NTTの設備の保守・管理が外注化で継承できなくなる危険性があると対策を求める 
2018年5月15日 参議院総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

 先日、当委員会でNTT霞ケ関ビルを視察いたしました。建物内を案内していただいたんですが、私が建物の中に入って感じた一番の感想は、この施設は、建物は、電話線の集積地だなということであります。

 霞が関のエリア内から膨大な数のメタリックケーブルあるいは光ファイバーケーブルが集まってきて、洞道と呼ばれる大きな地下トンネルを通じて建物内に入って、交換機やルーターなどの設備につながっておりました。交換機につながっているもう細い細いケーブルが、1本1本が1件1件の契約者と一対一で対応していると。いまだに、いまだにと言ったら失礼ですけれども、線が全部契約者と局で1本1本つながっている、つなげられているということなんですね。NTTのこうした通信回線網や設備は、誰もがあまねく通信を安定確実に利用できるようにする上でなくてはならないものだということを改めて認識することができました。

 そこで、野田大臣にうかがいますが、現代社会を支える公共基盤、インフラとしてのNTTの役割、責務についてどのような認識をお持ちでしょうか。

野田聖子 総務大臣 山下委員にお答えします。

 NTT東西は、NTT法第3条により、電話の役務のあまねく日本全国における提供の責務を有し、NTT東西の加入者回線のシェアは、メタル回線で約100%、光回線で約77%となっているところです。

 これらの回線は、一般の利用者のほか、他の電気通信事業者のサービスの提供にも用いられておりまして、委員ご指摘のとおり、国民生活や社会経済活動の基盤となる重要なインフラとして重大な役割を担っているものと考えています。

山下よしき 視察では、NTT東日本の山村雅之社長と懇談することができました。山村社長は、幾ら時代が進んでも線がなくなることはないとおっしゃったんですね。なるほど、電気通信事業者にとって電話線、電話網は命なのだと感じました。

 そうなると、電話線や設備を維持管理するための技術や技能を持つ労働者を養成することは非常に重要だと思うわけですが、その点、NTTとしてどうされているんですかと聞きますと、山村社長は、線をつなぐなどの保守管理は外注しているというお答えでした。

 私は、命のメンテナンスが外注で大丈夫なのかと少し違和感を覚えたんですね。そこで、NTTの労働者、OBの方がたに保守管理の現場がどうなっているのか聞きました。協力会社では、60歳、70歳のNTTのOBが働いている、保守の人員はその5割が60歳以上の再雇用、再々雇用の方だと、50歳以上が7割だというんですね。ああ、やっぱりそうかと思いました。電電公社時代から働いてきた世代の方がたが、電気通信事業の全体を理解した上で保守に当たってきた、だからこそ保守管理は適切に行うことができるし、社会を支える仕事をしているという誇りと自覚を持って保守に当たることができるということでした。

 保守管理部門を切り離して、現在のように外注化したままこういうOBの方が次つぎリタイア、もうあと5年、10年でいなくなると思いますが、したら、こうした仕事が継承できるのか大変心配です。ある方は、NTTは設備から崩壊するということまでおっしゃっていました。電気通信事業法にある基盤的な電気通信役務のあまねく安定的な提供の確保というのは、設備の適切な保守管理が継続しなければ、これは果たせません。

 そこで大臣にうかがいますが、NTTの保守管理の体制について、私は、実態をよく把握して、私が言っているような問題が、私はあると認識したんですが、あれば必要な対策を取るべきではないかと、こう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

野田 総務相 NTT東西は、NTT法第3条によりまして、電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保が責務とされています。ご指摘の点は非常に重要な課題だと考えています。

 NTT東西等の電気通信事業者には、通信設備について、まず、故障対策や通話品質等の技術基準に適合させること、そして、設備の維持、運用に関する国家資格を持ち、定期的に講習が義務付けられた電気通信主任技術者に監督させること、そして、運用方針や管理体制等を管理規程として策定し、総務大臣に届け出ること等が義務付けられています。これらの義務は、設備の保守管理を外注した場合であってもNTT東西がその責任を負うこととなり、また、管理規程においても、維持及び運用の委託に関する方法について定めることとされているところです。

