山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
今日はまず、臨財債と法定率の問題について質問したいと思います。
地方の財源不足が続いているわけですが、これに対し、本来、私は、国が負担すべきところを国と地方が折半して負担するというルールの下に、地方自治体が臨時財政対策債を長期に発行する事態になっております。その残高は54兆円となっているわけですが、まず総務省にうかがいますが、臨時財政対策債の発行可能額に対して、これを100%発行していない自治体あると思うんですが、それはどのぐらいの自治体に広がっているのか、またそういう自治体では発行可能額の何割程度の発行に抑制されているのでしょうか。
黒田武一郎 総務省自治財政局長 お答えいたします。
直近の平成28年度決算で見てまいりますと、臨時財政対策債発行可能団体数が1701団体となっておりまして、そのうち実際に発行している団体が1645団体ですから、56団体が発行していないという状況でございます。基本的には、この発行可能額となっているものについて発行していない団体がほとんどでございます。
それから、臨時財政対策債、発行債の可能額の総額ですけれども、全国で3兆7880億円となっておりますが、実際に発行された額は3兆7394億円、累積で98.7%が発行されているという状況でございます。
山下よしき 1700分の56で発行されていないと。本来財源不足があるはずなのに発行していないということですから、やはり臨財債といっても地方にとっては借金、新たな借金ですので、なかなかこれをそのまんま発行するということにはいかない事情がそれぞれあるんだと思います。
しかも、そうなりますと、財源不足が結果としては住民サービスのしわ寄せということになるわけでして、これだけ、もう18年間こういうやり方を続けていることによって、結果として住民の方にしわ寄せが行っていると、私はこのやり方は限界だというふうに思っております。
ところで、2018年度の地方財政計画では、2016年度の国税決算で税収見込みが下回ったことに伴う精算額2245億円について、2022年度以降の5年間、449億円ずつ精算するとされておりますが、この2022年度以降、具体的にどのように対応することになるんでしょうか。結局またさらなる臨財債発行でしのぐことにならないと言えるでしょうか。
黒田 局長 お答えいたします。
平成28年度の国税5税の決算額が補正後予算額を下回りましたので、ご指摘のように、法定率分が2245億円の減となりまして、地方交付税法上、この減につきまして、平成30年度に精算することとなっておりました。ただ、平成30年度の地方財政対策におきましては、臨時財政対策債を可能な限り抑制するとともに、交付税総額を確保する観点から、財政当局との協議によりまして精算を後年度に繰り延べることといたしました。
この繰り延べるに際しまして、各年度の精算額の平準化を図る観点から、平成34年度から平成38年度までの各年度におきまして、449億円ずつ精算することとしております。これによりまして、平成30年度から平成38年度までの精算額見てまいりますと、平成30年度から33年度までは2355億円ずつ、それから平成34年度から平成38年度までは2260億円ずつ各年度で償還ということになりますので、これからの税収見通し等々勘案しまして、これについては対応できるのではないかというふうに考えております。
山下よしき 臨財債の発行をさらに増額してしのぐことはないというふうにはなかなか言えないんですね、これからのことですから。
それで、私は、そうなりますと、いつまでもこの臨財債でしのぐというやり方を続けていくわけにいかないと思うので、今日は財務省に来ていただいております、政務官に来ていただいておりますが、地方の財源不足は本来国が負担すべきであります。2000年度までは国の交付税特会が借金をして交付税を交付しておりました。ところが、さっき言ったように、2001年から今の臨財債、国と地方の折半ということになってきたんですが、もう限界来ておりますので、本来、地方の財源不足が続く場合は地方交付税の法定率を引き上げるということで対応すべき、これが原則だと思っておりますが、財務省としてもここに踏み出すべきではないでしょうか。
今枝宗一郎 財務大臣政務官 お答え申し上げます。
