国民主権の理念にのっとり、行政文書、法人文書の開示を請求する権利を国民が持っていること、そして行政機関等の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府、独立行政法人等の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを基本理念としております。
したがって、この根本になる公文書が勝手に行政府によって改ざんされていたということになりますと、これは憲法に明記された国民主権の原則を壊すことになると、そういう重大な問題なんだと、国民主権の原則、これが壊される重大な問題なんだという認識あるでしょうか。
野田総務相 今財務省で起きたこの出来事については、参議院の予算委員会を中心として国会でしっかりと原因究明に取り組んでいただいていると思います。
私は財務省の今の取組を承知しておりませんけれども、とにかく信頼、国民に対しての、あってはならないことが起き、そして結果として信頼を失していることを深刻に受け止めて、まずは一日も早く今起きていることについての徹底究明と再発防止に心掛けて取り組んでいただかなければならないと思っています。
そういった意味では大変深刻な事態で、総務大臣としても、総務省でもたくさんの公文書を発出しているわけですから、国全体というか政府全体として受け止めなきゃいけないものだと、そういうふうに思っています。
山下よしき あってはならないとか大変深刻とかという言葉は何回も出るんですけど、国民主権の原則を破壊するものだ、そういう認識は残念ながら今日は聞くことができませんでした。またこれは追って深く議論をしたいと思います。
今日は、4月から大きく制度が変わる国民健康保険について質問いたします。
国保は他の医療保険に入っていない方が加入している、社会保障、国民皆保険制度を支える重要な基盤だと思いますが、まず厚労省、どのような方が国保に加入しているのか、年齢、所得、就業状態などを報告してください。
渡辺由美子 厚生労働大臣官房審議官 お答え申し上げます。
今先生ご指摘ございましたように、国民健康保険は、他の公的医療保険に加入していない方が加入するという制度でございまして、加入者の特徴としましては、平均年齢が非常に高く、低所得の方が多い、それから無職の方が多く加入しているということがございます。
具体的な数字で申し上げますと、今日も資料をお配りいただいておりますが、直近の数字で申しますと、加入者の平均年齢は52.3歳、それから加入者1人当たりの年間平均所得でございますが、これは86万円、それから近年無職者の割合というのが増えておりまして、加入者に占める無職者の割合、43.9%となってございます。
山下よしき 資料に、これはちょっと直近のデータではないようですけれども、厚労省からいただいた資料を提示しておりますが、各保険者と比較しますと、市町村国保の、真ん中の段にありますけど、加入者1人当たりの平均所得、先ほど86万円とおっしゃいましたけど、この資料では84万円。ただ、協会けんぽは145万円、組合健保は211万円、共済組合が235万円となっておりますから、非常に低いと。
それから、その二つ下、所得に対する保険料負担率を見ますと、市町村国保10.0%、協会けんぽ7.6%、組合健保5.8%、共済組合5.9%となっておりまして、つまり、国保というのは低所得者層が加入する医療保険なのに保険料が高いという構造問題を抱えております。これはもうずっと指摘されていることでありますが、この国保がこれまでのような市町村が個別に運営してきた制度からどう変わるのか、簡潔に説明してください。
渡辺 審議官 お答えいたします。
今先生ご指摘のございました様々な構造的な問題から、国保は非常に厳しい財政状況を抱えてございました。これを解決して財政基盤の安定的な運営を図るという観点から、平成27年度に国保法の改正を行いました。まさにこの新国保制度がこの4月から施行されるわけでございますが、その内容としましては、都道府県が国保の財政運営の責任主体となりまして、多様なリスクを都道府県全体で分散する仕組みにするとともに、効率的な事業運営の確保など、国保の運営面でも都道府県が中心的な役割を担うことになってございます。
また、あわせまして、平成30年度以降、毎年3400億円の追加的な財政支援を行いまして財政基盤を強化することとしております。
山下よしき 都道府県と市町村が共同で運営する制度になるというふうに理解しております。
この新しい制度の下で保険料が高くなるんじゃないか、あるいは、払いたくても払えない方が一層の徴収強化に遭うのではないかという不安が広がっております。
まず、保険料の高騰、国保の都道府県化によって一層助長される心配はありませんか。
高木美智代 厚生労働副大臣 今回の改革におきまして、ただいま説明させていただいたとおり、毎年3400億円の追加的な財政支援を行うことによりまして、国保の財政基盤の強化が図られ、この国保が安定化するとともに、保険料の伸びの抑制などの負担軽減につながるものと考えております。
