山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
前回20日に続いて、森友学園との国有地取引に関する財務省決裁文書改ざん事件について質問します。
今日は、関連する法令、公文書管理法、情報公開法を資料として配付しております。
野田大臣は、前回、質疑の中で、公文書管理法の第1条というのは私にとっては非常に重要だと答弁されて、公文書が健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であるとした条文を引用されました。私もこの条文は非常に重要だと考えております。
そこで、この公文書管理法第1条、公文書は健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であるという規定を大臣はどのように理解し、どう重要だと思っているのか、大臣のお言葉で語っていただきたいと思います。
野田聖子 総務大臣 繰り返しになることもありますけれども申し上げますと、民主主義の根幹というのは、私にとって、国民が正確な情報に自由にアクセスすること、そしてそれに基づいて国民が判断を行う、そして国民主権を行使することにあると思います。公文書というのは、こうした私たちの民主主義の根幹を支える基本インフラというふうに考えています。公文書管理法第1条というのはこのような趣旨で定められると私は理解しているところです。
山下よしき 大変正しいご答弁が返ってきたなと思っています。
今、資料で配付したところに、二段目に公文書管理の在り方等に関する有識者会議の最終報告、これが法ができる前提になった最終報告ですが、その資料のアンダーライン引いたところに今大臣が述べたことが書かれてあります。正確な、国民が正確な情報に基づいて正確な判断を行って主権を行使する、これが民主主義の根幹であって、公文書はこの根幹を支える基本的インフラだという位置付けであります。これは非常に大事な認識だと思っておりますし、大臣もこういう認識を共有されているということが分かりました。
そこで、次に問いたいんですが、この公文書がそういう意味で健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源という認識に立つなら、私は今回の森友公文書の改ざんというのは民主主義の根幹を破壊する重大な問題だという認識に当然立たなければならないと思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。
野田 総務相 委員ご指摘のとおりです。非常にゆゆしきことで、あってはならないことが起きてしまったと残念に思っているところです。
山下よしき 今のご答弁は前回も大臣の言葉として出たんですが、私は、大臣の言葉として、今回の公文書改ざんについては民主主義の根幹に関わる、民主主義の根幹を破壊する重大な問題だという認識を大臣の言葉で語っていただくことが大事だと思っております。いかがでしょうか。
野田 総務相 私の言葉というよりも、私自身が極めて深刻に受け止めた結果、やはりいち早く総務省、私が預かっているのは総務省でございますので、総務省のやっぱりその公文書の扱いについてはしっかりと執り行われているかどうかきちっと調査するようにということを指示させていただきました。
言葉でどう表現したらご納得いただけるか分かりませんが、そのくらい私にとっては、今回はあってはならないことが財務省ですけど起きてしまったということは、これ決して人ごとではなく、すべてのやっぱり役所の中に起こり得ることだとするならば、まずは総務省をしっかり調査しようということで指示を出したところであります。
山下よしき いや、私、どういう言葉というか、はっきりと国民主権の原則、民主主義の根幹に関わる重大な問題だと、さっきそういうふうに公文書管理法については述べられたので、そこから照らすと、今回の公文書改ざん事件というのは民主主義の根幹を揺るがす、私はもう破壊することだと思いますが、もう前提が成り立たないわけですよ。国民が正確な情報をつかんで正確に判断して主権を行使するという、その最初の正確な情報が正確でなかったということになったら国民主権が成り立たないじゃないのと、民主主義の根幹が成り立たないじゃないかと、その認識はありますかと聞いております。