地方の安定的な財政運営は、国の安定的な財政運営を基礎に成り立ち、国と地方は車の両輪の関係にあると考えられます。こうした中、国の財政は引き続き厳しく、長期債務残高が915兆円に達するなど、大きなリスクを抱えている状況にあり、法定率の引上げは容易なものではないと考えております。
いずれにせよ、地方による必要な行政サービスの安定的な実施と、国、地方の財政健全化目標の実現を勘案しながら、今後、総務省とよく協議をしてまいりたいと思います。
山下よしき 大体、そういう答弁がずっと続いているんですね。
総務大臣にうかがいますが、総務大臣も本来は交付税の法定率を引き上げることによって安定した財源を確保することが大事だというふうに、私の本会議に対する答弁でおっしゃいました。そのために粘り強く主張し、政府部内で十分議論していくということだったんですが、どういう議論が一体されているのか、どういう主張をされているのか。今回の野田大臣のご主張は、去年、私聞いたときに、高市大臣もそういうふうに、粘り強く主張していくということだったんですが、残念ながら、財務省にはなかなか届いていないという感じなんですが、どういう主張をして、政府内でどんな議論がされていて、何が問題なんでしょうか。
野田聖子 総務大臣 まず、平成30年度の一般財源総額についてきちっとご報告したいと思うんですけれども、地方団体が様ざまな地域の課題に取り組み、そして安定的な財政運営で行うことができるよう、前年度を上回る62.1兆円を確保することができました。そして一方、地方財政は平成30年度においても6.2兆円の財源不足が生じています。地方財政の健全な運営のためには、本来的には法定率の引上げ等により地方交付税を安定的に確保することが望ましいとここでも何度も申し上げています。
しかしながら、今、話もあったように、国、地方とも厳しい財政状況にあります。そういうことで、法定率の引上げは容易ではないんですが、今後とも、法定率の見直し等による交付税総額の安定的確保については粘り強く主張し、政府部内で十分に議論をしてまいります。
やり取りですけれども、法定率を上げたいという私たちの強い要望がございます。ところが、国も今、財政が非常に厳しいと。それのやはり見合いというか、どちらが良くなっても、トータル的にはやはり国と地方相まってという財政事情がありますので、それについてできる限りやれることはないかということで折おり財務省と議論をさせていただいているということであります。
山下よしき 結局、財源をどうするかなんですよね。私、本会議でも申し上げたんです。そこに切り込まないと、国、地方の財源を新たに確保する方途をどうするかということを真剣に検討しながら交付税の法定率の引上げを議論しないと、国も地方も財政が大変だということを幾ら繰り返し議論していても、これ前へ進まないと思うんですよ。
まあそういう点では、私たちは、研究開発減税など大企業優遇の税制、あるいは金融資産についての富裕層に対する優遇税制、こういうことにしっかりもうメスを入れるだけでも兆円単位で財源確保できるんですから、こういうことに真剣に検討しながら、まあほかにもいろいろあると思うんです。そこを切り込んでやらないと、いつまでも交付税の法定率の引上げはできない。結局、地方の財源不足が住民にしわ寄せするということになるんですが、財源の検討、これ真剣に議論すべきときが来ているんじゃないですか。
それと、いつこの臨財債から脱却して法定率の引上げに踏み出す、いつそういうことをしようとしておられるのか、見通しは持っているんですか。
黒田 局長 今の法定率の見直しと財源の確保の関係でございますけれども、私ども、毎年の概算要求の時点で法定率の見直しを必ず事項要求しております。
過去に法定率を見直したときのケースについては、多くの場合が税制改正に伴う、それに伴っての財源確保というものが多かったというのが状況でございます。最近でしたら、社会保障・税一体改革の中でありますとか、それからそれに伴います地方法人税を創設するとか、そういう形でやっておりますので、私どもといたしましても、制度改正なり税財源の確保に合わせまして、できる限り交付税率の見直しをやっていきたいということはずっと主張しながら議論しているところでございます。
臨財債からいつ脱却できるかという議論は、これなかなか難しいところございますけれども、折半分につきましては相当程度今抑制してきておりますので、まずはここから脱却しまして、過去の元利償還分も含めまして、できるだけ早めに脱却すべく努力をしていきたいというふうに考えております。