 総務省では、これらの制度に基づいて、NTT東西において設備の保守管理が適切に行われていることを確認し、将来にわたってネットワークの安全、信頼性が確保されるよう、しっかり取り組んでまいります。

山下よしき 特に、メタルの線を保守する技術、技能、経験をお持ちの方は、もう今の現役のNTTの若い職員の方にはいないというんですね。しかし、これから議論しますけれども、メタルがすぐなくなることはありません。そうなりますと、このOB頼みで本当にそういうメタル回線が維持管理できるのかということがもうあと5年、10年のうちに問われることになるということですから、今重大な問題だというご認識が示されましたので、しっかりと把握していただきたいというふうに思います。うなずいておられますので。

 それで、法案の中身に入りたいと思いますが、法案の前提として、NTTの中継交換機が維持限界を迎えるということを理由に、メタル電話をIP網に移行することがあります。2024年の初頭までにメタルIP電話への契約移行を行うなど、工程も示して全国一斉に移行していくことは世界でも日本が初めてとなるのではないでしょうか。

渡辺克也 総務省総合通信基盤局長 お答え申し上げます。

 世界との関係でございますが、アメリカにおきましては、ATTがIP網への移行に向けまして、移行に伴う影響を検証するための実証実験などを行っている段階であり、具体的なIP網への移行工程はまだ策定されていないというふうに認識しているところでございます。

 また、イギリスに関しましては、BTが固定電話網をIP網へ移行する計画を2004年に発表いたしましたが……(発言する者あり)あっ、ごめんなさい。済みません。また、アメリカでは、BTが固定電話網をIP網へ移行する計画を2004年に発表いたしましたが、コストや技術的な課題があったために、2010年に計画を中断し、その後改めて、2025年までにIP網へ移行する考えを表明したと承知しているところでございます。

 このように、欧米主要国におきましては、我が国のようにIP網への移行に関する具体的な移行工程やスケジュールまで整理されている例はないものと承知しているところでございます。

山下よしき ですから、世界でも初めての大規模な取組なんですが。

 NTTは、IP網移行後、緊急通報における回線保留機能を廃止する方向を示しております。回線保留というのは、通報者が受話器を下ろしても、緊急通報受理機関側が切断しない限り接続状態を維持することという機能でありまして、非常に重要な緊急通報にとっては機能だと思いますが、この緊急通報の回線保留機能が廃止されて別の機能に変更されることによって、私は、緊急通報の発信者と連絡が付かなくなるなど、消防や警察などの緊急通報受理機関の活動に支障があってはならないと思います。

 これはNTTや受理機関任せでは駄目だと思います。大臣、政府としてどのように関わっていきますか。

野田 総務相 お答えします。

 緊急通報の確保は、IP網への移行後の電話サービスにおいて重要な課題と認識しています。このため、総務省の審議会においても、これまで警察や消防、関係事業者などからヒアリングを行い、丁寧な議論を進めてまいりました。

 現在の回線保留機能、今委員がお話しになった回線保留機能を代替する機能については、警察や消防の要望を踏まえて、発信者の番号表示など、緊急機関から通報者へのコールバックがつながりやすくなる機能を具備することとしています。

 総務省としては、改正法に基づいて、電気通信番号計画などで回線保留機能を代替する機能の具備を事業者に求めることを定めることによって、事業者による確実な対応を図ってまいります。

 さらに、今後も総務省の審議会等において警察、消防やNTTによる取組の状況を継続的に確認して、取組内容が不10分な場合には改善を求めるなど、適切に対応してまいります。

山下よしき 終了予定とされるメタル電話の契約件数は2114万件というふうに聞きました。たくさんあるわけですね、現在でも。

 情報通信審議会の第1次答申は、IP電話や光ブロードバンドへの移行に直ちに対応できない利用者に対しては適切な補完的措置、いわゆるメタルIP電話等を提供するとしております。利用者に過度の負担が発生することを回避するメタルIP電話は補完的措置とされているわけですね。そうしますと、音声のみの電話、いわゆる黒電話だけでいいという人にとって、補完的措置がいつまで続くのか、いつか終わるのではないかという不安が残ることになります。