野田 総務相 当然、私も国民の一人でございまして、そういうことがないということで25年国会議員として国民の皆さんに選んでいただいて、その皆さんの代わりに仕事をしてきたわけですから、それはそういうふうに理解しています。
山下よしき そういうふうにと言うんじゃ、私は、民主主義の根幹に関わる問題だとはっきり大臣言うべきですよ。そう言っているんだから、法律は。
野田 総務相 済みません、ちょっと私の日本語がつたないのでしょうか。民主主義の根幹に関わることです。
山下よしき やっと言ってくれました。
いや、これ、なぜこんなにしつこく聞くかといいますと、実は私、本会議でも財務大臣、麻生さんに聞いたんですよ、どういう認識ですかと。私は憲法の国民主権と議会制民主主義を破壊する歴史的犯罪行為だという認識ありますかと聞いたんですが、麻生財務大臣からは、ゆゆしき問題だと。
ゆゆしき問題って、何だって使えますよ。今日は早く帰ってくるからねと妻と約束したのに残業を命じられた、ゆゆしき問題だと言うじゃないですか。何だって使えるんです。そういう認識じゃ駄目なんですよ。民主主義の根幹を破壊するゆゆしき問題だと言わないと。それを言わないんです。麻生さんは言いませんでした。1回しか聞いていませんけどね。
野田大臣も、前回はこれ言わなかったんですよ。大変深刻な問題だとか重大な事態だと言いましたけど、民主主義の根幹に関わる大問題だということは今日初めて大臣がおっしゃいました。これは非常に大事な認識だと思っております。
そうなりますと、私は、民主主義の根幹に関わる問題だということであれば、その立場でね、その立場で誰が何のために今回改ざんやったのかということを徹底的に追及しなければならないと思うんですよ。麻生さんのような軽い認識では、麻生さん、それ以外に、今回の事件、調査もしていないのに理財局の一部の職員がやったとか、最終責任者は理財局長だった佐川にあるということをずうっと言い続けています。これでは、民主主義の根幹に関わる問題を調査する私は姿勢とは言えないというふうに思います。なぜそんなこと、一財務職員がやるはずないですから。
これは徹底的に、この民主主義の根幹に関わる問題が起こったのはもう事実ですから、財務省も政府も認めましたから、それを徹底的に究明するためには、なぜそういうことがあったのか、背景も、私は、政治の圧力、特に政治家あるいは政権の圧力があったかなかったのかまで徹底的に明らかにしなければ主権者の主権行使に関わる納得は得られないと思いますが、いかがでしょうか。
野田 総務相 財務省で起きたことで、やはりそのトップは財務大臣たる麻生大臣であります。物言いはともかくとして、やはり財務省の組織に行使、様々な命令行使できるのは私ではなく麻生大臣でございますから、しっかりと取り組んでいただくことが1番大切なことだと思います。
私も、その政権の一員として、8月からですけれども、ずっと関わる中で、人ごとと思わず、できるだけ私の側で総理に申し上げられることは申し上げてきたつもりです。例えば、私たちが総務省で扱っている電子決裁を速やかに導入することで、これはほかの党の方からもお話が出ておりますけれども、今失った国民の、民主主義の根幹、国民からの信頼をやはりまずは取り戻さなければ、ここでいろんな議論をしてもそもそも私たちを選んでいただいた主権者たる国民がすべてにおいてご理解いただけなくなるという状態はやっぱり避けなければならないということで、しっかりと取り組んで、私は私なりに取り組んでいきたいと思っております。
山下よしき 大臣は安倍政権の一員であるとともに、情報公開法を所管する総務大臣でもあります。前回も答弁で、情報公開法に基づく開示を通じて国民に対する説明責任を全うすることは極めて重要と答弁されました。資料に情報公開法の1条も付けておりますが、これも冒頭は、国民主権にのっとりと、国民主権ということが書かれてあります。やはり情報公開法も公文書管理法も、いずれも主権者国民に正確な判断をしてもらって主権を行使してもらうために非常に重要なツールだということを述べているわけであります。
私は、国民に対する説明責任を全うするという点からいえば、近畿財務局の職員の皆さんはそういう立場に立っていたというふうに思います。改ざん前の元の文書は、職員がなぜ9億円の土地が8億円値引きされたのかを国民に対して説明責任を全うしようと思ったら、詳細な経過を記録しておく必要があったからだというふうに思います。残念ながらそこが削られた改ざん後の文書が会計検査院にも提出されたわけですが、これでは全く値引きの根拠が明らかな資料はないと言わざるを得なかったわけですから。そういう意味では、私は近畿財務局の職員の方はそういうふうにこの法の趣旨にのっとって詳細な記録を残したんだろうというふうに思います。