山下よしき 消費税増税を念頭に置いておられるかのような発言がありましたけど、これ、消費税増税は地方の景気も悪くして地方税収を落ち込ませてきたという経過もありますので、私はそこに安易に頼らない方がいいと、頼ってはならないというふうに思います。そのことを指摘しておきたいと思います。
次に、トップランナー方式について議論したいと思います。
2016年度から導入されたこの方式によって、基準財政需要額の算定の経費水準の見直しがされるわけですが、これまで減額された総額は幾らになるでしょうか。
黒田 局長 平成28年度より地方交付税の算定においてトップランナー方式を導入いたしまして、多くの団体が業務改革に取り組んでいる業務につきまして、その経費水準を基準財政需要額の算定基礎としております。
このトップランナー方式の導入によります平成28年度から30年度までの基準財政需要額の累計での減少額は1387億円となる見込みでございます。
山下よしき 今回議論したいのは学校用務員の事務なんですが、学校用務員の事務についても昨年度からトップランナー方式によって算定の水準が削減されておりますが、まず文部科学省、今日副大臣に来ていただいておりますが、学校用務員事務とはどのような業務でしょうか。
丹羽秀樹 文部科学副大臣 お答えいたします。
学校用務員の業務につきましては、学校教育法施行規則第65条におきまして、「学校の環境の整備その他の用務に従事する。」と規定されております。一般的には、学校用務員の方がたは校舎、学校の施設整備の清掃やさらには整頓等の環境整備などの用務に従事しておりますが、各学校の状況に応じて学校を円滑に運営していくために必要な職務を担当させていただいております。
山下よしき 資料をお配りしておりますけれども、2枚目に学校現業職員のことをイメージができるようなニュースを配付させていただきました。
この下の方の手記みたいなものがあって、上の「学校の技師さん」、秋田県立高校勤務、照井吉仁さんについてが書かれたこと、ちょっと読みます。
皆さんは学校に技師さんと呼ばれる人たちがいるのを知っていますか。昔は用務員さんとか、おじさんと呼ばれたりしますが、秋田県の県立高校では技能技師、通称技師さんと呼ばれています。
技師さんの仕事は通常、環境整備という言葉で表現されます。ううん、技師さんとしては、そんなに簡単に四文字で表現してほしくないと思えるほどたくさんたくさんやるべきことがあるのです。例えば学校の施設設備を日々点検し、壊れたところ、壊れそうなところを修繕したり整備したり、校舎のお医者さんか、校舎内外を清掃したり、また春から秋までは草刈り、冬は除雪作業、毎日のごみ管理、灯油、重油の管理と、まあこんなのは基本中の基本。
大分前からなのですが、学校も予算がどんどん削減されてしまって、今までは外注していたような仕事も技師さんがお願いされるようになりました。お金がないときこそ技師さんは大活躍なのです。
私たちは、学校にやっぱりちゃんとした正規の技師さんが必要だと思います。見えるところ、見えないところで生徒たちと伝統ある学校のために一生懸命働く技師さんを学校からなくしてはいけないと思うのです。生徒を評価しない立場でありながらも生徒の日々の様子や行動にさりげなく目を配り、学校生活の安全を誰よりも真面目に考えている職員が学校の中にいることをもっともっとたくさんの人に知ってもらいたいと思うのですという手記で、私、これ読んで、私の高校時代にもこういう方がいたなということを思い出しましたが、副大臣、こういうこの手記を読まれて、感想、いかがでしょう。
丹羽 副大臣 お答えいたします。
先生のこの資料の学校の技師さんという方は、私も正直、今日初めて知ったわけでございますが、いまだ私も、用務員さんの世代でございましたので技師さんという言葉を初めて知りましたが、まさに学校現場の子どもたちのために環境整備、本当に技師さんによって学校が通常業務ができるような環境を整えていただいている、日陰にひなたに非常にすばらしい仕事をされていらっしゃる方がただと印象を受けました。
山下よしき 総務省にうかがいます。
この学校用務員の事務がトップランナー方式によりまして算定減額されております。今回の法案では幾ら削られるのか、また5年間で終了することになっていますが、5年間で削減される学校用務員の算定の減額の総額、幾らになるでしょうか。
黒田 局長 この学校用務員事務に係る地方交付税の算定につきましては、平成28年度からトップランナー方式を導入しまして、5年掛けて段階的に経費水準を見直すこととしております。