改革の前後におきまして、個々の市町村で急激な保険料水準の変動が起こらないよう、必要な財源を確保した上で、重層的な激変緩和の仕組みを準備しておりまして、そうした仕組みを活用していただきながら、各都道府県におきまして丁寧に激変緩和措置を今講じていただいているところでございます。
平成30年度の保険料水準につきましては、激変緩和措置も含めて、都道府県が算出した納付金額に基づき、市町村において具体的な検討を行うこととなるわけでございますが、厚労省といたしましては、住民負担に十分配慮した保険料設定となるよう周知などを行ってきたところでございます。
山下よしき 今、激変緩和措置をとっていますということなんですが、具体的にうかがいますけれども、滋賀県の大津市なんですが、所得200万円、年収ベースで310万円の方、夫婦40歳と子どもお1人のモデル世帯で見ますと、この都道府県化になって1万8038円、5.1%の国保料の値上げになります。年間37万1098円の保険料になるんですが、それが今検討されております。所得200万円の方が年間37万円の国保料の負担になるということで、これは余りにも重いと言わざるを得ないと思うんですが、今でも所得に対する保険料の負担は17.6%、これが18.5%になります。
大津市も、これまで一時的に基金を取り崩して保険料値上げの抑制を図ってきましたけれども、残念ながら、先ほど紹介したモデルケースで見ますと、2010年度33万円台から2014年度34万円台になり、2016年度35万円台になって、今度一気に37万円台になろうとしているわけです。
今でさえ重い負担が、激変緩和とおっしゃいましたけど、更に上がり方も激しくなろうとしているわけですが、これ重大な事態だという認識はありませんか。
渡辺 審議官 今先生ご指摘になりました数字につきましては、私どもうかがっている限りでは、昨年の11月に大津市が運営協議会に提示した数字というふうに承知しております。それ以降、30年度予算が年末に決定された際に、またその計算の新しい計数を私ども示しておりますし、また30年度予算に伴います追加の激変緩和措置も通知しております。
ですので、まだ途中段階ということで、これからまた大津市の方でもよくご協議いただけると思っておりますし、いずれにしましても、これから5月、6月にかけて最終保険料を定めていくという中で、急激な変化が起こらないように各市町村で工夫していただくということかと思っております。
山下よしき 6月に最新のデータを踏まえて決定するというふうに私聞いているんですが、去年の11月段階ではこういう激しく、追加の激変緩和がこれからあるんだということですけれども、こういう上がり方をしようとしていたわけですね、検討されていたわけです。
もう一つ聞きますけれども、都道府県化に伴って、厚労省は、オプションとして保険料統一化の方向も示されています。既に大阪府は、国保運営方針で激変緩和措置の期間を特例基金の活用期間に合わせて新制度移行後6年間としておりまして、経過後の平成36年4月1日には、次の項目について府内完全統一を目指すという方向性を出しております。次の項目の中には、保険料率、保険料の減免基準、納期数などが入っておりまして、これらを府内の自治体で完全に統一するという方向が示されております。
これ大阪府だけではありませんで、例えば、滋賀県でも平成36年度以降のできるだけ早い時期に保険料水準の統一について検討し進めていくとありますし、奈良県でも県内保険料水準統一化、平成36年度完成を段階的に進めていきますと。保険料の統一化ということを幾つかの県でやられているわけです。
そこで聞きますけれども、新たな枠組みの下では、都道府県が決める標準保険料率等を参考に保険料率の決定や賦課徴収を市町村が行うことになっていると認識しておりますが、都道府県が保険料率まで統一して決定することが法律に規定されているんでしょうか。そういうことは可能なんでしょうか。
渡辺 審議官 お答えいたします。
保険料の決定主体でございますが、今先生ご指摘になりましたように、改正後の国保法におきましても、あくまでもその決定主体というのは地域住民の直接顔の見える関係の中で引き続き市町村が担うこととしております。
ただ、ご指摘のありました保険料水準の統一につきましては、これは各都道府県が市町村の意見をうかがいながら国保の運営方針の中でそういった方針を出すということでございますが、大阪府でもこの方針に基づいて今、府と各市町村とで協議が続いているというふうにうかがっておりますけれども、最終的には、この方針に基づいて保険料を決定するのは市町村になるということでございまして、法律上都道府県に保険料の決定権限があるということではございません。
山下よしき 都道府県、保険料統一化された後でも市町村に決定権があるという理解でいいんですか。
渡辺 審議官 方針を出すのは都道府県の運営方針でございますが、保険料の賦課徴収決定は市町村になります。
山下よしき いや、確認したいんですけれども、府と市町村が協議して、都道府県の保険料水準を統一する、統一化するということが合意された、その下でも市町村が保険料率を決めるということが可能なのかということを、確認です。
