地方交付税法定率引き上げせず、「トップランナー方式」を拡大する改定案に対しての反対討論 
2019年03月28日 参議院総務委員会

 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等の改定案に反対の討論を行います。

 主な反対理由は、法案が地方交付税制度を根本からゆがめるものだからであります。

 地方交付税は地方の固有財源であり、自治体の財政需要を正しく反映することによって、財源保障機能と財源調整機能という役割を果たすことができます。ところが、安倍政権は地方交付税の算定にトップランナー方式を導入し、アウトソーシングで人件費等を削った経費水準を基に基準財政需要額を引き下げています。

 学校用務員事務では昨年度からこの方式が導入され、小中学校では一校当たり78万円も削減されようとしています。学校用務員は、様々な業務に関わりながら円滑な学校の運営を支え、教師とは違った角度で子供たちの成長を支え、震災時には避難所となる学校でなくてはならない役割を果たしてきましたが、トップランナー方式による民間委託化、非常勤化によって、こうした役割が維持、継承できなくなるのではないかとの不安の声が上がっています。

 この方式で、2016年度以降1400億円もの基準財政需要額の削減となります。自治体職員の業務をコストだけで評価し、豊かで多面的な役割を否定する、自治体職場で官製ワーキングプアを一層増大させ、地方交付税の在り方をゆがめるトップランナー方式は中止すべきです。

 また、まち・ひと・しごと創生事業費の人口減少等特別対策事業費で、人口の増減率等を指標に、成果が上がっている自治体に交付税の配分を増やしていくやり方をさらに進めようとしていることも問題です。地理的条件不利地や財政力の弱い町村などで財源削減の影響は深刻です。こうしたやり方は地方交付税の役割に逆行するものです。今こそ地方交付税の法定率を抜本的に引き上げ、自治体の一般財源の拡充を図るべきであります。

 なお、地方税法の改定については、地域経済の牽引という名目で固定資産税の減免を導入していますが、一部の企業に支援を特化するやり方でなく、380万の中小企業全体の底上げこそ地域経済の活性化に必要です。

 また、個人所得課税の見直しは、勤労世帯、中間層への増税であり、反対です。

 以上を述べて、反対討論とします

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。