具体的には、一校当たりで、市町村分の小学校費と中学校費につきましては370万7000円から292万7000円に、高等学校費は735万3000円から615万2000円に、また、道府県分の高等学校費につきましては719万6000円から615万2000円に、特別支援学校費は573万1000円から505万1000円になる見込みでございます。基本的には、これ5年間で分割して減額してまいります。
また、この基準財政需要額の減少額につきましては、5年間の累計で282億円と見込んでおります。
山下よしき ちょっと数字ばっかりで分かりにくかったと思いますが、例えば小中学校一校当たりは、5年たったら78万円減額されるということになるわけです。2016年度、370万円から二百九十二万へと二割カットされることになります。
そこで、聞くんですけれども、これまで、ある自治体の業務についてトップランナー方式を導入するかどうか決める際は、民営・委託化が大半の自治体で行われている業務という説明をされてきました。学校用務員の民間委託化はどれほどの自治体で進められているんでしょうか。
山崎重孝 総務省自治行政局長 お答え申し上げます。
平成29年4月1日現在で、全団体を母数とした場合の学校用務員事務の民間委託を実施している団体の割合は、都道府県で34.0%、指定都市で35.0%、市区町村では22.2%となっております。
山下よしき 済みません、前提、何と言ったの、全業務。
山崎 局長 全団体数を母数として、つまり、私どもは普通は余り業務量が多くないために専任職員を置いていないとか非常勤でやっているところを普通は母数から除外しておりますが、今回先生のご指摘がございましたので、それを全部母数にしましてはじいた数字がそういうことでございます。
山下よしき その中身もちょっと聞きたいんですけれども、学校単位の調査なのか、それとも一つの市町村の中に一校でも民間委託しているところがあればそれは一団体と数えるのか、それはどうでしょうか。
山崎 局長 私どもで公表しております数字は、今ご指摘のように、一部の学校において学校用務員の業務を委託している団体なども一つの団体として含めてございます。
山下よしき それでも30%台、あるいは市町村では22%台ということなんですね。だから、そんなに民間委託って進んでいないんですよ。大半の自治体が民営・委託化されているということになっているのに、何でこれ学校用務員をトップランナー方式として対象にしちゃったんですか。
黒田 局長 お答えいたします。
この学校用務員事務につきましては、ご指摘のとおり、この民間委託事務がそれほど高くないという数値もございますけれども、非常勤職員の活用も含めますと業務改革を実施している団体が多いことから、平成28年度からトップランナー方式を導入いたしました。
そのために、平成27年度に私どもの方でも抽出調査をいたしました。その結果では、非常勤職員の活用も含めまして民間委託等により業務を実施している学校の割合が、小中学校では63%、高等学校では56%、特別支援学校では51%であったということを踏まえて導入を決定いたしました。
山下よしき これまでトップランナー方式が導入された業務で、非常勤化しているところまでカウントしてたくさん民間委託化等されているというふうにカウントした業務はありますか。
黒田 局長 この抽出調査によって判断したという形で取っておりますのはこの学校用務員だけでございます。
山下よしき ないんですよ。民間委託が大半の自治体でやられている業務はトップランナー方式になったところもありますけど、民間委託が二割とか三割なのに、非常勤が広がっているからといってトップランナーにしたところはないんですよ、ほかに業務は。そんなことやっていいのかと。トップランナーの悪用ですよ、これはと私は言わざるを得ない。
それで、結局これは、私は、総理が世の中から非正規という言葉をなくしたいと、こう一方で言いながら、学校用務員は、これトップランナーにされたら民間委託よりも非常勤化になりますよ。やっていることが総理の言っていることと違うことになっているということも指摘しておきたいと思います。
今日は、学校用務員が、先ほどの手記にもありましたけれども、様ざまな業務に関わりながら円滑な学校の運営を支えている、教師とは違った角度で子どもたちの成長を支えている大事な業務を担っていると。学習権、発達権を教育条件整備の面から保障する仕事をされているということが、やはりこれがトップランナーで維持できるのかというのが私は1番問題だと思っております。