渡辺 審議官 仮に同じ水準で合意をされたとすると、その同じ水準のものを各市町村がそれぞれ決定して賦課徴収していくということで、あくまでも主体は市町村でございます。
山下よしき まあ、しかし、同じ水準が決められたら同じ水準で決めなければならないということですから、それはもう市町村が決めることには僕はならないと思うんですね。
そこで、市町村と県が、都道府県が協議しながらということはありましたけど、実際、大阪府の場合どんなふうに合意に至る経過があったのかを聞きますと、広域化調整会議というのをやっております。そこに参加しているのは6市3町なんです。関わるワーキンググループに参加しているのがプラス5市なんですよ。ですから、大阪府下にある40余りある市町村のうちごくわずか、一部の市町村しかこの合意形成の中に入っていないんですね。
そういう意思形成の過程に入っていなかった市町村からは多くの意見が出ております。例えば高槻市、広域化後の運営体制について、調整会議の構成市町村以外の市町村の意見も反映できる仕組みを構築し、丁寧な合意形成を図るとともに、被保険者や市町村への影響を十分検証した上で適宜運営方針の見直しを行うこと、激変緩和措置期間は6年間とされているが必要があれば期間を延長するなど柔軟に対応すること等の意見が出ております。それから、河内長野市、減免基準の統一について、現在、各市町村が条例等により多種多様な基準を定めていることから、その内容について精査し、適切な基準になるよう再考してほしいという意見。岸和田市、集め方まで統一する必要があるのか、保険料の賦課徴収業務は市町村が担うことになっているのであれば、それぞれの特性に見合った方法を各市町村が自らの意思で決めるべきではないのかということですね。
厚労省、こういう声が出ているのに、一部の市町村で合意したからといって、各他の市町村にまで統一保険料を強制的に押し付けるというやり方、これでもう進めるのでいいんですか、進めて。
渡辺 審議官 今ご指摘のございましたような様々なご意見があるということで、現在、大阪府におきまして、保険料の統一といっても様々な、水準そのものの統一もありますし、徴収方法の統一とか、いろんなレベルの統一の仕方があると思いますので、そこはまさに今ご指摘のありました反対のある市町村もあるということでございますので、更に府とそれから市町村の間で十分に議論を重ねていただくということが必要ではないかと考えております。
山下よしき 大阪府の中はかなり多岐にわたって統一するんですね、保険料率、保険料の減免基準などなど入っていますからね、納期数まで統一しようということですから。
もう一つ、もう時間がなくなってまいりました。大阪府は、この間、他の県よりも国保加入世帯の所得の落ち込みが大きいんですよ。したがって、各市町村が一般会計からの繰入れなどをやりながら、様々な減免制度あるいは保険料の高騰抑制を行ってきているわけですが、しかし、この一般会計からの繰入れについて、大阪府の知事は、権限は市町村としながらも、努力目標として6年、6年間の間にこれを見直していただきたいと迫っております、一般会計からの繰入れをですね。そうなりますと、これ、また抑制していたのが、更に抑制できなくなって上がっちゃうということにもなるんですが。
東大阪市では、夫婦40歳代と子ども1人、所得ゼロ円のモデル世帯、所得ゼロ円というのは、例えば非正規雇用で年収65万円以下だったら所得ゼロになるんですが、これが6年後、6万690円に、4万円台から6万円台にこれで上がっちゃうというわけですね。もうこれ生きていけないんじゃないかと。もう本当に命を守るための国保が、その人たちの、住民の生活を圧迫するようなことにこれはなるんじゃないかと。
総務大臣にうかがいますが、加入者に1番身近な市町村が保険料率の決定、減免制度等も独自で決めることができない、こういう統一保険料の在り方、考え方、地方自治という点から見て問題あると思いませんか。
野田総務相 今し方ずっとお話があったように、国民健康保険制度の所管は厚生労働省なんですが、平成30年度から国民健康保険の財政運営が都道府県単位化されることになります。これは、国民保険が抱える、先ほどもお話があったような構造的な課題に対応して制度の安定化を図るために実施されるものというふうに承知をしています。
制度改革に伴い、都道府県は都道府県内の統一的な運営方針や標準的な保険料率を定めることになるわけです。一方、住民に身近な立場にある市町村は、最終的な保険料率の決定、保険の徴収などの事務を引き続き担うこと等先ほどもお話がありました。
今後は、都道府県と市町村が相互の役割分担の下で、運営協議会などを通じて意見交換を重ね適切に連携することによって、それぞれの地域の実情に応じた円滑な制度運営が行われることを総務省としては期待しております。
山下よしき お答えがなかったです。それをできなくするのが統一保険料化だと思いますので、また引き続き議論したいと思います。
終わります。