統計法、統計センター法両改定案に対して官邸主導体制づくりの疑念など指摘し、反対討論 
2018年5月24日 参議院総務委員会

 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対の討論を行います。

 統計法は、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であると位置付け、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならないとされています。

 しかし、各委員から指摘されたように、政権の意向に沿う立法事実づくりのための統計作成、ゆがめられた活用が行われています。安倍政権は、証拠に基づく政策立案、EBPM推進を強調しますが、求められているのは公的統計を中心とする客観的証拠の整備であり、そのための人材育成、体制強化です。

 イギリスでは、試行錯誤の後に、中立性、独立性を確保する観点から、国会直属の機関として3000人以上の体制を取っています。日本は、総務省の所属人員は年々削減され、500人を切っており、各省庁の人員を合計しても2000人にもなりません。統計職員削減が質の低下をもたらしていることは統計学会や専門家からも指摘され、体制のあり方、十分な予算措置と人員配置が求められていますが、本法案はその問題点を置き去りにしています。

 以下、具体的な問題点について述べます。

 反対理由の第一は、官民データ活用推進基本法の下にあるEBPM推進委員会と連携し、調査票情報等を含む官民データ活用推進ありきの改革が推し進められる中で、客観的、専門的な検討を進めるところの統計委員会に総理任命の各省庁の幹事を置くなど、政権の意向を反映した官邸主導の体制をつくることになるとの疑念が拭い切れません。

 反対理由の第二は、統計作成の効率化や利用者のニーズの反映を名目に、十分な個人情報保護制度がないまま、行政記録情報、ビッグデータを含む民間保有情報等の利活用や調査票情報等の提供拡大を進めることです。調査票情報の提供や匿名データの加工と提供などについて、その対象が株式会社を含む相当の公益性を有する利用を行う者に拡大され、その具体については総務省令で規定されるとされるだけで、無限定に拡大するおそれを否定できません。

 さらに、調査対象に第三者への提供の同意を取らず、その可能性があることを知らせることさえしないのでは、国民の信頼を得ることはできません。

 以上、反対討論といたします。

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日本共産党参議院議員。香川県善通寺市出身。県立善通寺第一高校、鳥取大学農学部農業工学科卒業。市民生協職員、民主青年同盟北河内地区委員長・大阪府副委員長。95年大阪府選挙区から参議院議員初当選。13年参議院議員選挙で比例区に立候補3期目当選。14年1月より党書記局長。2016年4月より党副委員長に就任。2019年7月参議院議員4期目に。参議院環境委員会に所属。日本共産党副委員長・筆頭(2020年1月から)、党参議院議員団長。