私が具体的に用務員の方がたから聞いた仕事の中身ですが、例えばごみの処理なんです。これ、民間委託しようと思ったらできるんです。ごみの処理だけ民間委託している自治体もあるんです。しかし、そういうところは業者に委託した場合は生徒との関係はつくられません、ありません。ただ見ているだけだと。しかし、市の職員の用務員の方だと、分別ごみの仕方など声を掛けながら、ごみという日常生活の一つの行為を通じて指導したり褒めながらしたり関わっていると。
それから、例えば、ある用務員の方が言っていました、生徒がふざけて校舎の板を壊しちゃったと。そうすると、先生とも相談してその子と一緒に修理をした、2時間修理をする中でその子どもが変わっていった、その後も声を掛けるなどのつながりができてきたとかですね。あるいは、特別支援学校で、玄関から廊下を通って寒気が教室に入るために寒いと。そこで、廊下にビニールカーテンで仕切るようにして暖かくなったと喜ばれたなどなど、もう非常に、細かいことかもしれませんが、子どもの生活あるいは学習環境が良くなるようなことを、そしてそのことを通じて子どもに新たな成長が促されるような役割を果たしてくれています。
学校のことをよく分かっていて、子どもたちのために、また教師のために何ができるかをいろいろ考えて学校生活を支える力になっている。外注すればお金が掛かることを、技術を生かして工夫して節約にも貢献をしている。
これは今度は野田総務大臣にうかがいたいと思いますが、こういう学校用務員の仕事、非常に重要だと思いますが、いかがですか。
野田 総務相 確かに学校用務員の方がたというのは、今委員ご指摘のように、学校内の巡視などの安全確保とか清掃などの環境整備、又は学校の施設設備の保守点検、様ざまな業務を行っていただいていますし、他にも学校の運営に必要な業務に従事されているという者ということは認識しているところです。
トップランナー方式につきましては、先ほど局長も説明ありましたけれども、そういう用務員のすばらしさ等々と併せて、地方財政がまだ引き続き依然として厳しいんだと、厳しい状況にあるという中で、地方が効率的、効果的に行政サービスを提供する観点から、民間委託等の業務改革の推進に努めることは重要だと。そういう流れの中で業務改革の取組を進めているのが地方団体なんだと思います。
学校用務員の事務については、トップランナー方式というのは民間委託等ということでありまして、今民間委託と併せて非常勤の総合的にどれだけ取り組んでいるかということがしんしゃくになっているので、そういった意味では、既に取り組んでいる団体があるということを踏まえてトップランナー方式の導入というふうに相なってきたわけですけれども。
いずれにしても、地方交付税というのは言うまでもなく使途が制限されない一般財源でありまして、トップランナー方式の対象業務というのは、どのような手法で実施するかはもう各地方団体において自主的に判断されているものだと思います。それぞれの地方団体において、それぞれの地域の実情に踏まえて、自主的、主体的に業務改革に取り組んでいただければと思います。
山下よしき 子どもたちにとって学校というのは、学習の場であるとともに、1日の3分の1を過ごす生活の場でもあります。ですから、そういう中にこの用務員という、成績とか評価をするために子どもを見る先生たちとはまた別の視点で、評価しないで触れ合うそういう方がいるというのは、非常に学校が豊かな子どもたちにとって過ごせる時間になるわけですね。
私も、さっき思い出したと言いましたけど、高校時代に本当に用務員の方、おじさんでした、よく声掛けていただいて、それから励ましてくれて、いろいろ落ち込んでいるときにですね、こちらの方からいろいろ対人関係の悩みなんかを相談することもできました。もうオアシスのような存在だったと思っておりますが。
これ、学校用務員の方に聞きますと、震災のときにはもうなくてはならない役割をこの方がたは果たしておられます。
これも手紙に、その下の手紙に書いてあることなんですけれども、宮城のある高校では、学校の外壁150センチまで水が押し寄せてきた、校舎内に残された職員や生徒の安否確認をした、まずはポット、やかん、とにかく水をくめるものを集め飲料水の確保をして、ストーブ、灯油、毛布を集めて二階以上に上げ、ヘリコプターに急病人の搬送をし、近くのスーパーまで物資をもらいに行き、近隣の公共施設を回り、生徒の安否確認の情報集めをするなどした、学校長から勤務の解除命令が出たのは一週間後だったと。