 利用者が残っているのに接続されないことが起こるのか、このメタルIP電話をいつまで提供する予定なのか、ご答弁願います。

渡辺 局長 お答え申し上げます。

 現時点におきまして、メタルIP電話の終了時期、光IP電話への移行スケジュールは決まっておりません。

 今回のIP網への移行は、電話端末の買換え等の利用者の負担を避けるため、メタル回線を維持しつつ、加入者交換機をメタル収容装置として利用することにより円滑な移行を図るということにして検討しているところでございます。

山下よしき 結局、メタルIP電話がいつまで続くのかはまだ分からないということなんですね。

 メタルIP電話に移行しても、利用者の基本料金が上がっていくことはないんでしょうか。

渡辺 局長 お答え申し上げます。

 NTTからは、加入電話の代わりに提供するメタルIP電話につきましては、基本料につきましては、現在の加入電話の基本料と同額、通話料は、距離に依存しないIP網の特性を生かして、全国一律に3分で8.5円とすることなどの考えが示されているところでございます。

 一方、光IP電話につきましては、基本的に光ブロードバンドサービスにあわせて提供されていることから月づきの基本料は数1000円程度となりますが、電話サービスのみを利用する利用者に関しましては、メタルIP電話を選択すれば料金の負担は上がることがないというふうに考えているところでございます。

山下よしき そういう説明をNTTされているんですが、料金、提供条件について、市場環境が著しく変化しないという前提がついておりますので、これが前提が崩れると料金が上がるということがあるかもしれないというようなちょっとニュアンスがありますので、私はそれが覆ることがあってはならないというふうに思っております。

 次に、光IP電話への全面的な移行における課題について質問したいと思います。

 IP網は、多様なサービス、動画やデータ等の同時提供を前提にしたものであります。しかし、あれやこれやは要らない、先ほど言いましたように音声のみ安価に利用したいという人も当然いるわけで、そこでうかがいますが、現在、光IPを使って音声サービスのみのサービスというのはあるんでしょうか。

渡辺 局長 お答え申し上げます。

 光ファイバーによるサービスにつきましては、NTT東日本、西日本では、IP電話は基本的にはブロードバンドサービスのオプションとして提供しているところでございます。

 他方で、既設のメタルケーブルがない新興住宅地、あるいはメタルケーブルが老朽化しています限界集落のように光ケーブルのみを敷設した方が効率的な一部地域におきましては、両社ではブロードバンドではなく、IP電話のメニューのみによる光ファイバーサービスを提供している状況にございます。

山下よしき 今言われましたのは、一部の地域あるいはマンションの限定的なところでありまして、一般的に光IPで音声のみのサービスを提供しているところはないというふうに聞いております。

 現在でも国民の通信料は大変重い負担になっておりますが、IP網への移行が、利用者が必要としないサービスとセットになって高額になると、多様性を求めない利用者にとって負担が重くなるということはあってはならないというふうに思っております。

 続けて、光IPへの全面移行についてもう一問聞きますが、法案では、事業者がサービスの全部又は一部を廃止していく際に利用者に周知していく内容として、サービスの代替案も示していくとされております。

 補完的措置とされているメタルIP電話サービスが、これが廃止いつかされると思われますが、そのときに、引き続き音声のみを望む利用者が、同じようなサービスの代替案がない、多様なサービスの提供のみしか示されないということは起こらないでしょうか。

渡辺 局長 お答え申し上げます。

 今回の法律案では、電気通信サービスの休廃止に当たりまして事業者が利用者に周知すべき事項を省令に委任することとしておりますが、先ほどご指摘のとおり、周知、サービスする一つとしましては、移行先となり得る電気通信サービスの内容を想定しているところでございます。

 現時点におきましてIP電話サービスの終了時期は決まっていない状況でございますが、いずれにしろ、固定通信サービスにつきましては、音声のみサービスを望む利用者のニーズも踏まえながら検討が行われることは必要というふうに考えているところでございます。