残念ながら、それで、もう時間がありませんから、私、職員の立場に立ってこの法の趣旨を理解することも大事だと思っておりまして、この有識者会議の最終報告の制度設計に当たっての基本的考え方にこうあるんですね。「職員1人1人が、職責を明確に自覚し、誇りを持って文書を作成する仕組みを作る。また、作成した公文書に愛着を持ち、堂々と後世に残せる仕組みを作る。」。非常に大事な観点だと思いますが、改ざんを恐らくこれは指示されたと思います、自分でやるはずないですから。そういう職員は、じくじたる思い、およそ誇りを持てない、およそ堂々と後世に残せない状況に追い込まれた。だからこそ、私は、財務省の職員が2人も自殺するという痛ましい結果になったのではないかと思うんですが、この点について、こういう立場で職員に仕事をしてもらわなければならないということが書いてある、この点について大臣の所感を伺いたいと思います。
野田 総務相 今委員がおっしゃったことは当然のことでありまして、私は情報公開の責任ですけど、きちっとした情報公開をするためには、その公文書がやっぱり正確でなければならないと、そこがやっぱり今回大きな問題となっているわけです。
野党の皆様方から様々なご議論をいただく中で、この財務省のあってはならない案件の原因究明がこの国会の中で進んでいるところでございまして、私は、改めて、公務員の方々には、やはり国民がこの国で幸せに、健全に生きていけるための1番の根っこの部分が皆さんが責任を持ってくれている公文書なんだということで、少なくとも私は総務省の職員にきちっと伝えて、そして、こんなことがあったけれども、しっかりと1日も早く信頼を取り戻すべく頑張って働いてもらいたいということを願っているところであります。
山下よしき 資料の2枚目から幾つかの記事を紹介してあります。私は、この公文書管理制度あるいは情報公開制度というのは、単なる理念法では決してなくて、情報公開を通じて国民に正しい情報が提供され、正確な判断、正確な主権行使に資する数々のこれまで歴史があったというふうに思っております。
三つしか載せていませんけれども、南スーダンのPKOに派遣されていた陸上自衛隊の日報が、私は隠蔽だったと思いますけれども、されていたことが明らかになるきっかけは情報公開請求でありました。これが不開示になったことがなぜなのかというところから問題が明らかになりましたし、3月20日、内閣官房機密費の支出関連文書が初めて情報公開されました。これは最高裁まで行ってようやく明らかになったわけですが、これも最初は情報公開請求に対する不開示に対する訴訟を通じてこういうふうになったわけで、まだ一部ですけれども、この全体の一部が初めて明らかになるということになりました。それから、今回の森友問題も、地元の豊中の市議さんが情報公開請求したところ、国有地の売却額が非公開だったので訴訟を起こしたということがきっかけでありました。
情報公開制度があるから、請求制度があるからこそ、行政のゆがみを明るみにできた。まさに情報公開法1条、もう一つ下の方に別に述べているところがありますけれども、情報公開法にはこのようにあります、「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。」。
やはり政府にとって出したくないことであっても、主権者である国民にしっかりと正確にそのまま情報を提供して、国民の理解とともに批判にさらされてこそ公正で民主的な行政ができるんだというのが法の目的にもしっかりうたわれていますので、これは隠すんじゃなくて、むしろ公開してこそ民主的な行政に正されていく、それが法の趣旨だということについて所管大臣として見解を求めたいと思います。
野田 総務相 この法律に書いてあるとおり、お見せするだけではなくて、それに伴ってやっぱり厳しい批判を受けることになるんですが、批判を受けたことによってやはり自分たちの道を改めるということが日々大切なことだと私は思っています。
是非、この法の趣旨にのっとってしっかりした情報公開ができるよう、所管の大臣として取り組みたいと思います。
山下よしき 終わります。