こういう役割をできたのは、これはやっぱり民間委託されたり非常勤の方だけではなかなかしにくいと思うんですよ。災害など緊急の事態の際にもこういう役割を果たしているわけですが、こういう役割が継承できなくなるんじゃないかというふうに言われております。
文部科学副大臣にうかがいますが、文部科学省としては、これまで、図書館などのトップランナー方式の導入は認めませんでした。これは、いろいろ教育上の問題点などを考慮されてのことだったと思いますが、その結果、多くの自治体、市民、子どもたちから喜ばれております。子どもと学校にとって、また安全な地域にとって非常に大事な役割を担っておられる学校用務員、これが、何といいますか、このままトップランナーがどんどん広がっていったら、この役割が担い切れなくなっているんで、しっかり交付税として、トップランナー方式ではなくて、平均的にやっておられるところの水準で交付税措置されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
丹羽 副大臣 お答えいたします。
委員の資料を私も拝読させていただきまして、特に災害時には学校の現場も非常に混乱いたします。そういったときに、教師の目線ではなくて、学校技師さん、用務員の方がたが生徒の目線で安心、安全の確保を担っていただけるということは、学校現場としても、また学校現場を所管しております文部科学省としても非常に有り難いことだというふうに思っております。
また、委員のご質問の中で、トップランナー方式でございますが、私は決してトップランナーが悪いとは思っておりません。ただ、質の高いトップランナーをどのように学校現場で導入していくか、それによって、生徒と一体となって、また学校と一体となってどのような運営をしていくか、これこそが、まさにこのトップランナー方式に求められている学校現場の課題ではないかというふうに考えております。
山下よしき 学校用務員の評価をしっかりしていただきながら、トップランナー方式については矛盾ないんだというご発言でしたけど、これ、大変認識、私はそれでいいのかと思いましてね。
つまり、例えばトップランナー方式が導入された、学校用務員がですよ、ところでどうなっているかといいますと、それを請け負った民間の業者は、その働く人に対して子どもと関わるなという指導をしています。特定の子どもと話をするな、子どもと目を合わせるなという指導をしているんですよ。それは、そういうことやっているところもあるんですね、そういう指導をしている。
やはり、学校の教師とともに学校の職員として一緒に子どもたちを見守るという立場ではないからですよ。清掃業務だとか校舎の修繕業務だとかを請け負った人たちだからですよ。そういう視線で、子どもたちに接するまなざしが全く違うんです、質の高いトップランナーというのはあり得ないです、学校の現場で。そのことをしっかり受け止めていただきたい。
だから、一つ提案があります。学校現場で、学校用務員がトップランナー方式によって民間委託されたり非常勤化されたところの実態がどうなっているのか、今副大臣が言われた非常に重要な役割がちゃんと維持、継承されているのかどうか、実態調査すべきじゃありませんか。
下間康行 文部科学大臣官房審議官 ただいま議員からご指摘ございました震災の際の学校用務員の役割については、大変重要なものがあるということがございました。
そうした中で、学校におけるこうした学校用務員が果たす役割が様ざまな各自治体の取組の中でどのように果たされているかということを行政として的確に把握をしていくということは大変重要なことであろうかと思っております。(発言する者あり)
行政といたしまして、その学校における学校用務員の役割がどのように果たされているのかということを把握をしていくということは大変重要なことであるというふうに認識をしてございます。また……
山下よしき トップランナー方式によって民営化、非常勤化されたところでどうなっているか、継承されているのかを調べるべきじゃないのかという提起です。
下間 審議官 トップランナー方式を導入するかどうかということにつきましては、それぞれの自治体の判断もございます。そうした中で、取り入れているところ、また学校用務員がどのような現状にあるのかということは、また総務省とも連携をしつつ、実態の把握に努めていきたいと考えてございます。
山下よしき 終わりますが、総務省と協力して実態調査をしていただきたい、そして、これは、この方式はもうやめるべきだと、大胆に見直すべきだということを申し上げて、終わります。