山下よしき 検討が必要だということで、まだ保障されていないんですね。これは重要な問題だと思って引き続き注視していきたいと思います。

 最後に、サイバー攻撃への対処に関して聞きます。

 法案では、第三者機関、認定送信型対電気通信設備サイバー攻撃対処協会で情報共有を行うこととなります。この第三者機関は、現在既に存在するICT—ISACが想定されていると聞きました。ISACは、通信系、放送系、セキュリティーベンダー系、SIベンダー系などで構成されておりまして、今も情報セキュリティーに関する情報収集、調査分析や情報共有の推進などが行われております。

 今回の法改正で新たに何が可能となるのか、なぜ拡大するのか、説明してください。

渡辺 局長 お答え申し上げます。

 第三者機関として想定される委員ご指摘の一般社団法人ICT—ISACにおきましては、会員間で、サイバーセキュリティーに関して、サイバー攻撃の実例あるいはサイバー攻撃の傾向等の情報共有が行われているという状況は承知しているところでございます。

 他方、本法律案に基づいて共有される情報としましては、サイバー攻撃の送信元のIPアドレス等の具体的な情報を想定しているところでございますが、これらは一般社団法人ICT—ISACにおいても共有が行われていない状況にございます。

 今後、DDoS攻撃等の送信元が多数の電気通信事業者にわたるサイバー攻撃に効果的に対処するためには、第三者機関を通じました効率的な情報共有が必要と考えているところでございます。このため、本法律案におきましては、情報共有を行う第三者機関を総務大臣が認定する制度を設け、サイバー攻撃の送信元に関する情報の効率的共有を促すことにより、電気通信事業者によるサイバー攻撃の対処を促進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

山下よしき そうなりますと、ICT—ISACを構成しているのは、先ほど申しましたように通信事業者だけではありません。そこを第三者機関に認定した場合、電気通信事業者以外の者が新たに通信の秘密、すなわち誰から誰に、いつ、何度、どのような内容で通信があったのか、これに当たる情報に触れることになると思われます。

 通信の秘密に接する者を無制限に拡大したり、通信の秘密の漏えいがそのことによってあってはならないと考えますが、この点について今回の法改正ではどのように規定していますか。

渡辺 局長 お答え申し上げます。

 第三者機関が取り扱う情報につきましては、通信の秘密に該当するところ、通信の秘密に該当する情報の提供は原則として同意が必要となるというふうに考えています。

 本法律案におきましては、電気通信事業者に対して、利用者との契約などで情報共有につきまして情報提供先も含めて利用者の同意を取得することを求めているところでございます。また、当該同意の範囲を超えて第三者機関が情報の提供を行った場合は、情報共有の業務を行う者の守秘義務違反及び通信の秘密の侵害に該当することとなります。

 したがいまして、第三者機関が取り扱う通信の秘密に該当する情報を電気通信事業者以外の者に提供することは想定していないところでございます。

山下よしき 昨日聞いた説明とちょっと違うのでもう一遍確認しますけれども、この第三者機関が仮にICT—ISACが認定されたとします。今度新たなIPアドレスなどの取得を含む業務をやる部署は、ICT—ISAC全体でやるのか。全体でやるとなると、通信事業者以外のセキュリティーベンダーなどの職員がそれに触れることになるわけです。そうなるのか、それとも、ICT—ISACの中に、一部、新たなセキュリティーに関するIPアドレスを取得するようなことに関する部門をつくって、その部門だけに関わる職員を守秘義務を課すということにするのか、どちらでしょうか。

渡辺 局長 お答え申し上げます。

 委員ご指摘のとおり、ICT—ISAC全体ということではなくて、今回の第三者機関が取り扱う情報に関する電気通信事業者の方がたに限定した形で運用を図るということを想定しているところでございます。

山下よしき サイバー攻撃への対処では必要ですが、通信の秘密をないがしろにするようなことは絶対あってはならないということを申し上げて、質問を終わります。

About 山下よしき 364 Articles
日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。